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学 位 の 種 類 博士(歯学)

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Academic year: 2021

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全文

(1)

ふ り が な

氏 名

すぎもと さだおみ

杉本 貞臣

学 位 の 種 類 博士(歯学)

学 位 記 番 号 甲 第 846 号 学 位 授 与 の 日 付 平成 31 年 3 月 8 日

学 位 授 与 の 要 件 学位規則第 4 条第 1 項に該当

学 位 論 文 題 目 Selective growth inhibition of

Porphyromonas gingivalis

and

Aggregatibacter actinomycetemcomitans

by antisense peptide nucleic acids

(ペプチド核酸による

Porphyromonas gingivalis

ならびに

Aggregatibacter actinomycetemcomitans

に対する特異的増殖 抑制法の検討)

学 位 論 文 掲 載 誌 Molecular and Cellular Probes 第 43 巻 平成 31 年 2 月

論 文 調 査 委 員 主 査 前田 博史 教授 副 査 山本 一世 教授 副 査 梅田 誠 教授

論文内容要旨

近年、メタゲノム解析による腸内細菌叢、あるいは口腔内細菌叢とそれら遺伝子構成の解明が進め られている。これに伴い、今後ヒトの健康や疾病と関連性の高い細菌種や遺伝子がより詳細に明らか になると考えられる。それら解析データに基づき、口腔内や腸内の細菌叢をコントロールする方法を 開発することができれば、人の健康増進に大きく貢献できる可能性がある。細菌叢のコントロール方 法としては、ヨーグルトに代表されるプロバイオティクスが一般的であるが、この方法のみでは菌叢 を狙い通りにコントロールすることは困難である。本研究は、細菌叢のコントロール方法として、新 しい戦略の必要性を考え、ペプチド核酸(Peptide Nucleic Acid :PNA)を応用したアンチセンス創薬 の開発をめざすものである。今回は

PNA

を応用し、

Porphyromonas gingivalis

ならびに

Aggregatibacter actinomyctemcomitans

を標的とし、菌種特異的な増殖抑制が可能であるか検討した。

供試菌には

P.gingivalis FDC 381 (Pg)、A. actinomycetemcomitans ATCC 29523 (Aa)、

Escherichia coli K12 (Ec)、Rothia mucilaginosa DY18 (Rm)

を使用した

アンチセンス

PNA

Pg

ならびに

Aa

の保有する

groEL

acpP

を標的遺伝子とし、

groEL

acpP

の翻訳開始点上流の

12

塩基 をアンチセンス鎖として付加するとともに、細胞導入のためのキャリアペプチド(KFFKFFKFFK)を付 加するよう設計した。増殖抑制効果は標的菌種の培養液にアンチセンス

PNA(1M、3M、10M)

を添加し、培養液の吸光度(660nm)を経時的に測定することで評価した。アンチセンス

PNA

による標 的遺伝子の発現抑制をウエスタンブロット法により調べ、標的菌種は

Aa

とし、

1

次抗体には抗

GroEL

ポリクロナール抗体(Abcam)を使用した。ウエスタンブロット分析におけるシグナル強度の平均を、

Mann-Whitney

U

検定によって比較した。分析では、統計的有意差を示すために

P<0.05

をとった。

(2)

Pg

に対する抗

groEL PNA

3M

10M

の添加で、約

5

時間増殖を抑制し、

1M

では約

3

時間 増殖を抑制した。

Aa

に対する抗

groEL PNA

3M

10M

の添加で約

3

時間増殖を抑制した。

Pg

に対する抗

acpP PNA

10M

の添加で増殖をわずかに抑制した。

Aa

に対する抗

acpP PNA

は標的 種に対し、増殖抑制効果を示さなかった。非標的種に対する

10M

の添加で抗

groEL

および抗

acpP

の効果を調べたが、他の非標的種に対して増殖抑制効果を示さなかった。

Aa

GroEL

の発現を

western blotting

で調べた。完全な阻害は認められなかったが、

PNA

との

3

時間後のインキュベータ ー後に採取した

Aa

GroEL

発現は顕著に減少した。設計したアンチセンス

PNA

は標的遺伝子に特 異的に作用し、たんぱく質発現と細菌増殖を抑制していると考えられる。

groELPNA

は、

Pg

ならびに

Aa

両方の種に対し特異的増殖抑制を示した。

groEL

遺伝子は、アン チセンス

PNA

が特定の細菌種の増殖を阻害するための有効な標的であり、

P.g

に対する抗

groELPNA

は、微生物叢における

P.g

の特異的阻害剤としての可能性がある。

論文審査結果要旨

現在、ゲノム解析の技術が進歩し、菌叢やその遺伝子構成の網羅的解析がすすめられている。これ らの解析結果にもとづいて、口腔内や腸内の細菌叢をコントロールできれば、人の健康増進に大きく 貢献できる可能性がある。

本研究では、細菌叢のコントロールにアンチセンス医薬の応用を考え、ペプチド核酸

(PNA) を使

用 し 、 特 異 細 菌 の 増 殖 抑 制 を 試 み た 。

Porphyromonas gingivalis

お よ び

Aggregatibacter actinomycetemcomitans

の標的遺伝子

groEL

acpP

に対し

PNA

を設計・合成し、その増殖抑制効 果を調べた。また、ウエスタンブロット法によって、PNA が標的遺伝子の発現を特異的に阻害してい るか確認した

その結果として、

P.gingivalis

の標的遺伝子

groEL

に対するアンチセンス

PNA

は、効果的かつ特異 的に菌の増殖を抑制した。また、ウエスタンブロット法により、設計・合成したアンチセンス

PNA

は 標的遺伝子に特異的に作用し、たんぱく質発現と細菌増殖を抑制していることが確認された。

以上、

P.gingivalis

A.actinomycetemcomitans

に対するアンチセンス

PNA

を開発し、その有用

性を証明した点において、本論文はアンチセンス

PNA

が細菌叢のコントロールに応用できる可能性を

示唆し、今後の発展に大いに寄与するものと考え、博士(歯学)の学位を授与するに値すると判定した。

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