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FEM 解析を用いた鋼多主桁橋の設計合理化に関する一検討

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Academic year: 2022

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FEM 解析を用いた鋼多主桁橋の設計合理化に関する一検討

土 木 研 究 所 正 会 員 ○ 吉 岡 勉 同 上 正 会 員 村 越 潤 同 上 正 会 員 高 橋 実

1.はじめに 鋼道路橋上部構造の設計は、

従来より、初等はり理論に基づいた格子解析 により行われている。一方、現在ではコンピ ュータの急速な発達に伴い、パソコンレベル でも立体 FEM 解析ができるほど設計ツール の高度化が進んでいる。鋼道路橋の設計にお いても FEM 解析を設計の標準的な手法とし て導入することで、より合理的な上部構造の 開発に繋がるものと考えられる。本検討では、

鋼多主桁橋を対象に FEM 解析の適用性を検 討するため試設計を実施した。また、格子解 析による従来設計と比較した場合の鋼重低減 効果の分析を行ったので報告する。

2.対象橋梁と検討方法 図-1に対象橋梁の 上部工一般図を示す。橋長約 160m、幅員約 10.5m、桁高 2.2m、主桁本数4本、主桁間隔 2.6mの4径間連続非合成鈑桁橋である。対象 橋梁の主桁は、非合成桁として設計されてい るが、ここでは、鋼材・床版重量を鋼断面の みで抵抗し、橋面荷重(舗装、壁高欄など)・

活荷重を合成断面で抵抗する、いわゆる活荷 重合成桁に変更した。また、床版をプレキャ

ストPC床版から設計基準強度30N/mm2のRC床版に変更し、ひび割れを許容するプレストレスしない連続 合成桁橋とした。これらの条件変更のもと、3章では計算を簡略化するため4径間のうち2径間のみを対象 に、格子解析により再設計した桁断面と同一な断面でFEM モデルを作成し、条件を揃えた上で格子とFEM の影響線比較を行う。また、4章では全径間を対象に、当初設計とは異なる条件の橋梁を格子解析とFEM解 析のそれぞれで最適桁断面を設計し、鋼重低減効果を分析する。

図-2に設計に用いたFEM解析モデルを示す。床版、主桁および横桁を4節点シェル要素、下横構をトラ ス要素で配置したモデルである。壁高欄、地覆およびハンチは、従来設計では構造部材として扱わないため モデル化していない。また、同図に示すように床版と上フランジの合成挙動を表現するため、シェル要素間 の結合材を剛体梁要素でモデル化した。支承部のモデル化は、剛体梁要素を使って支承幅と高さをピラミッ ド型で表し、集約節点に境界条件を与えることで支承反力が支承幅内で分散することを表現した。なお、集 約節点の高さ方向位置は想定した支承高40cmの1/2点とした。要素分割は、主桁フランジの幅方向に4分割、

主桁ウェブの高さ方向に6分割とし、橋軸方向の分割は、支間中央付近をアスペクト比1:5以下に、応力伝 達の複雑な中間支点上付近をアスペクト比1:3以下になるように分割した。

キーワード 鋼多主桁橋,FEM解析,格子解析,影響線解析

構造物研究グループ(橋梁構造) 〒305-8516 茨城県つくば市南原1番地6 TEL 029-879-6793 FAX 029-879-6739 図-1 対象橋梁の上部工一般図

図-2 FEM 解析モデル

38 000 X

Y Z

A1

P1

41 500

P2 床版

結合材

(剛体梁要素)

上フランジ ウェブ

アスペクト比1:5以下 最大メッシュサイズ 0.50×0.40m

アスペ クト比1:3以下 最大メッシュサイズ 0.50×0.25m

上フランジ 4分割

垂直補剛材 2分割

剛体梁要素 ピラミッド型で集約した節点 に支承条件を与える ウェブ

6分割

下フランジ 4分割

3章では2径間をモデル化.4章では4径間をモデル化.

土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

‑983‑

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(2)

3.格子と FEM による影響線の比較 活荷重の載荷にあ たってはFEM解析を設計に用いる場合でも従来設計同様、

影響線により着目部位が最も不利となる載荷状態を求める ことを考える。また、連続合成桁の設計では中間支点上に おける床版の合成作用の取扱いが重要である。格子解析で は中間支点から両側支間長の 15%領域を「鉄筋+鋼断面」

として曲げ剛性を算出し、残りの領域を合成断面とする方 法が実務レベルでは一般的に用いられており、それを踏襲 した。FEM解析では、RC床版のひび割れの状態を評価し

(ひび割れ強度σct以上をひび割れとして判定)、「鉄筋+

鋼断面」の範囲に反映させる方法を用いた。

このような方法により求めた代表的な部位での影響線 の3次元グラフを図-3に示す。支間中央G4桁下フランジ の直応力σx着目では、ピークの値が格子に比べFEMの方 が21%小さい。中間支点上G4桁下フランジ応力の直応力 σx着目では、第1支間と第2支間で完全対称分布となる 格子に対し、FEMではやや非対称の分布となり、ピークの 値は格子より10%小さい。これは FEM と格子で荷重分配 効果が異なることを示している。一方、表-1に示す影響面 体積および活荷重(L荷重)時発生応力の比較を見ると、

支間中央G4桁下フランジの最大直応力σxmaxでは8%、中 間支点上 G4 桁下フランジの最小直応力σxminでは 17%、

FEMの方が大きくなり、影響線ピークの差から逆転してい る。このことは、載荷面積を徐々に大きくして発生応力を 比較した図-4からもわかるように、載荷面積が比較的狭い 状態であればFEMの発生応力は格子に比べ小さくなるが、

載荷面積が大きくなると格子と同等か、それ以上になるこ とを示している。

4.設計結果と考察 設計荷重を前死荷重、後死荷重、活 荷重および地震荷重に限定し、FEM解析により発生する応 力を用いて許容応力度法に基づき設計を行った。図-5に設 計断面から算出した鋼重を示す。同図には、非合成桁とし て設計した結果も併せて示す。FEM解析を用いて設計した 場合、非合成桁では約 2%の鋼重低減となり、合成桁では 約1%の鋼重低減となった。

5.おわりに FEM解析により鋼多主桁橋の主桁設計を行 い、格子解析による場合との比較を行った結果、本論文で 対象とした有効幅員9.25m、支間長約40mの連続合成桁橋 では、格子解析による従来設計とほぼ鋼重が変わらないこ とがわかった。今後は、様々なタイプの鋼鈑桁橋の試設計 を行うとともに、設計ツールの高度化に即した設計手法の 見直し(構造解析係数の導入など)が必要と考えられる。

表-1 影響面体積および活荷重応力の比較

図-5 各設計での鋼重とその比率

図-4 載荷面積の大きさによる発生応力の比較 図-3 格子と FEM の 3 次元影響面グラフ

解析モデル  着目点と着目量

影響面体積 9568 10423 1.09 活荷重応力 93.3 100.4 1.08 影響面体積 -7883 -9163 1.16 活荷重応力 -52.7 -61.4 1.17 影響面体積 2728 2648 0.97 活荷重応力 25.8 23.9 0.93

※単位は、影響面体積(×106N/mm2・mm2)、発生応力(N/mm2) 中間

支点上

G4下フラン ジσxmin

G4ウェブ τmax

格子 FEM 比率

(FEM/格子) 支間

中央

G4下フラン ジσxmax

211.9 206.1

181.2 178.8

51.6 51.6 43.8 43.8

1.00

0.98

0.85 0.84

0 50 100 150 200 250

格子非合成 FEM非合成 格子合成 FEM合成

鋼重(ton)

0.75 0.80 0.85 0.90 0.95 1.00 1.05

比率

主桁 その他 比率 0.7

0.8 0.9 1.0 1.1 1.2 1.3

単位荷重 T荷重 p1荷重 L荷重 載荷面積大

発生応力の比率 (FEM/格子)

支間中央 G4下フランジ σxmax G3下フランジ σxmax 中間支点 G4下フランシ σxmin G3下フランジ σxmin 中間支点 G4ウェブ   τmaz G3ウェブ   τmaz 載荷面積小

-50 0 50 100 150 200 250

影響線縦

格子 (×10-3N/mm2)

G1G2G3G4 A1 P1

P2 238

-50 0 50 100 150 200 250

FEM (×10-3N/mm2)

187

-200 -150 -100 -50 0 50 100

格子 (×10-3N/mm2)

-78 -78

-200 -150 -100 -50 0 50 100

FEM (×10-3N/mm2)

-68 -70 (a) 支間中央G4桁下フランジσx着目

(b) 中間支点上G4桁下フランジσx着目 土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

‑984‑

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参照

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