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複断面開水路における流量変化と魚の行動

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Academic year: 2022

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キーワード:複断面開水路,流量変化,ウグイ

連絡先 〒350-8585 埼玉県川越市鯨井2100 TEL : 049-239-1404 E-mail : [email protected]

複断面開水路における流量変化と魚の行動

パシフィックコンサルタンツ株式会社 正会員 ○青木 宗之 東洋大学 工学部 非会員 遠藤 篤美 茨城県 染井 香栄 東洋大学 理工学部 正会員 福井 吉孝

1.はじめに

日本の河川の多くは,複断面開水路であり,その流れ構造 の解明への努力は多くされている.しかし,複断面開水路流 れの魚の行動は,明確にはされていない.洪水時,特に流量

(流速)が急増,急減したときの魚の行動を明確にすること は,魚の生息実態の把握,生息環境の維持,避難場所の創生 を計るうえで非常に重要である.

本研究は,流量(流速)の増減に対して,複断面開水路内 で遊泳している魚がどのような行動を示すのかを明らかにす ることを目的としている.そのため,流量(流速)を変化さ せて実験を行った.また,杭水制に着目し,その水理機能を 明らかにするとともに,魚の行動に対し,杭水制がどのよう な役割を果たしているのかを実験より検証してきている1). 本研究においても,杭水制のある水路で実験を行っている.

2.実験概要

実験水路は,全幅0.8(m),全長10.8(m)であり,高さ9.0(cm), 幅bf (=0.3(m))の高水敷が水路右岸側に設けられている複断面 開水路を用いた.測定対象領域は,図-1に示したとおりであ り,長さ3.6(m)×幅 0.8(m)である.なお,水路勾配は1/500 である.

実験ケースを表-1に示す.Run1は,疑似杭水制を設置せ ず,Run2では疑似杭水制を低水路右岸側に設置した.また,

Run3は,疑似杭水制を高水敷上に設置した(図-1 a)).ここ で,疑似杭水制は直径d=0.5(cm),高さ8(cm)の木製円柱を122 本使用した.円柱群配列は,整列配列に比べ流速低減効果の 高い千鳥配列とし1),円柱群設置面積は,b×L=8.5×192.5(m2) である.また,Q=4.5, 5.0(l/s)のときでは,低水路のみの通水 であり,円柱は非水没である.一方,Q=25, 28.0(l/s)のときで は,高水敷にも通水し,Run2においての円柱(低水路設置)

は水没であり,Run3においての円柱(高水敷設置)は非水没 である.また,流量を変化させての実験も行った(図-2).こ のときの水深変動は図-1 b)である.なお,本実験での低水路 水深Hと高水敷高さDの比H/Dは,複断面流れ(図-3)が 形成される1.56および1.6である2)

実魚には,平均体長BL=5.0(cm)のウグイを実験毎に10尾 使用し,測定対象領域の下流に放流し,30分間流水に馴れさ せた.その後,魚の遊泳行動をビデオカメラで撮影した.

なお,魚の遊泳時間は,45分間とした.水温は16±2.0℃,

水面の照度は200~250(lx)である.このとき,魚は活発に行動 していた.

a) 平面図

b) 断面図 図-1 測定対象領域の概略図

表-1 実験ケース 疑似杭水制

(円柱群)

設置個所

高水敷 高さ D(cm)

流量 Q(l/s)

低水路 水深 H(cm)

Run1-1-1 なし 9 5 6

Run1-1-2 なし 9 28 14

Run1-1-3 なし 9 5.0→28.0→5.0 6→14→6

Run1-2-1 なし 5 4.5 4

Run1-2-2 なし 5 25 8

Run1-2-3 なし 5 4.5→25.0→4.5 4→8→4

Run2-1-1 低水路 9 5 6

Run2-1-2 低水路 9 28 14

Run2-1-3 低水路 9 5.0→28.0→5.0 6→14→6

Run2-2-1 低水路 5 4.5 4

Run2-2-2 低水路 5 25 8

Run2-2-3 低水路 5 4.5→25.0→4.5 4→8→4

Run3-1-2 高水敷 9 28 14

Run3-1-3 高水敷 9 5.0→28.0→5.0 6→14→6

Run3-2-2 高水敷 5 25 8

Run3-2-3 高水敷 5 4.5→25.0→4.5 4→8→4

3.実験結果

図-4に定常流の場合の魚の分布図を示す.複断面定常流れ の場合,

1)水路内に円柱群がないとウグイ側壁に沿って遡上する.そ のままそこに滞留するものもいるが,最下流に戻ってその辺

円柱群設置個所

高水敷 flow 低水路

360(cm)

B=

bf=30(cm) y x

円柱群設置個所

b=50(cm)

80(cm)

高水敷 z H y h

D

H 土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

‑351‑

Ⅱ‑176

(2)

図-2 実験における流量ハイドログラフ

Run2-1-2Q=28.0(l/s),低水路に円柱設置) 5(cm/s) 図-3 vwベクトル図(y=102(cm)

0% 20% 40% 60% 80% 100%

Run3-1-2 Run2-1-2 Run2-1-1 Run1-1-2 Run1-1-1

上流部 中流部 下流部 高水敷

図-4 定常流の場合の魚の分布図

に滞留するものも多い.

2)低水路内に樹木群を設置すると円柱群内に進入する魚もい る.

3)高水敷に円柱群を設置すると,上流まで遡上していきその まま上流端に滞留するものと下流に戻るものとがでる.

ウグイは壁際選好性があるが,主として流速に対応して移 動する.そして流速場の乱れにも反応する.ここでは,主流 部に円柱群を設置すると,円柱群の内外に選好する流速場,

乱れが出来るのでそこに進入滞留する.しかし,ウグイは主 に水路床の近くを遊泳するので高水敷上の円柱群内にはあま り進入しない.なお,本実験において,これらの結果は高水 敷高さDに影響を受けていない.

図-5に非定常流の場合の魚の分布図を示す.複断面非定常 流れ場合,流量の変化は実河川ではごく自然のことであり,

この実験でも流量を増加させ減少させた.

結果的には,流速の急激な増加に対しては,少し戻される が,壁方向などに動いて遡上を始める.一方,減水時に極端 な動きはせず.そのままその場に滞留する.

0% 20% 40% 60% 80% 100%

後半Q=5(l/s) 中間Q=28(l/s) 前半Q=5(l/s)

上流部 中流部 下流部 高水敷

a) Run1-1-3

0% 20% 40% 60% 80% 100%

後半Q=5(l/s) 中間Q=28(l/s) 前半Q=5(l/s)

上流部 中流部 下流部 高水敷

b) Run2-1-3

0% 20% 40% 60% 80% 100%

後半Q=4.5(l/s) 中間Q=25(l/s) 前半Q=4.5(l/s)

上流部 中流部 下流部 高水敷

c) Run3-1-3

図-5 非定常流の場合の魚の分布図

複断面において,二次流が生じており,乱れが発生してい るため,ウグイが円柱群内に進入した.

4.おわりに

実験室での動きが実際の河川での動きとどのように対応す るのかの検証が要求されるところであるが、本実験の結果は 実際の場での動きを示唆していると考えている。

参考文献

1) 青木宗之,染井香栄,小原 誠,吉野 隆,福井吉孝:間伐材を 用いた杭水制の水理機能と魚の生息について,環境システム研究 論文集,第37巻,pp.19-28, 2009

2) 禰津家久,鬼束幸樹,相良幸輝,池谷和哉:かぶり水深の変化が 複断面開水路流れの組織渦に及ぼす影響に関する研究,土木学会 論文集,No.649/-51, pp.1-15, 2000

0 2 4 6 8 1 0 1 2 1 4

1 8 2 0 2 2 2 4 2 6 2 8 3 0 3 2 3 4 3 6 3 8 4 0 4 2

z(cm)

y(cm)

t Q

5.0(l/s) 5.0(l/s) 28.0(l/s)

15(min)

15(min)

15(min)

土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

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参照

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