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火山灰質土の相対密度による透水性能評価

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Academic year: 2022

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火山灰質土の相対密度による透水性能評価

株式会社四国ボーリング工業    正会員  ○木村  充宏 上山試錐工業株式会社      正会員    中田  隆文 宮浦興業株式会社      正会員    宮浦  征宏

1.はじめに 

これまで筆者らは,火山灰質地盤の透水係数は,砂〜礫 などと同等に比較的高い透水性を有することを報告して

いる1)〜3).本論文では,火山灰質土の締固めエネルギーの

変化に着目して,火山灰質土の相対密度の変化による透水 係数の評価を行っている.

2.火山灰質土の物理的特徴 

対象とした火山灰質土は,札幌市南区駒岡に堆積する支 笏火砕流堆積物(Spfl)である.本論文では,駒岡火山灰土 と称する.表‑1に火山灰質土の物理的性質,図‑1には粒 径加積曲線を示す.表‑1 には,礫の最小密度・最大密度 試験(JGS 0162)の結果も示している.粒度試験による初期 細粒分含有率は,Fci=25.4%である. 

3.実施した試験 

  本研究では駒岡火山灰土の締固め試験及び透水試験を 実施した.締固め試験は試料の乾燥,粒子破砕の影響が大 きいため非乾燥法,非繰り返し法で行っている4).    透水試験は,締固め試験後にJIS A 1218に規定される変 水位型の試験を実施した.供試体は締固めエネルギーを7 段階に変化させて作成した(表‑2).本研究では,JGS0771 に規定される突固めによる土の締固め試験方法における A-b法(ランマー2.5kg,打撃回数25回/層,3層)の締固 めエネルギーE を100%と定義している.また,各締固め エネルギーを与えた場合の乾燥密度を締固め相対密度と 定義して式‑(1)により評価している.さらに,透水試験終 了後にはふるいによる粒度試験を実施し,細粒分の変化を 確認している. 

Drcd100d− ρd0)

ρdd100− ρd0)× 100  − (1)   4.試験結果と考察 

①締固め試験結果 

図‑2 には E=100%における締固め試験結果及びポータ

表‑1  対象地盤の物性値 ρs g/cm3 2.53 D50 mm 0.32

Fc % 25.4

ρdmax g/cm3 0.948 ρdmin g/cm3 0.692

1E-30 0.01 0.1 1 10 100

20 40 60 80 100

粒径 (mm)

通過百分(%)

  図‑1  試料の粒径加積曲線

表‑2  締固めエネルギーと打撃回数の対応表

締固めエネルギ-,E(%) 0 40 60 100 200 300 400 打撃回数 (回/層) 0 10 15 25 50 75 100

  図‑2  締固め試験結果 

キーワード  火山灰質土,粒子破砕,透水係数,相対密度

連絡先  〒779-3742  徳島県美馬市脇町字西赤谷1063番地の1  株式会社四国ボーリング工業  TEL 0883-52-1621 Wopt=42.0%

ρdmax=1.07g/cm3 土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

‑267‑

Ⅲ‑134

(2)

ブルコーン貫入試験結果を示している.最適含水比woptは42.0%,

最大乾燥密度ρdmaxは1.07g/cm3である.また,最適含水比以上 ではコーン指数が急激に低下するため,トラフィカビリティ確 保にシビアな材料であるといえる.

②締固めエネルギーE の変化に伴うρdと細粒分の関係 

図‑3には,Eと供試体の相対密度を示す.相対密度は,Eの 増大に伴い急激に増加するものの,Eが100%を超えるとその増 加量は低下し,概ね110%程度に収束する. 

  図‑4には締固めエネルギーEと細粒分増加量∆Fcの関係を示 す.E=60%までは細粒分の増加量は小さいものの,60%を境界 に増加に転じている.その後,∆Fcは4%程度で収束する. 

図‑3,図‑4からE=60%以下の領域では,破砕はわずかである が,粒子の充填による密度増加が顕著となり,それ以降は粒子 破砕に伴う細粒分増加が進行していると推測される.

③締固めエネルギーE の変化に伴う透水係数の値 

図‑5には締固めエネルギーEと透水係数の関係を示す.透水 係数は,Eの増加に伴って減少し,特にEが100%までは低下 が著しいものの,200%以上となると1×10-8m/secオーダーレベ ルまで低下して,その後収束傾向がみられる.

図‑6には,相対密度と透水係数との関係を示している.図中 には,原位置透水試験結果 5)も併記している.図から,火山灰 質土の透水性能は,相対密度が上昇すると著しく減少する.こ こから,火山灰質土の透水性能と相対密度との密接な関係が推 測される.

また,同程度の相対密度,細粒分含有率において原位置透水 試験の値が101m/secオーダー程度高い結果となった.これは締 固めエネルギーの増加に伴う破砕による粒子間構造の密実化,

原位置周辺地盤の相対密度,細粒分含有率の乱れに起因するも のと考察している.

5.まとめ 

①締固めエネルギーの増加に伴い,相対密度はE=100%までは 顕著に上昇し,その後収束する.粒子破砕はE=60%以下ではわ ずかであるが,E=100%以上で増加して徐々に収束する.

②締固めエネルギーの上昇に伴う相対密度の増加により,透水 係数は減少傾向を示す.また,室内試験結果は原位置透水試験 の結果と比較して101 m/secオーダー程度低い値を示す. 

【参考文献】1)中田ら:雪堆積場の建設を目的とした火山灰地盤の透水 性能評価,地盤環境および防災における地域資源の活用に関するシンポジ

ウム,地盤工学会九州支部,2010.,2)木村ら:火山灰地盤の透水性に及ぼす細粒分の影響,第45回地盤工学研究発表会講演集, 2010., 3)宮浦ら:細粒分含有量を考慮した火山灰地盤の透水係数の合理的判定手法,土木学会年次学術講演会講演概要集,Vol.65, 2010., 4) 北海道火山灰質土の性質と利用に関する研究委員会:実務家のための火山灰質土,地盤工学会北海道支部,2010.,5)木村ら:火山灰質 地盤の原位置透水係数の細粒分含有率依存性,土木学会年次学術講演会講演概要集,Vol.66,2011.

0 50 100 150 200 250 300 350 400

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120

相対密度,Drc (%)

締固めエネルギー,E (%)

図‑3  締固めエネルギーと相対密度の関係

0 100 200 300 400

0 1 2 3 4 5

締固めエネルギー,E (%)

細粒分増加量 ,ΔFc (%)

図‑4  締固めエネルギーと細粒分増加量の関係

0 100 200 300 400

1E-7 1E-6 1E-5

締固めエネルギー,E (%)

透水係数,k (m/sec)

急激に低下

図‑5  締固めエネルギーと透水係数の関係

0 20 40 60 80 100 120

1E-7 1E-6 1E-5 1E-4

透水係数,k(m/sec)

相対密度,Drc(% 室内透水試験 (Fc=25.4~29.6%)

原位置透水試験結果の範囲(Fc=22.3~29.7%)

図‑6  相対密度と透水係数の関係 土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

‑268‑

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参照

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