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シアル酸、 KDO 、及び KDN アナログと それ らのケ トシ ド誘導体の合成

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(1)

シアル酸、 KDO 、及び KDN アナログと それ らのケ トシ ド誘導体の合成

(課 題 番 号

06651014)

平成

6

7

年度科学研究費補助金 (一般研究

C)

研究成果報告書

平 成

8

3

研 究 代 表 者 佐 藤 憲 一 (神 奈 川 大 学 工 学 部 教 授 )

(2)

は しか さ

木冊 子 は、平 成6、 7年 度 の2年 間、 文 部 省科 学研 究費補 助金 (一 般研 究

C)

を受 けて行 った 「シアル酸、 KDO、及 び KDNアナ ログ とそれ らのケ トシ ド誘 導体 の合成 」 と題 す る研 究 の報告 書で あ る。

当初 の研 究 の 目的 と して は、以 下 の よ うな主 旨を 申請 した。す な わ ち、天然 に は形 式上 、糖 の還 元末 端 に ピル ビン酸が縮合 した3‑デオ キ シ‑2‑ウ ロソ ン酸構 造 を有 す る糖 の一群 、 シアル 酸、 3‑デオ キ シーD‑マ ンノー2‑オ クツ ロソ ン酸 (K D O)お よび 3‑デオキ シ‑D‑グ リセ ロ‑D‑ガ ラ ク ト 2‑ノヌ ロソ ン酸 (KDN) な どの酸性 糖 が 存在 して お り、 ケ トシ ド結 合 を介 して 糖 タ ンパ ク質 や糖 脂質 のヘ テ ロオ リゴ糖鎖 の非還 元末 端 に結合 して い るこれ らの糖 の生物 学 的意 義 や構 造 の 種 族特異 性 に興 味が持 たれ、注 目を集 めて い る。 この こ とか ら、 それ らの機 能 を 解 明す る上 で研 究道具 とな る上 記 ウ ロソ ン酸類 及 び それ らの アナ ログの大 量合成 可 能 な、かつ一 般 性 の高 い化 学合成手 法 の 確立 が望 まれ て い る。 そ の点 に関 して 申 請者 らは、 ア ミノ酸合成一において 多用 され るア ミノ型Horner‑wittig試 薬 を用 い る 増炭 法 か 、反 応 条件 を積極 的 に改 良す る こ とに よ り、ケ トカル ボ ン酸類 の合成 に も有効 で あ る こ とを見 出 した こ とか ら、 上 記試 薬 の ア ミノ基 の保 護基 を必 要 に 応 じて換 え る こ とに よ り、幅広 い適 用範 囲 を持 つ実 用性 の高 い ウ ロソ ン酸 類 の新 規 合成 法 にな る と考 え た。 そ こで、 1)そ の手 法 を 用 いて 、 シアル 酸、 KDO、 K

DNを は じめ、それ らのアナ ログが簡便 かつ大量合成で き るこ とを明 らかにす る。

2)上 記化 合物 のケ トシ ド化 (グ リコシ ド化 ) に つ いて検 討 し、反 応 性 の差 を 明 らか にす る。 3)生 物 的 に重要 な機 能 を 果 た して い るポ リシアル 酸 の 合 成 が 困 難 な理 由の一 つ と して 、 アセ トア ミ ド基 の 存在 が考 え られ る こ とか ら、 それ を証 明 す るため にア セ トア ミ ド基 を ヒ ドロキ シル基 で置 換 した ポ リKDNの合成 を検 討 す る。以上 の 点 にそ って 出来 る限 り研 究 を進 め る とい うこ とで あ った0

結 果 と して、1) につ いて は 、 シアル 酸、 KD O、お よび KDNの 誘導体 な ら びにアナ ログ類 が比較 的効 率 良 く合成 で きた こ とか ら、本手 法が ウ ロソ ン酸 類 の 合成 において 幅広 い適用範 囲を持 つ新 規 な、かつ一 般性 の高 い方 法 で あ るこ と を 明 らか にす る こ とが で きた。 しか し、2)、3)につ いて は十分 な検 討 をす るに は 至 らず 、今後 の研 究課 題 と して残 って しま った。従 って、 当該分 野 にお け る研 究 活動 が各地 で 活発 に展 開 され て い る現状 を考 え る と、 申請者 らの研 究 も一 層 加 速 され るべ き状 況 で あ る と判 断 して い る。

最後 に、本 小冊 子 が関係 各位 の研 究 に少 しで もお役 に立て ば、幸 甚で あ る。

平 成 8年 3月

‑I‑

(3)

研 究 組 織

研 究代 表者 : 佐 藤 憲一 (神奈 川大学工 学部教 授 )

JTJr・究経

i 9 1 ' ・

平 成6年 度 800千 円 平 成7年 度 400千 円 計 1

,200

千 円

研 究発 表

(1)学会 誌 等

佐 藤憲一 、 「糖鎖合成 におけ る重要 ユニ ッ トの簡便 な合成 法 の開発 」 、 化学工 業、45(6),58‑66(1994).

K.Sato,T.Miyata,L Tanai,andY.Yonezawa,TIConvenient S)′nthcses()f3‑Deoxy‑D‑mat"nt)‑2‑octulosonicAcid(KDO) and3‑

Dcox)D‑gJycer(,‑D‑gaJILCl()‑2‑nonulosonicAcid(KDN) Derivatives from 1)‑Mann()seTl,Chem.Lell.,129‑132(1994).

(2) 口頭発 表

佐 藤憲一 、 良知 照、宮 田智 行 、関 博 、七海 裕 、 「糖鎖合 成 に お け る重要 ユニ ッ トの簡便 な合成 法」 、第65回有機 合成 シ ンポ ジウム、 平 成 6年 6月 (東京 ).

K.Sato,A.Yoshitl)mO,T.Miyata,H.Seki,H.Nanauml,andY.

lshid。,一一Mcth。dsforSynthesizingValuableSugarUnitsinBi()1°glCally ActjvcSugarChainslr,XVI【thInternationalCarbohydrateSymposium,

1()94,July(Canada)・

佐 藤憲一 、 田内郁 男 、鈴 木正 智 、 「安 定 同位体 標 識 〃 ‑ ア セ チ ル ノ イ ラ ミン酸 の合成研究」 、 日本 化 学会 第7()春 季年 会、平 成8年 3月 (東京 ).

(4)

目次

序 論

第 1茸 ア ミノ型H()rner‑Wittig試 薬 を用 い た3‑Deoxy‑a D‑manD0‑

210CtuLosonicとICid(KDO)、3‑Deoxy‑D‑gJyccT()‑D‑gaJacJ()‑2‑

n(川ul。S()nicacid(KDN)、 及 び〃‑Ace【ylneuraminicacid(シアル

酸、NANA)の 新 規 合 成 法 第1節 緒 言

第2節 ア ミノ型Horner‑Wittig試 薬 の 簡 便 な合 成

第3節 〃‑Benzyloxycarbonyl(Z)型 試 薬 を 用 い たKDO及 びKDN誘 導 体 の合 成

第4節 N‑(‑Butoxycarbonyl(Boc)型 試 薬 を用 い たKDO及 びKDN誘 導 体 の 合 成 と〃‑Z型 試 薬 を 用 い た方 法 との 比 較 検 討

第5節 シアル 酸 な らび に他 の ウ ロ ソ ン酸 ア ナ ログ合 成 へ の 応 用 第6節 ま とめ

2

章 上 記 試 薬 を 用 い た5

1 e J u 1 ‑ KDN

の新 規 合 成 法 の検 討 と安 定 同位 体 標 識 シアル 酸 合 成 へ の応 用

第1節 緒 言

第2節 5

1 e J u' ‑ KDN

な らび に安 定 同位 体 標 識 シアル 酸 の 合 成 計 画 第3節

5‑ e pJ ' ‑ KDN

な らび に安 定 同位 体 標 識 シアル 酸 の 合 成 検 討 第4節 ま とめ

第 3章 オ キ サ ロ酢 酸 増 炭 法 を用 い た5,7

‑ e pl ' ‑ KDN

の新 規 合 成 法 の 検 討

第1節 緒 言

第2節

5, 7‑ e / u l ‑ KDN

の合 成 検 討 第 3節 ま とめ

総 括 実 験 の 部 参 考 文 献

‑Ⅲ‑

7 1()

12

17 22 28

0ノ131つん334 つん30ノnU1t7444一r)5日=朽

(5)

序論

天然 には形 式上 、ヘ キ ソー ス類 にケ トカル ボ ン酸 部分 を増炭 した構 造 を有 す る 糖 の一 群 が存在 す る。酸性 糖 と して知 られ て い る これ らは、近 年 、機 器 分 析 の 発 展 に よ り、多 くの化 学者 に よ って研 究 さ れ 、動物 界 、細 菌類 な どに広 く存 在 す る

こ とが 明 らか とな り、生体 内にお け る これ ら糖類 の役 割 が注 目されて い る。 え ば、 Fig.1に 示 した3‑Deoxy‑tx‑D‑mann,,2‑0ctulosonicacid(KDO)は、 1958年 、 p.M d''mna." erugJ'D''Seか ら リン酸塩 の で単 離 され た8炭糖1)であ り この発 見

tH) OFl

()H

H() ()tl

C('QfJ E10Llこ

flo

SIT)eoxy‑a‑D・mannO・2‑0ctulosoniC 3・DcoxyD‑glycero‑D‑gaLacE0‑2‑

3Cid(ⅩDO)(I) nOnulosonicacid(XDN)(2)

天然に存在す るウロソン敢 Fig.1

ft() OH OH

HO

N‑ACetylnetJram)'Jlicacid (NANA)(3)

以後、KDOは現 在知 られ て い るグ ラム陰性菌 のLipopolysaccharide(LPS)部分 や 、 酸性 のexolipopolysaccharide(K‑antigen)に特 異 的 に 存在 して い る糖 の 一 つ で あ る ことが 明 らか とされ て い る2)0Fig.2に代 表 的なLipopolysaccharideの構 造 を示 す 。 Fig,2に示す よ うにLPSは、LipidA、Coreoligosaccharide、0‑antigenの3構 成 要素

D a ' . G D I k ̲ G " . A r E a ̲ 帆. a ' D 。 ' L G " L a

P

̲ F H e

Outercore Tnnet・core 菌体外 ・‑ .‑ SaLmonetLaOphL‑muriumLPS

Fig・2

で成 り立 って い る。LipidAの構造 は、近縁 の菌 で は‑様 な構 造 を取 って い るが 、 0‑antigen、CorcoLigosaccharidcの構 造 は血 液型 決定 に利用 され る程 、多種 多様 で あ る。 1950年代、0.Westhalは、LPSの活性 本 体 は糖 脂質部分 で あ るLipidAで あ るこ とを報 告 したい)。 また、 このLipidAとKDOが結合す る こ とに より免 疫 ア ジュ バ ン ト活 性 、抗 腫癌 活 性 な どが増 大 す る5)こ とや 、 マ ク ロ フ ァー ジ依 存 性 のB リ

ート

(6)

ンパ球 活性 化 において、LPS中のKDO部分 か 、マ ク ロフ ァー ジに結 合す る際の 認 識部位 にな って い る6)とい うこ と な どが明 らか に されて い る. さ らに、 グラム 陰 性菌 の研究 グル ープか らも、 1)KDOの 合成 酵素 の欠損株 が 生息で きな い7)、 2)噂 乳類細胞 にKDOが 存在 しな い8)、 3)〟‑KDOの2‑De()xy誘 導体 が 、 グ ラム 陰性菌 に 有効 な新規合成 医薬 と しての可 能性 が あ る9)、 な どの報告 が な され、 KDOに対 す る 関 心 が 高 ま っ て い る 。 ま た、 3‑Deoxy‑D‑gJycerOID‑galacE0‑2‑nonulosonic acid(KDN)(Fig.1)は、 1986年 、井 上 らに よ りニ ジマ スの卵 か ら単 離構造 決定 さ れ た新 規 な シアル酸類縁体 であ る10)0 KDNは、 この ほか に、晴乳類 に も存在 す る で あ ろ うことが示唆 されて い る ものの、 先 に述べ た一部 のサケ科 の卵 や、細 菌 で あ るKJebsJ'eJJaazaenaeSer''lypeK4のPolysaccharide部 分 か ら発 見 されて い る11)

だけで あ る。Fig・3にニ ジマス の 卵 由来で あ る、 代 表 的 なPolysialoglycoprotein (PSGP)を示す。 Fig・3に示す よ うにPSGPは〃‑glycolylneuraminicacid(NeuGc)

1) sR=Hho… unit KDN\

2) trisacL:haridecoreullit R=GaLPL

3) tetmSaCCtliLrideCoreunit R=(;aLNAcPJ3GaLPL

4)bcosecontaininJ;unit

R=FucaL‑3(;aLNAcPJ3GatPL

HO

PoLysL'aLoglycoproteL'n(PSGP)

1KDNreSidueP̲.50ligosialylchain

C等 nTlBe ; 0嶺 oH

HO I NeuGc 31 10ngcoreunit

R=GqtNACPI4GiaLNAcP" GALPL 1

Fig.3

で構 成 され 、 そ の非 還 元 末端 にKDNが存 在 して い る。 シア ル 酸類 縁 体 で あ る KDNは、N残 基 を 有 して いない こ とか ら、 シアル 酸 のN残基 を認 識 して取 り込 む こ とが知 られて い るバ クテ リアな どの シア リダーゼ 阻書剤 にな るので はな いか と い う報告12)や、 ご く最近 で は、 ヒメマス の卵 のPSGPか ら9‑0‑AcetyトKDN誘導 体 も発 見 されて お り、アセチル化 シアル酸 残基 が あ る種 の悪性形質 転換細胞特異 的 抗原 と して も認識 されてい る とい う報 告 lりもあ ることか ら、注 目が集 ま って い る。

また、 シアル酸 は、 1936年、Blix14)らに よ って牛 の唾 液腺 ムチ ンか ら単 離 さ れ た9炭糖で あ り、糖 タ ンパ ク質 、糖脂質 、 ム コ多 糖 、な どの 構成成分 と して 、 主

‑2‑

(7)

に動物 界 に広 く存在 してい る。 さ らに、 大腸 菌か ら発見 され た コ ロ ミン酸 の構 成 成分 と して も知 られ てい る。 シアル酸 は 、生体 内において細 胞表層糖鎖 の非還 元 末端等 に存在 し、細 胞の分化 、癌化 、老 化 な どの生 命現象 に深 く関与 してい る と 考 え られて い る15)。 また、 最近 の報告で は、 イ ンフル エ ンザ ウイル スの表面 に 存 在す る赤血球 凝集 素(ヘマグル チ ニ ン)が、細胞 表層 に存在す る シアル酸 を特異 的 に認識 して結 合す ることか ら、ヘ マ グル テニ ンの レセ プ ター(受 容体)と して機 能 して い るこ とが 明 らか とな って い る16・17)O この様 な こ とか ら、細 胞表層 での認 識 において糖鎖 の末端 に存在 す るシアル酸 が重要 な役 割 を担 って い るこ とか示 唆 さ れて い るo この認謡いこ関 して、近年 、細 胞表層 に存在 す る糖鎖 が、糖鎖 とタ ンパ

ク質 、 あ る い は 糖 鎖 と糖 鎖 で 相 互 作 用 して い る こ とが 明 らか とな っ て い る

1 8 ) ( Fi g. 4)

. 箱 守 ら1

9

‑0)' は 細 胞 表 層 糖 鎖 中 の ル イ ス

X( LE I ,Ga l

β1

‑ 4GI c NAc

(Fuc(2

1 ‑ 3) )

とい う

3

糖構造が

Le ' 1 ‑ L

e'1間で相互作用 して い ることや、 シアル酸含 有

片親 ・tt鎖 間相互作 用の例 LBX(ssEA・1)‑LeX間の相互作用

̲‑‑i=;i̲̲i ‑;;‑

̲

II・

I ‑ ̲ :̲ :

: ̲

L

精良 ‑タ ンパ ク午 rg相互作用の シア リLLX(シア リルSSEA‑1) E‑セ レクチ ンとの烏 合

Fi g . 4

糖鎖 につ いて も、 あ る特定 の糖鎖 と相互 作 用 して い ることを報告 して い る。 こ の ことか らもシアル酸 か認識 に何 らかの形 で関与 して い るこ とが考 え られ、 シア ル 酸 自身 の持 つ機 能 につ いて興 味が持 たれて い る。 しか しな が ら、KDO、KDNや シアル酸な どの ウ ロソ ン酸 は、天然 で は 複雑 な糖鎖 中に微量 しか存在 しな い こ と か ら、それ らの持つ機能 を詳細 に解 明す るため には、アナ ログ合成 を も可能 とす

る、有機化 学 的な合成法の確立 か望 まれ てい る。

現在 まで に、 これ らの合成法 と して有機 化学 的な手法 が数 多 く報告 されて い る 2L)。 これ ら手法 は、基本 的 には不斉炭素 を もつ糖 に対 して炭素鎖 を伸長 して い く

もので あ り、2つ に大別 され る。

‑3‑

(8)

H

(,H

H

. #

oOH"

0

tlOOC人 cooTI I)NiIOHaq.

2)HgClZ

0 HOOC人 cooH

H OO H

HO

HO OH

O

H

KDN

oⅠIKDO

1)無保護の糖(炭素数5‑6のアル ドース)に対 し、水溶液 中でオキサ ロ酢酸等を用 い て炭素3個分増炭 して 目的物へ導 く方法22‑24)0

2)保護 された糖 に対 して様 々な有機反応 を用 いて増炭反応を行 い炭素鎖 を伸長 し、

保護基 を除去 して ウロソン酸へ変換す る手法25129)。

前者の例 と して小倉 ら22)は 、マ ンノースまたはアラ ビノース とオ キサ ロ酢酸を ア ル カ リ条件 下でアル ドール縮合 させ、次 いで塩化ニ ッケルを用いて脱炭酸す る こ とで効 率 良 くKDNKDOが合 成で き ることを報告 して いる(Scheme1)。 この 手 法は非常 に優 れた ものであ るが、欠点 と して新 たに不斉炭素 が生 じるため、立 体 の コン トロールが困難であ り、そのエ ピマーを 目的物 と分離す るの も難 しいO ま た、原料 とす る糖の水溶液 中での非環状 構造を とる割合 に強 く影響 され るため 、 アナ ログ等の合成 を も含め た一般性の高 い手法 とは言 い難 い点が ある。一方後 者 は、多少工程数 は長 くな る ものの、立体 選択 的に炭素鎖を伸長 してい くため、 天 然型、非天然型を問わず、様 々な ウロソ ン酸が合成可能である。 ここで用い られ る増炭試 薬 は、Wittigイ リ ド25‑27)、ニ トロメタ ン28)、 ジクロ ロ酢酸 メ チル29)な ど 多種多様で あ る。 これ に関 連 して、 当研究室30)では、 ア ミノ酸合成 に良 く用 い ら れ るア ミノ型 のHorner‑Wittig試薬 を用 いた反応 において、ケ トカル ボ ン酸 が副生 す ることに着 目し、 これを糖 に適用 し、 積極 的に条件検討す るこ とで幅広 い適 用 範囲を持つ ウ ロソン酸類 の新規合成法が確立で き ると考 えた(Scbeme2)。 この 手 法は、原料 とす る糖の性質 に左右 されな い事 か ら、様 々なアナ ログ合成 に有 用 で あると考え られ る。そ こで本研 究では、 このア ミノ型 のHorner‑Wittig試薬 を用 い て ウロソン酸(1)〜(3)をは じめ、 それ らのアナ ログの新規合成 につ いて検討す る ことと した。 また、上記知見を基 にアナ ログの一つで ある5位 のみ遊離 な5‑epJ'

‑4‑

(9)

y cHO . Me(言 と=L"iEHt̲,左.

‑空 一 一

卜, ‑

y cooM e

R NH̲R■

R=Protectivegroups R●=Z

R'=TIot:

[妻m cooMe]

:C。。Me

Ulo50nicacid

Scheme2

KDNの新 規合成 法 につ いて検討す る とと もに、 それ を用 いて シアル酸の 詳細 な 機能解 明や糖鎖一糖鎖 間相互作用の解 明に有用な化学的道具 にな ると考え られ る、

シアル酸 アナ ログである安定 同位体標識〃‑アセチル ノイ ラ ミン酸の合成 につ いて も検討す るこ とと した。

一方、上述 した よ うにKDNとシアル酸の5位官能 基 の違 いが持つ 生物学的意義 に 興味が持 たれ、その解 明のため5位 のアナ ログ合成 も盛んである。 シアル酸 の5位 アナ ログを 合成す る方法 として 、 シアル 酸の5位 のアセ トア ミ ド基 を直接変換 さ せ る方法が知 られている。 しか し、収率 、反応条件 に課題 を残 してお り、 また何 よ りも希少価値 の高い シアル酸 を原料 と して用 いてい ること自体 に難 点が ある。

また、 1992年 、芝 ら31)は、 D‑グル コースか ら合成 した51ePL'‑KDNに対 し、 SN2反 転を利用す ることによ りシアル酸 を合成 している(SchemC3). しか しなが ら、 重

H

(,H I

I)(lueo.ie

OMc

HO

SlePiKDN α.3%)

HO Olt

' '

''oMe

X Y

X

=

H.Y

=

OHb.10%)

X=OH,Y=H(y.5%) (A)1)()xalaCCtimcid.10M NIAOII・2)NiC12,Dowex(H◆).3)Meow,Dowex(HT).

OMe

S・epiKI)N

SN2lJIYer5ion

COOMe

OH

N・AcetylneLJraminiCacid即eLJSAc)

+ others

Scheme3

要 中間体 とな る51CJu'‑KDNの収率が低 く、 ま た数多 く副生成物 が生 じるとい った 問題 を残 して い る。それは、 D‑グル コー スが非環状構造 を取 りに くいため反応 性 が悪 く、多 くの反応時間を要す るか らで あるoそ こで、 D‑グル コースよ りも非 環

5

(10)

状構 造 を取 りやす いD‑ガ ラク トー スを用 いれば、容 易 に反応 が進行 す る と推 測 で きる。 また、 この手 法のSN2反 転 にのみ 着 目す る と、 芝 らが用 い た ア ジ ドの他 に 各種求核種 を用い ることで あ らゆ る種類 の置換基 を導入 す るこ とがで きれば、様 々 な シアル 酸 、KDNア ナ ログの 合成 が可 能 にな る と考 え られ る。D‑ガ ラ ク トー ス を用 いた場合、5,7‑epi‑KDNが生成 され る と考 え られ るが、 この5,7‑epJ'‑KDNの7

忘 ヨ

H (m r)Galactose

Eg :・'・ .'=・: 5,7epiKDN

SN2Inversion

5 ‑ e p t ' ‑ K D N

H O O H

H N ( W "

cooH

7epL'KDN HO OII OH

OH

XDNaJldloglle

SynthetL'cstrategyofRDNanaloguejTrom D‑GaLactose Scheme4

位 をSN2反 転す れ ば5‑epL'‑KDN、5位 を反転 すれ ば7‑epJ'‑KDNが得 られ る(Scheme 4)。 そ こで 、 ア ミノ型Horner‑Wittig試薬 を用 い るウ ロソ ン酸合成 法 とは別 に、D

‑ガ ラク トー ス とオ キ サ ロ酢酸 を 用 いて、様 々な シアル 酸 、KDNアナ ログが合 成 可能 とな る5,7‑eJu'‑KDNの新 規合成法 につ いて も検討す るこ とと した.

‑6‑

(11)

第 1章 ア ミノ型Horner‑Wi【tig試 薬を用 いた3‑Deoxy‑α‑D‑manJ70‑2‑octulosonic acid(KDO)、 3lDeoxy‑D‑gJyL・eT(,‑D‑gaJaL・lt,‑2‑nonulosonic acid(KDN)、 お よ び

〟‑Acetylneuraminicacid(シアル酸,NANA)の新規合成 法 第1節 緒 言

序論 で も述 べ た よ うに、ケ トカル ボ ン酸構造を有 す る化合物 の合成 法 につ い て は、今 まで に数 多 く報告 されて い るが 2‑m )、 基本 的 には不 斉炭素 を持 つ 糖 に 対 して炭素骨格 を伸長 してい く方法が一般 的で あ る。 Hersbergら〕8)は、 KDO合成 の 際 、アル カ リ存在 下 にお いて ピル ビン酸(オ キサ ロ酢酸)とマ ンノースの縮合 に よ り、低 収率 な が ら目的物 を得 る こ とに成功 してい る(Schemel参照 )。 ま た、 小 倉 らは、 この手 法 を改 良 し、 KDO、 KDNな どの ウ ロソ ン酸類 の化合物 が効率 よ く得 られ るこ とを報告 して い る22)O この手法 は安価 な 原料 を用 い、大量 に合成 可 能で あ るこ とか ら、化学 的手法 と しては優 れた手法 と考 え られ る。 しか しなが ら、

合成 した糖 を 出発原料 に し、 さ らに部分 修飾 した糖 に変換す るには多段 階の工 程 数 を要 さな ければな らない。 また、水酸 基遊離 な状 態で得 られ るため、単 離、 精 製 も難 しい面 が あ る。

一方 、 あ らか じめ保護 した糖 に対 し、 炭素 骨格 を増炭 してい く方法 も多 く行 わ れて い る。楠本39)、 堀戸40)らは、イ ソプ ロ ピ リデ ンマ ンノ‑ スを 出発原料 に し、

それぞ れの水 酸基が 区別可 能 なIsopKDOの合成 に成功 して い る(Scheme5)。 ま

XXI;)CHICOICH3

︺0 C

D̲Mann。se

メ:

COOMe T:吐こ::I:‥

:̲:。‥}

Scheme5

た、N‑アセチ ル ノイ ラ ミン酸41)やKDNの エ ステ ル体 の合成 も多 く報 告42)され て い る。 しか しなが ら、あ らか じめ保護 した糖 を 出発 原料 に用 いた場合 、増 炭試 薬

‑7‑

(12)

の調製 、 また反応 の際 に生成す るカルバ ニオ ンが不安定 なため極低 温下での反 応 が多 く、収率 の 問題 や大量合成 には向い ていない場合 か多 い。 ここで、上述 した これ ら3種 の 糖(Fig.5)の構造 に着 目す る と、 これ ら3種の糖 はそれ ぞれ マ ンノ ー ス、 または マ ンノサ ミン部分 と、ケ トカル ボ ン酸 部分 の2つ に分 け る ことが可 能 であ る。著者 らは四角で囲ん だケ トカル ボ ン酸部分 に着 目 し、 この部分が効率 よ く合成 で きれ ば、短工程で これ ら糖類 の 合成 がで き る と考 え、種 々文献検 索 した 結果、 H()rner‑W ittig反 応 が 最 も良い と考 え た。 Horner‑W itig反 応 は 、 そ の試 薬

OH

HO

cooTI Hot;tG

HO

3DeoxyalJmanno‑2ot:tulosonic 3DeoxyD‑glycero‑D・galacE0‑2 acid(耳DOH l) rIOnulosorlicacid(KDN)(2)

0Ⅰ

HO

NIAcetyLneut'aminicacid (NANA)(3)

Fig.5

が単 に安 定化 され たカル ボこル と して作 用す るため、温和 な条件 下で進行 す る反 応 と して既 に知 られてい る。実 際 に、 HorneトW iHig試薬 を用 いてのケ トカル ボ ン 酸類 の合成 も幾つ か報告 されてい る43)が 、試 薬 の調製 、収率 に問題 が あ った。 最 近、 Schmidtらは、 デ ヒ ドロア ミノ酸合 成 の 際、 ア ミノ型HorneトW ittig試 薬(α) を用い効率 よ く目的物 を 得 て い る(Scheme白)。一 方 、 辛 らもこの試薬 を用 い 同 様 にア ミノ酸合成 を行 ってお り、 その際、 ケ トカル ボ ン酸化合物 が副生成物 と して

Base

ぞ 転 Z .

Scheme6

‑8‑

HO

。。。

Dehydroaminoacid

(13)

得 られ るこ と も報 告44)して い る。 この手法を糖 アル デ ヒ ドに適用 し、条件 を改 良 すれ ば、室 温 下で簡便 にケ トカル ボ ン酸 部分 の合成 が可能 とな ることか ら、効 率 的な合成法 か確 立 で きると考 え られ る. また、Scheme6の よ うな反応 が生体 内 に おいて起 きて い るこ とも報 告45)されて お り、 この反応 は、生合成過程 に近 い もの で あ るので非常 に有用性 の高 い もので あ る と思 われ る。 ウロソ ン酸類 の合成 法 と してSchmidtら27)は、 H()rner‑Wittig反応 を用 いて8炭糖誘導体 へ導 き、脱保 護 す る

C f I O

+ [B。。。

C i p . h J

BrO

一石

雪断c o o H

Scheme7

ことでKDO誘 導体 の 合成 に成 功 して い る(Scheme7)が、 これ に対 して ア ミノ型 H。rner‑Wit【ig試薬 を用 いた場合 の メ リッ トと して は、 ア ミノ基 の保護基 を必 要 に 応 じて変 え る こ とに よ り幅広 い反応 に適 用で きるこ とで あ る。 そ こで著者 らは 、 ア ミノ酸合成 に多用 され るア ミノ型Horner‑Wittig試薬 を用 い、各種 ウ ロソ ン酸 な らびにそれ らのアナ ログ合成 を行 い、有用 な知 見が得 られたので以下 に述 べ る。

‑9‑

(14)

第2節 ア ミノ型Horner‑Wjttig試 薬 の簡便 な合成

酒石酸 を用 いた簡便 なMethy12‑benzyloxycarbonylami no12‑(diethoxyphosph

oryl)acetate試薬 の合成

schmidtらの報 告46)してい る試薬(A)(Fig.6)の合成 法 は、高価 な グ リオキ シル 酸 (CHO‑COOH)を用 い、硫酸存在 下で の長 時間の還 流が必要 な こ とか ら、効 率 的 な方法 とは言 い難 い。そ こで本節で は、 よ り簡便 な合成 が可 能 と考 え検 討 を行 っ

Z

‥ く ヨ

ーCH2‑0‑庁‑

0 Fig.6

た。Schmidtらの試薬 の 合成 法 は 、簡単 に考 え た場 合 、 カル バ ミン酸 とグ リオ キ シル酸 との反応 が ポイ ン トにな る と考 え られ る(Schemes)O著者 らは、 グ リオキ

K e y R e a c t i o

n

OHC‑COOH + Z‑NH2

OHl Jl‑C‑COOK

L NH‑Z Scheme8

シル酸が 酒石酸 か ら合 成で き るこ と と同時 に、 MCエ ステ ル化 が 行 え る こ とに着 目 し合成 を行 った。酒石酸 を、 メタ ノー ル溶媒 中で酸性条件 下で処理す るこ と に よ り、 ジメチル エ ステル化 され た4を収率80%で得 たC 4は、過 ヨウ素 酸 ナ トリウ ムで処理 す るこ とで、 グ リオ キ シル 酸 メチル エ ステ ル体(5)に変換 した(Scheme 9)。次 に、5と常故 によ り合成 したカルバ ミン酸ベ ン ジル(6)との縮合 を試 みた 。

Tartarit:Acid H+,MeOH

M e O O C▼ ( 4 ) o H

NdIO4 COOMe MeOHaq. cHO

(5)

Schemep

しか しなが ら、 目的 とす る7は10%程度 しか得 られ なか った 。 この原 因 と して 、 グ リオキ シル酸 が抱水体 と して存在 して いたため と考 え られ る。 この こ とか ら、

脱水 を行 いなが ら反応 を行 えば良 い と考 え、ベ ンゼ ン溶媒 中で脱水 装置 を付 け 、 同様 の反応 を 試 みた。 その結果 、約12時 間で7を ほぼ 定量 的 に得 る こ とに成功 し た。 7の構 造 は、 IH NMRスペ ク トル でOH,COOMc,NHZが確認 さ れ、 さ らに 元

一10‑

(15)

Benzent:

(5) 十 Z‑NH2

(6) renux

O 1 r l

H‑C‑COOMe NH‑l Z

(7)

mt:erniL:COmPOund (R.S=L:I)

Scheme10

PCL3 P(OEt)3

Toluene Z̲H

: l

ocE:三 M e

( A )

素分析値 が 計算値 と一 致 した こ とか ら確認 した。 また7の比旋光度 を測定 した と ころ、旋 光 性 を示 さなか った こ とか ら

、R:S‑1:1

の 混合物 で あ るこ とが判 明 した。7をSchmi dtらが報告 してい る方法 を用 い、Horner‑Wittig試 薬(A)に変 換 し た(Schemel())。 この合 成 の際 にお いて も、蒸 留 した トルエ ンを用 いた方 が副 生 成物 は少 な くな る こと も明 らか とな った。 なお、Aの構造 は、lHNMRスペ ク ト ル で(EtO)2の ピー クが見 られ た こと、 さ らに元素分析 値 が計算値 と一致 した こ と

に よ り確認 した。Aの立体 につ いて比旋光 度 を 測定 したが、先 と同様 、旋光性 を 示 さなか った こ とか ら

RS

混合物 で あ る と考 え られ る。 また

、( A)

の試 薬 に対 し接 触還 元 を行 い 、次 い でア ミノ基 保護 の ため、 酸で 除去可 能なB()C基 を用 い(a)の 試薬 も合成 した(Fig.7)0

Clt3 Doc:

J

t3C‑C10‑C‑l

J ll CH3 0 Fig・7

以上 の結 果か ら、 この手法を用 い るこ とで 目的 とす る試薬 か従 来法 と比較 し、

簡便 に合成 で き ることが 明 らか とな った。

‑ll‑

(16)

第3節 N‑Benzyloxycarbonyl(Z)型試 薬 を用 いたKDOお よびKDN誘導体 の合成 (1) KDO誘導体 の合成

修 飾Kt)0は、それ ぞれの水酸基か 区別可能であ るこ とか ら、 それを含 む糖 鎖 の 合成 な どに用 い られ る重要 中間体 の一 つ であ る。著者 は、第2節 で述べ た試薬(A) を用 い、KDOの イ ソプ ロピ リテ ン誘 導体(IsopKDO)の合 成 を行 った。 そ の際 、 先 に述 べ た よ うに出発原料 にはマ ンノ‑ スを用 い る ことと した。 マ ンノースに 対 し、イ ソプ ロ ピ リテ ン化 を行 い8と した後 、 これ を還元 し9に導 いた09の1位 を 選択 的に保 護 す るため 、嵩高 いTBDMS基 を用 いて処理 し、収 率95%とい う高 収 率で10を得 ることがで きた。 10の構 造 は、 IRスペ ク トルで3490cm1にOHに起 因 する吸収か見 られ たこ と、 IH NMRスペク トルで0.91ppmにTBDMS基のブチル 基 、 お よび()・()7pprnに(CH,)2に起 因す る シグナル が見 られ た こと、 さ らに元素分析 値 が計算 値 と一 致 した ことか ら確認 したo また、 アセ チル化 を 行 い、11に導 き、

IH‑NMRスペ ク トル で2.09ppmにアセ チル 基 に起 因す る シグ ナル 、 お よ びH‑4が 低磁場 に シフ トした こ とか らも確認 で きた(Schem611)。次 に、4位水酸基 を保 護

D‑Mannose I)H+・Ace(one・

2)NilBH4/EtOH.

良=CHO(8) A=CH20H(9) Schemell

するため、酸、塩基 に安定 で脱保護容易 なベ ンジル基 を用 い反応 を行 ったところ、

収率9()% で ベ ンジル 体(12)を得 た。 12の構造 は、 IRスペ ク トルで水 酸基 に起 因 す る吸収 が消失 した こ と、 IH NMRスペ ク トルでTBDMS基 に起 因す る シグナル が 残 って いた こ と、4.80ppm付近 にBn基 の メチ レンの シグナルが認 め られ た こ と に よ り決定 した 。次 に、TBDMS基 を脱保護 す るため、 12に フ ッ化 テ トラブチル ア ンモニ ウ ム((‑Bu4NF)を作 用 させ た ところ、脱保護 体(13)を収 率88%で得 た. 13 の構造 は、 IRスペ ク トルで349()cm'lにOH基 に起 因 す る吸収 か見 られ た こ と、 IH NMRスペ ク トルでTBDMS基 に起 因す るシグナルが 消失 した こと、 さ らに元素 分 析値 が計算値 と一致 したこ とか ら確認 した。 またアセチル化 し、14に導 き、 H‑1、 H‑1'プ ロ トンが低磁 場 シフ トした こ とか らも明 らか とな った(Scheme12)O次 に、

13の1級水 酸基 を酸化す るためSwern酸化 し、ア ル デ ヒ ド体(15)に変 換 した。 15 112‑

(17)

(12)

Scheme12

R =H (13) 氏=Ac(14)

の構造 は、 lH NMRスペ ク トルで9.50ppmに アルデ ヒ ド基 に起 因す るシグナル が 見 られ たこ と、 また エ タノール溶 媒 中で水素 化 ホウ素 ナ トリウムで還元 し13に 導 き、 IH NMRスペ ク トルが原料 と完全 に一致 した こ とによ り確認 した。次 に ア ルデ ヒ ド体(15)に対 し、 (A)の試 薬を用 い増炭を行 った。 (A)の試 薬を塩化 メ チ レンに溶か した溶液 に、水 素化 ナ トリウムを作用 させ、次 いで15を加え るこ と で、極 めて短 時間、高収率 で、 16のEZ混合物(E :Z‑3:2)を得 た(Schcme13)。

CHO Narl

Horrler‑WittigReager)I(A)

CHユC12

( 1 6 6 , +

Scheme13

16の構造 は、 IRスペ ク トルで1728cm11にカル ボニル 基の吸 収が見 られ、 またlH NMRスペ ク トル で7ppm付近 にNHの吸 収が見 られ たこ と、 3・8ppm付 近 にOMeの 吸収が見 られたこと、さ らに元素分析値が計算値 と一致 したことか らも確認 した。

E、 Z体 は γプ ロ トンの ケ ミカル シフ トで決 定可能 である ことが 報告 されて い ることか ら、 この報告47)に基づ き決定 した。 16は、混合物 のまま接触還元を行 う ことと した 。基本的にZ基を脱保 護すれば、 Scheme14に示 したよ うな反応機 構 でカル ボニル基 に変換可能で ある。 しか しなが ら、基質 内に二重結合、ベ ンジル

Z " "

R

Xc :' ' 1 H 2 "

R

Xc

H

O O

R

T H R N I L L C H O o O

HR

Scheme14

‑13‑

R O i c H O O R

keto・carboxyliCCOmpOund・

(18)

基を有す るので 、 これ らに影響 を与 え る こ とな く脱保護す るの は困難 で あ る。 そ こでその問題を解 決す るため、ベ ンゼ ン中で5%Pd‑Cを用い、水素 添加 を行 った。

その結 果、収 率65%で16を 目的 とす るKDO前駆体(17)に導 いた。 また副 生成 物 と して二重結 合 が選元 され た化合物 も得 られ た。 カル ポニル体(17)は、lHNMR スペ ク トル で3・25ppmと3・16ppmにデオ キ シ由来 の ピー クが見 られ た こと、IRス

10%Pd(OH)TC i(2,EtOII

( 1 6 , , +

y o o

&

(18) OH

Scheme15

ベ ク トルで1732cm‑1に ジケ トンの吸収 が見 られ た こ とか ら確認 した 。最 後 に 、 17を脱 ベ ンジル化 し目的物 で あ る(18)へ導 くことに成功 した(Scheme15)。構 造 は、IHNMRスペ ク トル データが文献値48)と一 致 した ことか ら確認 した。

‑14‑

(19)

(2) KDN誘導体 の合成

KDNを合成 す る際、 ポイ ン トとな るのは7炭糖(ヘ プ トース)の効率 的な合成 で ある。従来 、 この方法 と しては、∫.C.SoⅥ・dcnら49)の 糖 アル デ ヒ ドに対す るニ ト ロメタ ン縮合法が挙 げ られ る。 しか しな が ら、 この方法の場合、立体選択性 に 欠 け、 また低収率で あ ることか ら大量合成 法 と して用い るのは難 しい0‑万、当研 究室では この問題 を解決す るための検 討を行 ってお り、塩 基 を1,8‑ジアザ ビシ ク ロl5.4・()トウ ンデ クー7‑エ ン(DBU)に変え ることで、20の収率を従来法 と比較 し、

60%向上 させ るこ とに成 功 した(Scheme16)o今回、 この 手法を用 い、原料 とな

CH2NO2

・IE=.LI HO 710

∫.37%

toNC7tU aLNOt;N

I)Mar)nose (19)

uBU CH3N()i

Nefoxidatior)

===========

E

y.70% HO

(20)

D・MiLnnOD・gala‑heE)lose

HO McOH:H20 HO

50:1 y.好6%

NEToxidation

OH (20)

lTotaly"%l

OIt D・MannoID‑gala‑heptose (19)

Schem e16

る20の合 成を行 った。その結果、得 られた20の構造 は、融点 、比旋光 度 が文 献 値 と一致 した こと、 また元素分析値が計 算値 と一致 した ことか らも確認 した。 次 に、20を ジチオ アセ タール 化 した後、 比較 的 、酸、塩基 に安定 な ベ ンジル基 で 水酸基を保護 し、ヘ キサ‑0‑ベ ンジル体(21)を得 た.21の構造 は、 IRスペ ク トル でOH起因の吸収が消失 した こと、 IH NMRスペ ク トルでベ ンジル基 由来の吸収が

I)tl+,Et5H.

(20)

2)RnBrNan/I)MF・ BrIO

'''''OBn Met,Na2CO3

OBn 75%MeCrlaq・ BnO

08n (21)

Schem e17

‑15‑

(20)

6個分 見 られ た ことによ り確認 したO次 に、 21の ジチオアセ タ ール基 を脱保護 す るため、21を ヨウ化 メチ ル と炭 酸ナ トリウム で処 理 し、 アルデ ヒ ド体(22)を 得 た(Scheme17)0 22の構 造 は、 IH NMRスペ ク トル で10ppm付 近 に アル デ ヒ ドの 吸収が見 られたことか ら確認 したか、基質が壊れやすいため、単離、精製をせず、

そのまま次の反応 を行 うことと した。 22をKDO合成 の ときと同様 に(A)の試薬 と 反応 させ た と ころ、 収率 8()%で増 炭体(23)が

EZ

混 合物

( E:Z‑1:1 )

と して得 ら れた。 23の構造は、 IH NMRスペ ク トルでNHのプ ロ トンが7ppm付近 に見 られ た こと、また3・80ppmにCOOMeの吸収が見 られ たことか ら確認 した。またEとZは、

先 と同様 に γ‑プ ロ トンのケ ミカル シフ トで 帰属 した。 得 られた23は混合物 の ま ま接触 還元 を行 うこ とと した。 この際、 23に はベ ンジル基 、二重 結合が 存在 し てい るので、 Z基 のみを脱保護 す るために 、ベ ンゼ ン溶媒 中で5%Pd‑Cを作用 さ せた ところ、収率40%で カル ボニル体(24)が 得 られた(Scheme18)0 24の構造 は

Z‑HN COOMe 0 COOMe

(22)

NaH BFLO",・・ Horner・WittigReagerlt(A)

CHC12

(E:Z=):I) oBn

5 %P d ‑ C

Benzene

BnOII,,.. BnO小、 OBn BnOI'....

BnO (24)

IRスペ ク トルで1728cmlIに ジケ トンの吸収が見 られた こと、 IH NMRスペ ク トル で3・3()ppmと3・03ppmにデオキ シ由来の ピー クが見 られた ことか ら確認 した。 24 は脱ベ ンジル化 し、 さ らに酸処理す ることで収率30%で 目的物で あるKDN誘導体 (25)に導 いた(Scheme19)0 25の構造は、 lH NMRスペ ク トルが文 献値11)と一 致

した ことか ら確認 した。

HO OIl OMe

(

2 4

) 1 0%Pd(OH

) 2

C,H2/

E

t

o

n.

2日)owex50H◆/Meow. HO

Scheme19

一16‑

(21)

第4節 N‑(‑Butoxycarbonyl(Boc)型試薬を用 いたKDOお よびKDN誘導体 の合成 と〃‑Z型試薬を用 いた方法 との比較検討

(1) KDN誘導体 の合成

本手法が、 KDNの合成 に有用で あるこ とは明 らかだが、 さ らにN基や水酸基 の 保護を考慮すれば、収率の大幅な向上が 期待で きると考え、実際に行 うことと し た。20を、先 と同様 に ジチ オアセ タール化 し、次 いで水酸 基を酸 で除去 可能 な イ ソプ ロピ リデ ン基 で保護 し26と した。 26の構造 は、IRスペ ク トル で水酸基 に 起因す る吸収が消 失 したこ と、 lH NMRスペ ク トルで2.7pprnにSEt基 由来 の吸 収

I)H+,EtSH.

(20)

2)TsOH,

(CII3)2C(OMe)2 Acctone.

(26) Scheme20

が見 られ、また1.5()ppm付 近 にイ ソプ ロピ リデ ン基の メチル基 に 由来す る吸収 が 6個分見 られ た ことか ら確認 した。26を、先 と同様 に脱 ジチオ アセ タール化 し、

アル デ ヒ ド体(27)と した(Scheme20)。 27の構 造 は、 lH NMRス ペ ク トル で 10ppm付近 にアル デ ヒ ドの吸収が見 られた ことか ら確 認 した。27に対 し試薬(B) と水素化 ナ トリウムを作用 させ るこ とで、増 炭体(28)のEZ混 合物(E :Z‑ 1:2) を収率H()%で得 た(Scheme21 )0 28の構造 は、 1H NMRスペ ク トルでNHのプ ロ ト

NilH

HornerWittigreiLgentP) CH2CL2

ンが7ppm付 近 に見 られたこと、3・8()ppmにCOOMeの吸収が 見 られ た ことか ら確 認 し、またEとZは、 7‑プ ロ トンのケ ミカル シフ トで帰属 した。28を混合物 の ま ま、無水 メタノール溶媒中、濃塩酸で処理す ることにより、25を収率50%で得 た。

‑17‑

(22)

HO O

H

(28) TTCL/MeOH

OH (

2 9 )

Scheme22

また副生成物 と して、 β脱離 した(29)も得 られ た(Scheme22)029の構造 は、IH NMRスペ ク トル で6pprn付近 に デオキ シ由来 の シグナル が見 られた ことか ら決 定 した。以上の検討結 果か らZ基で保護 した試薬(A)を用い る場合 よ りも、Boc基 で 保護 した試薬(a)を用いた方がKDN誘導体 の合成 に有用であ ることが明らか とな っ

た(Scheme23)

0

Ih() BnO ()lh oBn

/..

Scheme23

ー18‑

( 2 5 )

HO rTotalyle"6% [

HO OH

ETohlyied23

% l

OMe

(23)

(2) KDO誘導体 の合成

第3節お よび本節 に おいて、ア ミノ型Horner‑Wittig試 薬を用いた新規手法 に よ るKDN誘導体の合成 につ いて述べ たが、その中でア ミノ基をB。C基で保護 した試 薬を用い る方法がZ基 で保護 した試薬を用い る方法 に比 べて、有用 で あることが 判明 してい る。そ こでKDO誘導体 の合 成 において も、ルーB。C型試薬 を用 いた方 法 を採用すれば、その収率か向上す ると考え、以下検討 した。

第3節のSchemllに従 い合成 した10の4位水酸基 に酸 性条件下でBoc基 と共 に脱 保護可 能な保 護基を導入す るため、 メ トキ シメチル 化を行 った。 10に対 しク ロ

ロメチル メチルエ ーテル(MOMCl)を用いてMOM化を行 い、収率82%で30を得 た。

30の構造 は、lH NMRスペ ク トル で4.83ppmと3.41ppmにMOM基 に起 因す る シグ ナルが現れ、水酸基 に起 因す るシグナル が消失 した こと、また、元素分析値 が 計 算値 と一致 したことによ り確認 した。次 に、テ トラブチルア ンモニ ウムフ ロ リ ド を用いてTBDMS基を脱 保護 し、 収率85%で31を得 た。31の構造 は、 lH NMRス ペ ク トル で水酸基 に起 因す るシグナルが現れ、TBDMS基 に起 因す るシ グナル が

OTBDM S y.82%

C,

二 呂 ≡AHc

Scheme24

O T B D M

S

O MO M ( 3 0 )

a)MOMCJ,N・JLH/DMF,r.I.. b)n・Bu4NF/TIIF.r.I.. C)Ac20/Py..

消失 した こと、元素分析値が計算値 と一 致 した ことによ り確認 した。 また、常 態 によ りアセチル 化 し32へ導 き、IH NMRスペ ク トルで2・11ppmに アセチル基 の メ チル に起 因す る シグナルが一本 現れ、H‑1、H‑1‑に起 因す るシグナルが低磁場 に シフ トしたこ とか らも確 認 した(Scheme24)。次 に、31に対 し、 ジ メチル スル ホ キ シ ド(DMSO)、 オキサ リル クロ リ ドを用いてス ワン酸化 し、アル デ ヒ ド体(33) を得た。 構造 は、 lHNMRスペ ク トル で9.5()ppmにアルデ ヒ ド基 に起 因す るシ グ ナルが 見 られ 、 また、33を エタノール 中、水 素化 ホ ウ素 ナ トリウ ムで還 元 した 化合物 のIHNMRスペ ク トル が31と一致 した ことによ り確認 したO次 に、アル テ

ー19‑

(24)

MeOOC NH・Boc y.81%

(B) d)(COCL)2,DMLqO,Et3N/CT12C)2,・78oC・

C)NuH/CH2CL,rL

Scheme25

OMO

M N H ‑ B o c

(34) (E:Z=I:1)

ヒ ド体(33)に対 し、水 素 化 ナ トリウ ム、N‑Boc型試 薬(B)を用 いてHorner‑W ittig 反応 を 行 った O その 結 果 、増 炭 体(34)のEZ混合 物(E :Z‑ 1:1)を収率81%で 得

た(Scheme25)034は、EZ混 合 物 で あ るが 、 この部分 は 後 にケ トンお よび デオ キ シ部分 とな る こ とか ら、立 体 を考慮 す る必要 はな い。 34の構 造 は、lH NMRス ペ ク トル で アル デ ヒ ド基 に 起 因す る シグナル が 消失 し、NHBoc基 の [ブチル に起 因 す る シ グ ナ ル が 1・46ppm, 1・44ppm に 、 NHに 起 因 す る シ グ ナ ル が

6

・96ppm,6.49ppmにそれ ぞれ現 れ 、 メチル エ ステル 基 の メチル 基 に起 因す る シ グ ナルか 3・83ppm,3・8()ppmに現 れ た こ とに 亘 り確 認 した O 次 に、 34の イ ソプ ロ ピ リデ ン基、MOM基、 NHB()C基 を脱 保 護 し、 環 化 させ るため 酸 で処 理 した。 34を

,

>く、 AcO OAc

O

M

OM

N H ・ B o c

y・20%

(34) (E・・Z=L:))

03M HCl/MeOH,

6

0oCther)Ac20/Py

Scheme26

(35) OMe

混合物 の まま、 3M塩 酸‑メタ ノ ール で処 理 し、 次 いで アセ チル 化 し、低 収率 な が ら 目的 物 で あ るKDO誘 導 体(35)へ 導 く こ とが で き た(Scheme26)。 構 造 はIH NMRスペ ク トル が文 献 値 と一 致 した こ とか ら確 認 した。 この 際 、収率 が低 下 し て しま った原 因 と して 、酸 処理 に よ り2位 水酸基 と3位水 素 原 子 か β脱 離 したデ ヒ ドロ体 お よび 水酸 基 とカル ボニ ル基 が縮 合 して しま った ラ ク トン体 の副 生 が考 え られ る。 今後 、酸 の種 類 や濃度 、溶 媒等 を変 え る こ とで 、 目的物 の収率 が 向上 出

‑20‑

(25)

来 る と考 え て い るが 、現 在 の ところ

、KDO

誘導 体 の 合成 にお いて は、ルーZ型 試 薬 を用 い た方 法 の方 が 有 用 で あ るこ とが判 明 した。

‑21‑

(26)

第5節 シアル酸 な らび に他の ウ ロソ ン酸 アナ ログ合成 への応用

(1) 〟‑B。C型試 薬 を 用 い た シアル 酸(〟‑Acetylneuraminicacid,NANA)誘導 体 の合成

シアル酸(NANA)は、 KDNの5位水酸基 か アセ タ ミ ド基 に代 わ った もので あ る。

従 って、KDNの 合成 と同様 にヘ プ トース の合成 が ポ イ ン トとな る。ヘ プ トー ス の合成 法 に関 して は、 Perryら50)が報 告 して い るが 、収率 が低 く、 あ ま り有 用 な 方法 とは言 え ない。一 方 、 当研究室で は 、マ ンノサ ミンに対す るニ トロメタ ン縮 合につ いて も検 許 して お り、その手法 は ヘ プ トー スを合成す る際 に有 用 な知 見 と な ってい る(Scheme27)。今 回 、 この手法 と先 に述 べ たKDN合成 に お いて有効 で あ ったルーBt)C型H。rne卜Wittig試薬 に よる増炭法 を組 み合 わせ るこ とでNANAの 新 規合成法が確 立で き る と考 え、検 討 した。

まず 原料 とな るへ プ トサ ミン(37)の合 成 を行 った 。合成 した37の構造 は、 融 点、比旋光度 が文献値 と一 致 した こ と、 さ らに元素分析値 が計算値 と一致 した こ

f o書芸

0ヱ

ACHN lllー■ HO

%NoNCHUaC一JVJ HOt!N

I)MannOSarrLine

(36)

L)DU CH3NO2

EtOIt y:80%

NefoxidiLtion

y.タ0% AetIN E

T

otaly・52% 1

(

3 7 )

D・M'dnnOSamineD‑gala・heptose

AcH"

o

"f o書芸02

Neroxidation

一 一 一 一 一 一 一 一 一 ‑

y・n

%

AcHN

oH

I T o b l y 1 8 0 % l

(37)

D・MannosamineD・gaLaheptose

Scheme27

とか ら確認 した。 37を ジチ オ アセ タール化 した後、 アセ トンジメ チル ア セ タ ー ルを用 いて イ ソプ ロ ピ リテ ン化 し、38を収率77%で得 た。38の構 造 は、 lH NMR スペ ク トル で、イ ソプ ロ ピ リテ ン基の メ チル に由来す る吸収 が6個分 見 られ た こ とと、NHの プ ロ トンが消 失 した こ とか ら確認 した 。次 に、38を75%アセ トニ ト

リル溶媒 中で 、 ヨウ化 メチル と炭酸ナ トリウムで処理 し、アルデ ヒ ド体(39)を 得 た。39の構造 は、 IH NMRスペ ク トル で9.87ppmに アル デ ヒ ドの ピー クが見 られ た ことに よ り確認 した。次 に アル デ ヒ ド体(39)に対 し、増 炭試 薬(B)を用 い反 応

‑221

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