Behind the Popularity of O. Henry's Short Stories: His Life
,
Charl悶 Chaplin,
and Sherlock Holmes教 科 ・ 領 域 教 育 専 攻 言 語 系 ( 英 語 ) コ ー ス
中 山 美 香 子
1. In位。duction
アメリカの短編作家
O.Henryの作品は,
retold
版が出され,日本の中高生にも愛読者層 を広げている。
f最後の一葉
Jや
f賢者の贈り物
Jは非常に有名で,道徳の教材として使われるこ
ともある。ところが,彼はアメリカ文学界にお いて
f単なるエンタ}テイナ}であり,真実や 現実を犠牲にしている
jと酷評され,アメリカ 文学史の書物においても彼の記述は極めて少な い。つまり,
O.ヘンリーの作品は大衆に迎合し たものだと見なされ学術研究の分野から無視 されていると考えることができる。しかし,現 実には,約
1世紀にわたって彼の作品は世界の 人々に愛読され続けている。この論文では
O.ヘンリーの作品の時代を超え,国境を越え,愛 読され続けている人気の陰にはどのようなもの があるのかを考察する。
2. Chapter 1 : Biographical BackgrolU1d ofO. Henry and His Hwnanism
O.
へンリ}の作品は彼の歩んだ人生に大き く影響を受けていると考えられる。彼は
1862年にノ}ス・カロナイナ州で生まれる
o幼少の 頃,母が亡くなったため,祖母と叔母によって 養育される。特に叔母の教育は,作家
O.へンリ ーに大きく影響を与えている。叔母は私塾を開 いていたが,良い文学作品を読むこととストー
指 導 教 員 前 回 一 平
リーテリングがその重要な教育方針であった。
この教育が若い
O.ヘンリーに読書への熱中と 後に書くことへの欲求を喚起させることになる。
彼は 1 7 歳の時に叔父の薬局で働き始める。そこ での製薬の経験は,叔母の教育に次いで彼のそ の後の人生において重大なものとなる。また,
いつもそこに集まってくる常連たちを観察し,
創造力を豊かにしていく。
20歳になると彼は,テキサスへ向かう。そこでの 1 5 年間は非常に波 乱に富み,結婚,娘の誕生,妻の死,逃亡生活そ して囚人としての監獄での生活という人生の中 で一番幸せな日々,それから最も暗い時期であ った。テキサスのナショナノレ護財子で働いていた 時に横領の罪を関われ裁判で
5年の刑の判決 を下される。当時の銀行の経営は,非常に杜撰 なもので本当に彼が多額の金を銀行から着服し たかどうかは,明らかにされていない。この投 獄から受けた強いトラウマが後の
O.へ ン リ }
のどの作品にも通じるヒユ}マニズムの源にな っていると考えられる。服役を終えた
O.ヘン リーはニューヨークへ赴き,そこで本格的な作 家活動を始める。普通の人物を題材とした作品 を短期間で実に多く書き残している。どの作品 も哀愁を帯びているが読み終えるとなぜか温 かい気持ちになる。彼自身の不幸と苦しみが,
哀しい中にも温かさが感じられる作品を生み出 したのだと考えられる。
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3. Chapter
n :
Similarities Between O. Heruy's Short Stories and Charles Chaplin's PenonnancesBlansfieldは, O.へンリーの作品は,チャップ リンの演技と明らかに同じような特徴を帯びて いると述べている。しかし具体的にどのJごう な共通性があるのかは明らかにされていないロ チャップリンの時代は,
0 .
へンリ}の時代より 少し後にずれているが,2
人が生きた1 9
世紀から20世紀初めにかけてアメリカは大規模な工 業化,都市化が進み,それまでの素朴な田舎風 の気質は忘れ去られ,とにかくお金儲けだと 人々の意識が集中していった時代であるo この 2人の作品には何か明るい灯がともされたよう な心温まるものを感じる。本章では,チャップ
リンの伝記的背景と 2人が生きた当時のアメリ カの時代背景を押さえながら O.へンリーとチ ャップリンの作品の共通性について考察する。
4. Chapter
m :
O. Heruy's Surprise Endings and Sher10ck HohnesO.へンリーの短編小説の最も顕著な特徴は,
サプライズエンディングである。バラエティに 富むプロット構成で出来事をうまく組み合わせ 最後の部分にすべての意図を集約し,読者の意 表をつくという手法である。短編の形式でのど んでん返しは,シャーロックホームズの小説を 思わせる。読者に事件を解決する手がかりや知 識を知らせず,秘密にしておき,ちょうどよい 時にそれらを暴露することが,ホームズの物語 の展開には必須のことである。その結末に重点 を置き,無駄を削ぎ落とした物語の構成カは,O. へンリーにとってまさに短編を書く動機と発想 の夜、訣を与えてくれるほどのインパクトをもっ ていたのではないかと考えられる。サプライズ エンディングに焦点を当て, O.へンリーは,
Doyleのシャーロックホームズ,または,ドイ ノレに大きく影響を与えたPoeの流れを受け継ぎ,
読者に読まれることを最も重視しながらも高い 芸術性を追求したのではないかということを考 察する。
5. Conclusion
O.へンリーの作品は酷評されることが多いが,
アメリカ大衆文学において主要な位置を占めて いる。それは,
1 9 1 8
年にアメリカ短編小説のた めに創設された年l回の権威ある賞に O.ヘン リーの名前が使われていることから明らかであ る。 O.へンリーの作品の重要な要素は,徹底的 な観察による描写力とサプライズエンディング である。結末に集約されるホ}ムズの推理小説 の手法を O.へンリーは取り入れたのであると 考えられる。彼はすべての意図をサプライズエ ンディングに集約してもってきたのである。ま た,彼の作品にはチャップリンのヒューマニズ ムに通じる人間の温かい心が感じられる。それ は O.ヘンリーが歩んできた人生の経験から,あるいは街を放浪することで社会の底辺の人々 と交わり,共感と同情をすることで,倣慢な権 力への反感,弱い人々への思いやりを常に心に 抱いていたことから生まれたものである。拝金 主義に対する清貧な道徳観や人間と人間との温 かいつながりを描いた O.ヘンリーの作品は清 らかで,人間の心を失いつつある現代社会に生 きている読者の心をぐっと動かす。温かく人情 味のある心,卓越した描写力,サプライズエン ディングの躍動感,これらすべてが,没後 1世 紀たった今で、も世界中で読み続けられている所 以である。彼の作品は,単なるエンターテイメ ントとは,ほど遠い真の芸術エンターテイメン
トだと言えるものである。
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