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指導教員 西村 孝史 准教授

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修士学位論文

題 名 目標管理制度の運用が知覚された組 織的支援を通じてワーク・エンゲイ ジメントに与える影響

頁 1~50

指導教員 西村 孝史 准教授

2020年1月10日提出

首都大学東京大学院

経営学研究科(博士前期課程)経営学専攻

学修番号 18836331

氏 名

ふ り が な

榎戸

えのきど

慶一

けいいち

(2)

1 目次

第1章 はじめに ... 2

1.1 研究の目的 ... 2

1.2 研究の背景と狙い ... 2

1.3 論文の構成 ... 4

第2章 先行研究と仮説の導出 ... 4

2.1 WE の定義と他の概念との弁別性に関する研究 ... 4

2.2 WE の結果要因と仕事の要求度-資源モデルに関する研究 ... 5

2.3 WE の規定要因に関する研究 ... 6

2.4 日本における WE の先行研究 ... 7

2.5 POS と WE についての先行研究 ... 8

2.6 MBO に関する先行研究 ... 9

2.7 分析モデルと仮説の導出... 12

第3章 調査内容 ... 15

3.1 調査対象と調査方法 ... 15

3.2 測定尺度 ... 17

3.3 分析の方法 ... 20

第4章 分析結果 ... 21

4.1 観測変数の記述統計量の確認 ... 21

4.2 仮説の検証 ... 26

第5章 考察 ... 34

5.1 重回帰分析の結果に基づく考察 ... 34

5.2 MBO の運用と WE との関係について ... 34

5.3 WE と POS との関係について ... 35

5.4 MBO の運用と POS の関係について ... 35

5.5 POS と MBO による評価と昇進・昇格との関係性 ... 37

第6章 理論的意義と実務的示唆 ... 38

6.1 理論的意義 ... 38

6.2 実務的示唆 ... 39

第7章 本研究の限界と今後の課題 ... 41

付録:本研究で用いた質問項目一覧 ... 43

参考文献 ... 47

(3)

2 第 1 章 はじめに

1.1 研究の目的

本研究は、企業における人事管理の手法として広く浸透している目標管理制度の運用が 従業員のワーク・エンゲイジメントに与える影響を検証する。その際、目標管理制度とワー ク・エンゲイジメントをつなぐ媒介変数として、知覚された組織的支援に着目する。

先行研究により上司の支援やフィードバックがワーク・エンゲイジメントの規定要因と して明らかになっていることから、目標管理制度の中で行われる上司の支援やフィードバ ックがワーク・エンゲイジメントに与える影響に焦点をあて、企業が目標管理制度を通して 従業員のワーク・エンゲイジメントを高めるための実務的な示唆を得ることを目的とする。

1.2 研究の背景と狙い

経済のグローバル化が進み世界規模での企業間競争が激化する中、いかに組織の生産性 を高め、業績を向上させるかが企業にとって喫緊の課題となっている。このような状況の中 で、企業における人事施策は給与計算等の定常業務や労使紛争の解決といった人事労務管 理から、人材を企業目標達成のための資源として捉え、どのようにマネジメントするかとい う人的資源管理へと変化していった(例えば、上林, 2016;守島, 2004) 。これを背景とし て、組織戦略の達成とその手段としての人事施策という観点から戦略的人的資源管理とい う考え方が生まれた。戦略的人的資源管理の観点からは、全社的な戦略から部署ごとの目標 を設定し、これらの目標を達成するために必要な行動を従業員から引き出す必要がある。そ こで各企業は部署ごとの目標を踏まえて、各々の従業員に課せられたミッションを自覚さ せ、その達成に向けた具体的な行動目標を自ら設定させて、評価するための目標管理制度や、

目標達成のインセンティブとしての成果主義的賃金体系を導入している。

しかし、様々な人事施策の工夫がなされているものの、日本の就業者の生産性はそれほど 伸びていない。日本生産性本部(2018)の調査によれば、我が国の就業者1人当たりの労働 生産性は主要先進7か国中最下位となっている。日本企業はバブル経済崩壊に続く経済の 低迷期に人員の削減や非正規雇用への切り替えを行い人件費の削減を図ってきた。加えて、

インターネットを始めとする IT 技術の急速な発達や、グローバル化の進展により、従業員 の仕事の質や量が大きく変化している。これにより従業員の精神的な負担が増している。厚 生労働省(2018a)によれば、仕事や職業生活に関する強いストレスの原因として最も高か った項目は「仕事の質や量」であり、企業で働く従業員は厳しい環境に晒されている。実際、

厚生労働省(2018b)において、平成 29 年度の精神障害による労働災害補償状況は決定件数 ベースで 5 年前の約 1.3 倍となっており、 従業員のメンタルヘルス問題は深刻化している。

このような状況を踏まえると組織目標の達成だけでなく、従業員のウェルビーイング

(Well-being)や個人の要求を満たしながら生産性を高める体制を整えることが、企業にと

っての大きな課題であることがわかる。そのため、企業は従業員に対し仕事へのやりがいや

情熱を持たせることで、従業員の前向きで積極的な姿勢を引き出し、組織の生産性を向上さ

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3 せる人事施策を実施する必要がある。

では、従業員の前向きで積極的な姿勢はどのような心理状態から生まれるのか。この点に ついて、労働者が活力を持って働く状態を表すワーク・エンゲイジメント(以下, WE)とい う概念がある。島津(2018)によれば、WE とは「仕事に誇りややりがいを感じている」 (熱 意)、「仕事に熱心に取り組んでいる」(没頭)、 「仕事から活力を得ていきいきとしている」

(活力)の3つが揃った状態であり、この WE が高い従業員は心身の健康が良好で、かつ生 産性も高いことがわかっている。

これまで WE の規定要因については様々な研究がなされているが、 Bakker & Leiter (2010)

は、代表的な規定要因として仕事に対するフィードバックや上司の支援などを挙げている。

仕事に対するフィードバックや上司の支援は、職場において日常的に行われている反面、職 場の風土や上司によって程度にばらつきがあるのも事実であろう。そのため企業としては 人事管理施策(以下, HRM 施策)を通して、これらの行動を制度的に支援し、一定のレベル で行われるようにする必要がある。

仕事に対するフィードバックや上司の支援に関連する HRM 施策の1つとして目標管理制 度(Management by Objectives:以下, MBO)が挙げられる。奥野(2004)によれば、MBO は Drucker(1954)が「目標と自己統制による管理」として提唱し、今日多くの企業で導入され ている HRM 施策である。 MBO を導入することで企業の組織目標と従業員の目標を連動させな がら、従業員が一定期間内に達成すべき目標を明確化し、目標達成度を客観的に把握するこ とができる。そして MBO による目標達成度を人事考課と結びつけることで、成果主義的賃金 制度の公正性を担保しつつ、従業員の仕事に対するモチベーションを高めようとする狙い がある。

しかし、MBO については運用上の課題も多く指摘されている。労務行政研究所(2018a)

によると労務行政研究所が 2006 年と 2013 年に実施した「目標管理制度の運用に関する実 態調査」で目標設定面談や評価面談の形式化や、評価面談において部下の自己評価の結果を 確認する程度で、今後の課題解決や能力開発に関する話し合いになっていない、目標設定後 は管理者のフォローや関与がないといった問題が発生していることが示されている。また、

管理職の評価行動について評価者負担に着目して調査した梅崎・中嶋(2005)は、 MBO の実際 の運用場面において、面談や評価結果の通知は評価者によって行われない場合もあり、制度 設計を行った人事部の設計通りに運用されていないことを明らかにしている。

これらの課題に加え、経営環境の急速な変化や仕事に対する価値観の多様化などを背景 に制度そのものや運用を見直す動きがある。例えば、一部の企業で導入が進んでいる1on1 ミーティングでは週や月単位で上司との個別面談を行い、柔軟に目標を変更するなどして、

フィードバックの即時性・具体性を高めている。また 360 度評価(多面評価)制度では、上

司だけでなく職場の同僚からの人事評価を認識させ、人事評価の公平性やフィードバック

の多様性などを担保しようとしている。しかし、1on1ミーティングや 360 度評価(多面評

価)制度などを導入している企業は限定的であり、依然として MBO が人事管理に果たす役割

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4

は大きいことから、既存の MBO の制度や運用を見直し、より質の高いものにしていく必要が ある。その際、重要となるのは MBO を企業側の人事管理ツールとして捉えるのではなく、従 業員個人のキャリアに対する欲求を充足し、能力を開発していく機能にも着目することで ある。

そこで本研究では、MBO の運用と WE の関係を明らかにすることで従業員の仕事に対する 前向きな姿勢を引き出すための方策を探る。その際、個別具体的な HRM 施策である MBO の 運用を心理状態を表す WE の規定要因として捉えるには遠因的であることから、2つを媒介 する変数として、知覚された組織的支援(Perceived Organizational Support:以下, POS)

にも着目して分析を行う。

1.3 論文の構成

以上のような研究目的のもと、 第2章において先行研究を検討する。 具体的には WE や POS、

MBO の概念や規定要因、結果要因に関する先行研究を概観つつ、それぞれの関連性に関する 先行研究についてもレヴューする。但し、WE と POS との関連性については先行研究がある が、WE や POS と MBO との関連性について直接検証した先行研究は管見の限り見当たらなか った。そのため MBO の運用によって実施される目標設定や目標達成に向けた上司の支援と WE、 POS との関連性に関する先行研究を中心にレヴューを行う。そしてレヴューした先行研 究を踏まえて設定した分析モデルや仮説について述べる。

第3章では、導出された仮説を検証するために実施した質問票調査に関して、質問項目や 測定尺度、分析の方法について述べる。仮説の検証を行うにあたり独立変数として扱う MBO の運用について因子分析を行い、その結果を本章で示す。

第4章では、まず質問票調査によって得られた回答データを基に回答者の属性や各項目 の記述統計量を確認する。その後、 MBO の運用が WE に与える影響、 MBO の運用が POS を介し て WE に与える影響、さらに MBO による目標達成度等の評価の昇進・昇格への反映度が、 MBO の運用が POS に与える影響を調整するかについて重回帰分析を行い、これらの影響の有無 について確認する。

第5章では、回答データの分析を通じて得られた結果に考察を加え、第6章において、本 研究の理論的意義や実践的示唆を述べる。最後に第7章において、本研究の限界と今後の課 題について述べる。

第2章 先行研究と仮説の導出

2.1 WE の定義と他の概念との弁別性に関する研究

Bakker & Leiter(2010)によれば、WE とは仕事に関連するウェルビーイングの状態を指 す用語で、バーンアウトとは対極の状態であると同時に、エンゲイジしている人は、高い水 準の活力と仕事への強い一体感によって特徴づけられるとしている。

しかし、 Bakker & Leiter(2010)は、エンゲイジメントの定義は必ずしも統一的なもので

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5

はなく、特にビジネスとアカデミックの分野では捉え方が異なると述べている。特に人事コ ンサルタント会社の間で使われているエンゲイジメントは、主に組織コミットメントと役 割外行動の2つの要素を指していることが多く、目新しい概念ではないと指摘している。

アカデミックの分野で初めてエンゲイジメントの概念に触れたのは Kahn(1990)であると されている。 Bakker & Leiter(2010)によれば、 Kahn(1990)はエンゲイジメントについて「組 織成員の自己を彼らの仕事上の役割に結び付け、その力を利用すること。すなわち、エンゲ イジしている人は、身体的、認知的、感情的、精神的に自分の役割と関わっている」と説明 した。これを踏まえて Schaufeli, Salanova, González-Romá & Bakker(2002)は、 「ポジテ ィブで、達成感に満ちた、仕事に関連のある心の状態である活力、熱意、没頭をその特徴と する」という操作化された WE の定義を示した(Bakker & Leiter, 2010) 。この定義をもと に Schaufeli & Bakker(2003)は活力、熱意、没頭の3つの視点から構成されるユトレヒト・

ワーク・エンゲイジメント尺度(Utrecht Work Engagement Scale : 以下、UWES)を開発し た。

WE については、他の心理概念との類似性が指摘されていることから、UWES によって測定 された WE と他の概念との弁別性を検証した研究もなされている。例えば Hallberg &

Schaufeli(2006)では、組織コミットメントとエンゲイジメントの弁別性を確認的因子分析 により検証して、2つの概念の間に一定の相関を見出したものの、両者とは異なる概念であ ると結論付けた。Bakker & Leiter(2010)のレヴューによれば、このほかにもワーカホリズ ム、個人の自発性や仕事への関与などとの弁別妥当性が確認されている。これらを踏まえて、

本研究では WE の定義は Schaufeli, et al.(2002)に則り、測定尺度として UWES を用いる。

2.2 WE の結果要因と仕事の要求度-資源モデルに関する研究

WE の結果要因に関する先行研究をみると、Hakanen, Bakker & Schaufeli(2006)が、 WE と 組 織 コ ミ ッ ト メ ン ト と の 間 に 有 意 な 関 係 が あ る こ と を 示 し た ほ か 、 Schaufeli &

Bakker(2004)は、離職意思の低下やバーンアウト(燃え尽き症候群)などの心身症状の低下 と有意な関係があることを示した。このように WE の結果要因は、仕事に関するパフォーマ ンスと関係するものに加え、従業員の精神的、身体的健康に関するものも検証されていると ころに特徴がある。すなわち、WE の向上は単に会社の業績や生産性を向上させるだけでな く、従業員のメンタルヘルスを良好な状態にすることを示している。

このような WE という概念を、WE の規定要因と結果要因、また WE と対極的な概念である バーンアウトを用いて理論的枠組みとして示したものが Demerouti, Bakker, Nachreiner &

Schaufeli (2001)らが提唱した仕事の要求度-資源モデル(job demands-resources model:

以下, JD-R モデル)である。 JD-R モデルは仕事の要求度と仕事の資源という2つの条件が、

互いに関連しつつ健康障害プロセスと動機付けプロセスの2つの心理的プロセスを引き起

こすとしている。健康障害プロセスとは、仕事の量的・質的負荷を表す仕事の要求度が従業

員にとって過剰な負担となる場合には、バーンアウトや不健康につながる過程のことであ

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6

る。一方、動機付けプロセスは、個々の従業員に資源を提供する仕事の側面を表す仕事の資 源が充実しているとバーンアウトを低減させると同時に WE を高め、組織コミットメントや ポジティブなアウトカムを発生させる過程のことである。JD-R モデルの概念図は図1のと おりである。

図1:仕事の要求度-資源モデルの概念図

健康障害プロセスにおいてバーンアウトの規定要因とされている仕事の要求度の具体例 として Bakker & Leiter(2010)は「時間や仕事のプレッシャー、対人業務における情緒的 負担、有害な物理的労働環境、役割の曖昧さ、役割葛藤、役割過重など」を挙げている。

一方、動機付けプロセスにおいて WE の規定要因とされる仕事の資源の具体例は、パフォ ーマンスに関するフィードバックや成果、仕事のコントロールや自律性、同僚からの社会的 支援、課題の多様性や成長の機会、上司の支援やコーチングなどであるとされている

(Bakker & Leiter, 2010) 。パフォーマンスに関するフィードバックや上司の支援、コーチ ングなどは日常的な場面だけでなく MBO の機会に行われることも多く想定されることから、

MBO も仕事の資源として WE の規定要因となりうる。

2.3 WE の規定要因に関する研究

WE の規定要因については JD-R モデルの仕事の資源としてだけでなく、多くの研究が行わ れており、設楽(2012)はこれを大きく個人要因と仕事要因の2つに分けてレヴューしてい る。個人要因とは、楽観性や外向性、神経症傾向といったパーソナリティ特性、気質、役職、

性別、年齢などのデモグラフィック要因、自己効力感などである。これに対して仕事要因と は、仕事に関する上司からのフィードバックや仕事のコントロール、自律性、同僚からのソ ーシャル・サポートなどで、その多くが JD-R モデルにおける仕事の資源に対応する。

WE に関して企業が採るべき行動について、個人要因に着目するのであれば採用試験など

を通じて WE を高く維持できる人材を発見し採用したり、重要なポジションへ配置すること

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7

も考えられるが、既存の従業員の個人要因を組織が変化させたり、コントロールすることは 難しい。一方、仕事要因は HRM 施策等を通じて企業側がコントロールできる。従って、従業 員の WE を高めるという観点から実務的な示唆を得るためには、仕事要因、 JD-R モデルにお ける仕事の資源に着目して、どのような HRM 施策が WE を高めるのかを検討することが有用 である。

WE の規定要因について先行研究を概観すると、Schaufeli & Bakker(2004)は、JD-R モデ ルを実証する研究の中で、オランダの保険会社や職業健康安全サービス会社など複数の企 業の管理監督者を対象に WE の規定要因に関する調査を行い、同僚による支援(ソーシャル サポート) 、上司によるコーチングやフィードバックと WE との間に有意な関係があること を示した。また Jackson, Rothmann & Vijver(2006)は、南アフリカの教員を対象とした 調査で、WE の規定要因として組織的支援と成長機会、昇進の3点があることを示した。こ こでいう組織支援とは、仕事で困難に直面した際、同僚や上司からの助けが得られるかなど、

同僚や上司からの支援の程度を問うものである。また成長機会とは、仕事の裁量幅や自身の 成長を促す仕事か否かといった内容であり、昇進は、昇進の機会の有無や生活していくため に十分な給与が与えられているかなどが含まれている。

このほかにも Moliner, Martinez-Tur, Ramos, Peiro & Cropanzano(2008)は、分配的公 正性や手続的公正性などの組織的公正性との関連を、Hakanen, Bakker & Schaufeli(2006) は職場の雰囲気が快適でリラックスしたものか、たえず仕事に対する改善を行う組織かな どの組織風土を規定要因として検証し、いずれも WE との相関を明らかにしている。

このように WE の規定要因として上司や同僚の支援、組織風土など様々な要因が挙げられ ているものの、具体的な HRM 施策の有無やその運用によって WE がどのように変化するかに ついての研究は十分になされていない。

2.4 日本における WE の先行研究

日本における WE 研究の動向分析を行った前川・上野(2018)は、日本における WE 研究は 実践的な研究が比較的多くなされているものの、海外の論文数と比較すると少なく、まだま だ未開の分野であると指摘している。加えて、前川・上野(2018)は、 WE 研究の対象として 国内外を問わず看護分野で働く人々が注目されていると述べている。実際に、塚田(2017)

によれば国内の WE 研究のうち、全体の半数が看護職や保健師を研究対象としている。 WE 研 究の多くが看護分野で働く人を対象としている理由について前川・上野(2018)は、看護分 野におけるバーンアウトが世界共通の問題となっており、その対策となる考え方として WE が注目されていることを理由として挙げている。

一般的なビジネスパーソンを対象とした WE の研究は看護分野で働く人を対象にした研究

より相対的に少ない中で、ビジネスパーソン等を対象とした WE 研究には、働く目的に着目

したもの(小畑・森下, 2014)やリカバリー経験との関連に着目したもの(窪田・島津・川

上, 2014)などがある。また小川(2017a)は、企業で働く女性従業員を対象として勤務時

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間の融通の利きやすさや仕事と生活の両立支援度合いなど就業時間に関する組織からのサ ポートを WE の規定要因と捉え、これらが WE を通じて退職意思と関係するかについて実証 研究を行い、両者に有意な関係があることを示した。さらに小川(2017b)では、女性従業 員に対する教育訓練投資と WE、退職意思との関係を分析し、教育訓練投資が直接退職意思 を低下させる効果があること、教育訓練投資が WE を媒介変数として退職意思を低下させる ことを示した。

このように日本における WE 研究は、HRM 施策を規定要因と捉えて研究したものが存在す るものの、その数は少なく、MBO と WE の関係について検討したものは管見の限り見られな い。この点は海外の研究にも共通しており、WE を具体的に高めるための方策を見出すため に、WE の規定要因となる具体的な HRM 施策をさらに検証する必要がある。

2.5 POS と WE についての先行研究

Bakker & Leiter(2010)では WE の規定要因として、上司からの支援やフィードバック、

コーチングが多く研究されていると述べているが、注目すべきはこのような支援等がどの ような背景をもって実施されたかである。なぜなら上司の支援は、彼らが自主的に行ったも のだけでなく、MBO などの HRM 施策を背景に行われていることもあるからである。また、こ のような HRM 施策が自主的に行われている上司の支援行動等を強めている可能性もある。

そのため本研究では、HRM 施策と WE との関係性を検証する。

HRM 施策が WE の直接的な規定要因となることも否定できないが、HRM 施策という制度の 有無や運用状況が活力をもって働くという心理状態に影響を与えるという因果は、やや遠 因的であり、何らかの心理的要因が媒介することも考えられる。そこで本研究では Eisenberger, Huntington, Hutchison & Sowa(1986)によって提唱された POS に着目する。

佐藤(2014)によれば、 POS とは、 「従業員の貢献を組織がどの程度評価しているのか、従

業員の well-being に対して組織がどの程度配慮しているのかに関して、従業員が抱く全般

的な信念」(Eisenberger & Stinglhamber, 2011)と定義され、組織コミットメントや職務 満足度を説明する理論的な概念として有用性が認められている。 POS に関するこれまでの研 究をレヴューした佐藤(2014)では、POS の規定要因として HRM 施策を取り上げた研究が数 多くあることを指摘している。また Eisenberger, Stinglhamber, Vandenberghe, Sucharski

& Rhoades(2002)は、知覚された上司からの支援(Perceived Supervisor Support:以下,

PSS)と POS が有意な正の関係にあることを示した。これは部下にとって仕事上の指示や判

断を下す上司からの支援は、所属する組織からの支援であると知覚されること示唆してい る。このような POS と WE との関連性については、 Kinnunen, Feldt & Mäkikangas(2008)が、

フィンランドの管理職を対象に、努力―報酬不均衡モデルにおける POS の役割を検証した 研究の中で、POS が WE の規定要因として正の影響を与えることを明らかにしている。

さらに、 HRM 施策と POS、エンゲイジメントを分析モデルに取り入れた研究として Alfes,

Shantz, Truss & Soane(2013)がある。Alfes, et al.(2013)では、UWES とは異なるエンゲ

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イジメントの尺度を使用しているものの、エンゲイジメントの結果要因として組織市民行 動と離職意思を置き、その調整変数として POS を想定して交互作用項を測定した結果、有意 な正の影響があることを示した。さらにエンゲイジメントの規定要因として HRM 施策との 関係についても調査し、 エンゲイジメントと HRM 施策との間に有意な正の影響が見られた。

このように Alfes, et al.(2013)は POS を HRM 施策とエンゲイジメントの媒介変数としてで はなく、エンゲイジメントと結果変数の調整変数として扱っている。

しかし、前述の Kinnunen, Feldt & Mäkikangas(2008)が、POS が WE の規定要因であるこ とを明らかにしていることや、佐藤(2014)が、 POS の規定要因として HRM 施策との関係を明 らかにした研究が多くあることを指摘していることから、POS を HRM 施策と WE を結ぶ媒介 変数として捉えることも十分に合理性がある。

これまで WE の規定要因として仕事に対するフィードバックや上司の支援などが検証され てきたが、従業員にとってこれらの支援や HRM 施策は、会社という組織からの支援であると の認識を経て WE に影響していると想定される。すなわち、気持ちよく働ける環境は、従業 員自身が会社から大切にされ、支援されているという知覚に結び付き、これが WE に正の影 響を与えているということである。これを踏まえると、POS を WE の媒介変数として考える ことで、HRM 施策と WE の関係性をより正確に捉えられると予想した。

そこで本研究では HRM 施策を WE の規定要因ととらえ、その媒介変数として POS を想定し たモデルで検証を行う。

2.6 MBO に関する先行研究 2.6.1 MBO の定義

本研究では WE の規定要因としての HRM 施策について検証するが、具体的にどのような HRM 施策に着目して検証するかが問題となる。すでに明らかとなっている WE の規定要因と して同僚や上司からの支援や上司からのフィードバックなどが挙げられているが、これら と関連性が高い HRM 施策として本研究では MBO に着目する。

労務行政研究所(2018b)によれば、 2018 年に実施した人事労務諸制度実施状況調査で調査 対象企業の 79.3%が MBO を導入しており、MBO は我が国において最も広く浸透した HRM 施 策の一つである。しかし、 MBO は企業によって様々な運用がなされていることから、一口に MBO の制度を定義することは難しい。この点について奥野(2004)は以下のような一定の手 続きを備えている管理手法を MBO であると定義した。

① 全社目標から個人目標までの目標の連鎖体系が成り立っている, あるいは意識され ていること。

② 上司と部下が話し合い, 双方が合意する目標を設定していること。

③ 目標は明確であり, 時限的であり, 目標管理シートなどに記述されること。

④ 上司は部下の援助者, 相談者である。特に, 目標の実行期間中には上司は部下を放任

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10 するのではなく支援すること。

⑤ 一定の期間ごとに上司と部下の面談を行い, その期の目標の達成度を評価すること。

奥野(2004)p.27

MBO の本来の目的を踏まえれば、①から⑤のような手続きを踏んでいることが前提となる

が、企業あるいは部署によってこのような手続きの一部しか制度化されていない場合や、梅 崎・中嶋(2005)が指摘するように、制度としてはあるものの実際は十分に実行されていない ことも考えられる。従って、本研究では MBO の導入の有無だけでなく、MBO の運用にも着目 し、MBO の運用状況と WE の関係性を検証する。

2.6.2 MBO の効果

MBO は期首に目標を設定し、進捗状況を管理しながら最終的に目標達成度を評価するとい

う通年のプログラムが組まれていることが多く、部下と上司が労力と時間をかけて行って いる制度である。当然、企業にとってもそれだけのコストをかけていることになる。MBO を 導入することで組織目標の理解や部下の参加意識の向上、上司と部下のコミュニケーショ ンの促進などが期待されるが、この制度が実際にこのような効果を発揮しているかについ て、日本では十分な研究がなされていない(奥野, 2004) 。

そこで奥野(2004)は、米国の MBO の効果に関する研究をレヴューし、3つの視点から MBO を捉えて研究が進められていると述べている。1つは、MBO を全社的なマネジメント・

システムとして捉えて、企業全体や特定のグループのパフォーマンスの変化等を見る研究 で、2つ目は、 MBO を人事評価制度と捉えて、評価の対象となる個人の認知に焦点を当てた 研究である。3つ目は、困難で明確な目標は曖昧な目標よりも高いパフォーマンスを生み、

その効果は目標達成度に関するフィードバックを与えたときにより高まるとされる目標設 定理論(goal-setting theory)から見た研究である。

このような米国の先行研究を踏まえると、 MBO には①組織全体の目標と個人の行動を結び 付ける機能、②適切な人事評価を行うための機能、そして③個人の能力を最大限に引き出す 能力開発としての機能などがあるといえる。米国では様々な観点から MBO の効果について 研究が行われているが、日本においては MBO を人事評価制度として捉え、評価の公正性や納 得度を測定することに中心的な関心がある(奥野, 2004) 。例えば、奥野(2004)では、組 織目標と個人目標との関連付けや中間面談の実施、目標達成度合いやプロセスに対する上 司の助言など 10 項目を設定し、それらと目標管理への賛否、評価への納得度の相関関係を 検証した結果、ほぼすべての項目で強い相関があることを示した。また古畑・髙橋(2000)

は、 MBO の導入企業と非導入企業との間で人事評価の納得度や人事評価のフィードバックの

充実度の違いを分析した。さらに、この結果と日本 IBM 株式会社が自社のビジネスや組織運

営が効率的になされているかなどを調査したビジネス・エフェクティブネス・サーベイの結

果とも比較している。当時の日本 IBM は社員の仕事に対する満足度を高め、その能力伸長を

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上司が支援することや、社員の長所や改善点を勘案し将来的に何をすべきかについて上司 と社員が話し合う機会を設けるなど、目標管理の考え方をベースとした PBC (Personal

Business Commitment) プログラムを実施していた。また、PBC プログラムは給与管理や昇

進・昇格等の人事制度とも直接リンクしていた。このようなプログラムを実施する同社の調 査結果のうち PBC に関連する項目についてみると「成長への上司の支援」や「上司とのツー ウェイ・コミュニケーション」などの項目の満足度が高かったことが示されている。同社の PBC が本研究で目標管理制度と定義している手続きをほぼ備えていることと合わせて考え ると、適正な MBO の実施は、従業員の目標達成に向けた行動を引き出し、目標達成に必要な 上司の支援を強化する効果があることを示唆している。

また、塩月・三原・古屋・敦・開本(2019)は、MBO の運用と従業員の内発的モチベーシ ョンの関係について検証した。塩月ら(2019)は、MBO の運用を目標の内容がやりがいや達 成感を感じるものかという①「目標の質」 、 MBO で実施される面談で上司と十分に話し合え、

自分の発言が尊重されるかという②「面談の質」 、目標達成に向けて上司が支援してくれる かなどの③「上司とのかかわり」という3つの視点で捉え、 「目標の質」の高さが、自身の 有能さや仕事に対する自律性の知覚を高め、内発的モチベーションを向上させる効果があ ることを明らかにした。一方、 「面談の質」や「上司とのかかわり」は、上司や職場との関 係性の知覚を向上させるものの、先の有能さや自律性の知覚との直接の関連はなく、これら を介しての内発的モチベーションとの関連もないという結果となった。ただ、この点につい ては、職場との関係性が自身の有能さや仕事に対する自律性を高めるという関係にあるこ とから、 「面談の質」や「上司とのかかわり」が内発的モチベーションに全く影響しないと 判断するのは留保すべきであると述べている。

そこで本研究では、塩月ら(2019)の研究で使用した①目標の質、②面談の質、③上司との かかわりに加え、奥野(2004)で MBO の重要な機能であると指摘されている④組織目標と個 人目標との関連性の4つを MBO の運用として捉え、 これらと WE の関係性について検証する。

2.6.3 MBO と WE・POS との関係性について

MBO と WE を直接的に関係付けた研究は管見の限り見られなかったが、 Schaufeli &

Bakker(2004)では「私の上司は自らの影響力を使って職場の問題解決を手助けしてくれる」 、

「自分の仕事の到達点について十分な情報が得られる」といった質問項目で上司による支 援等の程度を測定し、これらと WE の間に有意な正の関係があることを示した。また、

Xanthopoulou, Bakker, Demerouti & Schaufeli(2009)は、自己効力感、自尊心、楽観性を 内容とする個人の資源、上司によるコーチングやフィードバックなどを内容とする仕事の 資源と、WE との関連を調査し、個人の資源と仕事の資源が WE と関連しているだけでなく、

個人の資源と仕事の資源も相互に関連し合うことを明らかにした。Xanthopoulou, et

al.(2009)で個人の資源の構成要素となっている自己効力感は、 Bakker & Leiter(2010)の

中で「与えられた目標を達成するために必要な一連の行動を計画・実行することができると

(13)

12

いう信念」 (Bandura, 1997)とされている。そのため MBO で設定する目標内容と WE の間に も関連があることが示唆される。さらに Hutchison & Garstka(1996)は、業績評価のプロセ スにおける従業員の目標設定への参加度合いと上司からのフィードバックに着目し、この 2つの要素が POS を媒介変数として組織コミットメントと正の関係にあることを示してい る。これらを踏まえると MBO と WE ・ POS との間にも何らかの関係があることが予想される。

2.7 分析モデルと仮説の導出

先行研究を踏まえて本研究では、WE の規定要因として MBO の運用に着目し、どのような MBO の運用が WE の向上に資するのかについて検証する。その際、WE と MBO を媒介する変数 として POS を想定し、MBO の運用が POS を介して WE を高めるというモデルを基本とする。

さらに本研究では、奥野(2004)が指摘するように 1990 年代中期以降、成果主義的な人事 制度が強調されるなかで、一定期間の個人の成果を客観的に測定する手法として目標管理 を導入する企業が急増してきた経緯を踏まえ、目標達成度等の MBO による評価が人事考課 にどの程度反映されるかにより、 MBO の運用が POS に与える影響を調整するかについても検 証する。これらの分析モデルを図にしたものが図2である。

本研究では MBO の運用を組織目標との関連性、目標の充実度、上司の目標達成支援、面談 の充実度の4つに分けた。これは塩月ら(2019)が MBO の内容として定義した「目標の質」 、

「面談の質」 、 「上司とのかかわり」を参考にしつつ、奥野(2004)で指摘されている組織目 標との関連性にも着目し、MBO の運用を構成する要素に加えて設定した。

図2:分析モデル

(14)

13

仮説1では MBO の運用と WE の直接の影響について検証する。 Xanthopoulou, et al.(2009) により WE と自己効力感との関連が明らかとなっていることから、MBO で設定する目標の内 容と WE の間にも関連があると考えられる。また、塩月ら(2019)によれば、MBO の運用の中 で設定される目標のやりがいや組織目標実現への貢献度など、目標の質が従業員の有能感 や自律性を高めて内発的モチベーションに正の影響を与えることが示されている。厚生労 働省(2019)では、WE とワーク・モチベーションとの違いについて、ワーク・モチベーショ ンは、ある行動に駆り立てる構造や過程に関連する概念である一方で、WE は、行動を起こ す主体としての個人が、動機付けられた結果として経験する「感情」や「認知」に関連する概 念を示していると述べており、2つの概念は弁別されるものの、WE がワーク・モチベーシ ョンの結果要因として関連する概念であると述べている。このような WE とワーク・モチベ ーションの関係性を踏まえて、塩月ら(2019)のモデルを参考に結果要因を内発的モチベー ションではなく WE にして検証する。まず MBO の目標についての仮説は、塩月ら(2019)の目 標の質の内容を参考にしつつ、 MBO における目標内容を①組織目標との関連性と②目標のや りがいや達成感等の2つの視点に分けて仮説1-1、仮説1-2を設定した。

また、 Bakker & Leiter(2010)によれば WE の規定要因として上司からのコーチング、仕 事の成果に対するフィードバックが明らかとなっていることから、 MBO を運用する過程で行 われる上司の目標達成支援や、目標達成度や進捗状況について話し合う MBO での面談の充 実度は WE に正の影響があると予想し、仮説1-3及び仮説1-4を設定した。

【仮説1】

仮説1-1 MBO における組織目標との関連性は、WE に正の影響を与える 仮説1-2 MBO における目標の充実度は、WE に正の影響を与える 仮説1-3 MBO における上司の目標達成支援は、WE に正の影響を与える 仮説1-4 MBO における面談の充実度は、WE に正の影響を与える

仮説2では MBO の運用が POS を介して WE に与える影響について検証する。まず、POS と WE は Kinnunen, Feldt & Mäkikangas(2008)が、両者との間に有意な関係があることを明ら かにしている。従って、 POS が高まれば WE が高まる。加えて、佐藤(2014)は、 POS が組織コ ミットメントや職務満足など WE と関係性のある概念の先行要因であるとする論文をレヴュ ーしている。そこで、POS が WE の媒介変数として機能するという仮説をおく。

Hutchison & Garstka(1996)は、業績評価のプロセスにおける従業員の目標設定への参加 度合いが POS を媒介変数として組織コミットメントと正の関係にあることを示している。

目標設定への参加度合いは、間接的に目標内容に影響を与え、ひいてはやりがいや達成感も 高めることが予想されることを踏まえて、仮説2-1、仮説2-2を設定した。

Eisenberger, et al(2002)は、PSS と POS との間に有意な関係があることを明らかにして

いることから、 MBO の運用上行われる上司からの目標達成に向けた支援や面談の充実といっ

(15)

14

た上司からの支援が POS を高めると予想される(仮説2-3)。また、 Hutchison &

Garstka(1996)は、業績評価のプロセスにおけるフィードバックが POS を媒介変数として組

織コミットメントと正の関係にあることを示している。また、 MBO におけるフィードバック は面談を通して行われることから仮説2-4を導出する。

【仮説2】

仮説2-1 MBO における組織目標との関連性は、POS を介して WE に正の影響を与える 仮説2-2 MBO における目標の充実度は、POS を介して WE に正の影響を与える 仮説2-3 MBO における上司の目標達成支援は、POS を介して WE に正の影響を与える 仮説2-4 MBO における面談の充実度は、POS を介して WE に正の影響を与える

仮説3では、 MBO の運用が POS に与える影響を MBO による評価の昇進・昇格への反映度が 調整する効果を検討する。 MBO による目標達成状況などの評価が従業員の昇進・昇格に反映 される度合いが高ければ、 従業員にとっては MBO を通じた目標達成が大きな関心事となり、

MBO の公正な運用への期待も高まる。これにより、MBO の形骸化も起きにくくなり、MBO の 運用が POS に与える影響を強めることが予想される。

奥野(2004)が指摘するように、成果主義を支える人事評価制度として MBO を導入する企 業が増えている。また、企業の成果主義の導入意図について守島(1999)は、 「職能資格制 度のもとで個人間で比較的平準化されていた賃金の格差を大きくし、従業員により大きな インセンティブを与えて働く意欲を高めていこうとするもの」であると述べている。

これらの点を踏まえると、 MBO による評価の昇進・昇格への反映度が高いほど成果主義的、

競争主義的な職場であることが予想される。林・高橋(2002)では、競争的な職場では競争 的でない職場と比べて MBO の実施が人事評価の納得感を高めると仮定し、検証を試みた。そ の結果、仮説に反して、競争的な職場では MBO の実施が人事評価の納得感を低めることを明 らかにした。林・高橋(2002)は、このような結果になった原因として、競争的な職場にお いては、自分の目標達成にだけ集中せざるを得なくなるほか、結果だけが問われ、目標達成 のプロセスで行ってきた努力や創意工夫が報われないなど、自身の評価が不安定要素に大 きく影響されることにより、MBO に不信感を抱きがちになることを挙げている。これは MBO の運用状況によっては MBO の企図する目的を達成できない可能性がある反面、 MBO の運用が 適正に行われれば人事評価の公正性を高めるなど MBO の企図する効果を強めることも示唆 している。

そこで本研究では、MBO の有無だけでなく、MBO の運用面にまで着目し、 MBO の運用、MBO

による評価の昇進・昇格への反映度、POS の関係を検証する。これにより、MBO による評価

の昇進・昇格への反映度と WE との関係も間接的に検証できる。

(16)

15

【仮説3】

仮説3-1 MBO による評価の昇進・昇格への反映度は、組織目標との関連性が POS に与える正の影響を強める

仮説3-2 MBO による評価の昇進・昇格への反映度は、目標の充実度が POS に与える正の影響を強める

仮説3-3 MBO による評価の昇進・昇格への反映度は、上司の目標達成支援が POS に与える正の影響を強める

仮説3-4 MBO による評価の昇進・昇格への反映度は、面談の充実度が POS に与える正の影響を強める

第3章 調査内容

3.1 調査対象と調査方法

調査対象者は、 従業員数 301 人以上の民間企業に勤める 18 歳以上 60 歳未満の正社員で、

勤続 3 年以上の者とした。従業員数については、 MBO を実施できるだけの経営資源を持った 企業を抽出するため中小企業基本法上の中小企業者を除外した。また、対象を正社員に限定 したのは MBO の適用を受ける可能性が高い人物のデータを多く集めることを意図したため である。さらに勤続年数は、会社の人事制度についてある程度の理解が進んでいる人物を抽 出するため勤続 3 年以上の条件を設けた。

このような調査対象に対して 2019 年 10 月 3 日~2019 年 10 月 4 日にかけてインターネッ ト調査会社アスマークを通じて WEB 上で質問紙調査を実施し、500 名から回答が得られた。

そのうち反転項目を含む質問項目にすべて同じ回答を行っていた回答者 36 名を分析対象か ら外した。また、 MBO の運用状況に関する質問に回答した回答者は有効回答者 464 名のうち 260 名であり、回答者が属する会社の半数以上で MBO が実施されていた。

回答者の性別、年齢、勤続年数、最終学歴、年収、仕事の性質、役職は表1に示すとおり である。まず、回答者 464 名の性別は男性 354 名(76.3%) 、女性 110 名(23.7%)で、平 均年齢は 45.8 歳であった。40 代と 50 代で 74.8%を占めていることからやや年齢層が高 い。勤続年数は、 10 年未満が 122 人(26.3%) 、20 年未満が 140 人(30.2%) 、30 年未満が 126 人(27.2%) 、40 年未満が 75 人(16.2%) 、50 年未満が 1 人(0.2%)となっており、

勤続年数 30 年未満が 8 割以上となっている。最終学歴は、中学卒 2 名(0.4%) 、高校卒 72 人(15.5%) 、専修学校・各種学校卒 29 人(6.3%) 、高専・短大卒 26 人(5.6%) 、大学卒 285 人(61.4%) 、大学院卒 50 人(10.8%)となっており、大学卒の割合が最も多い。年収 は 300 万円から 699 万円までの層で 52.8%と半数を超えている一方で、1000 万円以上も 12.1%いる。これは平均年齢が高く、給料の高い年次の回答者が多かったことが原因である と思われる。仕事の性質は、定型的業務が多いが 102 人(22.0%) 、定型的業務と非定型的 業務が同程度が 207 人(44.6%) 、非定型的業務が多いが 155 人(33.4%)となっており、

自ら考えて判断したり、他人に指示したりする仕事の割合が半分以上である回答者が

(17)

16

78.0%と約 8 割を占めている。役職については一般社員が 46.8%と最も多く、本研究で管

理職と定義する課長・参与クラス、部長クラスの割合が 24.8%であった。

この結果をまとめると従業員数 301 名以上の比較的大きな企業に勤めており、勤続年数 が 18 年で年収 500 万円から 599 万円の 40 代半ばの非管理職大学卒男性が本研究の標準的 な回答者ということになる。

表1:回答者の基本属性(年齢層別)

※四捨五入により小数点以下の合計値が合わない場合がある

20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 合計 割合(%)

男性

8 54 130 162 354 76.3

女性

9 46 33 22 110 23.7

3~9年

16 49 36 21 122 26.3

10~19年

1 49 57 33 140 30.2

20~29年

0 2 67 57 126 27.2

30~39年

0 0 3 72 75 16.2

40~49年

0 0 0 1 1 0.2

中学

0 0 1 1 2 0.4

高校

4 10 33 25 72 15.5

専修学校・各種学校

2 6 14 7 29 6.3

高専・短大

1 8 12 5 26 5.6

大学

9 68 81 127 285 61.4

大学院

1 8 22 19 50 10.8

100万円未満

0 1 1 0 2 0.4

100~199万円

1 2 2 0 5 1.1

200~299万円

2 7 9 3 21 4.5

300~399万円

10 15 15 14 54 11.6

400~499万円

3 23 18 14 58 12.5

500~599万円

0 20 33 29 82 17.7

600~699万円

1 14 17 19 51 11.0

700~799万円

0 7 21 17 45 9.7

800~899万円

0 1 13 20 34 7.3

900~999万円

0 2 11 22 35 7.5

1000万円以上

0 2 15 39 56 12.1

わからない・答えなくない

0 6 8 7 21 4.5

定型的業務が多い

5 30 37 30 102 22.0

定型的業務と非定型的業務が同程度

9 42 69 87 207 44.6

非定型的業務が多い

3 28 57 67 155 33.4

一般社員

14 66 73 64 217 46.8

主任クラス

3 22 27 24 76 16.4

課長補佐・係長クラス

0 4 26 25 55 11.9

課長・参与クラス

0 7 31 38 76 16.4

部長クラス

0 0 6 33 39 8.4

その他

0 1 0 0 1 0.2

17 100 163 184 464

3.7 21.6 35.1 39.7 100.0

合計

(上段:人・下段:%)

年齢

性別

勤続年数

役職 最終学歴

年収

仕事の性質

属性

(18)

17 3.2 測定尺度

本研究では、従属変数として WE、独立変数として POS、 MBO の運用状況に関する質問項目 を測定した。また、これらの変数に影響を与える可能性がある統制変数として性別、年齢、

勤続年数、最終学歴、年収、仕事の性質、役職、日常的な上司の支援を測定した。

3.2.1 従属変数:WE

WE の 尺 度 は 、 Shimazu, Schaufeli, Kosugi, Suzuki, Nashiwa, Kato, Sakamoto, Irimajiri, Amano, Hirohata & Goto(2008)に示された日本語のユトレヒト・ワーク・エン ゲイジメント尺度9項目版を使用した。回答は、各質問内容に関して該当する頻度を「1=い つも感じる」から「7=全くない」の 7 件法で求めた。なお、統計分析を行う際は、 「1=いつ も感じる」を7点、 「7=全くない」を1点として尺度を反転したうえで総和の平均値を指標 に用いた(平均値=3.504、標準偏差=1.487、クロンバックの α=0.965) 。

3.2.2 独立変数:POS

POS の尺度は、Eisenberger, et al.(1986)に示された尺度の短縮版(16 項目)を日本語 に訳したものを使用した。回答は、各質問内容に関して該当する頻度を「1= 強くそう思う」

から「7=強くそう思わない」の 7 件法で求めた。なお、統計分析を行う際は、 「1= 強くそ う思う」を7点、 「7=強くそう思わない」を1点として尺度を反転したうえで総和の平均値 を指標に用いた(平均値=3.692、標準偏差=0.890、クロンバックの α=0.913) 。

3.2.3 独立変数:MBO の運用

MBO の運用に関する尺度は、塩月ら(2019)の「目標の質」 、 「面談の質」 、 「上司とのかか わり」の3つの概念に関する質問項目や奥野(2004)で使用した尺度を参考に組織目標と個 人目標との関連性に関する設問、 「全社的な経営戦略や経営目標と組織目標との関連性が説 明される」や「組織目標について職場のメンバーで話し合い、共有している」 、MBO の面談 に関する「目標の達成度について、自己評価を上司に伝え、率直な意見交換ができている」

を加えた。さらに、目標の達成困難度を問う「目標は自身の能力や過去の実績に照らして確 実に達成できる目標である」などを加え、計 24 項目とした。なお、引用した尺度について、

面談の名称や語尾の表現などは、他の質問との整合性を踏まえて修正した。回答は各質問内 容に関して該当する頻度を「1= よくあてはまる」から「5=まったくあてはまらない」の5 件法で求めた。なお、統計分析を行う際は、 「1= よくあてはまる」を5点、 「5=まったくあ てはまらない」を1点として尺度を反転したうえで、分類された因子ごとに総和の平均値を 算出し指標に用いた。

以上のような MBO 運用状況を測定する設問 24 項目について、最尤法、プロマックス回

転の条件で探索的因子分析を行った。その結果、因子負荷量が低いものや他の因子と因子負

荷量が高くグルーピングが困難な項目などを除き、最終的に 17 項目で因子分析を行い4因

(19)

18

子が抽出された。表2にその結果を示す。抽出された 4 因子に含まれる項目を見ると、塩 月ら(2019)における「目標の質」 、 「面談の質」 、 「上司とのかかわり」にほぼ対応した因子 に分かれたが、 「全社的な経営戦略や経営目標と組織目標との関連性が説明される」や「組 織目標について職場のメンバーで話し合い、共有している」と、塩月ら(2019)で「目標の 質」として分類されていた「目標は、達成すると組織目標の実現に貢献するものである」と

「会社・部門のビジョンを理解し、自ら目標が立てられる」が組織目標と個人目標との関連 性を示す独立した因子として分類された。また、独自に加えた目標の達成困難度を問う「目 標は自身の能力や過去の実績に照らして確実に達成できる目標である」は、塩月ら(2019)

における「目標の質」の質問項目と同じ因子として分類された。

これにより第1因子は面談の充実度、第2因子は上司の目標達成支援、第3因子は目標の 充実度、第 4 因子は組織目標との関連性として構成され、内的整合性を確認するため、 17 項 目を用いてクロンバックの α を算出したところ α=0.955 と十分な値が得られた。なお、

因子別では、 α を算出したところ第 1 因子が α=0.947 (平均値=3.192、 標準偏差=0.937) 、 第 2 因子が α=0.919 (平均値=3.081、標準偏差=0.982) 、第 3 因子が α=0.837(平均値=

3.283、標準偏差=0.816) 、第4因子が α=0.857(平均値=3.447、標準偏差=0.877)と十

分に満足できる値となった。

(20)

19

表2:MBO の運用の因子分析結果

質問項目 面談の充実度 上司の

目標達成支援

目標の 充実度

組織目標との

関連性 共通性

目標の達成度について、自己評価を上司に伝え、

率直な意見交換ができている

.887 -.012 .031 .015 .827

面談において、上司はあなたの気持ちを理解しよう

としている

.849 .090 -.021 -.009 .813

面談において、あなたの発言は尊重されている

.777 -.064 .073 .117 .746

面談において、目標の達成意義を上司と共有できて

いる

.696 .172 .024 .053 .801

面談において、納得いくまで上司と話し合えている

.656 .193 .110 -.036 .773

上司は、目標の進捗状況を気にかけて声をかけてく

れる

-.048 .963 -.040 -.007 .801

上司は、目標に対する問題解決を手助けしてくれる

.100 .810 .010 .000 .809

面談以外でも、期中に目標について上司と話し合う

機会がある

.159 .547 .088 .112 .679

上司は目標に対して良い仕事をしたときに認めた

り、褒めてくれる

.223 .540 .135 .046 .744

目標は、うまくいったら嬉しくて達成感を覚え、

うまくいかなかったら悔しいと思えるものである

-.101 -.040 .978 .102 .889

目標は、自己の成長につながる、やりがいのあるも

のである

.078 .083 .769 -.053 .729

目標は自身の能力や過去の実績に照らして

確実に達成できる目標である

.200 .070 .552 -.168 .442

目標は出来たか出来なかったかが明確に分かるもの

である

.103 -.052 .411 .188 .349

会社・部門のビジョンを理解し、自ら目標が立てら

れる

.013 -.140 .157 .789 .668

目標は、達成すると組織目標の実現に貢献するもの

である

.113 -.035 -.056 .788 .657

全社的な経営戦略や経営目標と組織目標との関連性

が説明される

.086 .063 -.133 .778 .640

組織目標について職場のメンバーで話し合い、共有

している

-.166 .242 .038 .647 .519

因子寄与

8.668 7.800 7.111 6.538

α係数

.947 .919 .837 .857

1.000 .799 .729 .665

.799 1.000 .665 .595

.729 .665 1.000 .598

.665 .595 .598 1.000

因子間相関

(21)

20

3.2.4 独立変数:MBO による評価の昇進・昇格への反映度

本研究では目標達成度等の MBO による評価がどの程度人事考課に反映されるか、 MBO によ る評価と人事考課の関係性を測定した。具体的には「目標管理制度による評価は昇進・昇格 にどの程度関係していますか。 」と質問した。回答は、各質問内容に関して該当する頻度を

「1= かなり関係する」から「5=全く関係ない」 「6=わからない」の6件法で求めた。な お、統計分析を行う際は「6=わからない」を欠損値とし、 「1= かなり関係する」を5点、

「5=全く関係ない」を1点として尺度を反転したうえで用いた。

3.2.5 統制変数

統制変数として、性別(男性=1、女性=0) 、年齢、勤続月数、最終学歴、年収、仕事の 性質、役職、部下に対する日常的な上司の支援を確認した。なお、最終学歴は大学卒、大学 院卒を大卒以上(大卒以上=1、その他=0)として、役職は課長・参与クラス、部長クラス を管理職(管理職=1、その他=0)としてダミー変数化し分析に用いた。

また、仕事の性質は「定型的業務(あらかじめ上司等から指示された内容や手順に従って 行う仕事)が多い」 、 「定型的業務と非定型的業務が同程度ある」 、 「非定型的業務(自ら考え て判断したり、他人に指示したりする仕事)が多い」という項目で担当業務の定型的な業務 の割合を測定している。統制変数としては「定型的業務が多い」を1、それ以外の選択肢を 0としてダミー変数化した。

さらに、部下に対する日常的な上司の支援は、中原(2010)に示されている他者からの支 援に関する質問項目 14 項目を使用した。回答は各質問内容に関して該当する頻度を「1= よ くあてはまる」から「5=まったくあてはまらない」の5件法で求めた。なお、統計分析を行 う際は、 「1= よくあてはまる」を5点、 「5=まったくあてはまらない」を1点として尺度を 反転したうえで、分類された因子ごとに総和の平均値を算出し指標に用いた。中原(2010)に よると、この 14 項目を確認的因子分析した結果、業務支援、内省支援、精神支援の3因子 に分かれたと述べているが、本研究では探索的因子分析の結果、業務支援と内省支援が同一 の因子として検出された(全因子のクロンバックのα=0.961) 。そこで本研究では業務・内 省支援(平均値=3.042、標準偏差=0.871、クロンバックの α=0.950)と精神支援(平均 値=2.647、標準偏差=0.966、クロンバックの α=0.944)の2項目として統制変数に用い た。

3.3 分析の方法

調査結果の統計処理は、HAD を使用し、収集した回答を基に、因子分析、相関分析、重回

帰分析を行った。

(22)

21 第4章 分析結果

4.1 観測変数の記述統計量の確認

観測変数に関しては平均値と標準偏差から天井効果および床効果を検証し、これらが発 生していないことを確認した。まず、統制変数として使用する日常的な上司の支援の記述統 計量を表3に示す。業務・内省支援と精神支援の平均値を比較すると、精神支援はすべての 項目で3を下回っているのに対して、業務・内省支援は9項目中6項目で3を上回っている ことから、調査対象者は精神支援よりも業務・内省支援をより強く受けていると感じている。

表3:日常的な上司の支援の記述統計量

※すべての項目でn=464

※四捨五入により小数点以下の合計値が合わない場合がある

次に従属変数及び媒介変数として用いる WE と POS の記述統計量を表4に示す。7点尺度 の WE の平均値を見ると9項目中6項目で 3.5 以下となっており、中間的な値である4より も低い値となっていることから回答者の WE はやや低いことがわかる。POS の平均値を見る と 16 項目の多くが 3.6 から 3.8 程度と中間的な値である4よりも低い値となっていること から回答者の感じている POS もやや低いといえる。

平均値 中央値 標準偏差 平均+SD 平均-SD 自分にはない専門的知識・スキルを提供してくれる 2.948 3.000 1.048 3.997 1.900 仕事の相談にのってくれる 3.119 3.000 1.056 4.175 2.062 仕事に必要な情報を提供してくれる 3.153 3.000 1.039 4.192 2.114 仕事を進めるうえで必要な他部門との調整をしてくれる 3.086 3.000 1.010 4.096 2.076 自分の目標、手本となっている 2.851 3.000 1.036 3.887 1.815 自律的に働けるよう、まかせてくれる 3.198 3.000 1.060 4.258 2.139 自分について客観的な意見を言ってくれる 3.002 3.000 0.985 3.987 2.017 自分自身を振り返る機会を与えてくれる 2.981 3.000 1.006 3.987 1.974 自分にない新たな視点を与えてくれる 3.041 3.000 1.029 4.070 2.012 精神的な安らぎを与えてくれる 2.636 3.000 1.083 3.719 1.552 仕事の息抜きになる 2.619 3.000 1.051 3.670 1.567 心の支えになってくれる 2.644 3.000 1.068 3.713 1.576 プライベートな相談にのってくれる 2.563 3.000 1.084 3.647 1.478 楽しく仕事ができる雰囲気を与えてくれる 2.774 3.000 1.053 3.827 1.721

項目

業務・内省支援

精神支援

(23)

22

表4:WE と POS の記述統計量

※すべての項目でn=464

※*は反転項目であり記述統計量は反転後の数値である

※四捨五入により小数点以下の合計値が合わない場合がある

平均値 中央値 標準偏差 平均+SD 平均-SD

仕事をしていると、活力がみなぎるように感じる 3.384 4.000 1.693 5.077 1.690

職場では、元気が出て精力的になるように感じる 3.384 3.000 1.687 5.071 1.697

仕事に熱心である 4.024 4.000 1.722 5.746 2.302

仕事は、私に活力を与えてくれる 3.459 4.000 1.666 5.125 1.793

朝に目がさめると、さあ仕事へ行こう、という気持ちになる 3.256 3.000 1.682 4.939 1.574

仕事に没頭しているとき、幸せだと感じる 3.300 3.000 1.641 4.941 1.658

自分の仕事に誇りを感じる 3.698 4.000 1.692 5.390 2.006

私は仕事にのめり込んでいる 3.362 3.500 1.633 4.995 1.729

仕事をしていると、つい夢中になってしまう 3.670 4.000 1.702 5.372 1.969 会社は、組織のwell-being(健全な機能)への私の貢献を高

く評価してくれる 3.707 4.000 1.425 5.132 2.282 会社は、私に代わってほかの誰かをより安い給料で雇えるな

らそうするだろう* 3.606 4.000 1.448 5.054 2.158 会社は、私が求められている以上の努力をしても評価してく

れない* 3.595 4.000 1.327 4.922 2.267

会社は、私の目標や価値観を重視してくれる 3.847 4.000 1.376 5.223 2.471

会社は、私のあらゆる不満を無視するだろう* 3.713 4.000 1.387 5.100 2.326 会社は、私に関係する意思決定をするとき、私の事情を配慮

することはない* 3.830 4.000 1.417 5.247 2.413

私に問題が起こったときは会社からの援助が得られる 3.903 4.000 1.349 5.252 2.554

会社は私のwell-being(幸福・健康)を本当に気にかけてく

れる 3.675 4.000 1.382 5.056 2.293

たとえ私が最良の仕事をしても、会社は気づかないだろう* 3.522 4.000 1.301 4.823 2.220

会社は、私に特別な頼みごとがあるとき喜んで助けてくれる 3.627 4.000 1.317 4.944 2.311

会社は私の仕事での全般的な満足に関心を示してくれる 3.741 4.000 1.302 5.043 2.439

機会があれば、会社は私のことを都合よく利用するだろう* 3.321 3.000 1.317 4.638 2.004

会社は私に全く配慮を示さない* 3.843 4.000 1.353 5.196 2.490

会社は私の意見を大切にしてくれる 3.731 4.000 1.296 5.026 2.435

会社は仕事での私の成果を誇りに思っている 3.735 4.000 1.305 5.040 2.430

会社は、私の仕事ができるだけ興味深いものになるように努

めている 3.683 4.000 1.338 5.021 2.346

項目

WE

POS

参照

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