九州工業大学研究報告(工学)Nα38 1979年3月 161
明朝体漢字ドットパターンマトリックスの実数倍拡大法
(昭和53年10月31日 原稿受付)
情報処理施設中村為雄
情報処理教育センター矢鳴虎夫
情報処理教育センター磯 泰行
AMethod to Enlarge the Dot−Matrixes of Mincho−Type Kanji Patterns
by Tameo NAKAMURA Torao YANARU Yasuyuki ISO
This paper describes a size transformation method of Mincho−type Kanji pattern, which enlarges the matrix composed of 24×24 dots to the several size matrices up to 47×47 dots.
To enlarge the pattern by using the same size dot as the original, not by simply replacing the larger dot in place of the corresponding original dot, it needs an optimal insertion algorithm of some dots into the pattern.
So, taking into account the outstanding feature of Mincho−type Kanji pattern, the best insortion algorithm based on the column and row of matrix is studied and evaluated with some resultant examples.
The selection way of the coumns and the rows to insert is as follows l Deterrnination of the basic columns and rows to insert.
2 Detection of the strokes and determination of the inhibitory columns and rows to insert.
3 Repetition of the insertion procedure to correct step by step the disturbance of the cross−point
of insertion column and row.
The problem of how to adjust the balance between the stroke width and the character complexity is satisfactorily accomplished, and the good qualitative enlargement could be possible for almost all characters tested.
ならないこともある。必要なドット・マトリックスのパ
1・はじめに タ_ンを作るには,パターンの作図,データ変換,カー 九州工業大学情報処理施設では漢字情報処理システム ドまたは紙テープに穿孔の過程が必要で,これは多くの の開発を昭和52年度より行なっている。出力する漢字 人手と時間が必要となる。そこですでに作られているパ は明朝体で24×24ドット・マトリックスで構成されて ターンを実数倍で拡大する方法を考えてみた。漢字パ いる。このパターンをプリンタ/プロッタに出力すると ターンの拡大方法はいくつかの論文で報告されているが 約3mm2で出力される。これは1ドットが約0.13mm 明朝体の実数倍拡大方法はまだない。現在までの研究を で出力される為である。したがって出力書式により字の ここで報告する。
大きさを変えたい場合にはドヅト・マトリックスの大き
2 明朝体ドット・パターンの特長 さを変えなければならない。また計算機システムが異な
る場合もドット・マトリックスの大きさを変えなければ 本学情報処理施設で使用している漢字パターンは筑波
図一1 明朝体漢字ドットパターンマトリックス
挨或亜悪安阿握案哀圧 ¢={α( ,元)}i−1〜24∫−1〜24
鷲纏蕊曝㌶ 励={慮1㌦字要素)(1)
為違育云員引院印陰因
飲隠宇羽雨運雲映衛越 と表わす。
永栄易泳営益英影液鋭
3.拡大の条件
図一2 明朝体漢字出力例(実物大) 明朝体漢字ドットパタ_ンマトリックスを拡大する場 合の条件は,誤った字にならないことと全体のバランス を保って明朝体の特長を失わないようにすることであ
大学計算機センターより提供されたもので,明朝体24× る。
24ドット・マトリックスで構成されている。この漢字パ
タ_ンの一部を拡大して図□に示す。また実際に出力さ 4・拡大方法
れたものが図一2である。漢字の数はJISC6226に 漢字ドットパターンマトリックスを拡大するにはドッ 基準して6349字ある。 トをそう入するのであるが,今回は行および列を単位と パターンは明朝体の特長である横線は細くする為1 してくり返しそう入を行なった。以後行および列を行・
ドットを使用し,縦線は太くする為2ドットを使用して 列と表わす。
いる。また点,ノビ,ハネ等が1〜3ドットを使用して 4.1.そう入行・列数
線幅を作って表現してある。しかし画数の多い漢字は 漢字ドットパターンマトリックスの拡大は行・列のぞ 24×24ドット・マトリックスでは表現できない為字画 う入によって行なわれるので実数倍と言っても,
が省略してあるものもある。 1
この漢字ドットパタ_ンを 万≒0・04倍単位 (2)
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で拡大されることになり実際の出力の長さでは約0・13 X(1斑)=1 mmである。そう入行・列数Nは拡大率1〜により次の
X(帰=1の位置が半分のそう入位置となる。
式で求められる。
次に反対側の半分に転送する。
2V=〔〈1F 1>×24〕
ここでRは1設〈2 {3> i=25−/
轍倍の処理は今回は行なっていなし)・ Xω=Xωぽ一12
4・2・基本そう入位置 2Vが奇数の場合はX但)=0とする
そう入する行・列数が決まればそう入する位置搬め N>12のときは1と0を反転させる
なければならない。そう入する行・列の位置は漢字のバ X(、)=IX(∠「11、=1〜24 (4)
ランスを保つ為に上下左右対称でN等分した位置でな
ければならない。これは次の方法で位置決めを行なった。 このようにして決定された基本そう入位置は表つの まず半分の1から12までの行・列についてそう入位 ように指定される。この基本そう入位置は全漢字に対し
置を求める。 て行・列に共通で使用する。
基本そう入位置に基づいて漢字ドット・パターン・マ 2V≦12のときは錫=2V
トリックスを拡大したものを図一3に示す。スムーズに拡 N>12のときは多¢=24一ノV
大されているように見えるが,明朝体の特長である横線
㎡趨硝ピは半分のそう入数 力・細く縦線が太漸が鰭別にそう入された為になく
なっている。これを避ける為には縦線分横線分を見つけ L(の=◎ ゴ=1〜24
て線分を含む行・列はそう入を行なわないようにしなけ
1・一〔晶・0・5〕一 ればならない.
表一1 基本そう入位置
そう入行列
1 12
一 2 8, 7
3 6, 12, 9
4 5, 10, 15. 20
5 4, 8, 12, 17,
6 3, 7, 10, 15,
7 3, 6, 9, ユ2,
そう入行 蓼位置
・†r,,・,11,14,17,・・,22
9 2, 5, 7, ]0, 12, 15. 18, 20, 23
10 2 , 4 、 7 , 9 . 119 14, 16. 18. 21, 23 }
} 11
2 , 4 . 6 . 8 , 10, 12. 15. 17, 19, 21, 23
12 2 , 4 , 6 , 7 , 9 , 11, 14, 16, 18. 19, 2至, 23 }
13 1 , 3 . 5 , 7 , 9 . 11, 13, 14, 16サ 18, 20, 22. 24
14 1 , 3 , 5 , 6 , 8 , 10, 12, 13, 15, 17, 19, 20, 22, 24 一
15 1 , 3, 4. 6, 8, {}, 11, 13. ]4, 16, 17. 19, 21, 22, 24 16 1 . 2 , 4 プ 6 , 7 . 9 . 1⑪, 12. 13. 15, 16, 18零 19, 21. 23$ 24,
17 1 , 2 , 4 , 5 , 7 , 8 , 1⑪, 11, 13, 14, 15, 17, 18, 20, 21, 23, 24
18 一 P , 2, 4, 5, 6, 8, 9, 11, 12, 13, 14, 1《), 17, 1{妻, 2{), 》狂, 23, 24
19 1 . 2 . 3 雪 5 , 6 , 7 争 9 ト 10、 11, 13, 14. 15, 16, 18. 19, 20, 22, 23, 24 20 1 , 2 , 3 , 4 , 6 , 7 , 8 , 9 , 11, 12, 13, 14, 16, 17, 18, 19, 21, 22, 23, 24 一
21 1 , 2, 3, 4, 5, 7, 8. {}, 1{}, 11, ]3, ].4, 15, 16, 17, 18. 2{}, 2至, 22, 23, 24 一
22 1 , 2, 3含 4, 5, 6. 7, 9. 10, 1〕, 12, 13, 14, 15, 16. 18, 19, 20、 21, 22, 23. 24 23 1 , 2 , 3 , 4 , 5 , 6 , 7 , 8 . 9 , 1⑪, 11, 13, 14. 15, 16, 17. 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24
図一3 基本そう入行・列による拡大
図一4 縦線分横線分の抽出
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4.3.そう入禁止行・列位置
横線分を含む行と縦線分を含む列はそう入禁止にしな 始 くてはならない。線分の抽出は漢字ドット・パターン・ SH(1〜24)_0 マトリックスの行・列に対して1の連続した個数がκ以 1←o 上の所を線分が存在するとし,それを含む行・列をそう
入禁止行・列位置とする。これは次の式で求められる。
横線分
縦線分
Hω一2ア竃・(i,ノ+η))・−1−24
H(の≠0のときH (の=1
H(の=0のときH (の=0 (5)
T(元)一:蟹(箕1・(i+勾))・−1−24
T(ノ)≠0のときT (ノ)=1
T(元)=0のときT (元)=0 (6)
N<O YES
Kを24行・列の4分の1である6として抽出したも のを図一4に示す。これで縦線分と横線分がほとんど抽出 されている。κをもっと小さくすると,短い線分も抽出 するが,そう入禁止行・列が多くなってかえってバラン
スをくずす原因となる。 YES 4.4.実そう入行・列位置 終 基本そう入位置と各々の漢字ドット・パターン・マト
リックスのそう入禁止行・列位置から次の方法で実そう 、 .
_ 流れ図一1 実そっ入行位置設定処理の流れ 入行・列位置を定める。
実そう入行位置
実そう入行位置SH(1〜24)にそう入回数の1を入れ
る。基本そう入位置X(1)が1でそう入禁止行位置H(1) 基本そう入位置(x)
が1のときは,1に最も近いH(N)が1でない所を見
そう入禁止位置(H)
つけてSH(N)にX(1)を加算する。
そうでない時はSH(1)にX(1)を加算する。 実そう入位置(SH)
以上の処理により実そう入行位置が定まる。
流れ図一1,図一5参照 図一5 実そう入位置の決め方 実そう入列位置
実そう入列位置ST(1〜24)にそう入回数の1を入れ る。基本そう入位置X(1)が1でそう入禁止行位置T(1)
が1のときは,1に最も近いH(N)が1でない所を見
つけてSH(N)にX(1)を加算する。 1ドット縦線は2ドットのまま拡大されている。しかし そうでない時はST(1)にX(1)を加算する。 線分以外のそう入行列の交点が1の所にみだれが生じて 以上の処理により実そう入列位置が定まる。 いる。これは1ドットが図一7のように4ドットになった 実そう入行・列位置に基づいて漢字ドット・パター 為である。次にこのみだれの修正を行なわなければなら
ン・マトリックスを拡大したものを図一6に示す。横線は ない。
× ××
図一6 実そう入位置による拡大
α( ,ノ十1)=α(i−1,元+1)①α(i−1,元+2)
て つ
人 行
ご2(ゴ十1)=α( 十1,元一1)∈E)α( 一ト2,ノー1)∈E)α( 十2,ノ)
6z(ゴ十1,ノ 一十一1)=〔z(i−F2,ノ」−1)(王)α(ゴ十2,元十2)
(Dご2( 十1,ノ十2) (7)
この処理は拡大された4ドットの1つ1つについて周 囲に1の状態で接した点が1つでもあればそのままに し,なければ0にして1(文字要素)の状態をスムーズ にする。
図一7 そう入行・列交点のみだれ この処理を行なって出力された例が図一8である。また 実際に出力された実物大の例が図一9である漢字パター ンの形にもよるが,1.75倍くらいまではスムーズに拡大
4.5.そう入行・列交点のみだれの修正 されている。しかし線分の多いパターンはそう入禁止 そう入行・列交点のみだれの修正は,拡大された4ドッ 行・列が多くなり,そう入行・列が重複されるので全体 トの周囲の12点の状態により次のように行なった。 のバランスが多少かたよってしまう。これがくり返しそ
みだれの原因となるα@,力が1の場合を基準として, う入法の欠点である。また線分以外の所もそう入により α(2,ノ)=α( −1,∫−1)㊥α( −1,ノ)㊤α(〕,ノー1) 拡大され線分の幅を変えてバランスをくずしている。
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図一8 交点のみだれの修正を行った拡大
5.おわりに 謝辞
本研究報告では明朝体漢字ドット・パターン・マト 終りに,本研究を通じて御指導いただいた九州工業大 リックスの実数倍拡大について考察した。ドット・パ 学付属情報処理教育センターの方々,また特にプログラ タ_ン.マトリックスの拡大においては,ドットのそう ムの作成を手伝って頂いた宮崎(電子工学4年)氏・数 入が必要であるが本研究報告ではドット・パターン・マ 式表現を考えていただいた積山助手に深く感謝いたしま
トリックスの行または列を単位としてそう入を行う方法 す。
を考察した。
その結果縦線分横線分を抽出してそう入禁止行または 参考文献
列を定めて拡大の為のそう入を行蜘ま線分幅とバラン 11、璽増議(濫認三認㌫鐘㌫、
スという2つの明朝体文字品質の要因を保つことができ 学),No.37,1978年9月.
た。しかし縦線分横線分以外の点,ノビ,ハネ等にはま 2)中村,矢鳴,磯吉田 プリンタ/プロッタ・コントロール・シ だみだれが発生しているし・そう入行および列の交点が 蒜麟瓢AG45°°) 九州工業大学く(工学)
0の場合もみだれが発生することがある。これらのみだ 3)森克己,ドット漢字パターンマトリクスの次数変換法,信学 れを修正する方法が今後の研究である。またくり返しそ 論(1》,昭和52−541[D−125」.
う入法以外の拡大方法も考えてみる予定である。
挨或亜悪安阿握案哀圧暗愛扱依異 挨或亜悪安阿握案哀圧暗愛扱依異 挨或亜悪安阿握案哀圧暗愛扱依異 挨或亜悪安阿握案哀圧暗愛扱依異 挨或亜悪安阿握案哀圧暗愛扱依異 挨或亜悪安阿握案哀圧暗愛扱依異 挨或亜悪安阿握案哀圧暗愛扱依異 挨或亜悪安阿握案哀圧暗愛扱依異 挨或亜悪安阿握案哀圧暗愛扱依異 挨或亜悪安阿握案哀圧暗愛扱依異 挨或亜悪安阿握案哀圧暗愛扱依異 挨或亜悪安阿握案哀圧暗愛扱依異 挨或亜悪安阿握案哀圧暗愛扱依異 挨或亜悪安阿握案哀圧暗愛扱依異 挨或亜悪安阿握案哀圧暗愛扱依異 挨或亜悪安阿握案哀圧暗愛扱依異 挨或亜悪安阿握案哀圧暗愛扱依異 挨或亜悪安阿握案哀圧暗愛扱依異 挨或亜悪安阿握案哀圧暗愛扱依異 挨或亜悪安阿握案哀圧暗愛扱依異 挨或亜悪安阿握案哀圧暗愛扱依異 挨或亜悪安阿握案哀圧暗愛扱依異 挨或亜悪安阿握案哀圧暗愛扱依異 挨或亜悪安阿握案哀圧暗愛扱依異
図一9 明朝体漢字ドットパターンマトリックス実数倍拡大出力例10〜19倍(実物大)