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流下方向密度勾配が流れに及ぼす影響について

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(1)

流下方向密度勾配が流れに及ぼす影響について

粟 谷 陽 一* 古 本 勝 弘**

On the Effects of Longitudinal Density Gradient on the Flow Characteristics

by

      Yoichi AWAYA

(Department of Hydraulic Civil Engineering,

  Faculty of Engineering, Kyushu University)

and

Katsuhiro FURUMOTO

   (Civil Engineering)

 In this paper, the equations which present the distributions of the flow velocity and density on the open channel flow with longitudinal density gradient, such as the streams in the estuaries of partially mixed type, are derived on the basis of equtaions of motion and turbulent energy balance.

 And to this stream apPlied the Taylor s and the Elder s theories for the longitudinal disPersion in turbulent shear flow, the longitudinal apparent dispersion coefficient which contains the inf1Uence of density current, is computed, and is cornpared with the previous Elder s theory.

 That under the influence of density current, the longitudinal apparent dispersion coefficient varies largely, is verified.

L 序

 河川感潮部は上流からの流下河川水とは密度を異に する海水の侵入を受けるためその流状は極めて複雑で ある.感潮部分の水理学的な状態は一般に塩水侵入の 状況から強混合型(We11−mixed type),緩混合型

(Partially・mixed tyPe)および弱混合型 (Weak・

mixed type)と大きく分けて論じられている.強混 合型では入退潮による淡水と塩水との混合が強く河川 横断面内の塩分の分布は殆ど一一様となり塩分濃度は流 下方向の位置のみの関数となる.従ってこの型に属す 河川の塩分々布の解析は一次元の拡散あるいは混合稀 釈の問題として取り扱われ,代表的な理論としては Kent1),Harleman2)およびKetchum3)のものが ある.弱混合型では入退潮による混合が弱く淡水と塩

*九州大学工学部水工土木工学科

**土木工学科

水とは上下に明瞭な二層をなして,いはゆる塩水懊を 形づくる.この型の流れは一般に二層流として扱われ 運動方程式を基礎とした解析法が採られる.代表的に はSch6nfeld&Schijf4),およびFarmer&Mor・

gan5)の理論がある. 緩混合型は上述の強混合型と 弱混合型の中間に存在するタイプであり,流下方向鉛 直方向ともに塩分濃度勾配をもつ.この型の流れは その複雑さの故にある数学的モデルにのせて解析され るには至っていないようである.また,このタイプに 属す全ての範囲を扱う理論が確立されることになれば,

それは必然的に強混合型から弱混合型をも包含するも

のとなり,この様に広汎な領域に成り立つ理論は徒ら

に繁雑なものとなり実際的ではないであろう.しかし

流れを支配する要因がかなり錯綜していると考えられ

る緩混合型の流れも範囲を限定すれば現象に支配的な

要因から比較的単純な法則性を見出せるかも知れな

い.この様な試みとしてかなり強混合型に近い緩混合

領域を対象に流状の解析を行った.すなはち流れに一一

(2)

定の密度勾配を与えた場合,鉛直方向の速度分布およ び密度分布がいかに形成されるかを求めている.

 さらに,緩混合型の流れであっても強混合型に近け れば塩分(密度)の輸送は一次元の拡散問題としてと

らえることができ,この時最も重要な問題となる流れ 方向の拡散係数について検討している,河川あるいは 水路における流れのようなshear flowでの流れ方 向拡散係数は乱流拡散係数よりもかなり大きな値とな ることがTaylor6),Elder7),Fisher8)等により示 されている.このshear flowにおける移流拡散の考 え方をここで取り扱う流れに適用し,緩混合型の流れ における流下方向拡散係数がいかに与えられるかを求 めている.

2.設定モデルと基礎方程式

 強混合型河川では密度は流下方向の位置のみの関数 として取り扱い得る.混合がこれより弱くなり緩混合 型に移行した流れを現象的に見ると次の様なことがあ げられる.

 (i)流下方向の密度勾配,すなはち重力の不均衡 から,いはゆる密度流を生つる.

 (ii) この密度流と鉛直方向の乱流混合との釣り合 いのもとに鉛直方向にも密度勾配を生つる.

 (iii)更に,この鉛直方向勾配は鉛直乱流混合を抑 制する働きをもっため,ますます鉛直方向の密度勾配 を増し密度流を顕著ならしめる.

 以上が主要な現象として考えられるが,これらを数 学的なモデルに乗せることができれば流状の解析が或 る程度可能と考えられる.

 座標軸は河床流下方向に%・軸, これに垂直水平方 向にヅ一軸,両者に対し垂直上方にZ・軸をとり,流れ はん,Z面内の二次元流とする.

0

θ

   ・能面

       / cゐa・・e1恥・勧、切        を Fig−1 Schema of Coordinate System and     stress for strearn

 強混合型に最も近い緩混合領域にある定常な等流を 対象とし,流下方向に一定の密度勾配

器・・(C・・…)

がある場合を考える.ここにρは任意点(κ,幻にお ける密度である.この時流速分布はκによらず      拐=那(z)       (1)

また,Z・方向の密度偏差成分をρ*(のとすると,密度 分布は  ρ=ρo+ρ1κ+ρ*(の         (2)

の三升ける・二二を水深として∫1・・(・)飼

である.定常な等流であることから加速度項は無く,

κ・方向および3・方向の運動方程式は,夫々

     ・9・i・θ」蕃+蕃一・  (3)

一・9…θ一一

f一・

(4)

一般に感潮部分では水面勾配tanθ(=のは微小であ りcosθ≒1, sinθ≒ とおいて支障はない.

(2),(4)式より

     P一(ρ0十ρ1κ)9(ん一)+∫ん嘩)ぬ・(5)

      Z

故に,

毎一・・9(ん一) (6)

(6)式を(3)式に代入して,,勇断力7の分布を 求めることができる.すなはち,水表面Z=んにおい て7=0の条件を用いて

τ=ρ09 (ん一z)一町ρ19(ん一z)2

一・・9砺(・一÷){ト翁艦

(1一

?j.} (7)

この式の導出には劣およびZによる密度の変化は一 般に小さいことを考慮して,ρ=ρoとした.この式か

ら緩混合流れの勇断力は一様密度の流れにおける勇断 力,すなはち第1項に,∂ρ/∂κの存在による二次的な 勇断力が第2項の形で附加されていることを知る.

 渦動粘性係数をεmとすると

     ・一・ε皿一曲

と示され,(7)式に等置すれば, ∂ρ/翫が大きく

(ρ1gん2)/(2ρogんの>1.0の場合には,河床近傍の 7<0となる部分では伽/ゐく0,すなはち逆流を三つ

ることになる.

 これまでは乱れを考慮しない平均流について運動方

(3)

程式から勢断力分布として(7)式を導びいてきたが,

流水中の運動量の輸送や質量の輸送或いは拡散の現象 は流水の乱流運動に負うところが大であるのでこの面 の考察を進める.鉛直方向密度勾配∂ρ/∂9の存在が その方向の乱れ強度を減少させると考えられている が,これは乱れのエネルギーについて考察すると説明 が得られる.

 κ,ヅおよび言方向の流速を時間的平均流速「を 付して表示)と乱れ速度(ノを付して表示)との和で 示し,勘=研の+ガ, =西+が,ω=の+ω ,圧力p

と密度ρも同様に,.p=ラ+.pノ,ρ=ρ+ρノとおく,

ここでは,拶=面=0である.

 単位質量のもつ乱れエネルギー        E=参(ガ2+四 2+ωノ2)

は次式で支配される.9)

     ρ嬰一一ガω・薯一廻(伽ノE)

.+加(ωノ72ω1+ 72〆+ω 72ωり

一戸(}一面ガ+→一1多が

       +÷嘉の    (8)

ここに〃は動粘性係数であり,   は時間平的均を 意味する.上式で右辺第1項はReynolds stressに

よる平均流からの乱れエネルギー発生,第2項は乱れ エネルギ・一の移流拡散,第3項は流体粘性によるエネ ルギー消失,第4項は圧力によりなされる仕事あるい は圧力エネルギーの移流拡散をそれぞれ示している.

ところで÷弩一ω 一一診チ

       +÷一等ω   (6)

と分けられる.z方向の力の釣り合いは(4)式で与 えられ,渦拡散係数をεdとすると

       止=(ρ+の一・ω・≒一両・/ρ・

       ρ

       一一(1ρ2)・・雀一 (1・)

と表わされるので,いま∂ρ/∂ッ=0であり,∂ρ/能

》∂ρ/∂κとして後者を省略すれば(8)式第4項は       酉(一髭器 +一葦一寄〆+

}一勢ガ)一一9筈+

       (筈・ +筈・ +筈の(・・)

と書き直すことができる.

従って平衡状態におけると乱れエネルギーの基礎式 として

      ρ誓一・一一77{塾+・・9誓

一砂(ガ72ガ+が72〆+ω 72ωつ

一一

b一 (ρzo E)一 (一篶二窃 +」『舞一⑳

+筈ω・)

(12)

を得る.ところでPran dtlの混合距離理論では乱れ 速度により運動量が輸送され,それがReynolds str・

essに等しいと考えられており,乱れエネルギーの拡 散,すなはち(12)式の右辺第4項,と圧力変動の寄 与,すなはち同第5項は無視し得る程微小であるとさ れている.10)このことは支障なく受け入れられてお

り,ここでも第4,5項は省略することにする.

 右辺第3項の流体粘性によるエネルギー消失に関し ては等方性乱流における単位体積当りのエネルギー逸 散量の関係式を用いる.すなはち,乱れのスケール,

ここではP・andt1の混合距離,を とし,乱れの代

表騨さV謳敏めて ・とすれば

     ρ〃 (z轟 72z5 十 ノ72Zノ 十zo!72Zσノ)

     ≒∠4ρzσ 3/6      (13)

と表示される11)ここに定数オはほぼ1.0をとる.

 また,運動量と質量の輸送が同様の機構であると仮 定すると,渦動粘性係数ε皿と渦拡散係数εdとは等

しく

従って,

量:ブは

  εm・=εd=zo       (14)

Reynolds stress 7およびz一方向密度輸送

・一一ガω・一ρω・

j一一 一瓢

(15)

(16)

ここで前出の表記を用いて,ρ≒ρo,∂戸/∂z=♂ρ*/dz,

痴=拐と書き換えると, (12)式は

       ・釜一・・撃β伽 誓.(17)

但し,右辺第2項に附したβは非断熱的な大気乱流

の風速分布12),あるいは浮遊流砂13)を説明するため

に用いられた定数であり,前者で6.0,後者で7.0とさ

れている.(17)はReynolds stressによる平均流か、

(4)

らの単位体積当りの乱れエネルギー発生量が粘性によ るエネルギー消失量(右辺第1項)と鉛直方向乱れに 必要な重力に対する仕事量(第2項)との和に等しい

ことを意味している.

(15)式を(17)式に代入して,ω を消去すると        Z・(伽砒)4一誰一βgZ・(壽)2×

       ÷誓     (・8)

を得る.上式で鉛直密度勾配♂ρ*/d3を拐の関数か ある知り得る関数で置き換えることができれば,(18)

式は流速分布を与える式として利用し得る.従って次 に伽*/ぬがいかに与えられるかを検討する.

 一一般に∂ρノ∂z>〉∂ρ/∂んであるので飴方向の拡散を 無視すると密度の保存式は次式で示される.

       睾+蕩一÷(・・1窒)(19)

  shear flowにおける拡散についてのTaylor12)

の考え方に従い,断面平均流速σで移動する座標系 から見ると密度の変化は定常になるとする.すなはち

       泌二=0「+防*, ξ・=κ一σ       (20)

とおくと,(19)式は

       ・*審一÷(εd∂ρ   ∂z) 色・)

となる.ここにω*はξ座標上での流速であり,断面 平均流速からの偏差流速である.また,∂ρ/∂ξ=ρ1(

Const.),∂ρ/∂z=・伽*/♂zであるので(21)式を積分 して

       ・・∫一一・・r望一がZ一髪(22)

         0

河床(9=0)からの密度補給はなく,勿論3=0では 左辺も0であるので積分定数は付かない.

(22)式に(15)式を代入し,ω を消去すると,

       弄謬一÷雲∫画(23)

この式を(18)式に代入して,ρ*を消去すると        箒一子・(伽*63)3(肯誓

       +β9一器∫評砒) (24)

鉛直密度勾配をもつ流れにおける乙を知ることができ れば,7として(7)式を用いて上式から流速分布を 求めることができる.

 乙を算定するため乱れの寿命時間は密度勾配に無関 係であると仮定12)13)して

       zσ / =ω!o/Zo       (25)

とおく,ω o,Zoは密度勾配のない流れにおける乱れ 強度,および混合距離である.以上添字で密度勾配の ない流れのそれぞれの量を示すことにする.

 β=0とおいて(15),(24)式からも得られるが混 合距離理論から次式が認められ

       ω 0/ZO=伽0*/露

拠 等一,。z、(島物一誓

     ∴Z・一・/{・・(誓)(誓)}(26)

この式で乙を与え,(24)式に代入すると        、嵩,一塞*{÷・雲+β・

×一

N∫。戯

(27)

但し,70=ρoZO2(伽*0/♂z)2とおいた.

(27)式にZo,7を与えると流速分布が求められる.

 また,(23)式を積分して

       ・・ω一戸禦・一雲(ル・血)ゐ

      0       0

       +C      (28)

か搬分布を求め得る.積分定数呵ん融一・

       0 を濡すように決められる.

 次に,以上求められた諸式を無次元化し計算のパラ メーターを整理しよう.

       ζ =2/ゐ

)し(ζ)=Zo/κoん

)ζ(ζ)竃τ/ρ0 *2

φ(ζ)一論∫1蝕

    9ゐ2        ρ1

σ   ==

   2ρo *2

    κ02

ψ(ζ)=

      ρ*

    ρ1ん

r

(29)

で定義される無次元量を用いる. ここに,ん;水深,

…Ka・ma・蹴・・一/爾・摩擦速度である・

 従って,勇断力分布に関して(7)式は

     )ζ(ζ)=(1一ζ) (1一σ十σζ)       (30)

密度勾配のない流れに対しては,σ識0とすればよく

     )ζo(ζ)=(1一ζ)       (31)

(5)

(27)式は

(28)式は,

%山中鐸(灘+2β・φ)(32)

砂(ζ)一∫1讐灘蝸(33)

と無次元表示される.

 ここで密度勾配のない流れの混合距離として一般に とられているように,

   Zo=κ09, すなはね λ,(ζ)=ζ    (34)

とおき(30),(31),(34)式を(32)式に代入し,

岬・・に関する二次式癬くと・農とxとが同

符号を持つべき条件から,

No,1 σ=0,20

 2 σ=0.15  3 σ=0.10

 4 σ =0.05  5 σ;0

1.0

0.5

9

8765S3  2

・1

N(L6  σ=一〇.10

 7 σ=一〇.50

 8 σ=一1.00  9 σ=一10.0

  鋭

♂、φ一/(β・φζ)・+(・一ζ)・(1一・+・ζ)・

廊『

ζ(1一ζ)  (1一σ十σζ)

   βσφζ

を得る.

ζ(1一ζ)(1一σ十6ζ)

3.流速分布および密度分布に関する計算結果

(35)

 無次元の速度勾配は(35)式で与えられているが,

これはσ=0すなはち密度勾配のない流れの場合以外 は解析的には解けず数値計算に頼らざるを得ない.

∫1・*画すなはち・回でφ一・なる条件の下

に数値積分を行い流速分布を得ることができる.また 密度に対応する(33)式も(35)式で求められている 齢こ関する値を用いて・∫1・・(・)瀕すなはち

∫1・炸・なる条件の下に計算される・

 βについては前に述べた通りであり,ここではβ=

7.0をとって,σをパラメータに計算している.その 結果を無次元速度分布に関してFig−2に,無次元密 度分布に関してFig−3に示す.

 σすなはち流下方向の密度勾配ρ1が増すと,流速 密度ともに鉛直勾配を増し密度流現象を顕著に示すよ

1,0

   一1・Oq 1.O

Fig−3 Non・dimensional density distribution     due to equation(33).

うになる.しかし,σ>0.2では(35)式の解は存在 しないことが判明した.ここでのモデルは強混合に近 い領域に設定されており緩混合型の流れであっても混 合が弱くなるとこのモデル設定領域を脱する点が現れ これまで出してきた諸式が適用できなくなる筈であ る.すなはち,σ>0.2では少なくともこの設定領域を 逸脱しここでの考え方を用い得ないことがわかる.ま た,定常な場合にはおそらくσ>0.2となると不連 続的に弱混合型に移行することを示すものと考えられ る.勢断力分布(7)式からσ>1.0で河床附近の下 層に逆流が現れることが予想されたが,上述のことか らこの領域は既に適用可能範囲外であり計算結果には 現れてこない.

 水流の流下方向に密度が増加する場合,感潮部分で 考えると下げ潮時の流れに相当する0≦σ≦0.2では

∂ρ/毎≦0すなはち上層ほど密度は小であり流れは安 定であるが,流れの方向に密度を減ずるところの上げ 潮時の流れに相当するσ<0では∂ρ/伽>0すなはち 密度の逆転が起り流れは不安定であり,上下の混合が 大きくなる.

=2  3 45 6

7 8 9 10

Nα7

σ=0 σ=一〇.1

σ=一1.0 σ=一10.0

4.見かけの拡散係数

0.5 1

No.1 σ=0.20

 2  σ =0,175

 3 σ=0.15

 4σ=0.125

 5 σ=0.10  6 σ=0.05

8 9

正0

σψ

   一〇.5       0      0.昌

Fig−2 Non・dimensional velocity distribution     due to equation (35).

 強混合型め感二部における塩水の侵入状況あるいは 投入汚水による水質汚濁め状況を解析予知するために は拡散方程が一般にその手段として用いられている,

緩混合型の流れであっても強混合型に近い流状であれ ば問題を拡散現象として捕えることが或る程度可能で ある.この時最も重要な問題は流れ方向の拡散係数を いかに評価すかということである.

 流速と密度との時間的平均班のとβ(のを更に鉛 直平均σ,ρmとそれからの偏差勘*Cのとρ*(のと にそれぞれ分けると任意点の流速防と密度ρは

     』・=廊(z)+ω =ひ+ω*(の+ω

       }(36)

     ρ=5(z)一トρ =βm十ρ*(之)十ρ1

(6)

で表わされる.流下方向の単位面積単位時間当りの質 量輸送量ノκは,分子拡散を微小として無視して      ノκ=(σ十%*十ガ)(ρm十ρ*十ρ )  (37)

時間的平均輸送量ノκは

     ノκ=(σ十寸*)(ρm十ρ*)十ガ。     (38)

更に,断面平均輸送量ノκmは

     ノκ皿=ひ炉m十脳*ρ*十ガρ        (39)

右辺第1項は平均流による輸送,第2項は時間的平均 の流速と密度との鉛直分布の相関による輸送,第3項 は乱れによる輸送すなはち乱流拡散と一般に置かれる 項である.形式的に2,3項を拡散による輸送と見る ことができるが,3項は2項に比して微小である.例 えば,密度勾配のない開水路流れに対してElder7)が 計算したところによると,第3項は2,3項を合計し たものの1.1%程度を占めるに過ぎない.従ってここ では流下方向の乱流拡散を示す第3項は省略して考え

る.

 流れが強混合型に近く,鉛直方向の混合が充分行な われており,(37)式2項が平均密度勾配に比例する

として

・*・・一一D・要

10

1.0

(40)

とおく.比例定数DLは流れ方向の見かけの拡散係数 と称せられる.∂ρ皿/∂κ=ρ1(Const.)とおける場合 には拐*,ρ*は前節で求められており,(40)式左辺 は計算され得る.ρ*に(28)式を用いて・0エを書き 表わせば

     玩一一毒∫1一

       一一∫卜∫1÷誓(

       ∫蝕)舳   (41)

        0

⑪=・(ん03ん*ゐ)Z)L および(29)式で定義される無次 元量で上式を書き改めると

         1      ⑪一一∫ψ一要dζ         0

この⑪を,びをパラメータに計算し,

ている.

(42)

Fig−4に示し

 密度流の影響がない開水路流れ(ここではσ=0の 流れに相当)における見かけの拡散係数としてElder

をま      1)L=5.86 *ん      (43)

を与えている.Fig−4においてσ=0では⑪=0,216 であり,K6rmゑn定数をκo謡0.4とすると

     1)L=3.38  * ゐ      (44)

一/・

1

1 i

i

l  l

1

・ i

Lli

1

i

1 「

Il

1

σ

 0,1

  −0.1       0       0.1       0.2

・Fig−4 Non・dimensional longitudinal diffusion     coefficient due to equation(35),(33)and     (42).

を得る.Elderは流速に関する対数分布則を全断面に 適用しているのに対し,ここでは(27)式で計算され る流速分布を与えており,流速分布の与え方の相異が

(43),(44)式の係数の相異となって現われている.

 σの増加に伴い,密度流の影響が大きくなるに従い 見かけの拡散係数⑪はFig−4に示す様に急激に増大 することがわかる.強混強合型あるいは緩混合型の河 川感潮部において流下方向の塩分々布から逆算された 流下方向拡散係数はElder式(43)が与える値より かなり大きいとして報告されているが,密度流の影響 を受けると流下方向拡散係数はFig−4の様な大きい 変化を示すことと一致する.

 実際河川における流れ方向拡散係数OLを求めるに はσを与えてFig−4を読み取れば良いことになる.

実際には潮汐流があるためにσを正確に算定すること はかなり難しいが自然河川における流下方向拡散係数 について検討してみよう.

 筑後川感潮部は有明海の大きな潮汐を受けて強混合 型かそれに近い緩混合型を呈しここでの設定モデルに 近い.昭和42年9月1日から翌2日にかけて実測され た資料を基に・Oしの概略の計算を行う,中間潮時ある いはそれより若干過ぎた時刻ではそれまでに一定方向 の流れがかなり長時間継続しており,流速分布密度分 布ともにbuilt upを終了し短時間を考えると定常状 態に近いと考えてよい.この上げ潮および下げ潮の中

間潮時に,Okm地点(河口)と6km地点で実測さ

れた平均流速U,水深みおよび水面勾配 をTable

−1に示す.但し水面勾配 は河床の粗度係数を勘=

0.03としManningの平均流速公式から逆算した値 である.また流速の欄に付した負号は逆流であること を示す.

 また,この時刻における流下方向の密度分布をFig

(7)

Table.1

station thne

び(m/sec)

ん(m)

L

Okm 1

一〇.53

5.1

      r

Q.88×10−o

H

0.48 4.8 2.56× 〃

6km

1 一〇.85 5.5 6.70× ク

H

0.73 5.8 4。60× ク

1.Q

0.5

0

\、

\:H

・variation of water level

ρ・一一軸

    024681012

       Distance from river mouth面シ Fig−5 Longitudinal density distribution     measured at 17:00(1)23:00(II),

    1967.9.1i無Chikugo River.

一5に示す.これによると上げ潮中間潮時にはほぼ 9km問で海水(密度ρ≒1.0258/απ3)から淡水(ρ 瞬1.000g/cが)までその密度を変化させており,下 げ潮中間潮時にはほぼ1%鵬間でその変化がある.

 ところで   9ん2 1 ∂ρ_ん 1 ∂P

      ぴ ニニ        へ  へ   へ

        2 *2  ρo  ∂%    2   ρo   ∂ん

であるので上の資料を用いてσを計算し,このσに対 してFig−4から㊥を読み取ることができる. κo=

0.4とし,この㊥をもとに流れ方向拡散係数を計算し Table−2に示す.上げ潮時の流下方向拡散係数は

近くなると密度流の効果が卓越してここでの理論を用 い得ない領域となるが,この時の流れを拡散現象に対 応させると拡散係数が非常に大きな流れに相当すると 考えられ,一潮時の平均的な拡散係数としてはTable

・2に掲げた数値より停る程度大きくなると考えられ

る.

5.む す び

Table.2

statio11

tin£

σ

DL(㎡/sec)

1 一〇.246 0.13 0.39

Okm

H

0,193

4.00 10.41

6km

1 一〇.086 0.15 0.07

H 0,131

0.68 3.15

Elder式(43)が与える値より若干小さいのに対し,

下げ潮時のそれは(43)式より相当大きな値を与える ことになる.

 筑後川の塩分々布に関して数値計算が行なわれた時 河口における流下方向拡散係数としてPL=25.Orπ2/

sθcを用いた時最も実測に近い塩分々布形状が得られ ている.14)この実測塩分々布を説明する1)しと上記 計算結果とを直接比較することはできないが,全体的 に後者の方が前者より小さい値となっている.停潮時

 流下方向に一定の密度勾配をもつ流れにおいて,鉛 直混合が強く定常な等流と考えられる場合の流速と密 度の分布形状が求められた.混合が弱くなると密度流 現象が卓越し,ここでの理論が適用できなくなり,安 定な鉛直密度勾配が鉛直混合を抑制するため,流れは 不連続的に二層流状態に移行すると考えられることは 非常に興味ある事象である.

 また,密度の輸送を広義の拡散現象と考えた場合,

密度流の影響が多少とも存在すると,流下方向拡散係 数が大きく変化することが明らかになった.

 しかし,本論:文には問題の多い仮定をかなり舎むた め実験的な検証が残されている.

 その恥骨点を拾い出すと

1)鉛直密度勾配を有する流れにおける混合距離Zの

与え方.

2)渦動粘性係数εmと渦拡散係数:εdとを等しく,

(14)式で置いたこと.

3)乱れエネルギー式で重力に対する仕事の割合いを 示す項に付した係数βの妥当性.

等である.これらについては,個々に重要な問題を舎 んでおり充分検討しなければならない.

 なお,本論文の数値計算には,九州大学の大型計算 機FACOM 230−60および本学の計算機270−20を 使用したことを付記する.

参 考 文 献

1)R.Kent・;Diffusion in a Sectionally Homo・

 genious Estuary, Proc. A.S.C.E.,SA−2−15,

 1960

2)D.R.Harleman;The Significance of Longi・

 tudinal Dispersion in the Analysis of Pollution in Estuaries,2nd Int. Conf. on Water Pollution  Research, No.1−13,1964

3)B.H.Ketchum;The Exchange of Flesh and Salt Water in Tidal Estuary, Jour. Marine  Res.,Vol.10, No.1,1951

4)J.C. Sch6nfeld, J. B. Schijf ; Theoretical

Considerations on the Motion of Salt and

Fresh Water, Proc. Minnesota Int. Hydr.

(8)

 Conf.1.A.H.R.,1953

5)H.G.Farmar, G,W.Morgan;The Salt We・

 dge, Proc.3rd Conf. on Coastal Eng.,1952 6)G.L Taylor;The Dispersion of Matter in  Turburent Flow Through a Pipe, Proc. Royal  Soc. L6ndon, Vol.223,1954

7)J.W.Elder;The Dispersion of Marked Fluid in Turbulent Shear Flow, Jour. Fluid Mech.,

 Vol.4,1959

8)H.B.Fisher;The Mechanics of Dispersion  in Natural Streams, Proc. of A.S.C.E.,Vol.

 93,Hy6,1967.

9)栗原道徳;渦動状態の確率論的新定i義とその基礎 方程式の誘導,九大流研報告,1巻1号(1942)

10)J.0.Hinze; 曙¢Turbulence, P287 McGraw・

 HilI

11)例えば前出10)P185

12)Y.Ogura;Note of the Wind Velocity Pro・

 file in the Non・Adiabatic Atomosphere, Jour.

 Met. Soc. of Japan Vol.30,1952

13)椿東一郎;浮流流砂が流れに及ぼす影響について,

 土木学会誌,40−9,1955

14)K.Shinohara, T. Tsubaki, Y. Awaya&

 .K. Furumoto;Numerical Analysis on the  Salinity Intrusion in the Tidal Estuary of

Well・mixed Type, Proc,,13th Congress of

 I.A.H.R. Vo1.3,1969

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