1.1
算数科の目標(
2007.10.15)市原 一裕
(Ichihara Kazuhiro) 奈良教育大学教育学部
数学教育講座
小学校教育の目標
学校教育法
第2章 小学校
第18条
5. 日常生活に必要な数量的な関係を、
正しく理解し、処理する能力を養うこと。
小学校学習指導要領
(平成10年12月告示, 15年12月一部改正)
「ゆとり」「生きる力」が基本方針 第2章 各教科 第3節 算数
内容は基礎的・基本的なものに厳選
A) ゆとりの中での基礎・基本の確実な定着 B) 楽しさと充実感のある学習
C) 児童の主体的な活動の重視
算数科の目標
第2章 第3節 第1 目標
数量や図形についての算数的活動を通して,
基礎的な知識と技能を身に付け,
日常の事象について見通しをもち筋道を立てて 考える能力を育てるとともに,
活動の楽しさや数理的な処理のよさに気付き,
進んで生活に生かそうとする態度を育てる。
①「数量や図形についての算数的活動 を通して」
以下の②~④を実現する為の 指導方法の原理
背景として
「自ら積極的に取り組む児童を 育てる」
「算数的活動」とは
児童が目的意識を持って取り組む算数に 関わりのある活動のこと
外的活動ー
作業的,体験的(手や身体をつかう)
内的活動ー 思考的活動
算数的活動の例
作業的,体験的
( ものを作る,実際に行う・確かめる)
調査的,探求的
( 実態・数量を調査,概念・性質・解決方法などを見 つける・作り出す)
発展的,応用的
( 学習したことを,発展的に考える・応用する)
②「基礎的な知識と技能を身に付 け」
知識の習得・技能の修練に関わる目標 ただし
「知識」・「技能」 ー 限定して狭くとらえない
「知識」と「技能」
広く考え,以下を含む
数量や図形に関わる概念・原理・法則
用語・記法を用いた表現方法
測定方法・作図方法 (用具の使い方)
「身に付ける」
「わかる・できる・用いられる」 の意味
暗記・形式的処理のみではない
公式の意味・用いられる場面を理解させる
③ 「日常の事象について見通しをもち筋道 を立てて考える能力を育てるとともに」
主として,考え方に関わる目標
「日常の事象」
広く算数を活用する対象となるいろいろな事象
「見通しを持つ」
問題解決を適切に合理的に進めるために必要
解決の「方法」と解決の「結果」について
観察や試行錯誤を用いる
帰納的・類推的な考えを用いる
「筋道を立てる」ことの必要性
問題解決において,
「見通し」が正しいかどうか確かめるため
「見通し」が正しいことをきちんと示すため より一般に
正しいことを見いだすため
見いだしたことの正しさを示すため
事柄の正しさ・自分の判断の正しさを他人に説明するため
「見通しをもち筋道を立てて考える」
ことには
日常の事象を「数理的にとらえる」活動がともなう ここで,「数理的にとらえる」とは
数・量・図形などの要素
関数の考え(変化や対応)
集合の考え(対象の明確化)
に着目して考察・探求すること
④ 「活動の楽しさや数理的な処 理のよさに気付き」
算数科における情意面に関わる目標 教育課程審議会答申 (平成10年7月)
「学ぶ楽しさや充実感を味わいながら 学習を進めることができるように」
「活動の楽しさ」の必要性
IEA(国際教育到達度評価学会)
国際数学・理科教育動向調査(1964年から実施)
2 0 0 3 年調査 [TIMSS2 0 0 3 ] (2 0 0 4 . 1 2 . 1 4 公表)
2 5 カ国/地域から第4 学年(日本の小4 )1 1 6 , 9 5 1 名 4 6 カ国/地域から第8 学年(日本の中2 )2 2 4 , 5 0 3 名 数学の勉強が楽しいかを4つの選択肢で尋ねた設問
「強くそう思う」と回答した日本の中学2 年生は9%
国際平均値の2 9 %を大きく下回る。
「活動の楽しさ」を気づかせるために
児童の性質(本性):
活動性に富む・活動を楽しむ
⇩
これに根ざす算数的活動を取り入れる
「数理的な処理」とは
数理的にとらえる (③節を参照)
とらえた事柄を考察
問題発見・解決
結果を表現
「数理的な処理のよさ」の例
有用性
(簡潔性,一般性,正確性,能率性)
発展性
美しさ
「数理的な処理のよさに気付く」と
算数の価値・算数を学習する意義がわかる
⇩
学習意欲の喚起
⑤ 「進んで生活に生かそうとす る態度を育てる」
算数の活用面に関する目標 近年,
「算数が日常生活に役立つことが少ない」
との見方もある.
「生活に生かす」
「生活」=児童の生活すべて
(日常生活,社会生活など)
社会生活⊃学校生活⊃算数学習
⇨ 既習事項の活用
(創造的な発展的な学習へ)
算数課の内容構成
4領域にわけて示す.