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学 習集 団が生徒の学 習経験 に及 ぼす 顕在 的 ・潜在 的作用
一 テ ーマ 別 学 習 集 団 を基 礎 と した 高 等 学校 カ リキ ュ ラ ム の事例 分析 を通 して 一
岡 部 善 平
1.問 題 の 設 定
本 稿 の 目的 は,高 等 学 校 の カ リキ ュ ラ ム に お い て 学 習 集 団 が 果 た す 役 割 を, 生 徒 の学 習 経 験 の視 点 か ら事 例 分 析 を通 して 明 らか にす る こ と に あ る。
これ まで わ が 国 の 高 等 学 校 教 育 に お い て,学 習 集 団 た る授 業 と生 活 集 団 た る ホ ー ム ル ー ム の一 致,お よび 生 徒 の 「ホー ム ル ー ム へ の所 属 感 」 は顕 著 な 特 徴 の一 つ と して考 え られ て きた 。 か つ て 米 国 の文 化 人 類 学 者 トマ ス ・ロー レ ン(Rohlen,T.P.)が 指 摘 し た よ う に,「 生 徒 た ち は,同 じク ラス メ ー トと と も に,ほ とん ど同 じ教 室 で授 業 を受 け っ づ け る 。(中 略)生 徒 は そ れ ぞ れ, 安 定 し た 空 間 と準 拠 集 団 を与 え られ て い る。 管 理 は しや す く,生 徒 が 経 験 す る社 会 環 境 は安 定 して お り,そ こで の人 間 関 係 は親 密 で あ る。日本 人 は,『ホ ー ム ル ー ム 』 とい う用 語 を ア メ リカ の 高 校 か ら借 用 した が,そ れ に 日本 独 特 の 機 能 を与 えた 」 の で あ る(ロ ー レ ン訳 書1988171‑172頁)。
しか し,科 目選 択 制 の 拡 大,習 熟 度 別 ク ラ ス編 成 の 導 入,「 自 由 な科 目選 択 」 を標 榜 す る総 合 学 科 や 単 位 制 高校 の 増 加 とい った 近 年 の 動 向 は,従 来 の高 校 教 育 に お け る集 団 の在 り様 に少 な か らぬ影 響 を及 ぼ して い る。 す な わ ち,生 徒 に よ る教 育 内 容 の選 択 幅 の拡 大 に よ り,生 活 集 団 と は分 離 した 多 様 な学 習 集 団 が 形 成 され る こ と に な る の で あ る。 こ う した 多 様 な 学 習 集 団 の 形 成 は, 個 々 の 生 徒 の 関 心 や 適 性,学 習 状 況 に応 じた き め細 か い 指 導 を実 現 す る可 能 性 を も つ一 方 で,ロ ー レ ンが 指 摘 した よ うな安 定 した学 習 環 境 や 準 拠 集 団 を 解 体 し,あ る い は変 容 さ せ る作 用 も有 して い る(岡 部1997a,岡 部 近 刊)。
それ だ け に,学 習 集 団 の生 活 集 団 か らの分 離 とそ れ に 伴 う学 習 の 多様 化 ・個 人 化 は,生 徒 の学 習 経 験 に お い て 重 要 な意 味 を もつ もの と推 察 す る こ とが で
き る。
こ の よ う に,カ リキ ュ ラ ム を媒 介 と して 形 成 さ れ る学 習 集 団 の在 り様 は, 生 徒 の学 習 経 験 の視 点 か らカ リキ ュ ラ ム を 捉 え直 す上 で 主 要 な論 点 とな り う
る。 しか し,学 習 集 団 と生 徒 の学 習 経 験 の 関 連 性 に つ い て は,こ れ まで カ リ キ ュ ラ ム研 究 の 姐 上 に 載 る こ と は少 な か っ た 。 それ に対 して,か つ て の 「カ リキ ュ ラ ム の 社 会 学 的研 究 」,近 年 の学 習 理 論 や 認 知 科 学 の諸 研 究 か らは,人 の 学 習 お よび認 知 活 動 の 社 会 的 ・集 団 的 基 盤 の 重 要 性 が 指 摘 さ れ て い る。 す な わ ち,「 人 間 の認 知 ・行 動 が,環 境,特 に社 会/集 団 的 な 環 境 の な か に根 本 的 な 成 立 基 盤 を もつ は ず だ とい う研 究 視 点 」(亀 田200050頁)の 下,そ の 集 団 の 特 質 一 文 化 や形 態,内 包 す る諸 矛 盾 一 そ の もの を分 析 し,改 編 し て い こ う とい う ので あ る。
カ リキ ュ ラ ム の 改 革 ・改 編 が 必 然 的 に学 習 集 団 の改 編 を伴 っ て い る こ とを 考 え れ ぼ,今 後 求 め られ るの は,諸 個 人 の学 習 活 動 の成 立 基 盤 とな る学 習 集 団 を い か に構 想 す る か,そ れ を考 え るた め の 理 論 的,実 証 的 視 点 を提 示 す る
こ とで あ ろ う。
そ こで 本 研 究 で は,大 幅 な科 目選 択 制 の導 入 に伴 い独 自の テ ー マ別 学 習 集 団 を設 定 した単 位 制 高 校 を事 例 と して 取 り上 げ,こ の テ ー マ 別 学 習 集 団 の カ リキ ュ ラム に お け る位 置 づ け,役 割,お よ び意 義 を検 討 す る。そ れ を通 して, 集 団 と学 習 の視 点 か ら見 た 高 等 学 校 カ リ キ ュ ラ ム の 課 題 と展 望 を考 察 した い。
2.調 査 の 対 象 と 方 法
(1)テー マ 別 学 習 集 団 と して の 「ゼ ミ」
以 上 の 問 題 意 識 か ら本 研 究 が 分 析 対 象 と して 取 り上 げ る の は,A高 校 で の
「ゼ ミ活 動 」の 試 み で あ る。 筆 者 は,2004年5月 か ら2005年6月 に か けてA
学習集団が生徒の学習経験 に及 ぼす顕在 的 ・潜在的作用
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高 校 の 総 合 的 な 学 習 の時 間 で あ る 「SunRiseTime」 の観 察,生 徒 お よび 教 師 へ の 聞 き取 り調 査 を行 い,ま た2004年12月 に生 徒 に対 す る質 問 紙 調 査 を 実 施 した 。A高 校 は,S市 の 中 心 部 に位 置 す る普 通 科 進 学 校 で あ る が,市 の教 育 委 員 会 か らの 指 定 を 受 け,2004年 度 よ り単 位 制 高 校 へ と移 行 した 。周 知 の通 り, 単 位 制 高 校 は,豊 富 な選 択 科 目 を 開講 す る こ とに よ っ て生 徒 が 自 ら の関 心 や 将 来 へ の 展 望 に応 じて 自 由 に科 目 を選 択 して い くシ ス テ ム を と って い る 。A 高 校 に お い て も,選 択 科 目 と して 表1の 選 択 科 目群 を開 設 して お り,生 徒 は
この 中 か ら比 較 的 自由 に科 目 を選 択 す る こ とが 可 能 に な っ て い る。
単 位 制 の 導 入 に伴 って,各 生 徒 の カ リキ ュ ラ ム の 内 容 は多 様 にな り,従 来 の よ うな選 択 科 目別 の ク ラ ス 展 開 が きわ め て 困 難 とな った 。 こ う した 単 位 制 へ の移 行,さ らに は 「総 合 的 な 学 習 の 時 間 」 の導 入 を機 に,A高 校 が 実 施 し
表1A高 校 に お け る2004年 度 選 択 科 目 一 覧 選択科 目群1
現代文 古典(基 礎)(標 準)古 典講読(基 礎)(標 準)客 観 現代 文演習 客観古典演習 記述現代文 演習 記述古典演 習
日本史A地 理A世 界史B日 本 史B地 理B世 界史演習 日本史演習 地理演習 政治 ・経 済 倫理 政治 ・経 済演習 倫理演習
数学II(標 準)(応 用)(速 習)数 学B(応 用)(標 準)数 学III数 学C数 学1演 習 数学1・
A演 習 数学II演 習 数学II・B演 習 数学記述対策演習
物理1化 学1生 物1地 学1物 理II化 学II生 物II物 理1演 習 化 学1演 習 生 物1 演習 地学1演 習 物理1・II演 習 化 学1・II演 習 生物1・II演 習
英語II(標 準)(速 習)ラ イテ ィング リーデ ィング 英語演習 リスニング演習 英作文演習 総 合問題演習
スポーツ 音 楽演習 美術演 習 書道演習 情報B情 報C 選択科 目群II
実験物理 実験 生物 実験化学 統計学 科学史 スポーツ と科学 時事問題解説 日本経済史 日本国憲法 小論文演 習 資料購読 コ ミュニ カティブ ・イ ングリッシュ ソルフェージ ュ オペ ラ入門 日本画 デザイ ン 創作書道 書道研 究 ソー イング 発展保育 食 生活応用 ファ ッシ ョン ・ジャパニズム 宗教史 文 化遺 産研究 デジタル映 像入門 アル ゴニズム入門 高大連携
(A高 校 『SYLLABUS』2004を 参 照)
た の が,テ ー マ 別 学 習 集 団 「ゼ ミ」 の 設 置 で あ る。
A高 校 で は,選 択 科 目の 授 業 が増 加 す る2年 次 よ り,従 来 の ホ ー ム ル ー ム を 「ゼ ミ」 と呼 ぼ れ る学 習 集 団 に再 編 成 して い る。 ゼ ミ とは,「 地 域 」 「経 済 」
「人 権 」 「フ ー ド」 「メ デ ィ カ ル 」 「環 境 」 「い の ち」 「平 和 」 の8つ の テ ー マ 別 に構 成 さ れ た 学 習 集 団 で あ り,生 徒 は2年 次 に 進 級 す る 際 い ず れ か の ゼ ミへ の所 属 を選 択 し,主 に 「総 合 的 な学 習 の 時 間 」 を利 用 して各 ゼ ミの テ ー マ に 基 づ い た 課 題 研 究,見 学 旅 行,職 場 体 験 等 を行 って い る。 各 ゼ ミの担 当 教 員 は 「ゼ ミ担 任 」と呼 ぼ れ,LHRお よ び 「総 合 的 な学 習 の 時 間」で の指 導 を行 っ て い るが,各 教 員 の担 当 教 科 が 必 ず し もゼ ミの テ ー マ と一 致 して い るわ けで は な い 。 た と え ば,国 語 の 教 員 が 「環 境 ゼ ミ」 の,英 語 の教 員 が 「メ デ ィ カ ル ゼ ミ」の 担 任 をす る場 合 も あ る。2004年 度 に お け る ゼ ミの 種 類 と構 成 は表
表22004年 度 開 設 ゼ ミー 覧
ゼ ミ サ ブ テ ー マ ゼ ミグ ル ー プ 人数
地 域 ゼ ミ 地域 ・社 会 を考 え る 一 15
経 済 ゼ ミ 経済 ・産 業 ・先端 技術 を考 え る AB
7
21人 権 ゼ ミ 人権 と福 祉 を考 え る
A 18
B 19
C 18
フ ー ド ゼ ミ
食 と栄 養 を考 える AB 1020メ デ ィ カ ル ゼ ミ 医療 と保 健衛 生 を考 える
A 11
B 20
C
22
い の ち ゼ ミ 生 と死 を考 える
A 10
B 20
C 20
環 境 ゼ ミ 環境 と地球 を考 え る
A 19
B 20
C 20
平和 ゼ ミ 戦 争 と平和 を考 える A 10
B 20
(A高 校 『 総 合 学 習 ノ ー トSunriseTime』2004を 参 照)
学習集団が生徒 の学習経験 に及ぼす顕在的 ・潜在的作用25
2の よ う に な って い る。 各 ゼ ミ担 任 は20人 を基 本 的 な構 成 人 数 とす る「ゼ ミ グ ル ー プ」 を担 当 す る が,実 際 に は ゼ ミグル ー プ 毎 に4〜7人 の 研 究 チ ー ム を編 成 し,各 チ ー ム が 研 究 テ ー マ を 設 定 し て ゼ ミ課 題 研 究 に 取 り組 む こ と に な る。
さ ら に特 徴 的 な の は,A高 校 に お い て は,こ の ゼ ミが そ の ま ま ホ ー ム ル ー ム の構 成 単 位 とな っ て お り,生 徒 は 自 ら選 択 した ゼ ミに お い て,必 修 科 目の 授 業 や特 別 活 動 な ど多 くの 時 間 を費 や して い る点 で あ る。2004年 度 の各 ク ラ ス ご との ゼ ミ構 成 は表3の よ う に な っ て い る。
本 研 究 がA高 校 の 「ゼ ミ」 に注 目 す る理 由 は,こ れ が 文 系 ・理 系 とい っ た 従 来 の枠 とは異 な る原 則 に基 づ い て設 定 され た 学 習 集 団 で あ り,よ り柔 軟 な 学 習 経 験 を生 徒 に提 供 す る契 機 とな り う る試 み で あ る と考 え るか らで あ る。
A高 校 の よ う に,文 ・理 の し ば りを設 けず 生 徒 が カ リキ ュ ラ ム を作 る こ と を 趣 旨 と して い る単 位 制 高 校 に お い て,ゼ ミは以 下 の3つ の役 割 を担 う こ と に な る。
① 選 択 制 の 拡 大 に伴 う ホ ー ム ル ー 云 の解 体 に対 応 した 生 徒 の 帰 属 集 団 の形 成
② 「総 合 的 な学 習 の 時 間 」 の活 動 単 位 の形 成
③ ゼ ミ活 動 を通 した 生 徒 の進 路 展 望 の形 成
これ らの 役 割 を遂 行 す る上 で 中 心 的 な 活 動 とな っ て い る の が,次 に述 べ る
「ゼ ミ課 題 研 究 」 で あ る。
表320C4年 度 各 ク ラ ス の 構 成
ク ラ ス 1 2 3 4 5 6 7 8
ゼ ミ担 任a
地域経済A 経済B 人権B メディカルB
フ ー ドA い の ちA
フ ー ドBい の ちC
人権C22 21 19 20 20 20 20 18
ゼ ミ担任b 人権A 環境A
平 和A
メディ カルA
平和B 環境Bい の ちB
環境Cメディ カルA
18 19 21 20 20 20 20 22
合計
40 40 40 40 40 40 40 40
(A高 校 『 総 合 学 習 ノ ー トSunriseTime』2004を 参 照)
(2)「ゼ ミ課 題 研 究 」 の 概 要
A高 校 にお い て,総 合 的 な 学 習 の時 間 は 「SunRiseTime」 と呼 ばれ,次 の3っ の 活 動 か ら構 成 され て い る。 す な わ ち,
①SHR前 の10分 間 を使 い 「朝 の10分 間 読 書 」 「ニ ュー ス レ ポ ー ト」等 を行 う 「読 書 活 動 」
② 職 業 体 験 学 習 や 高大 連 携 事 業(地 元 国立 大 の 講 義 の 受講 な ど)を 中 心 と し た 「進 路 探 求 学 習 」
③ ゼ ミ毎 に研 究 チ ー ム を編 成 し,各 チ ー ム が 自 ら設 定 した課 題 に取 り組 む 「ゼ ミ課 題 研 究 」
の 諸 活 動 で あ る。 上 記3つ の活 動 の う ち,① と② は い ず れ も③ の ゼ ミ課 題 研 究 と関 連 づ け られ て い る こ とか ら,本 研 究 で は これ ら3つ の活 動 を総 称 して
「ゼ ミ課 題 研 究 」 と呼 ぶ こ と に し た い。
「ゼ ミ課 題 研 究 」 の 流 れ は表4の 通 りで あ る。 以 下,「 ゼ ミ課 題 研 究 」 の主 要 な 活 動 に つ い て概 観 し て み よ う。
(a)研 究 テ ー マ の 設 定
各 生 徒 は,1年 次 の ゼ ミ選 択(12月)の 後,ゼ ミの テ ー マ に 関連 した 調 べ 学 習 を 「プ レ ゼ ミ学 習 」と して行 っ て い る。 各 ゼ ミの研 究 チ ー ム は,こ の 「プ レゼ ミ学 習 」 の 成 果 を持 ち寄 り,互 い の 関 心 をす り合 わ せ なが ら統 一 の テ ー マ を設 定 して い く。 後 に述 べ る 「ゼ ミ研 修 」 の 行 き先 も,こ の研 究 テ ー マ に 即 し て決 定 され る。2004年 度 の 各 ゼ ミの研 究 テ ー マ は以 下 の とお りで あ る。
〈地 域 ゼ ミ〉
「開拓 以 降 の北 海 道 の文 化 」 「住 民 とコ ン ビニ 」 「S市 のバ リア フ リー 」
〈経 済 ゼ ミ〉
「企 業 戦 略(経 営)と 科 学 技 術 」 「経 済 の し くみ につ い て 」 「技 術 〜 今 昔 〜 」 「未 来 の技 術 」 「大 型 娯 楽 施 設 と経 済 効 果 」
〈人 権 ゼ ミ〉
学習集団が生徒 の学習経験 に及ぼす顕在的 ・潜在的作用
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表42004年 度 「ゼ ミ課 題 研 究 」 活 動 の 流 れ・ゼ ミ担 任 の 指 導 の 下,類 似 の 関 心 を もつ 生 徒 同 士 が4〜7名 の 研 究 チ ー ム を編 成
・各 研 究 チ ー ム が研 究 テ ー マ を 設 定 。 チーム 内 の役 割分 担 の割 り振 りを行 つ。
・研 究 チ ー ム 毎 に ゼ ミ課 題 研 究 を開 始 。
・ニ ュ ー ス レ ポ ー トお よ び ブ ッ ク レ ポ ー ト
・職 業 体 験 学 習 ,ゼ ミ研 修 の準備
・中 間 発 表 会
・職 業 体 験 学 習,ゼ ミ研 修 の 準 備(職 業 体 験 先 ,ゼ ミ研 修先 に関す る下調 べ,質 問 事 項 の作 成)
・職 業 体 験 学 習 を利 用 した 研 修
・職 業 体 験 学 習 に 関 す る レ ポ ー ト作 成
・見 学 旅 行 に お け るゼ ミ研 修
・ゼ ミ研 修 で の 研 修 内 容 の と り ま とめ
・SunRiseTime発 表 会
・SunRiseTime発 表 会
(A高 校 『総 合 学 習 ノ ー トSunriseTime』2004に 基 づ き筆 者 が 作 成)
「人 権 問 題 」「子 ど もの人 権 」 「The福 祉 」「家 族 の 絆 」 「市 民 生 活 とそ れ に関 す る法 律 」「福 祉 」「ユ ニ バ ー サ ル デ ザ イ ン に つ い て」「少 年 犯 罪 とい じ め 」「ユ ニ バ ー サ ル デ ザ イ ン の商 品 が で き る まで 」
〈メ デ ィ カ ル ゼ ミ〉
「近 代 の医 療 一 が ん 治 療 ・遺 伝 子 治 療 一 」 「現 代 の病 気 ・治 療 法 」 「理 学 療 法 ・作 業 療 法 ・今 後 の 医 療 」 「医 療 」 「が ん ・イ ン フ ォー ム ドコ ンセ ン ト ・薬 」
「医 療 倫 理 と医 療 社 会 」「現 代 社 会 と病 」「社 会 と病 との 関 わ りに つ い て 考 え る」
「現 代 の精 神 病 」 「ス ポ ー ツ 医 療 と筋 肉 」
〈フー ドゼ ミ〉
「食 生 活 と栄 養 」「世 界 の食 を調 べ よ う」「サ プ リメ ン トにつ い て」「食 文 化 〜 洋 菓 子 と和 菓 子 〜 」 「ス ポ ー ツ栄 養 学 」 「フ ァ ー ス トフー ドに つ い て」
〈い の ち ゼ ミ〉
「ホ ス ピ ス に つ い て」 「命 よ りも大 切 な もの 」 「死 につ い て考 え る」 「臓 器 移 植 に つ い て 」 「子 」 「死 と生 」 「よ り良 く生 き る た め に」 「子 供 の遊 び と そ の安 全 性 」 「同 年 代 の 人 に命 の 大 切 さ を改 め て 認 識 して ほ しい」
〈環 境 ゼ ミ〉
「環 境 の 保 全 」「環 境 の悪 化 と対 策 」「生 態 系 に 関 わ る環 境 問題 」「地 球 温 暖 化 」
「環 境 総 合 」 「エ ネ ル ギ ー と環 境 の 関 わ り」 「動 物 の 絶 滅 と動 物 園 の役 割 」 「環 境 問 題 全 般 とそ の 解 決 」 「生 態 系 に つ い て」 「これ か らの 低 公 害 車 」
〈平 和 ゼ ミ〉
「戦 争 の 爪 跡 」「そ れ ぞ れ の 視 点 か ら見 た ア メ リ カ」「戦 争 が 起 こっ た 原 因 と結 果 」「イ ラ ク戦 争 」「近 年 問 題 に な っ て い る兵 器 」「世 界 平 和 の た め に活 動 して い る機 関 」
(b)ニ ュ ー ス レ ポー ト
この活 動 は,「 朝 の10分 間読 書 」の 時 間 を利 用 して 毎 週1回 行 わ れ て い る。
ゼ ミグ ル ー プ ご と にニ ュ ー ス レポ ー ト係 を選 出 し,係 の 生 徒 が 中 心 とな っ て ゼ ミの テ ー マ に 関連 した 新 聞記 事 を読 み合 い,そ の上 で そ の新 聞 記 事 を全 ゼ ミの 生 徒 に配 布 す る。生 徒 は記 事 に対 す る意 見 ・感 想 を書 き,ニ ュー ス レ ポ ー タ ー 係 に提 出 。 集 め られ た意 見 ・感 想 は,課 題 研 究 の 成 果 を ま と め る上 で参 照 され る。
(c)ゼ ミ研 修
A高 校 で は毎 年10月 に 関 西 方 面 へ の4泊5日 の 見 学 旅 行 を 実 施 して い る が,そ の う ち の第2日 目 と第3日 目が 「ゼ ミ研 修 」 に当 て られ て い る。 各 ゼ ミグ ル ー プ の生 徒 は,自 らの研 究 テ ー マ に あ っ た研 修 先 を イ ンタ ー ネ ッ ト等 で 調 べ,複 数 の研 修 候 補 地 を ピ ッ ク ア ップ し,ゼ ミ担 任 に提 出 す る。 ゼ ミ担 任 は,直 接 あ る い は 旅 行 業 者 を介 し て研 修 候 補 地 と交 渉 し,行 程 を調 整 す る。
生 徒 は,各 研 修 先 で の施 設 見 学,体 験 学 習,講 話 等 を通 じて 自 らの 研 究 テ ー
学習集団が生徒の学習経験 に及ぼす顕在的 ・潜在的作用
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マ に対 す る理 解 を深 め,そ の知 見 を後 の発 表 会 の た め の ン ポ ー ト作 成 に取 り 入 れ て い くよ う促 され る。(d)SunRiseTime発 表 会
各 研 究 チ ー ム は,ゼ ミ課 題 研 究 の 一 連 の活 動 をパ ワ ー ポ イ ン トに よ る ス ラ イ ド とレ ポ ー トに ま と め,12月 中 旬 に 開催 され る 「SunRiseTime発 表 会 」 に お い て発 表 す る。
発 表 会 は ゼ ミ毎 の分 科 会 形 式 で 行 わ れ,す べ て の研 究 チ ー ム が そ れ ぞ れ趣 向 を凝 ら した ス ラ イ ドを作 成 し,自 らの活 動 内 容 を説 明 す る。 この 発 表 会 に は,生 徒 の 保 護 者,教 育 委 員 会 関 係 者,地 元NPO関 係 者 等 も見 学 に訪 れ て い る。
以 上 が 「ゼ ミ課 題 研 究 」 の主 要 な 活 動 内容 で あ る が,そ れ で は 生 徒 は これ ら一 連 の活 動 に対 して,ど の よ うな 観 点 か ら,い か な る意 味 づ け を行 っ て い るの で あ ろ うか 。 換 言 す れ ぼ,生 徒 の 学 習 経 験 に お い て,「 ゼ ミ」と い う学 習 集 団 は どの よ う な役 割 を果 た して い る の で あ ろ う か。
3.分 析 と考 察
(1)高校 に お け る学 習 集 団 と生 徒 の 進 路 展 望 との 関 連 性
と こ ろ で,わ が 国 の と くに高 校 教 育 に お い て,学 習 集 団 は生 徒 の 学 習 経 験 に対 し て独 自の 機 能 を有 し て きた 。 す な わ ち,文 系 や 理 系,学 科 や コ ー ス に 代 表 され る よ う に,高 校 に お い て 生 徒 が 所 属 す る集 団 の カ テ ゴ リー は,生 徒 が学 ぶ 教 育 内 容 の カ テ ゴ リー,さ ら に は選 択 可 能 な進 路 の カ テ ゴ リー を も同 時 に表 して きた 。 と くに,学 習 集 団 と生 徒 の 進 路 展 望 との 関連 性 に つ い て は, 近 年 生 徒 の 所 属 集 団 の カ テ ゴ リー と進 路 との対 応 関 係 の 低 下 が 指 摘 され て は い る も の の(橋 本1996),未 だ 生 徒 の進 路 展 望 の形 成 に一 定 の影 響 を及 ぼ し て い る(小 川1997,岡 部1997b,荒 井 編2000,山 村,荒 牧2003)。 こ
の こ とは,高 校 に お け る学 習 集 団 が 生 徒 の進 路 を先 取 りす る形 で 設 定 され, 生 徒 の進 路 展 望 に対 して 顕 在 的,潜 在 的 な統 制 作 用 を及 ぼ して い る こ と を示
唆 し て い る。
それ で は,「 ゼ ミ」とい う従 来 の学 科 や コ ー ス と異 な る集 団 カ テ ゴ リー にお い て も,生 徒 の 進 路 展 望 との 間 に何 らか の 関連 性 を見 い だ す こ とが で き るだ ろ うか 。 表5は,生 徒 の 進 学 希 望 分 野 を ゼ ミ別 に示 した もの で あ る 。 これ を 見 る と,所 属 す る ゼ ミの 内 容 に応 じて,生 徒 の 希 望 進 路 に一 定 の傾 向性 が あ る こ とが わ か る。す な わ ち,地 域 ゼ ミの35.7%,経 済 ゼ ミの36.0%,人 権 ゼ ミの33.3%の 生 徒 が社 会 科 学 系 分 野 へ の進 学 を希 望 して い る の に対 して,メ デ ィ カル ゼ ミの 生 徒 の60.0%が 医 療 系 へ の,環 境 ゼ ミの 生 徒 の57.4%が 自然 科 学 系 な い し工 学 系 へ の 進 学 を希 望 して い る 。 地 域 ゼ ミ を除 い て これ らの ゼ ミの 集 団 カ テ ゴ リー は,い ず れ も大 学 で の学 問 分 野 の カ テ ゴ リー との つ なが りが比 較 的 明確 で あ り,生 徒 の進 学 希 望 分 野 もそ れ に対 応 す る形 で特 定 の 学 問分 野 に集 中 す る傾 向 に あ る。 一 方 で,フ ー ドゼ ミ,い の ち ゼ ミ,平 和 ゼ ミ とい っ た 特 定 の 学 問 分 野 と は結 び つ き に くい 集 団 カ テ ゴ リー の ゼ ミ に お い て,生 徒 の進 学 希 望 分 野 は分 散 す る傾 向 に あ る。 とは い え,あ え て従 来 の 文 系 ・理 系 とい う枠 組 み を用 い て分 類 す る な らぼ,フ ー ドゼ ミに は理 系 的 傾 向 を,い の ち ゼ ミ,平 和 ゼ ミに は文 系 的 傾 向 を見 い だ す こ と は可 能 で はあ る。
以 上 の こ と は,ゼ ミが 生 徒 の進 路 展 望 の構 成 に対 して一 定 の統 制 作 用 を有 して い る もの の,集 団 カ テ ゴ リー の設 定 の仕 方 に よ っ て そ の 統 制 作 用 に差 異 が 生 じ る こ と を表 し て い る。 そ れ で は,以 上 に 見 て き た よ う な ゼ ミの 集 団 カ テ ゴ リー と生 徒 の 希 望 進 路 との関 連 性 の 差 異 は,生 徒 が ゼ ミの一 連 の 活 動 を 意 味 づ け,コ ミッ トして い く上 で,い か な る作 用 を もた らす こ とに な るの だ ろ うか 。 ベ ッカ ー(Becker,H.S.)は,「 現 在 の状 況 が,後 の 段 階 に お い て 予 期 され て い る重 要 な状 況 と明 確 に 関連 し て い る と見 な す こ とが で き る」 こ と
が,人 が あ る状 況 に適 応 し,コ ミ ッ トし て い く上 で の重 要 な 規 定 要 因 に な る と指 摘 して い る(Becker1977p.62)。 こ のベ ッカ ー の見 解 に則 る な らぼ, ゼ ミ とい う学 習 集 団 が 生 徒 の学 習 経 験 に お い て 果 た す 役 割 につ い て,次 の 二
表5ゼ ミ別の進 学 希望分 野(o(o括 弧内 は人 数) 進学希望分野
所属ゼ ミ
人文科学系 社会科学系 教 員 養 成 ・
保 育 系 医療系 自然科学系 工学系 芸術 系 体育系 そ の他 未定
地 域 ゼ ミ(N=14)
21.4(3) 35.7(5) 7.1(1) 7.1(1) 7.1(1) 7.1(1) 0.0(0) 0。0(0) 7.1(1) 7.1(1) 経 済 ゼ ミ(N=25) 8.0(2) 36.0(9) 4.0(1) 4.0(1) 8.0(2) 24.0(6) 0.0(0) 0.0(0) 8.0(2) 8。0(2)人 権 ゼ ミ(N=51)
13.7(7) 33.3(17) 19.6(10) 5.9(3) 2.0(1) 11.8(6) 3.9(2) 0.0(0) 5.9(3) 3.9(2)フ ー ド ゼ ミ(N=30)
13.3(4) 6.7(2) 10.0(3) 13.3(4) 20.0(6)1 13.3(4) 0。0(0) 0.0(0) 13.3(4) 10.0(3)メディカル ゼミ(N=50)
8.0(4) 6。0(3) 2。0(1) 60.0(30) 10.0(5) 6.0(3) 2.0(1) 2.0(1) 0.0(0) 4.0(2)い の ち ゼ ミ(N=46)
21.7(10) 17.4(8) 23.9(11) 19.6(9) 4.3(2) 0.0(0) 4.3(2) 0.0(0) 2.2(1) 6.5(3)環 境 ゼ ミ(N=54)
5.6(3) 7.4(4) 5.6(3) 9.3(5) 33.3(18) 24.1(13) 1.9(1) 1.9(1) 1.9(1) 9.3(5)平 和 ゼ ミ(N=27)
29.6(8) 18.5(5) 0.0(0) 11.1(3) 11.1(3) 7.4(2) 7.4(2) 3.7(1) 7.4(2) 3.7(1)X2=181。44df=63P〈.01
注)30.0%以 上 の 数 値 を 太 字 で 表 記
顯團勤餅沸e緑蝿醸甥符渾菊叫温甫書・礫餅謬需
QQ N
つ の仮 説 を設 定 す る こ とが で き る。 す な わ ち,
仮 説 ①:特 定 の 進 路 分 野 と明 確 に結 び つ け られ て い るゼ ミに所 属 す る生 徒 ほ ど,ゼ ミ課 題 研 究 に対 し て肯 定 的 に関 与 す る。
仮 説 ②:ゼ ミ課 題 研 究 に対 して 肯 定 的 な 関 与 を示 して い る生 徒 ほ ど,ゼ ミ課 題 研 究 を進 路 と結 び つ け て意 味 づ け よ う と して い る。
次 節 で は,こ の 二 つ の仮 説 につ い て検 証 を試 み て み よ う。
(2)生徒 に よ る ゼ ミ課 題 研 究 へ の 意 味 づ け と進 路
学 習 集 団 「ゼ ミ」 が 生 徒 の学 習 経 験 に お い て 果 た す 役 割 を,生 徒 の進 路 展 望 の 視 点 か ら明 らか にす る た め,こ こで は まず,生 徒 が ゼ ミの一 連 の活 動 の ど の側 面 を,ど の よ う に意 味 づ け て い るの か,そ の 特 徴 を整 理 す る こ と と し た 。 具 体 的 に は,2004年12月 の 「SunRiseTime発 表 会 」(ゼ ミ課 題 研 究 発 表 会)の 直 後 に実 施 した 質 問紙 調 査 の 中 か ら,ゼ ミ課 題 研 究 へ の 取 り組 み に か か わ る33項 目 に つ い て生 徒 が それ ら を どの よ う に 自 己 評 価 し て い る か4 段 階 の尺 度 を用 い て 調 べ,そ の 回 答 に 因子 分 析 を施 した 。 表6は,そ の結 果 析 出 さ れ た8因 子 とそ の 因 子 負荷 量 を示 した も の で あ る。
これ らの 因 子 うち,と くに第1因 子 と第2因 子 に性 格 づ け をす る と,第1 因 子 は研 究 成 果 の プ レゼ ン テ ー シ ョン の満 足 度 に か か わ る因 子,第2因 子 は ゼ ミ課 題 研 究 そ の もの へ の コ ミ ッ トメ ン トにか か わ る因 子 と見 な す こ とが で き る。 発 表 会 直 後 の調 査 とい う こ と もあ っ て,生 徒 は 主 に発 表 会 で の プ レ ゼ ンテ ー シ ョ ンの 満 足 度 とい う観 点 か らゼ ミ課 題 研 究 を意 味 づ け て い るが,こ こで は と くに,第2因 子 で あ るゼ ミ課 題 研 究 そ の もの へ の コ ミ ッ トメ ン トに か か わ る 因 子 に注 目 した い。 な ぜ な らば,こ の 因 子 は,プ レ ゼ ンテ ー シ ョ ン の 満 足 度 とい っ た短 期 的 な観 点 か ら の意 味 づ け とは異 な り,年 間 を通 じた ゼ ミ活 動 に対 す る 自 己評 価 とい う長 期 的 な観 点 か らの意 味 づ け を示 して い る か らで あ る。
そ こで,第2因 子 を構 成 す る6項 目 に つ い て,「 当 て は ま る」 に4点,「 ま あ 当 て は ま る」に3点,「 あ ま り当 て は ま ら な い」に2点,「 当 て は ま らな い 」
学習集 団が生徒 の学習経験 に及ぼす顕在的 ・潜在的作用
33
表6生 徒 に よ るゼ ミ課題 研 究への 意味 づ けの構造(主成分 分析 結果,バ リマ ック ス回転後)
項目
F1 F2 F3 F4 F5 F6 F7 F8肯定率
何 を研 究 した かわ か りやす く説 明 す る こ とが で きた 0,782 76.2
理 解 しやす い ス ライ ドを作 成す るこ とが で きた 0,765 72.5
これ まで の取 り組 み を筋 道 を立 て て発 表 で きた 0,750 79.1
自分 な りに工 夫 して ス ライ ドを作 成 で きた 0,714 72ユ
チー ム の発 表 に満 足 し てい る 0,688 73.7
チ ーム 内で の 自分 の 役割 を果た す こ とが で きた 0,638 87.7
発 表 につ い て メ ン バ ー と事 前 の 打 ち合 わ せ を十 分
0,598 54.9
行 った
自分 の 意見 や ア イデ ィ ア を発 表 に盛 り込 む こ とが で
0,553 63.6
きた
調 べ た こ とを整 理 して発 表 に取 り入れ る こ とが で き
0,479 0,321 0,315 80.8
た
ゼミ課題研究は役に立 った
0,774 56.3どん な分 野 に興 味 が あ るの か以 前 よ り明確 にな った 0,712 48.9
新 た な興 味 や関 心 を もつ よう にな った 0,682 56.3
ゼミ課題研究は面白かった
0,672 48.9今年度の成果や反省を来年度 に活かそうと思 う
0,655 0,315 83.8「総 合的 な学習 」 に意 欲 的 に取 り組 んで い る 0,576 35.6
テー マ に合 っ たゼ ミ研 修 の計 画 を立 て る こ とが で き
0,750 63.1
た 、
テー マ に合 っ た活動 計 画 を立 て る こ とが で きた 0,712 60.5
発 表 を ま とめ る上 で ゼ ミ研修 等 で の経 験 は役 に立 っ
0,347 0,697 77.0
た
テー マ に合 った ブ ック レポ ー トを選 ぶ ことが で きた 0,557 79.9
テー マ につ い てメ ンバ ー と積 極 的 に話 し合 った 0,451 0,459 64.7
テー マ に合 った ニ ュ ース レ ポー トを 選 ぶ こ とがで き
0,449 一〇,387 0,337 64.7
た
テー マ に関連 した本 を独 自 に読 ん でみ た 0,754 20.7
テー マ に関連 す る記 事 や ニ ュー ス に関 心 を もった 0,374 0,623 43.4
課題研究のために公共の図書館等を利用した
0,600 12.6締 め切 りを 守 る こ とが で き た 0,675 93.2
制 限時 間 内 で伝 え た い こ とを発表 す るこ とが で きた 0,317 0,569 76.9
ゼ ミ研 修 等 で の経験 を発 表 に取 り入 れ る こ とが で き
0,435 0,356 0,468 82.7
た
課題研究に必要な資料 は学校の図書館にあった
0,711 38.0課題研究に必要な資料 を十分得ることができた
0,351 0,383 0,455 76.7進 路 に関 連 の あ る研 究 テ ー マ を設定 した 0,754 42.4
興 味 や関 心 の ある研 究 テ ーマ を設 定 した 0,306 0,449 0,576 78.6
ゼ ミ課題研究 は大変だ った
0,683 86.3ゼミ課題研究に取 り組む時間 は十分 あった
0,462 一〇.493 40.8固有値
4,976 3,683 3,294 2,118 1,552 1,464 1,461 1,225累積寄与率
15,078 26,238 36,220 42,638 47,341 51,776 56,204 59,915注:肯 定 率 は各 項 目 に 「当 て は ま る」 「ま あ 当 て は ま る」
因 子 負 荷 量0.30以 上 の み を記 載
と回答 した割 合 の合計
に1点 を与 え,そ れ を合 計 し て個 人 得 点 を算 出 し,こ の個 人 得 点 を も とに生 徒 を ほ ぼ3等 分 した。 そ し て,得 点 の 高 い 方 か ら順 に 「ゼ ミ課 題 研 究 へ の コ ミ ッ トメ ン ト度 合 い」 高 群,中 群,低 群 と し,各 群 の生 徒 が どの よ うな 進 路 展 望 を構 成 して い る の か 調 べ る こ と と し た。 区 分 され た3群 の 構 成 比 は以 下
の通 りで あ る。
ゼ ミ課 題 研 究 へ の コ ミッ トメ ン ト度 合 い:
・低 群6〜13点99名(32 .0%)
・中群14〜17点123名(39 .8%)
・高 群18〜24点87名(28 .2%)
さて,各 群 の 生 徒 が構 成 す る進 路 展 望 と して興 味 深 い の は,進 学 先 を決 定 す る際 の優 先 順 位 の違 い で あ る。 表7は ゼ ミ課 題 研 究 へ の コ ミ ッ トメ ン ト度 合 い の 強 弱 に 応 じ て生 徒 の 進 学 先 の 決 定 が どの よ う に異 な っ て い るか 示 した もの で あ る が,ゼ ミ課 題 研 究 へ の コ ミッ トメ ン ト度 合 い の 強 い生 徒 ほ ど学 校 名 よ り も学 問 分 野 を重 視 し て進 学 先 の 決 定 を 試 み て い る こ とが わ か る。 す な わ ち,低 群 お よ び 中群 にお い て は 「志 望 学 部 学 科 名 が 定 ま っ て い る」 生 徒 よ り も 「志 望 学 校 名 が 定 ま っ て い る」 生 徒 の割 合 が 高 い の に対 して,高 群 で は そ の構 成 比 が 逆 転 して い る。 しか も,ゼ ミ課 題 研 究 へ の コ ミッ トメ ン ト度 合 い が 強 くな る ほ ど,「 志 望 学 部 学 科 名 が 定 ま っ て い る」生 徒 の 割 合 が 高 くな っ て い る。 この結 果 は,ゼ ミ課 題 研 究 に対 して コ ミ ッ トメ ン トの 度 合 いが 強 く, 肯 定 的 に 関与 し て い る生 徒 ほ ど,進 学 を希 望 す る学 校 よ り も進 学 後 に学 ぶ 学
表7ゼ ミ課 題 研 究 へ の コ ミ ッ トメ ン ト度 合 い と進 路 展 望 との 関 連 (A)志 望 学 校 名 が
定 ま っ て い る
(B)志 望 学部 学科 名 が 定 まって い る
(B)一(A)の 差
低 群(N=99)
67.7%(67名)>62.6%(62名)
一5 .1%中 群(N=123)
67.2%(82名)>62.6%(77名)
一4 .6%高 群(N=87)
78.2%(68名)<82.8%(72名)
+4.6%注:「 当 て は ま る 」 「まあ 当 て は ま る 」 を 回 答 し た割 合 お よ び 人 数 の 合 計
学習集団が生徒の学習経験 に及 ぼす顕在的 ・潜在 的作用
35
問分 野 を志 向 した 進 路 展 望 を構 成 す る傾 向 に あ る こ と を示 して お り,先 の仮 説 ② を部 分 的 に 支 持 し て い る。 す な わ ち,生 徒 の ゼ ミ課 題 研 究 へ の コ ミ ッ ト メ ン ト度 合 い の 強 弱 は,そ の 進 路 展 望 の 在 り様 と密 接 に関 連 して い る の で あ る。さ ら に,以 上 の結 果 か ら次 の 仮 説 を導 き出 す こ とが で き る。そ の仮 説 とは, ゼ ミ課 題 研 究 は生 徒 の進 路 展 望 を進 学 後 の学 問分 野 に対 す る関 心 へ と深 化 さ せ る効 果 を有 して い る の で は な い か,と い う もの で あ る。 これ は,先 に提 示 し た仮 説 ① 「特 定 の進 路 分 野 と明 確 に 結 び つ け られ て い る ゼ ミに所 属 す る生 徒 ほ ど,ゼ ミ課 題 研 究 に対 して 肯 定 的 に関 与 す る」 と関 連 して い る。 とい う の も,先 に引 用 した ベ ッカ ー の 指 摘 に も あ る よ う に,現 在 の 活 動 と将 来 予 期 さ れ る活 動 との 関連 性 が 明 確 な 状 況 で あ る ほ どそ の 状 況 に対 す る人 の コ ミッ トメ ン トの 度 合 い は強 くな る もの と予 想 され,そ れ ゆ え,特 定 の 進 路 分 野 と 明 確 に 結 び つ け られ た ゼ ミ ほ ど生 徒 の 進 路 展 望 の 形 成 を よ り促 進 す る もの と 想 定 す る こ とが で き る か らで あ る。
そ こで 次 に,ゼ ミご とで ゼ ミ課 題 研 究 へ の コ ミ ッ トメ ン ト度 合 い の 強 弱 が どの よ う に異 な るか を調 べ る こ と と した 。 表8は,そ の結 果 で あ る。
も し上 記 の仮 説 が 支 持 され る な らば,生 徒 の進 路 展 望 が 集 中 化 す る傾 向 に
表8ゼ ミ別 の コ ミ ッ トメ ン ト度 合 い
ゼ ミ名 低 群(N=99) 中 群(N=123) 高 群(N=87)
地 域 ゼ ミ(N=15)
33.3%(5名) 26.7%(4名) 40.0%(6名)
経 済 ゼ ミ(N=26)50.0%(13名) 26.9%(7名) 23.1%(6名)
人 権 ゼ ミ(N=53)15.1%(8名) 49.1%(26名) 35.8%(19名)
フ ー ド ゼ ミ(N=31) 35.5%(11名) 45.2%(14名) 19.4%(6名)
メ デ ィ カ ル ゼ ミ(N=51)33.3%(17名) 45.1%(23名) 21.6%(11名)
い の ち ゼ ミ(N=49)44.9%(22名) 28.6%(14名) 26.5%(13名)
環 境 ゼ ミ(N=56)26.8%(15名) 50.0%(28名) 23.2%(13名)
平 和 ゼ ミ(N=28)28.6%(8名) 25.0%(7名) 46.4%(13名)
X2=26.238df=14P<.05あ っ た地 域 ゼ ミ,経 済 ゼ ミ,人 権 ゼ ミ,メ デ ィ カ ル ゼ ミ,環 境 ゼ ミで は ゼ ミ 課 題 研 究 へ の コ ミ ッ トメ ン ト度 合 い は強 くな り,生 徒 の 進 路 展 望 が 分 散 化 す る傾 向 に あ っ た フ ー ドゼ ミ,い の ち ゼ ミ,平 和 ゼ ミで は コ ミ ッ トメ ン ト度 合 い が 弱 くな る は ず で あ る。 しか し,結 果 は意 外 な もの で あ った 。 す なわ ち, 確 か に地 域 ゼ ミ,人 権 ゼ ミに お い て は,他 の ゼ ミ と比 較 して コ ミ ッ トメ ン ト 度 合 い が比 較 的 高 い の で あ る が,生 徒 の進 路 展 望 が 集 中 化 傾 向 に あ った 経 済 ゼ ミ,メ デ ィ カ ル ゼ ミ,環 境 ゼ ミで は コ ミ ッ トメ ン トの 度 合 い が相 対 的 に低 く,逆 に,生 徒 の進 路 展 望 が 分 散 傾 向 に あ った 平 和 ゼ ミにお い て コ ミッ トメ ン ト度 合 い が 高 くな っ て い る。 この 結 果 は,先 の仮 説 ① を全 面 的 に棄 却 す る もの で は な い が,同 時 に部 分 的 に しか 支 持 は し て い な い 。 「進 路 」の み が ゼ ミ 課 題 研 究 へ の コ ミ ッ トメ ン トを高 め て い るわ けで は な い の で あ る。
「進 路 」との 関 連 性 と コ ミ ッ トメ ン ト度 合 い の 強 弱 とが 必 ず し も一 致 し な い とい う この 現 象 を,ど の よ うに 理 解 す る こ とが で き るだ ろ うか。こ こ に,テ ー マ 別 学 習 集 団 と して の ゼ ミが 生 徒 の 学 習 経 験 に対 して もつ 潜 在 的 な 役 割 を見 い だ す こ とが で き な い だ ろ うか 。 次 節 で は,こ の課 題 に接 近 す るた め の一 つ の 試 み を示 し て み た い 。
(3)ゼ ミ課 題 研 究 の 内 的 矛 盾 と潜 在 的 作 用
生 徒 が 進 路 展 望 を形 成 す る上 で,ゼ ミは そ の 一 定 の 枠 組 み と して 意 味 づ け られ て い る。 し か し,進 路 との 関 連 性 が 比 較 的 明 確 な ゼ ミに お い て,ゼ ミ課 題 研 究 に対 す る生 徒 の コ ミ ッ トメ ン トの度 合 い は 必 ず し も高 い わ け で は な い 。この 現 象 は,ゼ ミ課 題 研 究 そ の もの が あ る種 の 内 的 矛 盾(エ ンゲ ス トロ ー ム 訳 書1999,山 住2004を 参 照)を 抱 えて い る こ と に起 因 す る と考 え る こ
とが で き る。
エ ン ゲ ス トロ ー ム(Engestr6m,Y.)に よ る と,学 校 教 育 に お け る諸 活 動 は,
「交 換 価 値 」 と 「使 用 価 値 」 とい う本 質 的 に 矛 盾 す る二 つ の 価 値 を内 包 し て い る(エ ンゲ ス トロ ー ム 訳 書1999110‑111頁)。 こ こで い う と こ ろ の 「交 換 価 値 」 とは,「 成 績 」や 「学 歴 」 とい っ た 労働 市 場 等 に お け る成 功 との 交 換 物
学習集団が生徒の学習経験 に及 ぼす顕在 的 ・潜在的作用
37
と して の学 習 の 価 値 で あ り,「使 用 価 値 」 とは 「学校 の外 の社 会 に対 す る 自分 自身 の あ り方 を打 ち立 て るた め の生 きた 道 具 」(エンゲ ス トロー ム 訳 書1999 111頁)と して の 価 値 で あ る。学 校 教 育 の 諸 活 動 は これ ら二 つ の 価 値 が競 合 する 「二 重 性 」 を 孕 ん で お り,学 習 主 体 た る生 徒 は この 矛 盾 か ら生 じる ダ ブ ル バ イ ン ド状 況 の 中 に存 在 して い る。
通 常 の 教 科 学 習 に お い て,こ う した 矛 盾 は潜 在 的 で あ り,生 徒 は学 校 教 育 に優 勢 な 「交 換 価 値 」 に従 う主 体 と して 存 在 す る こ とが で き る。 ま た,学 校 が 文 系 や 理 系 とい った 受 験 対 応 型 の学 習 集 団 を構 成 して い る場 合,こ う した 矛 盾 は さ ら に不 可 視 の もの と な る。 な ぜ な らば,受 験 対 応 型 の 学 習 集 団 に所 属 す る こ とに よっ て,生 徒 は 「交 換 価 値 」 に従 うた め の安 定 した 状 況 を与 え
られ るか ら で あ る。
しか し,ゼ ミ とい う受 験 対 応 型 の学 習 集 団 とは 異 な る テ ー マ 別 学 習 集 団 に お い て,学 校 教 育 の 諸 活 動 が も つ 内 的 矛盾 は顕 在 化 す る こ と に な る 。 ゼ ミ課 題 研 究 を遂 行 す る過 程 で,生 徒 は 自 らの 置 か れ た ダ ブル バ イ ン ド状 況 に直 面 せ ざ る を得 な くな る の で あ る。以 下 で は,筆 者 の フ ィー ル ドノ ー ツの 中 か ら, ゼ ミ課 題 研 究 の 過 程 で 生 徒 が 直 面 す る ダ ブ ル バ イ ン ド状 況 を い くつ か 抜 粋
し,ゼ ミ課 題 研 究 が 抱 え る内 的 矛 盾 の 一 端 を提 示 して い み た い 。
(a)成 績 達 成 者vs意 味 形 成 者(1>
まず第 一 に,ゼ ミ課 題 研 究 の過 程 で 生 徒 は 「成 績 達 成 者 」 と 「意 味 形 成 者 」 とい う相 反 す る生 徒 役 割(studentroles)に 従 事 す る こ と を要 請 さ れ る。 す なわ ち,普 段 の教 科 学 習 にお い て,生 徒 は 「交 換 価 値 」 に従 う受 動 的 な 知 識 の受 容 者 と して の 役 割 を果 た し て い る。 こ の役 割 にお い て生 徒 が 求 め られ て い る の は,「 与 え られ た 個 別 の 問 題 を解 く,問 題 解 決 」(山 住2004114頁) で あ り,そ の範 囲 内 で の よ り良 い成 績 の 達 成 と単 位 の 取 得 で あ る。 この 役 割
の要 請 は,ゼ ミ課 題 研 究 にお い て も変 わ りは な い 。 教 科 学 習 とは形 態 の 異 な る ゼ ミ課 題 研 究 に し て も,単 位 化 され,生 徒 が 卒 業 のた め に ク リア しな けれ ぼ な ら な い課 題 が 提 示 され る とい う点 で は,生 徒 に とっ て教 科 学 習 と同様 の
圧 力 を有 して い る か らで あ る。
しか し一 方 で,ゼ ミ課 題 研 究 が 要 請 す る生 徒 役 割 は 「受 動 的 な知 識 の 受 容 者 」 に と ど ま ら な い 。 ゼ ミ課 題 研 究 の過 程 に お い て,生 徒 は現 実 の社 会 問 題 や 日常 的 な現 象 の 中 か ら 自 ら課 題 を見 っ け 出 し,探 求 し,そ こで得 た 学 習 成 果 を能 動 的 に発 信 して い く 「意 味 形 成 者 」 と して の役 割 を も果 た さな けれ ぼ な らな い。 この 矛 盾 す る二 っ の生 徒 役 割 を 要 請 され る とい う点 に,ゼ ミ課 題 研 究 を め ぐ る第 一 の 内 的 矛 盾 を見 い だ す こ とが で き る(2)。次 の二 つ の事 例 は, 生 徒 の 置 か れ た こ う した ダ ブル バ イ ン ド状 況 を端 的 に表 して い る。
事 例1(環 境 ゼ ミ)
S:こ れ(=ゼ ミ課 題 研 究),こ の 後 も続 け る の?
T:そ う,続 けて い くの 。3年 の9月 ぐ らい まで は … … S:受 験 勉 強 ど こ ろ じゃ な い 。
T:そ う,受 験 勉 強 ど こ ろ じ ゃ な い(笑)
S:大 学 が,あ な た の環 境 問 題 に対 す る取 り組 み はす ぼ ら しい,と か認 め て くれ れ ば い い ん だ よ 。(2004.5.20)
(Tは 教 師 を,Sは 生 徒 を 表 し て い る 。括 弧 内 の 記 述 は,後 に 筆 者 が 書 き加 え た も の)
事 例2(い の ち ゼ ミ)
(SunRiseTime発 表 会 リ ハ ー サ ル 後)
S:ワ ー ドで 作 っ た 原 稿 の な か に(発 表 で)使 わ な い 部 分 が あ る ん だ け ど, 削 っ て い い で す か?
T三 で も,書 い て くれ た 人 が 気 を 悪 くす る と い け な い か ら,入 れ て お い た 方 力§し)し)よo
S:そ の 部 分,す ご く短 くな る ん だ け ど,い い で す か?
T:ま あ,そ れ は 担 当 し た 人 と相 談 し て 。
S:い や,短 くな っ ち ゃ う と,そ の 人 の 成 績 と か 悪 く な ら な い か な っ て 思 っ
学習集団が生徒の学習経験 に及 ぼす顕在 的 ・潜在的作用
39
て … …(2004.12.16)(Tは 教 師 を,Sは 生 徒 を 表 し て い る 。括 弧 内 の 記 述 は,後 に 筆 者 が 書 き加 え た も の)
上 記 二 つ の事 例 の うち,事 例1に お い て,生 徒 は受 験 勉 強 に従 事 す る 「成 績 達 成 者 」 の観 点 か ら 自 らの ゼ ミ課 題 研 究 を意 味 づ け よ う と試 み て い る。 す な わ ち,事 例1の 下 線 部 に あ る よ う に,受 験 に対 す る効 用 が 見 出 せ な い 限 り (大学 が取 り組 み を認 めて くれ な い 限 り),「 成 績 達 成 者 」と して の生 徒 は 自 ら の ゼ ミ課 題 研 究 を 「学 ぶ に値 す る もの 」 と見 な す こ とは で き な い の で あ る。
また,事 例2に お い て も,生 徒 は 「成 績 」 とい う観 点 か らゼ ミ課 題 研 究 を意 味 づ け よ う と して い る。 こ の事 例 の 中 で,生 徒 は,グ ル ー プ の メ ンバ ー と協 同 で作 成 し た発 表 会 用 の 原稿 の 中 に 実 際 の発 表 で は使 用 しな い 部 分 が あ るた め 削 除 し て い い か,と 教 師 に相 談 して い る。 そ の 際,こ の 生 徒 の最 大 の 懸 念 は,発 表 原 稿 の 一 部 を 削 除 す る こ と に よ っ て そ の部 分 の担 当 者 の成 績 が 悪 く な るの で は な い か,と い う点 に あ る。
これ ら の事 例 は,い ず れ もゼ ミ課 題 研 究 とい う 「意 味 形 成 」 の場 に 「成 績 達 成 者 」 の役 割 が 浸 透 す る こ とに よっ て 生 じ るダ ブ ルバ イ ン ド状 況 と して 理 解 す る こ とが で き る。 こ う した 状 況 は,進 路 との 結 び つ きが 相 対 的 に 明 確 な ゼ ミ にお い て ほ ど顕 在 化 しや す くな るだ ろ う。 な ぜ な らば,特 定 の進 路 とゼ ミの 集 団 カ テ ゴ リー との 結 び つ きが 明 確 で あ れ ば あ る ほ ど,生 徒 は当 面 の 「受 験 」 や 「成 績 」 を意 識 せ ざ る を得 な くな り,学 習 の もつ 「交 換 価 値 」 の 側 面 を志 向 す る よ う に な る か らで あ る 。 この と き,ゼ ミ課 題 研 究 の 「使 用 価 値 」 の側 面 に従 う こ とは,生 徒 に とっ て 価 値 の薄 い こ と,煩 わ し い こ とに な る。
(b)個 人 の 関 心vs集 団 の テ ー マ
第 二 に,ゼ ミ課 題 研 究 に お い て,生 徒 は 「個 人 の 関心 」 を もち な が ら各 ゼ ミグ ル ー プ が 協 同 して取 り組 む べ き 「集 団 の テ ー マ」 に 従 事 す る とい う状 況 に置 か れ る こ とに な る。 そ して,こ の 「個 人 の 関 心 」 と 「集 団 の テ ー マ 」 は
常 に 一 致 す る と は限 らな い 。 両 者 の 間 の 不 一 致 が顕 在 化 した と き,ゼ ミ課 題 研 究 は そ の 内 的 矛 盾 を 露 呈 す る こ と にな る。 次 の 事 例 は,こ の よ うな 「個 人 の 関 心 」 と 「集 団 の テ ー マ 」 との葛 藤 状 況 を表 して い る。
事 例3(環 境 ゼ ミ)
T:(課 題 研 究 の)分 担 が 終 わ っ た ら,こ れ か ら(研 究 を)ど ん な 風 に ま と め て い くか も話 し 合 っ て 。
S1:ま と め る っ て,何 を ま と め た ら い い の?何 や る ん だ か 覚 え て な い よ 。 T:だ か ら,何 か 自 分 た ち の テ ー マ に 沿 っ て さ,ま と め て い か な い と。 リ ー
ダ ー が 中 心 に な っ て 。 S、:ま た リ ー ダ ー っ て … … S2:じ や あ,や っ て 。 S、:任 す な よ,何 で も 。
S、:第 一 さ,俺 た ち っ て 何 で 海 洋 生 態 学(の 研 究)に な っ た ん だ っ け?い つ の 間 に か そ ん な こ と に な っ て る し。
Tい ろ い ろや っ て い る う ち に違 う方 向 に行 っ ち ゃ っ た か な?
S2:去 年 出 し た プ レ ゼ ミだ っ て 「森 林 破 壊 」 だ っ た し … … 。(2004.10.28) (Tは 教 師 を,S、 お よ びS2は 生 徒 を表 して い る。括 弧 内 の 記 述 は,後 に筆 者 が 書 き加 えた もの)
す で に述 べ た よ う に,A高 校 に お い て,各 生 徒 は1年 次 の ゼ ミ選 択 の後, ゼ ミの テ ー マ と関連 し た 「プ レゼ ミ学 習 」 とい う調 べ 学 習 を行 う。 そ して2 年 次 に な っ て,生 徒 は この プ レゼ ミ学 習 の 成 果 を も と に,互 い の 関 心 を す り 合 わ せ な が らゼ ミグル ー プ の 研 究 テ ー マ を設 定 す る こ と とな っ て い る。 しか し,上 記 の 事 例 に も あ る よ う に,こ う して 設 定 され た グル ー プ の テ ー マ と個 人 の 関 心 とは,往 々 に して乖 離 す る傾 向 に あ る 。この 事 例 の 中 で,S2と い う 生 徒 はグ ル ー プ の テ ー マ と 自 ら の も と も との関 心 と を対 立 的 に捉 え,グ ル ー プ の テ ー マ に対 す る非 同調 を表 し て い る。
学習集団が生徒 の学習経験 に及ぼす顕在的 ・潜在的作用
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こ う した 乖 離 は,生 徒 が 「バ ラバ ラ な 学 習 主 体 と して 位 置 づ け られ て お り, 学 習 活 動 シス テ ム 全 体 の 主 体 と して 位 置 づ け られ て い な い 」(エン ゲ ス トローム 訳 書1999111頁)こ とに よ っ て 生 じ る と考 え る こ とが で き る。 す な わ ち,生 徒 個 々 人 の関 心 の 追 求 は,小 規 模 で はあ るが 一 つ の 共 同 体 で あ るゼ ミ の テ ー マ の追 求 とは か け離 れ た もの に な っ て お り,そ れ ゆ え,生 徒 は,形 式 的 に は共 通 の テ ー マ の も と に協 同 で グ ル ー プ ワー ク を行 っ て い た と して も, そ の 内 実 は個 々 人 が バ ラバ ラ の作 業 を行 っ て い る に過 ぎ な くな る。
この 「学 習 の 個 人 化 」 は,通 常 の 教 科 学 習 に お い て は常 態 で あ る とい う こ とが で き る。 ヤ ン グ(Young,M.F.D.)が 指 摘 して い る よ う に,学 校 教 育 の と くに ア カ デ ミ ッ ク教 科 の カ リキ ュ ラ ム は 「個 人 主 義 一 学 術 的 な学 習 の評 価 方 法 に お け る集 団 活 動 お よび 相 互 協 力 の 回 避 」(ヤ ン グ訳 書200230頁)を 特 徴 と し て お り,こ う した 学 校 教 育 の もつ 個 人 主 義 的 性 質 が 浸 透 す る こ とに
よ っ て,ゼ ミ課 題 研 究 は 「バ ラバ ラ の 学 習 主 体 」 に よ る孤 立 した 作 業 の 集 積 とな るの で あ る 。
以 上 に述 べ て きた よ うな学 習 の 内 的 矛 盾 や そ こか ら生 じ るダ ブ ル バ イ ン ド 状 況 は,ゼ ミ とい うテ ー マ別 学 習 集 団 を設 定 し,ゼ ミ課 題 研 究 を実 施 しな け れ ば顕 在 化 し な か った 問 題 か も しれ な い 。 そ う考 え る と,ゼ ミ は,生 徒 の 進 路 展 望 の 統 制 装 置 とし て一 定 の 効 果 は あ る もの の,カ リキ ュ ラム の効 率 的 な 運 用 とい う点 に お い て は一 種 の 、撹 乱 要 因"と な りか ね ず,ま た 生 徒 の側 か ら し て も,本 来 直 面 し なか っ た か も しれ な い ダ ブ ル バ イ ン ド状 況 を もた らす 黙負 担"に な りか ね な い
。
しか し,エ ン ゲ ス トロ ー ム が 「歴 史 的 に発 展 す る内 的 矛 盾 が,活 動 シ ス テ ム の運 動 と変 化 に と っ て の主 要 な源 泉 で あ る」(エンゲ ス トロ ー ム 訳 書1999
5頁)と 述 べ て い る よ うに,ゼ ミに よ っ て もた ら され る 内 的矛 盾 の 顕 在 化 こ そ が,従 来 の 学 習 活 動 に新 た な 要 素 を加 え,そ れ を今 とは異 な る もの へ と変 化 させ て い く契 機 と も な り う る。 こ こに,ゼ ミ とい うテ ー マ別 学 習 集 団 が も つ 潜 在 的 な 意 義 が あ る。