神戸常盤大学紀要 第 3 号 2011 40 − − − −41 本研究では、小学校教師の指導行動を効果的にする潜在的影響力について、教師自身の認知から検討をおこ なった。まず、小学校に勤務し学級担任を経験した教師7名(男性3名:50代、20代、20代・女性4名:50代、 50代、50代、20代)に対して、1人約90分の半構造化面接を実施した。その際、以下の3つの場面のそれぞれ の指導行動を効果的にする学級担任教師の潜在的影響力とは何かということをたずねた。①学級集団全体を対 象にした指導行動場面②学級集団の中にいる児童・生徒個人を対象にした指導行動場面③個別指導時の児童・ 生徒個人を対象にした指導行動場面である。また、面接内容については、許可を得て録音し、逐語録を作成し た。データ分析については、佐藤(2008)の分析方法を参考におこなった。 ①の場面の指導行動に影響する教師の潜在的影響力として抽出されたカテゴリーは、「受容・共感」、「一貫 性」、「親近・明朗性」、「正当性」、「授業力」、「怖さ・威圧感」、「自信」、「公平・公正」、「自然体」の9つであっ た。これらの結果より、学級集団全体を対象にした指導行動に対しては、多様な潜在的影響力が働きかけてい ることがうかがえる。 ②の場面の指導行動に対する教師の潜在的影響力として抽出されたものは、「一貫性」、「公平・公正」、「自信」、 「怖さ・威圧感」の4つのカテゴリーであった。この結果から、学級集団の中の個人に対して指導を行なう際 には、一貫性をもって、公平で公正に指導を行なうことが重要であることがわかった。また、その際、教師が 自信をもっていること、怖い存在であることもある程度必要である可能性が示された。 ③の場面の指導行動に対する教師の潜在的影響力として取り出された17のセグメントは、「受容・共感」、「親 近感」の2つのカテゴリーに集約された。これより、個別指導時に個人に対して指導行動をおこなうときに は、普段から受容・共感的だと認知されている教師の方が指導の効果が高いということがうかがえる。 本研究では質的な研究方法を採用し、対象も教師自らであったため、潜在的な影響力について教師の内面の 部分からもとらえることができ、従来より詳細な教師の潜在的影響力を抽出することができたものと思われ る。しかしながら、本研究の被験者は7名と少なく、年代的にも偏っているので、今後、被験者を増やして発 展させていくことが必要であろう。
学級集団と児童・生徒個人に及ぼす教師の潜在的影響力に関する質的研究
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