岡山大学大学院教育学研究科研究集録 第145号 (2010)19‑29
学級集団,児童 ・生徒個人に及ぼす教 師の潜在 的な影響力
三島 美砂* 淵上 克義 …
本研究では,学級集団 と児童 ・生徒個人に及ぼす教 師の潜在的な影響力 を明 らか にす るた め,大学生500人 (男性250人 ・女性250人) に,小4か ら中3までの担任教 師の中で学級の多 くの子 ども達が よ く指示 に従 っていた教 師 を1人想起 させ ,教 師の指示 に従 う理 由 を項 目内 容 に した39項 目の質問紙 につ いて回答 を求めた。次 に, ′ト4か ら中3までの担任教 師の中で 自分 自身が よ く指示 に従 っていた教 師 を1人想起 させ, 同様 に答 え させ た。 回答 を因子分析 した結果,学級,個 人へ の教師の潜在 的な影響力の
2
つの因子構造 は よく似 てお り,
「親近 ・ 明朗性」,
「自信 ・一貫性」,
「威圧感」,
「罰」,
「正当性」,
「授 業力」,
「受容」の7
つの因子 が 抽 出 された。 中で も 「親近 ・明朗性 」,
「自信 ・一貫性」,
「受容」 の3つが大 きく認知 されて お り,影響 を与 えるための重要な因子であることがわか った。 また,性差や学校段 階の差 に ついて も検討 をお こなった。 その結果,女 子は男子 より教師の 日々繰 り返 され る指導行動 か ら得 られる教 師像 を潜在 的な影響力 として とらえやすい とい うこ と,男子 は女子 よ り怖 さに 影響 されている可能性が大 きい とい うことが分かった。 さ らに,学校段 階の差 としては,中 学校 に比べ小学校段 階では,教師 とい う職業や役割 を潜在的な影響力 と して大 きくとらえて いることがわか った。Ke y wo r d s
=教師,影響九 学級集団,児童 ・生徒個 人問題 と目的
近年,学校現場 では,い じめや不登校 ,発達障害 の問題, また,学級崩壊 な どの学級集 団全体 の問題 が数多 く報告 されてお り,教師 には, ます ます適切 な影響力が求め られるようになって きているO これ らの現場 の問題 を受 けて,今後,教員養成や現職教 員の研修 において教 師の影響 力や リー ダー シ ップ, 学級経営 に関わる内容 を充実 させ るこ とが今以上 に 必要 になって くる。その ような中, これ までの教師 の影響力 に関す る研究 には,顕在化 された影響力で ある リー ダー シップ,す なわち具体 的な指導行動 に 焦点 を当てた もの とその ような指導行動 を発揮す る 背景 となる潜在的な影響力である勢力資源 に焦点 を 当てた ものの大 きな
2
つ の流 れが存在す るのであ る が,本研究 は,後者,す なわち,教師の潜在的な影 響力 に焦点 を当て検討 をする ものであ る。我が国における教師の勢力資源の代表的な研究 と
して まず挙 げ られ るのは,田崎 (1979)の研究であ る。 この研究 では,教師の勢力資源 として第 Ⅰ因子
「親近 ・受容」, 第 Ⅱ因子 「外 見の良 さ」,第 Ⅲ因子
「正 当性 」, 第 Ⅳ 因子 「明朗 性 の魅 力 」, 第 Ⅴ因子
「罰」,第Ⅵ因子 「熟練性」 な らびに第Ⅶ因子 「同一 化」 の
7
つが抽 出 されてい るが, この研究 において は,教 師の勢力資源の全体像が とらえ られていない と推測 される部分がある。とい うの も,田崎 (1979) では,質問項 目収集のため に予備調査 を実施 し,大 学生139名 を対 象 に,
「小学校 (中学校 , 高等学校) の頃,先生の言われ る通 りに した り,指示 に従 ったり,禁止 をまもった り等 々,先生 の影響 を受 けたの はなぜ だ と思い ますか」 とい う質問を している。 こ の質問文 には主語が表記 されていないが,文脈か ら 回答者個 人を主語 と している と考 え られので,影響 の受 け手は学級集 団ではな く回答者個人である。す なわち,田崎 (1979)の研究の質問項 目で問われて
*兵庫教育大学連合大学院連合学校教育研 究科 (岡山大学配属) 673‑1493 兵庫 県加東市下久米942‑1 (700‑8530 岡山市北 区津 畠中3‑1‑1)
**岡山大学大学院教育学研 究科 700‑8530 岡山市北 区津島中3‑1‑1 Teachers'influenceoneachstudentandclassroomclimate
MisaMISHIMA*andKatsuyoshiFUCHIGAMI**
*m eJointGraduateSchoolEducation(Doctor'sCourse),Hyogo UniversityofTeacherEducation942‑1Shimokume, Kato‑shi,Hyogo,673‑1498(placedatOkayamaUniv.)
**GraduateSchoolofEducation,OkayamaUniversity,3‑IllTushima‑naka,Kita‑ku,Okayama70018530
‑ 19 ‑
三島 美砂 ・ 淵上 克義
いるのは,個人の児童 ・生徒への教師の影響力であ ると考 え られる。
この田崎 (1979)の研究成果 と最近の児童 ・生徒 に調査 を実施 した結果 とを比較検討 した研 究 と し て,林 ・橘 (2007)が挙げ られる。 この研究では凹 崎 (1979)で作成 された尺度 を基盤 に した ものを使 用 してお り,田崎 (1979)の結果 と比較 している。
まず,小学生 は,田崎 (1979)においては
,
「外見 性」が飛びぬけて一番高い値 を示 していたのに対 し て,林 ・橘 (2007)では,
「正当性」,
「明朗性 の魅 力」,
「熟練性」等が高い値 を示 している。 また,中 学生では, 田崎 (1979)では,
「親近 ・受容」,
「明 朗性 の魅力」が高か ったが,林 ・橘 (2007)では,「罰」が一番高かった。
さらに,林 ・橘 (2007)は,田崎 (1979)の27項 目に授業や学習 に関す る3項 目を付 け加 え,新 たに 因子分析 をお こなっている。その結果
,
「先生 を信 頼 で きるか ら」,
「自分 を信 じていて くれ るか ら」,「授業 の内容が分か りやすいか ら」等の項 目か ら構 成 される第 Ⅰ因子 「教師 としての信頼感」
,
「ユーモ アがあるか ら」 などの項 目か らなる第 Ⅱ因子 「親 し みやす さ」他 ,第 Ⅶ因子 「外 見」,第Ⅳ因子 「正 当 性」,第 Ⅴ因子 「罰」が抽 出 されてい る。 その後,5
つの因子 間で一要 因分散分析 をお こなった結果, 小学生では,
「外見」,
「罰」が他 の因子 よ り有意 に 低 い値 を,
「教師 としての信頼間」,
「親 しみやす さ」が他 の因子 よ り有意 に高い値 を示 していた。 また, 中学生 で は
,
「罰」 が他 の因子 に比べ有 意に高 く,「外見性」が有意に低かった。 また,林 ・橘 (2007) は,教 師 と児童 ・生徒の影響力の認知のずれを報告 してお り ,教師は全般的 に児童 ・生徒 に比べ て 自 らが大 きな影響 をもつ と考えていることを明 らかに している。 しか しなが ら, この研究で測定に使用 し た質問項 目は,ほとん ど田崎 (1979)と同様である と考 え られることか ら,林 ・橘 (2007)で抽出され た因子 も,児童 ・生徒個人に及ぼす教師の影響力で あ り,影響力全般 を網羅 している もの とはいえない ことが推測 される。
これに対 し,学級集団を視野 に入れた教師の潜在 的な影響力 を取 り上げた研究 としては,三島 ・宇野 (2004)が挙 げ られる。 この研究で使用 された 「教 師認知」尺度は,予備調査 によって項 目内容 を作成 しているのだが,その際,小学校の教師20名に個別 面接 を実施 し,教師認知の項 目内容 を収集す るため,
「良い学級雰 囲気 を作 る教 師 とは, どん な教 師か」
とい うことを質問 している。 さらに,児童 (小5:
10名,小6:10名) を対象 として学年 ごとに集団面 接 を実施 し,上記 と同様の質問をおこない討論 をさ
せ て項 目内容 を収集 してい る。 この ような方法 で
「教師認知」質問項 目を作成 していることか ら
,
「教 師認知」の内容 は,児童個人へ影響す る資源ではな く,学級雰圃気 (学級集団)へ影響す る資源である もの と考 え られ よう。 したが って,
「教 師認知」か ら抽 出された 「受容 ・親近」,
「自信 ・客観」,
「怖 さ」,「罰」
,
「た くましさ」 とい う5
つの教師像 は,学級雰 囲気 に及ぼす教師の潜在的な影響力である とい うこ とがで きると考 え られる。 この中で,先行研究 にお いて見出 されていなか った因子 は,
「自信 ・客観」,「怖 さ」
,
「た くましさ」の3
つであるが, この ような 因子が抽出 されたのは,影響の及ぶ ところを児童 ・ 生徒個人 とせず,学級雰囲気 (学級集団) を視野 に 入れた こ とが大 き く関わっている もの と考 え られ る。しか しなが ら,三島 ・宇野 (2004)には問題 とな る点がある。 この研究では,田崎 (1979)の使用 し た従来の方法,す なわち
,
「指示 に従 うのはなぜか」とい う問いの答 えになる部分 を質問項 目の内容に し て どの程度当てはまるかを答 えさせ るとい う方法は 採用 していない。その代わ りに,教師認知
5
因子 を 説明変数,各学級雰囲気 を基準変数 とした重 回帰分 析 を実施 し,5
つの 「教 師認知」がそれぞれの学級 雰囲気 を説 明 しているか を検証 している。 しか し,この方法では,田崎 (1979)の研究の ように信頼性 の高い影響力であると言い切 ることは難 しい。例 え ば,西本 (1995)において,学級文化が教 師の勢 力 ・人気の資源の規定因になることが報告 されてい るように,学級集団か ら教師に対す る影響 も可能性 としては考 え られるか らである。 また,三島 ・宇野 (2004)では,田崎 (1979)の ように,男女や小学 校,中学校,高校 とい う学校段 階による勢力資源の とらえ方の差 についての詳細 な検討はなされていな
い。
さて,今後,教員養成や現職教員の研修において, 教師の影響力や リーダーシップ等 に関わる内容 を充 実 させてい く場合,各教育現場 に対応 した教師の具 体的なリー ダー シップのあ り方 を検討す る必要があ る。そ して, この ような教育現場 において教師が発 揮す る影響力の最 も基本的な特徴の一つは,児童 ・ 生徒個人に及ぼす影響力 と学級集団全体 に対する影 響力 の2つ の局面 に分類 で きる とい うこ とであ る。
そ もそ も個人 と集団に対するリーダーの影響力の内 容や効果は異 なることが指摘 されてお り,具体的な 教師の影響力 を検討する際にまず明 らかに しなけれ ばな らない点である (淵上,2002)。例 えば,生徒 指導や教育相談 など主に児童 ・生徒個 々に対するリ ーダーシップ と授業や学級経営 など主に学級集団全
‑ 20 ‑
学級集臥 児童 ・生徒個人に及ぼす教師の潜在的な影響力
体 を視野に入れた リーダー シップを明確 に区別 した ような具体的な研究の検討などである。さらにまた, より実践的な研究 にするためには,田崎
( 1 9 7 9)
や 林 ・橘( 2 0 0 7 )
の ように児童 ・生徒が教師をどう認 知 しているか とい う検討 にとどまらず,児童 ・生徒 に大 きく影響 を及ぼす ことがで きる教師,換言すれ ば指導力のある教 師が どの ような影響力 を保持 して いるかについて検討 をお こなうことも必要になってくるだろう。
以上,本研究では, まず,教師の潜在的な影響力 を,学級集団に及ぼす もの と児童 ・生徒個人に及ぼ す ものの2つ に分 けて とらえなおす。 その際,三 島 ・宇野
( 2 0 0 4)
の方法論ではな く,田崎( 1 9 7 9)
勢力資源研究で採用 された従来の方法論 を採用 し, 信頼性の高い教師の潜在的な影響力因子 を抽出す る が,従来 と異なる点は,児童 ・生徒 に大きく影響 を 及ぼす ことがで きた教師 を想起 させて回答 させ る点 であ る。その上 で,学級集 団 に及ぼす影響 力 と児 童 ・生徒個 人に及ぼす影響力の認知構造 について検 討 し,2つの構造の異 なる点 について吟味 してい く。次に,田崎
( 1 9 7 9 )
や林 ・橘( 2 0 0 7 )
で も検討 され ていたように,児童 ・生徒個 々人の中で どの影響力 を大 きく認知 しているかについて.学級集団,個 人 それぞれに分けて明 らかにする。 さらに,学級集団 各因子 と個 人各因子の対応する ものごとを比較 して 詳細 な検討 をお こなう。最後に,性差や年齢差 によ って,影響力の とらえ方が異なっているか とい う点 について も検討 してい く,J方法
1
)予備調査(1) 調査時期
2 0 0 8
年7
月(2)
対象 大学生8 0
名。(3)
調査方法小 4か ら中 3までの時代 を想起 させ
,
「あなたの 学級 の児童 ・生徒 がその先生 の指示 に従 っていた (従 っていなか った)のはなぜか上
「あなた 自身がその先生の指示 に従 っていた (従 っていなかった) のはなぜか」 の質問にそれぞれ一番 よく当てはまる
と思 う教師を一人思い浮かべなが ら自由に記述 させ たO収 集 した 内容 を
K J
法 で整理 した結 果,
「自 信 ・一貫性」 ,
「受容 ・親近 ・明朗性」 ,
「授業力 (熟 練性 に近 い)」 ,
「た くましさ」 ,
「怖 さ」 ,
「罰」 ,
「正当性」の
7
つの カテ ゴ リーにまとめ られ, これに基 づいて39項 目 (教師の指示 に従 う理由を項 目内容 にした もの) を作成 した。
2
)本調査(1
)調査時期2 0 0 8
年11月,2 0 0 9
年5 ,6
月。(2
)対象 中部, 関西, 中国地方の大学生5 0 0
名 (男性2 5 0
名 ・女性2 5 0
名 :5
73名か ら男女同数ずつ をランダムに抽出 した)。(3)調査方法
小 4か ら中 3までの担任教師の中で学級の多 くの 子 ども達が よ く指示 に従 っていた教師 を
1
人思 い浮 かべ させ,
「学級の子 ども達がその先生の指示 に従 っていたのはなぜ かo」 とい う教示 を与 え,作成 し た39項 目について回答 を求めた。次 に,小4か ら中3 までの担任教師の中で 自分 自身が よく指示 に従 って いた教師を1人思い浮かべ させ,
「あなたがその先生 の指示 に従 っていたのはなぜか。
」 とい う教示 を与 え同様 に回答 させ たOいずれ も4件法で実施 したO結果 と考察
1
)学級集団 と児童 ・生徒個人に及 ぼす教師の潜在 的な影響力の認知構造(1)学級.個人の教師の潜在的影響力の認知構造 学級,個人について回答 させた39項 目に対 してそ れぞれに因子 分析 (主因子法,プロマ ックス回転) を実施 した。 固有値の減衰状況 と回転後の解釈可能 性 を検討 した結果,学級,個 人 ともに
7
因子解 を採 用 したO負荷量が. 35
未満 であった項 目を除 き因子 分析 を繰 り返 し,負荷量.40以上 を示 した もの を因 子の解釈 に用 いた (TABLE1
TABLE2 )
。‑21 ‑
三島 美砂 ・ 淵上 克義
TABLE
l
学級集団に及 ぼす教師の影響 力因子名 実 間項 目 第 】因子 第 日因子 第1H因子 第lV因子 第V因子 第VL因子 第ⅥL因子 共通性
級 楽 しい 先 生 だ っ た の で .86 .06 ‑,04 .02 ‑.14 .07 ‑.04 ,72
近明 ユーモ アのある先′lけJるい先/tだったのでl三だ ったので ..8790 ..0413 ..00】1 ‑..01 ‑04 ‑..2100 ‑.,0300 ‑..0004 .,5559
親近感 を感 じる先!liだったので .72 ‑.14 .02 .00 ,26 ‑.03 .01 .69 朗性 /.式軽に.言rtiせ る先fl三だったので .68 ‑.15 .02 ‑.03 .20 .03 .01 .59
休 み時例や放課後 な ど ‑綿 に楽 しく過 ごせ る光′卜だ‑)たので .55 ‑.06 .04 .09 .14 ‑.06 ‑.01 .36
自 良い ことと悪い ことをはっきり′」1‑して くれたか ら .05 .69 ‑.05 ‑.01 .00 ‑.10 ‑.01 .45
状況に左イlAされ ることな く指噂 に ‑F川 三があったので ‑.06 .68 .00 ‑.08 .0 0 .00 .00 .43
「Htiを もって指喋していたので ‑.02 .61 .02 .05 ‑.08 .13 ‑.04 .42
信 厳 しさと楽 しさのけじめがついていたので .21 .59 .01 ‑.03 ‑.06 ‑.02 ‑.06 .42
fLi念 に)iSづ いて指導を していたので ‑.12 .56 ‑.10 .03 .14 .08 .13 .39
I 叱 った り褒 めた りするJJち準が ‑主'‑fしていたので .08 .56 .01 .00 .09 ㌧04 .04 .38
性 指導をする とき毅然 とした態度 を とっていたので ‑.23 .49 .02 .09 .02 ‑.08 .02 .24
褒め るときと叱 るときのメ リハ 1)が しっか りついていたので .14 ,45 .06 .02 .02 ‑.05 ‑.09 ,28
指導 をす る とき落 ちIiJ‑いて tilZ̲:々 としていたので ‑.04 .44 .01 ‑.03 .15 .15 .03 .36
正 学校 の先生が こfうことはr「:̲しい とjLr.つていたか ら ‑.01 .01 .81 ‑,01 .01 ‑.01 ,02 .67
当 学校の)tFf:̲の riLうことを聞 くのはF1,.従 として、r1たり前だ と)山つていたか ら .02 ‑.09 .79 .00 .04 .00 ‑.03 .59
性 Ft=.徒が先F1:.の指示に従わないのは恐い ことだ と)Lrtつていたか ら .03 .07 .75 .00 .00 ‑.01 .08 .64
威 体がた くま しい光′l三だったので .ll ‑.05 ‑.04 .84 .01 .09 ‑.ll .66
圧 力が慮 そ うな先'liだったので .04 .04 ‑.01 .80 ‑.07 ‑.07 .05 .68
感 大 きな体格の光Ff三だったので ‑.07 .02 .05 .77 .09 ‑.02 ,12 .68
受
容 よ く.…舌を聴 いて くれ る先′卜だったので .24 ∴01 ‑.03 ‑,06 .65 .01 .10 .64
どの子 に も公平に接 して くれたので ‑.10 .24 .ll .00 .60 ‑.03 ‑.16 .53
特定の 1.をひい きす ることがない先′i三だつたか ら ‑.16 .01 ,08 .08 .56 .07 ‑.19 .32
人間関係 な どの悩みを理解 して くれ る先′卜だったので .17 .04 ‑.06 ‑.01 .55 ‑.02 .1 0 .43
気持 ちにlt.感 して くれ る先FT三だったので .28 ,ll ‑.09 ‑.03 .51 ‑.03 .07 .56
授 よ く分か る授業をす る先′l=.だったので ‑.10 ‑‑.04 ‑.06 .01 .06 .95 ‑.01 .81
莱 授 業が ̲I:̲手な先1三だったので .05 .03 .00 .01 ‑.05 .79 .0 0 .66
力 興味を もて る授業をす る先′Lだったので .20 ,09 .14 ‑.02 .01 .48 .04 .47
罰 言うことを問かない と先′.I‑‑;.‑うことをrB,]かない と親にrf三のFfいつけ られ そ うなので]加 こ対す る印象が悪 くな りそ うだか ら= ‑‑.,0Ol1 ..030 0 ‑,.021 0 ‑..0606 ‑.,07 ‑ll ..0101 ..7168 ..6147
t言うことを聞かないと)戊緋 をfrげ られそ うなので ‑.04 ‑.02 .01 .03 ‑.13 .02 .68 .56
第l因子 .33 .03 ‑.07 .57 .44 ‑.29
困 第 日因子 .13 .12 ,49 ,45 ‑‑13
子 第日因子 .21 ‑.05 .24 ,46
間 第lV因子 ‑.10 ‑.04 .26
冨 芸vv.冨… .36 ::呂芸
第VlH司子
α係数 .87 ,82 .83 .83 .79 .82 .77
‑ 22 I
学級集団,児童 ・生徒個人に及ぼす教師の潜在的な影響力
TA臥 E
2
児童 ・生徒個人に及ぼす教師の影響力園子名 9t間項 目 第 J因子 第 日因子 第 lH因子第lV因子 第V因子 第Vl因子 第VIL因子 共通性 どのf.に も公 平に接 して くれ たの で .80 一14 ‑,06 ‑,22 ‑.01 ‑,06 ‑.04 .54
状 況 に左 11‑され る こ とな く指 導 に .員L性 が あ ったので .80 ‑.09 ‑.10 .06 ‑,02 .02 ‑.02 .61
上1分 の'xTJ/}にJTI才JAされ る こ とな く指 噂 をお こな う'h′卜だ ったので .71 ‑.04 ‑.ll ‑.13 .09 ‑.06 .01 .43
良 い こ と と悪 い こ とを はっ き り′jJiして くれ たか ら .59 .13 .02 .06 ‑,04 ‑,02 .04 .50
借 特 'jIZの tをひい きす る こ とが な い九 p1:̲たったか ら .56 .ll .02 ‑.18 .02 ‑.16 ‑.03 .30
厳 しさ と楽 しさの け じめが つ いて いた ので .56 .25 .05 .05 ‑.01 .0 0 ‑.08 .47
千 褒 め る とき と叱 る ときの メ リハ りが しっか りつ いていた の で .55 .10 .06 .02 .00 .00 .01 .40
性 指 埠 をす る とき投然 と した態 雌 を とって いたの で .53 ‑.22 .14 .03 .ll ‑.01 .0] .37
指噂 をす る とき満 ちTit'J信 を もって指噂 して いたのでlいて′iL'.:々 と して いたので ..5352 二二昌冒 二呂i :圭冒 莞 二0.冒 二三三 :喜呂.
frj.念 に桟づ いて桁 導 を して いた ので .52 ‑.09 .02 .25 .02 .03 .03 .48
納 得 が い く指導 をす る先生 だ ったので .50 ‑.09 ‑.01 .22 ‑.06 ‑.05 .10 .44
親 楽 い ユ'^;/Lだ ったので .06 .89 ‑‑....,020301 ‑0217 ‑‑...0204031107 ‑‑‑...0108020]07 ‑...0506070002 ‑‑..,,.1103119784 .....6057603974
近明 Iユ‑モ アの あ る九/J)」るい先′tiだ ‑)た のでtだ った ので ..0405 ..7876
/気軽 に.話せ る'k:l三だ ‑)たの で ‑.02 .68
親近 感 を感 じる先′l三だ ったので ‑.01 .57 ‑.07 ‑.06 .04 .02 .33 .62
威 jJが強 そ うな先牡 だ ったの で ‑.10 .02 .95 .02 .01 ‑.07 .08 .79
圧 体 が た くま しい先 ′Lだ った ので .05 .12 .87 ‑.01 .05 ‑.18 .01 .64
感 人 きな休 桁 の 光!i三だ ったの で ‑.05 .07 ,80 ‑.04 .00 .02 .0] .62 授
莱 授 業が 1よ く分 か る授 潔 をす る'二手 な先′トだ ったの でhLhだ ったので ..0104 ‑‑..0105 ‑..0004 ..8382 ..01 ‑00 ‑..0503 ,.04DO ..7268
力 興 味 を もて る授 業 をす る光'1三だ ったので ‑.04 .13 ‑.01 .68 .10 ∴02 ‑.05 ,52
熱心 に授 業をす ZJ,FLiJ生だ ったので .19 ,ll ‑.01 .50 ‑.05 ,06 .04 .47
正 ′、;':校 の 先Jf三が .i'うこ とは ll:̲しい と思 って いたか ら ‑.01 .05 .02 .06 .83 .04 .02 .74
当 ′上従 が 先′トの指 示 に従 わ な いの は腰 い こ とだ と.l出つて い たか ら ‑.01 .01 .03 .01 .81 .05 ‑.06 .71
性 学校 の先 ′1=,のr:言う こ とを聞 くの は二l;̲従 と して 、r'TたりZ'JTJ'だ とJl以って いたか ら ,1 0 ‑.01 ‑.01 .01 .79 .00 ‑.04 .67
罰 ∫ うこ とをL lAJか ない と成績 を 下げ られ そ うなので ‑.12 .ll ‑.07 .02 .03 .80 .07 .53
う こ とを聞か な い と親 に Lj‑いつ け られ そ うな g)で ‑.07 .14 ‑.04 .02 .00 .80 .02 .53
うこ とをFiHか な い と先′Lの 「r'JJに 対す る印象 が悪 くな りそ うだか ら .01 ‑.08 ‑.1 0 ‑.12 .15 .65 .05 ,49 引tE]‑:や 雰 岡Ixtが 怖い先′I三だ ったので .12 ‑.19 .37 ‑.02 ‑.05 .42 ‑.05 .62
fや「1朗が怖 い光′トだ った ので .15 ‑.16 .37 ‑.06 ‑.10 .41 ‑,12 .61
受
容 'よ く.xも持 ちにjf講を聴 いて くれ る先生 だ ったので.,‑感 して くれ る先 ′トだっ たの で ..0222 ..2112 ..0401 ‑..0805 ‑‑..0303 ..0303 ..7755 ..7461
人 [‑L.]闇係 な どの悩 み を理解 して くれ る光′1三だ っ たので .22 ,22 .02 ‑.O6 ‑.03 .08 .51 .55
困 第第 日因子l因子 .35 ‑,.1188 ..5835 ‑..0817 ‑‑..0238 ,.5530
チ 第 lll因子 .13 一17 .54 ‑.21
間 第lV国子 .22 .06 .31
相関 第 ∨因子 .42 ‑.02
第Vl因子 ‑,28
第Ⅵl因子
分析 の結果,学級,個人への教師の潜在的な影響 力は,よく似た認知構造 を していることがわかった。
予備調査 の カテ ゴ リー と異 な る点 は
,
「受 容 ・親 近 ・明朗性」が 「受容」 と 「親近 ・明朗性」 に分か れたこと,
「た くましさ」 ,
「怖 さ」,
「罰」の3カテゴ 7)‑が 「威圧感」 と 「罰」の2つの因子 にまった こ とであ る。す なわち,学級 ,個人の双方 とも 「親 近 ・明朗性」,
「自信 ・一貫性」,
「正当性」,
「威圧感」,「受容」
,
「授業力」,
「罰」の7つの因子が抽出 きてい る。それぞれが どの ような順番で抽出 されたか とい うことについては, TABLE1
, TABLE2に記 した。
また, α系数は,学級では
. 87
か ら. 77
,個人では.91‑2 3
か ら
. 81
と高い値 を示 してお り, どの因子 も信頼性 を備えている もの と判断で きる。(2
)学級,個 人 において項 目が同 じであった教師 の潜在的影響力国子学級 ,個 人 の項 目内容 が 同 じであ った因子 は,
「親近 ・明朗性」
,
「正 当性」,
「威圧感」である。
「親 近 ・明朗性」 は,
「気軽 に話せ る先生 だ ったので」な どの親近感
,
「楽 しい先生 だったので」 な どの明 朗性が示 された項 目で構成 されてお り,教師の明る く親近感のある態度が影響力 として認知 されている ことがわかる。
「正当性」 は,
「学校の先生の言 うこ とを聞 くのは生徒 として当た り前だ と思っていたか三島 美砂 ・ 淵上 克義 ら」 な どの項 目で構成 された因子で,教師 と児童 ・
生徒 とい う役割関係 を認識す ることで成立 している 因子である
。
「威圧感」 は,
「力が強そ うな先生だっ たので」 な どの教師の外観か ら生 じる威圧感が示 さ れた項 目か ら構成 された因子である。(3
)学級,個 人において項 目が異 なっていた教師 の潜在的影響力因子学級 ,個 人 の項 目内容 が異 な っていた因子 は,
「自信 ・一貫性」
,
「受容J,
「授業力」,
「罰」の3
つ であった。「自信 ・一貫性」 は,三島 ・宇野 (2004)の 「自 信 ・客観」 ときわめて近い内容の因子である。 この 因子 は
,
「自信 をもって指導 していたので」,
「指導 をするとき落 ち着いて堂々としていたので」 などの 教師の 自信のある態度や 「状況 に左右 されることな く指導 に一貫性があったので」,
「叱った り褒めた り する基準が一貫 していたので」 な どの教師の 一貫 し た態度 を示す項 目か ら構成 されている。 しか しなが ら,学級の 「自信 ・一貫性」には,これ らに加 えて,「良 い こ とと悪 い こ とをは っ き り示 して くれ たか ら」
,
「褒めるときと叱るときの メリハ リが しっか り ついていたので」 な どの教師が子 どもの行為 を目標 に向けて方向付 ける態度を示す項 目も高い負荷量 を 示 した。学級集団‑影響 を及ぼす には,集団を方向 付 けてい く教師の態度の重要 さが示 されているもの と思われ る。一方,個人の万 には,
「どの子 に も公 平 に接 して くれたので」 などの教師の公平 な態度や「自分の気分 に左右 されることな く指導 をお こなう 先生だったので」
,
「納得がい く指導 をす る先生だっ たので」 などの教師の公正 な態度 を示す項 目が高 く 負荷 していた。児童 ・生徒個人へ影響 を及ぼす には,人間として尊敬 され,信頼 される教師の態度が必要 であることが示 されているのであろう。
次 に
,
「受容」であるが, この因子は,
「気持 ちに 共感 して くれる先生だったので」,
「よ く話 を聴いて くれる先生だったので」な どの教師の受容 ・共感的 な態度が示 された項 目か ら構成 されているが,学級 の方には, これ らに加 えて,
「特 定の子 をひい きす ることがない先生だったので」,
「納得がい く指導 を す る先生だったので」 などの教師の公平で公正 な態 度が示 された項 目も高 く負荷 した。学級集団に影響 を及ぼすためには, 目立つ子,気 にいっている子な ど特定の子 ども達にだけではな く, どの子 にも公平 に受容 ・共感的な態度を示す ことが重要なのであろ う。 これに対 し,個人の方は,受容 ・共感的な態度 が示 されている項 目のみで構成 されてお り,個人の 子 どもは, 自分の話 を聴 き,気持 ちに共感 して くれ る教師の態度 を自分に対す る影響力 として認知 している と考 え られる。
また
,
「授業力」は,
「よく分かる授業 をす る先生 だったので」な どの項 目か ら構成 され,教師の授業 の上 手 さが影響力 として認知 された因子であるが, 個 人の 方には,
「熱心 に授業す る先生 だったので」とい う項 目が含 まれた。熱心 ということに対 して個 人 として好感 を感 じているのか もしれない。
さらに
,
「罰」」 は,
「言 うことを聞かない と成績 を下げ られそ うなので」 などの教師が与 える罰 を予 期す る内容の項 目で成 り立っているが,個人の方に は, これに加 え 「表情や雰囲気が 怖い先生」,
「声や 口調が怖 い先生」 の2項 目が含 まれていた。個人に おいては,罰 を与 える教師は,表情や雰囲気,声や 口調が 怖い ことと結びついて認知 されているようで ある。(4)先行研究 との比較
こ こで ,抽 出 され た7つ の 因子 の 中 で , 田崎 (1979)や林 ・橘 (2007)(基本的に剛 奇(1979)の 項 目を使用 している研究)では兄い出されなかった ものは
,
「自信 ・一貫性」と 「威圧感」の2つである。この2つ の因子が抽 出 された理 由 としては, まず, 本研究が学級集団を対象 とす る影響 とい う視点 に立 ち教師の潜在的な影響力 にアプローチ した とい う点 が挙げ られる。教師の個人への影響,すなわち,教 師 と子 どもとい う二者 関係のみ を想定 した場合 に,
「自信がある態度」や 「一貫 した指導」
,
「目標 に向 けて方向付 ける態度」,
「威圧感」 といった ものはな か なか出て き難 い内容 なのであろ う。 また, 田崎 (1979)や林 ・橘 (2007)の示 した因子の うち,本 研究で抽 出 されなかった ものは 「外見性」,
「同一化」の2つであ る。 田崎 (1979)の研究か ら約30年の時 間が経 ち,教師や子 どもを含めた社会は大 きく変容 している。現代社会において子 ども達 は多 くの情報 にさらされてお り.無条件で教師に尊敬の念 を抱 く, あ こがれるといった感情はもちに くくなっているの だろ う。 したが って
,
「外見性」や 「同一化」 によ って影響 を受けることが少な くなっているもの と考 え られる。2
)学級集団.児童 ・生徒個人に及 ぼす教師の潜在 的 な影響力の とらえ方教師の潜在的な影響力の とらえ方が どの ように異 なってい るか を検討す るため,学級集 団因子 ,児 童 ・生徒個 人因子 の2つ ともに含 まれていた項 目を 取 り出 しその平均値 を因子平均値 とし,学級,個人 のそれぞれについて7因子 間で一要因の分散分析 を お こなった
( Fi gur e
1 ) 。学級の分析 においては有意な主効果が認め られた
I 24 ‑
学級集団,児童 ・生徒個人に及ぼす教師の潜在的な影響力
3. 5 3 2. 1. 5 2 5 1 0. 5 0
♂
■学級
□個人
㊨
や
ぎ
チ音
子S
Figurel学級集団,児童 ・生徒個人に及ぼす教師の潜在的な影響力の平均値
( F ( 4. 05,2 02
1. 36) ‑496 , 08, pく0 0
1)。下位検定の結果
,
「自信 ・一貫性」,
「親近 ・明朗性」,
「受 容」 は,
「正当性」,
「威圧感」,
「授業力」,
「罰」 の どれ とも有意差が認 め られた (全 てpく 00
1)。す なわち,良い学級集団を作 る教師 を,児童 ・生徒 は, 自信や一貫性があ り,明朗で親 しみやす く,受容的 な関わ りをして くれるととらえているもの と考 えら れ よう。 また,
「罰」 と他の全 ての因子 との間に も 有意 な差が認 め られ (全 てp<. 00
1),学級 におい ては 「罰」の影響が よ り小 さいことが分かる。 さら に,
「授業力」 は,
「正当性」,
「威圧感」,
「罰」 と比 べ有意 に高い値 を示 してお り (全 てp<. 001 )
,翠 級 においては授業力のある教師の方が影響 を及ぼ し やすいことが予想 されるし次に,個人の分析 において も有意な主効果が認め られわ (F
( 3. 9 8,1 98 6 . 3 9) ‑5 2 3. 3 7, pく0 01 )
0 下位 検 定 の結果 ,や は り,
「自信 ・一貫性」,
「親 近 ・明朗性 」,
「受容」 は,
「正 当性 」,
「威圧 感」,「授業力」
,
「罰」 の どれ とも有意差が認め られ (全 てpく 0
01),個人に大 きな影響 を与 える教 師 も学 級 同様 の傾 向が見 られることが うかが える。 また, 学級 と同様,
「罰」 と他の全 ての因子 との間に も有 意 な差が認め られ (全てpく 0
01),個人 において も 「罰」の影響が より小 さいことが分かる。さらに,「授業力」 も
,
「正当性」,
「威圧感」,
「罰」 と比べ有 意 に高い値 を示 してお り (全 てpく 00
1),個 人で も授業力のある教師の方が影響 を及ぼ しやすいこと が予想 される。 しか しなが ら,学級 と異 なる点 とし ては,
「自信 ・一貫性」 と 「受容」 との間に有意差 が見 られたことで (p< . 0
1),個人には受容的に関 わる態度が 自信や一貫件のある態度 よ り大 きな影響力 となってい る こ とが推 測 で きる。 「正 当性」 と
「威圧感」において も有意 な差が見 られ
(p<. 0 0
1), 個 人においては,
「正 当性」 よ り 「威圧感」 の方が 影響力 としては小 さい ものであることが分かった。これ らの結果 よ り,学級集団,児童 ・生徒個 人の 両方で大 きな影響力 と認知 されているのは主 に 「自 信 ・一貫性」
,
「親近 ・明朗性」,
「受容」であること が示 され, この3
つが,小学校 ,中学校の担任教 師 の重要 な潜在的影響力 となっていることが うかが える。
3
)学級集団,児童 ・生徒個人に及 ぼす教師の潜在 的な影響力の比較学級,個人の影響力の差の検定をおこなうために, 本調査の対象者
500
名か ら学級 と個人の両 回答で同じ教 師 を選 ん だ
246
名 を取 り出 し,学級集 団,児 童 ・生徒個 人の2
つ ともに含 まれていた項 目の平均 値 を因子平均値 とし,学級,個人の同名の因子 につ いて対応 のあるt検定 を実施 した( TABLE3 )
0その結果
,
「親近 ・明朗性」,
「正当性」,
「受容」,「授業力」
,
「罰」 については,学級 よ り個 人の方が 有意 に高 い得 点 を示 した (順 にt( 245)
=2. 26
,p<. 05 3. 14, p<. 01 2. 44, p<. 05 3. 41
,pく 01 3. 59, p<. 001 )
。す なわち,
「親近 ・明朗 性」 ,
「正当性」 ,
「受容」,
「授業力」 ,
「罰」 は,学 級集団 と比べ児童 ・生徒個人によ り効果的に影響 を 及ぼす影響力である とい うことがで きよう。一方,「威圧感」 については,個 人 よ りも学級の方が有意 に高い得点 を示 していた (t
( 2 4 5 ) ‑5 . 45,p<. 0 01 )
0 これ よ り,
「威圧感」 は児童 ・生徒個人 よ り学級集 団に対 して よ り大 きな影響 を及ぼす影響力であるこI 25 ‑
三島 美砂 ・ 淵上 克義
TABLE3学級 ・個人への影響力の平均値 とSDおよびt検定の結果
棚
mX平
身盾 SD 辛. 野庭 SD tG
親 近 .明朗性
3.46 0,56 3.50 0.53 2.26
* 自信 .一貫性3.33 0. 43 3.34 0.46 .42
正 当性
2.33 0.76 2.44 0.89 3.1 4
**威圧 感
2.23 0.88 2.07 0.92 5. 45
***受容
3.42 0.56 3. 47 0.57 2. 44
* 授 業 力3.06 0. 69 3.1 6 0.71 3. 41
**とが わか った。 また
,
「自信 ・一貫性」 につ いては 有意 な差が認 め られ なか った。す なわ ち,
「自信 ・ 一貫性」とい う教師の潜在 的な影響力は,学級 集団, 児童 ・生徒個 人 どち らに も同程度 に影響 を及ぼ して いるこ とが うかが える。この ように,学級集団 と児童 ・生徒個 人への影響 力 を比べ た場合
,
「親近 ・明朗性」,
「罰」,
「正 当性」,「授業力 (専 門性)」
,
「受容」 な どの田崎( 1 97 9)
の 研究で指摘 されていた資源 と近い ものは,個 人への 影響 が大 きい とい うことが見出 されてい る。 また.田崎
( 1 9 7 9)
では取 り上げ られなかった 「自信 ・ 一貫性」
,
「威圧感」 は,学級 と比べ個人が よ り大 きい とい う結果 は認め られなかった。 田崎( 1 9 7 9)
で抽 出 された教 師の勢力資源 因子 は,前述 した ように, 児童 ・生徒個 人に及ぼす ものである と考 え られることよ り,納得で きる結果である と思 われ る。
***Pく.001, **Pぐ.01, *P、'.05
4
)性差 による教師の影響力の とらえ方の横討 性差 に よる教 師の影響力の とらえ万の差 を検討す るために,個 人に及ぼす教師の各影響 力因子 につい て独立 したt検定 をお こなった (TABLE 4)。学級 に及 ぼす影響力 については,学級集 団は男子,女子 の両方で構成 されているとい う前提 か ら, こち らに ついては分析の対象に しなかった。 なお,因子平均 値 は,学級集 団,児童 ・生徒個 人の2
つ ともに含 ま れていた項 目の平均か ら算出 した。その結果
,
「親近 ・明朗性」,
「自信 ・一 貫性」,「受容」
,
「授業力」 につ いては,男子 よ り女子 の方 が有意 に高い得 点 を示 した (順 にt ( 498)‑2. 76
,p<, 01 3. 2
1, p<. 01
SA
G, p<. 001 1. 47
, p<. 05)
。す なわ ち,
「親近 ・明朗性」,
「 自信 ・ 一貫性」,
「受容」,
「授業力」 については,男子 よ り 女子の方が大 き く認知 している とい うことがいえ よ う。 また,一方,
「威圧感」,
「罰」 については,女子 よ りも男子 の方 が有 意 に高 い得点 を示 してい た
TABLE4男女 による個 人への教師の影響力認知の平均値 とSDおよび t検定の結果 男 子 rN.=250) 女 子 rN=250)
平
身膚 SD 平身虐 SD tG
親近 .明朗性
3.30 .64 3.46 .62 2.76
** 自信 .一貫性3.21 .60 3.38 .52 3.21
**正 当性
2.45 .91 2.51 .92 ,72
威 圧感2.1 7 .93 1 . 84 .85 4.1 8
***受容
3.29 .65 3.50 . 67 3.46
榊 授 業 力3.08 .72 3.1 8 .7 9 1 .47
***SP(.001, **P(.01, *P
く ' . 0 . チ
‑ 2 6 ‑
学級集臥 児童 ・生徒個人に及ぼす教師の潜在的な影響力
(順 にt
( 4 9 8 ) ‑4 . 1 8
, p< . 0 0 1 2 . 3 3
, p< . 0 5 )
。 こ れよ り,
「威圧感」,
「罰」の2つは,女子 より男子がより大 きく認知 していることがわかった。
女子が大 きくとらえていた 「親近 ・明朗性」
,
「自 信 ・一貫性」,
「受容」,
「授業力」 は, どれ も普段 の 教師が繰 り返す指導行動のパ ター ンを認知 した教師 像である。す なわち,親近感のわ く明るい教師像,自信があって一貫 した行動 をとる教師像,受容的な 態度をとる教師像,授業が上手な教師像が影響力 と なっていると考え られる。 これに対 して,男子が大 きくとらえていたのは
,
「威圧感」,
「罰」であるが, 前者の 「威圧感」は 「体が大 きい」等の外見か ら形 成 された教師像で,叱 られると怖 い と予想 されるこ とが影響 している と考 え られる。 また,後者 「罰」は教師の与 える罰の怖 さが影響力の源泉 になってい る もの と思 われる。 この ようなことよ り,女子は, 教師の 日々の指導行動 をよく観察 してお り,そ こか
らパ ター ンを読み取 ってそれぞれの教師の個性 を認
知 し,信頼で きる と考えた場合影響 を受けやすい と 推測す るこ とがで き,男子 の場合 は,女子 よ りも
「怖 い」 とい うこ とが よ り大 きく影響 している可能 性が示 された。
5
)学校段階 による教師の影響力の とらえ方の検討 ここでは,学校段 階において とらえ方が異なるか どうか とい う点について詳細 に検討 をお こなうため に,学級集団,個人に及ぼす教師の各影響力因子 に つ い て独 立 した t検 定 を実施 した (TABLE 5, TABLE6)
。 なお, 因子平均値 は,学級集 団,児 童 ・生徒個 人の2つ ともに含 まれていた項 目の平均 か ら算 出 した。その結果,学級へ の教師の影響の方では,中学校 段 階よ り小学校段 階の方が 「親近 ・明朗性」
,
「正当 性」 において有意 に高い得点が示 されていた (t( 4 9 8 ) ‑2 . 6 7
, pく01
t( 4 9 8 ) ‑3 . 5 2
, pく0 0 1 ) 0
また,個人へ の影響 では,小学校段階において 「正
TABLE5学校段階による学級への教師の影響力認知の平均値 とSDおよびt検定の結果 中学 生 (
N= 2 4 4 )
//l草 生 rN=256)2 . 2 4 . 7 3 2 . 4 9 . 8 6 3 . 5 2
***2 . 2 3 . 8 7 2 . 3 9 . 9 2 1 . 91 3 , 2 5 . 6 5 3 . 2 7 . 6 3 . 3 9 2 . 9 8 . 7 4 3 . 0 2 . 6 9 . 5 9
罰
1 . 61 . 6 3 1 . 6 4 . 6 8 . 6 0
S**P(.001, **P(.01, *P(.05
TABLE6学校段階による個人への教師の影響力認知の平均値 とSDおよび t検定の結果
親 近 .明朗性
3 . 3 8 . 6 2 3 . 3 8 . 6 5 . 0 9
自信 .一貫性
3 . 2 8 . 5 7 3 . 31 . 5 7 . 6 8
正 当性
2 . 4 0 . 8 8 2 . 5 6 . 9 4 1 . 9 8
* 威圧感1 . 9 4 . 8 6 2 . 0 7 . 95 1 . 5 8
受容
3 . 4 0 . 6 7 3 . 4 0 . 6 8 . 01
授業力
3 . 0 9 . 77 3 .1 6 . 7 4 1 . 01
***P{.001, **Pぐ.01, *P(.03
‑2 7 ‑
三島 美砂 ・ 淵上 克義
当性 」 のみが有 意 に高 い数値 を示 して いた (
t
(498)‑1.98, p
<
.05 )0学級集団,個人の両方において小学生が 「正当性」
を大 きく認知 しているという結果か らは,彼 らが ま だ大人に依存的であ り,児童は教師 とい う職業や役 割 を影響力 としてとらえているということが うかが われる。 また
,
「親近 ・明朗性」 も学級集団の方で, 小学生の値が高かったが,小学校では学級担任制 をとっている所が圧倒的に多 く,教師 との距離が近い 関係にあるということが関連 しているもの と思われ る。
ところで,先行研究である,田崎 (1979)では, 小学生は 「外見の良さ」,中学生では 「親近 ・受容」,
「明朗性の魅力」 などを大 きな影響力 として とらえ ていることが述べ られている。また,約30年 を経て, 林 ・橘 (2007)の研究では,小学生は
,
「教師 としての信頼感」
,
「親 しみやす さ」 を高 く認知 し,中学 生では 「罰」 を高 く認知 しているという結果が報告 されている。 しか しなが ら,本研究では,先に示 し た学級 ・個人の両方に大 きく影響 している重要な3
つの因子 「自信 ・一貫性」,
「親近 ・明朗性」,
「受容」のうち,学校段階において有意差があったのは 「親 近 ・明朗性」だけであ り,先行研究で示 された学校 段階の大 きな差は見当たらなかった。 これは,本研 究が,実践的な情報 を得るために,大学生によく̲描 示 に従 っていた教師を1人想起 させ,回答 を求めた ことが大 きく関わっているだろう。すなわち,本研 究は,学級集団や児童 ・生徒個人に対 して大 きく影 響 を与える教師,換言すれば効果性の高い指導をお こなう,いわゆる指導力のある教師の潜在的影響力 を兄い出 した ものであ り, 田崎 (1979),林 ・橘 (2007)とは異なる視点に立 った検討であるといえ る。 このようなことより,教師が学級集団や児童 ・ 生徒個人に大 きな影響 を与えてい くために必要な潜 在的影響力は,小学校,中学校 という児童 ・生徒の 発達段 階の差 によって変わってい くわけではないこ とが推測で きるのである。ただ し,本研究では,大 学生に小学校,中学校時代 を想起 させ る方法論でデ ー タを収集 していることか ら,小学校,中学校段階 の差が出に くかったという可能性 は否定で きない。
まとめ
本研究の成果を以下にまとめてお く。
① 学級集団への影響 を視野 に入れることで
,
「自 信 ・一貫性」 (三島 ・宇野 (200 4)の 「自信 ・客観」に極 め て近 い 内容 ) や 「威 圧 感」 (三 島 ・宇 野 (2004)の 「た くましさ」 に極 めて近 い内容)が, 田崎 (1979)の方法論を使用することによって も抽
出され,教師の潜在的な影響力因子 として確実に存 在することが示 された。
② 学級集団,児童 ・生徒個人の教師の潜在的な影 響力 の認知構 造 に大 きな違 いは認 め られず
,
「親近 ・明朗性」
,
「自信 ・一貫性」,
「正当性」,
「威圧感」,「受容」
,
「授業力」,
「罰」の7つの因子か ら構成 され ていた。 しか しなが ら,い くつかの因子において内 容が若干異 なっていることがわかった。中で も顕著 なものは,
「自信 ・一貫性」と 「受容」の2つである。すなわち,学級 に対する 「自信 ・一貫性」は, 目標 に向けて方向付ける項 目が含 まれてお り,学級集団 を方向付 けてい く教師の態度の重要 さが示 された。
個人の方には,公平,公正を示す項 目が含 まれてお り,個 人に影響 を与えるには人間として尊敬 され, 信頼 され る教師の態度が必要であることが示 され た。 また,学級 に対する 「受容」には,受容的な態 度の他に,公正で公平な態度を示す項 目が含 まれて お り,学級集団へ影響 を及ぼすには, どの子にも公 正 ・公平に受容 ・共感的な態度を示す ことが重要で あることが示 された。
③ 学級集団,児童 ・生徒個人両方において重要な 潜在的影響力は,教師の自信や一貫性のある態度が 示 された 「自信 ・一貫性」,親近感や明るさが示 さ れた 「親近 ・明朗性」,受容的で共感的な態度が示
された 「受容」の
3
つであることがわかった。④ 学級集団と児童 ・生徒個人への影響力を比べた 場合
,
「親近 ・明朗性」,
「罰」,
「正当性」,
「授業力 (専門性)」,
「受容」 などの従来の研究で指摘 されて いた資源 と近い ものは,個人への影響が大 きい とい うことが見出された。⑤ 「親近 ・明朗性」
,
「自信 ・一貫性」,
「受容」,「授業力」 については,女子が大 きく認知 してお り,
「威圧感」
,
「罰」 については男子が大 きく認知 して いることがわかった。⑥ 小学校,中学校の学校段階においての認知 を比 較 したところ,学級集団への影響力では,小学生が 中学生 より 「親近 ・明朗性」
,
「正当性」 を,個人へ の影響力では,小学生が中学生 より 「正当性」 を大 きく認知 していた。 しか しなが ら,学校段階での差 は先行研究ほど大 きなものではな く,これは,本研 究が大 きく影響 を与えることができる教師,いわゆ る指導力のある教師の潜在的影響力を取 り上げた故 である。すなわち,学級や児童 ・生徒個人に大 きく 影響で きる教師の潜在的影響力は,小学校,中学校という児童 ・生徒の発達段階の差によって変わって い くわけではないことが推測で きる。
さらに,今後の課題 としは,以下の2点が考 えら れる。
‑ 28 ‑
学級集団,児童 ・生徒個人に及ぼす教師の潜在的な影響力
① 三島 ・淵上
( 2 01 0 )
が指摘す るように,教師の 潜在的な影響力が教師の指導行動 の効果 を規定す る ものである とす る と,様 々な指導行動 の場面 ごとに 影響す る潜在 的な影響力が異 なってい る可能性があ る。今後,教師の指導行動 と潜在的な影響力 を合わ せ て検討す ることが必要 になって くる もの と思われ る。(令 本研究では,大学生 に小学校 ,中学校時代 を振 り返 らせ て回答 を求めている。 したが って,記憶が 暖味 になっている可能性 もあ り,今後 は,小学生や 中学生, また現役 の教師 を対象 に調査 を実施 し,本 研究の結果 と比較検討す ることが必要であろ う。
引用文献
林 清美 ・橘 良治
2 0 0 7
児童 ・生徒 による教師 影響力の認知 岐阜大学教育学部研究報告 人文 科学,5 6,1 9 3 ‑ 2 0 4 .
淵上 克 義
20 02
リー ダー シ ップの社 会心 理 学 ナ カニ シャ 出版西本祐輝
1 99 5
教 師 の資源 と学級 文化 の関連性 社会心理学研 究,1 3 ,1 91 ‑ 2 0 2 .
三島美砂 ・淵上克義
2 01 0
学級集団,児童 ・生徒 個 人に及ぼす教 師の影響力や影響過程 に関す る研 究動 向 と今後の課題 岡山大学大学 院教育学研究 科研 究集録,1 4 4,3 9 ‑ 5 5 ,
三島美砂 ・宇野宏幸
2 0 0 4
学級雰囲気 に及ぼす教 師の影響力 教育心理学研究,5 2 ,4 1 4 ‑ 4 2 5 .
田崎敏昭