修 士 学 位 論 文
希 土 類 元 素 及 び ト リ ウ ム 、 ウ ラ ン の 分 布 に 基 づ くRコ ン ド ラ イ ト 母 天 体
で の 変 成 作 用 の 考 察
指 導 教 員 大 浦 泰 嗣 准 教 授
平 成30年2.月14日 提 出
首都大学東京大学院
理 工 学 研 究 科 分 子 物 質 化 学 学修番号16880330
氏 名 前 田 凌 雅
専 攻
学位 論 文 要 旨(修 士(理 学))
論文 著者名 前 田 凌雅
論 文題 名:希 土類 元 素 及 び トリ ウム、 ウラ ンの 分布 に基 づ く Rコ ン ドライ ト母 天 体 で の 変 成 作 用 の 考 察
【は じ め に 】
本 研 究 で試 料 と して 用 い たRコ ン ドラ イ トは 、 太 陽 系 早 期 の 情 報 を保 持 して い る と され て い る コ ン ドラ イ ト質 阻 石(以 下 、 コ ン ドライ トと略 称 す る)の 一 つ で あ る 。Rコ ン ドライ トの 鉱 物 学 的 ・化 学 的 組 成 は 他 の コ ン ドライ トグ ル ー プ で あ る 普 通 コ ン ドラ イ ト と類 似 し て い る[1]。当研 究 室 の 先 行 研 究 に お い て 、 全 岩Rコ ン ドライ ト中 の 希 土 類 元 素(REEs)及 びTh,Uの 存 在 度 が 決 定 され た が 、 そ の存 在 度 も 普 通 コ ン ドラ イ トと類 似 して 、 始 原 的 な 値 で あ っ た[2】。 しか しな が ら、Rコ ン ドラ イ トに は 普 通 コ ン ドラ イ トと異 な る 点 が あ り、例 え ば 、Rコ ン ドラ イ トの 酸 化 還 元 状 態 は普 通 コ ン ドラ イ トに 比 べ て 酸 化 的 で 、そ れ は 酸 化 的 な コ ン ドラ イ トで あ る炭 素 質 コ ン ドラ イ トに非 常 に 近 い[3】。
い くつ か の コ ン ドライ トグ ル ー プ に お い てREEs及 びTh,Uの 濃 縮 相 が 明 らか に され て お り、 普 通 コ ン ドラ イ トで の そ れ らの 濃 縮 相 はCa一 リ ン 酸 塩 鉱 物 で あ る[4,5]。鉱 物 学 的 ・化 学 的 組 成 が 普 通 コ ン ドラ イ トと類 似 して い るRコ ン ドライ トで は 、 そ れ ら元 素 の 濃 縮 相 が 普 通 コ ン ドライ トと同 様 にCa一 リ ン酸 塩 鉱 物 で あ る と推 測 され る が 、未 だ 明 らか に な っ て い な い 。本 研 究 で は 、Rコ ン ドラ イ ト中 のREEs及 びTh,Uの 鉱 物 相 問 の 分 布 を 明 らか に し、
そ れ を 基 にRコ ン ドラ イ ト母 天 体 で の 変 成 作 用 に つ い て 考 察 した 。
【実 験 操 作 】
15個 の 全 岩Rコ ン ドライ トの粉 末 状 試 料(約100mg)を 超 音 波 浴 槽 中 で1mLの1M HNO3に 浸 して5分 間撹 拝 し、第 一 溶 出相 を得 た。そ の 後 、そ の 酸 残 渣 を3mLの5MHNO3
で1時 間 撹 拝 、 この 操 作 を3回 繰 り返 し、 第 二 溶 出 相 を 得 た 。 最 終 的 に 、 そ の 酸 残 渣 を酸 分 解 し、計3っ の 相 を 得 た。 先 行 研 究 で の 分 析 方 法[6]に倣 い 、 そ の3つ の 相 の 主 要 ・微 量 元 素 の 存 在 度 をICP‑AESを 用 い て 、REEs及 びTh,Uの 存 在 度 をICP‑MSを 用 い て 決 定 した 。
【結 果 ・考 察 】
が 全 てCa一 リ ン 酸 塩 鉱 物 に よ る も の と仮 定 し 、Rコ ン ドラ イ トのCa一 リン 酸 塩 鉱 物 中 の REEs及 びTh,uの 存 在 度 を計 算 した 。 そ の 結 果 、(i)CIコ ン ドライ トで規 格 化 され た そ の REEs及 びTh,Uの 存 在 度 パ ター ン は 、普 通 コ ン ドラ イ トのCa一 リン 酸 塩 鉱 物 に 見 られ るパ タ ー ン と 同様 に負 のEu異 常 を もつ 右 下 が りの パ タ ー ン を 示 し、(ii)軽希 土 類 元 素(LREEs) の相 対 存 在 度 は約200‑600で 変 成 度 に 関 わ らず 変 動 して お り、(iii)その 存 在 度 は 普 通 コ ン ド ラ イ トで の 存 在 度[10】よ り も 高 い 値 を示 した 。 このCa一 リ ン酸 塩 鉱 物 中 のREEsの 高 い 存 在 度 は 、Rコ ン ドライ ト中 のREEsは 多 段 階 で 分 配 され た こ と、 ま た はRコ ン ドラ イ ト中 の REEsの 分 配 係 数 は 普 通 コ ン ドラ イ トと は 異 な る こ と が 原 因 と考 え られ る 。 ま た 、 負 のEu 異 常 の 程 度 は 普 通 コ ン ドライ トで のEu異 常 の 程 度 よ りも 小 さか っ た 。 こ の こ と は 、Rコ ン
ドライ ト母 天 体 上 で の 変 成 作 用 が 酸 化 的 環 境 下 で 起 こ っ た こ とを 示 唆 す る。
Rコ ン ドライ ト酸 残 渣 中 のREEs存 在 度 パ ター ン は 普 通 コ ン ドラ イ トで の パ タ ー ン と 同 様 に正 のEu異 常 を も っ 右 上 が りの パ タ ー ン を示 す 。普 通 コ ン ドライ ト酸 残 渣 中 で は 変 成 度 が 高 くな る に つ れ てEuを 除 くREEs存 在 度 は減 少 し、Eu異 常 の程 度 は 大 き くな る と い う、
変 成 度 と の 問 の 相 関 が 見 られ て い る[11]。し か し 、Rコ ン ドラ イ トで は 変 成 度 の 違 い に よ ら ず 重 希 土 類 元 素(HREEs)の 存 在 度 は 一 定 で あ り、Eu異 常 の 程 度 と変 成 度 との 問 に も相 関 は 見 られ な か っ た 。 ま た 、 中希 土 類 元 素(MREEs)やHREEsの 存 在 度 が岩 石 学 的 タイ プ に よ らず 全 岩 で の 存 在 度 よ り高 い こ と、Eu異 常 の 程 度 が 普 通 コ ン ドラ イ トで の 大 き さ と 比 べ て 小 さい こ と な ど も確 認 され た 。 これ らは 、 明 らか にRコ ン ドライ ト中 のMREEsと HREEsの 分 布 は 普 通 コ ン ドライ トとは 異 な る こ と を示 す 。
第 二 溶 出 相 で 得 られ たREEs存 在 度 パ ター ン はMREEsに 乏 し く、LREEsとHREEsに
富 む よ うなV字 型 を して い た が 、ICP‑AESの デ ー タ と普 通 コ ン ドラ イ ト中 のREEsの 分 布 [5]から判 断 す る と、このV字 型 は第 一溶 出相 に溶 出 し切 らな かっ たCa一 リン酸塩 鉱 物 の溶 け 残 り と、 こ の 第 二 溶 出 相 へ 溶 け 出 して しま っ た 酸 残 渣 の 成 分 の 混 合 に よ り得 られ た と推 測 され る 。 しか し 、 こ の 混 合 モ デ ル で は 第 二 溶 出 相 中 のLREEsの 組 成 は 説 明 で き る が 、 HREEsに 富 ん だ 組 成 を説 明 しき れ な い 。 こ の こ とか ら、Rコ ン ドラ イ ト中 に は 普 通 コ ン ド ラ イ ト中 で は 確 認 され て い な い 、 酸 に 可 溶 で 、LREEsよ りもHREEsに 富 む 鉱 物 の 存 在 が 示 唆 され る 。 ま た 、 第 二 溶 出 相 中 のTh,Uの 存 在 度 も 混 合 モ デ ル か ら予 期 され る 値 よ り も 高 く 、 特 にThは 第 二 溶 出相 中 の どの 元 素 と も相 関 を 示 さな い こ とか ら、ThはCa一 リ ン酸 塩 鉱 物 以 外 の 鉱 物 中 や 結 晶 粒 界 な どに 、 複 雑 に 分 布 して い る こ とが 考 え られ る。
本 研 究 に よ り、Rコ ン ドライ ト中 のLREEsは 普 通 コ ン ドラ イ トと 同様 に 主 にCa一 リ ン酸 塩 鉱 物 に分 布 され て い る が 、MREEsやHREEs,Th,Uの 鉱 物 相 間 の 分 布 は 普 通 コ ン ドライ
ト中 で の 分 布 と は 全 く異 な る もの と結 論 づ け られ る。 そ して 、Rコ ン ドラ イ ト中 のREEs の 分 配 過 程 は 普 通 コ ン ドラ イ トと は異 な っ て い る こ と、ま た 、Rコ ン ドラ イ ト母 天 体 上 で の 変 成 作 用 は 酸 化 的 環 境 下 で 起 こ っ た こ とが 示 唆 され る。
[1]KallemeynG.W.etal(1996)[2]KhanR.etaL(2015)[3]BrearleyA.J.andJonesR.
H.(1998)[4]CrozazG.(1974)[5]EbiharaM.andHondaM.(1983)[6]VuD.V.(Ph.D.
diss.,2017)[7]ShimaM.andHondaM.(1967)[8]ShimaM.(1979)[9]ImamuraK.etaZ (1975)[10]CurtisD.B.andSchmittR.H.(1979)[11]ShinotsukaK.(Ph.D.diss,1997)
目次
1.は じ め に
1.1.阻 石 の 分 類
1.1.1.始 原 性 に 基 づ く 阻 石 の 分 類
1.1.2.岩 石 学 的 分 類
1.1.3.化 学 的 分 類
1.2.Rコ ン ド ラ イ ト
1.2.1.Rコ ン ド ラ イ ト の 特 徴
1.2.2.Rコ ン ド ラ イ ト構 成 鉱 物
1.2.2.1.ホ 敢樗乾石
1.2.2.2.輝 石
1.2.2.3.斜 長 石
1.2.2.4.硫 化 物
1.2.2.5.酸 化 物
1.2.2.6.リ ン 酸 塩 鉱 物
1.3.希 土 類 元 素 及 び ト リ ウ ム 、 ウ ラ ン
1.3.1.希 土 類 元 素
1.3.2.ト リ ウ ム 、 ウ ラ ン
1.3.3.
1.4.分 析 手 法
1.4.1.同 位 体 希 釈 法
1.4.2.
1.4.3.
1.4.4.鉱 物 の 分 別 溶 解
1.5.本 研 究 の 目 的
2.実 験
コ ン ドラ イ ト中 の 希 土 類 元 素 及 び ト リウ ム 、 ウ ラ ン の鉱 物 相 間 の 分 布̲̲.6
誘 導 結 合 プ ラ ズ マ 発 光 分 光 分 析 法(ICP‑AES) 誘 導 結 合 プ ラ ズ マ 質 量 分 析 法(ICP‑MS)
2.1.
2.2.実 験 操 作
2.2.1.
2.2.2.
3.結 果
本研究で用いた試料
1111122333444455667778999
溶出実験 段階溶出実験
3.1.溶 出 実 験 の 評 価
3.1.1.
3.1.2.
3.2.
溶出実験の結果
溶出実験の結果 と全岩分析 の結果の比較 各相中の元素の回収率
1146667711111111
3.4.
3.5.
4.考 察
4.1.
4.1.1.
4.1.2.
4.2.
4.2.1.
4.2.2.
4.3.
4.3.1.
4.3.2.
4.3.3.
4.4.
4.4.1.
4.4.2.
4.4.3.
5.結 論
謝 辞
酸残渣 第二溶 出相
Rコ ン ドラ イ トと普 通 コ ン ドライ トの全 岩Ca一 リ ン酸 塩 鉱 物 の 比 較 Rコ ン ドラ イ ト中 の 希 土 類 元 素 のCa一 リ ン酸 塩 鉱 物 へ の 分 配 過 程 Rコ ン ドラ イ ト母 天 体 上 で の 変 成 作 用
Rコ ン ドラ イ トと普 通 コ ン ドライ トの 酸 残 渣 の 比 較
Y983720の 異 常 な 希 土 類 元 素 及 び トリ ウ ム 、 ウ ラ ン 存 在 度 パ タ ー ン.̲̲.44 変 成 度 と希 土 類 元 素 及 び ト リウ ム 、 ウ ラ ン の再 分 配 との 関係44
第 二 溶 出相 で の3成 分 混 合 モ デ ル と4成 分 混 合 モ デ ル49 撒 檀 石 に 注 目 した3成 分 モ デ ル に よ る解 釈52 Rコ ン ドラ イ ト中 の 特 異 的 な鉱 物 の 存 在52
Rコ ン ドラ イ トで の4成 分 混 合 モ デ ル に よ る解 釈54
Rコ ン ドラ イ ト中 の希 土 類 元 素 及 び ト リ ウム 、 ウ ラ ン の鉱 物 相 問 の 分 布55 Rコ ン ドラ イ トと普 通 コ ン ドライ ト中 の 希 土 類 元 素 の 分 布 との 比 較61 Rコ ン ドラ イ ト中 の トリ ウ ム と ウ ラ ン の 分 布63
角 礫 化Rコ ン ドラ イ ト63
09Uρ0ρ08Qり09σ9σ9σ9σ9σ9σ4占
参考文献
4FOρ0ρ0ρ0ρ0
1.は じ め に 1.1.阻 石 の 分 類
宇 宙 か ら地 球 へ 飛 来 して く る 地 球 外 物 質 で あ る"阻 石"は 、 太 陽 系 初 期 の 出 来 事 を探 る 情 報 源 と して 広 く分 析 が 行 わ れ て き た 。 阻 石 に は 様 々 な 種 類 が 存 在 し、 そ れ らは 様 々 な 観 点 か ら分 類 され る。
1.1.1.始 原 性 に基 づ く阻 石 の 分 類
阻 石 は 大 き く2つ の観 点 か ら分 類 す る こ とが で き る。1つ は 阻 石 を 構 成 す る金 属 鉄 と ケ イ 酸 塩 の相 対 存 在 度 に着 目す る分 類 で あ り、 金 属 鉄 の 多 い 順 に 、 鉄 阻 石 、 石 鉄 限 石 、 石 質 限 石 に 分 け られ る。 も う1つ は火 成 活 動 な どに よ る物 質 の 分 化 過 程 を経 て い る か 、 す な わ ち 始 原 的 か ど うか で 分 類 す る。 こ の 分 類 で は 、 石 質 阻 石 は始 原 的 な コ ン ド リュ ー ル を含 む コ ン ドラ イ ト質 阻 石(以 下 、 コ ン ドラ イ トと略 称 す る)と コ ン ド リュ ー ル を 含 ま な い 分 化 した エ コ ン ドラ イ ト質 阻 石(以 下 、 エ コ ン ドライ トと略 称 す る)の2つ の グ ル ー プ に 分 か れ る。 ま た 、 鉄 阻 石 と石 鉄 阻 石 は エ コ ン ドラ イ トと同 様 に分 化 阻 石 に 分 類 され る。 コ ン ド
リ ュー ル とは 、 ケ イ 酸 塩 鉱 物 が 宇 宙 空 間 で 急 冷 され る こ とで 形 成 され た 直 径 が1‑2mmの 球 状 の 物 質 で あ る。 コ ン ドラ イ トは こ の コ ン ド リュ ー ル が含 ま れ て い こ と か らそ の名 が つ け られ 、 基 本 的 に は コ ン ド リ ュー ル 、 鉄 一 ニ ッケ ル か ら な る金 属 鉄 、 難 揮 発 性 元 素 か ら な る 包 有 物 、 マ ト リ ッ ク ス(基 質)で 構 成 され て い る 。 これ ら分 類 され た コ ン ドライ トや エ コ ン ドライ ト、鉄 阻石 、石 鉄 阻石 は化 学 的 ・岩 石 学 的 観 点 か ら、 さ らに 細 か く分 類 され る。
1.1.2.岩 石 学 的 分 類
コ ン ドラ イ トは岩 石 学 的 特 徴 の 違 い を用 い て 細 か く分 類 され る。VanSchmusandWood
(1967)に よ っ て 提 案 され た 分 類 は 、 コ ン ドライ トを岩 石 学 的 に タ イ プ1か らタ イ プ6に 分 け る。 こ の 分 類 で は タイ プ3か らタ イ プ6に か け て コ ン ドライ トは熱 変 成 作 用 を 受 け て, 非 平 衡 状 態 か ら平 衡 状 態 へ 進 む 。 そ の た め 、 タ イ プ3の コ ン ドライ トは 非 平 衡 コ ン ドライ
ト、 タ イ プ4か らタ イ プ6で は 平 衡 コ ン ドライ トと呼 ば れ る。 タ イ プ3か らタ イ プ1に か け て は 水 質 変 成 の 度 合 い が 大 き く な る。 した が っ て 、 タ イ プ3が 最 も二 次 的 な 変 成 を 受 け て い な い 限 石 と され る。 タイ プ3か らタ イ プ6の 熱 変 成 で は 、構 成 鉱 物 相 へ 元 素 が よ り均 一 に分 布 され、鉱 物 の 粒 形 が しっ か り と し、 粒 界 が 明 確 に な る。 ま た 、 タイ プ3で は コ ン ド リ ュー ル の 形 状 を は っ き り と確 認 で き る が 、 熱 変 成 作 用 が 大 き くな る に つ れ て 、 コ ン ド リ ュ ー ル が 変 成 して そ の 確 認 が 困難 と な る。 こ の よ うな 小 天 体 に お け る 熱 変 成 作 用 は 、 短 寿 命 放 射 性 核 種 で あ る26Alや60Feな ど の壊 変 で 生 じた熱 に よ る加 熱 で 行 わ れ た と され て い る。 タ イ プ6以 上 の 熱 変 成 を受 け た タ イ プ7コ ン ドラ イ トの 存 在 も報 告 され て い る が 、 そ れ らは 壊 変 熱 で は な く 、衝 突 溶 融 な ど に よ る加 熱 で 形 成 され た 可 能 性 も示 唆 され 、 タイ プ7 コ ン ドライ トの議 論 は 帰 結 して い な い 。
1.1.3.化 学 的 分 類
ト に 大 別 さ れ る 。 炭 素 質 コ ン ド ラ イ トは さ ら に8っ の グ ル ー プ(CI,CM,CO,CV,CB,CR,
CH,CK)に 分 け る こ と が で き 、 そ の 中 で も 特 にCI(CarbonaceousIvuna‑like)コ ン ドラ イ トは 太 陽 光 球 に 最 も 近 い 化 学 組 成 を 示 す た め 、 最 も 始 原 的 な 組 成 を も っ 阻 石 と さ れ て い る 。 普 通 コ ン ド ラ イ トは 回 収 さ れ て い る 阻 石 の 約90%を 占 め て い る こ と か ら そ の 名 が っ き 、 金 属 鉄 と 全 て の 鉄 の 存 在 度 に よ っ てH(Highmetal),L(Lowmetal),LL(Lowmetaland
Lowiron)コ ン ド ラ イ トの3つ に 分 け られ る 。 同 様 に エ ン ス タ タ イ トコ ン ド ラ イ ト もEH とELコ ン ドラ イ トの2つ の グ ル ー プ が あ る 。 ま た 、 阻 石 研 究 が 発 展 す る に つ れ て 、 こ れ ら 3つ の コ ン ドラ イ トに は 分 類 す る こ と が で き な か っ た コ ン ドラ イ トが 発 見 さ れ 、そ れ ら がR
(Rumuruti‑1ike)コ ン ドラ イ ト とK(Kakangari‑like)コ ン ドラ イ トで あ る 。 こ れ ら の コ ン ド ラ イ トの 発 見 数 は 他 の コ ン ド ラ イ トに 比 べ て 少 な い た め 、 そ れ ら の 研 究 も 発 展 途 上 で あ る 。 一 般 に 、 阻 石 を 分 類 す る と き は 上 述 の 化 学 的 分 類 と岩 石 学 的 分 類 を 組 み 合 わ せ て 行 い 、 例 え ば 研 究 例 の 多 いAllende阻 石 はCVの 炭 素 質 コ ン ドラ イ トで あ り、 タ イ プ3で あ る こ と か ら 、CV3と 表 記 さ れ る 。
分 化 し た 阻 石 に は 上 述 し た 通 り、 エ コ ン ド ラ イ ト、 石 鉄 阻 石 、 鉄 阻 石 が あ り、 コ ン ドラ イ ト と 同 様 に よ り細 か い 分 類 が あ る 。 ほ と ん ど の 阻 石 は 小 惑 星 か ら 地 球 に 飛 来 し て き た と 考 え ら れ て い る が 、 中 に は エ コ ン ド ラ イ トに 分 類 さ れ る 火 星 阻 石 や.月 阻 石 な ど 、 小 惑 星 以 外 を 起 源 に も っ 阻 石 も 存 在 す る 。 さ ら に 、 岩 石 学 的 に エ コ ン ドラ イ トの よ う な 分 化 し た よ う な 鉱 物 組 織 を も つ に も 関 わ ら ず 、 コ ン ド リ ュ ー ル を 有 し て い る 阻 石 や 、 コ ン ドラ イ トに 近 い 化 学 組 成 を も つ 限 石 が 存 在 す る た め 、 こ の よ う な 阻 石 は"や や 始 原 的"な 始 原 的 エ コ ン ドラ イ ト と し て 分 類 さ れ て い る 。
1.2.Rコ ン ド ラ イ ト 1.2.1.Rコ ン ドラ イ トの 特 徴
本 研 究 対 象 で あ るRコ ン ド ラ イ トの1つ 、CarlisleLakes阻 石(R3.8)は そ の 鉱 物 学 的 特 徴 か ら 初 め 、BinnsandPooley(1979)1こ よ っ て 高 酸 化 普 通 コ ン ド ラ イ トに 分 類 さ れ た 。 そ の 後 、CarlisleLakes限 石 と 同 様 の 特 徴 を 持 っ た 限 石 が い く つ か 報 告 さ れ 、落 下 限 石(落 下 し た こ と が 目 撃 ・確 認 さ れ て い る 阻 石)で あ るRumuruti阻 石(R3.8‑6;落 下 年 代:1934 年)が そ れ ら と 同 様 の 特 徴 を 持 っ て い る こ と か ら(SchulzeandOtto,1993;Schulzeθtal.,
1994)、 新 し い コ ン ド ラ イ トグ ル ー フoと し てRコ ン ドラ イ トが 認 め ら れ た 。 こ の よ う に 、R コ ン ド ラ イ トは 初 め 、 普 通 コ ン ド ラ イ ト に 分 類 さ れ る ほ ど 、 鉱 物 学 的 に は 普 通 コ ン ド ラ イ
ト と 類 似 し て お り 、Rコ ン ドラ イ トは 普 通 コ ン ドラ イ ト と 同 様 に 主 に ケ イ 酸 塩 鉱 物 、硫 化 物 、 酸 化 物 、 リ ン 酸 塩 鉱 物 か ら構 成 さ れ て い る 。 ま た 、Kallemeynetal.,(1996)は 、 化 学 分 析 に よ っ てRコ ン ド ラ イ ト中 の 難 揮 発 性 親 石 元 素 や 中 揮 発 性 元 素 の 含 有 量 も 普 通 コ ン ド ラ イ ト と 類 似 し て い る と 報 告 し た 。 こ の こ と か ら 、 化 学 的 に もRコ ン ド ラ イ ト と 普 通 コ ン ドラ イ トは 類 似 し て い る と 言 え る 。 し か し な が ら 、Rコ ン ド ラ イ トに は 普 通 コ ン ド ラ イ ト と 異 な る 点 が あ る 。例 え ば 、Rコ ン ドラ イ トの 揮 発 性 元 素 の 含 有 量 は 普 通 コ ン ド ラ イ トに 比 べ て 高 く 、Rコ ン ド ラ イ トの 酸 化 還 元 状 態 は 普 通 コ ン ド ラ イ トに 比 べ て 酸 化 的 で 、酸 化 的 な 炭 素 質 コ ン ド ラ イ トに 近 い 。 そ の た め 、Rコ ン ド ラ イ ト中 に は 金 属 鉄 は ほ と ん ど 含 ま れ て い な い 。
ま た 、Rコ ン ドラ イ トの 全 岩 △170値 は 他 の ど の コ ン ドラ イ トの 値 に 比 べ て も 高 い 。Rコ ン ド ラ イ トは マ ト リ ッ ク ス を 多 く含 み(約50vol.%)、 酸 化 状 態 が 近 い 炭 素 質 コ ン ド ラ イ トに 多 く 含 ま れ て い る こ と が 多 いCaとAlに 富 む 包 有 物 で あ るCAIs(Calcium‑aluminum‑rich
inclusion)の 含 有 量 は 非 常 に 少 な い(Kallmeynetal,1996;BrearleyandJones,1998;
Bischoffetal,2011)。 多 く のRコ ン ドラ イ トは 変 成 作 用 を 経 験 し て お り(変 成 度>3.6)、
角 礫 化 を 受 け て い る(Bischoff,2000)。
1.2.2.Rコ ン ドラ イ ト構 成 鉱 物
上 述 の 通 り、Rコ ン ドラ イ トは ケ イ 酸 塩 鉱 物 で あ る 撤 概 石 、 輝 石 、 長 石 と硫 化 物 、 酸 化 物 、 リ ン 酸 塩 鉱 物 か ら 成 っ て お り 、 金 属 鉄 を 含 む こ と は ほ と ん ど な い 。 こ こ で は 、Rコ ン ド ラ イ ト構 成 鉱 物 の 一 般 的 な 鉱 物 の 説 明 と と も にRコ ン ドラ イ ト 中 で の 特 徴 を 挙 げ て い く 。 こ こ で 取 り 上 げ る 鉱 物 や 特 徴 は 典 型 的 なRコ ン ドラ イ トの も の で あ り 、 い く つ か のRコ ン
ド ラ イ トで は こ こ で 取 り上 げ る 以 外 の 含 水 鉱 物 や 金 属 鉄 な ど の 独 特 な 鉱 物 を 含 有 し て い る 。 1.2.2.1、凝 艀 万
撒 檀 石 は ケ イ 酸 塩 鉱 物 の 一 種 で 、大 部 分 が 化 学 式(Mg,Fe)2Sio4で 表 され る 斜 方 晶 系 の 鉱 物 で あ る 。 天 然 の 撒 檀 石 の ほ と ん ど は 、 苦 土 撒 檀 石(Forsterite,記 号Fo)Mg2SiO4と 鉄 撤 檀 石(Fayalite,記 号Fa)Fe2SiO4を 端 成 分 と す る 固 溶 体 で あ る 。 一 般 に 、 こ のFe‑Mg撒 概 石 の 組 成 を 表 す の に 、端 成 分 の 苦 土 撤 檀 石 と 鉄 撤 檀 石 の 割 合 を 示 すFos3Fai7、 ま た はFo83 やFa17を 用 い る 。 ま れ に モ ン チ セ リ撒 概i石CaMgSiO4や テ フ ロ 石Mn2SiO4を 産 す る 。
Rコ ン ドラ イ トは 撒 横i石 に 富 む 阻 石 で あ り、 約60‑80wt.%(e.g.,Kallemeyneetal,
1996)の 高 い 鉱 物 含 有 量(モ ー ド比)を も ち 、 普 通 コ ン ド ラ イ トの 撒 概 石 の モ ー ド比(H:
33‑37wt.%,L:45‑49wt.%,LL:56‑60wt.%;VanSchmus,1969)よ り も 高 い 。 平 衡Rコ ン ド ラ イ ト中 の 典 型 的 な 撒 檀 石 の 組 成 は 約Fa3s‑40と 非 常 に 酸 化 的 あ り、 非 平 衡Rコ ン ド ラ イ トの 撒 檀 石 の 組 成 はFao.5‑44.6の 範 囲 を と る(Bischoffetal,2011)。
1.2.2.2.te"石
輝 石 は ケ イ 酸 塩 鉱 物 の 一 種 で 、一 般 的 に 化 学 式XY(Si,A1)206(XニCa,Na,Fe2+,Zn,Mn,
Mg,Li;YニCr,A1,Fe3+,Mg,Mn,Sc,Ti,V,Fe2+)で 表 さ れ る 鉱 物 で あ る 。 結 晶 系 に よ り 、 斜 方 晶 系 の 斜 方 輝 石 、 単 斜 晶 系 の 単 斜 輝 石 の2つ に 分 類 さ れ 、 さ ら に 上 述 に 示 す よ うな 化 学 組 成 に よ り細 か く 分 類 さ れ る 。 一 般 に 、 輝 石 は 広 い 範 囲 の 固 溶 体 を 形 成 す る が 、 典 型 的 な 輝 石 はCa‑Mg‑Fe輝 石 で あ り、 頑 火 輝 石(Enstatite,記 号En)Mg2Si206、 鉄 珪 輝 石 (Ferrosilite,記 号Fs)Fe2Si206、 珪 灰 石(Wollastonite,記 号Wo)Ca2Si206を 端 成 分 と す る 固 溶 体 で あ る 。Ca‑Mg‑Fe輝 石 の 組 成 を 表 す の に 、En5iFs42Wo7を 用 い ら れ 、、 し ば し ばFs42Wo7やEn51Wo7の よ う に 省 略 し て 表 さ れ る 。 頑 火 輝 石 と 鉄 珪 輝 石 は 同 じ斜 方 輝 石 で あ る こ と か ら 、 基 本 的 に 、 斜 方 輝 石 はCaに 乏 し く 、 単 斜 輝 石 はCaに 富 む 。
非 平 衡Rコ ン ドラ イ ト 中 の 輝 石 で は 斜 方 輝 石 が 支 配 的 で あ る が 、平 衡Rコ ン ド ラ イ ト中 の 輝 石 で は ほ と ん ど が 単 斜 輝 石 と な っ て い る 。 非 平 衡Rコ ン ド ラ イ ト 中 の 斜 方 輝 石 は
が 、多 く のRコ ン ドラ イ トで は 平 均 約Fsllwo45と 平 衡 化 し て い る(Bischoffetal,2011)。
Rコ ン ドラ イ ト 中 の 斜 方 輝 石 と 単 斜 輝 石 の 平 均 モ ー ド比 は そ れ ぞ れ4.3wt.%と5.8wt.%で あ る(Kallemeynetal,1996)。 普 通 コ ン ド ラ イ ト中 の 単 斜 輝 石 の 平 均 モ ー ド比 は4‑5wt.%
で あ り 、斜 方 輝 石 の 平 均 モ ー ド比 はHコ ン ドラ イ トで23‑27wt.%、Lコ ン ドラ イ トで21‑25 wt.%、LLコ ン ド ラ イ トで14‑18wt.%で あ る(VanSchmus,1969)。 し た が っ て 、Rコ ン
ド ラ イ ト 中 の 単 斜 輝 石 の モ ー ド比 は 普 通 コ ン ド ラ イ ト よ りや や 高 く 、 斜 方 輝 石 の モ ー ド比 は 非 常 に 低 い 。
1.2.2.3..rvff石
斜 長 石 は ケ イ 酸 塩 鉱 物 の 中 の 長 石 の 一 種 で あ り、 固 溶 体 の1つ で あ る 。 長 石 は 単 斜 晶 系 ま た は 三 斜 晶 系 に 属 し 、化 学 式 はXAI(Al,Si)Si208で 表 さ れ る 。XがKま た はNaの と き は (K,Na)AISi308で あ り 、CaやBaの と き は(Ca,Ba)Al2Si208で あ る 。 多 く の 長 石 は カ リ長 石 ま た は 正 長 石(Orthoclase,記 号Or)KAlSi308、 曹 長 石(Albite,記 号Ab)NaAISi308、
灰 長 石(Anorthite,記 号An)CaAl2Si208の3成 分 系 で 表 さ れ る 。 上 述 の 撒 概 石 や 輝 石 な ど の 固 溶 体 を も つ 鉱 物 と 異 な り、 長 石 は カ リ 長 石 と灰 長 石 間 で は 固 溶 体 を も た な い 。 そ の た め 、 こ の 系 の 長 石 は 大 き く ア ル カ リ長 石(Or‑Ab)系 列 と 斜 長 石(Ab‑An)系 列 に 分 け ら れ る 。 阻 石 中 の ほ と ん ど の 長 石 が 斜 長 石 系 列 に 属 す る こ と か ら 、 阻 石 中 の 長 石 は 斜 長 石 と 単 に 括 ら れ る こ と が 多 く 、 本 論 文 で も そ の よ う に 扱 う。
Rコ ン ドラ イ ト中 の 長 石 の ほ と ん ど が 曹 長 石 か 灰 曹 長 石(AniO‑30)で あ る が 、灰 長 石 に 富 む 斜 長 石 や カ リ長 石 も 存 在 す る(Bischoffetal.,2011)。Rコ ン ドラ イ ト中 の 斜 長 石 の 平 均 組 成 は お お よ そAnloAb850r5で あ る(e.g.,IsaetaZ,2014;BischoffetaZ,2011)。 モ ー ド比 は5.5‑13.O wt.%で 平 均9.6wt.%で あ り(Kallmeynetal,1996)、 普 通 コ ン ドラ イ ト中 の 斜 長 石 の モ ー ド 比 は9‑10wt.%で あ る た め(VanSchmus,1969)、 斜 長 石 の モ ー ド比 はi類似 して い る。
1.224.痂 危 物
Rコ ン ドラ イ ト 中 の 硫 化 物 は ほ と ん ど が 磁 硫 鉄 鉱Fe1‑xS(x=〇‑0.17)、 硫 鉄 ニ ッ ケ ル 鉱 (Fe,Ni)gS8、 黄 銅 鉱CuFeS2で あ る(BischoffetaL,2011;Isaθtal.,2014)。 普 通 コ ン ドラ イ ト中 の ほ と ん ど の 硫 化 物 は ト ロ イ リ鉱FeSで あ る た め 、 含 有 し て い る 硫 化 物 はRコ ン ド ラ イ ト と 普 通 コ ン ド ラ イ トで 異 な る 。 ま た 、Rコ ン ドラ イ ト 中 の 全 て の 硫 化 物 の 平 均 モ ー ド 比 は8.9wt.%で あ り(Kallmeynθtal.,1996)、 普 通 コ ン ド ラ イ ト中 の 硫 化 物 の モ ー ド比 は 5‑6wt.%で あ る こ と(VanSchmus,1969)か ら 、 モ ー ド比 に も 違 い が み られ 、Rコ ン ドラ イ ト中 の 硫 化 物 の モ ー ド比 の 方 が 高 い 。
1.225酸 尼 物
Rコ ン ド ラ イ ト 中 の ほ と ん ど の 酸 化 物 はTio2やFe203を 多 く 含 有 す る ク ロ ム 鉄 鉱 FeCr204で あ る 。 そ の 平 均 モ ー ド比 は0.9wt.%で あ り(Kallmeynetal,1996)、 普 通 コ ン ド ラ イ ト中 の ク ロ ム 鉄 鉱 の モ ー ド比(0.5wt.%;VanSchmus,1969)よ り高 い 。 普 通 コ ン ド ラ イ ト と 同 様 に 、Rコ ン ド ラ イ トは ク ロ ム 鉄 鉱 の 他 に 磁 鉄 鉱FeIIFelII204や チ タ ン 鉄 鉱 FeTiO3な ど の 酸 化 物 を 含 む(BischoffθtaL,2011)。
1.2.2.6.グ ン 酸 塩 姦 物
阻 石 中 に 含 ま れ て い る リ ン 酸 塩 鉱 物 に は 様 々 な 種 類 が あ る が 、Rコ ン ドラ イ トや 普 通 コ
ン ド ラ イ トに 含 ま れ て い る リ ン 酸 塩 鉱 物 は 全 てCa一 リ ン 酸 塩 鉱 物 で あ る(Bischoffetal., 2011;VanSchmus,1969)。 こ れ ら2つ の コ ン ドラ イ ト中 のCa一 リ ン 酸 塩 鉱 物 は リ ン 灰 石 Ca5(PO4)3(ECI,OH)2と メ リ ラ イ トCa18Na2Mg2(PO4)14の2っ が 存 在 す る 。 上 述 の 化 学 式 の 通 り 、 リ ン 灰 石 は さ ら に3つ 、 フ ッ 素 リ ン 灰 石 、 塩 素 リ ン 灰 石 、 水 酸 リ ン 灰 石 に 分 類 さ れ る 。Rコ ン ド ラ イ ト中 のCa一 リ ン 酸 塩 鉱 物 は リ ン 灰 石 が 占 め て お り 、基 本 的 に そ の リ ン 灰 石 は 塩 素 リ ン 灰 石 で あ る 。 メ リ ラ イ トもRコ ン ド ラ イ ト中 に 発 見 さ れ て い る が 、 塩 素 リ ン 灰 石 は ほ と ん ど のRコ ン ド ラ イ トで 検 出 さ れ て い る に も 関 わ ら ず 、 し ば し ば メ リ ラ イ トは 検 出 さ れ な い こ と も あ る(Bischoffetal.,2011)。Rコ ン ドラ イ ト中 のCa一 リ ン 酸 塩 鉱 物 の 平 均 モ ー ド比 は 約0.4wt.%で あ り(Bischoffθ6aZ,2011)、 普 通 コ ン ド ラ イ ト中 のCa一 リ ン 酸 塩 鉱 物 の 平 均 モ ー ド比 は 約0.6wt.%で あ る た め(VanSchmus,1969)、Rコ ン ドラ イ ト 中 のCa一 リ ン 酸 塩 鉱 物 の モ ー ド比 は 普 通 コ ン ド ラ イ トに 比 べ て や や 低 い 。
上 述 の 通 り 、 リ ン 酸 塩 鉱 物 は 他 の 相 に 比 べ て モ ー ド比 が 低 く 、 阻 石 の 主 要 な 鉱 物 で は な い が 、 希 土 類 元 素 や ト リ ウ ム 、 ウ ラ ン が 濃 縮 し て い る 可 能 性 が 高 い た め 、 阻 石 の 成 因 を 探 る う え で 重 要 な 鉱 物 の1つ で あ る 。 ま た 、 リ ン 灰 石 は ハ ロ ゲ ン を 含 む た め 、 そ の 方 面 か ら の 研 究 に と っ て も 重 要 な 鉱 物 で あ る 。
1.3.希 土 類 元 素 及 び ト リ ウ ム 、 ウ ラ ン 1.3.1.希 土 類 元 素
希 土 類 元 素 は広 義 的 な 定 義 と して は 、ScとYの2元 素 と ラ ン タ ノイ ド15元 素 の 計17 元 素 の 総 称 で あ る が 、地 球 化 学 ・宇 宙 化 学 分 野 で は 狭 義 的 にLa‑Luの ラ ン タ ノ イ ド15元 素 を 指 す 。 本 論 文 で の 希 土 類 元 素 も ラ ン タ ノイ ドの み と し、 ラ ン タ ノ イ ド初 め のLa‑Pmの5 元 素 を 軽 希 土 類 元 素 、次 のSm‑Dyの5元 素 を 中 希 土 類 元 素 、そ して 最 後 の5元 素 を 重 希 土 類 元 素 と 呼 ぶ 。 希 土 類 元 素 は 通 常3価 の 陽 イ オ ン と な り、化 学 的 挙 動 は類 似 す る が 、Ce4+
やEu2+な ど異 な る酸 化 数 で 安 定 と な る元 素 も存 在 す る。 希 土 類 元 素 は 原 子 番 号 の 増 加 に伴 い 、 最 外 殻 軌 道 で は な く4f軌 道 に 電 子 が詰 ま っ て い く性 質 を持 つ 。 こ の た め 、 電 子 同 士 の 反 発 力 よ り も陽 子 が 増 え る こ と に よ る引 力 が 勝 る た め 、 原 子 番 号 が 増 加 す る に つ れ て 原 子 半 径 、 イ オ ン半 径 が 連 続 的 に小 さ く な る こ とが 知 られ て お り、 これ を ラ ン タ ノ イ ド収 縮 と い う。 ま た 、 イ オ ン 半 径 の 他 に 、 希 土 類 元 素 は 気 相/液 相/固相 問 の 移 動 しや す さ を 表 す 分 配 係 数 に も違 い が み られ る。 こ の た め 、 固 体 物 質 問 の 元 素 移 動 は こ れ らの 性 質 に よ っ て 左 右 され 、 希 土 類 元 素 及 び 化 学 的 挙 動 の 似 た トリ ウ ム 、 ウ ラ ン に 注 目 し、 阻 石 や 地 球 物 質 の 化 学 的 物 質 進 化 過 程 の研 究 が 多 く行 わ れ て い る 。 ま た 、 阻 石 に お け る希 土 類 元 素 及 び ト リ ウ ム 、 ウ ラ ン の 挙 動 は 、太 陽 系 物 質 の年 代 測 定 法 で あ る244Pu年 代 法 や 、Pb‑Pb年 代 法 を行 う 上 で も有 用 な 情 報 で あ る 。
太 陽 系 に お け る希 土 類 元 素 存 在 度 は オ ッ ドー ・ハ ー キ ン ス の 法 則 で 知 られ て い る よ うに 、 原 子 番 号 に対 して ジ グ ザ グ なパ タ ー ン を 示 す 。 しか しな が ら 、 太 陽 系 の 元 素 組 成 に最 も近 い組 成 を もつCIコ ン ドライ トの 存 在 度 で 規 格 化 す る こ とで 、希 土 類 元 素 存 在 度 は 滑 らか な
イ オ ン は他 の 希 土 類 元 素 とは 異 な る挙 動 を 示 す こ とが 多 く、 正 や 負 の 異 常 を もつ 希 土 類 元 素 存 在 度 パ ター ン を 生 み 出 す 。
1.3.2.ト リ ウム 、 ウ ラ ン
ア ク チ ノ イ ド元 素 で あ る ト リ ウム 、ウ ラ ン は 、希 土 類 元 素 と同 じ第3族 で あ る こ とか ら、
化 学 的 挙 動 が 希 土 類 元 素 と類 似 す る。 ウ ラ ン は+4と+6の2つ の 酸 化 状 態 を有 す るが 、 トリ ウム は+4の1っ の 酸 化 状 態 し か もた な い 。 こ の よ うな 酸 化 数 の 違 い か ら、 ト リ ウム と ウ ラ ン は 分 別 を 起 こす こ と が 知 られ て い る。1.4.4.で後 述 の 溶 出 実 験 で は 、希 土 類 元 素 と は違 い 、 安 定 核 種 が 存 在 しな い この2つ の 元 素 は 、 核 分 裂 生 成 物 や 壊 変 生 成 物 な ど 、 元 素 の 存 在 状 態 が 曖 昧 な た め 、 これ ら の核 種 が 存 在 して い た 鉱 物 と そ の核 種 が 溶 媒 に 対 して 異 な る挙 動 を と る こ と も考 え得 る。232Th,235U,238Uの3つ の核 種 は 星 の 進 化 過 程 で の 元 素 合 成 過 程 の 1つ 、r一プ ロ セ ス の 原 子 核 合 成 に よ っ て 作 られ る の で 、 トリ ウム 、 ウ ラ ン は1.3.1.で 示 した 年 代 法 の 他 、 銀 河 の 年 齢 に 制 約 を 与 え る原 子 核 合 成 年 代 法 モ デ ル な ど に も用 い られ る。
1.3.3.コ ン ド ラ イ ト中 の 希 土 類 元 素 及 び ト リ ウ ム 、 ウ ラ ン の 鉱 物 相 間 の 分 布
コ ン ドラ イ トは 、 上 述 の 通 り 、 阻 石 の 中 で も 太 陽 系 形 成 時 か ら 最 も 分 化 し て い な い と さ れ る 阻 石 グ ル ー プ で あ り 、 太 陽 系 形 成 初 期 の 物 質 進 化 の 情 報 を 与 え て く れ る 。 阻 石 は そ の 形 成 過 程 を 反 映 し て 希 土 類 元 素 及 び ト リ ウ ム 、 ウ ラ ン の 分 別 が 生 じ る こ と が 確 認 さ れ て い る が 、 コ ン ドラ イ トの 場 合 、 全 岩 で の 希 土 類 元 素 及 び ト リ ウ ム 、 ウ ラ ン の 分 別 が 起 こ る こ と は 少 な い 。 し か し な が ら 、 阻 石 を 構 成 す る 鉱 物 相 間 で は 分 配 係 数 な ど の 違 い に よ り希 土 類 元 素 及 び ト リ ウ ム 、 ウ ラ ン 存 在 度 の 分 別 が 見 られ て い る 。 こ れ ま で に 、 コ ン ドラ イ ト構 成 鉱 物 問 で の 元 素 の 分 布 が 報 告 さ れ て お り 、 普 通 コ ン ド ラ イ トに お い て は 希 土 類 元 素 及 び
ト リ ウ ム 、 ウ ラ ン はCa一 リ ン 酸 塩 鉱 物 へ 濃 集 す る こ と が 分 か っ て い る(Crozaz,1974;
EbiharaandHonda,1983)。 ま た 、 炭 素 質 コ ン ド ラ イ トの1つ で あ るCVコ ン ド ラ イ トで も 、Ca一 リ ン 酸 塩 鉱 物 に 希 土 類 元 素 が 濃 縮 す る こ と が 報 告 さ れ て い る が(Ebiharaand
Honda,1987)、CAIsに も そ れ ら の 元 素 は 濃 縮 し て お り 、 モ ー ド比 の 違 い か ら 、CVコ ン ド ラ イ ト 中 の 希 土 類 元 素 及 び ト リ ウ ム 、 ウ ラ ン の 多 く はCAIsに 存 在 し て い る(Martinand Mason,1974;Nagasawaθtal.,1977)。 非 常 に 還 元 的 な エ ン ス タ タ イ ト コ ン ドラ イ トはCa一
リ ン 酸 塩 鉱 物 を 含 ん で い な い 代 わ り に 、 オ ル ダ マ イ トCaSと い うエ ン ス タ タ イ トコ ン ドラ イ トに 固 有 な 硫 化 物 を 含 ん で お り 、 エ ン ス タ タ イ ト コ ン ド ラ イ ト 中 の 希 土 類 元 素 及 び ト リ
ウ ム 、 ウ ラ ン は そ の オ ル ダ マ イ ト に 濃 縮 し て い る(MurrellandBurnett,1982;Larimer andGanapathy,1987;Ebihara,1988)。
1.4.分 析 手 法
1.5.に 後 述 す る 本 研 究 の 目 的 を 達 成 す る た め に 、 本 研 究 で は 様 々 な 分 析 法 を 用 い た 。 こ こ で は 、 本 研 究 に 用 い た 同 位 体 希 釈 法 、 誘 導 結 合 プ ラ ズ マ 発 光 分 光 分 析 法(Inductively coupledplasmaatomicemissionspectrometry:ICP‑AES)、 誘 導 結 合 プ ラ ズ マ 質 量 分 析 法
(Inductivelycoupledplasmamassspectrometry:ICP‑MS)、 溶 出 実 験 の 説 明 を 行 う。
1.4.1.同 位 体 希 釈 法
同位 体 希 釈 法 は 安 定 同位 体 や 放 射 性 同位 体 を用 い て 、 同 位 体 比 の 変 化 や 比 放 射 能 の変 化 か ら定 量 を行 う方 法 で あ る。 現 在 で は 、 安 定 同 位 体 を用 い る方 法 が 一 般 的 で あ り、 天 然 の 同位 体 比 と は 異 な る 濃 縮 同位 体 を加 え 、 生 じた 同 位 体 比 の 変 化 を 質 量 分 析 計 で 測 定 す る 。 多 く の 分 析 法 で は 、 よ り高 い信 頼 値 を 得 る た め に定 量 目的 以 外 の 元 素(マ トリ ック ス元 素) は 分 離 す る こ とが 望 ま れ 、 何 らか の 化 学 操 作 を行 う必 要 が あ り、 そ の 場 合 、 定 量 目的 元 素 を100%回 収 す る 必 要 が あ る。 しか し な が ら、同 位 体 希 釈 法 は 同位 体 比 だ け分 か れ ば 定 量 値 を 求 め る こ とが で き る た め 、同 位 体 平 衡 に 達 して い れ ば 、収 率 が100%で な くて も高 い信 頼 値 を得 る こ とが で き る。 こ の 同 位 体 平 衡 を成 立 させ る こ とが 同 位 体 希 釈 法 の 最 も重 要 な 条 件 で あ る。 ま た 、 安 定 同 位 体 を用 い る場 合 に は 同 位 体 比 が 必 要 な た め 、 単 核 種 元 素 の 定 量 は行 え な い 。
1.4.2.誘 導 結 合 プ ラ ズ マ 発 光 分 光 分 析 法(ICP‑AES)
ICP‑AESは 誘 導 結 合 プ ラ ズ マ(ICP)で 生 成 した 励 起 原 子 お よび 励 起 イ オ ン か ら の 共 鳴 発 光 線 を観 測 す る発 光 分 光 分 析 法 で あ る。 基 本 的 に 、検 出 限 界 はppb(ng/g)オ ー ダ ー で あ り、試 料 溶 液 を 霧 状 に してArプ ラ ズ マ に導 入 し、励 起 され た 元 素 が 基 底 状 態 に 戻 る 際 に 放 出 され る 蛍 光 を 分 光 して 、 元 素 固 有 の 波 長 か ら元 素 の 定 性 、 そ の 強 度 か ら定 量 を行 う。 一 般 的 に 、 濃 度 既 知 の 元 素 標 準 溶 液 を用 い て 、 検 量 線 法 に よ り定 量 を行 う。ICP‑AESに は 、 1つ の検 出器 で 波 長 の 異 な る 光 を 逐 次 的 に検 出 す る シ ー ケ ン シ ャ ル 型 と複 数 の検 出器 を 用 い て 波 長 の 異 な る光 を 同 時 に 検 出す る マ ル チ チ ャ ンネ ル 型 が あ る。 シ ー ケ ン シ ャル 型 は1 元 素 ず つ の 測 定 に な る が 、 分 解 能 が 高 くな り、 マ ル チ チ ャ ンネ ル 型 は シ ー ケ ン シ ャ ル 型 に 比 べ て 分 解 能 は 劣 る が 、 多 元 素 同 時 測 定 が 可 能 で あ る 。 本 研 究 で は シ ー ケ ン シ ャ ル 型 の ICP‑AESを 用 い た 。
1.4.3.誘 導 結 合 プ ラ ズ マ 質 量 分 析 法(ICP‑MS)
ICP‑MSはArプ ラ ズ マ を イ オ ン 化 源 とす る質 量 分 析 法 で あ る 。 元 素 に よ っ て はppq (fg/g)オ ー ダー ま で 検 出 可 能 で あ る。 試 料 溶 液 を ネ ブ ライ ザ ー で 霧 状 に して プ ラ ズ マ に 導 入 す る。 プ ラズ マ に 導 入 され た 元 素 は イ オ ン 化 され 、 そ の イ オ ン は イ ン タ ー フ ェイ ス を通 過 して 、 高 真 空 中 に 引 き 込 ま れ る。 この イ オ ン を収 束 させ た 後 、 質 量 分 析 計 でm/z比(質 量/電 荷 数)に 応 じて イ オ ン は 分 離 され 、 検 出器 で 計 測 され る。 イ オ ン を質 量 で 分 離 す る た め 、 同位 体 比 も測 定 す る こ とが で き 、 検 量 線 法 の他 、 同位 体 希 釈 法 な どで も 定 量 が 可 能 で あ る。 質 量 分 析 計 に は 、 四重 極 型 と二 重 収 束 型 の も の が あ る。 四 重 極 型 は 最 も広 く扱 わ れ て い るICP‑MSで あ り、 電 磁 場 を か け る こ と に よ っ て イ オ ン の 分 離 を行 う。 質 量 分 解 能 が 低 い た め 、 分 子 イ オ ンや 同重 体 イ オ ン の ス ペ ク トル 干 渉 が 問 題 と な る こ とが あ る が 、 高 感 度 分 析 が 可 能 で あ る。一 方 、二 重 収 束 型 は 電 場 と磁 場 を 組 み 合 わ せ た 質 量 分 析 計 で あ り、
質 量 分 解 能 が 高 い 装 置 で あ る。 そ の た め 、 四 重 極 型 で の ス ペ ク トル 干 渉 の 問 題 を解 消 で き
1.4.4.鉱 物 の 分 別 溶 解
本 研 究 で 用 い る化 学 的 鉱 物 分 離 は 、 構 成 鉱 物 の 溶 媒 に対 す る溶 解 性 の 違 い か ら、 鉱 物 を 分 離 す る 方 法 で あ る 。 こ の 方 法 で は 、 溶 媒 を 適 当 に選 ぶ こ と に よ り、 成 分 に よ っ て は あ る 程 度 ま で 高 純 度 に 取 り出 す こ と が で き る こ とや 、 試 料 が 少 量 で あ っ て も適 用 で き る こ と 、 鉱 物 の 大 き さ に よ っ て 限 定 され る こ とが な い こ と な ど が 利 点 と して 挙 げ られ る。 しか しな が ら、 目的 とす る鉱 物 を 必 ず し も全 て 取 り出 す こ とが で き な い 、 そ の 溶 媒 に溶 け な い は ず の鉱 物 中 に含 ま れ る 成 分 が溶 け 出 さ な い 保 証 が な い な ど の欠 点 も あ る 。 物 理 的 な 鉱 物 分 離 に 比 べ て 溶 出 実 験 の 操 作 は 簡 便 で あ り、 ま た 、 物 理 的 な 鉱 物 分 離 は あ る程 度 の 試 料 量 や 鉱 物 の 大 き さ が 求 め られ る た め 、 貴 重 で 細 か い 結 晶 よ りな る 限 石 に 対 して 化 学 的 方 法 は 有 効 で あ る 。 図1.1に 普 通 コ ン ドラ イ トにお け る構 成 鉱 物 とそ の 分 別 溶 解 の 概 略 を 示 す 。 こ の 図 よ り、 酸 が 強 く な る に つ れ て 、 金 属 鉄 、 リ ン 酸 塩 鉱 物 、硫 化 物 、 撤 檀 石 が 順 次 溶 け 出 す こ とが 分 か る。 ま た 、 斜 長 石 や 輝 石 、 酸 化 物 な ど は塩 酸 な ど に は 不 溶 で あ り、 フ ッ化 水 素 酸 な ど を用 い て 酸 分 解 を 行 わ な けれ ば 溶 液 化 す る こ と は 困 難 で あ る。 図1.1に 示 し て あ る 順 に適 用 す る と、 各 成 分 を 段 階 的 に 分 離 す る こ と が 可 能 で あ り、 あ る溶 液 を 用 い ず に次 の 段 階 へ 進 む と、そ の 段 階 に 両 方 の 溶 け る成 分 が 分 離 され る こ と な く溶 出 して く る 。例 え ば 、 臭 化 水 を 先 に 用 い る と、 金 属 鉄 、 リ ン酸 塩 鉱 物 、 硫 化 物 が溶 け 出 し、 次 に 塩 酸 を用 い る と 撤 檀 石 の み が 溶 解 す る。 上 述 の よ うに 先 に 臭 素 水 を 用 い ず に 、 塩 酸 を 適 用 す る と、 金 属 鉄 か ら撒 檀 石 が 全 て 塩 酸 中 に溶 解 す る。 た だ し、 金 属 鉄 は リ ン酸 塩 鉱 物 よ り も酸 に 溶 解 しや す い が 、 ア ル カ リ性EDTA溶 液 に は 溶 解 しな い こ とか ら、 ア ル カ リ性EDTAを 用 い る と Ca一 リ ン酸 塩 鉱 物 の み が選 択 的 に 溶 解 す る。 した が っ て 、 先 行 研 究 でCa一 リン 酸 塩 鉱 物 を選 択 的 に 取 り出 す 際 に は ア ル カ リ性EDTA溶 液 が 用 い られ て き た 。 しか しな が ら、 酸 の 強 さ や 浸 出 時 間 を コ ン トロー ル す る こ とに よ っ て 、HClやHNO3を 用 い て も 酸 に 弱 い鉱 物 を多
く分 離 す る こ とが 可 能 で あ る た め 、 弱 い 酸 を 用 い て 浸 出 時 間 を 短 くす れ ば 、 そ の 相 に多 く の金 属 鉄 や リン 酸 塩 鉱 物 を選 択 的 に溶 解 す る こ とが で き る と考 え られ る。
瞳
FeCr20̀
FeTio3
/ /
遙毛二\
(Mg,Ca)Sio3 NaAISi30e
そ の 他
\
國
/
/
輝
図1.1普 通 コ ン ドラ イ トに お け る構 成 鉱 物 と そ の 分 別 溶 解 の 概 略 日本 化 学 会 編(1976)「 新 実 験 化 学 講 座10宇 宙 地 球 化 学 」 丸 善,p.252よ り引用
8
1.5.本 研 究 の 目 的
当 研 究 室 で の 先 行 研 究(Khanetal,2015)に お い て 、Rコ ン ド ラ イ ト中 のPや 希 土 類 元 素 、 ト リ ウ ム 、 ウ ラ ン の 全 岩 で の 存 在 度 が 決 定 さ れ 、Pの 含 有 量 は 平 均 約1250ppmで あ り 、 希 土 類 元 素 、 ト リ ウ ム 、 ウ ラ ン 存 在 度 は 変 成 度 に よ らず 、CIコ ン ド ラ イ トの 約1.1‑1.5 倍 で 、 ほ と ん ど 平 坦 な 存 在 度 パ タ ー ン を 示 し た 。 こ れ ら 元 素 の 存 在 度 は 普 通 コ ン ド ラ イ ト 中 の 全 岩 で の 存 在 度 と 類 似 し て お り(Shinotsuka,1997;Jarosewich,1990)、 始 原 性 を 示 す 値 で あ っ た 。1.3.3.に 示 す 通 り 、 い く つ か の コ ン ドラ イ ト グ ル ー プ に お い て 希 土 類 元 素 及 び ト リ ウ ム 、 ウ ラ ン の 濃 縮 相 が 明 ら か に さ れ て お り、 普 通 コ ン ド ラ イ トで の そ れ ら 元 素 の 濃 縮 相 はCa一 リ ン 酸 塩 鉱 物 で あ る 。 鉱 物 学 的 ・化 学 的 組 成 が 普 通 コ ン ドラ イ ト と 類 似 し て お り 、Pや 希 土 類 元 素 及 び ト リ ウ ム 、 ウ ラ ン 存 在 度 も 類 似 し て い るRコ ン ドラ イ トで は 、 そ れ ら元 素 の 濃 縮 相 が 普 通 コ ン ド ラ イ ト と 同 様 にCa一 リ ン 酸 塩 鉱 物 で あ る と推 測 さ れ る 。 し か し な が ら 、Rコ ン ド ラ イ ト中 の 希 土 類 元 素 及 び ト リ ウ ム 、 ウ ラ ン の 濃 縮 相 は 未 だ 明 ら か に な っ て い な い 。
本 研 究 で は 、Rコ ン ドラ イ トの 成 因 を 探 る こ と を 大 き な 目 的 と し 、 そ の 一 環 と し て 、R コ ン ド ラ イ ト中 の 希 土 類 元 素 及 び ト リ ウ ム 、 ウ ラ ン の 鉱 物 相 問 の 分 布 を 段 階 溶 出 実 験 を 用 い て 明 ら か に し た 。 そ し て 、 そ れ を 基 にRコ ン ド ラ イ ト母 天 体 で の 変 成 作 用 に っ い て 考 察 を 行 っ た 。
2.実 験
2.1.本 研 究 で 用 い た 試 料
本 研 究 で は15個 のRコ ン ド ラ イ トが 用 い ら れ 、 こ れ ら は 全 て 当 研 究 室 に お け る 先 行 研 究(Khanetal,2015)に て 分 析 さ れ た 試 料 と 同 じ で あ る 。 表2.1に 分 析 試 料 と と も に そ の 岩 石 学 的 分 類 や 本 分 析 に 使 用 し た 量 な ど を 記 載 し た 。 岩 石 学 的 分 類 はAntarctic MeteoriticNewsletters(NASA,USA)に 基 づ い て い る が 、LAPO2238,PRE95411,MIL
O7440,LAPO3639に つ い て はAntarcticMeteoriticNewslettersで 報 告 さ れ て い る 分 類 と は 異 な る 分 類 が 報 告 さ れ て い る(e.g.,Isaθtal.,2014;Torranoetal.,2015)。 こ れ ら の 相 違 は 、 多 く のRコ ン ド ラ イ トが 受 け て い る と さ れ て い る 角 礫 化 が 原 因 で あ り 、 異 な る 報 告 が な さ れ て い るRコ ン ドラ イ トは 角 礫 化Rコ ン ド ラ イ トに 分 類 さ れ る の か も しれ な い 。 本 研 究 で 用 い た 過 半 数 のRコ ン ド ラ イ トで は 分 析 例 が 報 告 さ れ て い る が 、 国 立 極 地 研 究 所 よ
り 貸 与 さ れ た 試 料 に 関 し て はY793575を 除 い て い ず れ の 試 料 も 当 研 究 室 の 先 行 研 究 以 外 で は 分 析 さ れ て い な い 。 分 析 報 告 例 の あ るMILO7440,LAPO4840,MIL11207(い ず れ も タ イ プ6)に は 他 のRコ ン ドラ イ ト と は 異 な り、 角 閃 石 や 雲 母 な ど の 含 水 鉱 物 が 発 見 さ れ て お り(e.g.,Rubin,2013;Rubin,2014)、 特 にLAPO4840は 非 常 に 多 量 の 含 水 鉱 物 を 含 ん で い る(約14wt.%;e.g.,McCantaetal,2008;Otaetal,2009)。 そ の た め 、 こ れ ら のR コ ン ド ラ イ トは 局 所 的 な 水 性 環 境 下 で 形 成 され た こ と が 示 唆 され(Mikouchiθtal.,2007)、
こ れ ら は 熱 変 成 と と も に 水 質 変 成 の 影 響 も 受 け て い る 可 能 性 が あ る 。
表2.1本 研 究 で 用 い たRコ ン ドラ イ トの 詳 細
Meteorke Position Typea SourceWeatheringa Treated amount(㎎)
Recoveredweight(rng/wt.%)
lstleachate 2ndleachateAcidresidue ALH85151
LAPO2238 PRE95411 Y793575 A881988 Y983270 Y983720 Y983097 MILO7440 Y980702 Y980703 LAPO4840 MILll207 LAPO3639 PCAglOO2
1314861111234412465888671836
R3.6
R3.7b,(R)a R3.8b,(R3)a R3.8
R4 R4 R4 R5
R6c,(R4)a R6
R6 R6 R6
JSC JSC JSC NIPR NIPR NIPR NIPR NIPR JSC NIPR NIPR JSC JSC
R3.n‑4,R5d・e・f,(R4)aJSC R3.8‑6JSC
B(wi‑2)999・28 B(wi‑4)9103・48 A/B(wi‑4)blO9.18
(wi‑4)9 (wi‑3)9 A
A A Be (wi‑O)b
?
94.45 106.20 113.25 105.10 104.49 107.54 102.ll 96.02
A/B(wi‑O)blO3.55 CelO5.77 A/B(wi‑1)bg9.25 A/B(wi‑1)9104・47
mean(wし%)3.8
5.79/5.8 6.23/6.0 8.55/7.8 2.38/2.5 1.69/1.6 5.93/5.2 5.76/5.5 5.27/5.O l.17/1.1 1.74/1.7 1.6/1.7 3.78/3.7 4.02/3.8 4.89/4.9 3.52/3.4
±2.1
75.24/75.8 75.32/72.8 80.68/73.9 66.85/70.8 73.49/69.2 83.73/73.9 74.51/70.9 62.66/60.0 84.44/785 79.94/78.3 76.89/80.1 72.25/69.8 81.96/77.5 64.37/64.9 72.58/69.5 73.5土4.5
18.25/18.4 21.93/21.2 19.95/18.3 25.22/26.7 31.02/29.2 2359/20.8 24.83/23.6 3656/35.0 21.93/20.4 20.43/20.0 17.53/18.3 27.52/26.6 19.79/18.7 29.99/30.2 28.37/27.2 22.8±45
JSC:ジ ョ ン ソ ン 宇 宙 セ ン タ ー,NASA,USA;NIPR:国 立 極 地 研 究 所,日 本
aAntarcticMeteoriticNewsletters ,NASA;bIsaetal.,2014;cRubin,2014;dTorranoetal.,2015reportedasbrecciatedR3.n;eLunninget al.,2017reportedasR3.n‑4;fSchraderθtal.,2016reportedasR5;9RubinandHuber,2005.
2.2.実 験 操 作
本 研 究 で は 元 素 存 在 度 の 測 定 の た め にICP‑AESとICP‑MSを 用 い た。 希 釈 率 が 小 さ い と両 者 と も マ ト リ ッ ク ス 元 素 の 影 響 を 受 け て しま い 、 分 析 値 の 確 度 が 悪 く な っ て しま う。
通 常 、 当研 究 室 で の 測 定 溶 液 に はHNO3が 用 い られ て きた が 、 図1.1の 溶 出 実 験 の 分 析 方 法 に従 う と、溶 出 の 際 に はEDTAやHClを 使 用 す る必 要 が あ る 。 しか しな が ら、EDTAを 用 い た 溶 出 実 験 は や や 煩 雑 で あ り、 ま た 、 溶 出 に使 用 し たHClを そ の ま ま 測 定 溶 液 と して 用 い る とマ トリ ッ ク ス 効 果 の 影 響 が 大 き く な る。そ の た め 、Rコ ン ドライ トは 金 属 鉄 を含 ま な い こ とや 実 験 の 簡 便 化 、 定 量 値 の 正 確 性 な ど を考 慮 す る と、 溶 出 の 際 に は 弱 いHCIを 用 い 、 そ のHC1溶 出 液 を 乾 固 し、HNO3で 溶 解 させ 、 そ れ を測 定 溶 液 と して 使 用 す る方 法 が 分 析 に は 良 い と考 え られ る。 これ ま で 、 こ の よ うな 酸 分 解 に は 同位 体 希 釈 法 と検 量 線 法 を 適 用 し、 酸 分 解 の 際 の 収 率 を 求 め られ た た め 、 酸 分 解 の 際 の 試 料 の ロス は 問 題 な か っ た 。 しか し、Rコ ン ドラ イ トのCa一 リン 酸 塩 鉱 物 の 分 析 が 全 く行 わ れ て い な い こ とか ら、溶 出 実 験 で 得 られ る相 に は どの 程 度 の 元 素 存 在 度 が あ る か の推 測 が で き ず 、 同位 体 希 釈 法 を適 用 で き な い た め 、 上 述 の よ うな 実 験 方 法 は行 え な い 。 そ こで 、 乾 固 させ る 必 要 が な く、 そ の ま ま 測 定 溶 液 に 用 い る こ とが で き る こ とか ら、弱 いHClの 代 わ りに 弱 いHNO3を 用 い て 溶 出 実 験 を行 う こ と と し、ま ず は溶 出 実 験 にHClを 使 用 した 場 合 とHNO3を 使 用 した 場 合 で の 結 果 の 差 異 の 有 無 を確 認 した 。
2.2.1.溶 出 実 験
使 用 す る 空 の 状 態 の テ フ ロ ン 製 分 解 容 器 の 重 さ を 量 り 、 金 属 鉄 が 除 か れ て い る 粉 末 状 の 普 通 コ ン ド ラ イ ト(Saratov;L4)を 約100mg秤 量 し 、 テ フ ロ ン 製 分 解 容 器 に 移 し た 。 そ こ に0.5MのHNO3ま た は1MのHClを1mL加 え 、 超 音 波 浴 槽 中 に て 約15分 間 撹 拝 し た 。 そ の 後 、 遠 心 分 離 機 に て 約3分 間 、1500rpmで 上 澄 み 液 と 残 渣 を 分 離 し 、 マ イ ク ロ ピ ペ ッ ト を 用 い て ポ リ エ チ レ ン 製 容 器 に 上 澄 み 液 を 取 り 出 し た 。酸 残 渣 を1mLのMilli‑Q水
(超 純 水)に て 洗 浄 、 そ れ も 遠 心 分 離 を し 、 上 澄 み 液 を 前 述 の ポ リエ チ レ ン 製 容 器 に 加 え た 。 こ の 洗 浄 の 操 作 は3回 繰 り 返 し 、 計4mLの 溶 出 相 を 得 た 。 そ の 後 、酸 残 渣 を ホ ッ トプ レ ー ト上 で 乾 固 し 、 室 温 ま で 冷 却 後 、 分 解 容 器 と と も に 残 渣 の 重 さ を 量 り 、 酸 に 溶 解 し た 試 料 の 重 さ を 算 出 し た 。Vuθtal,(2016)の 実 験 方 法 に 倣 い 、 酸 残 渣 に 同 位 体 希 釈 法 用 の 149Sm濃 縮 同 位 体 を 加 え た 後 、混 酸(HEHCIO,,HNO3)で 酸 分 解 し た 。Khanθtal.,(2015)
とVuetal,(2016)の 測 定 方 法 に 従 い 、 各 相 の 主 要 元 素(Mg,Al,P,Ca,Ti,Mn,Fe,Ni)と 微 量 元 素(Sc,V,Co,Ni,Cu,Zn,Sr,Ba)の 含 有 量 をICP‑AES(SPS7800instrument,
SII‑nanotechnologyproducts,Japan)を 用 い て 、 希 土 類 元 素 及 び ト リ ウ ム 、 ウ ラ ン の 存 在 度 をICP‑MS(iCAPQ,ThermoSCIENTIFIC,USA)を 用 い て 決 定 し た 。 表2.2に 本 実 験 で の 実 験 条 件 や 得 ら れ た2相 の 重 さ を 示 し た 。
こ の 実 験 よ り 得 ら れ た 酸 残 渣 の 結 果 を 卒 業 研 究 の 際 に 決 定 し た 全 岩 の 値 と と も に 表2.3 に 示 し 、図2.1に はHC1ま た はHNO3を 用 い た 際 の 酸 残 渣 の 値 を 全 岩 の 値 で 規 格 化 し た 希