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加藤寿朗著『子どもの社会認識の発達と形成に関する実証的研究-経済認識の変容を手がかりとして-』(風間書房,2007年)

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社会系教科教育学会『社会系教科教育学研究』第20号 2008 (p.266) 【書 評】

加藤

寿朗著

『子

どもの社会認識の発達

と形成に関す

る実証的研究

一経済

認識の

変容

を手がか

りと

してー

本書は,児童期の子どもの社会認識の発達と形 成に関する実証的研究に一貫して取り組み,学位 論文にまとめた成果を公刊されたものである。 序章の冒頭には,匚子どもは社会をどのように 認識するのか。また,子どもの社会認識の発達に 即した授業構想に生かせる社会科教育学としての 発達と形成に関する研究は,何をどのように明ら かにすればよいのか。」という本研究の問題意識 が記されている。匚何をどのように明らかにすれ ばよいのか」と問いかけざるを得なかったところ に,本書が社会認識の発達と形成に関する研究の パイオニア的存在であることが示されている。 そして終章には,本研究で明らかになった児童 の社会認識の発達的特徴が4点にまとめられてい る。その内の3点を紹介すれば,次の通りである。 ①学年進行と共に,社会的事物・事象の量や大き さといった具体的な視点を中心とした見方から, 事物・事象の意味や価値,事象間の関係といった より抽象的な視点を考慮した見方へと変化し,社 会的事象を多様な視点から捉えることができるよ うになる。…(中略)…これらの変化の移行期は およそ小学校4・5年生頃である。(発達の様相) ②子どもの社会認識構造は,…(中略)…社会的 事物・事象に関する知識を量的に発達させる段階 から,断片的な情報相互のネットワーク化を図る 段階へ,そして,ある視点を中核としながら情報 を統合する段階へと発達する。(認識構造の発達) ④生活経験や視点,取得能力は,子どもの社会認識 の発達を規定する要因であり,他者の立場に立っ て考える視点取得能力によって,子どもの社会認 識は促進される。(発達の規定因) では,本書の意義をどのように評価すればよい のだろうか。私は小・中学校の実践者とともに社 会科授業研究を継続して行ってきている(木村博 (風間書房、2007年) 木 村 博 一 (広島大学大学院教育学研究科教授) 一・岡崎社会科授業研究サークル編著『農業を学 ぶ授業を創る』黎明書房, 1995,等を参照)。当 初のサークルの問題関心は,社会認識形成の厂論 理」と匚心理」を結合した授業構成であった『木 村博一叩教材の論理』と『子どもの心理』の結 合に向けて」広島大学附属小学校学校教育研究会 『学校教育』第948号, 1996,等を参照)。 私たちは,よりよい授業を開発しようと,教材 の匚論理」を構造化して把握するとともに,子ど もの厂心理」を踏まえて学習指導計画を練り合い, 実験授業を繰り返した。子どもの匚心理」は実践 者,特に担任の教師が熟知している。けれども, 教師が把握している子どもの厂心理」は,強いて 言えば勘である。教師経験に裏打ちされていると は言っても,主観であることは否めない。しかも, 社会認識を向上させたいという意識がはたらくの で,その学年の子どもが何を認識できないのかと いう制約に目が向かない傾向が出てしまった。 ここに,加藤氏の研究成果の意義を見出すこと ができる。小学校4・5年生頃を境として,その 前後の児童には,どのような社会認識発達の様相 や変化が見られるのか,そして,児童が社会を認 識する構造はどのように発達していくのかを客観 的・実証的に解明された意義は大きいのである。 とは言っても,本書の結論は多分に抽象的であ る。ある研究成果の意義は,何をどのように解明 しているかとともに,その研究成果をどれだけ具 体的にわかりやすく読者に伝えているかによって も決まってくると私は考えているO加藤氏の次の 課題は,各学年の社会科授業開発に役立つように, 実践者である小学校教師の立場に立って,本研究 の成果を具体的にわかりやすく説明することでは ないだろうか。新たな役割を取得することによっ て,加藤氏の研究が促進されることを期待したい。 266

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