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いきいき栄養学講座を修了した受講生の体重維持(予後)についての検討

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Academic year: 2021

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(1)

いきいき栄養学講座を修了した受講生の体重維持(予後)

についての検討

番園亜理沙,武田陽,梅崎絹恵,松井朋美,鈴木秋子,

尾暗悦子,増村美佐子,小西すず,鈴木一永

緒一

肥満とは、エネルギーの摂取とエネルギー消費のアンバランスが長期にわた

り続いた結果、脂肪が蓄積したものであるD。肥満の原因となった不適切な食

習慣・運動習慣を速やかに修正する事が難しい事はもちろんであるが討、長年

の生活習慣を変えて、日々の生活の中に適切な習慣を定着させる事は容易な事

ではない幻。また、一旦は減量出来たとしても、その体重を長期問維持するこ とが容易でないことも周知の事実であり、しばしば数力月のうちに体重が逆戻

りするという現象(以下、りバウンドという)が見られることが多い田。

栄養クリニックでは、 1990年以来、中高年肥満主婦を対象に「いきいき栄養

学講座」(以下、講座という)を開講し、バランス型ホr)(以下、聾排氏というX図

D を用いた食事指導を行い、講座を受講した中高年肥満女性(以下、受講生

という)の乃%が5 %以上の減量に成功してきた昂。型紙では80kca1を 1点と

定め、 1食5 点(=如okcaD の完結型'で、①たんは゜く系食品を 2点、②野

菜はたっぷり0.5点、③果物・いものどちらかを選んで0.5点、④主食は1.5点、

⑤油は0.5点の5項目を視覚的にわかりゃすく明示している。これにより面倒

な計算をしなくても、ダイエット中に摂らなけれぱならない最低のエネルギー

と必要な栄養素を組み合せてバランスの良い献立を作成出来るのである5)。ま

た、中高年女性の生活に一部ともいえる問食に関しては、 1万歩歩いたら2点

まで許容するする指導を併せて行ってぃる6)。

さらに講座では、りバウンドしない減量を目指して、型紙に沿った食生活の

習噴化のための指導を行ってきた力。同時に、型紙に沿った食事が実践できて

(2)

1宝5'{4こ0、C創].3含f35'{にC赴ι,11 図1 バランス型紙 図2 食事記録 いるかどうかを確認、するため、講座に出席する毎に 1名あたり3食3日分と、 間食および歩数の記録を提出させ、適切な食事と運動が実践出来ているかどう かの点検も行ってきた(図2)。 加えて、講座修了後に出現するりバウンドという課題に対しては、講座修了 からその半年後、すなわち初回講座から数えて1年目に改めて集まる機会(再 会講座)を設け、講座で学んだことの定着・習慣化の確認、を行ってきた。さら にそれ以降も年1回の定期的なハガキによる予後調査(図3)を全受講生に対 して実施し、長期間の追跡調査も行ってきた。

お名前

予後調査 0電厶月白U

食事記録用級縄尋除

☆現在実行しているものに0をつけて下さい。

)たんぱく系食品を適量食べた。 )野菜はたっぷり0 )主食を控えめにした。 )間食はなるべくとらなかった。 )よく歩いた。 )油や砂糖は摂りすぎないようにした。 図3 予後調査(アンケート) 本研究では、予後調査を用いて、受講生が長期にわたり型紙を用いた食事を 継続し、減量した体重を維持する事・が出来ていたか、あるいはりバウンドして

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(3)

しまっていた場合には、何がその誘因になったのかを検討することとした。

対象と方法

2001年から20四年の間に開催した講座(1クールは全5 回/6 力月問)の計 15クールにおいて、それぞれのクールの第1回講座から第5回誠座のすべてを 受講した中高年肥満女性(以下、修了生という)のうち、第1回講座において

に測定した BM1が25.okg/m2以上であり、 6 ケ月間の受講により 5 %以上の

減量がみられた68名を抽出した。抽出した68名から、講座の受講により食生活 が十分に修正されたと判断された者のみを選択するため、次の2つの基準を用 いた。第一には、型紙に沿った食事の実践が出来ていたかどうかの判定である。 先行研究により、 6力月講座期問中に5%以上の体重減少を達成した者の食事 バランスを過不足チェック法(表D により評価した時の「適量」の数が13.3

個/日であることがわかっているため昂、第5回誠座にて回収した食卦隔e録(図

2) 3日分から得られた 1日あたりの「適呈」の数が13.3個/日であった者を 研究対象とした。第2には、聞食と運動が適切であったかの判定である。講座

では、 1日1万歩以上歩いたら問食を2点以内で摂取可と指導しているため田、

第4回講座から第5回講座までの問の間食と歩数の関係がこのような範囲に あった者を研究対象とした。これらの判定により68名を52名に絞った。さらに、 講座修了 1年後に実施した郵送による予後調査(以下、アンケートという)(図 3)に回答の得られた34名を最終的に本研究の対象とした。なお、アンケート

での体重は0.5kg区切りでの申告、食生活・運動の状況については、該当する

項目に0印を付けて返信するものとした。 次に、対象者34名を次のように分類した。 A群(体重維持群):アンケートに記された体重一講座修了時(第5回講 座時)体重三 0 B群(体重増加群):アンケートに記された体重一講座修了時(第5回講 座時)体重> 0

(4)

A群(体重維持群)とB群(体重増加群)それぞれについて、アンケート(図 3)中の各項目「たんぱく系食品を適量食べた」「野菜をたっぷり食べた」「主 食を控えめにした」「間食はなるべくとらなかった」「油や砂糖は取りすぎない ようにした」「よく歩いた」のそれぞれに該当すると回答した人数(0を付け た者の人生幻と該当するとは回答しなかった人数(0を付けなかった者または Xを付けて返信された者)を集計し、前者を0、後老をXとして二項ロジス ティック回帰分析を用いて、 6ケ月問の講座において学んだ事・が講座修了後も 実践できていたかを検討した。 表1 過不足チェック法における 1食あたりの判定基準 項目 たんぱく系食品 野菜 果物・いも 判定基準(1点=80kcaD 不足 京斐類 <1,0 油 <0.3 '商{1

結果

0 <1.0 <3.0 表2 に示したように、対象者34人には、第1回講座(受講前)および第5 回 講座(講座修了時)の年齢・体重・BMI、すべての項目において有意差は認め られなかった。一方、講座修了 1年後には、 A群はB群に比べ体重・BM1は

いずれも有意に低値となっていた(P く0.05)。

表3 に示したように、 A群(体重維持群)と B群(体重増加群)との闇には、 「主食を控えめにした」という項目と「よく歩いた」という項目で、以下のよ うな有意差が認められた。 「主食を控えめにした」において、 A群・B群の「主食を控えめにした」と 0.3益 0 過剰 0< S2.0 3.OS 型紙の基準(点) (1 食あたり引'5 点) 0< 1.1S 2.0< 1.1S 2.0 0.5 0.5 1.5 0.5

(5)

表2 対象者(34人)の集団の第1回講座侵講前)と第5回講座儲座修了剛 身体測定値と講座修了後1年後の身体測定値 第1回講座(受議前)年齢 第1回講座(受講前)体重(k創 第 1回誠座(受講前') BMI(kg/m') 第5回講座儒'座修了時)体重(kg) 第5 回講座(講座修了時) BMI(kg/m') 講座修了1年後体重 誠座修了 1年後BMI A 群(n =2D B 群(n =13) (k創 (kg/mり 58.5土10.0 66.4土8.2 28.4士2.9 59.5士7.6 25.4士2.8 たんぱく系食品を適量食べた 0 (人) X (人) 58.3士6.フ 66.6土5.9 28.1士2.5 60.5士5.6 25.5土2.4 野菜をたっぷり食べた 0 (人) X (人) 表3 56.3士6.2 24.1士2.4 二項ロジスティック回帰分析 主食を控えめにした 0 (人) X (人) 有意差 A群 (n=2D n . S 間食をなるべくとらなかった 0 (人) X (人) 61.9土5.8 26.0士2.4 n . S B群 (n土13) n . S 0,288 よく歩いた n . S オッズ比有意差 n . S P く0 P く0 油や砂糖は摂りすぎないようにした 6.108 1.685 1.150 (人) (人) 2.197 95%CI 下限上限 0 (人) X (人) n.S n . S 17.004 0.205 26.887 n.S 1'326 13.833 Pく0.05 0.21] 0.287 6.0731 5.5a 22.850 1.488 n.S 1,388 195.216 Pく0.05 85 58 94 OX W2 Ⅱ2 扮2

備備

Ⅱ2 即1 9松 玲8 3W 玲5

(6)

いう事象を実行出来たと回答した者の人数分布を1とした時、「主食を控えめ にした」という事象を実行出来ていなかったと回答した者が、 B群においては 理論値よりも統計学的に17.004倍有意に多く分布していたことが確認された。 また、 A群・B群の「よく歩いた」という事象を実行出来たと回答した者の 人数分布を 1とした時、「よく歩いた」という事象を実行出来ていなかったと 回答したものが、 B群においては理論値よりも統計学的に5,561倍有意に多く 分布していたこと力q維認された。

老察

栄養クリニックによるこれまでの報告には、講座修了後の予後に関しては、 期問中の体重減少率が10%以上であった者では、修了後1年で3%以上の体 重増加を来たした者が4.4%存在し、体重減少率が5%から10%未満の者で

も28.2%存在したことが示されてぃる討。このようなデータは、型紙を用いた

ダイエットを実践でき、良好な体重減少が認められた者でも、講座修了後には 体重維持が難しく、時間経過とともに効果が薄れてしまう可能性があることを 意味している。本研究では、型紙も用いたダイエットを十分に理解し、一旦減 量に成功した者であっても、どのような要因によりりバウンドを来たす可能性 が大きくなるのか検討するため、食生活全般をきわめて良好にコントロールで き、その結果として 5%以上の体重減少に成功した集団を対象として用いる こととした。 表3 に示した結果に表れているように、体重増加群(B群)には、「主食を 控えめにした」という意識が講座修了後1年の間に失われていった者が統計学 的に多く分布していたのは事・実であるが、この問に、受講生の主食の摂取に具 体的にどのような変化があったのかは本研究からは明らかにできない。また、 講座修了後の主食の量の変化に関しての先行研究も存在していない。以上を踏 まえ、今後は予後調査の具体的内容として修了生の主食の具体的な摂取量を把 握できるような記載方法を導入し、講座スタッフによる適切なサポートが提供

(7)

できるように改善すべきであると考える。さらに予後調査には主食の摂り方に 注意を促すことのできるアドバイスを併するなどの工夫を加えることが望まれ よう。 運動に関しては、他の機関により実施された減量教室の追跡調査によると、

減量教室修了後2.6士1.5年の間に lkg以上の体重再増加がみられた者では、

教室受講中の歩数より約2000歩/日の歩数減少が見られ、減量教室修了後

3kg以上の体重再増加がみられた者では、教室受講中の歩数より約4000歩/

日の歩委廼咸少がみられたことが確認されている田。本研究でも、体重増加群山

群)には、このような研究と同様に、講座修了後「よく歩く」ことの継続意識

の薄れが統計学的に有意に認められていた。歩くということに関して講座では、

第2回講座から歩数計を配布し歩数の記録を指導してぃる6)9)。また、本研究

では「1日1万歩」の実行が出来ていた集団を用いていたものである。このよ うな者であるにも関わらず、現実的には、講座修了後、講座期間中に身に付け た「1日1万歩」の継続意識が1年以内に薄れてしまう可能性があることが判

明した。食事内容と同じく、予後調査において、継続意識向上のために、講座

修了後の歩数計の着用の有無や歩数の記録を積極的に提出させ、講座期問中と 同じように、自覚的・多覚的に評価するサポートを行いたいと考える。これら により受講生は講座受講中と同じように継続の意識を保ち、良好な体重維持が 可能になると考えている。 以上より、ダイエットの継続と改善した体重維持のためには、今回の研究で 得られた「主食を控えめにした」「よく歩く」など、的を絞った長期的サポー トを加えるなど、講座のあり方には改善の余地があると考えられた。 参考文献 1)中村丁次,倉貫早智:肥満症の食事療法.産婦ソ\科治療97 (4),384-389,2008 2)葛城功.吉松博信':食事と栄養.臨床と研究86 (9),Ⅱ53-11諦,2009 3)田村'京子.小西由起,鈴木秋子,小西すず,楠智一:主婦のイ本重コントロールに関 する食事指導の研究(第4幸田一指導修了後の体重経過についてー.武庫川女子大学

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紀要(自然科学)",63-66,1996 4)小西すず:バランス型紙の意図するもの一後継者たちへの小し送りのためにー.栄 養クリニック紀要10,1-15,2008 5)鈴木一永,小西すず,増村美佐子,尾啼悦子.鈴木秋子.梅崎絹恵,島袋陽:バラ ンス型紙力明巴満者の体重改誓に及ぼす影響、楠尿病51(1),47-51,2008 6)小西すず:第二回講座しっかり歩いて太りにくい体をめざそう.おいしく楽しく ダイエットいきいき栄養学第2版,小西すず編,三釧析と治療社叫(京), PP53一鉐, 2006 フ)山中陽子,和田桂子:ダイエットクリニックを修了した主婦の3年後の検討'武庫 川女子大学生活環境学部食物栄養学科卒業論文,2004 8)太田壽城,前田清,川村孝,安野尚史,市原義雄.岩塚徹,斉藤正晴,木村司§,鈴 木幸男:減量の達成と刷僻寺における摂取エネルギーと歩数の関係.日本総合健診医学 会誌27 ( 2 ),148-153,2000 9)牛尾有希.三浦あゆみ,武山陽,小西すず,鈴木秋子,尾崎悦子,1加暗絹恵,鈴木 一永:バランス翌蜂氏を用いた食事療法に1日1万歩の励行を加えることによりメタボ リックシンドロームの予防・改善の可能性を増大させるか,肥満研究15 (2),185-189,2009

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