第18回群馬整形外科研究会
日 時:2010年 10月 2日 (土) 場 所:群馬大学医学部内「刀城会館」 代表世話人:高岸 憲二(群馬大院・医・整形外科学)主題 >
一 般 演 題
座長:真塩 清(沢渡温泉病院) 1.環指末節骨裂離骨折を伴った深指屈筋腱皮下断裂の 一例 〇増田 士郎,浅井 伸治,福田 和彦 (原町赤十字病院 整形外科) 末節骨の裂離骨折を伴った深指屈筋腱皮下断裂を経験 したため文献的 察を加えて報告する. 【症 例】 51 歳男性 【現病歴】 ラグビーのプレイ中, 他のプレイ ヤーのジャージに左環指を引っかけ受傷. 近医受診し骨 折の診断で当科紹介受診. 手術目的で入院とし受傷後 8 日目に Pull out法による骨接合術を行った. 【結 果】 術後 3週で可動域訓練開始し術後 7週で骨癒合が得られ ボタンと鋼線の抜去を行った. 可動域制限は残るものの 日常生活に問題なく経過している. 【 察】 本症例 は非常に稀であるが受傷機転や骨折の形状, 受傷指が特 徴的で, 且つ典型的であり文献報告例とも矛盾ない症例 であった. 2.当科で経験している乳幼児低リン血症性くる病の2 例 〇富沢 仙一 (群馬県立小児医療センター 整形外科) 浅井 伸治,武智 泰彦 (群馬大院・医・整形外科学) 杵渕 裕子 (なんきつこどもクリニック) 吉橋 博 (東京都立 合医療センター 遺伝科) 小和瀬 貴律,大津 義晃 (群馬大院・医・小児科学) 清水 祐一郎,福本 誠二 (東京大学附属病院 腎臓内 泌内科) 【目 的】 荷重開始頃からの O脚として受診した児に くる病に散見する. 尿細管でのリン再吸収障害を病態と する低リン血症性くる病は, リン利尿ホルモンとしての FGF23 (Fibroblast Growth Factor 23が発見されてきて 以来, 病態の理解が進んできている. 当科で経験してい る乳幼児低リン血症性くる病例について, 若干の知見を 得たので報告する. 【症 例】 当科で経験している乳 幼児くる病は 11例であり, うち低リン血症性くる病は 2 例である. 男児女児各 1例, 家族歴は 1例にある. 独歩は 平 14ヶ月, 主訴は共に O脚, 初診時年齢は 2歳 3ヶ月, 初診時身長は平 −2.4SD であった. 膝顆間距離は平 10cm, MAD (mechanical axis deviation) 2.0cm内方, FGF23は平 138pg/ml(正常 10∼50)であった.確定診 断後に内科的治療を行なっている. O脚変形に対し, 長 下肢装具による装具療法を行なっている. 経過 1年と短 いが, MAD 0 cmに改善し, 比較的良好な結果を得てい る. 【ま と め】 低 リ ン 血 症 性 く る 病 児 2例 に 対 し, FGF23の高値を確認できた. 内科的治療と同時に, 下肢 変形に対し, 装具療法を用いて比較的良好な結果を得て いる. 3.注意すべき頸椎椎前軟部の炎症性疾患 ―石灰沈着 性頸長筋腱炎― 〇黒沢 一也,佐野 浩志,星野 貴光 中島 大輔 (日高病院 整形外科) 【はじめに】 石灰沈着性頸長筋腱炎は整形外科医も知っ ておくべき疾患であり, 当院で経験した症例を提示し, 文献的 察を含めて報告する. 【症 例】 平成 21年 12 月以降, 当院で石灰沈着性頸長筋腱炎及びその疑いとし て治療した症例は 5例である. 初診時主訴は全例で後頸 部痛, 頸部運動制限, 嚥下時痛であった. XPでは全例で 頸椎椎前軟部の腫脹陰影を認め, 血液検査にてさまざま な程度の炎症反応上昇を認めた. 5例中 2例は初診時斜 頸を呈していた. 1例は CRP: 9.22, WBC : 10440と強 い炎症所見を認め MRI にて膿瘍貯留の疑いもあったた め耳鼻科へ紹介. CT にて軸椎前方に石灰化所見あり, 石 灰沈着性頸長筋腱炎の診断であった. 5例中 2例で初診 時に NSAID と抗生剤の内服を処方したが, 他 3例は 93 Kitakanto Med J 2011;61:93∼96NSAID のみ処方. 全例で頸椎の安静指示もしくは外固 定を行った. 1例のみ再診なく経過は不明であったが, 他 の 4例は速やかに疼痛が消失し, 画像もしくは採血にて 改善を確認できた. 【 察】 石灰沈着性頸長筋腱炎 は誘因なく急性発生する頸部痛, 頸部運動制限, 嚥下時 痛を三大症状とする疾患である. 血液生化学検査では炎 症反応が上昇し, 画像上椎前軟部陰影の腫脹, 歯突起前 方の石灰化を伴う特徴がある. 症状は速やかに改善する 経過良好な炎症性疾患であるが, 鑑別すべき疾患として 咽後膿瘍が重要である. 耳鼻科領域では稀な疾患とされ ているが, 急性の頸部痛患者の多くが整形外科を受診す ることを えれば, 整形外科医師にこの疾患の認識が薄 いため確定診断に至る症例が少ないだけで, 稀なもので はないと思われる. 【結 語】 石灰沈着性頸長筋腱炎 は急性の頸部痛を診察するにあたり常に念頭に入れてお くべき疾患であり, 日常診療において椎前軟部腫脹陰影 の読影と診察は慎重に行う必要がある. 4. FDG-PETを用いて抗 TNF製剤の治療効果判定を 行った強直性脊椎炎の一例 〇塩澤 裕行,米本由木夫,岡 興一 小林 勉,飯塚 陽一,山本 敦 高岸 憲二 (群馬大院・医・整形外科学) 近年, 強直性脊椎炎 (AS) に対し生物学的製剤も 用 されるようになっている. また, FDG-PET (PET) は AS の診断に有用との報告はあるが, 治療効果判定の報 告はない.今回,PET で抗 TNF 製剤の効果判定を行った AS の一例を経験したので報告する. 症例は 24歳男性. 平成 20年 3月, 腰痛出現. 7月より 増悪し, 四肢関節炎も出現. 当科受診し ASの診断で, ジ クロフェナク Na, サラゾスルファピリジン, MTX で効 果不十 であり,平成 21年 8月インフリキシマブ (IFX) を導入. 導入時に両仙腸関節に圧痛認め, 左膝関節に腫 脹及び圧痛を認めた.BASDAI 8.5,HLA B27(+),CRP, 血沈,MMP-3は高値だが,各種自己抗体は陰性.XPで左 仙腸関節に骨 化像, MRI で両仙腸関節炎, PET で両仙 腸関節, 左膝に集積. IFX 導入後, BASDAI, 炎症マー カー, PET, MRI とも著名に改善した. AS では CRPや血沈は必ずしも疾患活動性を反映し ない. BASDAI が汎用されるが, VASの集合体で主観的 評価が中心である. PET は炎症を半定量的に客観的評価 ができると期待される.