多面体の分解合同とはさみ合同群
66
0
0
全文
(2) 序 文. 初等教育課程の算数科において,多角形の面積を求めるには,以下の考察過程を経ること が通例である。. まず単位正方形の面積を1と定め,長方形をいくつかの小正方形に分割することで,長方 形の面積を“縦×横”と定義する。次に,三角形や平行四辺形は,それらをいくつかの部分 に分割し,長方形に組み換えることでそれらの面積公式を得る。 この考察においては,多角形の面積を求めるために,多角形を分割するという操作が共通 して行われており,求めるべき多角形の面積は,すぺて長方形に置き換えることで容易に得 ることができる。このように,ある多角形を分割して組み換え,別の多角形を得るとき,こ れらの多角形は‘‘分解合同である”という。しかしながら,どんな多角形も長方形と分解合 同であろうか。また,任意の多面体に関しても,直方体と分解合同であろうか。それらの疑 問について,本論文では分解合同という概念を取り入れ,考察する。 多角形にっいては,比較的容易な議論により,等積な2つの多角形が分解合同であること を証明できるが,多面体に関しては,多角形の議論をそのまま適用させることができない。 そこで,本論文では,等積な多面体が分解合同であるための条件を考察する。考察にあたっ ては,はさみ合同群という概念を導入し,この概念を用いて等積な多面体の分解合同性を考 える。. 多面体の分解合同性をめぐる議論は19世紀末頃から行われており,20世紀初頭には,デー ンによって,等積であっても,分解合同ではない2つの多面体が与えられた。その後,半世 紀ほどを経て,スイスの数学者シドレールが,多面体の分解合同性に関する研究を始めるま では,多面体の分解合同性をめぐる議論は,長い間忘れられていた。すなわち,多面体の分 解合同性の議論が再考されたのは,近年になってからのことである。その中でも,はさみ合 同群は,より新しい概念であり,はさみ合同群を用いることで,等積な多面体が分解合同で あるための条件を直観的にとらえることができる。 本論文の構成について述べる。 1章では,本論文において基礎となる概念を準備し,多角形における分解合同性に関する 考察を述ぺる。. 1.1節では,多角形,多面体の議論に関して必要となる基礎概念を準備する。まず,多角 形,多面体の定義を述べ,それらの間の‘‘合同”を定義する。また,本論文では,複数の多 角形や多面体を扱うため,多角形や多面体の“和”を定める。それらの基礎概念によって,本 論文の中心となる概念の“分解合同”,および“補充合同”を定義する。 L2節では,多角形の面積,多面体の体積を定義し,その諸性質を述べる。. 1.
(3) 1。3節では,多角形の分解合同性について述べる。多角形に関しては,ボヤイとゲルヴィ ンによって,“等積な多角形は分解合同である”ことが示された。そこで,まず,このボヤ イ=ゲルヴィンの定理を示す。また,ボヤイ=ゲルヴィンの定理によって,“等積な多角形 は補充合同である”ことを導くことができ,多角形においては,分解合同であることと補充 合同であることは同値となる。 L4節では,多面体に関する疑問を提示する。1899年,ヒルベルトは,著書の中で,“多角 形の面積は初等的な方法で得ることができるのに対し,多面体の体積は積分によって求めな ければならない”ことを主張した。翌年,パリで開かれた数学者の国際会議で,当時の数学 における23の未解決問題の第3問題として,“底面積と高さが等しい三角錐は分解合同であ るか”ということを提唱している。 2章では,“等積な正四面体と立方体は分解合同でない”というデーンの定理の証明にあ たる。デーンの定理により,ヒルベルトの第3問題は,否定的に解かれることとなる。 2.1節では,デーンの定理を証明する上で重要となる“加法的関数”を定義する。まず,ベ クトル空間上での“1次独立”や“1次従属”の概念を述べ,加法的関数を定義し,その性 質も述べる。. 2.2節では,ハドヴィゲールの主張について考察する。ハドヴィゲールは,等積な多面体 が分解合同であるための必要条件(ハドヴィゲールの定理)を示した。このハドヴィゲール の定理は,加法的関数によって定められる“多面体における不変量”の概念を導入すること によって得られる。. 2。3節では,ハドヴィゲールの定理を用いて,デーンの定理を証明する。. 2.4節では,等積な多面体における分解合同と補充合同の同値性を考察する。多角形に関 しては,ボヤイ幕ゲルヴィンの定理によって,等積な多角形が分解合同であることと補充合 同であることの同値を容易に示せたが,等積な多面体においては,ボヤイ=ゲルヴィンの定 理と同様の定理が成り立たないため,多角形のときと同様の議論ができない。しかしながら, シドレールが証明した別のアプローチによって,等積な多面体においても,“分解合同であ ることと補充合同であることが同値である”ことが示される。 3章では,ハドヴィゲールの定理の必要条件が,十分条件でもあること(デーン=シドレー ルの定理)を示す。証明については,本論文のテーマの1つである“はさみ合同群”という 概念を導入し,証明にあたっている。 3.1節では,多面体に関して,はさみ合同群という群の概念を定め,その諸性質について 述べる。実は,はさみ合同群に関する考察は,多面体の分解合同性に関する考察とほぽ等価 である。. 3.2節では,シドレールによる,“デーンニシドレールの定理の証明における幾何学的な部 分”の考察について述ぺる。シドレールが主張した補題については,3。1節で定めたはさみ 合同群の概念を適用している。 3.3節では,イェッセンによる,“デーン篇シドレールの定理の証明における代数的な部分” の考察について述ぺ,さらに,多面体における“独立”の概念を定義し,証明に必要な加法 的関数を準備し,デーンニシドレールの定理を証明する。 3.4節では,デーン不変量という概念について述べる。このデーン不変量を用いると,デー. 2.
(4) ン=シドレールの定理をより代数的にとらえることができる。 以上が,本論文の構成内容である。 最後に,この論文を作成するにあたって,貴重な御時問を割いて頂いた上,懇切丁寧に御 指導して下さった濱中裕明先生に,この場を御借りして,心から御礼申し上げます。また, 研究の環境を整え,御指導下さった兵庫教育大学数学教室の諸先生方に,心から感謝を表し たいと思います。. 3.
(5) 目次 序 文. 1. 1章. 基礎概念と多角形の分解合同. 5. 1.1. 基礎概念.........,. ,. . 5. 1.2. 面積,体積 ..,。..........。.。..... .. . 6. 1.3. 多角形の分解合同....,....,... , ,. 。 9. 1.4. ヒルベルトの第3問題 .....。....,. . 12. 2章. 多面体と分解合同. 14 14 18 22 26. 2.1. 加法的関数 .....,............... 2.2. ハドヴィゲールの定理.,。.....,....... .. 2.3. デーンの定理.................。.... 2.4. 分解合同と補充合同の同値,.,,.,...、..。. .. 3章. デーン=シドレールの定理. 3.1. はさみ合同群.,.,.,.... 33 33. 3.2. デーン濫シドレールの定理(1)幾何学的準備一。.. ,. . 38. 3.3. デーン=シドレールの定理(2)一証明の代数的部分一.、. . 50. 3.4. デーン不変量.。................... ψ .. . . 61. 4.
(6) 1章 基礎概念と多角形の分解合同 まず,この章では,等積な多角形の分解合同性について考察する。 分解合同な2つの多角形が等積であることはすぐに明らかとなるが,ボヤイとゲルヴィン は,逆も成り立つこと(ボヤイ箒ゲルヴィンの定理)を示した。すなわち,等積な2つの多 角形は分解合同である。 この事実を述ぺるにあたって,始めに,基礎となる概念を準傭する。なお,基礎概念を準 備するために用いる概念については,明確な定義を行わず,既知であるものとみなして論を 進める。. 1.1 基礎概念 図形の合同を述べるに際し,まず,多角形,多面体を次のように定義する。. 定義1.1以下,半平面,半空間は境界を含むとする。平面の部分集合のうち,有限個の半 平面の共通部分で表される有界な集合で,内点を持つものを凸多角形という。また,3次元 空問の部分集合のうち,有限個の半空問の共通部分で表される有界な集合で,内点を持つも のを凸多面体という。. このとき,有限個の凸多角形の和集合を多角形といい,有限個の凸多面体の和集合を多面 体という。. 初等幾何等,幾何学においては,下で述べる合同な2つの多角形(多面体)をr同じもの」 とみなすことが多いが,本稿では多角形(多面体)を平面(空闘)の部分集合として考え,集 合として等しいときにのみ等号で結ぶ。つまり,多角形(多面体)FとF’にっいて,F=P とはF⊂F’かっF⊃F’ということである。 また,次の記法を用意する。これは,多角形の分解の定理である。 定義1.2平面内(空間内)の有限個の多角形(多面体).A1,、42,…,、4mにおいて,どの2っに ついても共通の内点が存在しないとき,ム,・42,…,砺の和集合を・41+・42+一・+・4mと表し, 多角形(多面体)A,。42,…,、4mの和とよぶ。また,逆に,このとき,且は、41+/12+…+!瓜”、. に分解されるという。. 多角形と多面体については,次のことが成り立っ。. 5.
(7) 定理1.3任意の多角形は,いくつかの三角形の和で表せる。また,任意の多面体は,いく つかの四面体の和で表せる。. 証明 直感としては明らかと思われるので,多面体についてのみ,概略を示す。多面体が 凸多面体でなければ,多面体の各面を含む平面で多面体を切断し,有限個の凸多面体に分け. る。凸多面体の内部に1点0をとると,凸多面体は0と凸多面体の各面で出来る角錐の和 である。また,角錐は有限個の四面体に分けられる。詳しくは囚を参照。 田 ここで,以下のことを定義する。. 定義1.4ユークリッド平面(空間)において,ユークリッド平面(空問)からそれ自身への 写像で,2点間の距離を変えないものを合同変換という。 2つの多角形(多面体)Fと.F,は,ある合同変換によって一方が他方の像となるとき,合 同であるといい,F≡.F’と書く。. ここで,多角形(多面体)に関し,次に述ぺる2つの関係を導入する。これらは本稿の中 心となる概念である。. 定義1.52つの多角形(多面体)FとFノにおいて,Fは多角形(多面体)且,瑞,…,瑞 の和で表され,.F’は多角形(多面体)Q1,Q2,…,Q腕の和で表されるものとする。このと き,鳥……軌であるならば,Fと.F’は分解合同であるといい,F£F’と表す。. また,互いにない点を共有せず,B…≡軌となる多角形(多面体)鑑,(∼盛(1≦乞≦m)が あって,FとR,ろ,…,瑞の和が,F’と(∼1,(ゐ,…,Q肌の和と合同になるならば,Fと .F’は補充合同であるといい,.F£F’と表す。. 1.2 面積,体積 この節では,多角形,多面体における面積,体積の概念を導入したい。 初等幾何においては,1辺の長さが1である正方形の面積を単位面積とし,一般に,多角. 形Fの面積は,Fを構成している単位面積の数としている。ところが,この面積の概念で は,単位面積だけで構成されない多角形の面積を表すことに支障をきたすおそれがある。そ こで,より正確な面積の概念を得るために,まず次のものを定める。 定義1。6平面の¢,紗座標軸をひとつ固定すると,平面全体は{(偲,ッ地≦T≦¢+1,ゴ≦“≦. ゴ+1}(乞,ゴ∈Z)という単位正方形に分割される。この分割のことを0番目のモザイクと. よぶことにする。さらにこれらの正方形を,各辺を10等分する点を通る,辺に平行な線分 で100個の合同な正方形に分割するとより細かい分割が得られる。この分割を1番目のモザ イクとし,以下この操作を繰り返して,κ番目のモザイク(κ薫0,1,2,…)を定義する。. ここで定めたモザイクを用いて,面積を定義する。まず,平面のの,Ψ座標軸をひとつ固定. し,この座標平面上に0番目のモザイクを固定する。Fを平面上の多角形とし,Fは娠個. 6.
(8) (κ=0,1,2,…)のん番目のモザイクの正方形を含み,砺個のκ番目のモザイクの正方形と 共通部分をもつものとする。. 補題1。7拳と撫は,κが限りなく・oに近づくとき,それぞれある実数値に収束する。 証明 どの鳶番目のモザイクの正方形も,100個の(κ+1)番目のモザイクの正方形を含 んでいるので,.Fは100娠個以上の(κ+1)番目のモザイクの正方形を含み,100砺個以下の (ん+1)番目のモザイクの正方形と共通部分をもつ。つまり, αん+1≧100ακ,δκ+1≦100わ鳶. である。これを102(纏1)で割ると, α1 α角 砺 61. αo≦匝≦…≦癖≦…≦歴≦…≦弼≦わ・ となり,拳と爺はそれぞれ単調増加、単調減少な有界数列なので,収束する。 一 ここで,. 砺 δκ. 、無解=亙(F)・綴蘇訟筥(F) とする。. 定義1.8上の前提において,砺≦砺より,皇(F)≦吾(F)であるが,£(F)と吾(F)が一致する. とき,Fは可測であるといい,このとき,£(F)=宮(F)となる数を,Fの面積とよび,3(F〉 と表す。. 本来は,Lebesgue測度等の測度論をもちだすべきだが,本稿では多角形,多面体の面積, 体積しか扱わないので,上のような定義で論を進める(Jordan測度)。 さて,上の定義において,次の命題が成り立つ。 命題1.9可測性や面積は,座標軸を移動させたり,モザイクを変えたりしても変化しない。 命題1.10多角形はすべて可測である。 これらの証明は[11を参照して頂きたい。. 命題1.11面積は次のような基本的性質をもつ。 ・.Fを多角形とすると,s(F)≧0である。 ・Fと.F’を,内点を共通しない多角形とすると,F+F’も可測で,5(F+.F’)=3(F)+3(F’). となる。 ●.Fを多角形,F’をFを合同変換で移したものとすると,.F’も可測で,5(F)竃s(F’)と. なる。. 7.
(9) ●単位正方形gは可測で,5(g)=1である。 この基本的性質についての証明は,国を参照して頂きたい。 体積の概念に関しては,面積の概念との類比によって導入することができる。すなわち, 3次元のモザイクとして空間の立方体への分割を考えればよい。ar,紗,之直交座標系を固定すれ. ば平面の讐毒,Ψ=藩,∼=毒 (p,g,7∈Z)により,空間は立方体に分割される。 この分割を,κ番目のモザイクとする。. 体積は,面積と同様にして,次のように定義できる。. 定義1.12Fを多面体とし,硫個の海番目のモザイクの立方体を含み,砺個のκ番目のモザ イクの立方体と共通部分をもつものとすると,恭と撫は,κが限りなく・。に近づくとき 収束し,. ακ 砺. 無駆二璽(F)・無癬一万(F) とおける。娠≦砺より,皿(F)≦双F)であるが,皿(F)と双F)が一致するとき,Fは可測 であるといい,このとき,里(F)=万(F)となる数を,Fの体積とよび,η(F)と表す。. 体積についても,命題1.11と同様の4つの基本的性質がいえる。 また,多面体についても,多角形と同様の命題が成り立つ。. 命題1.13多面体の可測性および体積は,座標軸を移動させたり,モザイクを変えたりして も変化しない。. 命題1.14多面体はすぺて可測である。 証明は[1】を参照して頂きたい。. 以上の結果,次のことがいえる。. 命題1.152つの分解(補充)合同な多角形(多面体)は,等積である。すなわち,面積(体 積)が等しい。. 証明多角形(多面体)は可測なので,面積(体積)の基本的性質(命題1.11)によって,命. 題は明らかに成り立っ。 贋 この事実に基づくものとして,分解法や補充法という面積(体積)の計算法があり,ある 多角形(多面体)を簡単なものにつくり変え,面積(体積〉を求めることができる。例えば,. 三角形や平行四辺形の面積は,次節で述べるように長方形の面積に帰着され,また,命題 L11を用いると,長方形の面積は垂直な2辺の長さの積であることを示せる。 さて,上の命題で述べたように,2つの分解(補充)合同な多角形(多面体)は,等積で ある。では,その逆はどうか。すなわち,等積な多角形(多面体)はすぺて,分解合同(補 充合同)だろうか。この問題に対して,まず多角形に関する解答を,次の節で述ぺたい。. 8.
(10) 1.3 多角形の分解合同 等積な多角形がすべて分解合同であるという肯定的な解答は,1832年にファルカッシ・ボ ヤイ,および1833年にゲルヴィンによって,ほとんど同時に与えられた。このボヤイ=ゲル ヴィンの定理を述べるにあたって,まず,いくつかの補題を準備したい。. 補題1.163つの多角形み,β,0に対して,孟とβが分解合同であり,またβと0が分解 合同であれば,Aとσも分解合同である。 証明ハとBは分解合同であるから,Bを多角形α1,α2,…,砺の和で表し,減はそれぞれ α1,α2,…,砺と合同なα1,,α2’,…,α物’の和と表すことができる。また,Bと0も分解合同ゆえ,. Bを多角形C1,02,…,偏の和で表し,σはそれぞれC1,e2,…,免と合同なC1’,C2’,…,C鵬’ の和となる(図1.1参照)。. このとき,Bは砺∩cゴ(1≦歪≦π,1≦ゴ≦m)の和となる(これらのうちのいくっかは 空集合かもしれない〉。また,婦はα抑¢1,…,α抑偏のそれぞれと合同な多角形の和で表 されるから,A編α1’+…+α箆’より,44はα琶∩cゴのそれぞれと合同な多角形の和となる。同. 様に,0もα¢∩cゴのそれぞれと合同な多角形の和となるので,Aと0は分解合同である。1. A di㌧. B. α2’. B α・.9c. ρ62 1∩C. α2∩C1. C 1. C2. 図1.1:多角形、4,B,0の分解合同性. 補題1.17すべての三角形に対し,分解合同となる長方形が存在する。. 9.
(11) 証明まず,任意の三角形孟Bσの最大辺をABとし,0からそれに下ろした高さをOPと する。このとき,点0は辺AB上にある。そうでないとすれぱ,∠且,∠Bのいずれかが 鈍角となり,ハβが最大辺でないことになって,矛盾が生じる。 次に,(7∠)の中点Fを通ってハβに平行な直線を引き,0ハ,Bσとの交点をそれぞれE,σ とする。また,孟とβからその直線に垂線を下ろし,その足をそれぞれE,1とする。(図. 1。2参照)。このとき,△且41丑…△EOF,△σB1……△σ0,Fとなるので,長方形14EIB は,三角形A80と分解合同である。. C G. H E iF. 1. A D B 図1.2:三角形と長方形の分解合同. 璽. 補題1.18底辺を共有する2つの平行四辺形が等積ならぱ,それらは分解合同である。. 証明平行四辺形ABσ.0をP,平行四辺形・4.8EFをP’とおく。PとP’は,底辺・4Bを共 有し,高さが等しいものとする。このとき,辺POとEFは同一直線上にある(図1.3参照)。 り 次に,gを孟B方向に長さAθ平行移動させる合同変換とし,g¢(乞∈Z)はgを乞回行う ものとすると(ただし,¢が0のときは恒等変換,負のときはgl重1の逆変換とする),任意 の整数κ,η,鵬に対し,gη(P)∩gm(.P’)とず+あ(P)∩gm+尭(P’)は合同である。よって,Pは. ΣlP∩g一κ(Pノ)であることから,Σ)g尭(P)∩go(P’)と合同である。go(P’)はP’を表してお. り,P’はΣgκ(P)∩.P’であることから,.PとP’は分解合同である。. D. C F. E. , 臼 、 ロ , ゆ 甲 甲 甲 ゆ . , F , 一 、. A B 竃→ 図1.3:等積な平行四辺形の分解合同性. 羅. 10.
(12) 補題1.19等積な2つの長方形は分解合同である。 証明 等積な2つの長方形を、4BσP,EF(7Hとし,辺.AB,β0,EF,.F(7の中で長さが最 大のものを、4βとする。点Eを中心とする半径。4.Bの円と,半直線(7∬との交点を図1.4 ウ のようにとりLとする。次に,直線LH上にLK=EFとなるように点κをとると,四角. 形EFKLは平行四辺形となり,長方形E.Fσ丑と等積で,高さが等しい。長方形EF(7Hと 平行四辺形EFKLは辺EFを共有しているので,補題1.18より,分解合同である。また, A8=LEより,長方形・4β0.0を合同変換して,長方形.4Bα)と長方形EFκLは底辺LE (躍湾β)を共有し,高さが等しいとしてよい。よって,補題1.18より,これらも分解合同 である。したがって,補題1.16より,長方形。4BσPとEF(7Hは分解合同となる。. A. B. K噂. C. L﹃. D. E. F. 図1.4:等積な長方形の分解合同性. 6 補題1.20すべての多角形に対し,分解合同となる長方形が存在する。. 証明Fを任意の多角形とすると,定理1。3より,Fを有限個の三角形に分解でき,それら の三角形にδ1,δ2,…,δηと記号をつける。次に,長さ1の線分孟Bをとり,点且,βからそ れぞれ垂線σ。4,Dβを立て,δ1と長方形。4ββ1、41,δ2と長方形。41β1β2煮2,…,δηと長 方形!窪η_1B物一1&砺が等積になるように,140上に点z41,.42,…,,.砺,β0上に点β1,β2 ,…. Bηをとる。また,各長方形ん_1B¢一1B諺Al(づ竺1,2,…,η)にR1,R2,…,Rηと記号. をつけ,長方形R1+R2+…+塩をHとおく(図1.5参照)。補題1.16,1.17,1.19より, δ1とR1,δ2とR2,…,δ。と馬はそれぞれ分解合同である。ゆえに,Fと11は分解合同 である。. ] 以上の補題から,ボヤイ=ゲルヴィンの定理が成り立っ。. 定理1.21等積な2っの多角形は分解合同である。. 証明FとHを任意の等積な多角形とすると,補題L20より,Fに分解合同な長方形孟と ∬に分解合同な長方形Bがとれる。長方形且とBは等積なので,補題1.19より,長方形ハ とβは分解合同となる。したがって,補題1.16より,多角形FとHは分解合同である。 睡. また,等積な2つの多角形が補充合同であるかどうかを考えたい。この問いに関する肯定 的な解答も,ボヤイ=ゲルヴィンの定理によって得られる。. 11.
(13) D. C δ5 .δ4. R5. ’δ亀.. 塙 R3 R2. ・・...δ2. δ1 、、脅.. R1. A. B. 図1.5:多角形と長方形の分解合同性. 定理1.22等積な2つの多角形は補充合同である。. 証明孟とβを任意の等積な多角形とする。多角形減,βは有界であるので,それぞれ合同 な正方形FとF’に含まれているものと仮定できる。次に,ハ+0=F,β+D鎧.F’となる ように多角形0,Pをとると,0とPは明らかに等積である。ゆえに,ボヤイ=ゲルヴィン. の定理より,0とDは分解合同となり,0とPは合同な部分の対に分解できる。また,正 方形FとF’は合同であるから,多角形ハとβは補充合同であるといえる。 覇 以上,多角形に関して,命題1.15の逆は成り立つことが判明した。すなわち,等積な2つ の多角形は分解合同,かつ補充合同である。. 1.4 ヒルベルトの第3問題 では,多面体に関してはどうだろうか。等積な2つの多面体は分解合同であろうか。いい かえれば,空間においても,ボヤイ=ゲルヴィンの定理と似たような定理が成り立つだろう か。それが本論文のテーマである。. ヒルベルトは,平面の多角形の面積公式は簡単な分解合同性により説明されるのに,三角 錐の体積の公式は積分を用いて証明されることに気づき,底面積が等しく高さが等しい2っ の三角錐は分解合同であるか,という問題(ヒルベルトの第3問題)を提唱した。 もし上のヒルベルトの第3問題が肯定的に解かれれば,与えられた三角錐は同じ底面を 持ち高さが3分の1の三角柱と分解合同であることが示される。実際,三角柱・4βα4’B’σ’ は3つの三角錐。4’一盈BO,/1’一βノBσ,Aノーβノぴ0に分解することができるが,3っの 三角錐はそれぞれ他の三角錐と底面積と高さが等しい。よって,ひとつの三角錐。4’、4.BO を3つ並べたものと分解合同となる。これにさらに第3間題の肯定的解決を適用すると,図 1.6のように三角錐、4’一A80の高さを3倍にしたものと分解合同となるからである。 さらに,ヒルベルトの第3問題が正しいとすると,任意の2つの等積な多面体は分解合同 となる。実際,任意の多面体は四面体の和で表せることをすでに示したが,上に述べたこと. 12.
(14) C’ A’ B’. C、・…. A B 図1.6:三角錐の体積. を使えば,四面体は等積な三角柱と分解合同となり,後の章で述べるように,等積な斜角柱 はすべて分解合同となるので,補題1.20の証明と同様に,単位正方形を底面とする四角柱と 分解合同となる。. すなわち,ヒルベルトの第3問題は,等積だが分解合同でない多面体の存在が示されると, 否定的に解決される。. 13.
(15) 2章多面体と分解合同 空閥においては,ボヤイ=ゲルヴィンの定理と同等の定理は成り立たない。つまり,等積 であっても分解合同でないような多面体が存在する。この事実の証明は,1901年,ドイツの 数学者デーンによって初めて与えられた。デーンは,等積な立方体と正三角錐(正四面体) が分解合同でないこと,すなわち,ヒルベルトの第3問題に対する否定的解答を示した。 この章では,第2節で述ぺるハドヴィゲールの定理を基に,デーンの定理を証明したい。. 2.1 加法的関数 デーンの定理の証明には,スイスの幾何学者ハドヴィゲールの着想が用いられている。ハ ドヴィゲールの提示した定理を述べるに先立ち,いくつかの概念を導入する。導入上の便宜 を図るため,以下,有理数の集合をQ,実数の集合を醜と表す。. 定義2.1γをQ上のベクトル空間とする。 このとき,Vの元の1,範,…,翫が1次独立であるとは,有理数α1,α2,…,απに対して,. α1劣1+α2¢2+…+απ翫=0 であれば,. α1=α2=…;αη=0 であることをいう。. また,Vの元紛,¢2,…,賑が1次従属であるとは,0でない数を含む有理数α1,α2,…,αn に対し,. α1z1+α2灘2+…+απ翫二〇 をみたす有理数α1,α2,…,砺が存在することをいう。. 定義2.2γをQ上のベクトル空間とし、θをγの部分集合とする。 このとき,SがVを生成するとは,Vの任意の元αに対し, α=α1Z1十α2欝2十…十αηのπ. と表せることをいう。ただし,α1,α2,…,απは有理数で,町,¢2,…,蹴はSの元である。. 14.
(16) 上の式において,. α1灘1÷α2の2十…十αη翫 のように表したものを¢1,鋤,…,妬の1次結合という。. また,3がVの基底であるとは,Sがγを生成して,3が1次独立であることをいう。 ここで,Sが有限集合とは限らないことに注意する。 定義2.3γをQ上のベクトル空間とし,Sをγの部分集合とする。このとき, くS〉ニ{α、¢1+α2¢2+…+αη矧砺∈Q,窺∈3,乞=1,2,…,π}. を考えると,〈S〉はγの部分ベクトル空間となり,〈3〉をSの生成する(γのQ上の)部分 ベクトル空間という。. 定義2.4yをQ上のベクトル空間,Sをγの部分集合とする。このとき,yの元μに対し て,ッがSと独立であるとは,ッは〈S〉の元でない,すなわち,. α1¢1+α2∬2+…+απ翫+〃=0 となる有理数α1,吻,…,砺,およびSの元¢1,¢2,…,3rπが存在しないことをいう。. また,γの元yに対して,gがSに従属であるとは,ッは〈3〉の元である,すなわち, α1の1+α2¢2+…+απ劣η+Ψ讐0 をみたし,0でない数を含む有理数α1,α2,…,砺が存在することをいう。. ここで,飛をQ上のベクトル空間とみなす。実際,IRには加法があり,有理数倍が自然に 定義されるので,Q上のベクトル空間となる。. 定義2.5醜をQ上のベクトル空間と考え,Sを飛の部分集合とする。このとき,3からR、 への写像ノが加法的であるとは,Sの任意の元z1,物,…,コrη,任意の有理数α1,α2,…,砺に 対し,. α1¢1+α2¢2+…+αη∬π=0 であるならば, α、ノ(必、)+α2ノ(の2)+…+α物∫(zη)漏0. となることをいう。また,このとき,∫:θ→麗を加法的関数という。. 加法的関数については,次のことが成り立っ。. 定理2.6定義2.5において,∫が加法的であれば,∫を〈S〉から鼠への有理数係数の線形写 像に拡張できる。また,∫を〈S〉からIRへの有理数係数の線形写像に拡張できるのであれば, ∫は加法的である。. 15.
(17) 証朋 まず,前者の命題を証明したい。. ∫:S→Rを〈S〉上の加法的関数とし,その拡張∫1〈S〉→Rを次のように定める。すな わち,(3〉の任意の元のを,有理数α1,α2,…,αη,およびSの元31,82,・一,3πによって,. ¢=α151十α252十…十απ3π と表し,. ∫(劣)=α1∫(3、)+α2∫(52)+…+αη∫(8π) とおく。. このとき,. 3r=α131+α232+…+α物3η=6131+わ232+…+わη8η. と2通りに表せるのであれば, (αrδ・)3、+(α2一δ2)82+…+(αバ6物)5魏=0. となるので,∫は加法的であるから, (αrわ1)∫(3・)+(α2舶2)ノ(32)+…+(αバ6箆)∫(5π)=0. である。ゆえに, α・ノ(ε・)+α2∫(52)+…+αη∫(5η)=6・ノ(8、)+α2∫(52)+…+6ηノ(5物). となるため,ノはwel1.de丘nedである。. また,〈3〉の別の元gを. ツ=C131+C252+…+C悔8性 とすると(c1,c2,…,cπ∈Q), ∫(劣+ッ)二(α・+C、)∫(3、)+(α2+の)∫(32)+…+(αη+ら)∫(ε脆) ∫(の+∫(〃)=α・∫(ε・)+α2∫(82)+…+αη∫(ε九)+C・ノ(81)+C2/(S2)+…+Cη∫(Sπ). より,ノ(の+“)諾∫(劣)+∫(ッ)が成り立つ。さらに,〈S〉の元の,任意の有理数をκに対し, ん劣一κ(α・8・+α252÷…+αη5π)一(κα・)3・+(κα2)32+・阜・+(砿)3π より,. ∫(κコ9)=煽∫(5・)+κα2∫(82)+…+繊ノ(5η)=鳶∫(T). となり,ノ(肋)=κ∫(z)が成り立っ。ゆえに,∫:〈S〉吟聡は線形である。. 次に,後者の命題を証明する。Sの元81,32,…,3η,有理数α1,α2,…,砺に対し,. α131+α2ε2+…+α鴨5πニ0. 16.
(18) と仮定すると,このとき,∫:〈S〉→飛は線形であるので, ∫(α・3・+α282+…+αη8π)=0 であり,. α、∫(51)+α2∫(82)+…+απ∫(5η)=0. となることから, α1∫(31)+α2ノ(ε2)+…+αηノ(3鳴)=0. 1. が成り立つので,∫は加法的である。. 定理2.7Sを飛の有限部分集合,7をRの元とし,加法的関数!:θ→Rをとる。このと き,∫の拡張で,. ∫’:SU{7}→R となる加法的関数が存在する。. 証明Sの元をα1,α2,…,απとし,2つの場合に分けて考える。. まず,ッがSとQ上独立であるとき, α1α1+α2α2+…+απαπ+’γ=0 となるQ∋α1,α2,…,砺が存在しないので,∫ノ(ッ)としては,任意の実数がとれる。. 次に,ッがSにQ上従属であるとき, δ1α1十煽α2十・一十わπαπ十7・=0 (2ユ). となるQ∋δ1,δ2,…,6η,S∋α1,α2,…,απが存在するので, ∫’(’γ)=一{わ1∫’(α1)十62∫’(α2)十・一十6πノ’(απ)} (22). と定める。このとき,Q∋01,C2,…,妬,ひ,3∋α1,α2,…,砺に対し, c1α1十c2α2十… 十cπαη十6ッ篇0 (23). と仮定すると,(2.3)から(2,1)を6倍したものの差をとると, (¢rわわ1)α1+(02一わδ2)α2+…+(cバδひπ)α犯富0. となり,α1,α2,…,απについて従属関係が成り立つので, (c・一6わ、)∫ノ(α、)+(・2−6わ2)∫’(α2)+…+(砺一わδπ)ノノ(απ)=0. が得られ,これに(2.2)を用いると, c・∫’(α・)+・2∫’(α2)+・・◎+妬∫’(α篇)+げ(ッ)富0. が成り立つ。したがって,ノ’は加法的である。 1 ここではSを有限集合にしたが,Sが有限でなくても同様の証明ができる。. 17.
(19) 系2.8Sを聡の部分集合,ッ1,γ2,…,㌔を璽の元とし,加法的関数∫:S→飛をとる。こ のとき,∫を拡張し,. ∫’:Su{7、,ツ2,・. ・・. γη}→聡. となる加法的関数が存在する。. 1. 証明 定理2.7をπ回用いれぱよい。. 2.2 ハドヴィゲールの定理 前節の加法的関数を用いて,多面体に不変量を導入する。 定義2.9任意の多面体Pの各辺における内側の二面角を孤度で表したものをα1,α2,…,偽と し,ε1,ε2,…,ε陶をそれらの二面角に対応する辺の長さとする。また,S(⊂盈)はα1,α2,…,偽,π. を含むものとし,加法的関数∫:S→Rで,ノ(π)=0となるものをとる。このとき, ♂、∫(α、)+♂2ノ(α2)+…+Zκノ(α為). を∫で定まる多面体Pの不変量といい,∫(P)で表す。. この概念を用いて,ハドヴィゲールは以下のような興味深い主張をしている。 定理2.10等積な2つの多面体をパ,Bとし,多面体ハのすべての二面角の大きさをα1,α2,…,. 飾,多面体Bのすぺての二面角の大きさをβ1,β2,…,底とする。また,∫(π)=0をみたす. 加法的関数 ノ:{α1,α2,・一,απラβ1,β2,一・,β海,π}→R. をとる。. このとき,多面体A,Bに対し,AとBが分解合同であれば, ∫(み)=ノ(β). となる。. このハドヴィゲールの定理を証明するにあたって,以下の概念を準備し,それに関する補 題を1つ述べておきたい。 定義2.11任意の多面体みをとる。多面体君をいくつかの多面体M1,鯉2,…,鱗に分解し, 多面体・4,ハ41,ハ42,…,砥の頂点,および辺が互いに交わってできる点で孟,ハ41,偽,…,砥. の辺を分割すると,有限個の線分が得られる。この線分を鎖と呼ぶ。また,多面体孟の辺を 構成する鎖を且の鎖,多面体妬(¢=1,2,…,κ)の辺を構成する鎖を多面体鵬の鎖とい う。(もちろん,ハの鎖であり,かつ妬の鎖となるものもあり得る。). 18.
(20) さらに,Sを・4,M1,偽,…,M舟のすべての二面角の角度を含む聡の部分集合とし,∫(π)=. 0をみたす加法的関数∫:S→!Rをとる。.4の鎖を1つとり,その長さをmとし,その鎖に 対応している且の二面角の大きさを孤度で表したものをαとする。このとき,積m∫(α)を 、4におけるこの鎖の重みという。多面体妬における重みも,Mlにおける二面角を用いて同 様に定義する。. 補題2.12任意の多面体且をとり,多面体且を多面体M1,M2,…,Mたに分解し,多面体 ・4,M1,砺,…,M陀のすべての二面角の大きさを孤度で表したものをα1,α2,…,απとする。 このとき,∫(π)=0をみたす加法的関数 ノ:{α・,α2,…,αη,π}→R. をとると,各多面体に対する不変量!(パ),ノ(ハ41),∫(鰯),…,∫(礁)は, ノ(且)一ノ(M、)+∫(M2)+…+ノ(鱗). をみたす。. 証明ハのハ41,M2,…,砥への分割と∫を用いて,定義2.11の鎖とその重みを考える。多 面体且における長さ♂1の辺は,多面体M1,鰯,…,砥の鎖のうちのいくつかの鎖でできて おり,その長さをそれぞれm1,m2,…,mpとする。このとき,これらの鎖はすべて同じハの 二面角が対応しているので,対応するハの二面角の大きさをα1とすると,これらの鎖のハ における重みに対し, 恥!(α・)+㎜2!(α・)+…+窺P∫(α・)寓(m・+鵬2+…+mp)∫(α、)一」、∫(α、). が成り立つ。多面体みの他の辺についても同様のことが成り立つので,多面体孟のすべて の(、4における)鎖の重みの和は,不変量ノ(孟)に等しいことがいえる。. 一方,多面体ルf1,ハ42,…,砥についても,同様にして,各多面体の不変量は,各多面体 の鎖の重みの和に等しいことがいえる。それゆえ,多面体ハのすべての鎖の重みの和と各多 面体M1,鰯,…,颯のすぺての鎖の重みの和を足し合わせたものが等しくなることを示せ ばよい。. 多面体M1,鰯,…,Mκにおいて,任意の鎖を1つとり,その長さをm、,とする。この長さ 晦の鎖はいくつかの多面体雌、,砥、,…,妬.の辺に属するので,それに対応する二面角の 大きさをα信1,α信2,…,α¢、とすると,この鎖の雌1,砥2,…,雌、における重みの和は, ?砺ノ(α諺、)+晦∫(α歪2)+…+晦∫(α¢、). となる。そこで,この鎖の重みの和を求めたい。以下,記号を簡略化するため,α歪1,偽、,…,αも をッ1,ッ2,…778と表す。. 多面体ハ41,筋,…,砥の任意の鎖は,多面体孟において,次の5つのいづれかであると 考えられる。. 19.
(21) ●まず,鎖が多面体且の内部に含まれていて,線分mのを部分集合として含む多面体の それぞれが,この線分を鎖としてもっているならば(図2.1の左),鎖に対応する二面 角の総和は,. 71十ノγ2十・一十ノγ8==2π となり,∫はカロ法的だから,. ∫(ッ1)+∫(72)+…+∫(7、)一2∫(π)諏0 が得られる。よって,ノ(π)=0より,. mm∫(71)+晦∫(γ2)+…+%ノ(γ、)=0 となる。. ・鎖が多面体ハの内部にあって,線分砺を部分集合として含む多面体のうちの1つが m。を面上にもち,残りのものが鎖としてもつのであれば(図2.1の右),このとき,鎖 に対応する二面角の和は,. ’γ1+’γ2+…+ノγ8==π となる。ゆえに,上と同様に,m皿∫(71)+m、ノ(72)+…+砺∫(7.)=0が得られ,い. ずれの場合にも多面体且の内部に含まれている鎖の重みの和は,0である。. A A. R. 左図は鎖に垂直な平面で 切った切り口であり,. 鎖は1点Rで示されている。 図2.1:鎖が内部にある場合. ・次に,鎖が多面体且の面上にあるが辺の上にはないとき(図2.2),この鎖に対する二 面角の和は,. ’γ1+’γ2+…+’γ8==π. であり,この場合も,鎖の重みの和は0である。. ●さらに,鎖が多面体みの辺の上にあって,図2.3のような2つの場合を考える。この とき,線分窺。を部分集合として含む多面体のそれぞれがこの線分を鎖としてもって. 20.
(22) 図2.2:鎖が面上にある場合. いるのであれば(図2.3の左),この鎖が含まれるハの辺に対応する二面角の大きさを 砺とすると,鎖に対する二面角の和は, ’γ1+γ2+…+78=αω. であり,∫が加法的であることを用いると, ノ(7・)+∫(ッ2)+…+∫(78)=!(αω). が成り立ち, %∫(ッ1)+m¢ノ(72)+…+鵬¢ノ(ッ.)一恥ノ(αω). となる。すなわち,この場合の鎖の重みの和は,多面体、4における鎖の重みに等しい。. ●最後に,線分mのを部分集合として含む多面体のうちの1つが砺を面上にもち,残り のものがm¢を鎖としてもつのであれば(図2.3の右),鎖に対する二面角の和は,. ケ1+72+・一+78=αω一π となり,∫(π)=0なので,同様に, ∫(γ・)+∫(γ2)+…+∫(γ、)嵩∫(αω)ザ(π)=∫(α側). が成り立ち, 晦∫(7・)+m露∫(ッ2)+…+晦痴.)=晦ノ(α秘). となる。ゆえに,この場合の鎖の重みも,多面体孟の鎖の重みに等しい。 以上のことから,多面体ハ41,偽,…,A4κのすべての鎖の重みの総和は,多面体孟のすべ. ての鎖の重みの和に等しいといえる。 1 この補題を用いることで,ハドヴィゲールの定理を以下のように示すことができる。 証明 (定理2,10の証明). 多面体ハを多面体ルf1,ハあ,…,払に分解し,多面体βを多面体M1’,偽’,…,属’に分解す る。ただし,雌と雌’(¢篇1,2,…,5)は合同な多面体とする。また,多面体ハ41,鰯,…,!鴎. 21.
(23) R R. A. A. 図2,3:鎖が辺上にある場合. のすべての二面角の大きさを孤度で表したものを71,γ2,…,宰.とすると,嘱と砥’は合同 な多面体なので,多面体M1’,鰯’,…,砥’のすぺての二面角の大きさも71,ッ2,…,ッ.と表. すことができる。このとき,系2.8にしたがって,∫を拡張した加法的関数 ∫’:{α・,α2ラ…,απ伊β・,β2,…,β㌃,7、,γ2,…,%,π}→聡. をとる。. 多面体孟は多面体M1,Ml2,…,砥からつくられているので,補題2.12より, ノ,(孟)=ノ’(ハ41)+∫’(偽)+…+∫’(M3) となる。. 一方,多面体βについても,同様に, ノ’(B)諾∫ア(ハ41’)+ノ’(脇’)+…+∫’(颯’). が成り立っ。 雌と雌’は合同な多面体ゆえ,明らかに∫’(雌)=∫’(雌’)であるので,∫’(五)と∫’(β)は. 等しい。また,∫’はノを拡張したものなので,∫(煮)ニ∫(B)が得られる。 稠. 2.3 デーンの定理 前節で述べたハドヴィゲールの定理に加え,次の補題が成り立てば,デーンの主張(定理 2.14)が肯定される。. 補題2.13πを2より大きい自然数,mを1≦吼くηをみたす自然数とし,mとπは互い に素とする。次に,. cosψ瓢一 (2。4) π 22.
(24) となるよう幹∈Rlをとる。このとき,幹とπは整数比にならない。すなわち,. η1ψ+η2π=0 (2.5) となる整数η1,η2(η1=π2=0ではない)は存在しない。. 証明背理法で示す。 η1≠0としてよい。(2.5)が成り立つと仮定すると, 7毎1‘1ク== }7葛27r. より,π躍はπの整数倍となる。ゆえに,cosπ1ψは1あるいは一1となる。よって,0でな い任意の整数κに対し,cos如が1もしくは一1とならないことを示せばよい。 加法定理によって,次の2式が成り立っ。 c・s(た+1)ψ=c・s(加+幹). = COSκ幹COS¥〉一Sinん幹Sin甲. cos(ト1)幹=cos(柳一幹). =COS如COS幹+sinゆsi即 この2式の和をとると, c・s(齢1)ψ+c・s(κ一1)ψ=2c・sκψc・sψ. ル となるので,この式にcosψ篇一を代入すると, η. 2m c・s(充+1)ψニーc・s如一c・s(卜1)ψ (2.6) η を得る。. まず,πが奇数である場合,πと互いに素な整数偏を用いて,. α舟 c・s勧一漏 (2・7) % と表せることを数学的帰納法によって示す。 命題の仮定(2。4)より,mとπは互いに素なので,κ罧1のとき,(2.7)は成り立っ。また,. κ=2のとき,. 2 2m2一η2 c・s2ψ濡2c・s甲一1− 2 η. である。いま,整数のとッの最大公約数をgc4(コp,のと表すことにすると,. gc4(2m2一η2,物)一gc4(27η2,π)一1. 23.
(25) より,(2窺2一η2)とπは互いに素となり,(2.7)が成り立つ。次に,κ=p−1,p(園∋p≧2). で(2,7)が成り立つと仮定する。ただし,pは2以上の自然数とする。んニp+1のとき,(2。6) より,. 2mαP αP_1. c・s(P+1)ψ=万}7 2mαブπ2αρ一、. 桝1 を得,mとη,妬とη(奇数)がそれぞれ互いに素であるので, gc4(2mαグπ2αρ一、,π)一gcd(2伽ρ,η)一1. となる。すなわち,(2mαp一η2αp_1)とηが互いに素なので,κニp+1のときも(2.7)が成. り立つ。ゆえに,任意のκに対して,co就ψは(2.7)のように表せるので,1もしくは一1と ならない。. 次に,πが偶数である場合,ηは自然数7を用いてη=2㌦(んは奇数)と表せる。ここで, 皿は2,んと互いに素である。. 7=1と7≧2の2通りに分けて考える。まずT=1の場合,η>2,ん>1である。この とき,尭≧1において,んと互いに素な整数砺,eκを用いて,. わκ. co吻=認 (2・8) と表せることを数学的帰納法によって示す。 κ=1のとき,. 物 COS望=一 2ん であり,また,κ=2のとき,. 2 m2−2ん2 cos2ψニ2cosψ一1= 2ん2 となり,gcd(m2−2ん2,ん)=1より,鳶寓1,2において(2.8)が成り立つ。次に,κ=g−1,g. (g≧2)で(2。8)が成り立つと仮定する。κ=g+1のとき,. 窺わ9 δ争1 cos(9+1)ψニー一一 ん09ん9 Cg_1ん9}1 励gCg一・一δα一、Cqん2. CgCg_1融+1 となり,. gc4(励σCg一、一わ9一、Cgん2,ん)一9・4(励σCq一、,ん)=1. 9・d(cα・9一・,ん)=1. 24.
(26) より,充隷g+1のときも(2,8)が成り立つ。ゆえに,任意のκに対して,cos勧は(2.8〉の. ように表せるので,分母はんのべき乗を約数にもち,1もしくは一1とならない。 次に,γ≧2の場合,任意のκ≧1に対して,2,んと互いに素な砿を用いて,. δκ. c・吻謹2鳳+嚇 (2・9) と表せることを数学的帰納法によって示す。 κ=1のとき,. m η乞. COSψ冨一= η 2プー1+1ん であり,また,κ=2のとき, 2η%η急 η乞2一一22γ∼1ん2. cos2ψ=一一一1= η π 22r−1ん2 となり,god(m2−22γ}1ん2,ん)篇1より,κ=1,2において(2.9)が成り立つ(mは奇数であ ることに注意する)。. 次に,κ=g−1,g(g≧2)で(2.9)が成り立つと仮定する。ん;g+1のとき,. 2m δ9 δσ一・ c・s(9+1)ψ一τ2σ一9+・ん92(9一・)r一(9一1)+・ん9一・ mδザ22γ}2ん2わ¢一、 2(9+1)ず一(9+1)+1h,9+1. となり,励g−22㌍一2九2わg−Fδg+1とおくと,わg+1は奇数である。また,. gcd(励ザ22丁一2ん2ひq一、,ん)一gcd(励9,ん)一1. より,6g+1は2,んと互いに素ゆえ,κ薫g+1のときも(2.9)が成り立つ。よって,任意の 鳶に対して,cosκψは(2,9)のように表せるので,分母は2のべき乗を約数にもち,1もしく は一1とならない。 したがって,cosκ(ρは1もしくは一1にならない。 璽 ハドヴィゲールの定理と補題2。13を用いて,次のデーンの定理を示す。 定理2.14 (デーンの定理). 等積な立方体と正四面体は分解合同でない。. 証明正四面体A8σPをとり,頂点Pから面、4Bσに対して垂線を下ろし,その足をEと する。点Eは正三角形盈βσの重心となるので,直線.4Eと辺Bσとの交点をFとすると, Fは.BOの中点であり,線分4.Fは正三角形、4BOにおける中線となる(図2.4参照)。一方,. 線分PFは正三角形βOPにおける中線となるので,EF:.OF;EF:。4F=1:3となる。 また,14F⊥BO,PF⊥β0より,∠PFEが辺β0に対する二面角であり,その大きさを 1 ψとすると,COSψ富一となる。 3. 25.
(27) D. ○ .8、9・C Aち∴一』…璽,、.p.−Q.._甲驚. F E B 図2。4:正四面体。4Bσ、0. ここで,補題2.13を適用すると,整数η1,π2に対し,η1ψ+箆2π=0であれば,ηFη2=0. ガ となる。すなわち,幹とπは1次独立である。よって,ノ(π)蕊ノ(一)=0,ノ(ψ)ニ1となる加 2 ガ 法的関数∫1{π,一,妨→聡をとる。. 2 ここで,正四面体、4βOPをP,Pと等積な立方体をQとし,玖Qの1辺の長さをそれぞ れ♂,mとする。次に,丑Qが分解合同であると仮定し,上記のノに対してハドヴィゲールの 定理を適用させると,∫(P)=ノ(Q)が得られる。しかし,∫で定まる玖(∼の不変量はそれぞ. ヌ れノ(P)=6」ノ(ψ)=6‘,∫(Q)=12m(一〉=0であり,∫(P)=∫(g)であることに矛盾する。. 2 したがって,等積な正四面体と立方体が分解合同でない。 1. 2.4 分解合同と補充合同の同値 平面において,等積な2つの多角形に対し,分解合同であることと補充合同であることは, 定理1.21,1.22によって同値であるといえるが,その証明は等積と分解合同の同値性(定理 1.21)に大きく依存するものであった。しかし,空間においては,デーンの定理によって,等. 積であっても分解合同でない正四面体と立方体が存在するため,同様の証明は成立しない。 この問題に対しては,シドレールが次のような解決(シドレールの定理)を与えている。. 定理2.15等積な2つの多面体孟,βにおいて,ハとβが分解合同であることと,且とBが 補充合同であることは同値である。. 分解合同性から補充合同性を導くことは,それほど難しくはない。. 補題2。16等積な2っの多面体が分解合同であれば,それらは補充合同である。 証明仮定をみたす多面体且とβをとる。もし且,Bが共通部分をもつのであれば,どちらかの. 多面体を平行移動して,共通部分をもたないようにする。多面体ハを多面体M1,偽,…,燐 に分解し,多面体Bを多面体M{,蝿,…,M蔦に分解する。ただし,多面体砥と鰐(乞望. 26.
(28) 1,2,…,κ)は合同であるようにとる。次に,多面体ハとβを同時に内部に含む大きな多面. 体Mをとり,Mから、4,Bを取り除いた部分を輪とおく。このとき,. ハ4=A+輪+B = M1十鰯十…十砥十ル恥十β =・4+輪+1141+1%+…+1畷 であることから,多面体孟とβは補充合同である。. 1. シドレールの定理を証明するために,補題をいくつか準備する。 まず,斜角柱について考える。斜角柱は,分解合同に関して,たいへん良い性質をもって いる。. 補題2.17任意の斜角柱に対して,分解合同となる直方体が存在する。. 証明任意の斜角柱孟をとる。Aの側辺に垂直な平面で蓋を切り,ハを2つの多面体M1,偽 に分割する。M1,偽と合同な多面体をMl,端とし,超+嶋で表される多面体βを図2.5 のようにとると,Bは直角柱となる。ハの側辺の長さが小さく,孟の側辺に垂直な平面でハ を切っても上記の操作ができないときは,上記の操作ができるような十分な側辺の長さが得 られるように孟をいくつかの斜角柱に分解したのち,それぞれの斜角柱に対して上記の操作 を行って直角柱をとり,それらの直角柱の和をとると孟と分解合同な直角柱βが得られる (図2.5参照)。. A. B ,燭. 図2.5:斜角柱と直角柱の分解合同性. 次に,補題1.20より,直角柱βの底面Pに対し,分解合同な長方形Rが存在する。ゆえに,. PとRが分解合同となるように,Pを多角形E1,∬2,…,燐,Rを多角形研,瑞,…,瑞(璃 ……罵,¢=1,2,…,κ)に分解できる。また,Rを底面とし,Bと高さが等しい直方体を0とす. る。このとき,多角形∬1,H2,…,玩を底面にもち,高さがβと等しい直角柱7三,乃,…,五. にBを分割する。σについても同様に,研,瑞,…,罵を底面にもち,高さがσと等しい 直角柱裂,畷,…,塞に分割する。βとσは高さが等しく,また璃……璃ゆえ,鶉……写とな る。よって,βと0は分解合同である。したがって,!捷σは分解合同となるので,任意 の斜角柱に対し,分解合同な直方体が存在する。 巳. 27.
関連したドキュメント
名の下に、アプリオリとアポステリオリの対を分析性と綜合性の対に解消しようとする論理実証主義の
期におけ る義経の笈掛け松伝承(注2)との関係で解説している。同書及び社 伝よ れば在3)、 ①宇多須神社
総合的に考える力」の育成に取り組んだ。物語の「羽衣伝説」と能の「羽衣」(謡本)を読んで同
教育・保育における合理的配慮
Hungarian Method Kuhn (1955) based on works of K ő nig and
Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University...
□ 同意する □ 同意しない (該当箇所に☑ をしてください). □ 同意する □ 同意しない
3.角柱供試体の収縮歪試験値と解析値の比較および考察