• 検索結果がありません。

地域情報化の課題解決のためのネットワーク技術とその応用に関する研究 利用統計を見る

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "地域情報化の課題解決のためのネットワーク技術とその応用に関する研究 利用統計を見る"

Copied!
96
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

地域情報化の課題解決のためのネットワーク技術とその

応用に関する研究

山梨大学大学院

医学工学総合教育部

博士課程学位論文

2015

9

鈴木 新一

(2)
(3)

目 次

第1章 序論 1 1.1 背景 . . . . 1 1.2 目的 . . . . 2 1.3 本論文の構成 . . . . 3 第2章 多様な通信環境に対応した教育支援システムの必要性 5 2.1 はじめに . . . . 5 2.2 社会的必要性 . . . . 5 2.3 教育支援システムの必要性 . . . . 6 2.4 技術的な必要性 . . . . 6 2.5 おわりに . . . . 6 第3章 多様な環境に対応可能なICT教育サーバの開発 8 3.1 はじめに . . . . 8 3.2 これまでの研究 . . . . 9 3.3 関連研究 . . . . 9 3.4 遠隔授業のモデル . . . . 9 3.5 edutabシステム. . . . 10 3.5.1 システムの概要 . . . . 10 3.5.2 システムの機能 . . . . 11 3.5.3 実装 . . . . 12 3.5.4 実例 . . . . 12 3.6 評価 . . . . 14 3.6.1 実験環境. . . . 14 3.6.2 実験方法. . . . 14 3.6.3 実験結果. . . . 15 3.6.4 考察 . . . . 18 3.7 おわりに . . . . 19 第4章 HTML5技術を用いた仮想通信網構築手法 20 4.1 はじめに . . . . 20 4.2 edutabシステム構築上の課題 . . . . 21 4.3 提案モデル . . . . 22 4.4 通信方法の詳細 . . . . 23 4.4.1 通信方法. . . . 23

(4)

4.4.2 通信形態. . . . 24 4.5 実装 . . . . 25 4.6 評価 . . . . 26 4.6.1 実験環境. . . . 26 4.6.2 実験方法. . . . 27 4.6.3 実験結果. . . . 29 4.6.4 考察 . . . . 31 4.7 おわりに . . . . 35 第5章 HTML5技術を用いた仮想通信網上に構築した応用システム構築手法 37 5.1 はじめに . . . . 37 5.2 システム構築上の技術要件 . . . . 38 5.3 通信モデルの提案 . . . . 40 5.4 実装 . . . . 40 5.4.1 全体構成. . . . 41 5.4.2 仮想ネットワークの実装 . . . . 41 5.4.3 仮想ネットワーク通信の詳細 . . . . 42

5.4.4 Device ManagerとDevice Controller の実装. . . . 44

5.4.5 ソフトウエア構成. . . . 45 5.4.6 スキャン機能 . . . . 45 5.4.7 印刷機能. . . . 46 5.5 評価 . . . . 46 5.5.1 遠隔印刷の時間 . . . . 47 5.5.2 遠隔印刷方法の比較 . . . . 52 5.5.3 実験授業. . . . 52 5.6 本システムの利用環境に関する議論 . . . . 58 5.7 おわりに . . . . 59 第6章 可搬性小型システムを使ったネットワークシステムの構築手法 61 6.1 はじめに . . . . 61 6.2 授業モデルの提案 . . . . 62 6.3 実装 . . . . 63 6.4 評価 . . . . 66 6.4.1 パネルディスカッション . . . . 66 6.4.2 測定方法. . . . 68 6.4.3 結果 . . . . 68 6.4.4 考察 . . . . 68 6.5 おわりに . . . . 70 第7章 結論 71 7.1 結論 . . . . 71

(5)

謝辞 78 付 録A 多様なニーズに対応した地域情報基盤の構築について 79 A.1 はじめに . . . . 79 A.2 山梨県情報ハイウェイについて . . . . 79 A.3 光回線網とアクセスポイントの設置 . . . . 80 A.4 通信ネットワークの構成 . . . . 81 A.5 地上波デジタル放送ネットワークの構成 . . . . 83 A.6 地域イントラネットとの接続. . . . 83 A.7 おわりに . . . . 84 付 録B 業績一覧 87

(6)

図 目 次

3.1 遠隔授業モデル . . . . 10 3.2 edutabシステムの概要 . . . . 11 3.3 学習者側からedutab serverを中継して教師側へ書き込みを行った場合の実 装例 . . . . 12 3.4 学習者画面 . . . . 13 3.5 教師画面 . . . . 13 3.6 実験環境 . . . . 14 3.7 edutabサーバ 1分平均CPU負荷率 . . . . 16 3.8 edutabサーバトラフィック . . . . 16 3.9 各edutab 1分平均CPU負荷率 . . . . 17 3.10 各edutab送信トラフィック . . . . 17 3.11 各edutab受信トラフィック . . . . 18 4.1 提案する接続モデル . . . . 22 4.2 WebSocket技術を用いて実装した仮想通信の詳細 . . . . 24 4.3 学習者からの書き込みをedutabリフレクタが転送先を判断して教師に転送 する例 . . . . 25 4.4 実験環境 . . . . 26 4.5 レスポンスタイム . . . . 28 4.6 教師PCのCPU負荷 . . . . 29 4.7 学習者PCのCPU負荷 . . . . 30 4.8 教師PCのトラフィック . . . . 30 4.9 学習者PCのトラフィック . . . . 31 4.10 リフレクタのトラフィック . . . . 32 4.11 レスポンスタイム . . . . 32 4.12 描画時間(教師PC) . . . . 33 4.13 例題ネットワーク . . . . 34 5.1 提案する通信モデル . . . . 41 5.2 実装したシステムの構成 . . . . 42 5.3 WebSocket技術を用いて実装したedutabネットワークに遠隔装置を制御す るための仮想通信網をオーバーレイした通信網の詳細 . . . . 43 5.4 仮想通信網を用いたスキャナ機能 . . . . 46 5.5 仮想通信網を用いた印刷機能. . . . 47

(7)

5.6 実験の構成 . . . . 48 5.7 ケース1:School Aのプリンタに印刷. . . . 49 5.8 ケース2:School Bのプリンタに印刷. . . . 50 5.9 システム環境 . . . . 54 5.10 A校のネットワークトラフィック . . . . 54 5.11 B校のネットワークトラフィック . . . . 55 5.12 コアサーバのネットワークトラフィック . . . . 55 5.13 実験時のダイヤグラム . . . . 56 5.14 確認書の交換 . . . . 57 5.15 TV会議システムのネットワークトラフィック . . . . 58 6.1 授業モデル . . . . 62 6.2 サーバ(edutab box) . . . . 64 6.3 可搬性のある議論支援システムedutab boxを用いたメッセージ通信 . . . . 64 6.4 利用者画面個別表示機能 . . . . 65 6.5 利用者画面一覧機能 . . . . 66 6.6 意見集計画面 . . . . 67 6.7 パネルディスカッションの様子 . . . . 67 6.8 プロジェクタで投影した画面. . . . 68 6.9 サーバプロセスのCPUとメモリ使用率 . . . . 69 6.10 ネットワークトラフィック . . . . 69 A.1 山梨県情報ハイウェイ利活用イメージ. . . . 80 A.2 山梨県情報ハイウェイのアクセスポイントの例 . . . . 81 A.3 山梨県情報ハイウエイネットワーク . . . . 82 A.4 山梨県情報ハイウエイケーブルテレビ接続概略図 . . . . 83 A.5 山梨県情報ハイウェイと市町村の持つイントラネットの光回線との接続例 . 84 A.6 イントラネット接続機器 . . . . 85

(8)

表 目 次

3.1 個別ホワイトボード機能性能評価実験における機器の仕様 . . . . 15 4.1 edutabシステム評価実験における機器の仕様 . . . . 27 4.2 利用者への影響 . . . . 35 5.1 メッセージの例 . . . . 44 5.2 遠隔印刷評価実験における機器の仕様. . . . 48 5.3 ケース1計測結果 . . . . 50 5.4 ケース2計測結果 . . . . 51 5.5 遠隔印刷方法の比較 . . . . 52 5.6 実験授業における機器の仕様. . . . 53 6.1 可搬性のある議論支援システムにおける機器の仕様 . . . . 63

(9)

1

序論

1.1

背景

インターネットの普及が進んでいる. 情報通信白書[1]によると,2013年末のインター ネットの利用者数は,10,044万人,人口普及率は82.8%となったと発表されている.イン ターネットへの接続はブロードバンドが中心となり,接続手段は,FTTH,CATV,携帯 電話網等があり,端末はパソコンのみならず,携帯電話のスマートフォンから高速通信の LTE接続が進んでいる.個人のインターネット利用は物販,ゲーム配信,音楽配信,映像 配信,金融サービスと利用範囲は拡大を続けている.特にスマートフォンをはじめとする, タブレット型コンピュータの普及が目覚ましく,一般の利用はもとより学校教育での利用 も広がりを見せている. 1997年3月にまとめられた山梨県地域情報化構想では,パソコン通信を主体としたネッ トワークの構築を検討していたが,インターネットを主体としたものに変化していた.こ の構想によると,県民に対して,安全で他の地域に依存しないネットワークを構築するこ とが重要であることが述べられている.山梨県ではインターネットの黎明期に,山梨大学 が学術ネットワークTRAIN[2]の利用を開始した.後にサブシステムとしてTRAIN山梨 となり,県内の学術組織が接続し,官民学でのインターネット研究会の創設に貢献したこ とが強く影響している.また,この頃,国内では都市と地方の情報格差の是正が叫ばれ,情 報通信ネットワークのインフラ整備が政策の主要課題となっていた. インターネットのブロードバンド化が進みはじめた2000 年頃から,IT 基本法[3]の施 行,e-Japan戦略[4]の実施など,地域社会の持つ問題解決や地域社会の活性化のための地 域情報化という言葉が多く使われるようになった.インターネットの利用者が増えるにつ れ,デジタルデバイドと地域情報化という言葉が具体性を持ち理解されやすくなった時代 である.山梨県でも公的資金の公布による地域イントラネット施設整備事業では,自治体 が光回線を施設し,地域公共ネットワーク基盤整備事業[5]により多くの情報化が進んだ. 山梨県では山梨県情報ハイウェイの構築にあたり,2003年の山梨県情報通信基盤整備推 進官民連絡会議を設置し,情報ハイウェイの整備方法や管理運営について協議が開始した [6].その翌年にはネットワーク設計がされ,2005年に光ファイバ網の構築が開始された. その後,光ファイバの敷設が完成し同時に運用も開始され, 現在まで10 年の運用が行わ れている.この情報ハイウェイは公設民営方式で運営が行われている.著者はこの山梨県 情報ハイウェイを運営する株式会社デジタルアライアンス[7]の代表として,山梨県情報 ハイウェイの企画・ 設計・運営に携わっている.設計に際しては,山梨県の多くの住民が 広く利用できることを考慮し,住民起点のサービスを行えるように多様なネットワークの 構築を行ってきた.学術ネットワークではNICTが運用するJGN2[8]の山梨ノードと県内 との接続環境の提供,学術ネットワークSINET4[9]への県内の大学の接続を行ってきた.

(10)

第1 章 序論 (詳細は付録Aを参照) iPad2がリリースされた2011年に,日本語教育のための遠隔教育支援システムの研究 [10]をはじめた.タブレット型コンピュータ(タブレット端末)はキーボード,マウスに よる文字入力の練習をしなくても,タッチパネルと指先で情報端末を直感的に自在に扱え るようになった.そのため,直感的に扱えるインターフェイスは子供達にとっても容易に 扱えることから学校教育の場でもiPadをはじめとするタブレット端末の利活用は広まりつ つある. 2014年9月時点で山梨県内の小学校は183校あるが,高速インターネットの接続環境は 100%整い,普通教室のLAN普及率は85.6%とされている[11].ICTの教育利用を普及す るためには,学校内の情報化として情報教室を中心に,校内LAN,高速インターネット接 続が利用できる基盤が必要とされ,併せて教育用のアプリケーションサーバが必要となる. またタブレット端末を利用するために無線LANの設備が必須であるが,小中学校での普 及には現状では時間を要すことと考える. 遠隔日本語教育支援システムとして,多くのタブレット端末のブラウザに標準に搭載さ れている,HTML5の技術[12]を用いedutabシステムの開発を行った.遠隔日本語教育を 進めていく中で日本語教育だけではなく学校間での協調学習支援システムとして活用でき ることがわかってきた.このような実験の中で複数の課題に遭遇し「多様な環境に対応可 能なICT教育サーバ」が必要になった.

1.2

目的

本論文では,多様な通信環境においても利用できるネットワークシステムの構築手法の 提案を行う.また,この構築手法をもとに教育支援システム (edutabシステム)の実装を 行い,本手法の有効性を示す. 本論文で想定する多様な通信環境とは,edutabシステムを利用する環境であり,下記3 つの通信環境を想定する. • IP通信接続可能な環境 • IP通信接続不能な環境 通信基盤が未整備な環境 IP接続可能な環境とは基本的にIP層での通信が行える環境を意味する.具体的には Global IPによって接続されている環境である.現在のインターネット環境においては,セ キュリティやIPv4アドレスの枯渇などにより,あまり一般的ではない形態である.IP接 続不能環境とはIPネットワークが ファイヤウォールやネットワークアドレス変換(NAT) などにより遮断されているものの,制限された一部の通信は接続が確保されている通信環 境である.接続のためには,IP層でのIPアドレス変換技術,仮想通信技術,アプリケー ション層での通信技術などを用いて通信環境を構築している.現在のインターネット環境 では最も標準的な通信環境である.通信基盤が未整備な環境とは,情報通信基盤が学校で 準備されていない場合を想定している.例えば,学校内で情報コンセントが配備されてい

(11)

第1章 序論 ない教室や,無線LAN環境を構築できない教室などを想定している.技術的には現在の 携帯電話技術を用いるとすべての学校で携帯電話技術を用いた通信基盤は整備はできるが, 通信費を学校や自治体が負担する例は少ない.また,セキュリティ上の運用方針から携帯 電話技術を用いた接続ができない場合もあり,社会的な理由から通信が行えない場合があ る.このような社会的に接続できない環境も通信基盤が未整備な環境に含める. 上記の多様な通信環境においても利用できるシステムを構築することにより,場所に依 存せずにICT機器を用いた教育活動を行う事ができる.例えば,ほとんどの小中学校では 教室には無線LAN環境が構築されていない.そのためタブレット端末を普通教室で利用 しようとしても利用することができないという課題があるが,本論文で提案する手法を用 いることにより解決することが可能である.

1.3

本論文の構成

第2章では,多様な通信環境に対応した教育システムの必要性について述べる. 第3章では,遠隔授業の地域での課題と,これまでの先行研究から遠隔授業モデルとして の必要な要件を示す.公立学校には例えば外国籍児童の日本語教育のためなど,他の学校 へ通級する必要のある児童・生徒がいる.このような児童・生徒に対してネットワークを 使った遠隔教育が行えると,通級に関する安全性・経済性などの問題を解決できる場合が ある.遠隔授業のためのタブレット端末の機能と,多様な環境に対応可能なICT教育サー バとして開発をしたedutabシステムについて紹介する. 第4章では,edutabシステムを実際の小学校間の遠隔教育で利用する際に生じたIP接 続不能な環境での課題について示すとともに,その課題を解決するための手法について提 案・実装を行う.edutab システムは実際には公立学校の間を接続して利用する必要があ る.しかしながら,公立学校間のネットワークポリシーの違いにより容易に接続が行えな い場合がある.この問題を解決するために,アプリケーション層を用いて仮想ネットワー クを構築する手法について述べる.アプリケーション層としてHTML5技術を用い,デー タセンターにネットワークサーバを配置することでこの問題を解決する.また実際にこの 仮想ネットワークを使って運用実験を行い本手法の有効性を示す. 第5章では,応用技術として仮想通信技術を用いて構築したネットワーク上に,アプリ ケーションを構築し,リアルタイム通信が実現できることを示す.アプリケーションとし ては,edutabシステムを機能拡張し,遠隔で紙教材のやりとりができるようにした.具体 的には遠隔のプリンタやスキャナをリモート操作できるような仕組みを導入している.こ のアプリケーションの有効性を評価するため小学校の遠隔授業の中で実際に用い本提案の 有効性を示す. 第6章では,通信基盤が未整備な環境でネットワークを利用するため,ローカルで自立 できるネットワークを構築し,問題解決する手法について提案を行う.具体的には可搬性 のある小型PCに無線LANのアクセスポイント機能とネットワークサーバ機能を持たせ, 自立的な無線LAN環境を構築し,必要に応じてバックボーンと接続させることで問題解決 を行う.このシステム(edutab box)を利用して,公立図書館で行ったパネルディスカッ ションの運用実験から本提案の有効性を示す.

(12)

第1 章 序論 第7章は結論である. また,付録Aでは,筆者らが中心となり構築した山梨県情報ハイウェイについて紹介を 行う.山梨県情報ハイウェイでは,住民の多様なニーズに対応し,様々なアクセス回線を利 用するために,NTT局や CATV会社の屋舎に接続点を構築する手法を用いた.これによ りインターネット接続,地上デジタル放送再送信サービスのサービスレベルで,山梨県内の 全世帯が情報ハイウェイの高速回線を用いて接続することができるようになった.edutab システムはこの通信基盤上のアプリケーションとして構築を行ってきた.

(13)

2

多様な通信環境に対応した教育支援シ

ステムの必要性

2.1

はじめに

本章では前章で定義した多様な通信環境に対応した教育支援システムの必要性について, 社会的,技術的側面から論じる.また,既存の教育支援システムにおける課題を明らかに し,これらの課題を満たす教育支援システムが必要であることを述べる.

2.2

社会的必要性

文部科学省は2011年に教育の情報化ビジョンを掲げている[13].この中で2020年度に 向けて実施する施策として,「安心安全な環境のもと,子どもたち1人1台の情報端末によ る教育の本格展開の検討」が述べられている.一般的に情報端末は無線LANを用いて,イ ンターネットや情報端末同士を接続して利用する必要がある.しかしながら,ほとんどの 教室には無線LANの設備はなく,タブレット端末を接続する状況にはない.自治体も教 育現場から要求があがっていることは認識しているものの,自治体の財政状況から新たな 整備を行うには困難が多い. 山梨県では,少子高齢化と過疎の問題があり,小学校の統廃合が進んでいる.このよう な状況のなかでインターネットを用いた遠隔授業の期待が高まっている.特に日本語教育 が必要な外国籍児童やことばの教室など,他の学校へ通級する必要がある児童がいる.他 の学校へ通級するに際してバスなどの公共交通網が充実していると大きな問題にはならな いが,地域では過疎化に伴いバスの営業は縮小傾向にある.地元の小学校と遠隔の小学校 をインターネットで接続して遠隔授業を行うことで,この問題の一部を解決できる可能性 がある. 学校現場においてもタブレット端末は自由に持ち運びができるため,場所に依存するこ となく情報機器を利用した活動が行えることが述べられている.従来は情報教室でないと 実現できなかった活動が教室や体育館などの場所で利用できること,動きのある授業の中 でも有効に利用できるなど,多くの効果が報告されており,タブレット端末を教育の中で 使いたいという必要性は高い[14]. 文部科学省からは「ICTを活用した教育効果の検証方法」[15]の中で,児童生徒を対象 としたICT活用スキル調査の中で下記のような教育効果があげられている. • ICT活用スキルの多くの項目が向上する タブレット端末を整備してから1年以内の学校の児童生徒のスキル向上が大きい

(14)

第2 章 多様な通信環境に対応した教育支援システムの必要性 タブレット端末を活用した授業は評価が高い

2.3

教育支援システムの必要性

タブレット端末を導入しても,それらが相互に接続できないと,協調学習などでは利用 ができず有効に利用できるとはいえない.そこで,教員や学習者のタブレット端末を無線 LANで接続し,それぞれの画面を大型TV等に接続して利用するためのシステムが必要と

なる. これらのシステムは一般的には Computer Supported Collaborative Learning(コ ンピュー タに支援された協調学習,以下CSCL)システムと呼ばれている.CSCLを実現

するシステムとして Kneading Board[16]やXingBoard[17]がある.しかし,これらのシ

ステムはサーバを利用して利用するシステムのため,サーバに接続するまでの回線を用意 するか,サーバを学内に整備する必要がある.サーバまでの回線としては一般的にHTTP が利用できれば到達が可能であるが,コンテンツフィルタやファイヤウォールなどにより HTTPの通信が制限されている場合には利用ができない.また,サーバを学内に整備する にはサーバの運用管理者や外部委託のための費用を考えると問題がある.また,そもそも 教室内に無線 LANが整備されていないと利用ができない. 商用のシステムとして SKYMENU[18]や意見番[19]のようなシステムがある.これら の システムは学校内の一つの教室(例えばPC教室)に配備して利用することが一般的で ある.一つの教室に整備することで,その教室だけに無線 LAN 環境を構築すればよいの で, 費用対効果は高いといえる.しかしながら,一つの教室に利用を制限することから, 一つ のクラスで利用していると他のクラスは利用できない.また,普通教室では利用でき ない ために机の配置や備品などに制限がある場合がある.さらに非常に高価なシステムと なるため財政的にゆとりのある自治体でないと導入は困難である. この節で紹介したシステムはいずれも教室内で利用することを前提として作られており, 遠隔教育を想定したシステムは存在しない.

2.4

技術的な必要性

地域情報ハイウェイを構築し,県内のすべての市町村を接続するネットワークが構築で き たものの,実際の教育現場においてのネットワークシステムを構築しようとしたところ, ネットワークの運用方針による違いから教育用のネットワークシステムが接続できないこ とがわかった. この状況は教育システムばかりでなく,他のアプリケーションにも関する 一般的な課題である.つまり,自治体等のネットワーク運用方針は遵守しながらも,でき るだけ自由でストレスのない多様な通信環境に対応した接続手法を開発する必要がある.

2.5

おわりに

教育現場において,タブレット端末を利用する必要性は非常に高く,その教育効果も有 ることが示されている.しかしながら,実際の現場に導入を考えたときに,無線 LANな どの通信基盤を整備することに課題があり,導入されても限られた情報教室教室だけで利

(15)

第2 章 多様な通信環境に対応した教育支援システムの必要性 用するといった利用方法に限定されている.さらに遠隔教育まで視野にいれたシステムは 存在しない.そこで,教育支援のためのシステムとして, セキュリティレベルを維持した安心・安全な通信環境を構築できる 安価に構築できる 教育現場で場所に依存せずに利用できる 遠隔教育でも利用できる システムが必要である.

(16)

3

多様な環境に対応可能な

ICT

教育サー

バの開発

3.1

はじめに

本章では,IP通信接続可能な環境上に構築した遠隔教育支援システム(edutabシステ ム)について紹介する.このシステムは筆者らが構築した山梨県情報ハイウェイ上で利用 するアプリケーションとして構築を行ったものである. 地域の公立学校には例えば外国籍児童の日本語教育のためなど,他の学校へ通級する必 要のある児童・生徒がいる.このような児童・生徒に対してネットワークを使った遠隔教 育が行えると,通級に関する安全性・経済性などの問題を解決できる場合がある. 遠隔授業の試みはインターネットの普及に伴い1990年代から数多くの研究がある.近年 は多様な電子会議システムの発達に伴い,個人授業から講義形式の授業まで様々な形態で 遠隔授業が行われている.一般的に,遠隔授業を行う際に問題となるのは,動機付けであ る.学習者に強い動機がある場合には,場所に依存しない遠隔教育は有効に働く.しかし ながら,動機が弱い場合には対面での授業と比較して,コミュニケーションに制限のある 遠隔授業ではうまく学習効果が得られない場合がある.この問題は,学習者の年齢にも依 存し,一般的に年齢が低いほど困難になることが多い. この問題を解決するためには,教師が様々な教材や学習支援ツールなどを用いて積極的 に授業に参加できる環境を作ることが必要である.一般に電子会議システムでは,教師側 のデスクトップを相手に提示するデスクトップ転送機能や互いに情報の書き込みができる ホワイトボード機能を持ったものがある.さらには,書画カメラの画像など複数のカメラ を切り替えて相手に提示する機能を持つシステムもある.これらの機能を有効利用するこ とで,個人授業を行う場合にはある程度の活用が期待できる.しかしながら,学習者が複 数いる場合や,年齢が低く,コンピュータの操作に問題がある場合には,この方法が必ず しも有効とは限らない.また,学習内容によっては,学習過程を見ることが重要となる場 合がある.例えば,漢字の書き順や算数の計算方法など,初歩的な内容においては特に重 要である.対面での授業であれば,机間巡視などを行うことにより,学習者の問題を発見 することもできるが,遠隔授業においては困難である. これらの問題を解決する方法として,学習者それぞれに学習支援ツールとしてタブレッ ト端末を持たせ,遠隔の教師がリアルタイムでそれぞれの学習者の端末を巡視でき,また, それぞれの端末と教師のPCを同期させ,リアルタイムで学習者の端末に修正が行えるシ ステム,edutabの開発を行った.本稿では,開発を行ったシステムの紹介を行うと共に, その機能面の評価を行い,システムの有効性を検証する.

(17)

第3 章 多様な環境に対応可能なICT教育サーバの開発

3.2

これまでの研究

これまで,我々は日本語教育を遠隔から行う研究を行っている[10].この研究では,教 師が遠隔の学習者グループに対して,skype[20]を用いて接続を行い,学習を進めていた. 語学学習では,一般に読む,聞く,書く,の要素がある.この中で「書く」練習をするた めには,これまで,学習者にA4サイズのホワイトボードを持ってもらい,そこに文字を 書き,できあがったものをカメラに向かって表示させ,その内容を確認するという方法を とってきた. しかしながら,この手法にはいくつかの課題がある.第一は学習者がどのように書くこ とを進めているのか,その過程を観察することが困難である.対面の授業であれば,ノー トに書いている様子を観察し適切な指示を出すことも可能であるが,skypeのカメラを利 用して複数の学習者がいる場合には,観察が困難である.第二は学習者の数の問題である. 学習者の数が多くなると,それぞれのホワイトボードに書かれた内容を確認するのに,学 習者の数の分だけ時間がかかることになり,確認作業以外の待ち時間が多くなる.これ以 外にも,書かれた文字の大きさが小さかったり,skypeのカメラの解像度が低くかったり すると,そもそもホワイトボードに書かれた内容を確認するにも困難がある. そこで,これらの課題を解決する方法として,タブレット端末をそれぞれの学習者に持 たせ,教師との間で読み書きができるシステムの開発を行うこととした.また,その際に, 教師から学習者のタブレット端末に教材を配布できる仕組みも加えることとした.

3.3

関連研究

 桒島ら[21]は大学生を対象として,プログラミング学習の支援をする際に,教師と学 習者の間でリアルタイムに読み書きのできるシステムの構築を行っている.ここで示され ている方法は,一つの教室の中で行うことを前提としているが,仕組み自体は遠隔教育へ もそのまま応用できるものである.しかしながら,大学生へのプログラミングの学習を対 象としているため,教材配布の仕組みなどの機能が不足している. 松内ら[22]は工業高等専門学校の生徒を対象として,電子黒板システムを基盤とし,こ のシステムが持つオンデマンド機能を縮小して,教員と学生が対等に双方向通信できるイ ンタラクティブ性を重視した独自仕様のものを実装している.教材提示や双方向での通信 が行えるが,既存のシステムに実装を加えているため,一般的に利用するには困難がある. 高峯ら[23]は小学校で漢字の書き取り指導支援システムの開発を行っている.学習者は それぞれタブレット端末を持ち,そこに漢字を書く.その様子を教師が観察し,指導する ことができるシステムである.このシステムは同一無線LANアクセスポイントに接続す るタブレット端末だけで稼働することができるシステムである.これを遠隔授業へ適用す るには,困難がある.

3.4

遠隔授業のモデル

本研究で対象とする遠隔授業のモデルについて図3.1を使って説明する.基本的に教師 は一人で授業を行う.遠隔の学習者は一カ所に複数名(2名から6名程度)を想定してい

(18)

第3 章 多様な環境に対応可能なICT教育サーバの開発 図3.1: 遠隔授業モデル る.学習者のITスキルとしては,タブレット端末を使ってブラウザを起動し,ブックマー クから接続先を選択できることを想定している. 教師と学習者間は電子会議システムで接続する.これに加えて,データセンタにWeb サーバを設置し,教師のPCと学習者のタブレット端末のブラウザから,HTTPを用いて Webサーバに接続する.

3.5

edutab

システム

3.5.1

システムの概要

開発を行ったedutabシステムの概要を図3.2に示す.まず,教師はPC上のブラウザを 利用してデータセンタに配置されたedutabサーバに接続を行う.学習者も同様にタブレッ ト端末上のブラウザを利用してedutabサーバに接続を行う.この際に,学習者を識別する ために,学習者はログインを行う.edutabサーバはこれ以降,教師のPCとタブレット端 末の間を接続して,相互から受け取るデータを受け渡すだけである.edutabサーバをデー タセンタに配置したのは,一般に学校で利用できるPCはファイヤウォールの内側にあり, 外部のWebサーバのみのアクセスしか許可されない場合が多いからである.そのような 環境で学校内にサーバを設置してしまうと外部からのアクセスができない可能性がある. 同様な理由で,edutabサーバも最初の接続はhttpで受信してアクセスできるようにして いる.

(19)

第3 章 多様な環境に対応可能なICT教育サーバの開発 図3.2: edutabシステムの概要 edutabサーバは,学習者側のデータを受け取り教師側へ渡す.また,教師側のブラウザ では,それぞれの学習者を指定してedutabサーバへデータを渡すことで通信を行い,学習 者からの情報をブラウザ上で更新するようにしている.

3.5.2

システムの機能

edutabシステムでは,下記のような機能を持っている. (1)個別ホワイトボード機能 教師と学習者がリアルタイムで共有できるホワイトボード機能を持っている.この機能 を利用して,教師は学習者の学習過程を観察することができ,例えば書き順の間違いなど を指摘することができる.このホワイトボード機能は,学習者それぞれと教師が共有でき る.つまり,学習者の数だけホワイトボードが存在することになる. (2)画像提示機能 教師のPCからあらかじめシステムに登録してある画像を,学習者画面の左上に,任意 のタイミングで表示させることができる.この機能を利用して,写真,図,アニメーショ ンなどを教材として学習者に提示し,その答えを個別ホワイトボード機能で書いてもらい, 書き順や答えを見たりする活動ができる. (3)文字提示機能 画像提示機能と同様に,学習者画面の右上に,任意のタイミングで教師が入力した文字 を表示させることができる.この機能を利用して,穴埋め問題などをその場で作成して送 ることができるほか,模範解答なども送ることができる.

(20)

第3 章 多様な環境に対応可能なICT教育サーバの開発 図3.3: 学習者側からedutab serverを中継して教師側へ書き込みを行った場合の実装例

3.5.3

実装

edutabはHTML5から利用できるようになったcanvasタグを利用して実装している. ここでは個別ホワイトボード機能について,学習者側からの書き込みがあった場合を例に, その実装例を図3.3に示す. 学習者はedutabサーバと接続を行った時点でidを割り振られる.そして,学習者のタ ブレット端末からイベントが発生すると,その情報をedutabサーバへidと共にイベント 情報を送る.edutabサーバはその情報を教師PCへ送る.教師PCでは受け取ったidとイ ベントに関する情報に基づいて,それぞれの学習者のcanvasに描画を行う.これにより, 学習者と教師がリアルタイムで情報を共有することができる.

3.5.4

実例

edutabの機能を利用した例を示す.3人の学習者と教師がedutabサーバへ接続を行う. 次に,教師側から画像提示機能を用いて,学習者にワインの画像を送った.次に,ホワイ トボード機能を用いて学習者にワインと書いてもらったが,書き順が間違っており,「ン」 が「ソ」に見えることに気づいた.そこで,教師が赤字で訂正を行った.最後に右上に文 字提示機能を用いて正解を表示した. この際の学習者の画面を図3.4に,また教師側の画面を図3.5に示す.

(21)

第3 章 多様な環境に対応可能なICT教育サーバの開発

図3.4: 学習者画面

(22)

第3 章 多様な環境に対応可能なICT教育サーバの開発 図3.6: 実験環境

3.6

評価

本システムの性能を評価するために,edutabシステムの評価実験を行った.edutabシ ステムには現在3つの機能がある.これらの機能のうち,書いた文字をリアルタイムに表 示更新していくので個別ホワイトボード機能が最もシステムに負荷がかかる.画像提示機 能,文字提示機能は提示の際に負荷がかかるものの一時的であり恒常的に負荷がかかる機 能ではない. そこで個別ホワイトボード機能について実験環境を用意し,負荷,トラフィック測定を 行った.

3.6.1

実験環境

実験環境を図3.6に示す.大学内に7台のPCを用意し,1台を教師用,6台を学習者用 とした.学外のデータセンタにedutabサーバを配置し,大学内のPCからは,このサーバ

へアクセスし測定を行う.それぞれのPCからswitch1,switch2, edutabサーバまでの

ネットワーク帯域は1Gbpsである. 実験に用いた機器の仕様を表3.1に示す.

3.6.2

実験方法

まず,準備としてedutabシステムにブラウザ上でのイベントをスクリプトとして記録 し,それを再現する機能を付け加えた.そして,実験用にスクリプトをあらかじめ作成し ておいた. 実験では,学習者のPCと教師のPCでブラウザを起動し,edutabサーバへ接続を行う. 次に,実験用スクリプトをそれぞれのブラウザ上で無限回動作するようにした.これによ り同じ動作を実験期間の間繰り返すことができる.

(23)

第3 章 多様な環境に対応可能なICT教育サーバの開発

表3.1: 個別ホワイトボード機能性能評価実験における機器の仕様

機器 仕様

学習者 PC1 - 6 Intel Core i5, 2.5GHz

教師 PC Memory 4GByte

Ethernet 1000BASE-TX OS Windows 7 SP1 64bit

ブラウザ FireFox 9.0.1 edutabサーバ Intel Xeon 2.67GHz

Memory 512MByte Ethernet 1000BASE-TX OS CentOS 測定は学習者用のPCと教師のPCでパフォーマンスモニターを起動し,1分毎のCPU 負荷とネットワークトラフィックを記録させる.edutabサーバにはsnmpを用いて1分毎 に観測用のPCからCPU負荷とネットワークトラフィックのMIB値を収集した. 実験は最初に学習者が一人で教師が一人の場合を想定して,学習者PC1台と教師PC1 台を接続し,それぞれでスクリプトを無限回,10分間実行する.そして,接続する学習者 PCを順次増加させ,最終的に6台の学習者PCと教師PCで実験を行った.教師PCと学 習者PC1は,お互いに書き込みを行うようにし,学習者PC2からPC6については,教師 側への書き込みだけ連続で行うように設定した.

3.6.3

実験結果

実験は,12時14分から開始し,実験方法で説明した通り,学習者PC1から順に10分実 行するごとにPC6まで増加させていった.

図3.7はedutabサーバの1分平均のCPU負荷率のグラフである.CPU負荷は平均で 0.15%,最大で0.4%であった.図3.8はedutabサーバのトラフィックである.1台学習者 PCからの接続があるごとにトラフィックが増加している.また,送受信ともに同程度のト ラフィックが発生しているが,4台目のPC4を接続したところから受信トラフィックが少 なくなっている.6台すべての接続時で送信が約260Kbps,受信が約240Kbpsであった. 図3.9は学習者と教師の各PCの1分平均CPU負荷率のグラフである.また,図3.10 は各PCの送信トラフィック,図3.11は各PCの受信トラフィックのグラフである.教師 PCとPC1はCPU負荷率が一定ではなく上下している.PC2からPC6までは実行開始後 からほぼ一定であり,PC2は平均7%,PC3は平均14%,PC4は平均13%,PC5は平均 10.5%,PC6は平均7%であった.送信トラフィックは,教師PCで40Kbpsから50Kbps 程度でPC5が接続されてからは,33Kbps程度に低下した.PC1からPC6は37Kbps程 度で同じくらいであった.受信トラフィックは,教師PCでは,PCが1台接続されるごと に35Kbps程度ずつ増加した.初めに接続したPC1は45Kbps程度のトラフィックを受信 していたが,5台目のPC5を接続したところから20Kbps程度に低下した.PC2からPC6 については,数Kbps程度の受信であった.また,すべてのPCにおいて5分に1回急な受 信トラフィックの上昇がみられた.

(24)

第3 章 多様な環境に対応可能なICT教育サーバの開発

図3.7: edutabサーバ1分平均CPU負荷率

(25)

第3 章 多様な環境に対応可能なICT教育サーバの開発

図3.9: 各edutab 1分平均CPU負荷率

(26)

第3 章 多様な環境に対応可能なICT教育サーバの開発 図3.11: 各edutab受信トラフィック

3.6.4

考察

edutabサーバについて,CPU負荷率は最大でも0.4%であったことからサーバに対する 計算負荷はほとんどないことがわかる.また,トラフィックに関しては,6台接続時にお いても送受信合計で約500Kbpsであることから一般的な回線はもちろんのこと,3G回線 しかないような環境においても使用可能であると言える.13時20分前後に2回送信トラ フィックの減少が見られる部分は,教師PCのedutabの送受信トラフィックにおいても同 時刻に現象が見られる.そのことから,教師PCとedutabサーバ間の接続が一時断した と考えられる.edutabには,再接続機能があるので数秒で復旧される.そのために,トラ フィックが減少したもののすぐにもとに戻っている. 教師PCについては,CPU負荷が平均15%程度で10%から20%程度を推移している.ま た,PC1についても一定ではなく負荷が上下している.PC2からPC6について負荷率は 違うものの接続開始からほぼ一定の負荷がかかっている.教師PCとPC1については,双 方向で書き込み,表示を行っているために,動作によっては負荷が一定ではなくなってい るものと考えられる.PC2からPC6までは,教師PCに対しての書き込みのみを行ってい る.そのことからPC1の負荷が一定ではないのは,相手からデータを受け取り表示するた めにCPUにかかる負荷が変動すると考えられる.PC2からPC6までのCPU負荷が一定 ではないのは,CPU負荷がPC全体で取得しているために,edutab機能以外のプロセス がCPUを使用していたと考えられる. PC1からPC6までの送信トラフィックは37Kbps程度でほぼ一定の傾向を示している. この6台からは,同じスクリプトで同一データを表示,送信していることから同じトラフィッ クになっている.教師PCは,5台目を接続したあたりから送信トラフィックが減少して

(27)

第3 章 多様な環境に対応可能なICT教育サーバの開発 いる.同時刻に教師PCのCPU負荷率が大きく上昇してはいないが,edutabの表示動作 が遅くなっていたのでプログラムによって負荷がかかり,データの更新速度が遅くなった ために送信トラフィックが減少したものと考えられる. 受信トラフィックについて,どのPCも5分間隔ごとにバースト的にトラフィックが上 昇している.この部分は,edutabの通信分ではなく他のプロセスが定期的に通信を行って いたために発生したと考えられる.教師PCは,接続ごとに各学習者PC側からデータを 受け取るので接続が増えるごとに受信トラフィックは上昇している.PC1は,教師PCか らの書き込みを受け取っているので受信トラフィックが発生している.教師PCからの送 信トラフィックが減少したところからPC1の受信トラフィックも減少していることから教 師PCの書き込みが遅くなったために,PC1側に送られるデータも少なくなり,表示が遅 く行われるようになったと考えられる.PC2からPC6までは,教師PCからの書き込みが ないために受信トラフィックはほとんど発生しない. これらのことから,edutabのサーバへの負荷は低く接続台数が増加しても十分対応でき ることがわかった.また,edutabの学習者側も今回使用したPCと同程度のタブレット端 末であれば十分に動作すると考えられる.教師側は5台目を接続したあたりから何等かの 負荷がかかり,処理が遅くなっていた.現在のedutabの教師側では,受信したデータを子 画面表示する際に一度,画像化して表示させている.接続台数が増えてくると画像化する 処理が大きくなり表示が遅れて負荷がかかっているものと考えられる.この部分に関して は今後の改良が必要である.

3.7

おわりに

遠隔授業において,学習者がタブレット端末に書いた内容を教師がリアルタイムに巡視 し,訂正やコメントを付けられるedutabシステムを開発した.また,edutabシステムの 動作評価を行い,低帯域の回線でも十分使用できることがわかった.

(28)

4

HTML5

技術を用いた仮想通信網構築

手法

4.1

はじめに

前章において,IP接続可能な環境において構築したedutabシステムを紹介した.しか しながら,実際の多くの小中学校ではIP通信接続不能な通信環境にあり,運用ポリシーの 違いなどから接続ができないことがわかった.本章ではこのようなIP接続不能な環境にお いてシステムを構築するためにアプリケーション層での仮想通信網を構築し,接続を行う 手法の提案を行う.また,提案する接続手法に基づき実装したシステムを使い評価を行い, 本手法の有効性を評価する. 近年,日本の外国人住民の数は急増し,およそ200万人に達している[24].日本語指導 の必要な児童生徒数は平成22年度末の時点で28,511人にも登り,過去10年で約1万人増 加している.一方で,彼らが在籍する学校の内77.1%にあたる4,953校では,日本語指導 が必要な外国人児童生徒の人数が学内で4名以下という状況にある[25].つまり,日本語 指導が必要な児童は一校あたりにはさほど多くなく,多くの学校に散在している点に問題 がある.この問題を解決するために例えば甲府市ではセンター校と呼ばれる比較的外国人 児童が多く通う小学校に日本語教師を配置し,他の小学校へはこの日本語教師が巡回指導 を行っている.しかしながら,巡回する距離が長いと教師の移動時間が長くなり,指導時 間や巡回回数に影響が生じる. このような社会的な背景の中で,遠隔日本語教育が求められている.遠隔日本語教育シ ステムを導入することにより,例えば,巡回指導の一部を遠隔授業に置き換えて実施した り,日本語教員のいない学校から遠隔の日本語教師に必要に応じて指導を受けたりするこ とができる.また,正規の日本語教師による授業と授業の間にボランティアによる補習授 業を遠隔から実施することもできる[10]. そこで,我々は少人数の遠隔教育においてタブレット端末を用いて,教師とそれぞれの児 童との間で様々なコミュニケーションを行うための遠隔教育支援システム(edutab)を開発 し,模擬授業を行いその効果について検証を行った[26][27].edutabは教師とそれぞれの 児童との間で,ホワイトボード機能,画像提示機能,文字提示機能を持つシステムである. しかしながら,edutabシステムを実際の現場において利用するためには小中学校間の ネットワークを利用してシステムを構築する必要がある.通常,小中学校ではネットワー ク間にファイヤウォール等が存在しており,一般的なclient-server方式のシステムを構築 するのが困難である. そこで,本章では,HTTPトンネル技術を用いて,アプリケーション層で透過的なネッ トワークを構築し,その階層にリフレクタ(Reflector)と呼ぶ,通信制御サーバを導入する.

(29)

第4 章HTML5技術を用いた仮想通信網構築手法 このリフレクタにいくつかの機能を持たせることにより,多様な通信を可能とさせる接続 モデルを提案する.次にこの接続モデルにもとづいてネットワークシステムの実装を行う. そして実装したネットワークシステム上に構築したedutabシステムを用いて評価実験を 行い,本接続モデルの有効性を示す. 以下,4.2節ではedutabのようなclient-server型のシステムを実環境に構築する場合の 課題について示す.4.3節ではこの課題を解決するための接続モデルを提案する.4.4節で は接続モデルを実現する通信方法の詳細について述べる.4.5節では提案にもとづいて実装 したシステムについて示す.4.6節は実装したシステム上で行った評価実験について述べ, 本システムの有効性を示す.4.7節はまとめである.

4.2

edutab

システム構築上の課題

利用形態としてedutabはclient-serverモデルを用いて複数ノードを相互接続し,教師が 離れた場所の学習者に授業を行うことを想定している. 一般的な小中学校におけるネットワークでは,個別の小学校がインターネットへ接続す ることはなく,一度教育行政機関である教育委員会等に集約して,そこからインターネッ ト接続を行っていることが多い.小学校と教育委員会を結ぶ回線は地方自治体が管理する 地域イントラネットやISP事業者が提供する回線など,さまざまな接続形態がある.教育 委員会からインターネットへの接続ではそれぞれの教育委員会が定めるネットワークポリ シーに従って運用されている. このような環境下で教育委員会が異なる小中学校のネットワークを相互接続したシステ ムを構築する上では下記のような課題がある. (1) 学校のPCに新しいアプリケーションをインストールすることが困難である

(2) NAT(Network Address Transfer),ファイヤウォールが使われており,外部のサー バと直接接続するアプリケーションの導入が困難である (3) コンテンツフィルタによって利用できるサイトが制限されている 上記の方法を解決する方法として,OSI参照モデルの物理層で相互接続し,持ち込みの PCを利用して運用する方法がある.例えば専用回線や携帯電話回線など,既存のネット ワークとは別に回線を用意して接続を行う方法である[28][29].独自にネットワークを構築 できることから自由度は高く,回線品質もある程度は制御できる.この方法は一時的に学 校間を接続して実験を行う場合によく使われる方法である.しかしながら,この方法を恒 常的に利用することはネットワークポリシーに従わないネットワークやPCを学校で利用 することになりセキュリティ面から問題がある.

データリンク層を使ってVPN(Virtual Private Network)を用いた接続方法がある[30][31].

学校内部,遠隔地の教師,サーバの間をVPNルータを設置し,その間を接続する方法であ

る.この方法は複数拠点を一つのプライベートネットワーク内に収容することができるた め容易に利用が行える.しかしながら,あらかじめ利用する拠点が想定できる場合には有 効であるが,想定できない場合には利用することができない.また,VPNの設置そのもの

(30)

第4 章HTML5技術を用いた仮想通信網構築手法 図 4.1: 提案する接続モデル アプリケーション層で接続を行う方法がある.例えばSkype[20][32]の通信はログイン サーバで利用者にログインをさせた後,スーパーノードが通信の中継を行い,利用者間の 通信をピアツーピア形式で実現している.この方式は上記の問題を解決する上で有効な手 法である.また,学校間を接続した活動にもよく使われている方法であり,数々の実績が ある.しかしながら,共有するスーパーノードの利用状況等によって品質が左右されるた め,授業の中で利用するには危険度が高いという問題もある[33].

Skype以外にも,Apple社のFacetime[34]や,Web会議システム[35]など数多くのシス

テムが存在する.Web会議システムは基本的に通信プロトコルとしてHTTPを用いてい るためHTTPトンネル技術を用いると接続を行うことが可能である.しかしながら,これ らのシステムはそれぞれの目的(会議等)に基づいて作られており,通信部分とアプリケー ション部分が分離されていない.そのため,APIが公開されておらず,利用者がこれらの システムの上に遠隔教育支援ツール等のアプリケーションを作成することができない.ま た,仮にAPIが公開されたとしても,それらのシステムに依存したアドインとしてアプリ ケーションを構築することになる.そのためサーバの配置,ネットワーク構成,通信方式, プログラミング言語の選択などを自由に行うことができない.

4.3

提案モデル

4.2節で示した問題を解決する接続手法として図4.1に示す接続モデルを提案する. HTTP,セッションコントローラ(Session Controller),リフレクタ(Reflector)の各サー バを用意し,利用者の近傍にあるデータセンタに配置する.そして,教師と学習者のいる 学校とデータセンタの間を広帯域でかつ遅延の少ない高速回線を使って接続を行う.各種 サーバは各市町村教育委員会のネットワークポリシーに影響を受けないデータセンタに配 置をする.

この回線上での通信プロトコルにはHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)を用いる. HTTPであれば, 多くのOSで標準としてブラウザが付属しており,新たなソフトウエア をインストールする必要がなく(1)の問題を解決できるためである.また,各種HTTPト

(31)

第4 章HTML5技術を用いた仮想通信網構築手法 ンネル技術を用いるとNATやファイヤウォールにおいても影響を受けにくく(2)の問題の 解決にも繋がる. 利用者はサーバへログインを行い,セッションコントローラによって通信を開始する. ファイヤウォールの内側からHTTPサーバへの接続であれば問題は少なく,(2)の問題解 決となる. 複数拠点を相互に接続する場合には,それぞれの学校間をメッシュ状に接続する必要が ある.しかし,この方法では,毎回複数拠点間の通信を利用前に登録し,コンテンツフィ ルタやファイヤウォールの設定を変更する必要があり,現実的とはいえない.そこで,リ フレクタを導入し,接続するサーバを一つに固定する.そしてコンテンツフィルタはこの サーバへのアクセスのみを許可させることにより実現を図る.これにより(3)の課題を解 決できる.

4.4

通信方法の詳細

ここでは,4.3節の提案モデルに基づいてWebSocket技術[36]を用いて実装した通信方 法について詳細に説明する.

4.4.1

通信方法

ブラウザA(Browser A)とブラウザB(Browser B)の通信を例に通信方法の詳細を図 4.2に示す.我々の提案する通信方法は,NATなどによりアプリケーションが直接接続で きないIP層の上にHTTPトンネル技術を使って,通信が行える環境(HTTP層)を構築 する.さらにHTTP層の上にWebSocket技術を用いて仮想的な通信環境(WebSocket層) を構築する.そして,WebSocket層にリフレクタと呼ぶ通信制御サーバを配置し,様々な 用途に対応した通信形態を提供するものである. 以下に通信の方法について段階的に説明する. 1. クライアントPC AでブラウザAを起動し,データセンタに配置したHTTPサーバ を経由してセッションコントローラに通信開始リクエストを送る. 2. セッションコントローラは通信が可能であればHTTPポートを用いたWebSocket通 信へ移行させる. 3. セッションコントローラとブラウザAでWebSocket通信のセッションを開始する. 4. ブラウザAはユーザ情報をWebSocketを通じてリフレクタに送信する. 5. リフレクタは,ブラウザAの情報を登録して,ブラウザAに応答を返す. 6. ブラウザAとリフレクタでの接続が完了し双方向の通信が行える状態となる. このようにセッションコントローラが各ブラウザとのWebSocketセッションの維持,管 理を行う.リフレクタはセッションコントローラを通じてユーザ情報(edutabの実装では

(32)

第4 章HTML5技術を用いた仮想通信網構築手法 図 4.2: WebSocket技術を用いて実装した仮想通信の詳細 利用者ID,セッションID,役割)に基づき各ブラウザとの通信の制御を行う.その上で リフレクタが通信の制御を行う.セッションコントローラとリフレクタの関係は,ルータ の役割と似ている.すなわち,セッションコントローラは経路情報を構築するための設定 を行う部分であり,リフレクタは構築された経路情報に基づきパケットの転送を行う転送 エンジンである.

4.4.2

通信形態

リフレクタには複数のブラウザが接続する.その時に,どのブラウザにどのような情報 を転送するかによって,様々な通信形態を構成することができる.具体的には,ブラウザ AからのメッセージをブラウザBに送る,また,その逆を行うことにより,ユニキャスト 通信が実現できる.他にも,ブラウザAからのメッセージをすべてのブラウザに送信する ブロードキャスト通信さらに任意のブラウザに送信するマルチキャスト通信などが実現で きる. また,リフレクタにおいて到着したパケットを一端管理し,同期信号に基づいて一斉に 送信をする同期通信や最初に入った通信を最初に送り出す非同期通信も実現できる. さらに,リフレクタにフィルタリング機能等を加えることにより,セキュリティに配慮 した通信を行うことができる. このように,WebSocket層においてシームレスな通信環境を実現し,リフレクタを導入 することにより,様々な通信形態を構成できることが本提案の特徴である.この通信環境 ではWebSocketが利用できるサーバとクライアント用プログラミング言語が必要となる が,この条件を満たせば任意のアプリケーションを構築できる.

(33)

第4 章HTML5技術を用いた仮想通信網構築手法 図4.3: 学習者からの書き込みをedutabリフレクタが転送先を判断して教師に転送する例

4.5

実装

4.3節で提案したモデルに基づき,ネットワークシステムの実装を行った.そして,この ネットワーク上のアプリケーションとしてedutabシステムを構築した. 各サーバは地域IX(Internet exchange)に接続しているデータセンタに配置した.地域 IXへの回線品質は専用線の品質には劣るものの,インターネット接続回線よりは優れてお り,費用対効果を考えた時に優れた方法である[37][38]. HTTPサーバにはApacheを用いた.また,リフレクタ及びセッションコントローラは サーバサイドJavaScriptを用いて,Apacheと通信できるように実装した.実装では,こ の3つの機能を1台のサーバに集約した.以下,集約された1台のサーバをedutabサーバ と呼ぶ. 学習者および教師がシステムにログインを開始することによりセッションを開始できる ようにした.これにより,相手側の状況にかかわらずedutabサーバまでの通信は確立でき る.通信確立後は学習者および教師のブラウザ上で発生したすべてのイベントに関する情 報をリフレクタを経由して必要なノード(ブラウザ)へ配布している.

リフレクタの動作について図4.3に示す.教師(teacher)と学習者(student)はedutab

リフレクタに接続したときにはセッションコントローラによってセッションIDが割り当 てられている.リフレクタはセッションIDと端末のモード(teacher,student)を紐付け て管理している.この例では,学習者A(student A)で発生したイベントがedutabリフ レクタへ転送される.このイベントに関する情報は教師のブラウザにおいても表示を行う ため,即座にその情報が教師ノード(ブラウザ)に転送される.学習者からの書き込みイ ベントは,他の学習者BやCへは送信されない. 同様な通信が学習者B, Cでも実現されるため,教師のブラウザのみがリフレクタを介し てすべての学習者と通信を行うことになる.

(34)

第4 章HTML5技術を用いた仮想通信網構築手法 図4.4: 実験環境

4.6

評価

本提案モデルの有効性を評価するために,実装したedutabシステム上での評価実験と定 性的な評価を行った.edutabシステムが有効的に動作するためには3つの考慮すべき点が ある. 第一は,学習者側の台数が増えた場合のシステム負荷である.リフレクタと教師のPC には多くのトラフィックが集まる.また,教師PCには各学習者PCからのイベントに基 づいた描画作業があるため,CPU負荷が大きくなることが予想される. 第二はサーバをデータセンタに配置し,地域ネットワークを利用したことによるリアル タイム性の劣化である.edutabシステムでは個別ホワイトボード機能を実装している.リ アルタイム性が失われると,ホワイトボードの動きが自然でなくなり,教師と学習者のコ ミュニケーションに障害が生じる可能性がある. 第三は学習者とリフレクタを接続するネットワーク間の遅延である.複数拠点を接続し た遠隔学習においては,様々なネットワーク環境から接続されることを考慮する必要があ る.とりわけ,学習者間ネットワークの遅延に差があった場合にはどのような影響がある かを評価する必要がある. そこで,上記の第一,第二について実装したシステムを使い定量的な評価実験を行い,第 三については考察において定性的な評価を行う.

4.6.1

実験環境

実験環境を図 4.4に示す.大学内にある情報教室の同一スペックのPCを使用した.学 外のデータセンタにedutabサーバを配置し,大学内のPCからは,このサーバへアクセス し測定を行う.それぞれのPCからswitch1,switch2, edutabサーバまでのネットワーク

(35)

第4 章HTML5技術を用いた仮想通信網構築手法 表4.1: edutabシステム評価実験における機器の仕様 機器 仕様 学習者PC,教師PC Intel Core i5 2.5GHz Memory 4GByte Ethernet 1000BASE-TX OS Windows 7 SP1 64bit ブラウザ FireFox 9.0.1 Edutabサーバ Intel Xeon 2.67GHz

Memory 512Mbyte Ethernet 1000BASE-TX OS CentOS

HTTPサーバ Apache Reflector JavaScript

Session Controller JavaScript

4.6.2

実験方法

システム負荷 まず,準備としてedutabシステムにブラウザ上でのイベントをスクリプトとして記録 し,それを再現する機能を付け加えた.次に,実験では,学習者のPCと教師のPCでブ ラウザを起動し,edutabサーバへ接続を行う.そして,あらかじめ作成しておいた実験用 スクリプトをそれぞれのブラウザ上で無限回動作するようにした.これにより同じ動作を 実験で繰り返すことができる. スクリプトの内容は0から9までの数字を順番に書き,そ の後,その数字を消していくものである.この一連の動作で,1秒間に150程度のイベン トが発生する. 測定は学習者用のPCと教師のPCでパフォーマンスモニターを起動し,1分平均のCPU

負荷とネットワークトラフィックを記録させる.edutabサーバにはSNMP(Simple Network Management Protocol)を用いて1分毎に観測用のPCからCPU負荷とネットワークトラ フィックのMIB値を収集した. 実験は学習者PC1台と教師PC1台を接続し,それぞれでスクリプトを無限回,10分間 実行する.そして,接続する学習者PCを順次増加させ,1,2,3,4,5,6,10,15,20 台の学習者PCを教師PCに接続するようにした.学習者PCからは,教師PCへの書き 込みを連続で行うように設定した. edutabシステムはTV会議システムと併用して利用することを想定している.TV会議 システムで発生するトラフィックはクライアントPC付近のネットワークには影響を与え るものの,サーバ周辺のネットワークには影響を与えない.そこで,実験は日中の大学の 情報教室のPCを他の学生も利用している中で行った.通常利用中の情報教室は,TV会 議システムよりもトラフィックの変動が起こりやすく,量も多いためより負荷が高い環境 である.edutabで発生するすべてのトラフィックと学内と学外の間を流れるすべてのトラ フィックが大学の同じバックボーンを経由し送受信されている.

(36)

第4 章HTML5技術を用いた仮想通信網構築手法 図4.5: レスポンスタイム リアルタイム性 リアルタイム性はレスポンスタイムによって評価を行う.具体的にはレスポンスタイム を学習者のPCでイベントが発生してから,教師のPC上で表示されるまでと定義する.こ の時間を測定するために,学習者PCから測定用のパケットをリフレクタ,教師PC,リフ レクタ,学習者PCと転送させて,その結果からリアルタイム性の評価を行う.図 4.5に レスポンスタイムについて詳細を示す.ここで,t2,t4,t6,はそれぞれのPCにおける処 理時間を表し,t1,t3,t5,t7はネットワークの転送時間を表している.t2とt6はリフレ クタの転送処理時間,t4は教師PCの描画時間である. 測定用のパケットには,それぞれのPCにおけるタイムスタンプを付加する.送り出し 時のタイムスタンプと最終的に学習者に戻ってきたパケットのタイムスタンプの差分から レスポンスタイムを求める.レスポンスタイムを求める式は次の通りとする. Response Time = (( t1 + t3 + t5 + t7 ) / 2 ) + t2 + t4 タイムスタンプは各PC上での時間を付加しているので各ネットワーク区間での信頼性 を担保するためには,各PC上の時刻を予め同期しておくか,同一PC上のタイムスタンプ で評価する必要がある.そこでネットワークの時間は,同一回線上を往復した時間によっ て測定するようにした.イベント発生時の時刻から学習者に戻ってきたところまでの時間 から教師PCの描画時間,リフレクタの処理時間を引いた時間を2で割った値を片道のネッ トワーク時間とした.またレスポンスタイムは定義にしたがい,片道のネットワーク時間 に描画時間(t4)とリフレクタ処理時間(t2)を足した値とする.スクリプトは1秒間に3つ のイベントが発生するようにして実験した. 測定環境は図6と同様なものにし,曜日によるばらつきを考慮し,1週間にわたり測定 を行った.

図 3.4: 学習者画面
図 3.7: edutab サーバ 1 分平均 CPU 負荷率
図 3.9: 各 edutab 1 分平均 CPU 負荷率
図 4.8: 教師 PC のトラフィック
+7

参照

関連したドキュメント

担い手に農地を集積するための土地利用調整に関する話し合いや農家の意

本節では本研究で実際にスレッドのトレースを行うた めに用いた Linux ftrace 及び ftrace を利用する Android Systrace について説明する.. 2.1

このため、都は2021年度に「都政とICTをつなぎ、課題解決を 図る人材」として新たに ICT職

ESET Server Security for Windows Server、ESET Mail/File/Gateway Security for Linux は

Another new aspect of our proof lies in Section 9, where a certain uniform integrability is used to prove convergence of normalized cost functions associated with the sequence

・M.2 Flash モジュール専用RAID設定サービス[PYBAS1SM2]とWindows Server 2022 Standard(16コア/Hyper-V)[PYBWPS5H]インストール/Windows Server 2019

題が検出されると、トラブルシューティングを開始するために必要なシステム状態の情報が Dell に送 信されます。SupportAssist は、 Windows

* Windows 8.1 (32bit / 64bit)、Windows Server 2012、Windows 10 (32bit / 64bit) 、 Windows Server 2016、Windows Server 2019 / Windows 11.. 1.6.2