同一性地位移行の追跡研究についての展望及び同一性地位移行モデルについての考察
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(2) 小沢. 70. 秀明. -仁・高木. 1.同一性概念 (1). Eriksonの人間モデル. 人間の心理及びその発達を考える上で,身体的側面及び社会的側面を無視することはで きない。. Erikson. (1963)はr人間は常に一つの有機体であり,一つの自我であり,一つ. の社会の一員であって,組織化の三つの作用のすべてにかかわりをもつ--・身体作用・自 我の作用・社会的作用の三つが,実は一つの作用の三つの側面である。その一つの作用と Eriksonほ,身体. 紘,とりもなおさず人間の生活のことである+と述べている。つまり, 的・心理的・社会的存在として,人間を捉えているといえる。. ( 2). Eriksonの心理社会的発達段階及び危磯. Erikson. (1959)紘,身体的に乳児期から老年期まで成長し,他者及び社会と関わる,. 人間の心理的側面即ちパーソナリティの発達を,. Freudの心理性的発達段階をべ-スに,. 心理社会的発達段階として提唱した。パーソナリティほ,各発達段階において,身体的心 理的及び社会的変化により,各発達段階に固有の危機を迎える。これを,心理社会的危機 とした。. ここでいう「危棟という言葉は,. -・-発達論的な意味で,. --・破局という脅威を含意す. るものとしてでほなく,一つの転換点を,即ち,一層傷つきやすくそれだけに潜在的能力. が拡大する重要な時期を--含意するものとして用いられている(Erikson,. 1967)+。そし. 「喜藤を乗りきり危機を克服するたびに,内的統一感の増大,良. て,パーソナリティは,. き判断の増大,また,1自分自身の基準や,自分にとり重要な意味をもつ人々の基準からみ do. 1967)+。つまり,心理社 well”能力の増大をもたらす(Erikson, 会的発達段階における危棟とは,パーソナリティがさらに成長・発達していくための節目 て=うまくやるto. であるといえる。. (3)青年期の同一性危榛 同一性の感覚とほ,. 「--自分の自己同一self-samenessと連続性continuityの直接. 的な知覚と,他者が自己の同一と連続性を認知している,という事実の同時的な知覚+で あり「確かな未来に向かっての有効な歩みを今自分は学びつつあるという確信-・・・自分が 理解している社会的現実の中には.っきり位置づけできるようなパーソナリティを自分は発. 達させつつあるという確唐+. (Erikson, 1959)のことである。つまり平易な言葉で言うと. 「自分ほこれでいいんだ,そして,こういう自分をみんなも受け入れてくれている+とい. う感覚であるといえる。 児童期から青年期に入ると, 「急速な身体的成長と全く新た紅加わった身体的な性津的 (Erikson, 1959)の変化が生じ,そのために,児童期まで維持し 成熟+と「社会的役割+ ていた同一性の感覚が括らいでくる.これを同一性危機という.この青年期においてパー ソナリティの直面する心理社会的危機は,同一性達成・対・同一性拡散の喜藤である。.
(3) 同一性地位移行の追跡研知こついての展望及び同一性地位移行モデルについての考察. 71. 同一性の感覚を喪失するかもしれないという,周一性危機の中で青年ほ, 「丁度,空中 プランコの曲芸士のように,ものすごい動きの真只中で,安全な幼児童期の横棒を離し て・成人の世界のもう一つ別の安全な横棒をがっちりとつかまなければならない(Erik・ son, 1964).+青年は,身体的な成長と第二次性徴により,身体的にも子供でをまなくなっ てくる。そして・学校からも,塊定の期間が過ぎれば卒業し,社会的にも子供であること が許されなくなってくるoそうして・青年は・大人になりはじめる。つまり, 「青年の成 長とは,たとえば,自然界において,巣立ちのできないヒナが,やがて自らの羽を信宿. し・生態的秩序の申で親鳥となっていくのと同じ過程である(Erikson,. 1967).+. (4)心理社会的猶予期間 身体如こ大人となった青年に対し・心理的にも・社会的にも大人となるための準備期間 が必要であるoそこで,. 「社会ほ・各個人の要康に応じて何らかの形で公認された子供時. 代と大人時代の媒介期間,つまり制度化された心理社会的猶予期間を捷供してしiる。 (Erikson・1959)+日本の社会においてほ・中学,高校,大学が,青年にとっての心理社会 的潜予期間であるといえる。 (5)同一性拡散 Erikson. (1959)は・青年期という「この発達段階におこる危険は,同一性拡散identity. di飢sionである+と述べているo小此木(1986)紘,. Eriksonが記述した同一性拡散に陥. った青年の特徴を次のようにまとめている。 ① 社会的自己定義の回避・延期 ②. 過剰な自己意識・無限な自分へのとらわれ. ③. 時間的展望の喪失. ④. 社会活動の麻痔・無気力化. ⑤. のみこまれる不安・親密さへの恐れ. (6)役割実験 青年は・同一性拡散に陥る危険に瀕しながらも,同一性達成をめざし,同一性危壊を乗 り越えようとする。. Erikson. (1959)ほ・. 「この危機に当っては,試行錯誤だけが行動と自. 己表現紅至る最も効果的な通路をもたらすことができ・・・・・・青年が,幾つもの断崖に身を乗 り出すのほ,正常な場合にほむしろ・その結果・自我の統制力がより有効なものになる詩 経験を得ようとする一種の実験である+と述べ・このような同一性達成をめざす青年の活 動を,. 「役割実験role. experimentation+とよんだ。. (7)青年期の同一性達成 Erikon. (1959)ほ・青年期及び同一性達成について次のように述べている.. 「青年期紅 ほ・性的には成熟した個体であっても,その親密さへの心理社会的な能力や親紅なること への心理社会的な準備ほ・ある程度遅野させられる。つまりこの時期紘,個体が,自由な.
(4) 小沢. 72. 秀明. -仁・高木. 役割実験を通して,その社会のある慈門に自己の適所を発見する血d 的猶予期間とみなすことができるo. a. niche心理社会. しかもこの適所は,実はがっちり社会から決定されて. いるにもかかわらず,本人には自分のためにユニークに.しつらえたもののように見える.. この適所を発見するや,この若い大人ほ,子供としての自己の存在と,これから自分がな ろうとしている存在とに橋渡しをし,自分自身についての認知と自分に対する共同体側の 是認とを一致させる内的な連続性と社会的同一の感覚を確証する。+ ′以上のことから,育. 年は,同一性危機を克服し,社会の中で大人としての自分の適所を発見することにより, 同一性の感覚を得卑といえるo. Shaw (1952)の次の言葉を引用し この適所について, Erikson (1959)紘,小説家のB. ている。 「たしかなのほ,誰でも人間ほ,自分たちの可能性を実現し,その影響を隣人に. まで及ばすまでほ,社会の中でかりそめの位置false. position. しか占められない・--つ. まり,何人も,たとえそれが自分の生まれに比べて,上であろうと下であろうと,とにか く自分にふさわしい自然な適所natural. placeを得るまでは心安らかになれない.+つま り,適所とほ,青年において,大人として生きていく自分にとってふさわしいと思え,か. つ社会(他者)からも認められる居琴所であるといえる。この適所とは,どのような領域 Erikson (1959)紘,民族,性,イデオロギー,職業,等におけ におけることであろうか。 る同一性危機について述べている.よって,これらが適所の領域といえる.同一性の達成 どのような領域が重要であるか をめざす青年にとって,社会の中の自分の適所として,-. ほ,時代背景,文化的背景,地域的背景,性差,及び個人の生育史において異なるもので Erikson. あると考えられる.しかし,. 「一般に若い人々を混乱させるのは,そ. (1959)が,. identityを決めることが不可能なことである+と述べ. もそも職業的同一性occupational. ているように,同一性達成における適所としては,職業における領域が,青年に.とって は,一般に重要なことであるといえよう.. 2.. (1). Marciaの同一性地位概念. Marciaの同一性地位. Marcia. (1966)紘,これまでの同一性に関する実証的研究は,. 合に生′じる特徴についての,自己評価self-ratings. 「同∵性が達成された場. を調査しているのであり,同一性の. 程度を判定するための心理社会的基準,及び同一性の直接的な行動における結果を扱って いなかった+と述べ,・より直接的に同一性にアプローチするために,. 「Eriksonの,心埠. 社会的課題としての同一性危機についての公式化formulationと一致する1新たな尺度 と基準を提唱した.それが同一性地位iqentityiStatuS及び同一性地位面接identity status. interviewである。. 同一性地位とは,青年期後期に起こるt r同一性危機に対する対処のありかたmode′of identity crisis (Marcia,-1964)+である。 MaTCia (1964)ほ,同⊥性地 90Pi甲With the 位を羊, 3つゃ領域においてや2つの基準に与って分類されるとしたo3つの鶴城とは,育. 年期の同一性達成における重要な領域としてEriksonの記述の中から選んだ職業・政治.
(5) 同一性地位移行の追跡研究についての展望及び同一性地位移行モデル紅ついての考察 ・宗教であり, Marcia. 73. 2つの基準とは,危機crisisとコミットメソトcommitmentである。. (1964)は政治と宗教を合わせ七,イデオロギ-の額域とよんでいる.. (2)日本版の修正 無藤(1979)紘,日本の大学生に同一性地位面接を施行し,その領域を修正した。日本 の大学生にとって,宗教は重要な領域ではないとし,その代わりに,価値観の領域を設定 した。. (3) ̄危機とコミットメソト 危棟とは,これらの領域で個人が,自分はどのような考えや方向をとるのかという選択 period+のことで についての「奮闘努力struggle又は意志決定期間decision一皿aking あり,コミットメソトとほ,これらの領域における自分の考えや方向という対象に対し,. 「投資investmentすること,選択が確かで(oらつかないこと,設定した方向を変えたが らないこと(Marcia, 1964)+である。 4つの地位. (4) Marcia. (1964)偲,この2つの基準により,同一性地位を次の4つに分類した. status (以下A地位とする)は,過去に危磯を 同一性達成地位identity achievement. 経験し,現在は危機を通して選択した対象にコミットメソトをしている。. (以下M地位とする)は,現在,危磯の最中であ. status. モラト.)アム地位moratorium. り,.コミットメソトはほっきりせず漠然としがちである。 フォ-タロ、-ジャ-地位foreclosure. (以下F地位とする)紘,′過去に危磯がな. status. いにもかかわらず,現在コミットメソトがある.コミットメソトの対象の選択ほ真剣に問 うことなく,親又は親の代理人のそれと一致している。 diffu-sion status (以下D地位とする)紘;過去において危榛 同一性拡散地位identity を経験している,又ほ経験していないが,どちらの場合でも,現在コミットメソトが持と んどない。. Table. lに同一性地位基準を示した。 Table. 職業並びにイデ オpギ-の状態. 同一性達成. 氏. コミ. ットメント. Marcia. l同一性地位の基準(Marcia,. あ. り. ぁ. り. フォークロージャー. 、な あ. し. り. 1980) 同一性拡散. モラト1)アム. あり或はなし. な. し. 雪空学祭警. (1964)紘,..「Eriksonの理論において,同一性達成と同一性拡散ほ,もともと. 両極にある地位+であり,. の4つの集中点+としている.. 4つの同一性地位は「自我同一性達成というひとつの連続体上.
(6) 74. 1ト択 一仁・高木. 秀明. (5)各地位の特徴 Marcia. (1980)紘,それぞれの同一性地位について,健康的healthy及び病理的patho1 1ogical両面の特徴をあげている。 A地位の者は,ほとんどの点で,強く,自己方向づけ的self・directedで,とても適応 的である。しかし・あまりにはやくコミットメソトを固定してしまい自らの最終的な適応 を制限してしまう早熟なpre皿ature者もいる。 M地位の老は,敏感である,又ほ不安にかられている。とても倫理的又ほ自己中心的な. 正義感をもっている。柔軟性がある,又は優柔不断である。 F地位の者は,確固としている,又は懲り固まってrigidいるo. コミットメソはあ. る・又ほ独断的である。協力的,又ほ同調的である。. D地位の者は,陽気である,又は不注意である。魅力的である,又ほ精神病理的であ る。独立的である,又は分裂的である。. (6)同一性地位面接. 個人の同一性地位を測定するための方法が,同一性地位面接である.個人における各領 域の危機とコミットメソトの有無を調べるために,あらかじめ決められた質問項目に従っ て,面接は行われる.この面接は・. 1966)であり・面接は・. interview+ 「半構造化面接semistructured (Marcia, 「あらかじめ決められた質問項目を尋ねることと,その個人を分. 類するのに充分な情報が得られたと,面接者が確信をもつこと+. (Marcia, 1964)によって 終了する。つまり・面接者は・あらかじめ設定された質問項目をもとに,被面接者の各領. 域における危磯とコミヲトメソトの有無が明確紅なるように,その個人に合わせて質問を 行う。そして,面掛i,評定のためにテープに緑青される.. (7)同一性地位評定の方法 同一性地位の評定ほ次のよう紅して行われる○面接を緑青したテープを再生し,各領域 ごとに,危機とコミットメソトの有無を評定し・同一性地位を評定する.そして3つの額 域の同一性地位から,個人にとってひとつの全体的同一性地位を評定すろ。この全体的同 (1964)紘, 「全体的同一性地位を評定するための 一性地位の評定方法について, Marcia 厳格な基準はないo評定ほ面接からの全体的印象を受払 3つの領域の算術的合計に,厳 密には一致しないこともある。これらの直観hunchesほ,価値のあるものであり,誤っ た厳密さという目的のために・必ずしも,捨て去るべきではない。もちろん,多くの場合 最終的な同一性地位は領域の合計を反映するだろう. (しかし)臨床的判断を,働かせ,袷 て去るベきでないことを明確にしておかなければならない+と述べているo (8). Eriksonの同一性理論の中での同一性地位の位置付け. Marciaの同一性地位は, であろうかo. 1・. Eriksonの同一性理論の申で,どのように位置付けられるの. (7)で・青年靭における同一性の達成とほ,社会の中で,大人として生き. ていく自分の適所を発見することであり,そのことによって,同一性の感覚を得ることで.
(7) 75. 同一性地位移行の追跡研究についての展望及び同一性地位移行モデルをこついての考察 あるとまとめた。. どのような境域における大人としての適所かについては,職業,政治,性,民族,等を Eriksonはあげている。. Erikson. (1967)紘,同一性を達成するために「青年は想像でき. うる限りすべての関係の中から,しかもその選択の範囲が徐々に縮小してくる関係の中か ら,人格的,職業的,性的,イデオロギー的なコミットメソトを選びとらなければなら. (ない)+と述べている。これらの領域は,大人として生きていく上で,社会の個が,青年 に意志決定を迫る領域である。. Marciaは,この中から職業,政治,宗教を抽出したので. ある.同一性の達成とほ大人としての自分の適所というコミットメントの対象を選択する MarciaのA地位の基準である危磯を通してコミット ことであるといえる。このことは, メソトすることである。つまり,大人としての自分が選んだ対象にコミットメントすると. いうことほ,大人としての自分の適所を発見したということができる。危棟を通して自分 の選んだ対象紅コミットメントすることは,その対象に対して,投資し,それを変えたが らないことであり,そのことはまさに,適所を発見した者のとる活動の姿である.このよ うにMarciaほ,その危壊とコミットメソトの内容と基準を明確にし,謝定可能にしたと いえる。. 3.同一性地位移行についての追跡研究 Marcia. (1980)は,同一性地位概念の利点を,. 「Eriksonが,単に同一性(達成). ・対.. 同一性混乱(拡散)とした2分類より,様々の同一性の問題に対する対処の様式を提供す る+ことにあると述べている.そうであるならば,同一性達成のプロセスについても,よ り詳しいものが,同一性地位の研究から得られることが期待できると考えられる。また, 多数の者を横に切って,発達のプロセスを推測する横断的方法より,サンプル数ほ少ない が,個人を実際に追跡し,発達のプロセスを明らかにする縦断的方法の方が,実際に起こ った発達のプロセスをたどることができるという点で,有益であると考えられる。以上の 2点の理由から,ここでほ,同一性地位を扱った縦断的研究を見てみる。 (1). Watermanの追跡研究. Waterman. &. Waterman. (1971)紘,大学1年生に入学した時と1学年の終りの2度,. 同一性地位面接を行い,大学入学から1年後にかけての同一性地位の移行を詞べた. Watermanらほ「職業とイデオロギーの地位の変化の発達的パターンほ異なり,全体的 同一性地位を用いるとその差がわからなくなる+という理由で,職業とイデオロギ「. (政. 治と宗教)の2つの領域ごとに分けて,同一性地位の1年間の変化を調べたo彼らは,全 体的同一性地位も評定したと述べているが,論文にほ載せていない。 引き続いて,. Waterman,. Geary. &. 春期に3度目の同一性地位面接を行い, 調べた。この2つの研究の結果をまとめて,. Waterman. (1974)紘,同じ被扱者に対し,. 4年の. 1年の終りから4年時までの同一性地位の移行を Table. 2に示す。.
(8) 76. 小沢 Table. 2. -仁・高木. 秀明. 大学1年次から4年次の同一性地位の人数(Watermanら,. 1971,. 1974より). <職業の領域>. 1年の始め. 11 12. り. 1年の終. ト6,. M. F. 11. 23. 22. +7). (-4,. 22. +15). (-8,. 4年時に面接で きた者のゝ1年の 終り 4. 21. +7). (-16,. 17 19. 年の春期. 32. 0. (12,. +14). (-8,. 15. 14. +0). (-5,. +5). 14. +2). (-8;. +7). <イデオt=ギ-の領域> M. 1年の始め. 20. 8. 14. り. 1年の終. (-13,. F \. 38. 8. +7). (-6,. 31. +6). 4年時に面接で きた者の1年の 終り 4. (荏). 年の春期 ( 示す。. ,. 14. (-16,. 27. +9). (-6,. +19). 19 1. 20. (-o,. +15). (-4,. 17. 7. +1). (-13,. 17. +1). (-5,. +5). )内の数字は,マイナスが各地位から退出した人数,プラスが各地位Qこ入った数を. このように,大学1年の始めから終りでは,職業の領域においてM地位が増加し, 位が減少したoイデオpギ-の領域ではD地位が増加した。これらの結果を,. D地 Waterman. らは,次のように考察している。職業の領域でM地位が増加し, D地位が減少したとい う結果は, Eriksonの理論における同一性の達成に向かい発達が進んだといえる.しか し,イデオロギーの領域における結果は,同一性達成とは逝の方向-の発達である.これ は,. 2つの領域において同時に同一性形成が行われることにほ限界があり,まず,、職業の 領域を解決してから,次にイデオpギ-の問題に向かうのであろうとしている。加えて, 1年の始めにA地位であった老のうち,. 1年の終りにA地位から出ていった老が両領域に. おいて半数以上いたことから,大学という環境で新しい見方に触れ,再考した結果だろう としている。. この研究でほ,同一性地位移行の先行要因を明らかにするために,家庭からの独立と文 化への興味の2つを, 1回目の面接時に調べている。結果は,イデオロギーの領域で, 回目,. 2回目ともにA地位であった者の方が,. 2回目でA地位を出ていった老より,家庭. からの独立と文化-の興味の得点が有意に高かったoまた,職業とイデオpギ-の両方の 領域で, 1回目と2回目がともにF地位であった者の方が, 2回目でF地位を出ていった. 1.
(9) 77. 同一性地位移行の追跡研究についての展望及び同一性地位移行モデル軒こついての考察. 者より,家庭からの独立と文化への興味の得点が有意に低かった。 次に,. 1年の終り.から4年次への,同一性地位の移行をみてみる。. 妖では,職業の領域で,. A地位が増加し,. 1年の終りから4年. M地位が減少した。イデオロギーの領域でほA. Watermanらほ,職業とイデオロ 地位が増加し, F地位が減少した。これらの結果から, Eriksonの理論と一致し, ギーの両方の領域でA地位が増加したことは, 1年次から4年. 次にかけての強い前進的な発達を示しているといえ,また,先の研究で佐定した,職業の 解決の後にイデオロギーの解決が行われるということも確かめられたとしている。以上の Rensselaer. Polytechnic. lnstituteという大学に所属する学生 一連の研究での被験者は, であった。この大学は,エンジニア系志望の老が入学するものである。このためサンプル. の特殊性が結果に影響を与えていることも考えられると述べている。 Waterman & Goldman & Waterman (1976)紘,先のWaterman Geary. man,. &. Waterman. (1971)とWater・. (1974)で得られた結果について,一般化できるものか,それ. ともサンプルの特殊性が影響を与えているのかどうかということを確かめるために,異な Collegeという名前の小さな教養大学smal1 ったサンプル(Hartwick 1egeの学生)を用いて,削ぎ同様の追跡調査を行った. 1回目の面接は, から5週間以内に,. 2回目の面接ほ,. liberal. arts. cold. 1年に入学して. 4年次の後半に行われたoこの研究では職業,政治,. 宗教の3つの領域ごとに結果を出している。これをTable. 3に示すo. A地位が増加し, 1年の入学時から4年にかけて変化のあったものは,職業の領域で, F地位が減少した。政治の領域では,有意 M地位とD地位が減少した。宗教の領域でほ, Table. 3. 大学1年次から4年次の職業及びイデオロギー額域の同一性地位の人数 (Watermanら, 1976より) <職業の領域> A. 始 1年 年の後半. め. 5. M. F. D. 13. 16. 20. 2. 19. 11. 22. 4. (-1,. +18). (-13,. +2). (-6,. +9). (-14,. +5). <宗教の領域> M. A 1 4. 年. 始. め. 年の後半. F. D 14. 13. 6. 19. 17. 7. 9. (-6,. +10). (-5,. +6). (-12,. 19. +2). (-6,. +11). <政治の領域> A. 始 1年 4 年の後半. め. (. ,. な示す。. D. 13. 2. 8. 26. 14. 2. 8. 25. (-7, (注). F. M. +8). (-2,. +. 2). (-6,. +6). (-10,. +9). )内の数字は,マイナスが各地位から退出した人数,プラスが各地位狂人った人数.
(10) 78. 小沢. -仁・高木. 秀明. な変化を示した地位ほなかった。 また'同一性達成(地位)へり移行の要因を調べた結果, 4年次にA地位になった者は, 化-の興味の得点が高かった。 った老のうち,. 1年の入学時にA地位でなか. A地位にならなかった者より,. 1年次に文. Watermanらは,. 2つのサンプルでともに1年から4年にかけてA地位の者の度数が 増えたことが示されたことから,このEriksonの心理社会的発達理論と一致した結果ほ かなりの程度,一般化できるものであるとしている。 また,両方のサンプルにおいて, A地位になった老は, ったことから,. 1年の入学時にA地位でなかった老のうち,. A地位にならなかった老より,. 4年次に. 1年時に文化への興味の得点が高か. 「様々な文学や芸術-の関心ほ・・-個人を新しい考えにさらすことによっ. て,同一性危墳を引き起こす働きをするであろう。同時に,文学や芸術作品の内容は,可 能性のある解決を示唆し,個人自身の考慮を助けるだろう+と述べている。 Watermanらは,. 1年次から4年次にかけて同一性達成の老の数が有意に増えたこと を'前進的な発達といえるとしているが,各領域でのA地位の比率は50Yo以下であり, やはり,同一性を達成することは困難なことであると言わざるを得ない。また,各同一性 地位の度数の変化ほ,示されているが,どこの地位からどこの地位へ移行したのかほ示さ れていない。同一性達成-のプロセスを明らかにするには,地位の移行をたどることが重 要であ、ると考えられる。 以下'地位評定について考えてみる。このWatermanらの一連の研究について見てみ ると,職業とイデオロギーの領域ごとに,又ほ職業と政治と宗教の頚城ごとに,同一性地 位を評定している。. Watermanらが述べているように,発達ほ領域ごとに異なる場合が. あるので,それを明らかにするという目的には,この領域ごとの評定は有効である。しか Erikson し,青年期に達成される同一性そのものは, (1959)が「同一化群の総和以上の 新しい独自のゲシュタルト+といっているように,本来分割すべきものでQ羊ないo. 確かにMarciaが,マニュアルの中で述べている全体的同一性の産出方法ほ,あいまい なものである.また,. Raskin. (1984)紘,同一性地位研究の方法についての検討を行い,. 全体的同一性の評定方法において,各研究者が,おのおの異なった方法を使っていること. を指摘している。しかし,同一性という概念が「測定という目的のためにあまりに狭く定 義されたものを意味し,そのためにそれのもつ全体的な意味合いが失われ,何か他の名称 で呼んでもよいような,あいまいな用語+. (Erikson, 1959)に陥らないために,個人をひ. とつの同一性として捉える全体的同一地位性は,捨てるベきでほないといえる。領域ごと. に達成が異なる場合でも,個人においてのひとつの全体的同一性地位で,考えていくべき であり,さらに個人のひとつの同一性のまとまりの中に,ある領域での達成が組み込まれ, 次乾生じる別の領域での達成も,そのひとつのまとまりの中に組み込まれていくというモ デルをもって考えていくべきであろう。 (2). Marciaの追跡研究. Marcia. (1976)紘,. 6年前大学において同一性地位面接を受けた老に,再び追跡調査を.
(11) 79. 同一性地位移行の追跡研究についての展望及び同一性地位移行モデルについての考察 Fig.. 行った.その結果を, 6. 年. 書 のJL. (. 7. ). (. 9. ). 位(人. ′. A. 一. F. ヽ. F/D. ′. H. -. F. ヽ. F/D. ( (. k 3. (. (. ). ∼. 6. 年. 銑. ) ). 3. (. Fig.. 荏). 1に示す.. 1. の. 地 位(人. (. 7. ). ). ). 2. 3. ) (. 4. (. 7. ). ). 1同一性地位の移行(Marcia,. た) ′. A. く ∋. 一. F. (. ヽ. D. 2 く 2. (. ′. A. 一. F/D. ヽ. D. ) ). ). 1. ). ( (. 2 ). 4. ). 1976より). F/D地位とは,二つのタイプがあり,一つはF地位からD地位-変わりつつあるも. の,もう一つは,. D地位からF地位へ変わりつつあるものo前者ほ,親の権威に従って きたが,その効力がなくなり,拡散状態になりつつあるもの。後者は,拡散状態にあっ. たが「潜れるものは藁をも掴む+という聴えのように,親の権威にすがりつつあるも の。 (Marcia, 1976) この結果から, M地位が最も変わりやすく,また,大学時代のA地位は,その後維持さ F, D地位の者) れるとほ限らない.そして,大学時代に同一性を達成しなかった者(M, が,その後も同一性を達成しないとは限らないoまた, 年後にF地位に移行したことは,. A地位とM地位であった者が,. 6. MarciaのF地位の定義とは異なる結果である.. M?rcia自身「危機を経験しているF地位+という,本来のF地位の定義とは異なった 結果に動揺したらしく,. misjudgeしたのでほないかと疑ったが,これほど多くの者が誤っ 「同 て評定されることはありえないとし,この「危壊を経験しているF地位+について, 一性形成過程における凝固化rigidifying+が起こったのでほないかと以下のよう紅述べ ているo 「彼らは,大学時代に職業を巡っての意志決定を経験してきたが,一度働き始め るとフォ-タロ-ジャ-的イデオロギーにもどってしまい,職業的進歩の上で狭まったラ. イフプランを考えてしまっている--同一性地位の問題点は同一性地位は静的staticな 性質をもち,そして,同一性は決して静的ではないということにあるo最も襲いrigidな フォークロージャー地位の着でさえも,それぞれのライフサイクルの問題に対して自分自. 身を幾分調節しなければならない。同一性地位評定においてほ,もともと過程的側面が常 にあり,被験者についてただ記述することボできもだけで,予謝することほできないo+ 暗黙のうちには,将来にわたって安定的であると考えられていたA地位は,実際にほ決 して安定的ではないことがわかったように,すべての地位についても,未来において安定 的・固定的でほないといえる。これらのことから,同一性地位は,過去から未来にわたっ て4つの地位すべてにわたって変化していくべきであり,とらえられるものは,現時点で Marciaは, のことのみであるといえる。そして, 「危機を経験したF地位+については, 先紅述べたように「同一性形成過程紅おいて凝固化+が起こったとし,. 「同一性地位カテ.
(12) 80. 小沢. 秀明. -仁・高木 ̄. t. ゴ1)-を新たにつくるのでほなく,進行するプロセスや次元(硬さ-柔軟さ,開かれた閉じられた)に関して同一性を考えていくことが生産的であろう+と述べている。このこ とは,個人の身体的・心理的・社会的変化によって変化していくも ̄のとして,同一性地位 をとらえることが有効であることを示している。. 以下,地位評定について考えてみる。. 6年前に,. M地位やA地位であった者が,. F地位. に移行したという結果は,地位評定の基準について再考する必要があることを示唆する。 これらの老は,. 6年前ほ,過去に危機があった(A地位),又は今危検にいる(M地依)と 評定され?その後の面接でほ,過去に危機はない(F地社)と評定された。これは,実際 に個人が過去その時点で迷っていた悩んでいたということより,現在において過去を振り 返って危棟があったかなかったかという回想によって,過去の危機の有無の評定がなされ ていたことを示しているo. このように,個人の過去の危機について,回想と過去の事実と は,異なることもあり,過去の危枚の有無という評定の基準の再検討が,求め'6れるo. 4.同一性地位移行モデル 同一性地位の移行モデルは・いくつか提出されてやり・ここではそれらを紹介し・同一 性達成の過程,及び同一性の発達について考えてみる。 (1). Watermanのモデル. 同一性地位の発達モデルについて, それをFig.. Waterman. (1982)は図式化したモデルを提示した。. 2に示す。. Waterman. (1982)紘;このようなモデルの有効性は, (1)どのパタ,-ソがどれくらい 多いかとい・う,発達経路の相対的頻度を明らかにすること,- (2)どのような環境が同一性 形成に影響を与えるのかという,経路の選択に影響を与える環境を明らかにすることに用 いられることであるとしている。このモデルを,. 同一性の達成の過程を知るという観点か. ら見た場合,ただ単に地位を結んだのみであり,. 地位が移行する上での過程凌説明するも ・A. F. D∼D. ----→. A. →A. ど. D. Fig.. 2. 自我同一性発達の継時的モデル(Waterman, (自我同一性地位の移行モデル). 1982).
(13) 81. 同一性地位移行の追跡研究についての展望及び同一性地位移行モデルについての考察 Marcia. のではないといえる.また,. (1966)は,各地位は一次元上に並ぶとしており,. Watermanのモデルもそうなっている。しかし,各地位は一次元上に並ぶというよりも,. 質的な違いがあると考えられる。 Waterman (1982)は, 「M地位(又はA地位)からF地位-の移行は理論的には起与り 得ないo一度,同一性危機を経験した老は,もはやF地位と定義することはできない.た とえ,危機以前に持っていた目標や価値観にもどったとしても+と述べ,危機を経たF地 (1976)の追跡研究で, M地位やA地位からF 位を認めていなし,。このことから, Marcia Watermanの評定の方法によると別の地位に評定さ. 地位に移行したと評定された者ほ,. れてしまうだろう。この点も,このモデルの問題点といえる。 Ⅶ ̄hitborneのモデル. (2). Whitborneら(1979)紘,. 「同一性地位ほ,成人期全体を通して変化する出来事に対す. る対処のありかたとして考えられる--が,過程としても考えられ--このことほあるひ とつの領域において問題の解決に至るまで,個人ほいくつかの地位を移動していくという ことを意味している+と述べ,同一性地位を「解決に向かってや連続的な階段sequential steps. toward. resolution+として捉えた。そして,個人の危機の認知及び危機をどの程 度解決したかに着目し, Fig. 3のような図式化を行った。 Whitborneらは,この図式を成人の同⊥性地位移行として述べているが,青年期にも (1982)のものと比較. 適用することができると考えられる。この図式を,先のⅦ ̄aterman すると,. Watermanの図式が,地位と地位とを単に線で結んでいるだけであるのに対し,. 地位の移行を危機の解決の程度で説明し,より詳しいものとなっている。. 巨. なr危執事虫. I. 人 の. 個. と 見. 危機. 故. 知. 危稚. な す. ラ. ト. リ ア. ヽ. き れ た:. ・同一性達成. 解決. ・フ. さ. れ. な. ーー. タ. ロ. 1. ー. ジャ. い1.. (内心を ト. リ. (依然と. ア. ム. あ る). し て危稚に タ. ・フ,-. ・同一性達成 (すでに解決さ. (内心を. 向 けない). ラ. ロ. -. ジ. ャ. ー. (包んだ安易な解決). Fig.. 3. らな. い:. ー. れた). ・同一性拡散. ・同一性拡散. モ. い. 岡津にな. 危秩の否定:. ム. ′. 解決. さ な. 1. I モ. 見 な. と. 成人の同一性解決の階段(Whitborneら,. 1979). 向 けな. い).
(14) 82. 小沢. Whitborneら(1979)は・ easy. resolution. 秀明. -仁・高木. F地位の者の危壊の解決のありかたを,. 「望んだ安易な解決. desired+としており,このような見方がMarcia. (1976)の, 「大学時代. は達成であった老がフォークロージャーになったというー見してつじつまの合わない発見 を説明するもの+であると述べている。. このように・危換後にかつてのコミッ>メソトの対象に戻ったとした場合, 選択が,親の期待であったかもしれないが,自分自身の条件でon one's 決している+. (Marcia・ 1964)と判断できなかったならば,. 「最終的な. terms解. ovn. A地位とほ評定できず,. F地位. と評定すべきであると考えられる。 (3)危機後のフォークロージャ-地位と小沢のモデル Marcia. (1964)が,. F地位の特徴として,コミットメントの選択は親のものと一致して. いると述べていること,及び,加藤(1983)が, F地位を「成立の過程を重視して権威受 容+と訳したことを考慮し,小沢(1987)は,危機を経験した後,親の期待を受け入れて t2ミヲトメソトの対象を決定してしまった2名の老を「危機後のF地位+と評定したo加 えて,. 「危機後のF地位+の者は,心理的離乳(自分についての自立意識)について,氏 榛のないF地位の者と同様に,心理的離乳をしていないという結果が得られた。 F地位の 評定は・危磯の解決のありかたとJ亡♪理的離乳(自立意識)の有無を考慮することが有効で あると考えられた(小沢, Fig.. 1987)。小沢(1986)は地位の移行と危機の解決のありかたを,. 4のように図式化した。. これまでの研究の中から,危機後のF地位と評定されたものを挙げてみる。芳川・園田 (1985)は,大学生(女性)に1年後再び追跡調査を行ったところ, A地位であった者(6 名)のうち1名がF地位に, Cote. いう結果を得た。 Identity. Crisis. Modality. M地位であった老(7名)のうち1名がF地位に移行したと (1986)は,過去と現在(及び未来の予想)の危機を測定する, Chartを作成し,同一性地位との関係をみたところ,. (31名)のうち11名がIdentity. Crisis. Modality. Chartによるとcrisis. groupであった。この着たちほ危機後のF地位であると考えられる。一方,. 免. E3. 租. ∬ 志. 轟. 辞. 決. 決. 定. 抑. 両. 主. 体. 的. に. 軌. の. い. く. よ. う に. #. *. *. 虎・外. を 空. 事. す. 辛1*. る. こ. ostensibly. over. A地位(46. ♯. 的. F地位. A. 地. 位. F. 地. 位. D. 地 位. と. ∬. M. に. 地. 取. り 姐. tT. 位. Fig・. 4. 決 に. 未. 解. 決・辞. こ. と. を 丑 兼・決. 取. り 租 tr. 発. し な. い. M地位からの移行と危機の解決のあり方(小沢,. 1986).
(15) 83. 同一性地位移行の追跡研究についての展望及び同一性地位移行モデルについての考察. 名)のうち7名がnocrisis. Crisis. groupに分類されたoこのIdentity. Modality. Chart. はユニークな興味深いものであるが,后療性,妥当性に問題があるといえるo岡本(1986) 紘,. 41-56歳の老(男女22名)に対し,回想をもとにした青年期の同一性地位と現在の 中年期の同一性地位の関連を調べたo青年期にA地位であった老(8名)のうち3名が, 現在の中年期ではF地位であったという結果を得た。この研究ほ,過去の回想をデータと CoteのIdentity Crisis Modality しているため, Chartと同様匠実際とほ異なっている こともありうるであろうが,同一性地位の青年期から中年期-の移行という長いスパンを. 扱っているという点で興味深いものといえる。. 5.同一性達成のプロセス 最後に,. Eriksonの記述に戻り,同一性達成の過程と同一性の発達について考えてみ. る。. Eriksonほ,同一性危検から同一性達成-青年が成長する,その同一性達成プ七セスを どのように述べているのだろうか。. 1.で述べたErikson■の同一性概念のまとめから言う. と, Fig.5のようになる。 <. <. 河. 一. 位. 危. 8. >. -. <. Fig.. 5. FI. <. Pl. -. 性. PI一. 也. ▲. JR. >. <. 粥. 兼. ■. >. -. 拡. 銑. 牲i*成・村・同. tk. >. ・. 性拡. 一. <. 青. 史. 輯. R[. 世. 位. -. の. 書. 書 >. >. Eriksonの記述から抽出した同一性達成のプpセス. 同一性達成の安定性vLついて, 的なものでないことを考えてみるo. r. A地位が決して安定. まず,一度到達し. I. たA地位,つまり,同一性達成が将来いつかくずれて (1959)が, しまうことがありえるだろうか。 Erikson. 缶I一. A. 書決 ′. a. 亀. 8t. I. 「人間にとって心理的に生きつづけるということは,. -. JF 洪. ノ■. 4:札. ちょうどその身体が身蕗的な衰えという脅威に対し. 一. 書 決. ′ 亀. て,休みなく戦わなければならないのと同じように,. これらの(各発達段階特有の心理社会的危機という). *. ′. Fig.. 6. 8. Eriksonの発達モデル.
(16) 84. 小沢. 秀明. 一仁・高木. 葛藤を休みなく解決することである+と述べていることから考えると,. Eriksonの発達・ 成長モデルは,く危機⇔解決)の繰り返しであるといえる。このことを図にすると, Fig.、6. のようになる。 Erikson. (1973)は,青年期における心理社会的危機である同一性危機の解決によって得. られる同一性達成について,以下のように述べているo. 「過ぎ去った時代にあったような. ・・.・・・完全に調和的な静的な堅固なアイデソティティを獲得すること紘,現代のわれわれに はもはや不可能だということをはっきり認識する必要があるだろう。事実,われわれが今 日'アイデソティティの過程にこれはどまで自己意識的になりだしたのも,恐らくここに 原因があるのだo. (アイデソティティの)基本的な構造は青年期に形成されるのだ. ・・・-. が,その構造は必ずしもあらゆる変容をきっぱりと締め出すといったものでほないo. ・・・・・・. つまり,アイデソティティの発達は青年期に決定的な方向づけを与えられるとほいえ,そ こですっかり終わってしまうものではない.+このように一度達成された同一性も,より 成長・発達するために危棟に陥ることを免れることはできないといえる. Eriksonの心理社会的発達段階説によると,人間の生涯を8つに分仇それぞれ8つの 危機があるとした。岡本(1987)は,同一性の発達ほ螺旋状に進んでいくと考えるべきこ とを指摘しているoさらに,同一性達成・対・同一性拡散という青年期の心理社会的危榛 の解決は,これまでの研究で示されたように,一度でなされるものでほなく,頻繁に危機 と解決を繰り返すものであると考えられる=1. 以上のように,同一性達硬の過程のモデルを考える上でも,同一性達成に向かうー次元 的・直線的モデルではなく,危機と解決が繰り返されより高い発達に進んでいくことを表 現できる螺旋状のモデルを設定していくべきである.そして,今後,螺旋状にどの方向に 向かっていくのか,そして何がより上のレベルになるのかということを明らかにすること が求められる。 引用文献 Cote,. J・E・. 1986. Identity crisis modality: crisis. Journal of Adolescence, E. H. 1959 PsycbologlCal issues:. a. identity Erikson,. ロniversities. Press. (小此木啓吾訳編1973. tec血ique. for. assessing. the. structnre. of. the. 9, 32ト335. Identity. the. and. Life. Cycle.. international. 自我同一性-アイデンティティとライフサイク. ルー誠信書房) Erikson,. E. H.. 1963. Childbood. Society.. and. Now. York,. Norton.. New. York,. (仁科弥生訳1977. 幼児期. と社会 二版. みすず書房) Erikson, F・Ⅲ・ 1964 Insight 洞察と責任 誠盾書房) Erikson,. E・H・. 1967. Responsibility.. and. Identity:. Youth. and. Crisis.. Nev. Nortoム. (鐘幹八郎訳1971. Yorlこ, Norton.. (岩瀬庸理訳1973. アイデンティティー青年と危磯一金沢文庫) Erikson,. son) Marcia,. E・H・. 1973. Rikan. Enterprises. J・ E・. lisbed Marcia.. Search Ltd.. 1964. Determination. doctoral. dissertation,. ∫.E・. sonality. In. 1966 and. Development SocialPsychology,. of. Common. Ground.. (近藤邦夫訳1975. (With. construct and validity Ohio State口niversity.. and. validation 3, 55ト558.. H.P.. エリクソソVS.. of. of ego. e宮0-identity. Newton ニュートン. identity. status.. and. Kai. Erik-. みすず書房) status.ロnpub-. Journal. of. Per・.
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