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協同組合間の提携について

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(1)

協同組合間の提携について(波光)

協同組合をとりまく経済情勢の変化は︑市場開放・国際化が

具体的に進展するとともに︑円高の定着・高度な情報サービス

産業の発展などにより︑産業構造の変化が一段と加速されてい

る︒とりわけ︑第一次産業における影響は大きく︑農産物の自

給率の著しい低下などに現われている︒

農業・漁業生産者に対する市場開放としての輸入自由化は︑

は じ め に

協 同 組 合 間 の 提 携 に つ い て

9 9 9 9 9 9 9 ,  

•99999999999,

一 研 究 ノ ー ト

︳ ︳

r 9,

' , ' , ' , ' , , ' , ' , ' ︐

' , ' ︑ ' , ' ,

' ︐ ' , ' , ' , ' , A L

二 九

牛肉・オレンジに代表される日米の合意後もなお進展する動き

にあり︑最後の砦ともいえるコメにまで迫っている︒

漁業においては︑産地魚価の低迷・漁業就業者の高齢化等︑

種々困難な問題に直面している︒円高下の水産物輸入の急増は︑

エピに代表される極端な現象などとともに︑国際的にも波紋を

呼ぶとともに︑国内水産物の消費流通構造に大きな変化を与え

(l ) 

てい

る︒

こうした動向に対して︑農協︑漁協においては︑地域生産振

興を基本としてその政策の転換・再構築をすすめており︑農協

9 ‑3‑409 (香法'89)

(2)

では︑﹁第一八回全国農協大会﹂を開催し︑ニ︱世紀へ向けた取

り組みを確認し︑農業生産コストの低減︑

3

H農業の確立など

消費者により理解される対応を進めることとしている︒また漁

協では︑一九八九年︱一月開催予定の﹁第三回全国憔協大会﹂

に向け︑漁協事業の整備強化に重点をおく組織の再構築を念頭

に協議を進めてきている︒

生協においては︑﹁第四次全国生協中期計画しの最終年度を迎

え︑計画の到達点を高めるべく活動を強化するとともに︑ニ︱

(2 ) 

世紀ビジョン作りに着手している︒わが国においては、農協・漁協・生協•森林組合の各協同組

合運動相互の連絡提携︑共通問題の解決︑国際協同組合運動と の緊密化等を目的として︑昭和三一年二月に日本協同組合連絡

(3 ) 

協議会

(J

JC

)

が設けられている︒

(4 ) 

国際協同組合デーは︑﹁全世界の協同組合員が心を︱つにして

協同組合運動の発展を祝い︑平和とよりよい生活を築くために︑

運動の前進を誓いあう日L

として︑毎年七月の第一土曜日と定

められている︒

JJC

は︑第六七回国際協同組合デーを記念し

て全国各地で活動を強化するよう呼びかけ︑これをうけて協同

組合間提携推進事務局長会議︵全中・全農・全漁連・日生協︶

は︑﹁協同組合運動の意義を再確認しあい︑協同組合間の提携・

(5 ) 

協力関係を一層前進させる観点から﹂︑関係組合に対し玉第六七 へ向けた 回国際協同組合デー虹のキャンペーン推進﹂を呼びかけたのであ

る︒

ちなみに︑右キャンペーン推進要綱による﹁推進の重点﹂は︑

次のとおりである︒

①農協・漁協•生協の各系統組織で各関係部署をまとめて、

CA.JJCの宣言に沿って虹のキャンペーンの企画をつくり

あげるよう働きかけを強める︒

切事業企画の中には︑地域に密着したテーマを設定するととも

に︑地域特産品︑生鮮食品︑多獲性魚︑Aコープ・コープ商品

などを重点的にとりあげ︑キャンペーンに厚みをもたせる︒

③キャンペーンの中心になる重点品目を各系統組織毎に選定

し︑連合会は地区別共通目標品目の選定について︑その可能性

を追求し︑それらに対する必要な販促活動を行う︒

④各県は︑自主的に県段階のテーマを設定し︑県段階でのキャ

ンペーン推進の場をつくりあげる︒﹁協同組合間提携推進対策

(│

︱九

0

年代後期の運動課題と実践方向ー︶﹂の実践︑具体

化に向けての諸対策をこの時期に講ずるとともに︑ニ︱世紀を

展望した協同組合運動の強化など第一四回協同組合間提携全国

研究集会(‑九八九年九月一三日\一四日・神奈川︶

準備に取り組む︒

⑥各全国連合会は︑この要綱を受けて︑独自の推進方策を設定

三 〇

9 ‑ 3 ‑410 (香法'89)

(3)

協同組合間の提携について (波光)

香川県では︑﹁国際協同組合デー記念かがわ虹のつどいL

が ︑

一九八九年七月一日︑香川県農業協同組合中央会・香川県生活

協同組合連合会・香川県漁業協同組合連合会の主催のもとに開 催され︑このつどいには香川県生活協同組合連合会︑香川県漁 業協同組合連合会︑香川県信用漁業協同組合連合会︑香川県森 林組合連合会︑香川県信用農業協同組合連合会︑香川県経済農 業協同組合連合会︑香川県共済農業協同組合連合会︑香川県厚

生農業協同組合連合会︑香川県青果販売農業協同組合連合会︑

香川県農業協同組合中央会の一

0

の協同組合連合会の代表者が

出席

した

︒ 筆者は右のつどいで標題の演題で講演した︒今日のような国 際環境︑社会環境︑経済環境の変化の中で︑各企業がいかに対 応しているかという面を若干見ているので︑このような環境変

化の中で︑協同組合としての対応も同様な面があろうかと考え︑

各企業の対応を紹介しながら︑農産物産業等の特質をも若干ふ

まえながら協同組合の活性化の方途について︱つの私見を述べ

本稿は︑右の講演の内容に若干の加筆を施したものである︒

一︑農産物等をめぐる国際環境の変化 こ ︒

t  ゜

するとともに︑各々の広報媒体を活用して広範な宣伝活動を行

れて

いる

らはいずれもガットの農業交渉で取り上げることとして却下さ こ ︒

t  H

海外からの市場開放圧力

近年︑わが国の貿易収支の大幅黒字を背景とする貿易摩擦問

題の解決のために︑わが国が一層輸入拡大を図ることが求めら

れている︒とくに大幅な貿易赤字に悩む米国による新通商法三

0

一条

の発

動は

その象徴的出来事といえる︒米国による通商

法三

0

一条の発動は一九七四年から八九年までに九件調査開

始・半導体については協定違反としての報復措置がとられたが︑

(6 ) 

一九八九年五月新通商法三

0

一条の発動により︑不公正貿易国

として日本を特定し︑不公平貿易行為としてスーパーコンピュ

ーター︑衛星︑木材製品の三品目を調査交渉の対象とした

っとも︑制裁発動までに交渉と協定締結・実施を見極めるため

に三年間の期間がある︶︒なお︑新通商法三

0

一条の発動にあた

って当初指摘されたのは三四項目であり︑農産物等に関連する

ものとして︑﹁輸入制限品目﹂として︑農産物︑飼料穀物︑コメ︑

水産物︑﹁基準認証等Lとして︑食品添加物︑﹁その他の障害﹂

として︑流通制度︑販売促進規制︑大規模小売店舗法等があっ

コメの市場開放については︑全米精米業者協会がUSTRに

対し一九八六年九月と一九八八年九月に提訴しているが︑これ

︵ も

9 ‑ 3 ‑411 (香法'89)

(4)

ることにより結着した︒

1 0

品目がガット︱一条に違反すると 日本の市場開放は︑国際的レベルにおいても討議されており︑OECDによる構造調整サーベイランス︵相互監視︶が︑一九

八八年︑貿易︑農業︑産業補助金︑税制︑金融市場︑国際投資

の六分野で決定され︑一九八九年︑競争政策︵流通改革︶︑労働

市場︵労働時間︶の二分野で追加決定されている︒

右のようなわが国に対する市場開放圧力の増大は前述のとお

り貿易収支の不均衡に原因するものであるが︑ちなみに一九八

八年のデータを掲げておくと︑日本の経常収支は九五

0

億ドル

の黒字︑米国のそれは一︑二五

0

億ドルの赤字︑日本の対外純

資産は二︑九一七億ドルの黒字︑米国のそれは四︑九︱︱

1 0

億ド

ルの赤字である︒

貿易収支の不均衡是正は︑為替レート調整︑内需拡大︑製品

輸入の増大等により図られているが︑必ずしも十分な劾果が上

がっていないことから︑海外からの圧力は今後とも強くなって

くるもの思われる︒

口農産物についての個別対応

農産物︱二品目の輸入制限がガット規定に違反するとして米

(7 ) 

国 が 提 訴 し て い た 問 題 に つ い て は

︑ 一

0

品目 一九 八八 年二 月︑

がガット︱一条︵輸出入の数量制限の原則禁止︶に違反すると

したガット裁定案を︑日本が乳製品とでんぷんを除き受け入れ

された理由は︑国内で生産制限がされていない︑保存のきかな

い農産品ではない︑国家貿易品目といえども︱一条の適用をう

ける等である︒これに対し日本政府は︑①乳製品・でんぷん以

外の品目は裁定案をふまえて適切な措置をとるよう努力する︑

②乳製品・でんぷんについてはパネル解釈に同意できない︵こ

れについては態度を留保する︶︑③パネルの国家貿易の関連条項

はガットの制定経緯を無視したもので同意できない︵これにつ

いても態度を留保する︶との意見を述べた︒

一九八八年三月末で四年間の協定切れとなる対米牛肉・オレ

ンジの輸入自由化問題については︑同年三月と四月に佐藤農相

が訪米してヤイター通商代表と交渉したが物別れに終わった︒

日本政府の態度は︑当初は牛肉の自由化は困難とするものであ

ったが︑次第に自由化した場合の国境措置対策に重点がおかれ︑

課徴金設定を求めた︒これに対し米国は関税の引上げは認める

ものの課徴金設定には反対し︑他方では四月にガットに提訴し︑

ガット理事会は五月パネル設置を決定した︒

この間︑日本事務レベル交渉が何回ももたれる一方︑六月に

はロンドンで日米首脳会談があり︑二国間による早期決着が協

議された︒これをうけて同月ャイター代表の来日による佐藤農

相との会談により︑牛肉・オレンジ問題はようやく決着し︑七

月両国間で正式調印が行われた︒決着した内容は︑牛肉・オレ

9 ‑ 3‑412 (香法'89)

(5)

協同組合間の提携について (波光)

ンジは三年後︑オレンジジュースは四年後の自由化を約束する

ものであり︑日本農業にとってきわめて厳しいものとなった︒

(8 ) 

なお︑日豪の間でも同月牛肉交渉が決着した︒

口その他の情況の変化

協同組合の活性化︑協同組合間の提携について考える場合に︑

農産物等をとりまく情況の変化について︑以上において述べた

以外の点について︑アトランダムであるが︑若干述べておきた

^ O  

①生産者米・麦価の引下げ

生産者米・麦価は、一•五ヘクタール以上層の生産量による

新算定方式の導入等により︑近年引下げが続いている︒一九八

七年米価は五・九五%︑麦価は四・九%引下げ︑一九八八年は

米・麦価とも四・六%引下げ︑一九八九年麦価は三・五%引下

げ︑米価は据置きとなった︒こうした生産者米・麦価の引下げ

は︑生産コストの低減が求められるわが国農業経営に対して政

府が農業者に対し営農の効率的経営を促進させようとする政策

の︱つの現れとみるべきであろう︒

農政審議会企画部会第一小委員会は︑ ②食管制度の改革

コメについては︑生産コストの低減とともに︑流通の合理化

による流通コストの低減を図らなければならない課題がある︒

一九八九年五月﹁今後 のコメ政策とコメ管理の方向Lについて提言を行った︒その骨

子は︑①コメの流通を民間︵自主流通米︶主体とする︑②自主

流通米の﹁価格形成の場﹂を設ける︑③政府は安定供給に必要

な数量︵当面四割程度︶を買い入れる︑④政府買入量には限度

を設定する︑⑤政府米売渡し価格は民間の需給や市場価格を反

映させる︑⑥生産調整︵減反︶は政府主導ではなく生産者団体

が自主的に取り組むこととするというものである︒自主流通米

の﹁価格形成の場﹂とは︑コメ市場・取引所の創設が念頭に置

かれているとみられる︒自主流通米はそうした市場において︑

需給動向や品質評価が反映する価格が設定されることになる︒

コメの流通は自主流通米が主体となるのであるから︑政売米売

渡し価格が自主流通米の価格に影響をうけるのみならず︑政府

米の買入れ価格にも影響を及ぼすことになると予想される︒

新聞報道によれば︑農水省は今後三\五年を目標に報告内容

を実行する方針とのことである︒

なお︑食管制度の改革とは直接関係ないが︑農水省は一九八

九年五月︑コメの銘柄や品質の表示方法︵消費者向け販売に卸・

小売業者が表示する場合の基準︶の改正通達を行った︒その骨

子は︑①請米の品質区分を﹁特﹂︵一類八

0

%以 上︶

﹁上

L

︵ 一 ・

ニ類五

0

%以 上︶

﹁中

﹂︵ ニ・ 三類 一

00

%︶﹁標準価格米﹂に全

国で統一する︑②銘柄表示をする場合はその銘柄が一

00

%の

9 ‑ 3 ‑‑‑413 (香法'89)

(6)

場合のみに限る︑③有機農業で栽培したコメ

表示基準を設けるである︒

③大店法の運用緩和 百貨店︑スーパーなど大型店の出店を規制している大規模小 売店舗法については︑日本の流通制度の改善要求の一っとして 規制緩和が海外から求められている︒通産省は︑一九八九年六 月に出された産業構造審議会流通部会と中小企業政策審議会流

通小委員会の報告に基づき︑大店法の運用を緩和することとし︑

近く必要な省令を改正するとともに︑改正通達を行う予定であ

る︒その骨子は次のとおりである︒

①事前説明 原則的な処理期間として六か月を設定︑これを経過した場合に はさらに最長二か月以内で終了させる︑②事前商調協 案件によりまちまちであったところを︑原則的な審議期間とし

調整手続きが必要であった て八か月を設定する︑③軽微案件 ところを︑売場面積の微増

( 1

0

%又は五

0

面の小さい方︶︑中

月四日以上であったところ

小テナント入替えについて手続きを簡略化する︑④閉店時刻の 届出不要基準午後六時であったところを︑午後七時以前に改 める︑⑤休業日数の届出不要基準 を︑年四四日以上に改める︑⑥地方公共団体の独自規制条例 などで規制していたのを︑規制内容の適正化を図るため相談窓

期限は 期限は案件によりまちまちであったところを︑

︵特

別栽

培米

︶ の

行う﹂こととされている︒ ととしたことが大きなポイントである︒

以上のような規制緩和は︑法律の改正によるものではなく省 令等の改正によって︑いわば法律の弾力運用によるものである が︑事前説明︑事前商調協に期限を設けることによって︑従来

届出から出店調整終了まで数年︑場合によって一

0

年以上もか

かっていたのを︑届出から出店調整終了まで一一年以内とするこ

農業協同組合の生活購売事業は︑営利を目的とするものでは なく﹁小売業

L

に該当せず︑したがって生活購買店舗は大店法 の規制対象とはならない︒しかし地域における事業協調に配慮

するとの趣旨から︑農水省通達(‑九八二年四月二三日︶

によ

り︑

﹁売

場面

接が

00

面を超える生活購買店舗の設置について

は自粛すること﹂とされ︑﹁五

00

面を超える生活購買店舗を設 置しようとする組合に対しては︑都道府県知事が所要の指導を 同様に︑消費生活協同組合の供給事業にかかる店舗も大店法

の規制対象外であるが︑農協の場合と同様の趣旨から︑厚生省 通達(‑九八二年四月九日︶により︑店舗面積が五

00

面を超

える店舗︵大型店︶の出店については︑ぷ大型店の出店が相当水

準に達していると認められる地域及び小規模市町村への大型店

舗の出店については︑新たな住宅開発地域等商業施設が不足し 口を通産局に設憤する︒ 三四

9~3~414 (香法'89)

(7)

協同組合間の提携について (波光)

ている地域に出店する場合など︑地域の経済社会の健全な発展 又は消費者としての組合員の利益の保護のために必要性が高い と客観的に認められる場合を除き自粛すること

L

とされ︑さら に﹁地元中小小売商等と協議を行うこと

Lとされている︒

右のように、農協•生協の大型店舗について法律に基づかず

通達により事実上規制している点については疑問があるところ である︒それはともかくとして︑大店法について規制緩和措置

がとられている実情から、今後農協•生協の大型店舗について、

規制が緩和されていくことはあれ厳しくなるとは考えられない

ところである︒

④酒の販売免許の緩和 国税庁は︑海外から要求されている流通規制緩和の一っとし て︑一九八九年九月から酒の販売免許の緩和を行った︒その内 容は次のとおりである︒①大型小売店免許売場面積一万面以 上の店舗について︑各都道府県の人口二

00

万人当りに一場を 地域性などを考慮しながら五年間で順決認めていく︑②通信販 売 免 許 地 酒

・ 高 級 輸 入 酒 な ど 一 般 酒 販 店 の 扱 量 の 少 な い 酒 類 を販売する事業者を対象に認める︑③一般酒販店の認可基準や 手 続 の 簡 略 化 地 域 の 人 口 に 応 じ て

A地域︵一︑五

00

人︶

B

地域

︵一

00

0

人︶

c

地域︵七五

0

人︶に分類︑地域別に一

店認める︵諸外国なみの基準となると説明されている︶︒農協︑

三 五

生協にも酒販免許は与えられており︑今後ともこれらに対する

免許件数は増加していくことが予想される︒

( l

)

一九

八九

年五

月協

同組

合間

提携

推進

事務

局会

議︵

全中

・全

農・

全漁連・日生協︶﹁第六七回国際協同組合デー虹のキャンペー

ン推

進要

綱﹂

(2

)同

右 (3 )J JC

には

︑日

生協

・全

漁連

・全

森連

・全

中・

全農

・全

共連

農林中金・家の光•新聞連が加盟している。

( 4

)

国際協同組合デーは︑一九二二年四月イタリア・ミラノ市で開催されたICA︵国際協同組合同盟︶中央委員会で討議され︑各国の意見を聞き了承され︑一九二三年に第一回のデーが世界各国で祝われ︑今日に及んでいる︒

( 5

)

( l

) の﹁第六七回国際協同組合デー虹のキャンペーン推進要綱L中の﹁位置付けと基本方向﹂

(6

)新

通商

法三

0

一条は︑一九七四年の通商法三

0

一条

の改

正に

より︑①報復措置の発動権限を大統領から通商代表部

(U

S

TR

)

に移したこと︑②不公正貿易慣行の定義を広げて個別製品・サービスだけでなく︑国全体としての市場閉鎖性を問題とし︑これへの報復を強めたことを特徴とし︑旧三0

一 条

に比し保護主義的な色彩の強い条項となっている︒(7)ガット裁定の一0品目は、粉乳•練乳、プロセスチーズ、牛肉調整品︑フルーッピューレ・ペースト︑フルーツパルプ・パイナップル調整品︑非かんきつ果汁︑トマト加下品︑でんぷん等︑プドウ糖等︑その他の調整食料品であり︑米国が提訴していたものには︑他に雑豆︑落花生があった︒(8)日米・日豪合意による牛肉・オレンジ問題の決着の内容は︑

9 ‑‑‑3 ‑‑415 (香法'89)

(8)

二︑経済環境の変化と産業構造の変化

H

経済環境の変化

次の

とお

りで

ある

︹牛肉︺①‑九九一年四月から自由化︑②自由化までの輸人枠年六万トン増(-九八七年度輸人枠ニ―•四万トン)‘③同時

売買入札方式

(S

BS

)

一九八八年度三0%︑一九八九年

度四五%︑一九九0年度六0%︵一九八七年度一0%︶︑④自

由化後の関税一九九一年度七0%︑一九九一一年度六0%︑一九九三年度五0%︵一九八七年度二五%︶⑤緊急輸入制限

輸入量が前年度より二0%増のとき協議が整えば輸人贔を

制限︑協議が整わないとき︑関税を一九九一年度九五%︑一

九九二年度八五%︑一九九一

1

度七

li

%

︹オレンジ︺①‑九九一年四月から自由化︑②自由化までの輸入枠年ニ・ニ万トン増︵一九八七年度︱ニ・六

J j

ン︶

︑③

自由化後の関税六

s

︳一

月︱

10

%︵

従来

通り

︶︑

一︱

一月

\五

0

%

︹オレンジジュース︺①‑九九二年四月から自由化︑②自由化までの輸入枠一九八八年度―•五万トン、一九八九年度一・九万トン︑一九九0年度一/三万トン︑一九九一年度四万トン(‑九八七年度八︑五00トン︶︑③自由化後の関税加糖

三0%︑無糖二五%︵従来通り︶︑④100 

%果

汁枠

︵新

設︶

一九八八年度一・五万キロリットル︑一九八九年度ニ・一万

キロリットル︑一九九0年度ニ・七万キロリットル︑⑤混合

規制一九八八年度四割を適用除外︑一九八九年度六割を適用除外︑一九九0年度撤廃︵従来全鼠適用︶

口産業構造の変化

とも云うまでもないことである︒

これまで農産物等について海外からの市場開放圧力が強くな

ってきていること、農協•生協などが消費者に対する生活物資

等供給活動を活発にさせる素地が出来つつあることなどを見て きた︒協同組合がその活動を活性化するためには︑近年急速に 変貌しつつある経済環境・産業構造に適確に対応する必要があ る︒そこで以下では︑近年の経済環境・産業構造の変化につい て概観したのち︑各企業がこれらの変化にいかに対応している かについてみることにより︑協同組合活動活性化への参考にし 昇・個性化によりニーズの多様化・高度化が進展してきている

ことをあげなければならない︒このため産業構造も従来の単品 大贔生産型から多品種少贔生産型に︑量指向から質指向等に変

つぎ

に︑

化していることが指摘できる︒

一九八六年四月の﹁前川リポート﹂が述べているよ うに︑内需主導型の経済成長を図り︑輸出依存邸産業構造の転 換を図らなければならないことである︒貿易収支不均衡是正の ための為替調整が一九八五年九月

G 5のプラザ合意以降行われ ており︑以後円は急速に高くなり︑輸出環境が悪化しているこ

近年の経済環境の変化として︑

たいと思う︒

まず消費者の所得水準の

t

三 六

9 ‑‑3 ‑‑416 (香法'89)

(9)

協詞組合間の提携について (波光)

なか

でも

ヒト

二般的にー独自の新しい優れた技術や経

三 七

ベンチャービジネスの急成長は︑産業社会の﹇業

ているところがある︒ 営を拡大している︒ してきている︒

右のような経済環境の変化の中で︑産業構造は︑大きく変化

ニーズの多様化・裔度化に対応して顧客第一︑

E

義をとり︑情報活動・人材開発・

場開発が巾視され︑優れた

r l

マーケティング︑木端梢費者の梢報を押る者の俊位性が顕ザ者と なっている︒また︑祈規巾難への参人︑経営の名角化︑新製品 開発︵翡付加価値化︶が行われるとともに︑合併・提携・融合 業のとり込みなどが行われているのである︒

近年の産業構造の変化を要約すれば︑次貞のようになる︒

n

ベンチャービジネス 右にみたような経済環境・産業構造の変化の中で︑各企業は 新しい技術や経営ノウハウを武器として︑新分野に積極的に経 化社会から情報化社会への移行という基本的潮流に根ざすもの

であり︑決して↓過性のものではないといわれている︒ーベンチ

キービジネス︱︐ 

よ ︑

とi

営ノウハウを武器として積極的に経常を拡大しようという企業 家精神旺盛な自

t

独立の中小企哭︵あるいは中咄企党︶ーと定義 されている︒企業の経常資源として巾要なものは

7

ノ︑

カネーといわれてきたが︑伯報化時代ではーモノ︑ ヒト

カネ

情報

﹂ である︒中小企業は末端消費者のニーズに機動的に対応 し積極的に業際にも進出している︒﹁ヒト

Lは屯化学工業時代は

﹁組

L であったが︑7組織

L

では情報化時代に必要な

r想像

j J L

己洞察カー﹁表現力L は養えない︒

中小企業がベン

f

ャービジネスとして積極的な経営を展間ず る一方︑大企業もその経営戦略を再検討・再構砲︵リストラク

将来的事業構想︑

その実施方法等について検討している︒

そし

て社内ベンチャーなどを構築している︒但し︑社内ベンチャー は新事業に対する資源配分や評価などが消極的になり易いこと などがあるため︑特定の組織に研究開発から販売にいたるまで の権限を与えたり︑子会社を設立して活動させる等の対応をし 四異業種交流

中小企架の二般的な間閣点は︑研究開発・技術開発等を行う ための賓源が限られていることである︒中小企業がこれを克服 するためには公的な試験所・研究所を利用する等の方法がある が︑これ以外の効果的なり法として最近異業種交流が盛んに行

われている︒r

異業種交流

L

は︑

トの企党が経済環境の変化に対応する力途を模索するため︑新 ューチャービジネス開発室︑

一般的に7

業種の異なる二以

クリエイティブ推進室などでは︑

等により製造業とサービス槃の境界が薄れ︑

川卜廂業の川ド産

チャリング︶

している︒例えば︑事業企画室︑事業開発宰︑

︐ 

417 (香法'89)

(10)

• 生 産 第 一 主 義 .顧客第一主義

・メーカー主導・商流の川 ・消費者主導・商流の川下

上 中 心 ‑‑‑ ・ 重 視

・量指向(規模の利益指向) 現

・質指向(範囲の経済性指向)

・シェアー重視(業量拡大 象 利益重視(業積向上指向)

指向) ・多品種少量生産指向

・単品大量生産指向 面 ・軽薄短少製品重視

・重厚長大製品重視

` 

・商品寿命の短サイクル化

・商品弁命の長期安定 産 ・企業の社会的使命重視

・企業内の経営・技術重点

.顧客対応型・ 分 権 型 シ ス

・中央某中・県権型システ 組 テム指向

ム 中 心 紐 の ・コンビュータのネットワ

・コンピュータの単独型 面 ーク型・情報型・ソフト

・合埋化型・ハード型の活 .̲, 

型 の 活 用 1///2 

‑ ‑ ‑

ゾ七 • 横省JI型・付糾合型・流動型・

・縦祁11·~

・ 

独立刑・固定型・ 企 開 放 型 の 企 業 間 関 係 指 向

閉 鎖 型 の 企 業 間

1

関係中心 業

的 ・業種の流動化・業際化

・業種の固定•安定刑 の ・企業外沢源活用(異業種

・企業内沢源(人・物・金

関 変 交 流 ・M&A等)

等){受先活用

係 ・大企業・中小企業

t I

りの共同

・大企党・中小企業

I H I

の文

一 、

化 ・分業・協力等関係多様化

配 ・ 従 属 の 下 訴

l

関係 ・大・中小企業分野の流動化

・大・中小企業分野の棲み

・内;叶店指

, r

りとグローパル戦

分 け 安 定 と 一 →

. 愉 出 珈l 『対鉦 • 略 の 展 開OIJ 造的企画・ t.·~品

' l ' l ・

・先進国桟倣・追随廉

f i l l i

追求 面外 価 格 追 求

‑‑‑

・物不足・紅,:.し不足・金不足

・ jthj ー~•~

・ J i t ‑i ! t d i ' t U l ' i ' l V  

舶 米 品 指 向

.楡出第一主枝

需要構造変化

海外序擦 ・物余リ・飽紅・金余り

・個性化・多様化・,',団級化

指1,1). 感 性 ・ 文 化 指1,1)

• 国 際 協 洪

(出所)勁商工総合研究所編「中小企業新時代」(日刊工業新聞社) 6頁 /¥ 

9 ‑ 3 ‑418 (香法'89)

(11)

協同組合間の提携について (波光)

異業種交流については︑従来から国・都道府県による支援が 行われているが︑一九八八年四月新たに設けられた﹁異分野中 小企業融合化法﹂により︑行政庁が﹁知識融合開発事業しとし

業 組織︵定例的な会合等を含む︶を設け︑その活動を通して相互に異種の情報や技術あるいはノウハウ等を交流し組み合わせることにより︑自社の経営能力を強化するほか新しい事業分野への展開を図ろうとするもの﹂と定義されている︒同業種では情報源の拡大に限りがある等のことから︑異業種の交流へと展開したものである︒

異業種交流の主要な活動内容は次のとおりである︒

ア︑定例的会合の開催による情報交換⁝⁝経営︑技術︑商品︑

市場︑生産動向等に関する情報交換 イ︑研修会︑シンポジウム等の開催 ウ︑他企業視察︑相互の企業経営診断・評価⁝⁝他企業のニー ズと各種資源の保有状況の把握及びその利用︑経営改善の検 討エ︑プロジェクトの設定等による共同研究⁝⁝新製品・サービ

ス・新技術等についての研究開発 オ︑新市場分野における共同受注︑共同販売体制の確立︑活動 カ︑共通に利用しうる情報収集︑通信︑輸送︑計算事務等の事

活動状況 アドバイザー 九八八年ニ一月現在全国で一︑ れており︑行政庁の認定をうけていないものがかなりある︒ 保に努めることとされている︒ て認定したものについては︑国は最初の三年間必要な資金の確

五二︑一四九

(l ) 

企業の参加がみられ︑近年急増しているのが特徴である︒

異業種交流の成果について︑一九八七年︱二月商工中金が行 った八五六グループに対するアンケート調査結果によれば︑次

2}  

のとおりである︒

︵参加目的及びその割合︶︵参加目的について積極評価する割合︶

0他業種•他業界に関する情報の収集七六・一%

0新製品・新技術・新市場等の共同研究・開発

0他企業の経営ノウハウの修得

三 九

会員数

五二七グループ︑

七四・三%

五ニ・一%

二―•四%

四一・三%

七四

・ O

0

し い 仕 入

・ 販 売

・ 受 注 先 の 確 保 四 八

・ 三

(3 ) 

つぎに︑異業種交流の具体例について若干紹介しておこう︒

ア︑﹁福島県技術交流プラザ﹂

︱ ︱ 1

0

名︵機械金属︱二︑電気電子四︑繊維二︑印刷・

紙三︑食料品二︑セラミック一︑その他六︶

工業試験場︑県経営指導課 定例会毎月︒情報交換・講演会・企業見学

八八・七%

異業種交流は︑商工会議所︑民間企業︑市町等により推進さ

9 ‑ 3 ‑419 (香法'89)

(12)

アドバイザー 組合員数

工業試験所︑大学教授など 活 動 状 況 定 例 会 二 か 月 毎

︒ 情 報 交 換

・ 講 演 会

・ 企 業 見 学

部会毎月︒﹁新商品開発し﹁ニュービジネスしーパソコン

1 0

名︵プレス加工一

4

︑製缶一二︑切削加工二︑鋳鉄

一︑

塗装

一︶

活 動 状 況 定 例 会 毎 月

︒ 情 報 交 換

・ 工 場 見 学

工︑﹁北海道産業振興協同組合﹂︵異業種交流のために設立され

美容

二︑

建築

︱‑

︑卸

売︱

‑︑

一七名︵食料品製造二︑機械金属二︑冠婚葬祭︱‑︑

その

他五

︶ 北海道工業試験場 活動状況定例会二か月毎︒トップセミナー・情報交換会

組 合 事 業 共 同 販 売

︑ 高 速 道 路 別 納 制度利用

金融︑教育情報︑

たも

の︶

社 ︶ ア ド バ イ ザ ー な し

︵オプザーバー闘群馬県中小企業振典公

会員数

通信﹂﹁新素材応用﹂

ウ︑ロトーモー開発グループ﹂ の四部会 アドバイザー デザイン・サービス四︑

その

他七

︶ 会員数

二五名︵機械金属一三︑電気電子五︑印刷企画六︑ イ︑函湘南ハイテクソサェティ﹂

わが国農業の緊急課題としては︑食糧生産力の向上と質の向 ては︑米国などの理解が得られなくなってきている︒ ことになるというものである︒

なお︑異業種交流は現在主として中小企業において行われて いるが︑将来は大企業と中小企業︵主としてベンチャービジネ

(4 ) 

ス︶による異業種交流が望ましいとの指摘がなされている︒

般にベンチャービジネスは成長性はあるが安定性に乏しく︑

方︑大企業は安定性はあるが成長性に乏しい︒そこで両者が提 携することによって︑それぞれの長所である前者の成長性と後 者の安定性とが結びつけば︑これによって新技術等は発展する

( 1

)

中小企業事業団﹁グループ情報調査報告書﹂昭和六三年度

(2

)帥

商工

総合

研究

所編

﹃中

小企

業新

時代

﹄︵

日刊

工業

新聞

社︶

六〇\一六一頁

(3

)同

右一

六五

頁以

( 4

)

この指摘をされるのは専修大学中林秀一郎教授である︒

三︑協同組合事業の活性化について

H

農産物に求められるもの

従来農産物については︑﹁市場経済の原理L

を上回る食糧安全 保障などの﹁政治的・社会経済的原理

L

を中心に論じられてき

た︒しかし現段階においては︑食糧︵コメ︶の完全自給につい

四 〇

9 ‑ 3 ‑420 (香法'89)

(13)

協同組合間の提携について (波光)

上である︒前者は国際化に対応するための生産コストの削滅で

あり︑後者は消費者の安全性志向への対応・味覚などの高付加

価値化である︒

一九八八年五月経済審議会﹁経済運営五か年計画﹂は︑農政

に対し次のような提言を行っている︒①生産性向上︑高付加価

値化を図るとともに︑適切な輸入政策により内外価格差を縮少

する︑②主要農産物につき中長期の需給見通し︑生産コストの

目標水準を設定する︑③食管制度は市場原理の良さが生かされ

るよう制度運営の弾力化を図り︑今後基本的な制度のあり方の

検討を急ぐ︑④コメは今後とも国内自給︑その他の農産物は合

理化・効率化を図り︑国境措置は必要な限度にとどめる︑⑤市

街化区域内農地については︑宅地化すべきものと保全すべきも

のを明確に区分し︑保全すべき農地は逆線引き又は生産緑地地

区の指定を行う︒

生産コストの削減については︑農協を核として︑区画整理・

団地化︑作業委託︑機械共同利用等が推進されており︑一九八

八年︱二月全国農協大会では︑﹁国際化に対応するため大規模経

営集団の組織化により︑コメ・麦・大豆・畜産分野などで三\五

割程度のコスト低減を進める︒このため生産資材コスト低減に

取り組む﹂ことが決議されている︒

質の向上については︑味覚の向上のほか化学的農法に自然

る ︒

的・有機的農法をいかにとり入れていくかという問題である︒

一九八八年全国農協大会でも有機農産物を重点的に取り上げる

ことが決議されているし︑有機農業全国農協交流集会も開催さ

(2 ) 

れている︒また︑一九八八年生態系農業連絡協議会が発足し︑

情報交換と有機農産物等の基準作りが進められている︒しかし︑

わが国農業にとって化学的農法は必要不可欠である︒生産面に

おいては︑病虫害・雑草︑労働力の減少・兼業化・高齢化︑コ

ストの引下げ等のためには農薬はなくてはならない︒また貯

蔵・輸送面においては︑長期貯蔵・長距離輸送に対応するため︑

ワックス等によるコーティング︑防カビ・防腐・防虫のための

(3 ) 

薬物処理︑放射線照射等の必要性もある︒

但し︑﹁地域的需給の原則﹂を一層高め産直活動を活発にすれ

ば︑定量性確保のための計画生産等が必要となるが︑貯蔵・輸

送面における薬物処理等の必要性は減少又はなくなることが考

えられる︒また生産面において有機農産物の拡大を図るために

は︑従来からの推きゆう肥等の有機質と化学肥料のバランスの

とれた施用︑農薬の適切な使用等が重要になってくると思われ

口組合事業の多角化

各協同組合は︑組合員のニーズの変化について積極的な情報

収集活動を行い、取扱量の拡大•取扱品目の多様化等によりそ

9 ‑ 3 ‑421 (香法'89)

(14)

開拓等につとめることにより︑ の供給活動を活発にするとともに︑取扱商品の他への販売先の

その事業活動を活発化・多角化 自民党農業基本政策小委員会は︑一九八六年︱二月

t農協の 組織及び事業運営の今後の方向

Lで︑﹁多様化している組合員二 ーズに積極的に応えていくこと︒そのためには︑組合員の意向 が的確に農協の事業運営に反映されるような組織体制づくりに 努める必要があり︑農協の事業運営にあたっては︑農家経営を 念頭に置いて営農指導事業と他の事業との十分な連携をとるこ と︑また市場動向等に沿った生産・販売を行うことが軍要であ

る﹂と提言している︒

参考までに事業協同組合の多様な共同事業の例を示しておこ

う︒資金の貸付︑債務保証︑共済︑共同仕入・購人︑共同生産・

加工︑共同販売・受注︑共同保管・運搬・梱包︑共同事務計算︑

共同試験・検在︑共同公害危険防止︵汚水処理︑煤煙処理施設

等︶︑共同教育訓練︑共同求人︑共同宣伝︑機関紙発行︑衛生施

設︵給食︑寮等の福利厚生施設︶設置︑チケット券発行︑駐車 場の施設等︑新製品開発︑デザイン開発︑技術開発等︒

曰都市・農村の交流 協同組合によってはその事業の一環として︑都市・農村の交

流を推進しているところがある︒この形態別効果をみると次の する必要があろう︒

ウ) 森林組合がその事業として森林を多面的に利用することもあ 四森林の多面的利用

(5 ) 

る︒この形態についても︑次の三つの型がある︒

m

保健休養・野外レクリエーション活用型⁝⁝森林のもつ保 健休養・レクリエーション機能を主軸にして︑近郊森林を高

度・体系的に活用する︒

印 学 習 活 動 型

⁝ 都 市 住 民 に 森 林

・ 林 業 を は じ め

︑ 自 然 に 対 する理解あるいは木材利用の知識や技術の伝授を推進する︒

コミュニティ活動型⁝⁝森林の高度利用と維持管理とをコ 発

(力) (オ) け

観 光

・ レ ジ ャ ー 型

⁝ 観 光 入 込 客 の 増 加

︑ 宿 泊 施 設 の 利 用 者増︑新観光資源の創造 い 体 験 教 育 型

⁝ 子 供 へ の 教 育 効 果

︑ 農 林 業 に 対 す る 理 解 り祭り・地域振典イベント型⁝⁝祭り・イベントの活発化︑

観光入込客の増加︑地場産品の販路拡大 口 縁 組 み 型

⁝ 国 際 的 視 野 の 広 が り

︑ 文 化 活 動 の 活 発 化

︑ 新 しい交流組織・グループの発生 根おろし塑⁝⁝観光入込客の増加︑農山村の良さに対する 理解︑新観光資源の創造 ふるさと便り型⁝⁝地場産品の販路拡大︑新しい産品の開

(4 ) 

とおりである︒

9 ‑ 3‑422 (香法'89)

(15)

協同組合間の提携について (波光)

ミュニティ活動展開の場として活用する︒

以上は︑森林をそのままの形で多面的に利用するものである

が︑木材販売を住宅の形で行う方針がとられているところがあ

る︒これは愛知県足助町の例であり︑同町では木材販売は住宅

の形で行う方針を堅持し︑森林の育成から伐出・製材・木工・

施工にいたる木材総合産業として住宅供給システムを形成して

(6 ) 

いる

国生活協同組合の活動 ︒

生活協同組合の活動が活発に行われていることは周知のとお

りである。共同購入方式、COOP商品の開発、産直活動等によ

り︑コストの低減︑新鮮なもの・高品質のものの供給が図られ

ている︒またその供給方法は︑店舗によるもののほか︑班活動

が大きな役割を果している︒

産直活動は︑組合員と生産者との話合いが何回も繰り返し行

われるなかで︑生産者においてもいくつかの努力が続けられて

いる︒品目としては︑牛乳︑卵︑コメ︑牛肉︑豚肉︑鶏肉︑お

茶︑野菜︑果物等々である︒

岐阜地区市民生協(‑九八九年二月現在組合員数三七︑五〇

0名、出資金六億円、一九八八年度予測供給高九九•四億円)

の産直商品の取扱い高は一九八七年度二六・七億円︑年間産直

(7 ) 

比率は三二%である︒また︑同生協の組合員に対するアンケー

•生協に加入した理由……「安全で商品の品質が良い」九五・

三%︑﹁産直商品が手に入る﹂四五・七%︑﹁生協の趣旨に賛

成した﹂三六・ニ%︑﹁安い商品が手に入る﹂二八・一%︑﹁配

•生協に加入して良かったこと…·:「安全で品質の良い商品が

手に入る﹂九四・三%︑﹁商品知識が豊かになるL

四ニ

・四

%︑

﹁配達してくれる﹂三三・ニ%︑﹁近所に友人ができたL

二四

•生協に力を入れて取り組んでほしいもの……「有害食品や食

品添加物の問題」七七・八%、「税金の問題」二九•四%、「生

活にかかわる情報提供活動﹂二八・一%︑﹁洗剤・公害等の生

活環境問題﹂二七・五%

生協によっては︑組合事業の円滑な実施のために︑①組合で

取り扱う物資の運送︑包装︑生産︑加工等を委託するための子

会社の設立︑②組合の供給事業に必要な物資等を優先して取得

するため又は①の業務を処理するため︑他の組合である農協・

漁協等の協同組合等と合弁で関連会社を設立する等の事業を行

って いる

( 1

)

日本の精米一トン当りの生産費は︑タイの一三・一倍︑アメ 四% 達してくれる」二六•四%

(8 ) 

ト調査結果によれば︑次のとおりである︒

9 ‑ 3 ‑423 (香法'89)

(16)

産・供給事業を併せ行う農協といったように︑事業面において ウエイトの異なる面がある︒生廂事業を中心とする協同組合が 商品化して独自に販売先を開拓することも考えられるが︑右の

各組合が︑先に見た異業種交流に似た情報交換活動を行うこと 生産事業が中心の漁協•森林組合、

供給事業が中心の生協︑生

L

では

次のような申合せが行われた︒

提携を推進することが粗要なポイントとなろう︒協

M

合に

は︑

一九八九年七月一日﹁国際協同組合デー記念かがわ虹のつど

四︑協同組合間の提携について 協同組合事業を将来的に発展させるためには︑協同組合間の

について行われている︒ 協の肉牛・多くの生鮮食料品

四国大川農協の有機減農薬米等

リカの八・九倍である︒これは労働費︑製機具費︑地代︑肥料費︑農薬費咋の格凡によるものである︵加古敏之 1

稲作

低コスト化の課題L

叫灰

南物

生廂

・流

通の

国際

化対

応ト

︵明

悶房

︶五

八\

几几

貞︶

( 2

)

生態系農業連絡協議会は︑化態系農畜先物の牛坪︑流通︑加じ︑泊費に係る法人・団体で組織されている︒

(3)f田正作ー食料生廂・流通の国際化対︐いとその枯本的課題L

叫辰

畜廂

物生

赤・

流通

の国

際化

対応

し︵

明文

悶房

4

二い

貞 (4 ) 国K斤7農村地域枷興巾党実態調介報告

I t 1

ー︵ 昭和 六

1

. .  

1 )

 

︸ 

( 5

)

林進ー都市近郊森林の利用

L J j 仏

叫唇

陀物

4

赤・

流通

の川

際化

対応

﹄︵

明文

れ畠

り︶

.八

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( 6

)

同右一八五貞

( 7

)

水野

年人

ぶじ

協正

1 1 1 り

活動

の課

題と

方向

ー詞

いせ

. . . .  

四\

. . . .  

五頁

(8 )

同 右

q

.  

じ\.:八貞

により︑相互にその生産・供給事業を拡大することが考えられ

る︒組合間の情報交換により︑どこにどうゆうニーズがあるか︑

どうゆう向品を開発する必要があるか︑

か等が発見できることになる︒つまり︑相互の情報交換により︑

新商品開発︑新しい仕人れ・販売・受注先の確保が実現するこ とになるのである︒こうした生産・供給に直結した組合間に提 携が成立すれば︑流通系路短縮等による低価格かつ新鮮で高付

加価値の商品が定凧的に供給されることが期待できる︒

協同組合間提携は︑全国レベルではすでに一九八三年六月仝

農ー日生協間で︑

どのような販路がある また一九八五年五月全挽連ー日生協間で覚内

が取り交わされている︒県連レベルでもいくつかの覚書が取り 交わされ︑実施されている︒勿論単協レベルでも多く実施され ている︒香川県において生協・農協の廂直は︑例えば観音寺農

﹁協同組合をめぐる情勢は︑市場開放政策の進展︑消費税の導

人︑金融自由化の進展︑地球的規模の環境問題等極めて厳しい ものがあります︒そのため︑協同組合の存在とともにそれぞれ の協同組合における対応の強化に加え︑協同組合間提携の必要

四四

9 ‑‑3~424 (香法'89)

(17)

協同組合間の提携について (波光)

ルートも開かれている︒ージの委託加工等を実施している︒

四 五

性も次第に高まってきています︒また︑三年後の一九九二年に は﹃協同組合の基本問題﹄をテーマに第三

0

回 ICA

大会が東 京で開催されることになっています︒このような情勢のなか︑

本日の記念行事の開催を喫機として︑ここに参加の各協同組合 の協力関係を一層発展させ恒常的なものにするため︑県段階の

連絡・提携組織の設置に向けて準備を進めることを申し合わせ︑

その実現を期するものであります︒L

ここに香川県では各協同組合の県連レベルでの提携に向けて の胎動がはじまった︒右の申合わせに基づき︑まず事務局段階 での定期的な話合いが行われることになった︒

協同組合間提携としては︑農協ー生協の提携が一般的である

が、農協—漁協、農協ー森林組合、漁協ー生協の提携も考えら

れる︒農協と生協では︑組合員に対する物資等の供給という点 では競合する面があるが︑農協は農林部中心に︑生協は都市部 中心にというように地域的に︑また取扱い商品においてそれぞ

れが特化していくことが考えられる︒

産直活動は今後全国的に拡大していくものと考えられるが︑

︵自

主流

通米

︶ の県内産については︑農協←経済連←卸の ルートが開かれており︑特別栽培米︵有機減農薬栽培米︶につ

いては︑食糧事務所長の承認により︑農協←生協︑農協←卸の コ

﹁零細な農家が結集し︑資金を蓄積して共同施設を設け︑その利

宮城県では︑産消提携を行っている生産者の大会が開催され

てお

り︑

また提携組織のトップで構成する宮城県産消提携推進 協議会も開催されている︒仙南加工農協連ではみやぎ生協など 七生協と産消提携をしており︑同農協連の一九八八年度総事業 高三三億八f万円中産直取扱い高は二四億111~Jj円であり、総

(l ) 

事業高の約七二%を占めている︒同農協連の総事業高︑産直取

扱い高は急速に拡大しており︑﹁今Hの産消提携運動の実績は︑

数限りなく行われてきた話合いや農業体験交流︑あるいは農協 と生協の実務者の会議︑生産者と生協組合員による生協店舗で の推奨活動︑消費者に理解を訴える

P

活動などによるものでR

あり︑これらはすべて地場流通が可能な地域に︑ともに生活し

(2 ) 

ている者同士だからこそできること﹂なのである︒同農協連は︑

用 を 通 じ て 便 益 を 享 受 す る の が 農 業 協 同 組 合 活 動 の 基 本 で あ る︒農産加工施設についてみれば︑その利用によってそれまで 奪われていた農産食料品の加工価値を生産者に取り戻すことが

(3 ) 

大きなねらいである﹂との考え方の下に︑価格の乱高下が激し いコンニャクについてコンニャク処理加工場を建設し︑衛生管 理 面 か ら 問 題 が な い よ う に す る た め の

T

し 加 工 施 設 を 建 設

し︑さらに付加価値を高めるためにロースハム︑チキンソーセ

9 ‑‑3 ‑‑425 (香法'89)

(18)

産消提携を成功させるためには︑生産者・消費者︑両者間の 長期にわたる話合い︑相互のねばり強い努カ・協力が必要であ

最後に参考までに、農協•生協における有機農産物流通につ る ︒

いての一〇原則(‑九七九年第四回全国有機農業大会で採択︶

(4 ) 

を掲げておこう︒

︿生産者と消費者の提携の方向﹀

①相互依存・相互扶助の原則生産者と消費者の提携の本質は︑

物の売り買い関係ではなく︑人と人との友好的付き合い関係で ある︒すなわち両者は対等の立場で︑互いに相手を理解し︑相 助け合う関係である︒それは生産者・消費者としての生活の見

直しに基かねばならない︒

②計画的生産の原則生産者は消費者と相談し︑その土地で可

能な限りは消費者が希望する量だけを生産する計画を樹てる︒

③生産物全量引き取りの原則消費者はその希望に基づいて生 産された物は︑その全量を引き取り︑食生活をできるだけ全面

的にこれに依存させる︒

④価格決定における互譲の原則価格の取決めにあたっては︑

生産者は生産物の全量が引き取られること︑選別や荷造・包装 の労力と経費が節約される等のことを考えるべきであり︑消費 者は新鮮で安全美味な物がえられる等のことを十分に考慮しな

生産者及び消費者ともに︑多くの場合︑

⑤相互交流強化の原則生産者と消費者とが提携を持続発展さ

せるには︑相互の理解を深め︑友情を厚くすることが肝要であ

り︑そのためには︑双方のメンバーの各自が相接する機会を多

⑥自己配給の原則

することなく︑生産者グループ又は消費者グループの手によっ

て拠点まで運ぶことが望ましい︒

⑦組織の民主的運営の原則生産者・消費者ともそのグループ

内においては︑多数の者が少数のリーダーに依存しすぎること

を戒め︑できるだけ全員が責任を分担し民主的に運営するよう

努めなければならない︒ただし︑メンバー個々の家庭事情をよ

<汲み取り︑相互扶助的な配慮をすることが肝要である︒

⑧各グループ内学習強化の原則生産者及び消費者の各グルー

プは︑グループ内の学習活動を重視し︑単に安全食糧を提供・

獲得するだけのものに終らせないことが肝要である︒

⑨グループの適正規模堅持の原則グループの人数が多かった

り︑地域が広くては以上の各項の実行が困難なので︑グループ

作りには︑地域の広さとメンバー数を適正にとどめて︑グルー

プ数を増やし互いに連携するのが望ましい︒

⑩漸進的発展の原則

運搬については︑原則として第三者に依頼 くしなければならない︒ ければならない︒

四 六

9 ‑ 3 ‑426 (香法'89)

(19)

協同組合間の提携について (波光)

(l )

窪田立士﹃産消提携をどう伸ばすか﹄︵家の光協会︶一三

S ‑

五頁

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同右一八頁

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同右七八頁

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信岡誠治﹁生熊系農業の現状と課題L

﹃農

産物

生産

・流

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際化対応﹄︵明文書房︶一九五\一九六頁

であ

る︒

最初から以上のような理想的な条件で発足することは困難であ

るので︑現状は不十分な状熊であっても見込みある相手を選び︑

発足後逐次相ともに前進向上するよう努力し続けることが肝要

四 七

9 ‑ 3 ‑427 (香法'89)

参照

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