Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
№13:ラット象牙芽細胞における電位依存性Ca2+透
過性チャネル発現の検討
Author(s)
小島, 佑貴; 東川, 明日香; 木村, 麻記; 佐藤, 正樹;
澁川, 義幸; 田﨑, 雅和
Journal
歯科学報, 114(5): 508-508
URL
http://hdl.handle.net/10130/3493
Right
目的:露出した象牙質への刺激は象牙細管内液の移 動による象牙質痛を誘発する。近年,象牙芽細胞が 感覚受容器として歯髄ニューロンと神経伝達を確立 することが報告された。象牙芽細胞は transient re-ceptor potential(TRP)チャネルで象牙細管内液 移動を感知し,pannexin チャネルから歯髄ニュー ロンへ ATP を放出することで,感覚情報をニュー ロンに伝達している。一方,近年新たな ATP 放出 チャネルとして calcium homeostasis modulator1 (CALHM1)が報告された。CALHM1は電位依 存性に Ca2+ と ATP を透過させる。そこで象牙芽細 胞における CALHM1の発現について Ca2+ 透過性 を指標として検討した。 方法:5−7日齢の新生仔ウィスターラット切歯か ら歯髄スライス標本を作製し象牙芽細胞を得た。脱 分 極 刺 激 は 標 準 細 胞 外 液(Krebs 液)か ら50mM Na+ を K+ に置換した高 K+ 溶液を 用 い た。細 胞 内 Ca2+ 濃度([Ca2+ ]i)は fura-2の二波長蛍光比で記 録した。CALHM1の antagonist として50μM Gd3+ を,電位依存性 Ca2+ チ ャ ネ ル の 非 選 択 的 antago-nist として50μM Ni2+ を用いた。加えて標準細胞外 液から Ca2+ を除去した溶液,細胞外 Ca2+ 濃度を0.01 −2.5mM に調整した細胞外液 を 用 い て,細 胞 外 Ca2+濃度依存性についても検討した。 結果:象牙芽細胞に脱分極刺激を行うと一過性に [Ca2+ ]iは増加した。細胞外 Ca2+を除去すると脱 分極誘発性[Ca2+ ]i増加は消失した。脱分極誘発性 Ca2+流入は,0.01−2.5mM の範囲で細胞外 Ca2+濃 度依存性を示し(KD=0.9mM),50μM Ni2+ に影響 されなかったが,Gd3+ によって有意に抑制された (p<0.05;N=3)。 考察:象牙芽細胞への脱分極刺激が Gd3+ 依存性選 択的 Ca2+ 流入を誘発した事から,象牙芽細胞に電 位依存性 Ca2+ 透過性 ATP 放出経路が存在すると示 唆された。Ni2+ は T/R 型電位依存性 Ca2+ チャネル の antagonist であるため,象牙芽細胞における両 者の発現は否定された。 目的:歯科矯正治療中に生じる歯根吸収は代表的な 問題の一つである。近年,歯髄の有無により歯根吸 収程度に差があることが報告され,多くの研究が行 われている。安村らは,メカニカルストレスを付与 した歯根膜細胞に歯髄細胞を共培養し,歯根膜細胞 の RANKL の有意な増加を示した。しかし,メカ ニカルストレス付与した歯根膜細胞と歯髄細胞の関 係性に関する炎症性サイトカインおよび液性因子を 分子生物学的に証明しているものは少ない。本研究 は,メカニカルストレス付与時のラット歯根膜細胞 (PDLC)の反応を,歯髄細胞(DPC)の有無によ る IL-6および液性因子(PGE2)の発現の差異に ついて分子生物学的に検討を行った。 方法:4週齢 SD 系雄性ラットの門歯を抜歯後, PDLC,DPC を 採 取 し 通 法 に 従 っ て 培 養 し た の ち,第4,5継代目の細胞を実験に用いた。PDLC にメカニカルストレスとして2000rpm の遠心力を 20分間付与し,DPC と共培養を行ったものを実験 群とした。対照群として,メカニカルストレスを付 与 し て い な い PDLC 単 独 培 養 群,DPC 単 独 培 養 群,DPC との共培養群,メカニカルストレスを付 与した PDLC 単独培養群の4群を用いた。ストレ ス付与後1,3日における PDLC 中の IL-6の発現 を定量 RT-PCR 法にて解析を行い,3日における PDLC,DPC お よ び 培 養 液 中 の PGE2の 発 現 を ELISA 法にて解析を行った。 結果および考察:定量 RT-PCR 法の結果,ストレ ス付与後3日において実験群は,付与していない群 と比較して IL-6の発現量が有意に高い値を示し た。ELISA 法 の 結 果,PGE2に お い て PDLC と DPC それぞれで PDLC 単独培養群,DPC 単独培養 群と比較し,実験群を含む各対照群で有意に高い値 を示した。また,培養液中の PGE2において実験 群は各対照群より高い傾向を示した。以上の結果よ り,DPC の存在がメカニカ ル ス ト レ ス を 受 け た PDLC の IL-6と PGE2の発現を促進し,歯根吸収 を促進する可能性が示唆された。