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イギリス国際私法における国際的訴訟競合 一一 一九六八年EC条約による影響を中心に 一一

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(1)

論 1-一『奈良法学会雑誌』第4巻3号(1991年12月〉 説

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イギリス国際私法に公ける国際的訴訟競合

EC

条約による影響を中心にト

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は じ め に 国際的訴訟競合 -イングランドのコモン・ロ l 上の規則 2 一 九 六 八 年 E C 条約の規則 3 二つの規則の比較 三 対 物 訴 訟 -イングランドにおける対物訴訟 2 対物訴訟と一九六八年 E C 条約 ( 1 ) 対物訴訟の占める位置 ( 2 ) 一九六八年条約と一九五二年船舶仮差押条約

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一九五二年船舶仮差押条約の適用

ω

一九五二年船舶仮差押条約を適用せずに管轄の成立する可能性

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一九五二年船舶仮差押条約と現実の仮差押 対物訴訟と国際的訴訟競合 四

(2)

五 当事者 ( 1 ) ノ l ド グ リ ム ト 号 事 件 ( 2 ) リ ン ダ 号 事 件 2 訴 訟 係 属 ( 1 ) フ レ シ ア ・ デ ル ・ ノ l ド 号 事 件 おわりに 1

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ま じ め 近年、国際取引が増加するにつれ、それに関連した国際的な紛争も多発し、その結果、国際的な訴訟の解決のため、 準拠法の問題と同様に、その手続面の問題の重要性もまたクローズアップされてきている。一九六八年の﹁民事及び (以下一九六八年

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条約)は、そのような国際的紛争 商事に関する裁判官轄権及び判決の執行に関する

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条 約 ﹂ に関する訴訟の手続面において、

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諸国内の統一を図ることを目的とするものである。イングランドにおいても、 連合王国がこの一九六八年

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条約を締結・批准し、 一 九 八 二 年 に 、 、 同 , Y 巾 門 戸 ︿ 己 ﹄ ロ 円 ﹄ 印 ︽ 出 円 4 E C ロ

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﹀円円 田口仏 呂 ∞ N ( 以下一九八二年法﹀を制定したことによって、同条約は効力を有することとなった。しかしこの条約は、あく までも

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諸国に関する訴訟に対して適用されるものであるため、現在、イングランドでは、国際的訴訟における手 続的規則については、この一九六八年

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条約による新しい規則と、従来の伝統的な規則とが並存することとなって いる。主として大陸法的規則を基盤とする同条約は、その内容においてイングランドの従来の伝統的規則との違いも ( 3 ) 大きく、その導入にあたってはイングランド側にとまどいもあったようである。そして現在、 一九六八年

EC

条約に 基づく新しい規則の、伝統的規則への影響ゃ、この二種類の規則のそれぞれの適用範囲等、様々な問題がいろいろな

(3)

局面で生じてきている。本稿では、それらの諸問題のうち、外国で提起された訴えと内容的に同一の訴えが内国でも 提起される﹁国際的訴訟競合﹂に関して浮かび上がってきた問題を、最近のイングランドの判例をもとに検討するこ ととしたい。 3一一イギリス国際私法における国際的訴訟競合 ( 1 ) 、 H , E 巾 何 回 W A u n o ロ ︿

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国際的訴訟競合

1

イ ン グ ラ ン ド の コ モ ン ・ ロ I 上 の 規 則 イングランドの裁判所は、 正義に反すると判断した場合には、

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訴 訟 中 止 、 つまり当事者の訴えに対して、管轄権 を拒否し、訴えを中止公

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じしたり、ときには却下 2 2 5 2 6 する裁量権と、

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外国訴訟差止め、 つまり当事者に 対して、外国の裁判所において原告として訴訟を開始したり訴訟を続行することを禁止する命令を下す裁量権を、伝 統的に有してきた。この裁量権は、全ての形態の訴訟に適用され、したがって対人訴訟と同様に、海事事件における

(4)

対物訴訟にも適用されてきた。そして国際的訴訟競合はコモン・ロ l 上、裁判所のこれらの裁量権をいかなる場合に おいて一行使するかについての判例の積み重ねの中で議論されてきた。 つまり、裁判所は国際的訴訟競合の問題を国際 イングランドの伝統的規則であった。しかもその際、国際的訴訟 ( 7 ﹀ 競合といっても、厳密に争点の同一性を要求するわけではなく、また外国!とイングランドのどちらに先に事件が係属 ( B ) しても構わないとされた。さらに、前述したように、裁判所は対人訴訟にも対物訴訟にも同様に裁量権を有している 裁判管轄の存否の判断の中で解決するというのが、 ため、ある事件について、外国で対人訴訟が起こされ、それに対しイングランドで対物訴訟が起こされても(あるい はその逆の場合も)、♂裁量権行使の対象どさ回れた。つまり当事者の同一性広関しても、さほど厳格には考えられては いなかったのである。これは、これらの裁量権はそもそも裁判所の正義の実現のために行使されるという考え方が根 底にあり、正義に反するかも知れない場合には、とにかく裁量権行使の対象として考慮しようとする姿勢が示された ものと思われる。 このような伝統的規則において、訴訟中止に関する判例が、 以前は、国際裁判管轄の枠組みの中で国際的訴訟競合がとらえられていたとはいえ、少なくともこれを、訴訟中止す 一北七三年を境として、大きく変化じた ο 一 九 七 三 年 ベき一類型として独自にとらえて考産する姿勢が判例に見られていた。 つ ま り 、 一九七三年までは、裁判所がこれら の裁量権を行使する場合の類型としては、①外国に同じ訴訟が係属している、国際的訴訟競合の場合、②外国に同じ 訴訟は係属してはいないが、 イ ン グ ラ ン ド 以 外 に 、 より適切な法廷地があるとするフォーラム・ノン・コンビニエン ハ ロ ﹀ の三つの場合が、類型として挙げられてきたのである。そして スを理由とする場合、③外国管轄の合意がある場合、 ①の国際的訴訟競合については、実際に訴訟中止の命令が下されたことはほとんどなかったものの、数多くの判例が ( 辺 ) 報告されている。また、外国訴訟と内国訴訟との原告と被告が、共通しているタイプと、逆転しているタイプとでは

(5)

裁量権行使の基準を変えるべきだとの主張もなされるなど、国際的訴訟競合自体を対象とする独自の手続規則が形成 されつつあった。これに対し、②のフォーラム・メン・コンビニエンスについては、この法理そのものがイングラン ︹ HH) ドでは導入されていないのだとして否定されてきた。 ( お ﹀ ︿ 忙 m v 一九七三年の吋宮市﹀

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判決を契機とし、その後一九八六年の

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判決に至るまでの一 し か る に 、 連の判例により、 イングランド裁判所はそれまでの態度を一転させ、フォーラム・ノン・コンビニエ γ スの法理が採 り入れられることとなった。一その結果、イングランド以外に、事件を審理するのにより適切な法廷地があることを理 由 と

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て、訴訟中止がなされるようになった。さらに注目すべき点は、単にフォーラム・ノン・コンビニエンスの法 理を採用しただけでなく 1 従来なされていた、訴訟中止の対象としてのフォーラム・ノン・コンビニエンスと国際的 5一一イギリ;,<.国際私法における国際的訴訟競合 形 訴 が 訟 と 競 ら 合 れ と た の と 区 い 別 う を こ す と る で ζ あ と るi8な O~ <( フ ォ ー ラ ム ・ メ 一 ン ・ コ U J r ピニエンスの法理の中にぺ国際的訴訟競合を含むという この点について少し説明すると、裁判所 Jは 、 フォーラム?ノ

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・コンビニエンスの法理を採り入れた結果、自らが 事件を審理するのが適切かいどうかを判断する仁あたって、同じく管轄権を有する他の外国裁判所と自らとを比較し、 どちらが審理に適切な法廷地であるかを判断するという方法を採るようになっている。そ

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てその比較の対象となる 外国の法廷地が現に存在し、そこでの審理がより適切であるということは、被告が主張しなければならないのである ハ 股 ) が、その際、その外国裁判所に、当事者がその時点において同じ訴訟を提起していてもいなくて-も、 ハ

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訴訟競合の状態になっていてもいなくても、裁判所の採る判断の方法に変わりはないのである。 つまり、国際的 ﹁同じ事実が争点となり、同じ証人の証言が必要とされる二つの訴訟が、異な ( 泊 ) るごつの国で同時に進められることから生じる不都合と費用がさらに付け加えられる﹂のであるから、国際的訴訟競 もちろん、国際的訴訟競合の場合、

(6)

フォーラム・ノン・コンビニエンスの法理の中で考慮すべき重要な要素の一つになるとはい ぇ 合 る Iこ で あ あ る ろ と う五い O~ う し こ か と し が 一連のフォーラム・ノン・コンビニエンスに関する判例の集大成といえる、 ( お ﹀ 族院判決である

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判決において、テンプルマン判事は、 一九八六年の貴 ﹁ある法廷地がより適切な法廷地であるかどうかを裁 判所が判断するにあたって考慮すべき要素は無数にあり、個々の事件においてこれらの要素のうちのどれを重視すベ ︿ 辺 ) と述べており、国際的訴訟競合に、必ずしも特別の規則が適用さ きかを示す明確な指針を与えることはできない。﹂ れるとは限らないことを示している。 このようにコモン・ロ l においては、国際的訴訟競合は、 フォーラム・ノン・コンビニエンス法理の枠組みの中に 組み込まれ、その一要素としてのみ考慮されるようになっている。その結果、現在訴訟中止の裁量権行使は、①フォ ーラム・ノン・コンビニエンスの場合、および、②外国管轄の合意がある場合、の二つの場合に分けて考慮されるこ ハ お ) ととなっている。国際的訴訟競合のみを独自に規律するという方法はもはや採られてはいない。 他方、外国訴訟差止めについては、訴訟中止の判例が大きく変化するさなかの一九八一年に、貴族院において ( お )

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判決が出された。 この判決は、外国訴訟の差止めも、イングランドでの訴訟を中止する裁量と同じ基準で ( 明 μ ﹀ 認めてよいと判示したものであった。これは、訴訟中止の裁量に関してフォーラム・ノン・コンビニエンスの法理が 認められていこうとする判例の流れを意識したもので、外国訴訟差止めも訴訟中止と同様に、 かなり緩やかに許そう としていた。しかし、外国訴訟差止めは外国の裁判手続への介入を意味することから、これをイングランドでの訴訟 ( 咽 岨 ) を中止する場合と全く同じ基準にすることに対して、批判も多かった。そしてその後、外国訴訟差止めに対して訴訟 ( 却 ﹀ 中止よりも厳しい基準を示した枢密院の判決も出ている。むろん、この枢密院判決によって、貴族院判決である

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判決が破棄されたわけではないが、 コ モ ン ・ ロ l 上 の 規 則 は 、 まだ変化する 外国訴訟差止めに関しては、

(7)

(叩岬﹀ 可能性がかなり残されているといえ、訴訟中止に関する規則とは区別してとらえる必要があると考えられる。 以上見てきたように、 イングランドのコモン・ロ 1 上、国際的訴訟競合は、独自にとらえられるというよりも、訴 訟中止と外国訴訟差止めという二つの枠の中で別個にとらえられるという形をとってきたが、 一九七三年以降の判例 の大きな変化の中でも、その構造に変わりはなかった。むしろ、国際的訴訟競合がフォーラム・ノン・コンビニエン スの一態様として認められたことによって、以前よりも一層、国際的訴訟競合自体の輪郭はぼやけた感が強い。国際 的訴訟競合は、今では、裁判所の裁量権行使の一要素としての役割を担うにすぎないのである。 7一一ーイギリス国際私法における国際的訴訟競合 ( 4 ) 一 の 宮 町 田 E g h 町 225 ・ 同 M E ︿ k p d w H Z 吋何回 Z P 4 5 z k p F F K F d ﹃ H H E -- N N H ! 日 品 A P ・ 玄 C 円 門 戸 田 w j 司 Z 開 。 。 Z 司 F R 4 0 司 F K F 4 司 ♂ ω 丘 町 P ・

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-( 5 ) 冨 O 円 門 戸 田 ・ ミ . ( 6 ﹀イングランドにおけるコモン・ロ l 上の判例については道垣内﹁国際的訴訟競合(二﹀﹂法協九九巻九号九三頁以下、およ び ﹁ 国 際 的 訴 訟 競 合 ( 一 二 ) ﹂ 同 九 九 巻 十 号 一 一 貝 以 下 参 照 。 ( 7 冨 o E p g y a ロ o g 仏 ・ 8 ・ ( 8 ) m U F g E 円 。 伶 Z D ι a y h z h h v ﹃ 白 白 C 丹 市 A H W M ω 叶 ・ ( 9 ﹀道垣内前掲注 ( 6 ) に も そ の よ う な 事 例 が あ げ ら れ て い る 。 (叩)海老沢﹁外国裁判所における訴訟係属と二重基礎の禁止﹂青法八巻四号一二頁参照。 ︿

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ω 叶 昂 ( 5 8 ) ・ (ロ)道垣内前掲注 ( 6 ) 参 照 。 ( 日 ) 円 リ y g E B h v Z 0 2 y g h v s g g p

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(8)

(虫) The Atlantic Star v. Bona Spes (The A t1 antic Star) [1974] A. C. 436. (~) Spiliada Maritime Corp v. Cansulex Ltd. [1987J A. C. 460. (口) 内 )Q~0 設~~誌はやム\J t;!'区盤耳切

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再任 ey , INTROnUC1 :,I ON TO T Fl E CONFLICT OF LAWS , 127. (g:j) Spiliada Maritime Corp. v. C 昆 nsul t; x I,. td. [1987J A. C. 460. (~), [1987J A. C. 460 , 465. (自) Id. 221-222. .;d 以..J~主総 Q 4Jロ制後~tZ' ~<\n ,,",井静:t-\Jムテ QO Dicey

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Morris , THE CONFLICT OF LAWS 11ed. , 389. (~) Castanho v. Brown and E. oot (UK) Ltd. , [1981J A. C. 557. (~) , [1981J A. C. 557 , 574. 壁崩程螺組(じ),

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匿臨海軍駐剥(口 )10< 1m:~lì!長。 (~) Societe Nationale Industrielle Aerospatia)e v. Le

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Kui)a li: i [1987J 3 W" L. R. 59. (宕) Briggs

Restraint of foreign ρ roceeding , [1987J L. M. C. L. Q. 391

393. ,(~) Sp i1i ada 客様 Q 誕出 Hl 同眠州側 E ム.;d "11 ト寧怖t;!' >¥J Q 害問IlI Q モト FJ'1 憶稲-H--=l..lJ太阻結論 4 申¥I:l-=l:Q Q 帯電 E衣笠民 op~ tZ'..lJ~ヨて ν _,的。 [1987J A. C. 460 , 480. 区白

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(9)

ような性格を持つものであろうか。 もともと一九六八年

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条約は、削締約国内に常居所を有する者を J 他の締約国の過剰管轄から守ること、および

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イ締約国聞でほぼ自動的な判決の承認をすること、を目的とするものである。そして国際的訴訟競合に関して同条約は、 コ モ p γ ・ 一 戸 I 土の規則とは異なり、国際的訴訟競合それ自体に関して、第一二条から第二三条に次のような明確な規 定 を 定 め る 。 第二}条 第

1

項 同一当事者聞の同一の請求についての訴えが、すでに締約国の裁判所において係属するときは、 後に訴えが提起された ε 裁判所は、職権に基づき、先に訴えが提起された裁判所の管轄を理由として、自らの管轄不 存在を宣告 T な け れ ば な ら な い 。 第

2

項 他の裁判所で先に係属している事件において、その事件の管轄が争われているときは、前項の規定により 合 競 訟 訴 的 際 国 る け お 件

7

た裁判所につきいずれの訴えについても管轄が認められるときは、当事者の一方の申立てに基づき管轄が存在しな 私 際 、 国 ス 一 ギ イ 管轄不存在を宣告すべき裁判所は自らの管轄不存在の宣告を延期することができる。 第 二 ニ 条 第

1

項関連ある訴訟が、すでに締約国裁判所に係属する場合、いずれの訴訟も第一審の審理に服して いるときは、後に提起一台れた裁判所は判決を延期することができる。 -後に提起された裁判所は、'その国の法律によれば関連する訴訟につき併合が認められ、かつ先に提起され 第

2

項 い苧去を宣告する ζ と が で き る 。 第

3

項 本条に定める関連訴訟とは、相互の訴訟について緊密な関係が認められることに基づき、別の手続による 矛盾した判決が成されることを防止するため、同一の手続ならびに判決がなされることが必要と解せられるものを

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(10)

訴えにつき、二以上の裁判所に専属管轄が認められるときは、後に訴えが提起された裁判所は、先に提 円 明 品 ﹀ 起された裁判所の管轄を理由として、みずからの管轄の不存在を宣告せねばならない。 第二一条から二三条までの規定は共に、先に訴えの係属した裁判所に、機械的に審理の優先権を与えようとするも のである O 恥これは、先に述べたこの条約の

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の目的、つまり、締約国間でほぼ自動的に判決の承認をするという目的 のために、訴訟が二重に係属し、矛盾じた判決が出るのを避けようとするためである。その際にいずれの裁判所が事 (叫揖︾ 件の審理により適切かということは問題にはきれず、判断の基準はただ、事件の係属の日時という一点にかかってい る。これはこの条約が、先に述べた

ω

の目的のもとに、過剰管轄を避け、適切な管轄規則を定めているため、この条 第二三条 約の規則に基づいて成立した管轄ならば、そのうえさらに管轄の適正さを個別にチェックする必要はないとの姿勢を 示したものである。 一九六八年

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C

条約のこれらの規則は、前述の伝統的手続規則、 つまり国際的訴訟競合をフォ l ラム・ノン・コンビニエンスの法理の中の一要素ととらえ、イングランドでの審理が適切かどうかを基準として、訴 訟中止の命令を出すか否かを判断するというコモン・ロ l 上の規則とは全く異なるものである。 第二一条から第二三条までの三つの条文のうち、専属管轄権を有する裁判所間での訴訟競合を扱う第二三条はごく 稀な場合としてひとまず置くとして、残る二つの条文のうち、全く同一の訴訟が競合する場合を扱う第一一一条につい て先に述べていくことにする。 第二一条が適用されるためには‘①同じ訴訟原因、②同じ当事者、③二つの締約国での訴訟、 の三つの条件が満た 二 さ 項 れ 可 て 白 L

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自 第 分の望む法廷地へ、相手の当事者よりも少しでも早く提訴すれば、その管轄は認められることになる。しかも、第二

(11)

一条は締約国聞における訴訟競合に適用されるのであるが、それぞれの訴訟の管轄原因は、必ずしも一九六八年

E

C

( 刊 拍 ) 条約に基づいたものである必要はないとされる。要するに同一の訴訟が締約国間で競合状態になればよいわけである。 し た が っ て 、 たとえばノルウェイに常居所を有するフランス人が、 イングランドに滞在中に令状を送達されて提訴さ れ、またフランスにおいてもフランス民法第一四条に基づいてフランス国籍を理由に提訴され、その結果国際的訴訟 ︹ 幻 ﹀ 競合の状態になった場合にも、この第一一一条が適用されることとなる。そうなると、この条文が適用される場合はか ( 刊 拍 ) なり広いと考えられ、この条文が当事者間に、自分の望む裁判所への提訴の競争を誘導することになるという懸念は 無視できないであろう。 次に第二二条は、同一の請求ではないものの、矛盾する判決が出る可能性のある二つの訴訟が、締約国聞に係属す 1 1 -イギリス国際私法における国際的訴訟競合 る場合に、後訴裁判所に、訴えの中止をする裁量権を認めるものである。第一一一条が訴訟原因の同一、 および当事者 の同一という要件を厳格に規定しているため、これらの要件の何れかが満たされない場合でも、先に述べた条約の

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の 目 的 、 つまり、判決の自動的承認の目的に反するような矛盾した判決の下されそうな場合を想定して規定されたも のである。この場合、第一二条と異なり、全く同一の請求ではないため、裁判所は訴えの中止の命令をしても良いし、 しなくてもよいと規定されている。 ( 日 記 ) 回 目 立 Z F M 3 F 同 町 、 町 内 H b h . H b 回 。 。 ∞ 旬 、 宮 旬 同 町 N h -T R F 喝 さ き な ︻ u b w 暗 号 h w H H 芯 ミ ミ 悼 み 弘 、 ミ ミ ﹄ 町 、 与 え 叫 C 5 H ミ勾 S H H C 日 戸 ・ 0 ・ HP ∞ K H 0 ・ 出 品 A F . 切 江 n 巾 ・ h 司 君 、 ﹃ ロ ロ O 同 m M ω ・ M

H . ( お ) 岡 本 前 注 ( 2 ﹀ 一 ニ 一 巻 二 号 九 一 頁 以 下 参 照 。 (川品﹀ { U F g 一 回 回 目 門 町 除 Z C 2 v w 何 Hh ﹄ 官 補 、 白 口 。 芯 品 ・ ω 凶 ω i ω N A F・ ( お ) 固 と ・ 2 巾 M J R U H ︿ 岡 戸 ﹄ 一 戸 同 開 a u R 4 5 Z ﹀ Z U L ﹃ CD の 玄 関 Z 斗 印 w 叫 由 ・

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一一つの規則の比較 以上見てきたように、 イングランドにおいて、国際的訴訟競合に対して適用される規則は、伝統的規則と、 一 九 六 八年

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条約に墓づく規則とではずいぶん異なっている。ここでひとまず整理してみると、まずコモン・ロ l 上の伝 および事件の係属の前後などについては厳密に要件を 定める事なく、もう少し広い観点で訴訟競合がとらえられていたが、近年の判例により、以前よりも一層一般的な形 統的規則においては、従来、争点の同一性、当事者の同一性、 でとらえられるようになったといえる。 つまり、現在、伝統的規則においては、国際的訴訟競合はフォーラム・ノン -コンビニエンスの法理の中で解決しようとする姿勢が見られ、そこでは、国際的訴訟競合はもはや独立した形では フォーラム・ノン・コンビニエンス法理の、訴訟中止の裁量行使をするかどうかの考慮の一要素として 考 慮 さ れ ず 、 しか認識されていない。 他 方 、 一 九 六 八 年

E

C

条約においては、これとは対象的に、国際的訴訟競合独自に対して)明確な規則を定めてい る。そこではまず第二一条において、訴訟競合の状態になっているかどうかの厳密な要件が定められている。そのた め、事件の同一性、当事者の同一性、外国裁判所での訴訟係属時、 のそれぞれについて、入念なチ 4 ヅグが必要とな る。これらの要件にはずれる場合は、さらに、第二二条が適用されるかどうかがチェ γ クさーれることになる。ちなみ

(13)

に、伝統的規則でいうとごろの国際的訴訟競合には、この第二一条、二二条で扱うものが両方含まれると考えられる。 この伝統的規則と一元六八年

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条約の規則との聞に見られる差は、それぞれの規則の目的が、前述したように、 ハ 却 ) かたや伝統的規則においては、正義に反することを防ぐことにあり、かたや一九六八年

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条約に基づく規則におい ては、締約園内の自動的な承認執行を実現することにあ一明というように異なっていることから生じていると考えら れる。しかし、そのような目的から生じたそれぞれの規則は、 一方は国際的訴訟競合をより一般的な形でとらえよう としており、他方は厳格な要件を定めるというように九結果として全く逆の方向を向いたものとなっている。 しかもこれら三つの規則のいずれが適用されるかは、締約国内の裁判所に同じ訴訟が係属しているかどうかという つまり、内国の訴訟と競合する訴訟が、どこの国の裁判所に係 極 め て 一 一 義 的 な η 基準によっで決められる τ に す ぎ な い 。 13一一イギリス国際私法における国際的訴訟競合 属しているかという、相手国の国別の基準によってのみ区別されているだけである。したがって、この二種類の異な る規則が適用される対象となる訴訟自体は、何ら差のないものなのである。その結果、現在イングランドの裁判所は、 一九六八年

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条約締結以前と全く同じ状態にある国際的訴訟競合の事例に対して、それが同条約の締約国との間で 訴訟が二重に係属しているというだけで]それまでのコモン・ロ)上の規則とはまったく異なる規則を適用しなくて はならなくなっているというわけである。したがって、これらの規則の適用の狭間で、 いくつかの問題が出てくるの もある程度やむを得ないことといえるかも知れない。この問題が顕在化したのが、 イングランドの対物訴訟︿由主

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2 5 B ﹀ で あ る 。 ( 却 ) ( 川 仰 ) 前 述 二 参 照 。 前 述 三 参 照 。

(14)

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イングランドにおける対物訴訟 対物訴訟とは、人に対する訴えではなく物

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に対する訴えであり、現在のイングランド法においては海事裁判 ︿ 川 町 ) 所での海法上の訴えにおいてなされる。対物訴訟における判決はこの物に対して利害を有する全ての人を拘束する。 たとえその人が裁判所の管轄権に服していなかったり、訴訟に全く関与していなかったとしても、その人はこの判決 ハ 位 ) に拘束されることになる。 対象となる物は、船舶や積荷などであるが、船舶に対して訴えが起こされることが多い。裁判所が対物訴訟の管轄 権を有するためには船に対して令状宮﹃伊丹)が送達されなければならないが、この送達は、船のマスト等に令状を添 ( 必 ﹀ (HH ﹀ 付するという方法が採られ、他の方法で代替はできない。したがって、対人訴訟の場合と違って、管轄外への令状の ( 必 ) 送達は不可能とされ、船は令状送達時には管轄内にいなければならない。ただし、令状の発行は船が管轄外にいても ( 必 ﹀ 可能であるため、当事者は、令状の交付を予め受けておき、目指す船がイングランド裁判所の管轄内に入ってくるの を待ち受けて、令状を送達することができる。 またこの対物訴訟において、原告は、勝訴した場合でも、判決が物令市白)に対してのみ執行されるため、認定され つまり船の価額を越えては執行されないという制約を受ける。 た損害の額が船の価額より多い場合でも、必然的に物、 この対物訴訟において注意すべき点は、もしも船主が、船舶の仮差押を防ぐため、あるいは仮差押を解除するため に、保証金その他の担保を提供しようとした場合、船主は令状の送達を確認官

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宮 町 田 O B B ) に服従したことになるという点である。

(15)

また船主が本案を争うために裁判所に出廷した場合も同様に、対人管轄権に服従したとされる。これらの場合、訴え はその時点でその船主に対する対人訴訟官

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に変わり、裁判所は船主に対して対人判決を下すこ ハ組閣﹀ とが可能になる。その結果、原告が勝訴し、裁判所の認定した損害額が船の価額よりも多ければ、船主の他の資産に も執行することが可能とされる。 一般的にいって、対物訴訟を起こされた船の船主は、船の仮差押を避けるため、保証金その他の担保を提供しよう ハ 印 ) とするのが普通である。そのため、はじめは対物訴訟として提訴された事件が、結果として対人訴訟となる場合が多 い。相手の船主がイングランド外に居る場合、対物訴訟のこの特徴の持つ意義は大きい。なぜなら、船主相手に対人 訴訟を起こすのは、最高裁判所規則。

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( C に定められた場合に限られるという制約を受けるが、他方、 15一一イギリス国際私法における国際的訴訟競合 船舶に対する令状送達は、その船舶の航海予定を調べ、イングランドの港に入港するのを待って行えば、比較的容易 だからである。そのうえ、令状送達の対象となる船も、紛争のもととなった船自体でなくても、船主の所有する他の 船(姉妹船)でも良いとされる場合もある。したがって、原告側としては利用しやすい対物訴訟でまず訴えを起こし、 相手の船主が出廷するのを待つという手段を講じることが出来るわけである。その意味で対物訴訟は、船に対する令 状そのものはイングランド裁判所の管轄内でしか送達できないが、結局は、管轄外にいる被告をイングランド裁判所 の管轄内に引っ張ってくることができる、有効な手段といえるわけである。 その反面、対物訴訟のこの特徴は、訴訟の被告はいったい誰なのかという複雑な問題も含んでいる。そして、この 一 九 六 八 年

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条約適用において、いくつかの議論を呼ぶことになるわけである。 点 が 、 ハ打倒﹀

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対物訴訟と一九六八年

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条約

対物訴訟の占める位置 対物訴訟と一九六八年

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条約との関係、でまず問題になるのは、いっ‘たい、物を訴訟の対象とする対物訴訟が人被 告の常居所を基本的な管轄の基準とする一九六パ年

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条約の枠組ぷの中でどのような位置を占めるのか、そもそも t ( 1 ) 対物訴訟に一九六八年

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条約が適用されるのか、適用されるだ

6

どのような形でされるのかということである。 d な ぜなら先にも述べたように、対物訴訟は、イングランド外に居る船主を相手に損害賠償を請求したい場合、ある意味 で非常に便利な手段であるため、原告側とすれば、 一 九 六 八 年

EC

条約のもとでも対物訴訟を提起できれば助かるわ

(17)

けであるが、反面そうなれば、国際的訴訟競合になった場合に、同条約の要件を対物訴訟に適用していくという困難 な問題が予想されるからである。 この点を考えていくために、 一 九 六 八 年

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条約の基本的な管轄規則をイングランドの裁判所の立場から見れば、 次の三点にまとめることができる。

ω

イングランドに被告が常居所を有していれば、イングランドの裁判所が管轄権をもっ。

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被告が締約国以外の国に常居所を有していれば、イングランドの裁判所はイソグランド法のみに基づいて管轄を 持つことができ、一九六八年

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条約は適用されない。

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被告がイングランド以外の締約国に常居所を有する場合は、イングランド裁判所は条約の第五条から第一八条に 17一一イギリ九国際私法における国際的訴訟競合 定められた場合のみにおいて管轄権をもっ。 このような管轄規則のもとで、たとえば、荷物が船で運ばれる途中、その荷物が損傷を受けたとして荷主が損害賠 償を請求したい場合、イングランドの裁判所は、どのような場合に裁判管轄権を持つことになるのだろうか。まず、 相手の船主がイングランド内に常居所を有している場合は、イングランドの裁判所は、船主に対して直接に管轄権を 有することになり

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の場合﹀、問題はない。つぎに相手の船主が締約国以外の国に常居所を有していた場合は、イン グランドの園内法が適用されるため、相手の船主所有の船舶に対する対物訴訟をイングランドにおいて起こすことが で き る

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の場合)。問題となるのは

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の 場 合 で あ る 。 相手の船主がイングランド以外の締約国に常居所を有する場 合、荷主は、管轄合意のある場合などを除いて、船主に対する対人訴訟をイソグランドの裁判所に提起することはで き な い 。 ま た 、 一 九 八 六 年

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C

条約の第五条から第十八条の規定の中には、対物訴訟に関する規定は、第五条第七項 にサルベージに関する訴えについての規定が一つあるのみで、それも、積荷や運賃を訴えの対象の﹁物﹂とするもの

(18)

であって船舶を対象とする規定ではない。しかし、荷主の立場としてみれば、 いくら条約によって判決の執行が保証 されているとしても、イングランド内に相手の船主の所有する船が入港していれば、 わざわざ船主の常居所地までい って提訴するよりもイングランドで対物訴訟を起こしたいと考えるのは当然とも思える。そこでこのような場合に、 原告は船主所有の船に対する対物訴訟をイングランド裁判所に起こすことができるのかという問題が生じてくる o r

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一 九 六 八 年

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条約と一九五二年船舶仮差押条約

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一九五二年船舶仮差押条約の適用 連合王国が一九六八年

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条約を締結するにあたって、この問題を念頭において条約の一部が改正された。それは、 一方で、対物訴訟の性格および一九六八年

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条約の基本的ル 1 ルはそのまま維持しつつ、他方で、締約国が対物訴 一 九 六 八 年

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条 訟の管轄を認める他の条約を批准していれば、その条約に基いて対物訴訟の管轄が成立するのを、 約においても認めていこうとするものであった。この結果、連合王国が批准している一九五二年の

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条約のもと でも、従来通り対物訴訟を起こすことが可能になった。そして学説は一般的に、この改正がなされたため、対物訴訟 はこの一九六八年

EC

条約によってほとんど影響を受けないであろうという見解に立つ。 およびこれら学説の見解の根拠を要約すると、次のようになる。 条 約 の 改 正 点 、 ①海事事件に関する対物訴訟において、 イングランド裁判所が管轄を有するのは、 ほとんどの場合、連合王国によ って締結されている一九五二年船舶仮差押条約に基づく場合である。 ②一九六八年

EC

条 約 の 第 五 七 条 は 、 ﹁この条約は、特別の事項に関する裁判管轄または判決の承認もしくは執行

(19)

に関して、締約国が現在締結し、あるいは将来締結する条約の効力を妨げるものではな同ご @また、連合王国の一九六八年

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条約加盟に際して追加された、第二五条第二項

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﹀は、﹁改定された一九六八 年条約は、締約国が特別の事項に関する条約を締結している場合には、たとえ被告が、その条約を締結していない 他の締約国に常居所を有している場合にも、当該締約国の裁判所がその条約に基づいて管轄を行使することを妨げ と規定している。 るものではないよ と規定している。 ④これらの規定により、連合王国が一九五二年船舶仮差押条約を締結しているため、 イングランド裁判所は、 た と え船主が他の締約国に常居所を有し、その締約国が一九五二年船舶仮差押条約を締結していなかったとしても、こ の条約に基づく対物訴訟の管轄権を行使することができる。 19-ーイギリス国際私法における国際的訴訟競合 ⑤また一九五二年船舶仮差押条約は、その名の通り船舶にしか適用されないが、それ以外の場合については、やは り連合王国の一九六八年

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条約加盟時に追加された、第五条第七号に﹁積荷および運送賃請求権の救助に関する 報酬請求の争いについては、次に掲げる裁判所、 つまり助支払確保のため、当該の積荷および運送賃請求権の差押 えを認めた裁判所、

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当該の積荷および運送賃請求権の差押を認めることができた場合に、仮差押を免れるため保 証その他の担保の提供がなされた裁判所﹂にも提訴することができると規定されている。これは、従来連合王国が 認めてきた特別管轄であるが、これに関する条約がなく、 一 九 六 八 年

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条約が適用されれば、第五七条を考慮し てもこの管轄は成立しないため、その補充として追加されたものであ石町その結果、海事事件の対物訴訟において、 イングランド裁判所が管轄権を行使できない場合は、ごくまれな例外的な場合にのみ限られる。 右の説明の通り、これらの改正の結果、 一九五二年船舶仮差押条約に基づくことによって、一九六八

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年条約の もとでも、イングランド裁判所において対物訴訟が提訴可能になった。しかし、従来の対物訴訟の性質は何らさわら

(20)

れることなく、そのまま採り入れられたため、 いざ適用の段階になるといろいろな問題が出てくることになる。 (2) 一九五二年船舶仮差押条約を適用せずに管轄の成立する可能性 この間題、が出てきたのがディヒランド号事件である。 事件は、デイヒランド号の裸傭船者であるデイヒ・ナヴィゲlション会社が、 スコヅトランドのグラスゴーから、 イタリアへ原告の荷物(スチール製コイル﹀を運送したところ、積荷が損傷を受けたとして、訴えられたものである。 原告はイングランド裁判所に対物訴訟の令状発行を求めデイヒランド号がイングランドに入港した際にこの令状を送 達した。これに対し、デイヒ・ナヴィゲlション会社は、自分が(当時の)西ドイツに常居所を有していると主張し、 そのため本件は一九六八年

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条約第三条により、西ドイツの裁判所が管轄権を有するとして管轄を争った。一九六 八年

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条約のもとにおいても、前述したように一九五二年船舶仮差押条約に基づけば、イングラソドの裁判所にお しかし本件においては、デイヒランド号に令状は送達されたが、デイヒ ・ナヴィゲlション会社がハンブルグのピ 1 ・アイ・クラブ ( p h p F n Z σ 船主責任相互保険組合)による保証書を 一九五二年船舶仮差押条 いて対物訴訟を提起することは可能である。 提出したため、実際には仮差押はなされていなかった。そこで、このような場合において、 約が適用されるのかどうかが問題となったわけである。 ところが第一審においてシ 1 ン 判 事 は 、 一九五二年船舶仮差押条約の適用の問題を論じる前に、まず、対物訴訟の 被告が誰であるかという点に着目した。判事は、本件は対物訴訟であり、裸傭船者が応訴してこないかぎり、対物訴 訟としての性質のみを有することになると述べた。そして、対物訴訟においては﹁被告﹂は存在しないため、﹁被告﹂ の常居所を管轄の基礎とする一九六八年

EC

条約は適用されないとしてデイヒ・ナヴィゲlション会社の主張を退け

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た 。 シ I γ 判事の意見は、デイヒ・ナヴィゲlション会社としては、応訴して本案を争い、本件を対人訴訟として一 九六八年

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条約の適用を受けるか、裁判に欠席して対物訴訟のままにしておくかのどちらかを選択するしかないと ( 山 田 ) い う も の で あ る 。 しかし、デイヒ・ナヴィゲ I ション会社が応訴して、一九六八年

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条約が適用されたとしても、応訴管轄が生じ るため、やはりイγグランドに裁判管轄権が認められることになるのである。従って、シlγ判事のこの考え方によ るならば、相手の船主が他の締約固に常居所を有している場合でも、対物訴訟においては、一九六八年

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条約が適 用される余地はほとんどなくなることになる。その結果、本件でそもそも問題となっていた、 21-イギロス国際私法における国際的訴訟競合 一九五二年船舶仮差押 条約に基づく場合の要件を考慮する事なく、対物訴訟を全く自由に-起こすことができるということになる。シ l y 判 事は本件よりも先に、国際的訴訟競合の事例である後述のリンダ号志向ピおいては、対物訴訟にも積極的に一九六八 年

EC

条約を適用する姿勢を見せていたため、それと比較すれば、対物訴訟に一九六八年

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条約を適用するという 見地から見た場合、本件においてシlγ判事は一歩後退したともいえよ一羽 この判決は、しかし、控訴審で覆されることとなった。

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ル判事は、デイヒ・ナヴィグ

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ション会社を被告とし ハ m む 一 九 六 八 年

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条約第三条が適用されるかどうかの判断の一対象となると判示し士。そしてその理由として、

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条約の解釈は条約の白的(締約固に常居所を有する被告を過剰管轄から守ること)を考慮してなすべきである、

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一 九 六 八 年

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条約は対物訴訟も対象とする、

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イ γ グ ラ γ ド法の対物訴訟という特殊な性質を有する訴訟に関する 規定が、国際管轄規則に関する条約に影響を与えるとは考えにくい、

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誰が真の被告であるかを見るために法の形式 の背後にあるものを見なければならないという点を挙げ桟このようにして

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ル判事はデイヒ・ナヴィグlシヨン 会社を被告として認めた後、同社は西ドイツに常居所を有すると認定している。 て 山 一 め 、

(22)

この判例の結果、相手の船主が一九六八年

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条約の締約国に常居所を有していた場合は、対物訴訟を提起するに あたっても、この条約の適用合受けることになった。したがって、原告が対物訴訟を起こそうとするならば、 一 九 五 二年船舶仮差押条約その他の、管轄規定に関する条約に基づいて提訴する以外に方法はないということになり、これ らの条約の要件が重要になってくる。 そ こ で 、 一九五二年船舶仮差押条約適用に際しては、デイヒランド号事件においてはじめに問題となっていた、現 実の仮差押が必要かどうかという点が、再び議論の対象として浮上してくることになる。デイヒラソド号事件におい つづけて一九五二年船 て は 、

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I ル判事が、対物訴訟においても一九六八年

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条約が適用されると判示した後に、 舶仮差押条約との関係を考慮している。 (3) 一九五二年船舶仮差押条約と現実の仮差押 この問題が出てきた背景には、イングランドの対物訴訟においては、船に対する令状送達を管轄の基礎としている ( 河 ) の に 対 し 、 一九五二年船舶仮差押条約においては、船が差押えられたときにはじめて管轄権が認められているという 事情がある。そこで本件のように、船舶に対して対物訴訟の令状を送達された船主が、船の仮差押を避けるため、仮 差押がなされる前に保証金その他の担保を提供し、結果として船の仮差押がなされなかった場合、 一九五二年船舶仮 差押条約が適用されるのかどうかということが問題となるわけである。 本件において原告側は、同条約第七条は﹁仮差押のなされた国の裁判所は事件の本案を審理する管轄権を有する﹂ と 規 定 し 、 ﹁仮差押﹂という文言が用いられているものの、実際にはピ l ・アイ・クラブによって仮差押は防がれる ことが多いのであるから、現実の仮差押は必ずしも必要とはしないと主張した。しかしニ l ル判事は、同条約第一条

(23)

第二項に﹁仮差押﹂の定義として﹁海事事件の訴えの担保を提供するために裁判上の手続として船舶を留置するこ と﹂とされており、﹁判決の強制執行または満足のために船舶を差押えること

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町 民 ろ ﹂ は 含 ま れ て は い な い こ と 、 また、保証金その他の担保について規定している第三条および第六条には、﹁差し迫った仮差押を回避するため﹂、あ るいは﹁仮差押を防ぐため﹂という文言があるのに対し、第七条にはこれに類する文言がないこと等を理由として、 同条約が適用されるためには現実の仮差押が必要であり、仮差押を回避するために保証金その他の担保が提供された 場合には、管轄は成立しないと判示しがド 一九五二年船舶仮差押条約に基づいて管轄を得るためには、原告は、たとえ相手の船主側から担保の提 供があっても、必ず船の仮差押をしなくてはならないということになっ出町先に述べたように、おなじくデイヒラン こ の 結 果 、 23-ーイギリ久国際私法における国際的訴訟競合 ド号事件においてニ l ル判事が、相手の船主が他の締約国に常居所を有するときには、対物訴訟を起こす場合でも一 九六八年

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条約が適用されると判示しているため、実際のところ、そのような状況のもとで対物訴訟を起こすため には、ほとんどの場合、一九五二年船舶仮差押条約に基づくことになる。その一九五二年船舶仮差押条約が適用され るためには実際の仮差押が必要とされるのであれば、結局、一九六八年

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条約のもとで対物訴訟を提起する場合は、 ( n a ﹀ ほとんどの場合、仮差押が現実になされていないかぎりは、管轄が成立しないということになったわけである σ この判決の結果、令状の送達によって対物訴訟の管轄が成立するコモン・ロ l 上の規則との間に差異をもたらすこ と に な っ た と い え る 。 ハ 臼 ﹀ ハ 国 ﹀ 本 稿 で は 便 宜 上 、

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ハ 日 ) 認 。 RFgya ロ C R A H -由 H I S -n F g E B h v z o E Y さ も ミ ロ C S A P -N S I N N -F g 由 狩 伶 ∞ 件 。 ロ タ 。 。 Z 明 F M n J 円 。 司 戸 ﹀ 巧 印 同 Z 吋 回 開 開 口 問 。 同 M M w p z m U O 冨 玄 C Z H H d ﹁w N A g i N 日 H ・ (回)岡本前掲注 ( 1 1 一 一 一 一 巻 三 号 一 四 二 一 良 参 照 。 ハ閉山)本項は一九人二年法においては第五二条のあとに続けて記載されている。 ハ回)岡本前掲注 ( 1 ) 一 一 二 巻 二 号 八 六 頁 参 照 。 ハ 印 ) 岡 本 前 掲 九 コ 一 頁 注 ( 5 ) 参 照 。 ( 印 ) ( u v g g h r Z 0 3 y g b E ロ O S A r N S I N N -富 。

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宮 、 ミ ロ O E A r s -( 臼 ) 、 H d m u m w v -自 己 [ 凶 器 由 ] ω 巧 -r H P ミ ∞ ハ 。 ・ ﹀ ・ ﹀ - h p ミ ・ (位)第三条第一項﹁締約国の領域内に住所を有する者は、第二節ないし第六節に定められる場合を除き、被告として他の締約 国裁判所の管轄に服しない。﹂岡本前掲注 ( 1 ) 一 二 一 巻 に 号 八 四 頁 参 照 。 ( m m ) 、 H d m u a n E 目 白 ロ 仏 N 口 ∞ ∞ ∞ ] H L o u 三 円 白 河 内 問 Y A 時 一 ザ ゲ 品 目 白 山 ・ ( 削 凹 ﹀ N [ H 由 ∞ ∞ ] H L o u 又 円 印 刷 N S v ・ 品 印 h p 品 目 ∞ ・ ( 臼 ) 、 H ZEF 宮 内 向 田 ¥ [ 冨 ∞ ∞ ] H F H O M J 白 河 4 ・ H 叶 日 ・ 後 述 、 六 、 1 ( 2 ) 参 照 。 (印)民 m w E H m u c h z h E 3 6 ロ 0 8 ω N ・ 品 目 白 ・ ( m w ﹀ 同 , F O U 問 問 n E m 吉 弘 [ 凶 器 担 ω 者 -F -H P A F 吋 ∞ ハ 。 ・ ﹀ ・ γ 品 ∞ 吋 ・ ( 伺 )[HS 由 ] ω 巧 -F -M N -h ∞ ( の ・ ﹀ -Y 怠 ω ム ∞ 吋 ・ (的)一九五三年船舶仮差押条約以外の条約を適用した最近の判例としては、吋 H 5 4 0 3 事件ロ S S H

01 ・ 血 同 4 ・ 企 ∞ ・ が あ る。これは、船舶の衝突事件に関して、船舶を仮差押し得てかつ担保が提供された地の裁判所に管結権を認める包印 M n o -白 色 gnc ロ ︿ g 江

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に基づいて、イタリアに常居所を有する船主の持ち船に対する対物訴訟を認めたものである。 ( 叩 ) 前 述 、 三 、 1 参 照 。 ( 九 ﹀ [ 目 白 ∞ 由 ] ω 巧 -F -H F 会 ∞ ( ( リ ・ ﹀ -Y 品 ∞ U 1 S 0 ・ ( η ) ただし、同条約第五条は、﹁十分な保証金または担保が提供された場合﹂には仮差押を解除することを裁判所に求めてい るため、訴訟の問中ずっと船を仮差押しておく必要はないとされる。出血 2 T W M C 言、ミロ o z s ・ g N w ロ08 ∞ H ・

(25)

( n a ) た だ し 前 述 注 ( 的 ) の お 日

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口 語 口 門 芯 ロ の 場 合 は 、 現 実 の 船 舶 の 仮 差 押 は 必 要 な い と 考 え ら れ る 。 国 恒 三 宮 予 nssshHq 吋問、、選句注目 . H h w H F 同旬、宮白日間﹃師、宮、 4 h s . 円 同 町 由 誌 晶 、 時 、 H R R h さ 同 誌 な ( リ 也 、 去 、 同 誌 足 。 誌 、 [ H 匂 由 同 ] H A -早 向 ・ 。 ・ 戸 ・ 0 ・ + 悼 A Y A H h曲 目 出 ・ 四

対物訴訟と国際的訴訟競合

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右に述べたように、現実の仮差押を必要とするとはいえ、 一 九 六 八 年

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条約適用の場合においても、対物訴訟が 提起できるということになると、今度は、その対物訴訟の関係した国際的訴訟競合の場面において、 ま た し て も 、 九六八年

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条約の規則の適用が新たな問題となって出てくる。 25一一イギリス国際私法における国際的訴訟競合 その一九六八年

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条約においては、イングランドのコモン・ローとは違って、国際的訴訟競合に関して、厳格で 明確な規則が定められているのは前述の通りである。同条約の第一一一条が適用されるためには、①訴訟原因の同一、 の要件が満たされなければならないが、対物訴訟の性質から考えてーそ のうちのまず当事者の同一について、対物訴訟の被告の認定との関係で問題が生じてくるのはいわば予想されたこと @当事者の同一、@二つの締結国での訴訟、 である。この点が争点となった判例をつぎに見ていきたい。 ( 1 )

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ノ l トグリトム号事件 事件は、ベルギーのアントワ l プからサウジアラビアのジエヅダまで、 ノードカップ号によって大麦が運ばれたと ころ、その大麦が損傷を受けていたとして、荷主である原告が訴えたものである。原告はまずアントワ l プにおいて ノードカップ号の船主と傭船者に対して対人訴訟を起こした。次いでイングランドにおいても、原告は、姉妹船のノ

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ノードグリムト号は仮差押された。船主側は、 ードグリムト号に対して対物訴訟を起こし、 ノードグリムト号の仮差 押の解除を求めて担保を提供し、すでにアントワ I プにおいて対人訴訟が係属していることを理由に、訴の棄却、な らびに仮差押の令状の取消を申立てた。 これに対しホヅブハウス判事は、この申立てを認めなかった。判事は、対物訴訟においては、船主等が訴訟におい て防御をするまでは、船以外には被告はいないという立場をとり、本件において、 ア ン ト ワ l プの対人訴訟(原告対 船主・傭船者﹀と、イングランドの対物訴訟(原告対船)とでは当事者が同じでないため、一九六八年

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条約の第 ( 九 ) 二一一条は適用されないと判示した。ただし判事は、この二つの訴訟が﹁関連した訴訟﹂であり、条約の第二二条が適 用されうるとしている。さらに判事は、船主等が応訴した場合においても、この訴訟は、対物訴訟から対人訴訟へと 入 れ 替 わ る ( 色 丹 市

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﹀のではなくて、対物訴訟と対人訴訟とが並存する

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己主守町)とのべている。その理由と して判事は、対物訴訟の訴訟原因は、同じ事実から生じた対人訴訟の訴訟原因に対して下された判決によって吸収さ ( 町 内 ) れるわけではないからと説明している。したがって船主が応訴した場合に、第一二条を適用してイングランドの訴訟 を棄却するとしても、対人訴訟の部分だけを棄却することとなるが、実際問題としてはそのような処理はできないの ( η ) で、結局は第二二条を適用することとなるであろうと述べている。 このホップハウス判事の見解に立てば、対物訴訟が提起された場合、常に条約第二二条が適用されることになり、 管轄拒否の宣言は裁判所の裁量に委ねられるため、結果としてイングランドの伝統的規則と実質的にはあまり変わり はないことになるかも知れない。しかしその後、対物訴訟の被告について、別の見解を示す判例が下された。

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﹀ リンダ号事件 事件は、船の衝突に関するものである。当事者の提訴の状況は次のようになっていた。 ①一九八七年三月二五日、ベルギー沖で二隻の船、アルコ・ハンパI号とリンダ号とが衝突する。 ②一九八七年四月一四日、リンダ号の船主がオランダのフラヅシングでアルコ・ハンバ I 号を仮差押するが、担保 が 提 供 さ れ 、 アルコ・ハγバI号の仮差押は解除される。 'z7一一イギリス国際私法における国際的訴訟競合 @一九八七年四月一六日、リンダ号の船主が、オラ γ ダのミッテルブルクの裁判所に、アルコ・ハンパl号の船主 に対して訴えを提起する。ミッデルプルグの裁判所にはこの日に訴えが係属する。 アルコ・ハンパ 1 号の船主が、イングランドにおいて対物訴訟の令状の交付を受ける。 ④一九八七年五月一八日、 令状はイγグラγドにおいてリγダ号に送達され、 リンダ号は仮差押される。 ⑤ 一 九 八 七 年 五 月 一 一 一 一 目 、 リ γ ダ号の船主は令状が送達されたことを確認し、担保が提供されてリンダ号の仮差押 は 解 除 さ れ る 。 リ ン ダ 号 の 船 主 は 、

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イソグラシドとオラ γ ダの二つの裁判所に同じ訴訟原因の訴えが提起 さ れ て い る こ と 、

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この二つの訴えの当事者が同じであること、

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オラソダの裁判所に最初に事件が係属しているこ 以 上 の 状 況 の も と で 、 一 九 六 八 年

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条約第二一条が適用され、イソグランド裁判所は訴えを棄却すべきであると主張した。 ジ ly判事はこの申立てを認め、第一一一条が適用されるとした。ポイントとなる当事者の問題につい て、シーン判事は、船主によって担保が提供され、船の仮差押が解除されたからには、訴えはもはや対物訴訟ではな く、対人訴訟に代わると判示した。前述のノ l ドグリムト号事件においてホヅブハウス判事は、船主の応訴によって、 と 、 を 理 由 に 、 こ れ に 対 し 、

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訴えは対人訴訟と対物訴訟の二つの性質を持つことになると判示したが、この意見との整合性については、 シーン判 事は次のように説明している。 つまり、対物訴訟がその性質を持ち続けるのは、訴えの対象が船である場合に限られ る の で あ り 、 ノードグリムト号事件の場合も、船が仮差押されていたため、対物訴訟であるとされたのである。その ような状態のもとで、船主が担保守}提供するなどして、対物訴訟の令状の送達が確認されれば、訴えは対人訴訟の性 質も有することになる。しかし、船の仮差押がなされなかったり、担保の提供によって仮差押の解除が認められれば、 対物訴訟ではなくなる。なぜならば、そうなればもはや原告の訴えるべき﹁物﹂は存在しなくなるからである、とい ( 刊 日 ) う こ と で あ る 。 ま た 本 件 は 、 いわゆる原被告逆転型の場合であっ 拘 4

事 、 、

ふ れ , 刀 オランダでは被告になっているという、 ( 初 ) シ I ン判事はそれでも同一の当事者といいうるとしている。 イングランドの原告が、 この判決におけるシ 1 ン判事の意見に従えば、他の締約国ですでに対人訴訟が起こされている時に、 イングランド 裁判所で対物訴訟が起こされ、船主が応訴した場合、船の仮差押がなされていれば、イングランド裁判所の訴訟は、 対人訴訟と対物訴訟の二つの性質を持つため、他の締約国では訴訟とは、厳密な意味での訴訟競合とはならず、 一 九 六八年

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条約第二二条が適用される。また、仮差押がなされなかったり、解除された場合には、イングランドでの ハ 飢 ) 訴訟は対人訴訟となるため、第一二条が適用される、ということになる。先にも述べたように、訴えられた船主は、 船の仮差押を防ぐために担保を提供するのが一般的なので、 シーン判事の考え方に従えば、第一一一条の適用される場 合は多くなると予想される。第一二条が実質的にほとんど適用される余地のないホップハウス判事の見解と比較した 場合、シ l ン判事の見解には、条約適用に対するより積極的な姿勢が見受けられる。一九六八年

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条 約 が 、 第 一 一 一 条の規定により、二つの矛盾する判決が下されるのを防ぐことを目的としたことを考慮し、リンダ号事件のシ 1 ン 判

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( 的 出 ﹀ 事の積極的な姿勢に賛成する意見もある。 ただし、対物訴訟に対人訴訟の性質が付け加わる時点を、ホてフハウス判事は船主が防御宮丘町

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したときとし ︹ 悦 ) て い る の に 対 凶 ド 船 主 が 令 状 送 達 を 確 認

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a m o ) したときとしている点はくいちがっている ため、今後まだ少し問題とされる点は残されていると考えられる。 シ ー ン 判 事 は 、 29一一イギリス国際私法における国際的訴訟競合 ( 刀 ) ( 叫 ) ( 花 ) ( 河 ) ︿

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訴 三1.'、 t

係 がきわめて重要なポイントとなる。そこで、対物訴訟が裁判所に係属するのはどの時点かということも大きな問題に 先 に 述 べ た よ う に 、 一 九 六 八 年

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条約の国際的訴訟競合の規定においては、どちらの裁判所に訴訟が係属したか

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なってくる。その点が争点となったのが次の判例である。 ( 1 ﹀ ( お ) フレシア・デル・ノード事件 事 件 は 、 フレシア・デル・ノ I ド号とノ i ド ・ シ l 号の衝突事故に関するものである。本件は、ごく短期間に、当 事者がそれぞれ相次いで訴えを提起したため、どちらの訴えが先に裁判所に係属したかの判断が徴妙になったケ l ス である。事件の内容を要約すると次のようになる。 ①一九八七年六月一九日、ピスケ l 湾においてフレシア・デル・ノ l ド号とノ l ド ・ シ I 号が衝突事故を起こす。 ②一九八七年六月二五日一六時一

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分 、 ノ ー ド ・ シ l 号の船主がフレシア・デル・ノード号および γ レシア・デル - ノ I ド号の船主の所有する他の三隻の船に対する対物訴訟の令状の交付を受ける。しかし、この日にはイングラ ンド裁判所の管轄内に、そのいずれの船も入港していなかったので、令状の送達はできなかった。 @一九八七年六月二五日一六時三一

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分 、 フレシア・デル・ノ 1 ド 号 の 船 主 は 、 オランダのロッテルダムでノード・ シ I 号 を 仮 差 押 す る 。 ④一九八六年七月三日、オランダでの訴えの令状が送達される。 ⑤一九八七年七月八日、 ノ ー ド ・ シ I 号 の 船 主 は 、 フレシア・デル・ノ l ド号の船主に対し、担保を提供しなけれ ば、現在イングランド裁判所の管轄内に入港している、姉妹船を仮差押すると通告する。 ⑥一九八七年七月九日、対物訴訟の令状が姉妹船に対して送達される。 ⑦ 一 九 八 七 年 七 月 一 一 一 一 一 日 、 フ レ シ ア ・ デ ル ・ ノ l ド号の船主は、令状送達を確認する。 以上のような状況において、 フレシア・デル・ノ l ド 号 の 船 主 が 、 一 九 六 八 年

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条約第二一条、二二条の主旨か

参照