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強制変位加振による渦励振の引き込み 現象とその制振に関する研究

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強制変位加振による渦励振の引き込み 現象とその制振に関する研究

2020年12月

長崎大学大学院 工学研究科

永代 行日出

(2)

目次

第1章 序論 ··· 1

第2章 強制加振による渦励振の引き込み現象風洞試験 ··· 4

2.1 実験装置 ··· 4

2.2 風速応答 ··· 5

2.3 共振曲線 ··· 7

2.4 渦励振時の強制変位加振 ··· 8

第3章 強制加振による渦励振の引き込み現象解析 ··· 13

3.1 解析モデルと運動方程式 ··· 13

3.1.1 Iwanの渦励振モデル ··· 13

3.1.2 解析モデル ··· 14

3.2 数値解析結果··· 15

3.2.1 風速応答 ··· 15

3.2.2 共振曲線 ··· 18

3.2.3 渦励振時の強制変位加振 ··· 18

3.3 FEM解析 ··· 24

3.3.1 FEM解析モデル ··· 24

3.3.2 FEM解析結果 ··· 26

第4章 自励振動系と強制自励系の制振 ··· 44

4.1 解析モデルと運動方程式 ··· 44

4.2 自励振動の制振 ··· 46

4.3 強制自励振動の制振 ··· 57

第5章 結論 ··· 74

-参考文献- ··· 76

-謝辞- ··· 81

(3)

第 1 章 序論

近年,国内の大都市では建物の超高層化が進むとともに,超々高層のビルやタワーも建設されている.

例えば,横浜ランドマークタワー,あべのハルカス,スカイツリーなどである.この傾向は今後も続くと 思われる.横浜ランドマークタワーでは,地震荷重よりも風向直角方向の渦励振等による風荷重の影響を 大きく受けるという考えから,風向直角方向の風荷重に耐えるように設計されている(山崎,1992)(1)(三

菱地所,1994)(2).また,渦励振は煙突や鉄塔などの塔状構造物においても従来から問題となっている(本

間他,1995)(3)

一方,日本では近年,直下型や海洋型の大地震の発生が危惧されており,大地震の場合,地震波そのも のが長周期化する傾向にあるだけでなく,大都市が広がる大きな平野部では,地盤の構造により長周期成 分がさらに卓越する.2007年の新潟県中越沖地震や2011年の東北地方太平洋沖地震においても,関東地 方で長周期のかなり周期的な地震波が観測されている(古村他,2007)(4)(佐々木他,2018)(5).このよ うな地震波の特性により,近年,前述の超高層や塔状の構造物が地震波と共振する可能性があるというこ とで問題となっている(赤木他,2012)(6)(嶺脇他,2017)(7)

このような状況から,超高層構造物や塔状構造物は,風による自励振動である渦励振の発生時に大地震 が起こると,自励振動とかなり周期的な強制加振を同時に受ける状態がおこる可能性がある.そのような 場合,振動学的には強制自励系となるが,渦励振に強制力が加わる系を強制自励系として研究した例はほ とんどない.著者らが検索した範囲では,風洞ではなくウォータートンネルを用いた研究で,外力による 引き込みを利用した渦の制御に関する実験的研究(飯吉他,2012)(8)があるのみである.国内で大地震の 発生が迫っている現在,早急な研究とそれに基づく対応が望まれる.

渦励振を行う系に強制力が作用し,強制自励系として扱うべき例として,以下に述べるような浮体式洋 上風車における波やうねりと渦励振の同時作用が考えられる.諸外国では,洋上風車は海底固定式のもの が商業運転されているのに対して,遠浅の海岸線が少ない日本では浮体式とせざるを得ず,長崎県五島沖 にのみ商業運転中の浮体式洋上風車がある.この浮体式洋上風車は 2016 年に実証実験が終了した後,商 業運転に移行したものであるが,今後,浮体式洋上風車を国内に広く普及させていくためにはさらに様々 な検討が必要である.すなわち,洋上の風環境下の風車は渦励振の可能性があり(大塚他,2004)(9),ま

(4)

た,波やうねりによる強制変位型の外力も作用する(NEDO,2018)(10).よって,強制自励系として振動 する可能性があり,その検討が必要である.

強制自励系に関しては古くから研究が行われ,強制力の振動数が自励振動の振動数に近いときに系の振 動応答から自励振動の振動数成分が消え失せ,強制振動の振動数のみで振動する,いわゆる引き込み現象 が生ずることが知られている.強制自励系における引き込み現象の研究は,Van der Polの方程式に強制力 が作用するもの(Hayashi1, 1964)(11),乾燥摩擦と強制力が作用する系(Shaw and Shaw, 1991)(12)(中井,

秋山,1993)(13),引き込みを利用した振子の運動制御(梶原他,2001)(14)など多くの研究が行われてきた.

著者の共同研究者らも時間遅れによる自励振動系に強制力が作用する場合(吉武他,1983)(15)や摩擦振動 系に強制力が作用する場合の引き込み現象やカオス(吉武他,1995)(16)を研究してきた.これらの強制自 励系と強制変位外力が作用する渦励振系の違いは,前者の振動解析モデルが1自由度系であることに対し て,後者の振動解析モデルは,例えば,Iwanの渦励振モデル(Iwan, 1974)(17)のように,流体に関する1 自由度の系と構造物に関する1自由度の系が連成した2自由度振動系であることである.それゆえ,例え ば,前者の場合,自励振動の振幅はVan der Polの式のように式中に含まれる唯一のパラメーラの値に拘ら ず,約2であるが,後者の場合,風速により自励振動の振幅が異なるなど,両者は自励振動系そのものの 構成が異なるゆえに,後者の強制自励系としての挙動を調べることは意義があることである.

なお,振動する物体の周りに発生するカルマン渦の挙動と流体中の物体に作用する力に関する多くの研 究があり,そこでは流れの中で円柱を一定振幅・振動数で振動させたときの渦列の発生パターンの違いや 流体力が調べられているものの(Williamson and Roshko, 1988)(18)(岡島,2000)(19)(松本他,2008)(20)

(Atluri et al., 2009)(21),これらの研究は流体中の構造物の振動挙動を強制自励振動系として調べたもので はない.

このような状況に鑑み,本研究では,まず,構造物の耐風・耐震,洋上風車の安全性,および多自由度 の強制自励系の観点から,強制変位による渦励振系の引き込み現象の特徴を明らかにする.特に引き込み 振動時の最大振幅が渦励振のみの時の最大振幅と強制変位加振のみの時の最大振幅とどのような関係が あるかを調べ,構造物にとって引き込み現象がどれほど危険性なのかを調べる.

さらに,構造物の強制自励振動の詳細を明らかにするだけでなく,それが発生すれば構造物が損傷す る可能性もあることから,その制振が強く望まれる.しかしながら,強制自励系の制振問題については ほとんど研究されておらず,著者らが調べた範囲では池田・五百井(池田・五百井,1977a)(22)の減衰

(5)

を有する振動系の動吸振器による最適制振についての研究があるのみである.この研究は正あるいは負 の線形の減衰を持つ系を制振の対象にしており,減衰が負の場合は制振しないと発散振動を行うことに なり,減衰の非線形性のために定常振動を行う現実の強制自励系とは大きく異なる.従って,本研究の 後半では,減衰に非線形性がある場合の最適設計指針を確立することを目的とする.

動吸振器による強制振動の制振については,周知のように線形系について最適制振理論があり,広く 用いられている.また,動吸振器による自励振動系の制振については,次のような主系が線形の負の減 衰系である場合に対する最適制振の研究がある.池田・五百井は(池田・五百井,1977b)(23)は動吸振 器の最適設計についての一つの考え方を示し,谷口・近藤(谷口・近藤,2016)(24)は自励振動系に対す る動吸振器の動作原理を解明し,それに基づいた最適設計法を示しているが,いずれも数値計算例が少 なく,広範な検討が必要と思われる.この他,特定の自励振動を対象とした制振の研究として,摩擦振 動を対象とした研究(末岡他,1993)(25)(末岡他,2007)(26)(中野他,2006)(27),びびり振動を対象と した研究(中野他,2014)(28)(Saadabad他,2014)(29)(Moradi他,2012)(30),フラッタを対象とした 研究(岡田他,2000)(31)(岡田他,2000)(32)(岡田他,2001)(33),渦励振を対象とした研究(Modi他,

1995)(34)(吉武他,2006)(35)(Andersen他,2001)(36)(Christensen他,2017)(37)(Malher他,2017)(38)

(Ueno他,2019)(39),パターン形成現象を対象とした研究(近藤他,2005)(40)(宗和他,2011)(41)(宗 和他,2011)(42)(劉他,2007)(43)があり,また特殊な動吸振器による制振の研究として,クーロン摩擦 を伴う動吸振器(吉武他,1990)(44),インパクトダンパ(吉武他,1994)(45),制振と発電を行う動吸振 器(吉武他,2000)(46)(吉武他,2006)(47)による研究がなされているものの,動吸振器による自励振動 の最適制振について広範に調べた研究は見当たらない.

そこで,本研究の後半では,まず,自励振動系の動吸振器による最適制振について,減衰項が線形と 非線形の場合の違いを明らかにするとともに,最適制振が広範に調べられていない状況に鑑み,最適設 計値を広範に調べる.その上で,この系に強制力が作用する強制自励系を動吸振器により制振する場合 について,数値計算から最適制振の設計値を求め, 減衰のない線形強制振動系の最適制振式や池田・

五百井の線形負減衰強制振動系の最適制振式との関係を調べ,強制自励系の最適設計指針を確立する.

これにより強制変位加振される渦励振系の動吸振器による最適制振の設計指針を得る.

(6)

第 2 章 強制加振による渦励振の引き込み現象風洞試験

2.1 実験装置

実験装置の概略を図2.1-1に示す.風洞外壁の上部と下部にそれぞれ同じ強制変位加振用アクチュエ ータを設置し,各アクチュエータには2本の板ばねの一端を接続している.板ばねの他端には風洞内の 円筒の上下端の端板が接続されている.この2個のアクチュエータを同期駆動し,上下の板ばね固定端 を同位相で変位加振することにより円筒を並進運動させている.パソコンで2個のアクチュエータを制 御することにより,所定の強制変位の振動数と振幅を実現している.この強制変位加振は,構造物に作 用する地震や波浪による強制変位加振に相当する.風洞の断面のサイズは縦400mm,横300mmである.

板ばねはアルミ製で,長さ237mm,幅9mm,厚さ1.5mmである.円筒はアルミ製で直径45mm,長さ

350mm,厚さ0.2mmである.主系の質量は365.7gである.上下の板ばね固定端の加振変位と円筒の変

位はレーザー変位計を用いて測定した.ハンマリング試験の結果,固有振動数は7.00Hz,減衰比は0.0055 であった.

図2.1-1 実験装置 Plate-spring

Wind

Actuator

Actuator

Cylinder End plate

(7)

2.2 風速応答

図2.2-1に風速応答曲線を示す.図の横軸は風速U,縦軸は円筒の変位振幅AVである.図から風速が

約1.50m/sから1.70m/sの範囲の振幅が大きく,渦励振が発生している領域である.円筒の変位振幅は風

速1.55m/sの時に最大値の約2.0mmとなっている.図2.2-2に代表的な変位波形を示す.横軸は時間t

縦軸は変位xである.図2.2-2(a)は風速1.55m/sのときの変位波形である.図からほぼ一定振幅の定常的 な振動を行っていることがわかる.図2.2-2(b)は風速1.70m/sのときの変位波形である.図からこの風速 の時もほぼ一定振幅の定常的な振動であるが,図 2.2-2(a)の風速 1.55m/s のときのほぼ半分の約 1.0mm の振幅であることがわかる.渦励振は,Van der Polの式の解と異なり,系のパラメータの1つである風 速により自励振動の振幅が異なるのが特徴である.

図2.2-1 風速応答曲線

1.2 1.4 1.6 1.8 2 2.2

0 2 4 6 8 10

U m/s

A

V

mm

(8)

(a) U=1.55m/s

(b) U=1.70m/s

図2.2-2 代表的な変位波形

0 1 2 3 4

-4 -2 0 2 4

s t

x mm

0 1 2 3 4

-4 -2 0 2 4

s t

x mm

(9)

2.3 共振曲線

図 2.3-1 に風力を作用させない状態で,強制変位加振のみ行った時の共振曲線を示す.図の横軸は振

動数f,縦軸は円筒の変位振幅AFである.図の青丸印は強制変位振幅z0が0.03mm,赤丸印は強制変位

振幅z0が 0.07mmの場合の円筒の変位振幅を示している.それぞれの共振振幅は約2.6mm と約6.0mm

である.1 自由度系の典型的な共振曲線であるが,共振曲線はごくわずかに低振動数側に傾き,ごく小 さな非線形性を示してことがわかる.この理由については不明である.なお,アクチュエータに固定し ている板ばね端部の振動変位を常時高精度のレーザー変位計で監視しているが,振動数によっては,強 制変位振幅z0に最大で5%程度の誤差が含まれることがわかった.これは,アクチュエータで設定可能 な移動距離と移動速度の分解能による.

図2.3-1 応答曲線(強制加振のみ)

6 6.5 7 7.5 8

0 2 4 6 8 10

f Hz A

F

mm z

0

=0.03mm

z

0

=0.07mm

(10)

2.4 渦励振時の強制変位加振

ここでは渦励振発生時に強制変位加振を行ったときの実験結果を示す.このとき,系は強制自励系と

なる.図2.4-1に加振振幅z0が0.03mmの時の共振曲線を示す.図2.4-1(a)は風速をU=1.55m/sに固定し

た時の共振曲線であり,図 2.4-1(b)は風速をU=1.70m/s に固定した時の共振曲線である.図の横軸は強 制変位の振動数f,縦軸は円筒の変位振幅AVFである.図の黒丸印は振動数成分が強制変位加振振動数の みとなり引き込み現象が発生したときの定常変位振幅を表し,白丸印は渦励振の振動数と強制変位加振 振動数が共存するうなり振動が発生した時の平均変位振幅を示している.図2.4-2(a)と図2.4-2 (b)に例と して,加振振幅z0=0.03mm, 風速U=1.70m/sで,加振振動数f=7.00Hzf=7.47Hzの時の変位波形をそれ ぞれ示している.図2.4-2(a)の波形が引き込み振動,図2.4-2(b)の波形がうなり振動である.それぞれ周 期的であるものとうなっているものであり,違いが明確にわかる.

図2.4-1(a)と図2.4-1 (b)の共振曲線を比較すると,いずれも固有振動数7.0Hz付近で引き込み領域が存

在するが,その引き込み領域の広さは,図 2.2-1,図 2.2-2 で示した渦励振振幅が最大の風速である

U=1.55m/sの時よりも少し高い風速であるU=1.70m/sの時の方が少し広いことがわかる.振幅の最大値

は図2.4-1(a)と図2.4-1 (b)で差は小さいが,U=1.55m/sの時は約4.4mm,U=1.70m/sの時は約4.5mmであ る.図の白丸で示したうなり振動時の平均振幅は,強制加振しない渦励振のみの時の振幅が大きな風速

U=1.55m/sの時の方が平均振幅は大きいことがわかる.

図2.4-3に加振振幅z0が0.07mmの時の共振曲線を示す.図2.4-3(a)は風速をU=1.55m/sに固定した時

の共振曲線であり,図 2.4-3(b)は風速を U=1.70m/s に固定した時の共振曲線である.図の横軸と縦軸の 定義,黒丸印と白丸印の定義は図2.4-1と同様である.図2.4-1と図2.4-3を比較すると,まず,加振振 幅が大きい図 2.4-3 の方が引き込み領域が広いことがわかる.これは一般的な強制自励系と同じ特徴で ある.また,共振点の振幅は図2.4-3で加振振幅が2倍以上になっても図2.4-1の場合の2倍には達して いないことがわかる.これは強制自励系ゆえであり,強制力が作用する Van der Pol 方程式の場合

(Hayashi1, 1964)(11)と同様である.

渦励振と強制変位加振が共存する場合の共振振幅は,風速U=1.55m/sのときは,加振振幅z0が0.03mm のときは図2.4-1(a)から約4.4mm,加振振幅z0が0.07mmのときは図2.4-3(a)から約6.2mmである.これ に対して,風速U=1.70m/sのときの共振振幅は,加振振幅z0が0.03mmのときは図2.4-1(b)から約4.5mm,

(11)

加振振幅が0.07mmのときは図2.4-3(b)から約 7.3mmである.このことから,実験を行った範囲では,

強制自励振動時の共振振幅は,渦励振のみの時の振幅が最大の時の風速よりも少し高い風速の方が大き いことがわかった.これは円柱を強制加振した時の励振揚力の最大値が高風速側にずれるという実験結 果(田中,高原,1970)(48)と対応している.

(12)

(a) U=1.55m/s

(b) U=1.70m/s

図2.4-1 共振曲線(強制加振と渦励振の複合条件 z0=0.03mm)

6 6.5 7 7.5 8

0 2 4 6 8 10

f Hz A VF mm Entrainment

Not entrainment

6 6.5 7 7.5 8

0 2 4 6 8 10

f Hz A VF mm Entrainment

Not entrainment

(13)

(a) f=7.00Hz

(b) f=7.47Hz

図2.4-2 代表的な変位波形(強制加振と渦励振の複合条件 z0=0.03mm, U=1.70m/s)

0 1 2 3 4

-10 -5 0 5 10

s t

x mm

0 1 2 3 4

-2 -1 0 1 2

s t

x mm

(14)

(a) U=1.55m/s

(b) U=1.70m/s

図2.4-3 共振曲線(強制加振と渦励振の複合条件 z0=0.07mm)

6 6.5 7 7.5 8

0 2 4 6 8 10

f Hz A VF mm Entrainment

Not entrainmnet

6 6.5 7 7.5 8

0 2 4 6 8 10

f Hz A VF mm Entrainmnent

Not entrainment

(15)

第 3 章 強制加振による渦励振の引き込み現象解析

3.1 解析モデルと運動方程式

3.1.1 Iwan の渦励振モデル

前章の実験で示した渦励振を行う系を強制変位加振した強制自励系の実験結果を数値計算から検証 する.渦励振現象を表す低次元のモデルはいくつかあるが,ここでは共同研究者の以前の研究(吉武,

2006)(47)でも用いて実験結果と数値計算結果が定性的に一致したIwanの渦励振モデル(Iwan, 1974)(17) を用いて数値計算を行う.

カルマン渦による円筒の振動を図 3.1.1-1 に示す Iwan の渦励振モデルに従って簡単に説明する.図

3.1.1-1の検査面内における力の釣り合いは次式のようになる.

(3.1) ここに, は検査面内の流体の持つ流れと直行するx方向の運動量であり, は流体に作用する上向き の力で面Ⅲ Ⅳに作用する圧力と面Ⅰ Ⅱに作用する圧力の差に起因する. は円筒から流体に作用する 力(円筒に作用する流体力の反力)である. は面Ⅰ Ⅳから流入する運動量と面Ⅱ Ⅲから流出する運動 量の増加率の差であるが,主に渦放出による運動量変化を表す.これらは次のようになる.

, , ,

, (3.2)

ここに, は後流のx方向流速成分の代表量,Uは風速, は空気密度,Dは円筒の直径, は渦の発 生角速度, はストローハル数,K, , , , は定数であり, は円筒の速度である.式(3.2)

を式(3.1)に代入すると次式を得る.

(3.3) 一方,長さLの円筒には流体力 が作用する.

z x x

x P S F

J = − −

Jx Px

Fz

Sx

u D b

Jx= 02Px =0 Fz=b4DU(u−x)

3 2

1 UDu (b DU)u b

Du U K

Sx =  s −  +   D

U St

s

 =2

u  s

St b0 b1 b2 b4

x

Du U K U u

D u b UD b u D

b02− 1 + 2 3+  s =−b4DU(u−x) L

Fz

(16)

図3.1.1-1 Iwanの渦励振モデル

3.1.2 解析モデル

本論文では,前述のように構造物が渦励振されるだけでなく,同時に強制変位加振される場合を考え る.解析モデルを図3.1.2-1に示している.構造物を円筒形状とし,この円筒が粘性減衰効果をもつ弾性 体で支持され,その支持部が変位zで強制変位するとき,円筒には支持部からの外力c(z−x)+k(zx)が 作用する.前述の流体力 も考慮すると,円筒の運動方程式は次式で表される.

)

4 DUL(u x

b kz z c kx x c x

m+ + = + +  − (3.4)

ここに,mck はそれぞれ系の質量,粘性減衰係数,およびばね定数である.また,強制変位は次式 の調和加振とする.

t z

z= 0cos (3.5)

緒言で述べたように,Van der Polの式に強制力が作用する強制自励系は1自由度系であるが,Iwanの渦 励振モデルを用いた強制自励系は式(3.3)と式(3.4)からなる2自由度系となる.

L Fz

Ⅰ Ⅱ

Ⅳ Ⅲ

Control surface Wind

(17)

図3.1.2-1 渦励振と強制変位加振を受ける場合の解析モデル

3.2 数値解析結果

数値解析では,渦励振,および,渦励振と強制変位加振同時作用時の引き込み振動は周期解であるの で,シューティング法を用いて求めた.そのときの数値積分は,ルンゲ・クッタ・ギル法を用い,1 周 期の刻み数は 2048 とした.渦励振と強制変位加振同時作用時のうなり振動の解は長時間数値積分する ことにより求めた.

3.2.1 風速応答

図3.2.1-1に風速応答曲線を示す.図の横軸は風速U,縦軸は円筒の変位振幅AVである.図3.2.1-2に

代表的な変位波形を示す.図3.2.1-2(a)と図3.2.1-2(b)はそれぞれ風速1.55m/sと1.70m/sのときの変位波 形である.このとき用いたパラメータの値は以下のとおりである.

=0.203,K=0.529, =0.415, =1.04, =1.15, =1.11

図3.2.1-1からIwanの渦励振モデルの各パラメータをこのように選ぶことにより渦励振が発生する風

速領域(ロックイン領域)を図2.2-1の実験結果に近い値で表現できていることがわかる.また,図3.2.1-2

St b0 b1 b2 b4

x

Wind

m

k c

(18)

から一定振幅の定常的な振動の解が得られていること,実験結果と同様に渦励振時の振幅は風速により 異なることがわかる.その値は,風速 U=1.55m/s のとき 1.94mm と実験結果に近い値となり,風速 U=1.70m/sのとき,1.18mmと実験結果より少し大きい値となった.

図3.2.1-1 風速応答曲線

1.2 1.4 1.6 1.8 2 2.2

0 2 4 6 8 10

U m/s

A

V

mm

(19)

(a) U=1.55m/s

(b) U=1.70m/s

図3.2.1-2 代表的な変位波形

0 1 2 3 4

-4 -2 0 2 4

s t

x mm

0 1 2 3 4

-4 -2 0 2 4

s t

x mm

(20)

3.2.2 共振曲線

風力を作用させずに強制変位加振のみ作用させる時の共振曲線は単純な1自由度線形振動系の共振曲 線になるので,共振曲線を示すことは省略するが,強制変位振幅z0が0.03mmと0.07mmの場合の共振 振幅はそれぞれ2.73mmと6.36mmと実験値のそれぞれ2.6mmと6.0mmより少し大きな値となった.減 衰比に若干の誤差があるか,あるいは実験の振動数の分解能による誤差と考えられる.

3.2.3 渦励振時の強制変位加振

この節では,渦励振発生時に強制変位加振を行ったときの数値計算結果を示す.Iwanの渦励振モデル のパラメータ値は渦励振のみのときの数値計算で用いた値をそのまま用いている.

図3.2.3-1は加振振幅z0が0.03mmの時の共振曲線である.図3.2.3-1(a)は風速をU=1.55m/sに固定し

た時の共振曲線であり,図3.2.3-1(b)は風速をU=1.70m/sに固定した時の共振曲線である.図の横軸fと 縦軸 AVFの定義は図 2.4-1 の実験結果と同じである.図の実線は引き込みの解の変位振幅,破線はうな り振動の平均変位振幅を示している.図3.2.3-2(a)と図3.2.3-2(b)には加振振幅z0=0.03mm, 風速U=1.70m/s とし,加振振動数をそれぞれf=7.00Hzf=7.47Hzとしたの時の振動波形を示している.実験と同様に 引き込み振動とうなり振動の波形となっている.図 3.2.3-1(a)と図 3.2.3-1(b)の共振曲線を比較すると,

図2.4-1の実験結果と同様にいずれも固有振動数7.00Hz付近で引き込み領域が存在し,その引き込み領

域の広さは,渦励振振幅が最大となる風速であるU=1.55m/sの場合より高い風速であるU=1.70m/sの場 合の方が広いことがわかる.振幅の最大値は,図3.2.3-1(a)のU=1.55m/sの場合5.25mm,図3.2.3-1(b)の U=1.70m/sの場合5.52mmであり,渦励振振幅が最大となる風速であるU=1.55m/sの場合より高い風速

であるU=1.70m/sの場合の方が引き込み時の共振振幅が少し大きいことがわかる.

図3.2.3-3に加振振幅z0が0.07mmの時の共振曲線を示す.図3.2.3-3(a)は風速をU=1.55m/sに固定し

た時の共振曲線であり,図3.2.3-3(b)は風速をU=1.70m/sに固定した時の共振曲線である.図の横軸と縦 軸の定義,線種の定義は図 3.2.3-1 と同様である.振幅の最大値は図 3.2.3-3(a)の風速 U=1.55m/s 場合

9.00mmであり,図3.2.3-3(b)の風速U=1.70m/sの場合9.44mmであるので,このときも渦励振振幅が最

大となる風速であるU=1.55m/sの場合より高い風速であるU=1.70m/sの場合の方が引き込み時の共振振 幅が大きいことがわかる.この傾向は実験結果と一致している.

図3.2.3-1と図3.2.3-3を比較すると,実験結果と同様に加振振幅が大きい図3.2.3-3の方が引き込み領

(21)

域が広いことがわかる.また,共振振幅は加振振幅が2倍以上になっても2倍には達していないことも わかる.

表3.2.3-1に渦励振と強制変位加振の両方が作用した時の風速U=1.55m/sと風速U=1.70m/sの時の共振

振幅AVFを,加振振幅が0.03mmと加振振幅が0.07mmの場合についてまとめている.また,風速U=1.55m/s

と風速U=1.70m/sの時の渦励振振幅AVの値,強制変位加振のみ行ったときの共振振幅AF,およびそれ

らの和の値AV+AFも表中に示している.また,実験結果と数値計算結果を並べて示している.表に示し た値に関して以下考察する.

まず,渦励振と強制変位加振の両方が作用した時の共振振幅AVFの値を実験結果と数値計算結果で比 較すると,全ての場合において数値計算結果の方が振幅が大きい.この理由は以下のように考えられる.

強制変位加振も同時に行うと円筒の振幅が大きくなるが,その時の渦の挙動が振幅が小さい時と異なり,

円筒に作用する揚力の変動量が円筒の振幅が小さい時よりも小さくなるからと考えられる.このことは 実験から明らかになっている(Williamson and Roshko1988)(18)(松本他2008)(20)(田中・高原1970)(48)

(筌口他 1972)(49).しかしながら,本研究の数値計算では,Iwan の渦励振モデルのパラメータ値に関 して,振幅が小さい渦励振のみの時の値を強制振動により振幅が大きくなってもそのまま用いているた め,実験で確認されている振幅が大きい時の揚力変動の減少効果が考慮されていないためと考えられる.

次に,強制自励時の共振振幅AVFを渦励振のみの時の振幅AVと強制加振のみの時の共振振幅AFの和 の値AV+AFと比較してみる.構造物の設計における簡便さの観点から,強制自励時の共振振幅が振動形 態をこのように単純に分離した時の振幅とどのような関係にあるか調べることは重要と思われる.風速 U=1.70m/sの時は前述のAVが小さいがAVFが大きいという結果を受けて,実験結果も数値計算結果もAVF

> AV +AFとなっている.一方,風速U =1.55m/sの時は,実験結果は,AV は小さくなくAVF がそれほど

大きくないということから逆にAVF < AV +AFとなっているが,数値計算結果は前述の理由でAVF の値が 実験値よりも大きいのでAVF > AV +AF となっているのであり,実験結果のAVF < AV +AFの方を信頼すべ きと考える.

調べた風速の範囲では,このように引き込み振動時の最大振幅は,渦励振のみの時の最大振幅と強制 変位加振のみの時の最大振幅の和内外の値となったが,風速が高速側では引き込み振動時の最大振幅は 各振幅の和よりも大きな値となるので,注意が必要である.これらの結果は実構造物の設計における 1 つの目安にできると思われるが,風速による引き込み現象の違いについては,今後さらに詳細な実験と

(22)

数値計算により検証することが必要と思われる.

表3.2.3-1 実測値と解析値の比較一覧

z0=0.03mm z0=0.07mm

U=1.55m/s

AVFmax

Experi.

4.4mm

Numeri.

5.25mm

Experi.

6.2mm

Numeri.

9.00mm AVmax +

AFmax

2.0+2.6

=4.6mm

1.94+2.73

=4.67mm

2.0+6.0

=8.0mm

1.94+6.36

=8.30mm

U=1.70m/s

AVF

Experi.

4.5mm

Numeri.

5.52mm

Experi.

7.3mm

Numeri.

9.44mm AVmax +

AFmax

1.0+2.6

=3.6mm

1.18+2.73

=3.91mm

1.0+6.0

=7.0mm

1.18+6.36

=7.54mm

(23)

(a) U=1.55m/s

(b) U=1.70m/s

図3.2.3-1 共振曲線(z0=0.03mm)

6 6.5 7 7.5 8

0 2 4 6 8 10

f Hz A VF mm Periodic solution

Aperiodic solution

6 6.5 7 7.5 8

0 2 4 6 8 10

f Hz A VF mm Periodic solution

Aperiodic solution

(24)

(a) f=7.00Hz

(b) f=7.47Hz

図3.2.3-2 代表的な変位波形(強制加振と渦励振の複合条件 z0=0.03mm, U=1.70m/s)

0 1 2 3 4

-10 -5 0 5 10

s t

x mm

0 1 2 3 4

-2 -1 0 1 2

s t

x mm

(25)

(a) U=1.55m/s

(b) U=1.70m/s

図3.2.3-3 共振曲線(強制加振と渦励振の複合条件 z0=0.07mm)

6 6.5 7 7.5 8

0 2 4 6 8 10

f Hz A VF mm Periodic

solution Aperiodic solution

6 6.5 7 7.5 8

0 2 4 6 8 10

f Hz A VF mm Periodic

solution

Aperiodic

solution

(26)

3.3 FEM 解析

前章で渦励振と強制変位加振の両方が作用した場合の共振振幅AVFの値を実験結果とIwanの渦励振モ デルを用いた数値計算結果を比較したが,全ての場合において数値計算結果の振幅が大きい傾向となっ た.この理由として,数値計算では,Iwanの渦励振モデルのパラメータに関して流路幅による揚力変動 量の減少効果が考慮されていないためと考えられる.また,円筒振幅による揚力変動量の減少効果の考 慮が小さいためと考えられる.本章ではFEMによる流体と構造物の連成振動解析(雷他,2004) (50)(川 崎他,2009) (51)(近藤他,2010)(52)を用いて,上記の可能性を調べる.

3.3.1 FEM 解析モデル

ANSYS CFX Ver19.1を用いてFEM流体構造連成解析を実施した.図3.3.1-1にFEMモデルの条件を

示し,図3.3.1-2にFEM解析モデル図を示す.円筒を剛体としてモデル化し,円筒をばね要素と減衰要

素で基部(強制変位加振位置)と結合した.その周りに 2 章の風洞実験を想定した空間をモデル化し,

入口は流速固定条件,出口は静圧固定条件を設定した.本モデルは円筒の軸方向を考慮しない2次元問 題としてモデル化している.これは3次元で数値解析を行うと精度は向上するが,構造物が振動してい るゆえに,円筒の軸方向を考慮した3次元解析を行ったとしても,円筒の軸方向で渦の生成が一様でな い可能性が少ないために,2次元解析との差は少ないと考えられるためである.

本モデルの基部(ばね要素,減衰要素取付部)に強制変位加振を入力し,流体計算と構造振動計算を 弱連成(双方向連成)した非定常解析により,円筒に発生する揚力変動を調べた.

表3.3.1-1に解析モデルに用いた物性値一覧を示す.物性値は2章の風洞実験で用いたパラメータとし

た.表3.3.1-2に計算の設定条件を示す.時間刻みは渦放出周波数の周期の1/10に設定した.

表3.3.1-1 モデルパラメータ

円筒直径 D [mm] 45

円筒質量 m [g] 365.7

ばね定数 k [N/m] 707.4

減衰比 γ 0.0055

(27)

表3.3.1-2 モデル設定条件

流路内物性値 空気

境界条件

入口 流速固定(1.55m/s)

出口 静圧固定(大気圧) 壁面条件 滑りなし壁 ばね取付位置の加振振幅 0.03mm,0.07mm

(振動数7.0Hz)

時間刻み幅(*) 1.4516×10-2 sec 乱流モデル k-ω SSTモデル 解析ソルバー ANSYS CFX Ver 19.1

(*)渦放出周波数(ストローハル数:0.2より)の周期の1/10で設定

図3.3.1-1 FEMモデルとモデル化条件

x

Wind

m

k c

Flow Velocity Constant

Static Pressure Constant

(28)

図3.3.1-2 FEM解析モデル

3.3.2 FEM 解析結果

表3.3.2-1にFEM解析を行った解析ケースを示す.Case1(L=300mm,z0=0.07mm)とCase2(L=1000mm,

z0=0.07mm)を比較することにより流路幅の影響を評価する.図3.3.2-1にCase1(L=300mmz0=0.07mm) の渦度の時間変化,図3.3.2-2にCase1(L=300mm,z0=0.07mm)の静圧の時間変化を示す.各図には渦 発生の1周期を 4 分割して 5 つの時間ステップの渦度,静圧の時間変化を示している.最上段の図(a) は円筒が-X方向に最大変位した時点,2段目の図(b)は円筒変位が0の時点,3段目の図(c)は円筒変位が +X方向に最大となる時点,4段目の図(d)は再び変位が0となった時間,最下段の図(e)は図(a)と同様に 円筒が-X方向に最大変位した時点を示している.図3.3.2-1の渦度の様子から円筒の後流に直線状に渦 が発生する 2Sモードと呼ばれる渦放出モードが発生していることが確認された(松本他,2008)(20)

また,図3.3.2-2の静圧の時間変化から円筒の上下に交互に圧力変化が作用しており,円筒への揚力変動

メッシュ数:約20万(L=300mmモデル)

X

Z

(29)

が発生していることが確認された.

図3.3.2-3にCase2(L=1000mm,z0=0.07mm)の渦度の時間変化,図3.3.2-4にCase2(L=1000mm,z0=0.07mm)

の静圧の時間変化を示す.各図に示した図(a)~図(e)の時間ステップの定義は図 3.3.2-1 と同様である.

図3.3.2-3の渦度の様子からCase1(L=300mm,z0=0.07mm)の場合である図3.3.2-1と同様に円筒の後流

に直線状に渦が発生する 2S モードと呼ばれる渦放出モードが発生していることが確認された.しかし ながら,円筒が-X方向に最大変位となる時点である図3.3.2-1(a)と図3.3.2-3(a)を比較すると,図3.3.2-1(a) ではプラスの渦度(コンタ図:赤表示)が強く放出されており,図3.3.2-3(a)ではマイナスの渦度(コン タ図:青表示)が強く放出されている違いがある.このことから流路幅をL=300~1000mm の範囲で変 えても渦放出モードは変わらず 2S モードのままであるが,流路壁面の影響で渦度の発生が変化するこ とが確認された.図3.3.2-4に示すCase2(L=1000mm,z0=0.07mm)の静圧の時間変化は,Case1(L=300mm,

z0=0.07mm)の場合である図3.3.2-2と同様に円筒の上下に交互に圧力変化が作用しており,円筒への揚

力変動が発生していることが確認された.Case1(L=300mm,z0=0.07mm)とCase2(L=1000mm,z0=0.07mm)

の揚力を比較するため,円筒に作用する揚力を算出し周波数分析を行った.揚力の周波数分析結果を図

3.3.2-5 に示す.この図から揚力変動は強制変位加振周波数である7.0Hz で発生していることが分かる.

Case1(L=300mmz0=0.07mm)と Case2(L=1000mmz0=0.07mm)の揚力振幅の比率は,図 3.3.2-5に 示すスペクトルの7.0Hz成分のピーク値の比率から0.52倍であり,流路幅が1000mmから300mmにな ると円筒に作用する揚力変動は約0.52倍に小さくなる傾向にあることが確認された.これは円筒直径に 対して壁面までの距離が小さいと壁面に圧力が作用し,壁面の影響により,円筒に作用する揚力変動が 打ち消されるためであると考えられる.これは岡本らの研究(岡本他,1975)(53)とも一致しており,流 路幅が狭いと最大振幅が抑えられる傾向にあることが分かった.

次にCase2(L=1000mmz0=0.07mm)とCase4(L=1000mmz0=0.03mm)を比較し,円筒振幅による 影響を評価する.図3.3.2-6 に Case4(L=1000mm,z0=0.03mm)の渦度の時間変化,図3.3.2-7に Case4

L=1000mmz0=0.03mm)の静圧の時間変化を示す.各図に示した図(a)~図(e)の時間ステップの定義

は図3.3.2-1と同様である.図3.3.2-6の渦度の様子からCase2(L=1000mm,z0=0.07mm)の場合である

図3.3.2-3と同様に円筒の後流に直線状に渦が発生する2Sモードと呼ばれる渦放出モードが発生してい

ることが確認された.

図3.3.2-7に示すCase4(L=1000mmz0=0.03mm)の静圧の時間変化は,Case2(L=1000mmz0=0.07mm)

(30)

の場合である図3.3.2-4と同様に円筒の上下に交互に圧力変化が作用しており,円筒への揚力変動が発生 していることが確認された.Case2(L=1000mm,z0=0.07mm)と Case4(L=1000mm,z0=0.03mm)の揚 力を比較するため,円筒に作用する揚力を算出し周波数分析を行った.揚力の周波数分析結果を図 3.3.2-8に示す.Case2(L=1000mm,z0=0.07mm)のCase4(L=1000mm,z0=0.03mm)に対する揚力振幅 の比率は,図3.3.2-8に示すスペクトルの7.0Hz成分のピーク値の比率から0.56倍である.円筒振幅が 大きくなると渦の発生が変化し,揚力変動が低下していると考えられる.

次に円筒振幅を実験値と比較する.図3.3.2-9~図3.3.2-12にCase1~Case4の円筒変位時刻歴波形を示

し,表3.3.2-2に円筒振幅の比較一覧を示す.FEM解析の円筒振幅はIwanの渦励振モデルよりも実測値

に近づく結果が得られた.次に流路幅影響,円筒振幅影響を見ていく.流路幅の影響としてL=1000mm

からL=300mmにした際の振幅減少は7.5~10.1%であり,円筒振幅への流路幅の影響は10%程度である

ことを確認した.円筒振幅影響としては,加振変位振幅をz0=0.03mmからz0=0.07mmにした場合の振幅 比は実験が6.2/4.4=1.41倍であるのに対し,Iwanの渦励振モデルでは9.00/5.25=1.71倍,FEM(L=300mm)

では 6.89/4.09=1.68 倍となっており,流路幅影響よりも振幅影響が支配的であるが,振幅による減衰の

非線形性を FEM 解析では正確には再現できていない.今後,振幅による減衰の非線形性を表現できる 解析モデルの実現が必要である.

(31)

表3.3.2-1 解析ケース

流速U[m/s] 流路幅L[mm] 強制変位加振振幅z0[mm] 備考

Case1 1.55 300 0.07 風洞実験状態

Case2 1.55 1000 0.07 ―

Case3 1.55 300 0.03 風洞実験状態

Case4 1.55 1000 0.03 ―

表3.3.2-2 円筒振幅の比較一覧

z0=0.03mm AVFmax Experi.

U=1.55m/s L=300mm

4.4mm

Numeri.

U=1.55m/s

5.25mm FEM U=1.55m/s L=1000mm

4.55mm FEM U=1.55m/s

L=300mm

4.09mm AVmax +

AFmax

2.0+2.6

=4.6mm

1.94+2.73

=4.67mm ― ―

z0=0.07mm AVF Experi.

U=1.55m/s L=300mm

6.2mm

Numeri.

U=1.55m/s

9.00mm FEM U=1.55m/s L=1000mm

7.45mm FEM U=1.55m/s

L=300mm

6.89mm AVmax +

AFmax

2.0+2.6

=8.0mm

1.94+6.36

=8.30mm ― ―

(32)

(a) 円筒が-X方向に最大変位となる時点

(b) 円筒変位が0となる時点

(c) 円筒が+X方向に変位最大となる時点

(d) 円筒変位が再び0となる時点

(e) 円筒が-X方向に変位最大となる時点

図3.3.2-1 FEM解析結果 渦度の時間変化 (流路幅L=300mm,強制変位振幅z0=0.07mm)

(33)

(a) 円筒が-X方向に最大変位となる時点

(b) 円筒変位が0となる時点

(c) 円筒が+X方向に最大変位となる時点

(d) 円筒振幅が再び0となる時点

(e) 円筒が-X方向に最大変位となる時点

図3.3.2-2 FEM解析結果 静圧の時間変化 (流路幅L=300mm,強制変位振幅z0=0.07mm)

(34)

(a) 円筒が-X方向に最大変位となる時点

(b) 円筒変位が0となる時点

(c) 円筒が+X方向に最大変位となる時点

(35)

(d) 円筒振幅が再び0となる時点

(e) 円筒が-X方向に最大変位となる時点

図3.3.2-3 FEM解析結果 渦度の時間変化 (流路幅L=1000mm,強制変位振幅z0=0.07mm)

(36)

(a) 円筒が-X方向に最大変位となる時点

(b) 円筒変位が0となる時点

(c) 円筒が+X方向に最大変位となる時点

(37)

(d) 円筒変位が再び0となる時点

(e) 円筒が-X方向に最大変位となる時点

図3.3.2-4 FEM解析結果 静圧の時間変化(流路幅L=1000mm,強制変位振幅z0=0.07mm)

(38)

(a) 対数表示

(b) 線形表示

図3.3.2-5 円筒に作用する揚力(流路壁による影響評価)

(39)

(a) 円筒が-X方向に最大変位となる時点

(b) 円筒振幅が0となる時点

(c) 円筒が+X方向に最大変位となる時点

(40)

(d) 円筒変位が再び0となる時点

(e) 円筒が-X方向に最大変位となる時点

図3.3.2-6 FEM解析結果 渦度の時間変化 (流路幅L=1000mm,強制変位振幅 z0=0.03mm)

(41)

(a) 円筒が-X方向に最大変位となる時点

(b) 円筒変位が0となる時点

(c) 円筒が+X方向に最大変位となる時点

(42)

(d) 円筒変位が再び0となる時点

(e) 円筒が-X方向に最大変位となる時点

図3.3.2-7 FEM解析結果 静圧の時間変化 (流路幅L=1000mm,強制変位振幅z0=0.03mm)

(43)

(a) 対数表示

(b) 線形表示

図3.3.2-8 円筒に作用する揚力(強制変位加振振幅による影響評価)

(44)

図3.3.2-9 円筒変位時刻歴波形 (Case1 流路幅L=300mm,強制変位振幅z0=0.07mm)

図3.3.2-10 円筒変位時刻歴波形 (Case2 流路幅L=1000mm,強制変位振幅z0=0.07mm)

(45)

図3.3.2-11 円筒変位時刻歴波形 (Case3 流路幅L=300mm,強制変位振幅z0=0.03mm)

図3.3.2-12 円筒変位時刻歴波形 (Case4 流路幅L=1000mm,強制変位振幅z0=0.03mm)

(46)

第 4 章 自励振動系と強制自励系の制振

4.1 解析モデルと運動方程式

前章までに渦励振系の強制変位加振問題を調べ,強制自励系の共振時の特性がわかり,制振の必要性 が判明したが,序論で述べたように,このような系の制振理論はわずかに池田・五百井(池田・五百井,

1977a)(22)の研究があるのみで,十分調べられてはいない.そこで,本章ではより一般的な強制自励系

の動吸振器による最適制振を調べる.

図4.1-1に解析モデルを示す.速度の3次関数で表わされるレイリー型の非線形減衰力f(x)をもつ自

励振動系に強制力Pcostが作用する強制自励系を動吸振器を用いて制振する 2 自由度振動系である.

主系の質量とばね定数をそれぞれ m1,k1 とし,動吸振器の質量,粘性減衰係数,ばね定数をそれぞれ m2,c2k2とすると,運動方程式は次式となる.

(4.1) (4.2) )

( )

(x 0 x x3

f  =− − (4.3)

ここに,0 0, 0である.式(4.3)のレイリー型減衰力は,自励振動の要因である摩擦振動(亘理・

杉本,1963)(54)(吉武他,1995 (16))や渦励振(Hartlen and Currie, 1970)(55)(Iwan and Blevins, 1974)(17) などの現象を表す最も簡単なモデルとして広く使用されている.以下,式(4.1),(4.2)を無次元化する.

動吸振器がなく,強制力も作用しないときの主系の変位x1の近似解を平均法を用いて求めると,次式と なる.

t A

x1= 1cos1 ,𝐴1= 2/√3𝛼𝜔12 (4.4)

式(4.1),(4.2)を無次元化するに際し,自励振動の振幅A1を用いる(Hayashi, 1964)(11)(吉武・末岡,

1994)(45)と,次の無次元の運動方程式を得る.

(4.5) (4.6) を得る.ここに,

t P x x k x k x x c x f x

m11+ (1)+ 2(1−2)+ 1 1+ 2( 12)= cos 0

) ( )

( 2 1 2 2 1

2 2

2x +c xx +k xx =

m  







( 1 4 13/3) 2 ( 1 2) 1 2( 1 2) cos

1 y y y y y y y f

y− −  + −  + + − =

0 ) ( )

(

2 2 1 1 2 2 1

2+ y−y +y + yy =

y  

(47)

, , , ,  =1t,'=d/d,

, ,f =(P/k)/A1y1=x1/A1y2=x2/A1. (4.7) であり, は動吸振器と主系の質量比,は動吸振器と主系の固有角振動数比,は動吸振器の減 衰比であり,これら,, が動吸振器の設計パラメータとなる.無次元の強制力の振幅fは自励振 動の振幅A1に対する静的変位P/kの比になっている.また,は動吸振器がない主系のみの場合の固有 周期が2となるように時間を無次元化したものである.主系のみの自励振動振幅 A1を変位の代表値と して用いているので,強制力が作用しない自励振動系の動吸振器による制振を行う時,無次元振幅が 1 より小さければ,何がしかの制振がなされたことを意味する.

図4.1-1 数値解析モデル

1 1 1= k /m

 2= k2/m2 =2/1 =m2/m1

1 1

0/ 

= m  =c2 (2 m2k2)

k1x1

x2

m2

m1

k2(x2-x1)

x1

(48)

4.2 自励振動の制振

自励振動系の制振については,緒言で述べたように線形の負の減衰系に対する最適制振の設計法が開発 されている(池田・五百井,1977a)(22)(谷口・近藤,2016)(24)ので,まず,線形の負の減衰系の制振 と本研究で扱う非線形減衰系の制振との関係について調べる.

図 4.2-1 に減衰が非線形系の場合で,強制力が作用しない時に発生する自励振動を動吸振器で制振す

るときの動吸振器の主系に対する固有角振動数比と主系の無次元変位振幅Aの関係を示す.シューテ ィング法を用い,解の1周期をおおよそ 1024等分して周期解を求めた.図の横軸は動吸振器の主系に 対する固有角振動数比,縦軸は主系の振幅Aである.図4.2-1(a)は負の減衰係数の絶対値(以下では絶 対値を省略して,単に負の減衰係数と呼ぶことにする),動吸振器の主系に対する質量比,動吸振 器の減衰比がいずれも小さな値の場合(=0.005, =0.02, =0.01),図4.2-1(b)はそれらの値が相対 的に大きな場合(=0.1, =0.1,  =0.1)である.負の減衰係数が0.1というのは数学的には小さな 値であるが,後述するように大きな非線形性を示すので,本研究では大きな値と呼ぶこととする.また,

動吸振器の主系に対する質量比についても0.1という値は構造物に設置する場合は大きな値と考えら

れる.図4.2-1の黒線は安定解,赤線は不安定解を示している.主系の振幅A=0は自励振動が完全に制

振された状態を意味する.このとき動吸振器の振幅も0 になる.図4.2-1から主系の自励振動が完全に 制振され,振幅が0になる固有角振動数比の領域が=1付近にあることがわかる.小数点以下3桁の有 効数字でその領域を求めると図4.2-1(a)では=0.882~1.091,図4.2-1(b)では=0.843~1.038であった.

次に,主系の無次元の運動方程式中の非線形減衰項の速度の3乗の項を削除した線形の負の減衰を 持つ系の制振を考える.この系が動吸振器により制振されているか否かは,運動方程式が線形系である ので,運動方程式から得られる特性方程式の根の実部を用いて判定できる.すなわち,特性根の全ての 実部が負であれば,制振状態にあり,主系も動吸振器も振幅が0となる.特性根の実部が1つでも正で あれば制振されておらず,線形系であるがゆえに,時間とともに振幅が無限大に成長していく.よって,

以下,全ての特性根λの実部Re[λ]のうち最大の値Re[λ]maxの正負により制振状態か否かを判定する.図

4.2-2 に線形の負の減衰を持つ系に動吸振器を設置した時の動吸振器と主系との固有角振動数比と特

性根の実部の最大値 Re[λ]maxの関係を示す.用いたパラメータの値は,図 4.2-2(a)では負の減衰係数, 動吸振器の主系に対する質量比,動吸振器の減衰比がいずれも小さな値の場合(=0.005,  =0.02,

(49)

=0.01),図4.2-2(b)はそれらの値が大きな場合(=0.1, =0.1, =0.1)であり,それぞれ図4.2-1(a),

図 4.2-1(b)と同じ値である.図の黒色の線は制振状態,すなわち,主系と動吸振器の振幅が 0 の状態が

安定であることを示し,赤色の線は,非制振状態,すなわち,主系と動吸振器の振幅0の状態が不安定 で,振幅が時間とともに無限大に成長することを示している.固有角振動数比=1付近に制振領域が存 在する.有効数字 3桁で制振領域を求めると図 4.2-2(a)では=0.882~1.091,図4.2-2(b)では=0.843~

1.038であり,図4.2-1の非線形減衰の時の結果と完全に一致した.このことは,自励振動の発生の有無

は非線形減衰項のうち速度の1乗成分が支配し,非線形減衰項をもつ自励振動系の制振の判定は,非線 形減衰項の速度の3乗の項を削除した線形の負の減衰を持つ系で行えることを意味する.よって,以下 では線形の負の減衰を持つ系を用いて自励振動の最適制振を考える.

池田・五百井(池田・五百井,1977b)(23)の自励振動を制振するための動吸振器の最適設計法は次の とおりである.すなわち,実際の自励振動系では負の減衰係数を推定することが困難であるとして,ま ず,動吸振器と主系の質量比を決め,この質量比を用いて次のように制振可能な負の減衰係数の最 大値,動吸振器の固有角振動数比と減衰比の最適値を決めている(ここでは,変数の定義は本論文 の定義式(4.7)を用いて表している).

 =cr ,opt =1/ 1+ ,opt=

(

2 1+

)

(4.8)

しかしながら,上式は,負の減衰係数が  より小さい値ならば制振できることを示してはいるが,負 の減衰係数の大小にかかわらず,動吸振器の固有角振動数比と減衰比の最適値が同じ値となる,従 って真の最適値ではないという問題がある.また,谷口・近藤(谷口・近藤,2016)(24)は解明した動吸 振器の動作原理に基づいた最適設計法を提案し,数値計算例を一つ示している.このように,負の減衰 係数の大きさに応じた動吸振器の固有角振動数比と減衰比の最適値の傾向や強制振動の最適制振の 値との関係などはこれまでに明らかになっていない.よって,本研究ではまず,自励振動の最適制振に ついて調べることとする.

自励振動系の負の減衰係数は,渦励振のように小さいものもあれば(Hartlen and Currie 1970)(55)(吉 武他,2020)(56),最大静摩擦力と動摩擦力の差が大きな場合の摩擦振動や弛緩振動系のように極めて大 きなものがあるので,ここでは負の減衰係数として,前述のように小さいものとそれに比べて相対的に 大きなものを対象とする.

(50)

図4.2-3,図4.2-4は負の減衰係数の値の大きさと動吸振器のパラメータ値による制振の可能性の関係を 示している.すなわち,負の減衰係数の値を一定とし,動吸振器の固有角振動数比を固定した後,

特性根の実部の最大値 Re[λ]max を最小とする減衰比をそのに対する最適減衰比として求めた.そ の時々の固有角振動数比を横軸にとり,各図の(a)では特性根の実部の最大値 Re[λ]maxを縦軸に示し,

各図の(b)では最適減衰比の値を縦軸に示している.特性根の実部の最大値Re[λ]maxが負ならば完全な 制振を意味し,自励振動は発生しない.その状態を黒線で示している.特性根の実部の最大値Re[λ]max

が正ならば,自励振動は制振されない.その状態を赤線で示している.図4.2-3は動吸振器の質量比が 0.02と小さい時,図4.2-4は動吸振器の質量比 が0.1と大きい時の結果である.図4.2-3(a)から質量比

=0.02

の時,負の減衰が小さな0.01以下の時は固有角振動数比の広い範囲で制振できるが,=0.1

の時は=0.973~1.002の狭い範囲でしか制振できず,負の減衰係数が0.2と大きくなると,いかなる固

有角振動数比と減衰比を用いても制振できないことがわかる.池田・五百井の式(4.8)を用いて=0.02

時制振できる負の減衰係数の限界値cr=  = 0.02 を求めると0.1414となる.この限界値を数値計算か ら検証し,正しいことを確認した.これに対して図4.2-4(a)からわかるように動吸振器の質量比=0.1 時は負の減衰係数が大きな=0.2の場合でも固有角振動数比のある程度広い範囲で制振できること がわかる.負の減衰の大きな自励振動は動吸振器の大きな減衰で制振可能と思われがちだが,そうでは なく,まず動吸振器の質量が必要と言える.動吸振器の質量を重くすることの重要性は池田・五百井(池 田・五百井,1977b)(23)も述べている.各図の(b)には与えられた負の減衰係数に対して角振動数比と 減衰比の両方を同時に最適とした値を丸印で示している.すなわち,黒丸印は,全てのとの組み 合わせの中で,特性根の実部の最大値 Re[λ]maxが負の値で最小となる組み合わせを表し,赤丸印は Re[λ]maxが最小とはなるものの正の値で制振できないときの組み合わせを表している.青丸印は池田・

五百井(池田・五百井1977b)(23)が求めた最適値である.前述のように池田・五百井はこの最適角振動 数比と減衰比を用いておけば, =cr  以下の値をもつ負の減衰系を制振できることを示しているが,

それらは最適値ではない.動吸振器の製作誤差や経年変化等により最適値からずれたときのロバスト性 を考慮すると,図4.2-4の黒丸で示した最適値を用いて製作する方が安全である.図4.2-3(b)と図4.2-4(b) を比較すると質量比が大きいほど最適な減衰比の値は大きくなっていることがわかる.その結果と

して,図 4.2-3(a),図 4.2-4(a)からわかるように減衰比の大きい図 4.2-4(a)の方が特性根の実部の最大値

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