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圧電素子を用いた制振対象物の振動直交方向の打撃 による減衰効果

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圧電素子を用いた制振対象物の振動直交方向の打撃 による減衰効果

著者 上野 祐亮

著者別表示 UENO Yusuke

雑誌名 博士論文本文Full

学位授与番号 13301甲第1916号

学位名 博士(工学)

学位授与年月日 2020‑09‑28

URL http://hdl.handle.net/2297/00061353

Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja

(2)

博 士 論 文

圧電素子を用いた制振対象物の 振動直交方向の打撃による減衰効果

金沢大学大学院自然科学研究科 機械科学専攻

学籍番号 1724032011 氏 名 上野 祐亮

主任指導教員名 立矢 宏

提出年月 2020 年 9 月

(3)

i

目次

第1章 緒論

1.1 研究背景と目的 1.2 従来の研究 1.3 本論文の構成

第2章 圧電素子を用いた制振手法 2.1 緒言

2.2 圧電振動子とその保持機構 2.2.1 基礎構造

2.2.2 駆動方法 2.3 制振手法

2.4 結言

第3章 制振効果の測定方法 3.1 緒言

3.2 装置および方法 3.3 測定の確認 3.4 結言

第4章 制振効果の測定および原理の考察 4.1 緒言

4.2 圧電振動子の接触条件が制振原理へ及ぼす影響 4.2.1 静的押付量および印加電圧が及ぼす影響 4.2.2 接触面の摩擦係数が及ぼす影響

4.2.3 圧電振動子に流れる電流値が及ぼす影響 4.3 制振原理の考察

4.4 結言

第5章 圧電振動子の発生力の測定および考察 5.1 緒言

5.2 静的押付力の測定 5.2.1 測定方法 5.2.2 測定結果 5.3 衝撃力の測定

5.3.1 測定方法 5.3.2 測定結果

(4)

ii 5.4 静的な押付が制振効果へ与える影響 5.5 衝撃力と制振効果との関係

5.6 結言 第6章 結論 参考文献

謝辞

(5)

iii

記号表

f :振動子への印加電圧の周波数

fr :パワースペクトルがピークを示す周波数

f1 :パワースペクトルのピーク値から3 dB小さい点の共振周波数より低 い側の周波数

f2 :パワースペクトルのピーク値から 3 dB 小さい点の共振周波数より高 い側の周波数

Fst :振動子の対象物への静的押付力 xst :振動子の対象物への静的押付量 V :振動子への印加電圧の振幅 ζ :減衰比

σ :標準偏差

(6)

1

第 1 章 緒論

1.1 研究背景と目的

近年,工業製品の生産競争が激化により,工作機械での機械加工や生産ラインで使用 されるロボットマニピュレータの動作の高速化,高能率化が要求されている.また,省 スペース,省エネルギの観点から,それらの産業機械を含む多くの機械で小型化,軽量 化も重要な点となっている.しかし,生産の高速化かつ産業機械自体の小型化,軽量化 は,機械に振動を生じさせ,生産能率に悪影響をもたらす.

例えば,工作機械では,長物や薄肉などの低剛性の工作物の加工,エンドミルや中ぐ り工具などの低剛性な工具での加工を行う場合,主軸回転数の変化などによってびびり 振動が生じるやすくなる.また,開ループ機構のロボットマニピュレータでは,低剛性 な構造のため,運動後にマニピュレータ本体の質量による残留振動が生じやすい.この ような振動の発生は,工作物の加工精度や部品の高速位置決め精度の低下,機械自体の 損傷など,機械の生産能率を大きく下げる要因となる.したがって,これらの産業機械 に生じる振動への対策が必要不可欠である.

振動の対策として,一般的に動吸振器やダンパなどの機械式の制振装置が使用されて おり,これまで様々な研究(1)~ (7)が行われてきた.このような制振装置は,一般的に付加 質量,ばね,ダッシュポッド,センサやアクチュエータなどを制振対象物に取り付ける.

そのため,制振対象物に加えてこれらの制振装置を設置するスペースを確保しなければ ならない.しかし,大きい質量を有する,または大きな外力により振動する制振対象物 に機械式の制振装置を適用する場合,装置自体の構造を大型化しなければならない.さ らに複数の振動成分を制振する場合では装置の数を増やす必要もある.これらの理由に より,機械式の制振装置は,制振対象物への設置に多大なスペースを必要とし,機械の 小型化や軽量化の面で不利である.

そこで,最近では,圧電素子を用いた制振手法に注目されている.圧電素子は,素子 自体にひずみや応力が生じたとき,その量に応じた電圧を発生させ,反対に電圧を与え たとき,ひずみや応力を発生させる(8)(9).このように圧電素子は機械エネルギと電気エネ ルギを相互に交換できる.また,素子自体の大きさのわりに発生力が大きい特徴を持つ.

このため,圧電素子を用いた制振装置は,機械式の制振装置に対して比較的省スペース で使用でき,適用する機械の小型化にも有利である.しかし,高い制振効果を得るため には,制振対象物の振動特性に応じた素子自体の設計や,複雑な制御を必要とする.

そこで,本研究では,複雑な設計,制御を必要としない圧電素子を用いた新たな制振 手法を提案する.提案手法では,超音波振動を励起した圧電素子を制振対象物の振動方 向と直交方向に加圧接触させることで容易に制振効果を得ることができる.しかし,制

(7)

2

振効果に影響を与えるパラメータや制振効果の発生原理,高い制振効果を得るための条 件はいまだに解明されていない.本研究では,先に高野らが超音波振動可能なリニアモ ータ用に設計した圧電振動子(10)-(12)を用いて簡便な構造である制振対象物に対する制振 効果を実際に検証する.さらに,圧電振動子と制振対象物との接触条件を変更し,制振 効果に影響を与えるパラメータについて検討する.加えて,圧電振動子の発生力の測定 方法を提案し,実際にその測定を行うことで,制振効果の発生原理について検討する.

1.2 従来の研究

従来の圧電素子を用いた制振手法は,コントローラによる制振力の制御の有無により,

受動制振と能動制振に大きく分けられる.また,近年では,受動制振と能動制振の両方 を複合したハイブリッド制振なども考案されている.

圧電素子による受動制振では,制振対象物に設置した圧電素子に抵抗素子やインダク タなどの受動素子を接続し,対象物の機械エネルギを電気エネルギに変換する手法であ る.これにより,制振対象物へ加わる外乱に対して圧電素子を共振させ,対象物に生じ る振動を抑制する(13)-(15)(17)(18)

Forward は,初めて抵抗素子とインダクタを並列接続した場合で,圧電素子の共振を

利用して振動を抑制できる可能性を示した(13).また,Hagoodらは,抵抗素子とインダク タを直列接続した場合で支配方程式を導出し,振動抑制効果を検証した(14).これらの方 法は,圧電素子を機械式の動吸振器のように使用し,振動を抑制する.一般的に機械式 の動吸振器では定点理論(16)を用いて,固有振動数や減衰係数などの最適値を求める.し かし,圧電素子に置き換えた場合での抵抗値やインダクタンスの最適算出式は定点理論 に則していない近似式であった.そこで,山田らは,抵抗素子とインダクタを並列また は直列接続した場合で,定点理論による厳密な定式化を行い,最適値算出式を明らかと した(17).近年では,宮崎らは圧電素子と受動回路の接続をスイッチングによって断続的 に行うことで制振性能とロバスト性が向上することを示した.Berardengo らは線形行列 不等式を用いて圧電素子の制御器を設計することでマルチモードの振動の抑制手法を 提案している(21).また,Salesらは圧電素子の受動回路および制振対象物を含めた系の運 動方程式を仮定モード法に基づいて導出し,人工衛星への適用を検討している(22)

一方,能動制振は,コントローラにより外部から制御電圧を圧電素子に与え,制振対 象物の振動と逆位相の制振力を対象物へ与える手法である(23)-(33).この手法では,圧電素 子にエネルギを注入するため,一般的に受動制振に比べて高い制振力を発揮できるが,

センサを用いた制振対象物の振動状態の把握が必要である.そこで,Dosch ら圧電素子 をアクチュエータだけでなくセンサとしても使用するセルフセンシングアクチュエー タ(SSA)を提案した(20).しかし,セルフセンシングでは,ブリッジ回路を用いて制御電圧 とセンサ電圧を分離するため,このブリッジ回路のバランスが崩れると不安定となる(31)

(8)

3

Omidi らは分布定数系の制振対象物に設置した複数の圧電素子に 1個ずつ積分器を接

続し,合意制御を行うことでオブザーバからの推定入力がない場合でも振動を正常に抑 制できる手法を提案している(32).さらに,槙原らは振動系から回収したエネルギを制御 用プロセッサや回路の駆動に用いることで,外部電源を不要とした完全セルフパワー ド・デジタル振動制御システムを開発している(33)

さらに,受動制振と能動制振を併用したハイブリッド制振では,何らによって受動形 減衰付加の抵抗回路とセルフセンシングの能動形減衰付加回路を組み合わせることで,

その制振性能の高さが示されている(34).また,松原らは受動制振用のLR直列回路に加 え,加速度信号の増幅回路を組み込むことで,ボーリングバイトのびびり振動に対して 抑制効果が得られることを示している(35)

以上のように,これまで提案されてきた圧電素子による受動制振では,ダッシュポッ トや動吸振器などの機械式装置が圧電素子に置き換わったものの,動吸振器などと同様,

制振対象物に応じた圧電素子の形状や設置位置,受動素子の最適値の設計が必要である.

そのため,対象物の形状や材質が変化した場合,制振力が不十分となり,汎用性が低い といった問題がある.また,圧電素子による能動制振では,受動制振に比べて高い制振 力を得られ,セルフセンシングにより制振装置の省スペース化を行えているが,系の安 定性について考慮する必要があり,安定性を獲得するために複雑な制御を必要としてい る.またハイブリッド制振では,能動制振用回路に受動制振用回路を組み込むことで,

系の安定性を向上させているが,制御系の複雑化という面では,課題を残している.

(9)

4 1.3 本論文の構成

本論文の構成を以下に示す.

第1章 緒論

本章では,本研究の背景,目的および従来の研究について述べる.さらに,本論文の 構成を述べる.

第2章 圧電素子を用いた制振手法

本章では,本研究で検討する制振手法で用いる圧電振動子とその保持機構の構造につ いて述べ,圧電振動子の駆動方法について説明する.さらに,提案する圧電振動子を用 いた制振手法について説明する.

第3章 制振効果の測定方法

本章では,提案手法よる制振効果を確認するための試験装置および試験方法について 説明する.さらに,簡便な構造の制振対象物に対して提案手法で得られる制振効果を実 際に検証する.

第4章 制振効果の測定および原理の考察

本章では,圧電振動子と制振対象物との接触条件が制振効果に及ぼす影響について調 査する.さらに,制振効果が得られる原理について考察する.

第5章 圧電振動子の発生力の測定および考察

本章では,圧電振動子の発生力の測定方法を提案する.さらに実際に発生力を測定し,

発生力と制振効果との関係について検討する.

第6章 結論

本論文における結論を要約して述べる.

(10)

5

第 2 章 圧電素子を用いた制振手法

2.1 緒言

本章では,本研究で使用する圧電振動子およびその保持機構の基礎的な構造について 述べる.次に,圧電振動子の駆動方法について述べる.最後に,提案する制振手法の概 要を説明する.

2.2 圧電振動子とその保持機構 2.2.1 基礎構造

本研究では,高野ら(10)-(12)によって超音波リニアモータとして設計された圧電振動子

(以下,振動子)を使用する.振動子およびその保持機構を図2.1,その外観を図2.2にそ

れぞれ示す.図 2.1 に示すように,振動子は電極を取り付けた長方形の圧電体板を積層 し,絶縁体板で上下から挟むことによって構成されている.その寸法は長さ30 mm,幅

8.4 mm,厚さは圧電体層(厚さ160 μm/層)が24層,絶縁体層(厚さ80 μm/層)が2層の計

4.0 mmである.振動子の長手方向の先端にはジルコニア製の接触子が取り付けられてお

り,この部分を制振対象物に接触させる.

振動子の両側側面には電極を設けてあり,異なる電極に超音波周波数に設定した交流 電圧をそれぞれ印加することで,2 個の振動モードの超音波振動を独立に励起すること ができる.各振動モードは,振動子長手方向の伸縮変形である縦1次振動モードおよび それに直交する方向の屈曲変形である屈曲2次振動モードである.ただし,本研究で提 案する制振手法では,縦1次振動モードのみを使用する.

さらに,振動子を対象物に安定した状態で加圧接触させるために,振動子は2個の座 屈平行板ばねとケースからなる保持機構に取り付けられている.保持機構の構造を図2.3 に示す.保持機構の板ばねには,座屈平行板ばね(11)(12)を使用し,その長さ方向が加圧方 向と垂直になるように設けられている.これにより,図 2.3 に示すように,制振対象物 に振動子を加圧接触させるとき,板ばねが変形し,安定した接触が可能となる.振動子 はエポキシ系の接着剤を使用して板ばねに接着させる.また,板ばねのケースへの固定 方法を図 2.4 に示す.図 2.4 に示すように,テーパ面を有するスペーサとナットを用い たくさび効果によって,ねじを締め付けによりケースとスペーサ間で板ばねを挟み込む 構造としている.

(11)

6

図2.1 圧電振動子とその保持機構

図2.2 圧電振動子の外観

図2.3 保持機構の構造 図2.4 板ばねのケースへの固定方法

(12)

7 2.2.2 駆動方法

振動子の駆動方法について述べる.まず,振動子を制振対象物に対してある静的荷重 の下で加圧接触させる.この状態で,設定した振幅の交流電圧を振動子に印加する.こ のとき,交流電圧の周波数は,振動子の振幅速度が最大となる共振周波数付近に調整す ることで振動子に超音波振動を励起させる.

振動子の共振周波数への調整方法について述べる.外部からの負荷がない自由状態に おける振動子の縦1次振動モードのアドミタンスの周波数特性を図2.5に示す.ここで,

アドミタンスとは電気抵抗の逆数であり,電流の流れやすさを表す.一般的に圧電素子 の振幅速度は,自由状態で交流電圧を印加したとき,素子に流れる電流に相関する.図 2.5に示すように,本研究で使用する振動子は,自由状態において,53.4 kHzに共振点,

54 kHzに反共振点をそれぞれ有する.印加電圧の周波数がこの共振点に近づくにつれて

振動子の電流値,すなわち振幅速度は増加し,共振点で最も大きくなる.一方,印加電 圧の周波数が反共振点に近づくにつれて振幅速度は減少していき,反共振点で最も小さ くなる.この共振点と反共振点は,外部から振動子に加わる荷重や印加電圧の振幅,す なわち振動子の駆動条件や対象物との接触条件によって変化する.そのため,振動子の 種々の条件において,印加した交流電圧の周波数を変化させ,それにともなう電流値の 変化を追うことで,振動子の共振点を特定する.

図2.5 自由状態における振動子の縦1次振動モードにおける

アドミタンスの周波数特性

2.3 制振手法

第 1章で述べたように,圧電素子を利用した制振手法の多くは,外部 LR回路を用い て制振対象物の運動エネルギを電気エネルギに変換する手法や対象物に設置したセン サの出力をフィードバックし,圧電素子で対象物に制振力を与える手法である.しかし,

それらの手法は,制振対象物の振動方向に圧電素子を接触させており,素子の制振力を 0

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

50 51 52 53 54 55 56 57 58

アドミタンス[1/Ω]

周波数[kHz]

(13)

8

正確に制御するために制振対象物に応じた,圧電素子やその制御機器の複雑な設計が必 要となる.そこで,本研究では,複雑な設計や制御を必要としない,圧電素子を用いた 簡易的な制振手法を新たに提案する.

本研究で提案する制振手法の概要を図 2.6 に示す.提案手法では従来手法と異なり,

前節で述べた圧電素子である振動子を制振対象物の振動方向と直交方向から接触させ る.この状態で,振動子に超音波振動を励起することで,制振対象物に生じた残留振動 を素早く減衰させることができる.従来の受動的および準能動的手法と異なり,提案手 法は制振対象物の振動解析やフィードバック制御を不要とし,比較的容易に広範囲の周 波数に対して制振が期待できる.

図2.6 提案する制振手法の概要

2.4 結言

本章では,本研究で使用する圧電振動子とその保持機構の構造について示した.また,

振動子の駆動方法について説明した.さらに,本研究で提案する制振手法の概要につい て示した.

(14)

9

第 3 章 制振効果の測定方法

3.1 緒言

本章では,提案する制振手法により制振効果を確認する.まず,制振対象物に残留振 動を発生させるためのハンマリング試験装置について説明する.次に,同装置を用いた 試験方法について示し,簡便な構造の制振対象物に対して提案手法による制振効果を検 証する.

3.2 装置および方法

提案する制振手法による制振効果を確認するための試験装置の写真を図 3.1(a)~(c)に 示す.図3.1に示すように,本試験装置は振動子,制振対象物,3軸可動スライダ,土台 からなる.

本研究では提案手法による制振効果を検証しやすくするために,制振対象物には固有 振動数の調整や振動モードの把握が容易である簡便な構造の片持ちはりを用いる.図

3.1(a)に示すように,片持ちはりはその一端を3本のM5ボルトを用いて金属片で挟み込

むことで土台に固定した.なお,固定用の金属片の1つは,土台に4本のボルトで固定 している.片持ちはりの諸元を表3.1に示す.表3.1に示すように,材質は金属材料の中 でも比較的軽量であるA5052とした.はりの寸法は高さ170 mm,幅50 mm,厚さ5 mm とし,理論固有振動数は1次144 Hz,2次902 Hzである.ここで,ロボットアームや工 作機械などの産業機械で生じる振動の抑制を想定し,それらの産業機械で生じる残留振 動の振動数 900 Hz 付近に片持ちはりの固有振動数が近づくように寸法を設計した.ま た,提案手法では振動子を片持ちはりの側面に加圧接触させ,超音波振動を励起する.

このとき,超音波振動の打撃によって片持ちはり側面の破壊が生じると考えられる.そ こで,この破壊を防ぐため,図 3.1(b)および(c)に示すように,片持ちはりの側面上部に は硬質材であるアルミナ板を貼付し,この面に対して垂直方向に振動子の接触子を加圧 接触させる.アルミナ板の寸法は長さを20 mm,幅を5 mm,厚さを2 mmとした.

図 3.1に示す3 軸可動スライダは,2軸方向リニアスライダに対して L字リブを用い て1軸方向リニアスライダを垂直に取り付けた構造となっており,最上部である1軸方 向リニアスライダにはさらにL字リブを取り付け,振動子の保持機構を設置する.各軸 方向のスライダにはマイクロメータを取り付けており,振動子の位置を10 μm単位で調 節できる.以上の3軸可動スライダも片持ちはりと同様,土台に4本のM5ボルトで固 定した.

振動子には信号発生器(TiePie,ハンディスコープ HS05)を接続し,振動子への印加電 圧の振幅および周波数を自由に調節することができる.また,電圧プローブ,非接触式 の高周波電流センサ(ユーアールディー(株),型番:CTL-6-S-S9-2.5)を介し,オシロスコ ープ(TiePie,ハンディスコープ HS05)に接続することで,振動子への印加電圧および振 動子に流入する電流を測定することができる.

(15)

10 (a) 全体図

(b) 正面図 (c) 上面図

図3.1 試験装置の写真

表3.1 制振対象物(片持ちはり)の諸元

材質 A5052

密度 [kg/m3] 2660

ヤング率 [GPa] 70.6

長さ [mm](露出部) 170

幅 [mm] 50

厚さ [mm] 5

理論固有振動数 [Hz]

1次 144

2次 902

(16)

11

以上の試験装置を用いて提案手法による制振効果を検証する.検証では,超音波振動 を励起した振動子を接触させた片持ちはりに対してハンマリング試験を行い,はり生じ た自由振動を測定する

まず,X 軸方向のスライダを移動させて振動子の保持機構を変位させることで,振動 子を片持ちはりの側面に加圧接触させる.ここで,振動子が片持ちはりの側面に接触し た位置を原点とする保持機構の X 軸方向の変位を静的押付量 xstとする.静的押付量は 励振していない振動子の片持ちはりへの加圧力に相関する.次に,信号発生器により,

設定した振幅の交流電圧Vを振動子に印加し,その周波数fを振動子の共振周波数付近 に調整することで振動子に超音波振動を励起する.なお,本試験において共振周波数と は,振動子が片持ちはりに接触した状態で振動子に流れる電流値が最大となる周波数を 示す.この状態で,インパクトハンマ(Dytran社,型番:MODEL5850A)を用いてY軸方 向に片持ちはりを加振し,はりに生じるY軸方向の加速度を測定する.

振動子の接触位置,加振位置および加速度の測定位置を図 3.2 に示す.同図に示すよ うに,振動子の接触位置は片持ちはりの先端から下に5 mmの位置での側面中央とした.

なお,上述したように振動子はアルミナを介して片持ちはりに接触させる.また,イン パクトハンマによる加振位置は同図に✕で示すように片持ちはりの固定端から上に 30 mmの位置とした.加振力の目標値は5~20 N程度とした.加速度の測定位置は,はり 正面中央の先端から下に15 mmの位置とし,その位置に加速度ピックアップ(昭和測器,

型番:MODEL2462) を貼付した.加速度の測定周波数は10 kHzとした.なお,励振し た振動子をはりに加圧接触させると,はりにその固有振動数以上の高周波な加速度が発 生するため,カットオフ周波数1 kHzのローパスフィルタを通して加速度を測定した.

図3.2 振動子のはりへの接触位置,加速度の測定位置および加振位置

(17)

12

以上で述べたハンマリング試験を静的押付量と印加電圧を変化させて実施した.各条 件において,ハンマリング試験は3回ずつ実施し,振動子の周波数は,静的押付量およ び印加電圧の各条件で決まる振動子の共振周波数に一致させた.静的押付量および印加 電圧の各条件において測定された振動子の共振周波数を表 3.2 に示す.同表において V

= 0 V の条件は,振動子の非励振,すなわち片持ちはりに対して振動子を静的に押し付

けた状態を示している.同表に示すように,静的押付量は0.01 mmから0.3 mm,印加電 圧は0 Vから8 Vの範囲で変化させた.また,比較のため,振動子が片持ちはりに対し て非接触の状態,すなわち通常の片持ちはりの状態でも,同様にハンマリング試験を行 った.

2.2.2節でも述べたように,振動子の共振周波数は制振対象物と振動子との接触状態に

よって変化する.そのため,振動子への印加電圧の周波数がその共振周波数から変化し た場合,提案手法による制振効果が変化する可能性がある.そこで,振動子の周波数が 制振効果に与える影響を調査するために,表 3.2 で示した共振周波数から意図的に振動 子の周波数をずらした状態でのハンマリング試験も行った.この試験は静的押付量0.01 mmでの印加電圧1,2 V において,複数の周波数で実施した.表3.3に各試験条件にお ける振動子の共振周波数からずらした周波数の範囲を示す.同表中の()内の値は共振周 波数である.

表3.2 ハンマリング試験における各試験条件での共振周波数

単位:kHz

印加電圧 V [V] 静的押付量 xst [mm]

0.01 0.05 0.1 0.2 0.3

0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

1 53.6 54.7

2 53.4 54.2 54.7 55.3 55.4

3 53.1 54.2

4 53.1 54.0 54.4 54.9 55.1

5 52.8 53.5

6 52.8 53.4 54.1 54.6 54.9

7 53.1

8 52.9 53.4 54.4 54.6

表3.3 共振周波数からずらした周波数の範囲

単位:kHz

印加電圧 V [V]

静的押付量 xst [mm]

0.01

1 54.1 – 54.3 (共振周波数: 53.6)

2 53.5 – 54.1 (共振周波数: 53.4)

(18)

13 3.3 測定の確認

以上のハンマリング試験で測定された加速度をインパクトハンマで測定された加振 力で除し,アクセレランスを算出した.各試験条件におけるアクセレランスの時間変化 およびそのパワースペクトルを図3.3から図3.9にそれぞれ示す.図3.3は振動子が接触 していないときの通常の片持ちはりの自由振動の結果を示している.図3.4から図3.8は

それぞれxst = 0.01 mm,0.05 mm,0.1 mm,0.2 mm,0.3 mmにおける振動子を共振周波

数で励振したときのアクセレランスの時間変化を示している.ここで,図 3.4(a)から図

3.8(a)のV = 0 Vは振動子の非励振状態であり,静的に押し付けた状態での結果である.

また,図3.9は,xst = 0.01 mmにおいて振動子の周波数を共振周波数からずらした場合で

の結果を示している.

図3.4(a)から図3.8(a)に示すように,振動子の非励振状態では,図3.3に示す非接触状

態,すなわち通常の片持ちはりの状態と比較してアクセレランスの収束する時間に顕著 な変化は見られなかった.このことから,励振していない振動子を静的に押し付けるだ けでは,制振効果が発生しないことがわかる.

これに対して,図 3.4(b)から(g),図 3.5(c)から(i),図3.6(d), (e)に示すように,比較的 小さい静的押付量であるxst = 0.01 mm,0.05 mm,0.1 mmでは,振動子を励振することで 非励振状態( V = 0 V )に比べてアクセレランスが急速に収束することを確認した.ここ で,図3.5(e),図3.6(d)に示すように,xst = 0.05 mmでのV = 4 V,xst = 0.1 mmでのV = 6 Vでは,アクセレランスが収束する時間に加え,時刻2 ms付近で生じるアクセレランス の最大値も非励振状態( V = 0 V )に比べて減少している.

さらに,図3.7(d),(e),図3.8(c),(e)に示すように,比較的大きい静的押付量であるxst

= 0.2 mmのおけるV = 6, 8 V,xst = 0.3 mmにおけるV = 4, 8 Vでの結果では,非励振状態 ( V = 0 V )に比べてアクセレランスが収束する時間に変化はないものの,アクセレランス の最大値は減少することが確認された.

図 3.9に示すように,xst = 0.01 mm において共振周波数以外での周波数で振動子を励 振した状態でもアクセレランスが収束する時間は非励振状態( V = 0 V )と比べて減少す ることを確認した.

図3.3 振動子の非接触状態におけるアクセレランスの時間変化

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

(19)

14

(a) V = 0 V(非励振) (b) V = 1 V

(c) V = 2 V (d) V = 3 V

(e) V = 4 V (f) V = 5 V

(g) V = 6 V

図3.4 xst = 0.01 mmにおける共振周波数でのアクセレランスの時間変化

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

(20)

15

(a) V = 0 V (非励振) (b) V = 1 V

(c) V = 2 V (d) V = 3 V

(e) V = 4 V (f) V = 5 V

(g) V = 6 V (h) V = 7 V

(i) V = 8 V

図3.5 xst = 0.05 mmにおけるアクセレランスの時間変化

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

(21)

16

(a) V = 0 V (b) V = 2 V

(c) V = 4 V (d) V = 6 V

(e) V = 8 V

図3.6 xst = 0.1 mmにおけるアクセレランスの時間変化

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

(22)

17

(a) V = 0 V (b) V = 2 V

(c) V = 4 V (d) V = 6 V

(e) V = 8 V

図3.7 xst = 0.2 mmにおけるアクセレランスの時間変化

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

(23)

18

(a) V = 0 V (b) V = 2 V

(c) V = 4 V (d) V = 6 V

(e) V = 8 V

図3.8 xst = 0.3 mmにおけるアクセレランスの時間変化

(a) V = 2 V, f = 54.1 kHz (b) V = 3V, f = 54.3 kHz

(c) V = 2 V, f = 53.6 kHz (d) V = 2 V, f = 54.1 kHz

図3.9 xst = 0.01 mmにおける共振周波数からずらした場合

でのアクセレランスの時間変化

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

-10 -5 0 5 10

0 20 40 60 80

アクセレランス[m/s2/N]

時間[ms]

(24)

19

さらに,得られたアクセレランスの時間変化からフーリエ変換によりアクセレランス のパワースペクトルを算出した.各試験条件でのアクセレランスのパワースペクトルを 図 3.10 から図 3.15 にそれぞれ示す.ここで,同図内には比較として振動子が非接触状 態におけるパワースペクトルも示す.

図3.10(a)から図3.14(a)の緑色の点線で示すように,通常の片持ちはりである振動子の

非接触状態でのパワースペクトルにおいて,1 次および 2 次の振動モードの各固有振動

数は134Hzおよび862Hzを示した.これらの値は表3.1で記載した理論固有振動数より

低い.これは,理論固有振動数をはりの締結部が完全固定端と仮定して算出したが,実 際の試験では完全固定端の再現はできず,弾性端のためである.

図3.10(a)から図3.14(a)の青色の一点鎖線で示すように,いずれの静的押付量において

も励振していない振動子を静的に押し付けた状態では,非接触状態で生じた1次と2次 の振動モードのピ―クはそれぞれ減少し,1 次の振動モードの方が 2 次よりも顕著に減 少した.これは,図 3.2 に示したように振動子を片持ちはりの先端に近い位置に接触さ せたためである.

図3.10(b)から3.14(b)の青色の一点鎖線で示すように,静的に押し付けた状態での2次

の振動モードの固有振動数は,非接触状態と比べて増加した.これは振動子を片持ちは りに静的に押し付けたことではりの剛性が増加したためと考えられる.

さらに,振動子の励振状態では,各静的押付量で振動子を静的に押し付けた状態と比 べてパワースペクトルのピーク値が顕著に減少した.ただし,静的押付量が小さいxst =

0.01 mm,0.05 mmでは,いずれの印加電圧でもゆるやかなピークを示した.一方,静的

押付量が大きいxst = 0.1 mm,0.2 mm,0.3 mmでは,急なピークを示した.

以上の結果より,提案手法による制振効果の発生を確認した.

(a) 0 ~ 1000 Hz (b) 800 ~ 950 Hz

図3.10 xst = 0.01 mmにおける共振周波数でのアクセレランスのパワースペクトル

0 0.2 0.4 0.6 0.8

0 200 400 600 800 1000

セレランス[m/s2/N]

周波数[Hz]

非接触 xst=0.01mm,V=0V xst=0.01mm,V=1V xst=0.01mm,V=2V xst=0.01mm,V=3V xst=0.01mm,V=4V xst=0.01mm,V=5V xst=0.01mm,V=6V

非接触 xst= 0.01 mm,V= 0 V xst= 0.01 mm,V= 1 V xst= 0.01 mm,V= 2 V xst= 0.01 mm,V= 3 V xst= 0.01 mm,V= 4 V xst= 0.01 mm,V= 5 V xst= 0.01 mm,V= 6 V

0 0.2 0.4 0.6 0.8

800 850 900 950

セレランス[m/s2/N]

周波数[Hz]

非接触 xst=0.01mm,V=0V xst=0.01mm,V=1V xst=0.01mm,V=2V xst=0.01mm,V=3V xst=0.01mm,V=4V xst=0.01mm,V=5V xst=0.01mm,V=6V 非接触 xst= 0.01 mm,V= 0 V xst= 0.01 mm,V= 1 V xst= 0.01 mm,V= 2 V xst= 0.01 mm,V= 3 V xst= 0.01 mm,V= 4 V xst= 0.01 mm,V= 5 V xst= 0.01 mm,V= 6 V

(25)

20

(a) 0 ~ 1000 Hz (b) 800 ~ 950 Hz

図3.11 xst = 0.05 mmにおける共振周波数でのアクセレランスのパワースペクトル

(a) 0 ~ 1000 Hz (b) 800 ~ 950 Hz

図3.12 xst = 0.1 mmにおける共振周波数でのアクセレランスのパワースペクトル

0 0.2 0.4 0.6 0.8

0 200 400 600 800 1000

セレランス[m/s2/N]

周波数[Hz]

非接触 xst=0.05mm,V=0V xst=0.05mm,V=1V xst=0.05mm,V=2V xst=0.05mm,V=3V xst=0.05mm,V=4V xst=0.05mm,V=5V xst=0.05mm,V=6V xst=0.05mm,V=7V xst=0.05mm,V=8V xst=0.05mm,V=9V xst=0.05mm,V=10V

非接触 xst= 0.05 mm,V= 0 V xst= 0.05 mm,V= 1 V xst= 0.05 mm,V= 2 V xst= 0.05 mm,V= 3 V xst= 0.05 mm,V= 4 V xst= 0.05 mm,V= 5 V xst= 0.05 mm,V= 6 V xst= 0.05 mm,V= 7 V xst= 0.05 mm,V= 8 V xst= 0.05 mm,V= 9 V xst= 0.05 mm,V= 10 V

0 0.2 0.4 0.6 0.8

800 850 900 950

セレランス[m/s2/N]

周波数[Hz]

非接触 xst=0.05mm,V=0V xst=0.05mm,V=1V xst=0.05mm,V=2V xst=0.05mm,V=3V xst=0.05mm,V=4V xst=0.05mm,V=5V xst=0.05mm,V=6V xst=0.05mm,V=7V xst=0.05mm,V=8V xst=0.05mm,V=9V xst=0.05mm,V=10V 非接触 xst= 0.05 mm,V= 0 V xst= 0.05 mm,V= 1 V xst= 0.05 mm,V= 2 V xst= 0.05 mm,V= 3 V xst= 0.05 mm,V= 4 V xst= 0.05 mm,V= 5 V xst= 0.05 mm,V= 6 V xst= 0.05 mm,V= 7 V xst= 0.05 mm,V= 8 V xst= 0.05 mm,V= 9 V xst= 0.05 mm,V= 10 V

0 0.2 0.4 0.6 0.8

0 200 400 600 800 1000

セレンス[m/s2/N]

周波数[Hz]

非接触 xst=0.1mm,V=0V xst=0.1mm,V=2V xst=0.1mm,V=4V xst=0.1mm,V=6V xst=0.1mm,V=8V xst=0.1mm,V=10V

非接触 xst= 0.1 mm,V= 0 V xst= 0.1 mm,V= 2 V xst= 0.1 mm,V= 4 V xst= 0.1 mm,V= 6 V xst= 0.1 mm,V= 8 V xst= 0.1 mm,V= 10 V

0 0.2 0.4 0.6 0.8

800 850 900 950

セレランス[m/s2/N]

周波数[Hz]

非接触 xst=0.1mm,V=0V xst=0.1mm,V=2V xst=0.1mm,V=4V xst=0.1mm,V=6V xst=0.1mm,V=8V xst=0.1mm,V=10V

非接触 xst= 0.1 mm,V= 0 V xst= 0.1 mm,V= 2 V xst= 0.1 mm,V= 4 V xst= 0.1 mm,V= 6 V xst= 0.1 mm,V= 8 V xst= 0.1 mm,V= 10 V

(26)

21

(a) 0 ~ 1000 Hz (b) 800 ~ 950 Hz

図3.13 xst = 0.2 mmにおける共振周波数でのアクセレランスのパワースペクトル

(a) 0 ~ 1000 Hz (b) 800 ~ 950 Hz

図3.14 xst = 0.3 mmにおける共振周波数でのアクセレランスのパワースペクトル

0 0.2 0.4 0.6 0.8

0 200 400 600 800 1000

セレランス[m/s2/N]

周波数[Hz]

非接触 xst=0.2mm,V=0V xst=0.2mm,V=2V xst=0.2mm,V=4V xst=0.2mm,V=6V xst=0.2mm,V=8V xst=0.2mm,V=10V 非接触 xst= 0.2 mm,V= 0 V xst= 0.2 mm,V= 2 V xst= 0.2 mm,V= 4 V xst= 0.2 mm,V= 6 V xst= 0.2 mm,V= 8 V xst= 0.2 mm,V= 10 V

0 0.2 0.4 0.6 0.8

800 850 900 950

セレランス[m/s2/N]

周波数[Hz]

非接触 xst=0.2mm,V=0V xst=0.2mm,V=2V xst=0.2mm,V=4V xst=0.2mm,V=6V xst=0.2mm,V=8V xst=0.2mm,V=10V 非接触 xst= 0.2 mm,V= 0 V xst= 0.2 mm,V= 2 V xst= 0.2 mm,V= 4 V xst= 0.2 mm,V= 6 V xst= 0.2 mm,V= 8 V xst= 0.2 mm,V= 10 V

0 0.2 0.4 0.6 0.8

0 200 400 600 800 1000

セレランス[m/s2/N]

周波数[Hz]

非接触 xst=0.3mm,V=0V xst=0.3mm,V=2V xst=0.3mm,V=4V xst=0.3mm,V=6V xst=0.3mm,V=8V 非接触 xst= 0.3 mm,V= 0 V xst= 0.3 mm,V= 2 V xst= 0.3 mm,V= 4 V xst= 0.3 mm,V= 6 V xst= 0.3 mm,V= 8 V

0 0.2 0.4 0.6 0.8

800 850 900 950

セレンス[m/s2/N]

周波数[Hz]

非接触 xst=0.3mm,V=0V xst=0.3mm,V=2V xst=0.3mm,V=4V xst=0.3mm,V=6V xst=0.3mm,V=8V 非接触 xst= 0.3 mm,V= 0 V xst= 0.3 mm,V= 2 V xst= 0.3 mm,V= 4 V xst= 0.3 mm,V= 6 V xst= 0.3 mm,V= 8 V

(27)

22

(a) 0 ~ 1000 Hz (b) 800 ~ 950 Hz

図3.15 xst = 0.01 mmにおける振動子の周波数を共振周波数からずらした場合での

アクセレランスのパワースペクトル

3.4 結言

本章では,提案手法での制振効果を測定するための試験装置およびそれを用いたハン マリング試験方法について述べた.さらに,簡便な構造である片持ちはりを制振対象物 として提案手法による制振効果を検証した.その結果,振動子を静的の押し付けた状態 と比べて顕著な制振効果の発生を確認した.

0 0.2 0.4 0.6 0.8

0 200 400 600 800 1000

セレランス[m/s2/N]

周波数[Hz]

非接触 xst=0.01mm,V=0V xst=0.01mm,V=1V,f=54.05kHz xst=0.01mm,V=1V,f=54.25kHz xst=0.01mm,V=2V,f=53.60kHz xst=0.01mm,V=2V,f=54.10kHz

非接触 xst= 0.01 mm,V= 0 V xst= 0.01 mm,V= 1 V, f = 54.1 kHz xst= 0.01 mm,V= 1 V, f = 54.3 kHz xst= 0.01 mm,V= 2 V, f = 53.6 kHz xst= 0.01 mm,V= 2 V, f = 54.1 kHz

0 0.2 0.4 0.6 0.8

800 850 900 950

セレランス[m/s2/N]

周波数[Hz]

非接触 xst=0.01mm,V=0V xst=0.01mm,V=1V,f=54.05kHz xst=0.01mm,V=1V,f=54.25kHz xst=0.01mm,V=2V,f=53.60kHz xst=0.01mm,V=2V,f=54.10kHz 非接触

xst= 0.01 mm,V= 0 V xst= 0.01 mm,V= 1 V, f = 54.1 kHz xst= 0.01 mm,V= 1 V, f = 54.3 kHz xst= 0.01 mm,V= 2 V, f = 53.6 kHz xst= 0.01 mm,V= 2 V, f = 54.1 kHz

(28)

23

第 4 章 制振効果の測定および原理の考察

4.1 緒言

前章では,片持ちはりを制振対象物として提案手法による制振効果の発生を確認した.

制振効果は励振した振動子を対象物に接触させることで発生するため,制振効果は振動 子と制振対象物との接触面における摩擦状態に影響すると考えられる.摩擦状態は振動 子の接触条件,すなわち振動子の保持機構の静的押付量や振動子を駆動させるための印 加電圧,接触面の摩擦係数などに影響を受ける.そこで,本章では,これらの接触条件 が制振効果へ及ぼす影響を検討する.さらに,提案手法による制振効果の原理について 考察する.

4.2 接触条件が制振効果へ及ぼす影響

4.2.1 静的押付量および印加電圧が及ぼす影響

振動子の接触条件と制振効果との関係を調査するため,前章でのハンマリング試験結 果である図 3.10 から図 3.15 に示したアクセレランスのパワースペクトルから減衰比ζ を求めた.減衰比ζは半値幅法(36) -(38)により次式を用いて算出した.ここで,frはパワー スペクトルがピークを示したときの周波数である.f1f2はパワースペクトルのピーク値 から3 dB小さい点での周波数である.

2 1

2 r

f f

  f (1)

振動子の非接触および静的押付量xstの各条件において算出された減衰比を表4.1から 4.5 にそれぞれ示す.同表には前章でのハンマリング試験で測定された振動子の共振周 波数,振動子に流れる電流値,ハンマリング加振力およびはりの固有振動数も示す.ま

た,xst = 0.01 mmにおいて振動子の周波数を共振周波数からずらした場合での同様な結

果を表4.6に示す.さらに,各静的押付量xstにおける印加電圧Vにともなう減衰比ζの 変化を図 4.1に示す.同図中の σは標準偏差である.緑の破線は振動子が非接触状態で の減衰比,赤色の破線は静的に押し付けた状態での減衰比の平均値を示している.また,

同図中の青色の白抜きの円で示す減衰比は,表3.3で示したように,xst = 0.01 mmでのV

= 1,2 Vにおいて振動子の周波数を共振周波数からずらした状態で得られた結果である.

表 4.1 に示すように,振動子が非接触状態,すなわち通常の片持ちはりの状態で得ら れた減衰比は約0.2 %であった.表4.1から表4.5に示すように,励振していない振動子 を静的に押し付けた状態( V = 0 V )での減衰比は,静的押付量に対して若干の相関がみら

れたが0.34~0.42 %の範囲に収まり,静的押付量の変化に対して減衰比はほぼ一定値を

示した.また,この値は振動子が非接触状態で得られた減衰比とほぼ同等である.この ことから,振動子を片持ちはりに静的に押し付けただけでは制振効果が発生しないこと がわかる.

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