報
文
故 型 石 膏 の 再 生 に 關 す る 研 究(第1報)
永 井 彰 一 郎
・ 關
谷
道
雄
Waste mould of gypsum used in the pottery industries is ordinarily reclaimed to calcined gypsum by grinding and calcining to about 170-180•Ž in gypsum kettle in the common way. But thus reclaimed calcined gypsum is not so good as that from natural gypsum, owing to impurities from the pottery msses and the unsuitable cryst alline structure. So that, it is necessary to purify and crystallize to the superior crystalline structure. For this
purpose, the following two methods were systematically studied and fully discussed.
(‡T) Boiling Method: The first method is (1) the boiling of semihydrate gypsum (CaSO4•11/2H2O) or soluble anhydrous gypsum (CaSO4), which were preliminary obtained by heating powdered waste mould gypsum, in dilute sulphuric acid solution to make to crystalline gypsum (CaSO4•E2H2O), and then (2) the ordinary calcining (170-180•Ž) process under the atmospheric pressure, above mentioned.
(‡U) Autoclave Method: The second method is (1) the hydrothermal heating (120-150•Ž and 2-5kg/cm2 pressure) in closed autoclve to semihydrate gypsum, (2) the crystrllizing to crystalline gypsum, and then (3) the ordinary calcining (170-180•Ž) process under the atmospheric pressure, above mentioned.
The crystal gypsum (CaSO4•E2H2O) and calcined semihydrate gypsum (CaSO4•E1/2H2O) obtained from these two methods were systematically compared on their various physical and chemical properties, and fully discussed the merits and demerits of these tow methods (Department of Applied Chemistry, First Faculty of Engineering, University of Tokyo).
(1)
前
が
き
陶磁器成形 の石膏型 の破損 磨粍 などに依 り使用 出來 な くなつて廢
棄 された ものを故型石膏 又は腰型 石膏 と稱 してこれは セ メン ト工場
で ク リンカ ーに2∼3%混 合粉碎 して凝結調節用 とした り,焼 石膏製
造 に際 して天然石膏に加 え,又 は天然石膏 及び化學 合成石膏に加 え
て これ等2種 又は3種 配合物 を焼石膏 に し て 使 用 してい るのが多
い。然 しこの天然石膏,合 成 石膏 に對す る混用 に就 ては著者等 の研
究(1)忙 依 つ て見 て も,故 型石膏 と天然石膏,化 學 石膏 と共に焼石
膏 を製 出す るこ とは,硬 化強 度,凝 結時間 などの點か ら,故 型石膏
30%以 上添加配 合す ることはあ ま り好 ま し くない ことが確 め られ,
實際に陶磁器型 材用には30%以 下の混用で,白 墨用に約50%混 用 さ
れ る程 度であ る。 これは故型石膏が極 めて結 晶が微細 な粗髪 な集合
體で あることと,陶 磁器成形型 として使用工程 に可溶性 盤類 が含 ま
れ て來 てい るの で,そ の儘 の焼石膏 に單味 使用す る こ と は 出來 な
い 。從つ て昨今本邦 の天然結 晶石膏 の不足か ら,そ の解決手段 とし
て戰前か ら放置 された高 品位 の故型 石膏は勿論,現 今の焼石膏か ら
作 つた石膏型 の使用 不能 となつた故型乃至慶型 となつた ものを優 良
な再生焼 石膏 として利用す ることが各方面 で注 目され,既 に次の兩
方 法が研究發表 され實際 の製造が行 はれ かけて居 る。
(a)第1の
方法は オー トク レーブを使用 し,そ の中で一度加熱 し
取 り出して密閉器用 で再結 晶する方法(奥 田博氏(2))が あるのに對
して,他 の一方法は約5.0%の 硫酸沸 騰溶液 中に可溶性無水石膏 の
程 度にまで焼 成 した故型 石膏粉末 を投入 し再結 晶させ る方法(野 田
稻吉氏等(3))が ある。 この 中前後は著者等が既 に報告(4)した 「加壓
水熱法に依 る焼石膏 の製法 」 と一致 した事項 であ り,又 後者はやは
り著者等 の合成化學 石膏 の研究(5)「合成 石膏に關す る研究 」 と極 め
て關聯 の深い ものである。
著者等は石膏 の結 晶の形態 的見地か ら故型石膏 の再生 問題 を取 り
上げ,茲 に第1報 として前述 した兩方法 を比較 檢討 し,結 晶形態的
考察 を行 つてい るのでその結果の一部 を報告す る。
(2) 酸 液 煮 沸 處 理 法 に就 て
本報 の試驗 に供 した故型 石膏は約30cm大
の笠形 をした厚い石膏
型 の慶棄物で既に約10年近 くも放置 してあつた もので,次 の第1表
の よ うな成 分 の もの で 相 當 に 純粋 な もの で あ る。 この 故 型 石 膏 試 料 を ボ ール ミル で粉 碎 し米 國 タイ ラ ー篩 第40番 篩(40目 篩/in)を 全 通 させ た もの を使 用 した 。 こ の粉 末 試 料1kgを200℃ に よ く攪 拌 し なが ら1時 間焼 成 し て灼 熱 減 量0.5/位 に な つ た可 熔 性 無 水 石 膏 と した 後(1)デ シ ケ ー タ ー 中 で冷 却, (2)大 氣 中 で 冷 却 した2種 の燒 成 試 料((1)は 灼 熱 減 量0.32∼0.57%, (2)は 灼 熱 減 量4.99∼5.89 %で 大 氣 中 冷 却 中に 水 分 約5%を 取 つ て半 水 石膏,焼 石 膏 に 歸 つ て い る)を 得 た 。 これ を2.5lの 種 々の 濃 度(0∼17.1%)の 硫 酸 液 を煮 沸 して 置 き これ に 投 入 し30分 間 加 熱 攪 拌 した 後 放 冷45時 間 後 に 濾 過 し,よ く水 洗(リ トマ ス紙 中 性)し た 。 この 際 濃 度 が 高 くな る と煮 沸 中液 面 に 不 純 物 が 分 離 浮 游 す る の で これ を掬 い 除去 した 。得 られ た 結 晶 石 膏 は 風 乾 後 ボ ー ル ミル で再 び米 國 第40番 篩全 通 迄 粉碎 した も の を180℃ 1時 間 焼 成 攪 拌 の一 定 方 法 で焼 石 膏 と し,放 冷 後 米國 第 80番 篩全 通 の粉 末 と し2日 間放 置 した 後 日本 窯 業 規 格1901陶 磁 器 型 用石 膏 の規 格(石 膏 協 會 の 規 定 試 驗 法 を改 正 規 格 化 した も の)に 依 つ て試 驗 し次 の第2表 の よ うに 多 數 の組 織 立 つた 試 驗 を した 結 果 を 表 示 檢 討 した 。 な お こ の表 中容 積 比 重,表 面硬 度 の物 理 試驗 結 果 が 加 へ て あ るが これ は規 格 に は な い の で そ の 試 驗 法 の 概 要 を述 べ る。第1表 故型石膏試料の化學成分
(1)
容 積比重
容 量 とも稱 するが容器に輕 く装入 したのを輕装
134 永 井 彰 一 郎 ・ 關 谷 道 雄 第57集
容重 と稱 し,十 分振盪 しなが ら詰め られ るだけ十分入れたの を重装
容重 と稱 し種 々の方法が あ るが茲では容積約50ccの 深<い坩堝で測
定法 を常に 一定に して行 つて本報全 試驗試料に就 ての比較に供 した
(2) 表 面硬 度 混 水 して か ら3時 間 後 に 經16mmの ボ ール を 荷 重26kgで 試 驗 體 に 凹 み を 生 じ させ, .その 徑 か ら ブ リネ ル硬 度 を算 出 した 。 第2表 硫酸 液煮 沸 處 理 に依 る再 生 石 膏 の 比較 試 驗 結 果(そ の1) 第1圖 F-1(×81) 第2圖 F-4´(×81) 第3圖 F-5(×81) 以 上 の結 果 か ら(Ⅰ)は 原 試 料 か ら燒 石 膏 に した もの,(Ⅱ)は 可溶 くな り,耐 伸 張 度 が10kg/cm2以 上 と な り上 昇 温 度 も高 くな る 。 な お硫 酸 液 の 濃 度 が5%以 上 と な る と混 水 量 が70%臺 と なh耐 伸 強 度次 に この 酸 液 の濃 度 だ け を變 更 し他 を 一 定 に して 行 つ た が 家 の第 3表 に は(1)酸 液 處 理 前 の 燒 成 温 度 を200℃ の外150, 180, 250℃ 等 と し, (2)酸 液 量 を2.5lの 外2, 3, 4, 5l等 と し, (3)酸 液 煮 沸 時 間 を30分 の外60分 又 は煮 沸 しな い もの 等 に 變 化 した もの に 就 て他 は(Ⅲ)の 半 水 石 膏 に 安 定 化 させ,酸 液 は5∼7.5%の 中 間 の 約6.3%に 一 定 した 最 適 條 件 で行 つた 試 驗 結 果 を表 示 して批 判 を 加 へ た 。 第3表 硫酸 液煮 沸 處理 に依 る再 生 石 膏 の 比較 試 驗 結 果(そ の2) 註 耐 伸強 度 はkg/cm2 この 結 果 で 見 る と酸 液 はF-4,のF-4´ の5.3%か らF-5, F-5´ の7.3%位 で あ る か らそ の 中 間 の 約6.3%を 充 當 し,酸 液 の要 量 は2lか ら5lま で の 變 化 で も餘 り著 しい 差 異 もな く,た だ 再 生 結 晶 石膏 の收 率 は酸 液 の 要 量 が5l, 4lで は收 率 が80%臺 特 に82∼84%位 を保 つ に ほ酸 液 濃 度 は5∼7%位 が よ く處 理 時 間 は30分 よ り倍 の60分 へ と2倍 の時 間 を か け た 差 異 は餘 り大 差 が な く,餘 り長 時 間 に な る と幾 分 凝 結 が 早 くな る よ うで,何 か の 凝 結 遲 緩 材 を加 へ なけ れ ば な らな い で あ ろ う。 以 上第2,第3兩 表 か ら見 て どん な條 件 で あつ て も(Ⅱ),(Ⅲ)の 酸 處 理 を した もの は 酸 處 理 を 行 わ ない(Ⅰ)に 比 較 し て どの性 質 も優 良 とな り特 に 耐 伸 強 度 は 約1.5∼2.20倍 位 に ま で 増 大 し,硬 度 も約 2倍 以 上 とな つ てお り,そ の 他 何 れ の點 で も優 つ て お るが 凝 結 が 急 結 とな る こ と と,茲 に は 表 示 法 が なか つ た が凝 結 硬 化 した も の の氣 泡 が 酸 處 理 の 酸 液 濃 度 が増 す に 從 つ て數 多 くな る こ とが 最 も注 目す べ き點 で あ る。 全 體 を総 括 す る と酸 液 濃 度 は5∼7%,こ の硫 酸 液 量 は 原 試 料(二 水 石 膏)に 對 し約3∼5倍 又 は3.5∼5.5倍 位 とされ,煮 沸 時 間 は30分 以 上,最 初 の原 料 結 晶 石 膏 の燒 成 は半 水 鹽 にな るに 十 分 な 時 間 と し,こ れ を大 氣 中に 放 置 し完 全 に 半 水 石膏 ば か りか ら成 る位 が 最 も よい 結 果 を與 え る と考 え られ る。
(3) オ ー トク レ即 ブ に 依 る再 生 法 に 就 て
この方 法は前述 した よ うに著者等が既に報告 した加壓水熱式燒石
膏製 出法を逆用 した よ うなもので ある。 即ち結 晶石膏 の粉末 では表
面 積が大 きく又水蒸氣の排 出などの困難 なた め加壓水熱式燒石膏製
出の際 一部 は半水燒 石膏か ら二水結晶石膏に戻 つて良結果 を得難 く
專 ら天然 石膏の塊状體で結晶が密に聚 合 した ものに水熱式燒石膏 の
製 出が適 し,粉 末結晶石膏や多孔質 な天然石膏 で も故型石膏 で もよ
い結果 を得 なかつた のは直接燒石膏 を得 る 目標 の ときで,こ れ をオ
ー トク レーブ中で半水石膏に しその非常 な活性 の強 い半水 石膏 を再
度結晶石膏の二水鹽にす ることは容易 な もので加壓 の儘徐 々に温 度
壓力 を落 して結晶 を發達 させ てもよいが 長時 間を要 しオ ー トクレー
ブの製産能率 を擧げ得 ない ので早 く開蓋 して取 り出 し別の密封 容器
再 中に靜置 して徐 々に十分結 晶ご水 石膏を發達 させた後水洗,乾 燥
後粉碎 し次いで燒石膏 に常法 で行 うことは前の酸液處理の結晶石膏
と同様に行へ ばよい。
第4表 オ ー ト ク レ ー ブ に 依 る 再 生 試 驗 結 果 註 耐 伸 張 度 はkg/cm2 次 の第4表 で こ の オ ー トク レ ーブ處 理 法 の 結 果 を示 す が,こ の 方 法 に 使 用 した 粉 末 故 型 石膏 は 前節 第1表 の 成 分,粉 碎 操 作 な ど と同 一 に し て得 た もの を使 用 した 結 果 で あ る。1-0∼6-0の 實 驗 で 温 度136 永 井 彰 一 郎 ・ 關 谷 道 雄 第57集 水 量等 を變 更 し て行 つ た 比 較 試 驗 で認 め られ る よ うに水 量 は1.5∼ 2.5倍,温 度 は120∼125℃ か ら145∼150℃ の 各 條 件 に 依 つ て 耐 伸 強 度15∼16kg/cm2,凝 結 も始 發13∼15%分,終 發28∼33分 位 の規 格 に十 分 合致 す る優 良 な もの が 得 られ,又 これ 等 の 實 驗 と7-0∼10 -0迄 の 塊 状,團 子 状 に した もの に 少 量 の 水 を 加 へ て 行 つ た もの で も そ う大 した 差 が な い の で 必 ず し も粉末 に し水 を 多 く入 れ 平 皿 に 入 れ 重 ね て行 う こ との 必 要 も な く,要 は120∼125℃ か ら145∼150℃ 位 の約2∼5氣 壓 下の加 壓 加熱 水蒸 氣 下で 一 度 半 水 石 膏 に な りそ の活 性 の強 い ものが 再 び二 水 石 膏 の 緻 密 な結 晶 に 發 達 す る よ うに す れ ば よ い の で こ れ ま で全 操 作 を オ ー トク レー ブ 中で も出 來 るが これ を更 に 別 の容 器 に移 し て結 晶 化 を行 わ せ つ つ,オ ー トク レー ブ を遊 ば せ な い で次 の 石膏 を 同 様 加 壓 水 熱 處 理 を行 うのが 目的 で あ るが,故 型 石 膏 の洗 滌 水 洗 の た めに は こ の オ ー トク レ ーブ處 理 の水 を弱 い3∼5 %位 の硫 酸液 に して 行 へ ば 前 節 の 酸 液 煮 沸 處 理 法 の長 所 を導 入 し得 て 一層 優 良 な 結 晶 石 膏 が 得 られ るわ け で 奥 田 氏 も こ の方 法 を採 用 報 告(2)され て い る の は 當然 で あ る。 然 し天 然 結 晶 石 膏 の 純 良 な塊 だ け で行 ふ と きは この 精 製 操 作 を要 し ない か ら粒 状 に した も の を123℃ 約2氣 壓 の加 壓 加熱 水 蒸 氣 の 下に 一 氣 に 半 水 燒 石 膏 と し て最 後 の製 品 に 仕 上 げ る著 者等 及 び 村 上 惠 一 氏 の 研 究 試 驗 方 法(4)(6)の方 が 簡 單 で18∼20kg/cm2の 耐 伸 強 度 の優 良 な もの が 出 來 るの で 目 下松 風 陶 齒 製 造 株 式 會 社 で小 規 模 なが ら製 造 し て居 る。 (4) 再 生 結 晶 石 賣 の 結 晶 形 態 に 關 す る 考 案 (A) 煮 沸 處 理 に依 る もの 上 掲 第2節 の酸 液 煮 沸 處 理 法 で再 生 した 結 晶 二 水 石 膏 を顯 微 鏡 下 で 觀 察 した とこ ろ を 表 示 す る と次 の 第5表 の よ うに な る。 前 掲 第2 表 の(Ⅱ)可 溶 性 無 水 石 膏,(Ⅲ)半 水 石 膏 に 安 定 に し てか ら處 理 して も殆 ん どそ の 差 異 は 認 め られ なか つた が こ の 第5表 のF-1´ とF -1と の水 中 で煮 沸 した もの を 比 較 し て も殆 ん ど同 様 で あ る。ただ 少 し硫 酸 を 加 え た 稀 薄 酸 液 煮 沸 で は(Ⅱ)よ りも(Ⅲ)の 方 が 單 晶 へ の 移 行が 早 い よ うで 共 に 針 状,柱 状,板 状 單 晶 が 立 派 に 發 達 して い る。 又 硫 駿 を 含 ま な いF-1´, F-1か ら 少 し宛 硫 酸 を加 へ て増 した 酸 液 で煮 沸 して ゆ く と酸 の極 め て稀 薄 な間 は微 細 な針 状 結 晶 の 集 晶 状 態 か ら次 第 に 單 晶 状 態 へ の變 化 を見,又 針 状 か ら柱 状,更 に板 状 へ と形 態 的 變 化 と,結 晶 が 集 晶 か ら單 晶へ そ の單 位 結 晶 の 大 さ も増 大 して 來 る こ とが 認 め られF-5, F-6, F-6´ で 大 きい 柱 状 單 晶 が 發 達 し てい る こ とが 認 め ら れ る。 次 に 第3表 で酸 液 量 を變 え た(Ⅳ)F-8-a, b, c, d, eに 於 て は液 量 の 最 も少 い 量 で處 理 したF-8-aで は幾 分 集 晶 體 を 見 受 け るがF-8-b の液 量 か ら次 第 にF-8-c迄 液 量 を増 し て來 る と 殆 ん ど形 態 的 變 化 も大 い さ も差 異 が 認 め られ らい 柱 状 單 晶 が 發 達 し,そ の物 理 的 差 異 7´とF-7に 於 て酸 液 が 濃 くな る と板 状 結 晶 の 析 出が あ る示 そ の 量 が 極 く少 く,且 つ 無 水 石 膏 の 含 有 と,そ の 單 結 晶 が 合成 石 膏 に於 け る板 状 結 晶 よ り も遙 か に 大 きい た め に 粉 碎 法 に 依 る影 響 が 二 次 的 に 大 き く支 配 す る もの で あ る。
第5表
再生結晶石膏 の顯微鏡觀察
以 上 の結 果 を要 約 す る と煮 沸 處 理 法 で は 概 し て針 状 乃 至 柱 状 の結 晶 石 膏 が 集 晶 或 は 單 晶 の 形 態 で 得 られ,板 状 結 晶 を多 く析 出す る程 度 に處 理 す る と一 部 無 水 石 膏 の析 出 を見 る こ とに な る 。此 の單 晶或 は 集 晶 の 單 位 結 晶 の大 い さ は しば しば數mmに 及 ぶ ものが 得 られ る が,こ れ 等 の す べ てはC軸 方 向 の 長 さが 大 き のに 對 しA軸 方 向 の長 さは短 い 細 長 い 針 状 に なつ て來 る。 (B) オ ー トク レ ーブ 處 理 に依 る もの これ に 對 し前 節 の オ ー トク レー ブに 依 る再 生 結 晶 の(第4表 の) 形 態 を 見 る と,全 く煮 沸 處 理 の場 合 と異 つ て3-0の 結 晶 を見 る と大 きい 集 晶 體 を し てお り,棚 段 式 に 處 理 して も泥 漿 時 に處 理 して(攪 拌 し なが ら)結 晶 形 態 的 差 異 は殆 ん ど認 れ られ な い 。 ただ オ ー トク レー ブ内 で常 壓 常 温 迄 放 置 した もの の方 が,取 出 して 別 の密 閉 器 中 で 結 晶 化 を行 うよ りは,徐 冷 の効果 が あ つ て次 に述 べ る よ うに 集 晶(5) 結 び 別報(7)の合 成 石 膏 の 製 出 に 際 し て強 度 の點 か ら微 細 な(4∼6μ:4∼ 8μ=a:c)の 板 状 形 の も のが 得 られ る と きは 強 く,酸 液 の 濃 度 が 低 くな る と柱 状 か ら針 状 に な つ て來 て強 度 が 次 第 に弱 くなつ た よ うに 本報 第2節 の酸 液 煮 沸 處 理 法 に 於 け る故 型 石 膏 の再 生 法 も針 状 よ り も柱 状 の も の を,更 に 進 ん で板 状 の もの を得 る よ うに務 め る こ とが 必 要 で,單 に 結 晶 の大 い さ の優 れ た もの を得 る 必要 は な い 。 次 に第3節 の オ ー トク レ ーブ の 加 壓 水 熱 式 再 生 法 で は 別 報(4)の加 壓 水 熱 式 に依 る燒 石 膏 を 直 接 製 出す る場 合123℃ で處 理 した ものが 最 も強 度 の大 きい も のが 得 らた(2)が,こ れ を再 生 法 に適 用 した 第4 表 で見 て もこ の附 近 の120∼125℃ で 處理 した もの が緻 密 な集 晶形 態 の結 晶 石膏 が 得 られ て,最 良 條 件 と見 られ た こ とは よ く一 致 し て い る。從 つ て この方 法 で オ ー トク レー ブ内 で 一 應 半 水 燒 石 膏 に なつ て い るの で そ の ま ま燒 石 膏 製 品 に す る村 上 氏 及 び著 者 等 の方 法 に對 し,こ れ を結 晶二 水 石膏 に す る第3節 第4表 の方 法 で は二 水 鹽 にな る の に十 分 な水 量 と結 晶 化 す る際 に 可 及 的 に 集 晶發 達 に 十 分 な條 件 を持 た せれ ば よ い の で棚 段 式 で も泥 漿 状(第4表1-0∼6-0)に し て 均 一 な轉 移 を行 わ せ るた め の攪 拌 を行 うだ け で よ く,又 故 型 石 膏 は そ れ 自身 粗 鬆な塊 で あ るか ら細 粉 す る こ とな く粗 碎 塊 状(第4表 (7-0∼9-0)で も十 分 再 生 處 理 が 出來,又 は 粉末 に し た後 硬練 し そ 團子 に し て積 重 がね た(第4表10-0)も の で も よい 。 なお オ ー ト ク レ ーブ 處理 後 の 結 晶 化 操 作 を別 の密 閉 蓋 中で 行 ふ よ りも そ の ま ゝ オ ー トク レ ー ブ 中で 内 壓 が 徐 々に 低 下 し常 壓 とな り放 冷 させ る方 が 結 晶 發 達 に効 果 が 多 い 。 これ 等 の 結 晶 形 態 的 考 察 は第2∼ 第4表 に 併 記 した 結 晶石 膏 と燒 石 膏 の 容 積 比 重 が 大 きい 程 強 度 も大 き い とい う關 聯 性 か ら見 て,粗 雄 な測 定 に 見 え る容 積 比 重 が 十 分 判 定 價 値 の あ る も の で この點 は 加 壓 水 熱 式 燒 石 膏 製 法 で村 上 氏(7)も強 調 し て い る點 で あ る 。 最 後 に 再 言 す る こ とは 再 生 法 の 兩 法 を比 較 し硫 酸 液 煮 沸 法 は故 型 石 膏 を粉 碎 し200℃ に 可 溶 性 無 水 石 膏 とし てか ら大 氣 中 で,半 水 石 膏 に なつ た もの を再 び 約5%硫 酸 液 で 煮 沸 す る の で最 も よ い結 果 を 得 てい るが こ の煮 沸 とそ の後 洗 滌,乾 燥 し て得 た 結 晶石 膏 か ら常法 に 依 つ て燒 石 膏 に す る迄 の數 次 の熱 處 理 の手 數,燃 料,操 作,装 置 を要 す る こ と,更 に オ ー トク レー ブ 中 で の加 壓 水 熱 法 で の再 生 も析 角123℃ 附 近 で立 派 な半 水 燒 石 膏 に な つ た も の を著 者 等 の 直 接燒 石 膏 製 品 に しな い で みす みす こ の 良好 な製 品 を得 て居 る事 實 を捨 て て これ を 今 一 度結 晶二 水 石 膏 に し,乾 燥 し再 び 常 法 で 燒 石 膏 に す る迄 の 數 次 の 熱 處 理 の 手 數,燃 料,操 作,装 置 を要 す る こ とな どを考 え る と この 兩 法 と も優 良 な天 然 石 膏 か ら常 法 に 依 つ て得 られ る 良質 な 燒 石 膏 よ り も優 れ た 製 品 が 得 られ る場 合に 於 て,特 に これ 等 兩 方 法 で故 型 石膏 の 不 純物 が 十分 除 か れ精 製 され る こ とが 附 隨 す る得 點 を 買 う べきで あ る。 著 者 等 は煮 沸 處 理 法 が 別 報 合 成 石 膏 の 各 種 形 態CaSO4・nH2Oと 極 め て密 接 な關 連 性 が あ るの で 目 下合 成 石 膏 製 法 の酸 濃 度,常 壓 再 生 法 の酸 濃 度 と結 晶形 體 との關 係 とに就 て 研 究 中 で 追 つ て續 報 で 報 告 す る。 終 にこの試 驗 研 究 には 日本 學 術 會 議 窯 業 原料 研 究特 別 委 員會 及 び 睦化 學 工業 株式 會 社 か らの援 助補 助 と道 澤 昭 久,坂 口鈴 雄 兩助 手 の 終 始 熱 心 な實 驗 研究 補 佐 とに 採 る と ころ が多 い こと を併 記 して深 謝 の 意 を表 した い(昭 和24年5月17日,東 大 第一 工 應 用化 學 教 室) 引 用 文 献 (1) 本 誌,昭 和23年9月, 56,第633號,第103∼106頁;昭 和23 年10月, 56,第634號,第129∼133頁. (2) 窯 業 協 會 講演 會 發 表,昭 和23年10月30日,陶 磁 器 試 驗 所 研 究 時 報,第2巻,第1號,第4頁;同,第2卷,第2號,第46頁 (3) 日本 化學 會 東 海 支部 講 演 會,昭 和23年11月6日. (4) 本 誌,昭 和23年3月, 56,第631號,第43頁;本 會 近 藤 記 念 講演 會,昭 和23年5月26日 發 表. (5) 本 會 學 術 講演 會,昭 和23年10月29日;窯 業 原 料 特 別 委 員會 報 告 發 表會,昭 和23年11月29日;本 誌,昭 和24年7月, 57,第637 號,第62頁;同, 57,第639號,第110頁 等. (6) 村 上 惠 一,東 京 工 業 誠 驗 所 報 告,昭 和15年12月,第32回,第 7號,第62頁. (7) 本 誌,昭 和24年7月, 57,第637號,第62頁,同, 57,第639 號第110頁;以 下 投 稿 中 (東 京大 學 第 一 工 學 部 綜合 試 驗所)(昭24.5.17受 附)