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自治体における肝炎ウイルス検査陽性者フォローアップ

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Academic year: 2021

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平成 28 年度  分担研究報告書   

自治体における肝炎ウイルス検査陽性者フォローアップ 

 

研究分担者:相崎英樹    国立感染症研究所 ウイルス第二部   

研究要旨:感染を知りながら治療を続けていない人が 50‑120 万人も存在すると推定されて おり、陽性者フォローアップは緊急の課題である。そこで、肝炎ウイルス検査により見い だされた陽性者を専門医療機関へ導き、その後のフォローアップが必要であると考えられ、

肝炎ウイルス検査陽性者を適切な治療に導入することを目的にシステム構築を目指した。

これまでの研究から、過去の陽性者、調査票に返信しない陽性者、フォローアップに同意 しない陽性者への対応の重要性が示された。そこで、本年度はこのような陽性者に対して、

行政が持つ情報を駆使して絞り込みをかけて、より効率の良いフォローアップ法の構築を 目指した。 

A. 研究目的 

  感染を知りながら治療を続けていない人が 50−120 万人も存在すると推定されており、効 果の高い治療薬や医療費助成があるにもかか わらず、検査が治療に結びついていない。そこ で、肝炎ウイルス検査により見いだされた陽性 者を専門医療機関へ導き、その後のフォローア ップが必要であると考えられる。しかし、自治 体が保有する肝炎ウイルス検査陽性者リスト は高度な個人情報であるため、自治体はその扱 いに慎重にならざるを得ない状況である。適切 な治療を受けなかった場合、肝硬変、肝癌と進 行することから「命のリスト」ともいえる肝炎 ウイルス検査陽性者リストをその高度な個人 情報の保護をしつつ利用することで、肝炎ウイ ルス検査陽性者を適切な治療に導入すること を目的にシステム構築を目指した。 

 

(倫理面への配慮) 

  肝炎ウイルス陽性者の個人情報については 自治体で匿名化後、感染研では感染研での倫理 委員会に従い取り扱う。 

 

B.   研究方法 

 O 県の把握する陽性者のうち5年前までさか のぼり、行政機関が有する情報を駆使して、真 に治療導入を必要とする陽性者を絞り込みフ ァローアップを行った。住民票、精密検査報告

書、治療費助成受領書、電話調査、前年度のフ ォローアップ返信記録、申込書から陽性者を絞 り込みフォローアップした。 

 

C. 研究結果 

  平成 23 年度〜平成 27 年度までの委託医療機 関受診者:B 型ウィルス検査陽性者 342 名、C 型ウイルス検査陽性者 343 名の内、 

・電話つながり、本人より精検受診したと確認 したもの(2%) 

・申込書に「過去に治療あり」と記載のあった もの(0.7%) 

・本人死亡が確認されたもの(0.4%) 

・ 病院の結果も記載ミスにより陽性者として 扱っていたもの(0.3%) 

・医療費助成受領が確認できたもの(1.3%) 

・精検結果報告書を受領しているもの(8.7%) 

・昨年度実施した肝炎フォローアップに返送が あったもの(6.8%) 

・引越し等によりフォローアップできなかった 者(1.8%) 

を除いた B 型 55 名及び C 型 49 名計 104 名(15%) を対象とした。返信があったものは B 型 7 名及 び C 型 10 名計 17 名(16%)と少なかったものの、

専門医療機関受診率は B 型 5 名及び C 型 8 名計 13 名(76%)と多く、さらに受療は B 型 5 名及び C 型 4 名計 9 名(53%)であった。 

 

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D. 考察 

 これまでの研究から、過去の陽性者、調査票 に返信しない陽性者、フォローアップに同意し ない陽性者への対応の重要性が示されたこと から、行政機関が有する情報(住民票、精密検 査報告書、治療費助成受領書、電話調査、前年 度のフォローアップ返信記録、申込書)から真 に治療導入を必要とする陽性者を絞り込みフ ォローアップした。調査票への返信数は少なか ったものの、76%が専門医療機関を受診し、53%

が治療に入った。受診しない原因として、かか りつけ医の理解不足、症状が少ない、経済的な 問題などが見出された。個々の陽性者は個人情 報を介さない、番号で追跡可能となっており、

次年度の個別受診勧奨が可能となった。 

 

E. 結論 

  過去5年間を含む肝炎ウイルス検査陽性者 から行政が持つ情報を用いて縛り込みフォロ ーアップを行った。陽性者の多い大きな都市型 の自治体でもフォローアップ可能なことが示 された。 

   

F. 健康危険情報    特になし   

G. 研究発表(本研究に関わるもの)  1. 論文発表 

1) 相崎英樹、和気健二郎、脇田隆字、ここま でわかったC型肝炎ウイルスの感染・複製機 構、目覚しく治療効果を発揮するC型肝炎治 療 、 Mebio 、メ ジ カル ビュ ー 社、 東 京、

2017;34(1);4‑13. 

2)相崎英樹、脇田隆字、肝炎ウイルス検査の すすめ、くらしの豆知識、国民生活センタ ー、東京、2016, 200‑201. 

3) 相崎英樹、脇田隆字、C型肝炎治療における 新時代の幕開け、C型肝炎ウイルスの複製・

増殖のメカニズム、医薬ジャーナル、医薬 ジャーナル社、大阪 2016;52;67‑70. 

4)渡士幸一、相崎英樹、B型肝炎ウイルス研究 のトピックス、特集:B型肝炎—ワクチン定

期接種化にあたって、小児科、金原出版、

東京、2016、1107‑1111   

2.学会発表  1) 国際学会  2) 国内学会 

 (1) 相崎英樹、吉岡健太郎、脇田隆字, 自治 体における肝炎ウイルス検査陽性者フォロー アップシステムの構築, 第41回日本肝臓学会 東部会、東京、2016年12月8‑9日. 

 

G.知的所有権の出願・取得状況  1.特許取得 

なし 

2.実用新案登録  なし 

3.その他 

1) 相崎英樹、井上 貴子,飯島尋子、石上雅敏、

上野義之、小川浩司、片野義明、菊池嘉、工藤 正俊、酒井明人、坂本穣、島上哲朗、下田和哉、

日浅陽一、正木尚彦、持田智、吉岡健太郎、吉 澤要、米田政志、渡邊綱正、是永匡紹、自治体 向け肝炎ウイルス検査陽性者フォローアップ 導入マニュアル第3版、効率的な肝炎ウイルス 検査陽性者フォローアップシステムの構築の ための研究班       

              

        

               

参照

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