• 検索結果がありません。

雑誌名 同志社法學

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "雑誌名 同志社法學"

Copied!
27
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

訴えの主観的予備的併合の許否についての覚書 :  予備的被告の当事者権保障の観点から

著者 園田 賢治

雑誌名 同志社法學

巻 66

号 3

ページ 597‑622

発行年 2014‑09‑30

権利 同志社法學會

URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000014663

(2)

(   )訴えの主観的予備的併合の許否についての覚書同志社法学 六六巻三号二一五九七

︱ ︱ 予 備 的 被 告 の 当 事 者 権 保 障 の 観 点 か ら ︱ ︱

           

一  はじめに二  訴えの主観的予備的併合の意義三  予備的被告の不利益と主観的予備的併合の許容要件四  主観的予備的併合の許否の判断時と判断手続五  おわりに

一   は じ め に

  本 稿 は 、 訴 え の 主 観 的 予 備 的 併 合 ( 以 下 で は 、 単 に ﹁ 主 観 的 予 備 的 併 合 ﹂ と 記 す 。) が 、 ど の よ う な 場 合 に 許 容 さ れ

(3)

(   )同志社法学 六六巻三号二二訴えの主観的予備的併合の許否についての覚書五九八

る の か に つ い て 、 若 干 の 検 討 を 加 え る も の で あ る 。 も っ と も 、 同 時 審 判 申 出 共 同 訴 訟 ( 民 訴 法 四 一 条 ) は 、 従 来 論 じ ら れ て き た 主 観 的 予 備 的 併 合 の 問 題 に 対 応 す る た め に 、 現 行 民 訴 法 ( 平 成 八 年 法 律 第 一 〇 九 号 ) に お い て 新 設 さ れ た 制 度

1

で あ る た め 、 こ の 制 度 を 利 用 す る こ と が で き る 現 行 法 の 下 に お い て は 、 主 観 的 予 備 的 併 合 の 許 否 の 問 題 を 論 じ る 意 義 は 、 旧 法 下 よ り も 大 幅 に 縮 小 し た か 、 も は や 存 在 し な く な っ た と 見 る 向 き も あ ろ う

2

。 し か し 、 現 行 法 の 施 行 後 、 そ れ な り の 年 月 が 経 過 し た 近 時 に お い て も な お 、 下 級 審 裁 判 例 の 中 に は 、 主 観 的 予 備 的 併 合 を 許 容 し た 例

)3

が 見 ら れ る 。 ま た 、 そ の 一 方 で 、 主 観 的 予 備 的 併 合 を 不 適 法 と 判 断 し た 下 級 審 裁 判 例

4

も 存 在 す る も の の 、 そ の 理 由 と し て 、 同 時 審 判 申 出 共 同 訴 訟 の 制 度 の 存 在 に 言 及 す る も の は 見 当 た ら な い 。 同 時 審 判 申 出 共 同 訴 訟 の 創 設 に よ っ て 、 主 観 的 予 備 的 併 合 の 実 際 の ニ ー ズ に 変 化 が 生 じ た か 否 か に つ い て は 、 こ れ ら の 裁 判 例 か ら 読 み 取 る こ と は 不 可 能 で あ る が 、 少 な く と も 、 そ の 許 否 を 判 断 す る 場 面 に お い て 適 用 さ れ る 規 範 の 面 に 関 し て は 、 目 下 の 裁 判 例 の 傾 向 に 、 同 時 審 判 申 出 共 同 訴 訟 の 影 響 を 受 け た と 解 釈 で き る よ う な 変 化 は 無 い よ う で あ る 。 こ の よ う な 現 状 認 識 が 正 し い と す る な ら ば 、 現 在 も な お 旧 法 下 と 同 様 に 、 そ の 許 否 の 判 断 の あ り 方 に つ い て は 、 議 論 の 余 地 を 残 し て い る と 言 う こ と が で き 、 こ れ を 明 ら か に す る こ と の 理 論 的 ・ 実 践 的 な 意 義 は 、 今 も 完 全 に 失 わ れ て い る と は 言 え な い よ う に 思 わ れ る 。

  主 観 的 予 備 的 併 合 の 許 容 性 の 問 題 を め ぐ っ て は 、 周 知 の 通 り 、 古 く か ら 数 多 く の 議 論 が 積 み 重 ね ら れ て お り 、 大 方 の 議 論 は す で に 尽 く さ れ て い る 感 が あ る 。 そ れ で も な お 、 本 稿 が 、 こ の 問 題 に つ い て 僅 か に で も 寄 与 す る こ と が で き る 点 が あ る と す る な ら ば 、 こ れ ま で の 議 論 の 展 開 に 伴 い 、 そ の 意 味 内 容 が と も す れ ば 拡 散 し て し ま っ た 主 観 的 予 備 的 併 合 に つ い て 、 そ の 原 点 に 立 ち 返 る こ と を 通 じ て ( 二 )、 次 の 二 点 を 中 心 に 検 討 す る こ と に あ る 。 第 一 点 は 、 主 観 的 予 備 的 併 合 が 許 容 さ れ る こ と に よ る 、 予 備 的 被 告 の 訴 訟 手 続 上 の 権 利 ( 当 事 者 権 ) の 侵 害 に 着 目 す る こ と に よ っ て 、 主 観 的 予 備 的 併 合 が 許 容 さ れ る 要 件 を 明 ら か に す る こ と で あ る ( 三 )。 第 二 点 は 、 そ の 要 件 の 判 断 の あ り 方 、 と り わ け 手 続 の ど の

(4)

(   )訴えの主観的予備的併合の許否についての覚書同志社法学 六六巻三号二三五九九

時 点 で そ の 要 件 を 判 断 す べ き か 、 と い う 問 題 に 着 目 す る こ と に よ っ て 、 主 観 的 予 備 的 併 合 の 許 否 を 判 断 す る 際 の 要 件 と 手 続 の あ り 方 を 、 一 体 と し て 明 ら か に す る こ と で あ る ( 四 )。

1立︺﹄新民事訴訟法︹ジュリスト増刊(究一九九九年)六一頁以下参照。会研法下の経緯については、例えば、竹守) 夫=青山善充=伊藤眞編集代表﹃

( にとする(稿も基本的本こ立場に依拠する)。の 以、一九二頁不下は、被に当二頁系七一)年七九九一﹄(⑴不大法訟訴な告利観益なえ言はでまと法適不らか点いの限義与えないをり、処分権主は あメリットがするとる。まなたい訟き共高時審判申出同で訴ではカバー、田事訟裕民新﹃表代集編か三省宅三﹂ほ訴の成同﹁同時審判申出がある共 四〇一三年)川〇〇頁以下、(二訟︺﹄訴四点講義民事訟版法(下)︹第二嶋年郎な同はに合併的備予的観主﹃はど、頁二民事四法﹄(訴〇一三)七八 訂五頁︹井上治典[補五・松浦]︺、高橋宏志﹃重四)貞=編裕正木=馨浦松郎新一野中、てしと年﹃鈴民補九〇〇二事︺﹄版二訂(版第︹義講法訟訴二 争民事訴訟法〇点﹄(二〇九編年﹃の彦和本山=眞藤伊﹂訟訴同共る七)ど六余予備的併合の地観を認める、解的見主あ七、頁なが七る方その一。 とない見解、して伊藤眞認﹃民め併を地余の合的備予的観主、は訴で事見訟頁のあが出申の判審時同﹁進高、六法一六)年一一〇二(︺﹄版四第︹下 2法こ予的観主やはも、てっよにとる的す在存が訟訴同共出申判審時同備併行に現。るれか分が解見、はていつか合否かたっなくなが地余るめ認を)   3︺ある(各裁判例の末尾に︹での各請求についての結論を示すがも) 適被告側の主観的予備的併合を法のと判断した近時の例として、次)。

   ①東京地判平成二四年一月一三日(LEX/DB文献番号二五四八〇二一〇)は、X(労働者)が、主位的に

Y(会社)から事業譲渡を受けた1

にと的備予、てし告被を)社 Y会(2

Y例の確認等を求めた事でこある(なお、当初、Xとるは約を被告として、労働契上あの権利を有する地位に1

。観次のうに判断して、主よ的適予たと法しを合併的備 さ併れ、甲事件は本件と本合された)。判決は、提起がと訟たいてし起提を訴こるめ求を等認確位訟ろて行訴件、本めたたれわが(渡譲業事)、件事甲地 Yし対に1

  

  ﹁相あで者事当方手の⋮求請的備予件本る

る訴しとたし解と法適を合併のえなもうよの件本とるみてしるきでて。、異通あに地の告被的備予、りな位はとの訴常えの主観的予備的併合 おいて当関事者として与に一内続手訟訴の同、え備に、合し位防にたがとこういとのもたっあ地御るきでがとこるす使行を権場れと象対の断判がさ ら併の客観的に合の場合訴おけえかとうい被点のこ、てっあでのもたる別告ら否当の求請るす対にら自に後、かと初当、くなはろことるな異て格い Yれ(ていおに)件事甲訟手訴件本らか初当、は相方ら行え与に分十を会機の追た訟訴てしと者事当る1

、て難く、これを適法なものと認めもいるくなはでのもす原偏に護保の告いはは不応訴上著しい不安定ないしで利っ益をきたすおそれがあるとまて Yとに1

(5)

(   )同志社法学 六六巻三号二四訴えの主観的予備的併合の許否についての覚書六〇〇

むしろ審理の重複や判決の矛盾を最小限に抑え、紛争の一回的解決に資するものと考えられる。そうだとすると前掲最高裁判決︹最判昭和四三年三月八日︺の射程は、本件のような主観的追加的予備的併合の場合には及ばないものと解され、よって、本件予備的請求に係る訴えは、適法である。﹂︹主位的請求棄却、予備的請求棄却︺

   ②東京地判平成二四年五月二三日(LEX/DB文献番号二五四九四六七八)は、Xは、

Yを通じて、1

に等的位主、きづ基に Yンたとの間で締結しコサ約契グンテルィ2

Yづ的備予、め求を等償賠害損く基に行履不務債、てしと告被をに2

Y1

Yを被告として、2

、損を償賠害 Y民法七〇条に基づくはてし対に九1

Yをに基づく損害賠償求九めた事例において条〇、﹁一に対しては民法七五七条一項または民法2

︺前断判るすと提と下こるあで法適がををし、た却棄求請備予的棄求請的位主却。︹ 事はいな者議異にと。﹂併して主観的予備的合、当て本、いおに訟訴件いが主るあはでのもるたて位に審つにとこう行を理の的そてし合併と求請あ Y合はに対する請求、併主観的予備的1

   なお、③松山地判平成二一年二月二〇日(判時二一〇六号六一頁)は、亡Aの唯一の相続人であるXが、

Y及び1

Yが共謀して無権限で亡Aの2

に払的位主、てしとたけ受をし戻の金預らか座口金預の)行 Y銀(3

Y還して預金の返を主求め、予備的張とに、を被告として払る戻しは無効であ3

Y及び1

Y2

を被告として、仮にこの払戻しが有効であった場合には、共同不法行為又は不当利得が成立すると主張して損害賠償又は不当利得返還を求めた事例である。本判決は、主観的予備的併合の可否について特に言及することなく、﹁

る併あに係関合 Y行とに対する不法的備予的観主れ為こび及請償賠害損くづ基に求3

︺す判案本くなとこる下を却をえ訴る係に求決し的却却棄求請的備予、棄て求請的位主。︹るい請 Yず為ま求請償賠害損くづ基に行は法不るす対にら告被く除をた不れ備も理由がな。﹂として、予い当、は求請還返くづ基に得利い3

    原告側の主観的予備的併合を適法と判断した近時の例として、次のものがある。    ④京都地判平成二四年五月九日(交通事故民事裁判例集四五巻三号五七〇頁)は、交通事故に遭った

Xが主位的原告となり、1

どと主張する Xに業務委託したな1

Xが予備的原告となり、2

Y(運転者)と1

Yのにおいて、次よ事うに判断した例た。対(使用者)にしめて損害賠償を求1

  

  ﹁本件においては、

X及に的質実は求請的備予びとこるあで告原のらか初当はは2

︺備部認、予容的請求棄却 、係に求請的備予そらかいなはれ訴おのるすえる一求請的位主︹。﹂あはできべ弊解と法適害の認者併合をどめても関係の備地位を不安定にするな的 Xの請ど求の拡張に過ぎないな観の事情にかんがみると、主的予2

   ⑤大阪地判平成二五年七月一六日(LEX/DB文献番号二五四四五七三六)は、Yらがウェブページにパンフレットを掲載した行為について、主位的に

X(会社)の著作権侵害と1

X作きづ基に害侵権格人者著の)ーターレトスライ(、2

X1

X賠的備予、め求を償害損てっなと告原がに2

、人きづ基に害侵権格者作著と害侵権 X作著の2

X合えの主観的予備的併は、﹁不適法であって許され訴てな損のみが原告となって害い賠償を認めた事例にお2

(6)

(   )訴えの主観的予備的併合の許否についての覚書同志社法学 六六巻三号二五六〇一 いとした判例(最高裁判所昭和四三年三月八日第二小法廷判決・民集二二巻三号五五一頁)は、被告相互の関係が主位的・予備的関係にある事案であったのに対し、本件は原告相互の関係が主位的・予備的関係にある事案であり異なる。﹂として、主観的予備的併合を適法とした。︹主位的請求棄却、予備的請求棄却︺

   なお、⑥東京地判平成二二年一二月二八日(金法一九四八号一一九頁)は、Aの後見人

Xの預金口座につき、A死亡後、1

人A続相の X原告なり、的位主がと1

(、介されがるこれは、注 もる必要はな。﹂のと解されるとすこ法適不をれ判、とすら照に等とことい示予してしと例事ため認を合併的備紹的ら観いることかて、原告側の主 、段に小さくろむしに、被告て格複しはっうな問題点被比告数の場合にとのてこるあも点もどなるなに能可がと利る求す、複の請数を決回的に解一 備予的観合主の場請の的上求については、記のよ複数告の位こるな定安不が地に的法告被の求請原ととあろ、にうよる件本、のこるれさ解とのとも れ不適法と、た事例は被求告がさ請お数五一頁)にい的て主観的予備複理のさ的備予、てしと主、は由号るれと場法適不がれこ、たま、りあで合五 X三銀戻払の金預、てし対に)行(等Y、てっなと告原的備予がしを巻昭二二集民日八月三年三四和判求最(例判、﹁ていおに例事ため2

( 例にとこるけ付置位と事疑ため認を合併的備予的は問主予︺容認部一求請的備、が却棄求請的位主。︹るあ観 11、てたし釈解と合併純単を立え申の側告原、り通る見でうで)む粋にめたるきでがとこ読、とるあで例事たしと法適純 にX的位主、が 4的五八日(LEX/DB文献番号二四月九二三五九)は、観主の側告被二二予時備的併合を不適法と判断した近の年例として、⑦東京地判平) 二四成

Y金的備予、め求をし戻払の預、てしと告被を)行銀(に1

Y1

Y2

Yの元支店長)を被告として、1

。うに次のよに判示した 省存在するが判略する)。本者決もの事当と求請、他のそ(るあで例事はと主不らさ、つつし断判とるあで法適し位的的請求予備請反求が信義則に めた求不状当に為行法をがとこたしに況いるなれらけ受を還返、し匿隠、たと費一償賠害損、きづ基に項一条五七し法民しいな条九〇七法民、て消 Yで断無を員金たっか預らかXが2

  

  ﹁また、本訴請求︹2︺のうち

たいっかなれさと告被て Yゆにである本訴請求︹1︺お請わい、は分部るす対に求的るれ主観的予備的併合のさた位請求でありこれは主、2

。﹂のるあで Y、は、この観点からも、訴え却か下されるべきもてし対にらる不で安定な地位を強いるものああり、不適法というべでき2

   一方、原告側の主観的予備的併合を不適法と判断した近時の例を見つけることはできなかった。

(7)

(   )同志社法学 六六巻三号二六訴えの主観的予備的併合の許否についての覚書六〇二

二   訴 え の 主 観 的 予 備 的 併 合 の 意 義

⑴  主観的予備的併合とは

  訴 え の 主 観 的 予 備 的 併 合 と 呼 ば れ る 併 合 形 態 に は 、 被 告 側 の も の と 原 告 側 の も の が あ る 。 被 告 側 の 主 観 的 予 備 的 併 合 と は 、 一 方 の 被 告 に 対 す る 請 求 ( 主 位 的 請 求 ) が 認 容 さ れ る こ と を 解 除 条 件 と し て 、 他 方 の 被 告 に 対 す る 請 求 ( 予 備 的 請 求 ) に つ い て 審 判 を 求 め る 併 合 形 態 を 指 す 。 そ の 例 と し て は 、 代 理 人 と 契 約 を 結 ん だ 相 手 方 が 、 主 位 的 に 本 人 に 対 し て 契 約 上 の 債 務 の 履 行 を 求 め つ つ 、 代 理 権 が な い と さ れ た 場 合 に 備 え 、 予 備 的 に 代 理 人 に 対 し て 民 法 一 一 七 条 に よ る 無 権 代 理 人 の 責 任 を 追 及 す る 場 合 や 、 土 地 工 作 物 の 瑕 疵 に よ る 損 害 賠 償 を 、 民 法 七 一 七 条 に 基 づ き 主 位 的 に 占 有 者 に 対 し て 請 求 し つ つ 、 占 有 者 に 責 任 が な い と さ れ た 場 合 に 備 え 、 予 備 的 に 所 有 者 に 対 し て 請 求 す る 場 合 な ど が 挙 げ ら れ る 。

  こ れ に 対 し て 、 原 告 側 の 主 観 的 予 備 的 併 合 と は 、 一 方 の 原 告 の 請 求 ( 主 位 的 請 求 ) が 認 容 さ れ る こ と を 解 除 条 件 と し て 、 他 方 の 原 告 の 請 求 ( 予 備 的 請 求 ) に つ い て 審 判 を 求 め る 併 合 形 態 を 指 す 。 そ の 例 と し て は 、 債 権 譲 渡 の 効 力 を 争 う 債 務 者 を 被 告 と し て 、 主 位 的 に 譲 受 人 が 原 告 と な り つ つ 、 債 権 譲 渡 が 無 効 と さ れ た 場 合 に 備 え 、 予 備 的 に 譲 渡 人 も 原 告 と な っ て 債 務 の 履 行 を 求 め る 場 合 が 挙 げ ら れ る 。

⑵  主観的予備的併合の意義の多様性

  出 発 点 と し て は 一 般 に 右 の よ う に 説 明 さ れ る

5

主 観 的 予 備 的 併 合 で あ る が 、 こ れ を 許 容 す る こ と に 対 し て は 、 当 初 、 予 備 的 被 告 の 地 位 が 不 安 定 で あ る こ と ( 主 位 的 請 求 が 認 容 さ れ る と 、 予 備 的 請 求 は 溯 及 的 に 訴 訟 係 属 を 失 い 、 予 備 的 被 告 は 判 決 を 受 け る こ と な く 訴 訟 が 終 了 す る こ と ) や 、 統 一 審 判 の 保 障 が な い こ と ( 主 位 的 請 求 認 容 に 対 し て 主 位 的 被 告 が

(8)

(   )訴えの主観的予備的併合の許否についての覚書同志社法学 六六巻三号二七六〇三

上 訴 し た 場 合 や 、 主 位 的 請 求 棄 却 、 予 備 的 請 求 認 容 に 対 し て 原 告 が 上 訴 し た 場 合 は 、 上 訴 審 に 主 位 的 請 求 の み が 移 審 す る こ と ) と い っ た 批 判

6

が 加 え ら れ る こ と と な っ た 。 こ れ ら の 批 判 に 対 す る 主 観 的 予 備 的 併 合 を 許 容 す る 立 場 か ら の 応 答 の 中 で ( さ ら に 、 現 行 法 下 で は 、 同 時 審 判 申 出 共 同 訴 訟 で は カ バ ー で き な い 、 主 観 的 予 備 的 併 合 の 固 有 の メ リ ッ ト を 主 張 す る 議 論 の 中 で )、 主 観 的 予 備 的 併 合 の 内 容 な い し 規 律 の 修 正 を め ぐ り 、議 論 が 相 当 に 積 み 重 ね ら れ て き た 。 そ の 結 果 、 主 観 的 予 備 的 併 合 の 内 実 が き わ め て 豊 か に な っ た 一 方 で 、 そ の 言 葉 が 指 し 示 す と こ ろ の 併 合 形 態 な い し そ の 規 律 は 、 論 者 ご と に 様 々 に 異 な る も の に な る に 至 っ た 。 例 え ば 、 審 判 の 統 一 が ( 特 に 上 訴 と の 関 係 で ) 図 ら れ る べ き か 否 か ( さ ら に そ の 構 成 と し て 、 当 然 の 補 助 参 加 を 認 め る の か

7

、 民 訴 法 四 〇 条 の 準 用 を 認 め る の か

8

)、 主 位 的 請 求 が 認 容 さ れ る 場 合 に は 予 備 的 請 求 を 棄 却 す る べ き か 否 か

9

、 請 求 が 法 律 上 両 立 し 得 な い 場 合 だ け で な く 請 求 が 事 実 上 両 立 し 得 な い 場 合 も 許 容 さ れ る の か 否 か

₁₀

、 と い っ た 点 に つ き 、 見 解 が 一 致 し て い る と は 言 い 難 い 状 況 が 続 い て い る 。 こ の よ う に 許 否 が 検 討 さ れ る べ き そ も そ も の 対 象 が 異 な る と す る な ら ば

₁₁

、 議 論 が 拡 散 し 、 噛 み 合 わ な く な る お そ れ も 生 じ る で あ ろ う 。

  そ こ で 、 本 稿 で は 、﹁ 主 観 的 予 備 的 併 合 ﹂ と い う 言 葉 を 、 右 の ⑴ に お い て 述 べ た 内 容 の 通 り の 、 解 除 条 件 付 き の 訴 え を 併 合 す る 形 態 を 指 す 意 味 で の み 用 い 、 議 論 の 対 象 を 絞 る こ と と し た い ( 統 一 審 判 の 保 障 の 程 度 や 、 請 求 の 両 立 関 係 は 差 し 当 た り 問 わ な い こ と と す る )。 主 観 的 予 備 的 併 合 の 許 否 の 問 題 と は 、 形 式 的 に は 、 条 件 付 き の 訴 え の 適 法 性 の 問 題 だ か ら で あ る

₁₂

。 こ の よ う に 主 観 的 予 備 的 併 合 を 狭 い 意 味 に 限 定 す る こ と は 、 い わ ゆ る ﹁ 主 観 的 順 位 的 併 合 ﹂( 第 一 順 位 の 請 求 を 認 容 す る と き に は 、 第 二 順 位 の 請 求 を 棄 却 す る こ と を 求 め る 併 合 形 態 ) を 主 観 的 予 備 的 併 合 の 中 に 含 め る こ と を せ ず に 、 別 個 の 検 討 対 象 と す る こ と に 主 眼 が あ る 。 主 観 的 予 備 的 併 合 と 主 観 的 順 位 的 併 合 と は 、 法 律 構 成 が 全 く 異 な る

₁₃

た め 、 そ の 許 容 性 の 問 題 を 同 一 の 観 点 か ら 議 論 す る こ と は 適 切 で な い と 思 わ れ る か ら で あ る 。 も ち ろ ん 、 両 者 の 目 的 は 共 通 し て い る た め 、 主 観 的 順 位 的 併 合 を 認 め る こ と が 、 主 観 的 予 備 的 併 合 の 必 要 性 に 影 響 を 及 ぼ す こ と は 否 定 で き な

(9)

(   )同志社法学 六六巻三号二八訴えの主観的予備的併合の許否についての覚書六〇四

い が 、 次 章 ( 三 ) の ⑵ に お い て 述 べ る よ う に 、 こ れ は 原 告 側 の 便 宜 に 関 わ る 問 題 で あ り 、 主 観 的 予 備 的 併 合 の 許 容 性 の 判 断 に 際 し て 決 定 的 な 意 味 を 持 つ も の で は な い 。

(条﹂るあで立申るすと件止す停をとこれさなが決判のとるるる(注掲前・高、きつに点田い把てのよなう握が優れこ 判の生裁、がるず除てしと件条解を立容申まの(的)下却訴はた却面棄求請的位主はで認定請そ、﹁予備的確求の訴は、の頁訴訟係属は主位的請求のは 5本﹂訟訴同共と係関的一観択的点主、この巽に関し瀧の川叡一﹁請求井) =︺﹄七二一、八〇一)年八六九一(巻中二第︹ーノ務実事民﹃編三修村ト

( 考訟訴事民﹂るえを誌合併的備予的観雑﹄三二九。るあが七一頁)年三九九一(号 除お、解き条件付の。な理るすにとこう従に解な的え訴、とも主﹁﹃夫郁下山通てしとのすい指目を却脱のらか成構う説たべため、差し当り、本文で述 備よって予溯係的請求の訴訟就にと成の件条除解もくな少、もてっ立属すが、たいなし響影接直に論議の稿本く及ながりわ変はに点る解滅消に的に 2見のこ)。照参頁九七一)

( 六。下以頁二 6判一決の法理﹄(一九七二年︹初出九と五八年︺)四七頁、批なうよのこ判訴の﹁代表的なものとして、中田淳一訴﹃の主観的予備的併合の許) ﹂同否

7兼版。頁八八三)年五六九一(︺﹄訂子) ︹系大法訟訴事民修新﹃一増

(し根拠する見解ととて高橋・前掲注、 ︺)一九五八年三二九三、一二初出研︹年三九九一﹄(究どの訟訴者事当な頁が四を加参者あ当立独的面片の条七事、、きるさらに。後つの解釈に者 主のえ訴山﹁昇小、的観同・予備的併合﹂﹃多数してとど当整規の加参者事立類独。るあがのな頁の推五用もるすときべす準かを条〇四法訴民ら三 8必き﹁馨浦松、てしとのもるすとべ要すをいの扱の様同と訟訴同共的訴) 主三二、二五二)年四六九一(〇〇ト観スリュジ﹂否適の合併的備予的号

2)三九一頁以下がある。

(つ成の問題に構いは、後掲注て 九訟法⑵﹄(一)九二年二頁以事訴上民釈注﹃編典治[井=郎一徹田上下一上い律法の合田的位順的観主るゆわ併なう徹一郎]などがある。このよ 九一出初九︹年一八二七二年︺)一八一、一九頁以下、﹄(一理五典観主のえ訴﹁治選上、井下以頁法、六的択五多の訟訴者事当数﹃的同﹂否適の合併九 9予る主の訴﹁一宏村、西てしとのもす備と的るあできべす却棄を求請的観) ・民)年三六九一(︺﹄巻上︹法訟訴集予子備的併合﹂兼一全編﹃実例法学事

13)参照。 10) 例えば、小山・前掲注(

﹄とれこ。るす視重を係関ういる対なと価評的法のらか点観一にしの併訟訴の者事当数多﹃同﹂合的、備予的観主のえ訴﹁典治上井同てつに因原のい 8的、主位対被告に間すに求互相請請、は下以頁六〇三る)求に求請るす対に告被的備予時原同が価評的法のていつ因に

(10)

(   )訴えの主観的予備的併合の許否についての覚書同志社法学 六六巻三号二九六〇五 (一九九二年︹初出一九八四年︺)三、一〇頁は、訴訟の持つ発展的・流動的な性質に照らし、訴え提起段階での請求原因に対する実体法評価だけでこの併合形態の許否が決まることに対して疑問を呈する。また、この問題は、現行法制定の際にも議論がなされており、﹁民事訴訟法手続に関する改正要綱試案﹂(一九九三年)に対し、例えば、福永有利﹁共同訴訟と訴訟参加の規律(下)﹂NBL五五八号(一九九四年)五七、五八頁は、法律上だけでなく、事実上両立しない場合にも主観的順位的併合を認めるべきであるとした。しかし、これに代わって導入された同時審判申出共同訴訟(民訴法四一条)は、明文で﹁法律上併存し得ない関係﹂と規定され、法律上の非両立関係のみに限定されることとなった。このように限定された理由として、竹下ほか編・前掲注(

( 許、りおてし容くれ広をとこす付をそるにたよ。るといならす当るに特は害弊見 二巻﹄(二〇一一四年)五三]、第事期三第[座講訟訴民務実﹃編郎六一下一き頁条除解が者事当、もで合場る件で務がでは、実以で、単純併は合 的なお、客観的予備併合にるつ。にでらかるれわ思うよいなでからていあで堂あ太藤加=志宏橋高・修監司幸新新﹁がる、八木一良複数請求訴訟﹂ 所離する裁判すの裁量を制限を分す論弁がとこるの張拡を面場用適こる、とをと明もしず必、はかるせさじ生の題体の問係で、具関的どのようなに ととされるこ、から同時審判する様有離出に弁論の分をを制限する効果申で共こられこ。るえ考といしま望同とがるみ訴訟とす並足を揃える形調整 解同、ばれよに理出共件要のそ、ていつに訟訴同申緩判審時同、ばれよに見私ののは和予常通、もていつを合併的備に的望ることがすまく、主観し が六一六頁以下す指摘るように三、も一題法る法的諸問﹄(六一九九九年)、え律の。るあが題問ういとい上いはとなも別・な実上の区事はずし明確必 時北武男﹁同申審判の出があ、上用ばう共なってしま﹂えとするが、例るを同和訴め争紛事民﹃念記稀古生先雄ぐ川関白適範囲にのする﹂訟試論一 め法律上極明てい確場合と、な拘は法でこ、それを的スに束するケーう訟と権なくし難に常非がのるす使行を揮に指訴が所判裁、といなかおてしの 1のは離分、合併の論弁、﹁]つ言発久剛田福[頁〇七にいも非るすを用作な事大に常はてのういと権揮指訟訴の) 11) 注( 告般原、おな、﹁後たべ述を論 3二すの主観的予備的併合を許容る告一成平判地京東⑥、たげ挙で側原二八年一二月二八日(金法一九四号た一一九頁)は、)こに引用しそ

Xの請求は、必ずしも、原告2

。一一三年七)九頁がある 菱釈として、例雄郷・私法判の評な決判本。るマにとこたし断判と法リ田ー六田陽子・岡法二、巻四号(二ク濵〇頁〇〇四六号(二ス一三年)一一 的訴えを主観的順位解併合と本件、、判、述べる。本決ろは結局のとこしいさるら適てし解と合純単、らかとこ併位そし定否も義意のてけ付に順の 順位をる付ける優こ先、にうよの記上らかにとらものでと。﹂。)るれえ考とも、いなは味意のどほさあの請両るらの求は論理上立し得ない関係にあ とうな解釈をでれば、記問題のよすこ、てっあ当相がのるは解とのも点上さ付られる(更に言考すればら原告え、とるにの小化され矮こになもると にけているな過ぎいと解をれさ付に位順先優のそ単、ずらおてれかさる備ら合ときべす却棄は求請的予、はに場、るれさ容認が求請的位主、に仮は Xの者の﹂容認:﹁注筆り︹却棄が求請の誤でもをるすと件条除解合あ場たれさ︺うろ1

(11)

(   )同志社法学 六六巻三号三〇訴えの主観的予備的併合の許否についての覚書六〇六

( 選中=巽井本﹂否適の合併)的は修たま(的備予的観主の訴﹁三村択三六編。照参頁七〇一、九)年八四九ー﹃事実務ノ民ト二巻﹄(一第 、になるのでき条件付の訴えらか就明属あの有無が係中での訴訟手続内で却っなて修村中。るなにとういと)いこれ定もさ手続の安、をさず、下害 、さ容許が合併にし対れこ(るるれ成な同さ件条、に様とら訴反的備予、ばれ下却のして扱われ、その果、単独で結条不件のな法適では訴のき付え すになろう。、なわち主観的う次さよの、はてしと明説のとこるれ備予れ的、と訴別はえ訴る係に求請的備予と併る却さ断判とるあで法適不が合下 12がが場るれさ断判とるあで法適不合、併的備予的観主てっよに所判裁合訴みはのえ訴る係に求請的備予、くなでえのるれさ下却法適不が体全起提)  13つ注掲前・村西、ばえ例、ていに) 成構律法の合併的位順的観主(

(にの判決を求める順序を示す過認ぎないとされ、福永・前掲注容 9けれは告被各、ばよ位に下以頁五六並的はの)請求付位順そな、りあでのも、

(さの局結、でのるなもにとこる却こ棄が求請の位順一第、はに合とれろか順注掲前(るじ生が疑ういと問いが位けに意味づなのではない 順合に、第二求位の請が棄却る場確れ順れかに、第一位さの請求が認容さある、の場るれさ認が求請の位順二第容にがは逆当然るで、れうばであそ 必ずしもら明かはでな、の点ういと、かるきでがよいもうなこ、ばらなるあでのいしに立両が求請各。るれわ思とるる判すことを裁、所に﹁強制﹂ 求二順位の請認にいて棄却判、第がに合場るれさ容を求請の位順一第決つすての請求につい請順求棄却る決す位判二、こ第とあるがになぜそこ、で 副求棄却、請位﹀求認容位と請一主、︿しと位順第を決判ういとう﹀いこ判と棄は目眼の態形合併の。るれさる決あで態形合併るすと位順二第を却 10求裁五八頁によれば、原告の求める判請請位副、容認求位内主、︿てしと容)

。との請求の放棄を承認するか、きいなるれわ思るとに題問が点たっ の、第一順位を請求認容判決るかをす認承らか面正能権の告原なう止停条件し件条なうよのそ、でえうたし直付成位構する第二順との求の放棄請と おについてなが検討必要であるか当きをよ制する権能正で化することがる主う性にのこ、はてし際にるす論議をよ法の合併的位順的観思。るれわ適 考あとるらえ放れるので、の棄で求もとを決求めるこはの、請の放棄そ判いの原強を決判却棄制請に所判裁が告求、現て度を採なら行法の下におい 、とする。しかし却原告が請求の棄れるさて原、に中の付位順の告、求はいつに点ういと出請けのの見が志意)棄棄放求請の種(るめ求を決判却一 づ、なお順位あけの意味が点るに第る決す求棄却の判をきすることがでと却ると判決を。るこがすできるのか、るすし二そ棄て、なぜ順位の請求を 以位下は、主一的被告が自白ま頁求六九は法Ⅰ﹄(一九八一年)一四一、た容欠第席の位順二第・認請の位順一請、拠しに場合、証たべを要ずせ調 点判八日の参旨も照)。この月二平二一年二二成判地京東たし用つ引に竹い夫い訟訴事民新座講﹃編功井今=守て下﹂訟訴者事当数多﹁弘本山、て 11おに)

(12)

(   )訴えの主観的予備的併合の許否についての覚書同志社法学 六六巻三号三一六〇七

三   予 備 的 被 告 の 不 利 益 と 主 観 的 予 備 的 併 合 の 許 容 要 件

⑴  昭和四三年最判とその後の下級審裁判例

  主 観 的 予 備 的 併 合 の 許 否 に つ い て は 、 当 初 下 級 審 で 判 断 が 分 か れ て い た と こ ろ

₁₄

、 周 知 の 通 り 、 最 判 昭 和 四 三 年 三 月 八 日 ( 民 集 二 二 巻 三 号 五 五 一 頁 。 以 下 、﹁ 昭 和 四 三 年 最 判 ﹂ と 呼 ぶ )

₁₅

に よ っ て 、 原 則 と し て 不 適 法 で あ る と す る 立 場 が 示 さ れ た 。 も っ と も 、 昭 和 四 三 年 最 判 は 、 原 審 の 判 断 は 正 当 で あ る と 述 べ る に と ど ま り 、 そ の 理 由 を 明 示 し て い な い が 、 そ こ で 正 当 で あ る と さ れ た 原 審 判 決 ( 東 京 高 判 昭 和 四 二 年 七 月 四 日 ) は 、 主 観 的 予 備 的 併 合 を 不 適 法 と す る 理 由 を 、 次 の よ う に 述 べ て い た 。

。﹂ し し と 訴 付 件 条 は て 体 不 自 れ そ と る す 離 分 て と 適 ば 法 る あ で の い ら な な ね わ い と る な に の も な さ 形 式 は 許 も れ な い の 訴 訟 も る か か 、 ら か る あ で の る 解 と 的 す 合 を れ こ は 求 請 備 予 た れ る さ 併 も か し 、 り あ で 当 相 が の 護 す 偏 に 保 け の 著 上 訴 応 、 て つ あ で わ く る な と と こ る よ に ん し 不 い れ 告 原 、 り な に と こ る か 安 置 に 位 地 な 益 利 不 、 定 か   ﹁ 予 者 求 請 の そ は て つ と に た 当 れ さ と 告 被 の 求 請 的 備 の ⋮ 否 否 果 の 訟 訴 の 間 人 他 は か か に る れ さ な が 判 裁 の て い つ 結   と こ ろ が 、 昭 和 四 三 年 最 判 に よ っ て 主 観 的 予 備 的 併 合 を 原 則 と し て 不 適 法 と す る 立 場 が 示 さ れ た 後 も 、 下 級 審 裁 判 例 に お い て は 、 右 に 引 用 し た 理 由 付 け を 前 提 と し つ つ も 、 結 論 と し て は 主 観 的 予 備 的 併 合 を 適 法 と す る 例 が 散 見 さ れ る こ と と な る

₁₆

。 そ の 一 つ の 例 と し て 、 東 京 高 判 昭 和 四 七 年 二 月 一 七 日 ( 高 民 集 二 五 巻 一 号 八 三 頁 )

₁₇

は 、 次 の よ う に 判 示 し た 。

(13)

(   )同志社法学 六六巻三号三二訴えの主観的予備的併合の許否についての覚書六〇八

。﹂ 解 こ 、 り あ で き べ す る よ れ さ 許 は 合 併 右 は に の と う 反 に る え 考 と の い な し も 例 判 右 は と こ る す に 解 を 不 被 告 が 益 当 に 不 利 て も 主 れ さ 合 併 に 的 備 予 的 観 が け 受 ら ず 不 合 場 る れ め 認 と い な 得 を む や も て れ か 置 に 場 立 な 定 安 り 求 請 よ た め 益 利 不 と 安 不 に 当 不 に 強 る あ に 場 立 の 的 備 予 が を い 被 る 情 事 の 般 諸 故 れ そ 。 れ ら さ 解 と る あ で ら か る れ 告   ﹁ 三 最 和 昭 廷 法 小 二 第 裁 高 法( 主 適 不 が 訟 訴 的 備 予 的 観 四 ⋮ 年 五 は 由 理 る れ さ )と 頁 一 五 号 三 三 巻 二 二 集 民 決 判 日 八 月 、   こ の よ う に 述 べ た う え で 、 右 高 裁 判 決 は 、 主 観 的 予 備 的 請 求 を 併 合 さ れ た 被 告 ら は 、 当 初 か ら 同 一 土 地 の 明 渡 し と い う 関 連 す る 訴 訟 の 共 同 被 告 と さ れ て い る こ と を 理 由 と し て 、 別 訴 を 提 起 さ れ る の と 比 べ て 、 特 段 の 不 利 益 を 受 け 、 不 当 に 不 安 定 な 地 位 に 置 か れ た と 認 め る べ き で は な い と し て 、 主 観 的 予 備 的 併 合 を 許 容 し た 。

  右 高 裁 判 決 に 代 表 さ れ る よ う に 、 昭 和 四 三 年 最 判 以 降 の 裁 判 例 の 基 本 的 立 場 は 、 主 観 的 予 備 的 併 合 を 原 則 的 と し て 不 適 法 と し な が ら も 、 予 備 的 請 求 の 被 告 が 著 し く 不 安 定 ・ 不 利 益 な 地 位 に 置 か れ な い ( あ る い は 置 か れ て も や む を 得 な い ) と 認 め ら れ る 場 合 に は 、 一 定 の 例 外 を 認 め て 許 容 す る と い う も の で あ っ た 。 こ の よ う な 立 場 は 、 近 時 の 裁 判 例 ( 前 掲 注 ( 3 ) の 裁 判 例 ① な ど ) を 見 る 限 り 、 現 在 も 維 持 さ れ て い る よ う に 見 受 け ら れ る 。 こ れ ら を 要 す る に 、 主 観 的 予 備 的 併 合 が 許 容 さ れ る 場 合 と は 、 そ も そ も 被 告 側 に 不 安 定 ・ 不 利 益 が ま っ た く 存 在 し な い 場 合 か 、 仮 に 被 告 側 に 不 安 定 ・ 不 利 益 が 存 在 す る と し て も 、 そ れ が 正 当 化 さ れ る 別 の 事 情 の あ る 場 合 で あ る と い う こ と が 一 応 可 能 と な る 。 後 者 の 場 合 に つ い て は 、 し ば し ば 原 告 側 の 利 益 な い し 必 要 性 と の 利 益 衡 量 が 問 題 と さ れ る こ と か ら 、 主 観 的 予 備 的 併 合 の 許 否 の 判 断 枠 組 み に お い て 、 原 告 側 の 利 益 を ど の よ う に 位 置 づ け る べ き か に つ い て 次 に 検 討 す る 。

(14)

(   )訴えの主観的予備的併合の許否についての覚書同志社法学 六六巻三号三三六〇九 ⑵  原告側の利益ないし必要性の位置づけ

  被 告 側 の 主 観 的 予 備 的 併 合 に せ よ 、 原 告 側 の 主 観 的 予 備 的 併 合 に せ よ 、 主 観 的 予 備 的 併 合 の 形 態 を 選 択 す る の は 原 告 側 で あ り 、 そ の 目 的 は 、( 上 訴 と の 関 係 で そ れ を ど こ ま で 貫 徹 で き る か は と も か く と し て ) 原 告 側 の 両 負 け 防 止 に あ る と さ れ る 。 す な わ ち 、 被 告 側 の 主 観 的 予 備 的 併 合 の 場 合 に は 、 原 告 が 主 位 的 被 告 に も 予 備 的 被 告 に も 敗 訴 す る こ と を 避 け る こ と を 目 的 と し 、 原 告 側 の 主 観 的 予 備 的 併 合 の 場 合 に は 、 主 位 的 原 告 も 予 備 的 原 告 も 被 告 に 敗 訴 す る こ と を 避 け る こ と を 目 的 と す る 。 も っ と も 、 訴 訟 告 知 ( 民 訴 法 五 三 条 ) を 活 用 す る こ と に よ っ て 、 両 負 け の 防 止 は 達 成 可 能 で あ る た め 主 観 的 予 備 的 併 合 は 不 要 で あ る と い う 議 論

₁₈

に も 見 ら れ る よ う に 、 両 負 け 防 止 を 判 決 効 に よ っ て 達 成 す る 方 向 性 も あ り 得 る の で 、 主 観 的 予 備 的 併 合 を 許 容 す る こ と が 、 原 告 側 の 両 負 け を 防 止 す る た め の 唯 一 の 手 段 で は な い 。 そ こ で 、 原 告 側 に と っ て の 主 観 的 予 備 的 併 合 に よ る こ と の 固 有 の メ リ ッ ト と は 、 併 合 審 理 に よ る 一 回 の 訴 訟 に よ っ て 、 第 二 の 訴 訟 を 提 起 す る 必 要 な し に 両 負 け を 防 止 す る こ と に あ る と 説 明 さ れ る こ と と な る

₁₉

  し か し 、 こ の よ う な 主 観 的 予 備 的 併 合 を 通 じ て 達 成 さ れ る 原 告 側 の 利 益 は 、 保 護 さ れ る に 値 す る 利 益 と 言 え る で あ ろ う か 。 主 観 的 予 備 的 併 合 が 許 容 さ れ ず に 個 別 に 訴 訟 が 行 わ れ 、 仮 に そ こ で 両 負 け す る 結 果 に な っ た と し て も 、 原 告 側 は 、 そ れ ぞ れ の 請 求 に つ い て 、 そ れ ぞ れ の 訴 訟 の 場 に お い て 、 弁 論 の 機 会 が 十 分 に 保 障 さ れ て い た と 見 る こ と が で き る は ず で あ る 。 そ れ に も か か わ ら ず 両 方 と も に 敗 訴 し た な ら ば 、 そ れ は 自 己 の 訴 訟 追 行 の 結 果 と し て 、 原 告 側 は 甘 受 す べ き で あ る と も 言 え る 。 確 か に 、 実 体 的 に は

00000

ど ち ら か に 勝 訴 で き る は ず で あ る 原 告 側 が 、 そ の 訴 訟 追 行 ( お よ び そ れ を 受 け て の 裁 判 所 の 認 定

₂₀

) 次 第 で 両 負 け し て し ま う こ と は 、 実 体 的 正 義 に 反 す る 結 果 と な る 。 し か し 、 こ れ を 理 由 に 原 告 側 を 救 済 す る 目 的 で 、 主 観 的 予 備 的 併 合 が 許 容 さ れ る べ き と い う 価 値 判 断 を 行 う こ と は 、 原 告 側 に 対 す る パ タ ー ナ リ ス テ ィ ッ ク な 配 慮 に ほ か な ら な い

₂₁

。 個 別 の 訴 訟 を 提 起 す る こ と が で き 、 そ こ で 主 張 立 証 の 機 会 が 保 障 さ れ て い る 原 告 側 に 、 こ れ

(15)

(   )同志社法学 六六巻三号三四訴えの主観的予備的併合の許否についての覚書六一〇

を 超 え て 、 併 合 に よ っ て 両 負 け の 危 険 を 回 避 す る こ と ま で を も 保 障 す る こ と は 、 原 告 側 に ﹁ 便 宜 ﹂

₂₂

を 与 え る 程 度 の も の に 過 ぎ ず 、 被 告 側 に 何 ら か の 不 利 益 を 課 し て ま で 保 護 す る に 値 す る 利 益 で は な い 。 し た が っ て 、 主 観 的 予 備 的 併 合 を 許 容 す る こ と が 、 原 告 側 に と っ て 、 ど の 程 度 の 利 益 や 必 要 性 ( こ こ に は 他 の 代 替 手 段 が 存 在 す る か 、 と い っ た 問 題 も 含 ま れ る ) が あ る の か と い う 考 慮 は 、 主 観 的 予 備 的 併 合 の 許 否 の 判 断 に と っ て は 本 質 的 な も の で な く 、 原 則 と し て 不 要 で あ る 。 ま た 逆 に 、 仮 に 主 観 的 予 備 的 併 合 が 原 告 に と っ て さ ほ ど 利 益 の あ る も の で な い 、 あ る い は 他 の 手 段 ( 例 え ば 、 同 時 審 判 申 出 共 同 訴 訟 や 主 観 的 順 位 的 併 合 ) に よ っ て そ の 目 的 を 十 分 に 達 成 し 得 る 場 合 で あ っ て も 、 主 観 的 予 備 的 併 合 が 被 告 に 不 利 益 を 与 え な い 限 り 、 こ れ を 不 適 法 と す る 理 由 は 、 処 分 権 主 義 の 観 点 か ら 見 出 す こ と が で き な い と 思 わ れ る 。 主 観 的 予 備 的 併 合 の 許 否 の 問 題 は 、 被 告 側 の 不 利 益 の 問 題 を 中 心 に 考 察 さ れ る べ き で あ る 。

⑶  予備的被告の不利益――当事者権の保障の観点から

  被 告 側 の 不 利 益 、 す な わ ち 、 被 告 側 の 主 観 的 予 備 的 併 合 の 場 合 の 予 備 的 被 告 、 ま た は 原 告 側 の 主 観 的 予 備 的 併 合 の 場 合 の 予 備 的 原 告 の 請 求 に 対 す る 被 告

₂₃

( 以 下 で は 、 煩 雑 さ を 避 け る た め 、 単 に ﹁ 予 備 的 被 告 ﹂ と 呼 び 、 被 告 側 の 主 観 的 予 備 的 併 合 を 念 頭 に 置 い て 議 論 す る こ と に す る ) の 不 利 益 と は 、 本 章 の ⑴ に お い て 見 た よ う に 、 そ の 地 位 の 不 安 定 ・ 不 利 益 と さ れ る 。 そ の 内 容 と し て 、 か つ て は 、 審 理 中 の 予 備 的 被 告 の 不 安 定 ・ 不 利 益 と し て 、﹁ い つ 自 己 に 対 す る 請 求 の 審 判 に は い る か に つ い て 何 ら 保 障 は な い か ら 終 始 弁 論 に 関 与 し て い な け れ ば な ら な い し 、 主 た る 被 告 に 対 す る 請 求 が 審 理 さ れ て い る 間 は 、 当 事 者 と し て は ほ と ん ど 何 も で き な い こ と に な る 。﹂

₂₄

と い う こ と も 指 摘 さ れ て い た が 、 現 在 で は 、 こ の 点 を 問 題 視 す る 見 解 は 少 な い 。 な ぜ な ら 、 主 位 的 請 求 と 予 備 的 請 求 と が 法 律 上 両 立 し 得 な い 請 求 で あ れ ば 、 両 請 求 は 裏 表 一 体 の も の な の で 、 審 理 も 一 体 と し て な さ れ る べ き

₂₅

だ か ら で あ り 、 さ ら に 、 両 立 関 係 の 如 何 に か か わ ら ず 、 予 備 的

(16)

(   )訴えの主観的予備的併合の許否についての覚書同志社法学 六六巻三号三五六一一

被 告 に 対 し て も 訴 訟 係 属 が 発 生 し て い る 以 上 、 予 備 的 請 求 に 対 す る 防 御 方 法 を 予 備 的 被 告 が 予 め 提 出 す る こ と は 妨 げ ら れ な い は ず だ か ら で あ る 。 審 理 中 の 予 備 的 被 告 の 不 安 定 ・ 不 利 益 が あ る と す れ ば 、 審 理 に 関 与 で き な い こ と で は な く 、 む し ろ 、 自 己 に 対 す る 判 決 が 下 さ れ る の か 下 さ れ な い の か 不 明 な 状 態 で 、 審 理 に 関 与 せ ざ る を 得 な い こ と に あ る

₂₆

  こ の 予 備 的 被 告 に 対 す る 請 求 棄 却 判 決 の 不 存 在 の 問 題 は 、 予 備 的 被 告 の 不 利 益 ・ 不 安 定 と し て 、 最 も 問 題 視 さ れ る も の で あ る と こ ろ 、 こ こ か ら 生 じ る 不 利 益 と は 、 具 体 的 に は 、 主 位 的 被 告 に 対 す る 執 行 が 効 を 奏 さ な か っ た 原 告 か ら 、 予 備 的 被 告 に 対 し て 再 訴 が 提 起 さ れ る お そ れ と し て 理 解 さ れ て い る 。 し か し 、 こ の よ う な 再 訴 の 危 険 に 関 し て は 、 再 訴 が 提 起 さ れ る こ と は 現 実 に は 極 め て 稀 で あ る

₂₇

と も 言 い 得 る し 、 争 点 効 や 信 義 則 等 に よ っ て 再 訴 を 封 じ る 方 向

₂₈

に よ る 対 応 も 考 え ら れ る こ と か ら 、 そ の 危 険 の 程 度 は 事 件 ご と に 異 な る 。 そ う す る と 、 当 該 事 案 ご と の 判 断 が 必 要 に な る が 、 予 備 的 被 告 の 地 位 の 不 安 定 ・ 不 利 益 の 程 度 を 考 慮 す る に 際 し て 、 将 来 の 再 訴 提 起 の 可 能 性 が ど の 程 度 あ る の か を 予 測 す る こ と や 、 再 訴 が 提 起 さ れ た 場 合 の 裁 判 所 の 回 顧 的 判 断 の 内 容 ( そ こ で 争 点 効 や 信 義 則 が 適 用 さ れ る か ) を 予 測 す る こ と は 、 本 案 審 理 の 結 果 や そ こ に 至 る ま で の 当 事 者 の 訴 訟 追 行 の 態 様 を も 取 り 込 ん で 考 慮 す る こ と に な り 、こ の こ と は 、次 章( 四 ) で 述 べ る 通 り 、 予 備 的 被 告 を 早 期 に 訴 訟 か ら 解 放 す る こ と と の 関 係 に お い て 問 題 と な る 。 そ こ で 、 古 く か ら 指 摘 さ れ て い る

₂₉

よ う に 、 予 備 的 被 告 の 不 利 益 と は 、 同 意 な し に 訴 訟 係 属 を 消 滅 さ せ ら れ る こ と そ の も の で あ る と 、 抽 象 的 に 捉 え ざ る を 得 ず 、 ま た そ れ で 足 り る の で は な い か と 考 え る 。 す な わ ち 、 訴 え の 取 下 げ に 被 告 の 同 意 が い る こ と ( 民 訴 法 二 六 一 条 二 項 ) か ら 、 原 告 に よ っ て 溯 及 的 に 訴 訟 係 属 が 消 滅 さ せ ら れ る こ と を 阻 止 す る 手 続 上 の 権 利

₃₀

が 、 被 告 に 付 与 さ れ て い る と 理 解 す れ ば 、 主 観 的 予 備 的 併 合 と は 、 こ の よ う な 権 利 の 侵 害 を 潜 在 的 に 有 し て い る 併 合 形 態 で あ る と 見 る こ と が で き る 。 こ の 取 下 げ を 阻 止 す る 被 告 の 権 利 が 具 体 的 な 再 訴 の 可 能 性 と 直 接 に 関 係 し な い こ と は 、 訴 え 取 下 げ に よ る 再 訴 禁 止 ( 民 訴 法 二 六 二 条 二 項 ) の 効 力 が 生 じ る 控 訴 審 に お い て も 、 被 告 の 同 意 が 要 求 さ れ て い る こ と か ら 見 て と れ る

₃₁

。 こ の

(17)

(   )同志社法学 六六巻三号三六訴えの主観的予備的併合の許否についての覚書六一二

意 味 で 、 主 観 的 予 備 的 併 合 と は 、 抽 象 的 に は 、 常 に 被 告 側 の 当 事 者 権 の 侵 害 と い う 不 利 益 を 伴 っ て い る 併 合 形 態 な の で あ る 。

⑷  主観的予備的併合が許容される要件

  右 に 述 べ た よ う に 、 主 観 的 予 備 的 併 合 が 予 備 的 被 告 の 当 事 者 権 の 侵 害 で あ り 、 訴 え の 取 下 げ の 際 の 規 律 を 参 照 す る な ら ば 、 こ の よ う な 予 備 的 被 告 の 不 利 益 が 正 当 化 さ れ る 場 合 と は 、 自 ず と 予 備 的 被 告 の 同 意 が あ る 場 合 に 限 ら れ る こ と を 原 則 と す べ き と い う こ と に な る 。 こ の よ う な 予 備 的 被 告 の 同 意 が あ る 場 合 に 主 観 的 予 備 的 併 合 を 許 容 す る と い う 考 え 方 は 、 従 来 か ら も 、 そ れ ほ ど 抵 抗 な く 多 く の 論 者 に 受 け 入 れ ら れ て い た

₃₂

と 推 測 さ れ る が 、 こ れ ま で の 議 論 は 、 予 備 的 被 告 の 同 意 が な い 場 合 を 主 に 念 頭 に 置 い て 、 そ の 許 容 性 を 検 討 す る も の が 中 心 で あ っ た 。 こ の よ う な 議 論 状 況 の 中 で 、 本 稿 は 、 改 め て 予 備 的 被 告 の 同 意 を 基 本 に 据 え る こ と が 妥 当 で あ る の で は な い か と 提 言 す る も の で あ る 。 も っ と も 、 予 備 的 被 告 の 同 意 が 要 件 で あ る と し た 場 合 で も 、 例 え ば 、 被 告 側 の 原 因 で 原 告 側 が 被 告 を 特 定 す る こ と が 困 難 と な っ た 事 例 に つ い て 、 信 義 則 上 、 予 備 的 被 告 は 同 意 を 拒 絶 で き な い と い っ た 解 釈 を 加 え る 等 の 修 正 が 施 さ れ る の で あ れ ば 、 結 論 的 に は 、 従 来 の 見 解 と の 間 で そ れ ほ ど の 差 異 は な い こ と に な ろ う 。 し か し 、 主 観 的 予 備 的 併 合 の 許 否 の 問 題 に お い て 、 予 備 的 被 告 の 同 意 の 有 無 を 基 本 に 据 え る こ と は 、 次 章 ( 四 ) で 述 べ る 通 り 、 そ の 判 断 の 時 期 な い し 手 続 と の 関 係 に お い て 、 な お 一 定 の 意 義 を 有 す る と 考 え る 。

  ま た 、 主 観 的 予 備 的 併 合 が 許 容 さ れ る こ と に よ っ て 、 そ の 同 意 な し に 訴 訟 係 属 を 消 滅 さ せ ら れ る 予 備 的 被 告 の 不 利 益 は 、 主 位 的 請 求 が 認 容 さ れ る 場 合 に 限 っ て 生 じ る も の で あ り 、 そ の 不 利 益 は 可 能 性 に と ど ま る に 過 ぎ な い 。 そ う す る と 、 右 の 予 備 的 被 告 の 同 意 の 有 無 は 、 そ の 不 利 益 が 発 生 す る こ と の 確 定 す る 主 位 的 請 求 認 容 時 に お い て 初 め て 問 題 と さ れ る

(18)

(   )訴えの主観的予備的併合の許否についての覚書同志社法学 六六巻三号三七六一三

こ と に な る の で は な い か 、 と い う 疑 問 も 生 じ 得 る 。 し か し 、 本 稿 で は 、 そ の よ う に 考 え ず 、 主 観 的 予 備 的 併 合 に よ っ て 訴 え が 提 起 さ れ る こ と 自 体 に よ っ て 、 抽 象 的 に そ の 不 利 益 が 発 生 し て い る と 見 る べ き と 考 え る 。 な ぜ そ の よ う に 考 え ざ る を 得 な い か と い う こ と も 、 次 に 述 べ る 主 観 的 予 備 的 併 合 の 許 否 の 判 断 の 時 期 な い し 手 続 の 問 題 と な る 。

(は例の介として紹、田・前掲注中 東七五頁)、昭京高判和巻九月八集民下(日二二二五年二三三民年四判裁のられこ。るあが)頁九七二一巻八集昭下(日八一月和判阜岐、てしと地 14(〇月二四日一下民集年巻一一昭五二和七判地京東、てしと例定肯六) 七(例定否)、頁二六五巻〇一集民高日頁九二月一一年二三和昭判高広)、島

( 以一、一五四頁下一などが詳しい。五 6︺総七〇年)究研例判合﹁︹一美廣谷納、下以頁〇五九(訴合の主観的・予備的併﹂号法律)叢四三巻二・三論 15) 事例は、Xが

Y訟地土件本、ろことたし起提を訴るめ求を記登転移てしと告被をが1

Yたよにけ受引訟訴、めたれさ記登転移、渡譲にり2

、記にもととるめ求を登転移、てし Yと告被を2

Yをを。るあでのもため求償予害損てしと告被的備賠1

( 。いし詳がど 的﹁主観的予考併合再藤﹂東北哲以齋、下院頁二七、五六)年五九九学備大、八年)一八四一〇七四頁学下な〇以二究(法政治学研学所要一六紀号 的併的備予の観主え訴の﹁合学再検討﹂桐蔭法二巻一号(一孝史股章事第座講法訟訴民巻務実・新﹃編三﹄(月、、下以頁二三七一二)年二八九猪 16昭はあが介紹るよに献文のく多、て和。いつに例判の降以判最年三四る) 例併个三=一忠木鈴﹂囲範容許の合備え予的観主のえ訴﹁文武辺渡、ば的 17) 事例は、Xが

Yらと1

Yを被告として、2

Y去め求をし渡明地土収物建はてし対にら、1

Y土め求をし渡明地去退物建はてし対に、2

が、める訴訟を提起し当を該増築部分の所有者求し物該明去収の分部築増の渡建 Y当、てしと告被を2

Yでなく2

Yに的備予、え備合場たっあでらに1

( 合えを追加的に併しるたものである。訴めをし渡明地土去収求 Y告らを被物として建1

( て効力の発生・囲をめぐっ範はこ議。るあでろとるあの論 四っ項)によ理て、原告は代三条場五参ったに合でも加法的効力(民訴人に対も的加参の合場たすかなし加参、っとでっる訴訟訴勝きるとする。も 四的効力(民訴法か六条)、参加しな参加は代訟三五法訴民(知告訴一に人理合、ていおに条項訴な場たしを加参、ばらた)し訴敗が告原、しを訟 18木要題問正改法訟訴事民﹃同﹂論不川合併的備予一的観主﹁郎一統﹄() 九えるす対に人本、はでの理代、ば例九。下以頁七一二、七〇二)年二例 19) 例えば、渡辺・前掲注(

16)三〇頁、福永・前掲注(

10古中野貞一郎先生稀合祝賀﹃判例民事訴﹂併)憲五七頁、河野正﹁的訴えの主観的予備訟

(19)

(   )同志社法学 六六巻三号三八訴えの主観的予備的併合の許否についての覚書六一四

法の理論(上)﹄(一九九五年)五〇七、五二二頁など、共通の認識となっている。(

(問ても良いのか、という題わはある(瀧川・前掲注せ 20い一原告側に負てし出提を料資の同クは側告原、ていおに訟訴の個別をスるなにもかかわらず、裁判所が相異るリ判断) して、両負けした場合のを

(さいならなばれけなれ化由に別特みのに合場のこ理強は。見注掲前・辺、おな渡るれわ思にうよい難し出 はあで分十救てしと済の、り済誤判に対する予防的な救が告側原の過はていつに誤ば上断判のそ、ずぎ、訴に与れいてれらえがに会機の正是るよ過 5どしも合場のこ、か一し)。照参頁七一、)ち実いてっ誤に的体がら断判の所判裁のかる

16)四〇頁も参照。

( 四民事訴訟雑誌五〇号(二〇〇年ム)九〇、一〇九頁以下参照。﹂ 21木す、はていつに拠論な的定否る対ーにムズリナータパるよに所判裁三キ浩判一﹁日本の民事訴訟における裁) スおよび弁護士の役割と非制裁型官

( め制度利用者側が決のる題であるとする。問 、く、またに何が原告難し理はとこるす繹演らか念っの等と終て上や会社、くなはで証論の釈便解に的目最、はかるあで宜的訟訴一、は下以頁七七 22るあ的でのもるす関に更変告被つ意位原告の便宜の置任づけに、き、が) 上誌、一七一)年四一〇二(号〇六雑田事竹志﹁意的当者訟変更﹂民事訴任

)。そは想定し難いた、再訴のおめれ得のろあでるうりな異は度程 の主位的原告効執行がしを奏さ、論だら理か的には何変たわりがない(な、っ告態事たっいとるた起提を訟訴にす被的の場合に備予原告が再度同一 の合の予備的被告と地位の不安定さ、の場合とで定安不の位地のそ、味不意うい併いなれさ下・利決被的備予的観主の側告、益は点のこ。るじ生がが 23原お告原的備予、は告被、もていに告合場の合併的請備予的観主の側の) 求主判はに合場るれさ容が求請的位、ともてしとたし訴応、はで係関の認     また、右のように考えるならば、主観的予備的併合だけでなく、訴えの客観的予備的併合の場合にも同様のことが言えることとなる。通常、訴えの客観的予備的併合については、その適法性が問題視されることはほとんどないが、本稿で考察の基礎に置く、訴訟係属を原告の意思だけで消滅することを阻止する予備的請求に係る被告の権利は、訴えの客観的予備的併合の場合の予備的請求に対しても、同様に保障されるべき権利であると考えられる。訴えの客観的予備的併合の場合は、原告・被告が同一のため、主位的請求の執行が効を奏さなかった場合に再訴が提起されるといった場面が一層想定し難いため、通常、問題は顕在化しないが、訴訟係属の消滅を阻止する被告の権利を侵害するという意味では、本質的に同一の構造である。この点につき、中田・前掲注(

。よ余地があるうに思われる るしないとす観が、訴えの客を有け益利的観客の備だるめ求を決判却的予的は律に服す必併なのいか、再考の規要様も同合につてい、主観的併合と 求告は予備的請棄についても請求、被く関過が求請的位主、ずぎに容異差の成構的律法る認さなががげ妨て見とたっあ決れ解の体全争紛、り限るす 6に告訟訴の間告被一同・原は一同、は下以頁三六で、益質利活生の一同はに的実主、は求請的備予・的位)

(20)

(   )訴えの主観的予備的併合の許否についての覚書同志社法学 六六巻三号三九六一五 (

24三二版︺﹄(一九九年第)二六五頁。三﹀︹个訟月章﹃民事訴法) ︿法律学講座双書 25) 高橋・前掲注(

2お注掲前・田中、な)。下以頁二九三(

( る。るすといなで当妥はとこ 6上の限す揮指訟訴所に判裁、は頁〇六制みの論処分として、弁をの)ず主位的請求先 26) さらに、井上・前掲注(

( 典かれこ﹃編かほ治の上井﹂合併的備ら予民年。照参頁三二)六四法八訟訴﹄(一九事 る位とるあで題問主す関に任責定特体づ置上け﹁紛的観主のえ訴和る善佐、てしとのも争のの。利益として問題視する主告観的予備的併合を、原不 10一対由理立申たし散拡が点焦二で定確不の告原、は頁に)しけ告被をとこいならなばれなていてし答応が告被的備予か 27) 井上・前掲注(

10)一二頁など。 28し注掲前・橋高、てと) のもるよに効点争(

2の注掲前・辺渡、てしとも)るよに言反禁、頁三九三(

(る注掲前・谷納、てしとのも 16二止四二頁、再訴禁(項二六二条よに))

14)一八四頁がある。

( で備的併は不適法合あとしていた。る 訟ような訴てについはれる訴らせさ滅消を属係訟そにしな、わので予的観主、にえゆがいなきが者とこるせ同負を任責訴応に意の自、は頁八四二己 29一〇巻二号()九三〇年報一四合新の江口新﹁請求予学備的併一﹂法、) 一座、三一二)年四五九一(巻一第講頁の、野繁﹁請求併法合﹂民事訴訟間

( 五]己克本山[頁八一、)年〇一〇二(︺﹄二は版対原。るすとるす立に則反の対器武の間者事等当 決却判機を得る棄な求請が告被的備、予おが会ほな編い第︹Ⅰ法事民﹃かい薫田、鎌ていつにとこ。た主け権え義から基礎づる処ことができると考分 30取のえ訴。るあでは題問のつ一権か利このようなげがる、何に由来す下) は取も限権の告被るす否拒をげ下りの原え訴、ののもあで為行独単の告る 31) 高田・前掲注(

旧るれしもかるきではとこるす明と得いりな異は者両でのいさ小りよはな説がの、もてっあで合場の更変的換交、えら訴稿の立場か本はそもそも、 くしても、請礎求の基を同じたと求れらげ下り取が請旧、は場の更るす合新る請益不の告被、でのいなもとこ利す訴滅が求存在し、訟係属自体が消 な。のよう常理解を、通示のすあを不告えの同意が要解でるという見訴このと取変換交のえ訴。るなと題問が的こしげ下まで及うぼて良いか、とい おいて旧訴ての取下に対しにあ人告上、らかるでのるなととでまい異得る被はで審訴控、てしと﹂るい議とのもいなは要必るめどとをこ得果結のを の用、そ訴訟費上も被ら告の負ずのなみにるなととこいな得し起提を担人帰判殆んどせ訴の決即を得たと同一時勝はでし人られるのめあ告て、上つ る訴の取下でたあつとすればおけ決に判民既に第一審を審経た後の控訴、七訴の二訴一同は人告上被りよに定規の︺現項条二項︹三行二六二条法二 係求の訴訟滅属を消される請た付旧、え捉と加の求請新を更変のにめ)は必訴に殊、﹁に提前をとこるあで要が訴棄放の求請はたま(げ下取のええ 2、の例事るす関に更変的換交えあ訴、しだた。照参頁二八一でるは()頁四七三号二巻一一集民日が八二月二年二三和昭判最、)

参照

関連したドキュメント

熊 EL-57m 本坑の6.8,,730mx1条 -0.3% 防波堤 -- ̄ --- -8.0% 80N 111. x2条 24m

 TABLE I~Iv, Fig.2,3に今回検討した試料についての

一丁  報一 生餌縦  鯉D 薬欲,  U 学即ト  ㎞8 雑Z(  a-  鵠99

父母は70歳代である。b氏も2010年まで結婚して

 中国では漢方の流布とは別に,古くから各地域でそれぞれ固有の生薬を開発し利用してきた.なかでも現在の四川

16)a)最内コルク層の径と根の径は各横切面で最大径とそれに直交する径の平均値を示す.また最内コルク層輪の

[r]

部を観察したところ,3.5〜13.4% に咽頭癌を指摘 し得たという報告もある 5‒7)