富山大学教育学部紀要A(文科系) No..49: 17‑25 (平成9年)
ヴァージナルの為の「爪」
松本 消
(1996年4月26日受理)
" V i r g e " f i i r V i r g e n a l
K i y o s h i MATSUMOTO
作品について
1995年11月に初演。プログラムノートには次の ように記した。
「この作品は本日の演奏会の為に作曲したもので,
ヴァージナルの語源とも言われる Virgeという単 語に掛けて「爪」という題名をつけた。余韻の短 いこの楽器で演奏しうる音形はかなり限定されて しまうが,ヴァージナリスト達が開発した様々な 音楽的技法を基本にしながら,彼らが用いなかっ た純正でない音程を混入させることで, 400年 前 には聴くことのできなかった音を響かせる。一方 ではルネッサンス音楽の基本である模倣と変奏の 技法を継承することで,楽器と作品の融合を図ろ
うとした」
現代のチェンバロ作品は2段鍵盤の大型のチェ ンバロを想定して作曲されることが多いが,今回 はミーントーン(中全音律)に調律したミューゼ
譜例1
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譜例2
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ラータイプのヴァージナルで演奏することを前提 に, 4オクターヴの限られた音域と純正に近い和 音を最大限に活用する目的で作曲した。演奏に用 いたリュッカース1581年製ミューゼラーのスティー ヴンソンによる複製楽器は, F C3の44鍵 に 加 え て独立したCと分割された2つのシャープキーに 割り当てられた D•E の 3 鍵を持つもので,普段 はもっばら様々なヴァージナルブックの演奏に用 いているものである。また, ミーントーンはアロ ンのものを用いており,純正長3度を含んだ三和 音は譜例1の通りで,これらは平均律のものと比 較するとはるかに透明で落ち着いた響きを持つ。
また,短3度は平均律より広めに設定されるため,
譜例2に示す短三和音は明るい響きとなっている。
これらの和音を均等に用いようとすると,必然的 にモード的な扱いとなり,近代の作曲家達が新し い響きとして求めたものの正体を見ることが出来 るのではなかろうか。
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ヴァージナルのための「爪」
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ファンファーレ
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ヴァージナルの為の「爪」
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愛の歌
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ヴァージナルの為の「爪」
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ヴァージナルの為の「爪」
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