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預言者とその教団の比較宗教社会学的研究 : 古代ユダヤ教・原始キリスト教・大本教の比較事例分析

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Academic year: 2021

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預言者とその教団の比較宗教社会学的研究

―古代ユダヤ教・原始キリスト教・大本教の比較事例分析―

川上周三

A Study of the Comparative Sociology of Religion as to Prophet and the Religious

Community : the Comparative cases analysis of Ancient Judaism,

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組織を批判する標語としてエスタブリッシュメント支配 批判が盛んに行われたが、これを組織論的に表現したも の が、「ゼ ク テ 論」な の で あ る(森 本、2017年、82−95 頁参照)。宗教においては、このエスタブリッシュメン ト批判は、例えば、安息日のために人があるのではな く、人のために安息日があるのだとして既成の権威であ る律法学者の律法主義的形式主義を批判するイエスの 「反主知主義」(または反知性主義)的なやり方の中に典 型的に現れている。律法学者は、法形式主義という合理 主義、すなわち、主知主義(または知性主義)に立って いるが、その知性主義は「形式合理主義」で人間を救う という「実質合理主義」を欠落させているので、その点 をイエスは批判している。これが、イエスの「反主知主 義」なのである。では、以下、このゼクテ論的組織論に ついて見てみよう。 既成の権威や権力組織を、マックス・ヴェーバーは、 「教会」(Kirche)と名付け、以下のように定義している。 「教会とは、自己の行政幹部が教権制的強制の正当な 独!占!を要求する時、かつその限りでの、教権制的強!制!団! 体 ! 経 ! 営 ! のことを言うべきである(Weber,1972, S.29.)。」 それでは「教権制団体」とは何か。それは、以下のよ うに定義されている。 「教!権!制!団体とは、自己の諸秩序の保証のために救済 財の施与かまたは拒否による心理的強制(教権制的強 制)が用いられる場合、かつその限りでの、支配団体の ことを言うべきである(Weber, Loc. cit.)。」

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手が手工業者であったことから、計算に基づく計画性の 精神が生じたこと、大本教の開祖も貧困層であったの で、自己の苦難を、神による使命と自覚し、そこから、 倫理的預言・自己スティグマ化・自己カリスマ化が生ま れたと論じている。社会生態的要因では、ユダヤ教で は、都市エルサレムへの祭祀集中運動に伴う都市居住の バビロン教団と地方の貴族層やサマリア人の利害対立が 論じられ、原始キリスト教では、エルサレム神殿の利害 に規定されている都市エルサレムの支配層とその利害か ら自由な地方の運動であるイエス運動の特徴が論じら れ、また、それに併せて、都市と地方の対立は、都市の 支配層のインテリの「主知主義」と地方のイエスの「反 主知主義」の対立も生み出し、イエス運動は反権威主義 的ゼクテの特徴を持っていることが論じられている。大 本教でも、資本主義的近代都市である東京と地方の綾部 の対立が論じられ、世の立て替え、立て直しが起こる終 末には両者の立場が逆転すると論じられている。社会政 治的要因では、3宗教のいずれにおいても、神権政治と 貴族政治の対立があり、3者の宗教者による貴族政治批 判とその反権威主義的ゼクテ的特徴が論じられている。 社会文化的要因では、3者の宗教者による古い文化の革 新である新文化の創造が論じられている。 最後に、社会的緊張処理の仕方として、4項目の機能 分析が行われている。攻撃衝動の調整では、3宗教のい ずれも「反動形成」による調整が行われていること、攻 撃衝動の置換では、3宗教とも代理の主体である神によ る攻撃衝動の置換が行われていること、攻撃衝動の転化 では、3宗教とも悔い改めや規範を強化する命令による 攻撃衝動の転化が行われていること、攻撃衝動の象徴化 では、3宗教とも苦難の神義論の創造とそれへの自己同 一化により、攻撃衝動の象徴化が行われていることが論 じられている。 3者の宗教の比較事例分析により、3者の宗教者の社 会的規定性と社会的緊張処理の仕方に共通点があるこ と、倫理的預言であること、自己スティグマ化からス ティグマのカリスマ化があること、反権威主義的ゼクテ の特徴があることが解明された。その違いは、1神教文 化の伝統と多神教文化の伝統の違いからくる神がかり状 況とその体験の意味解釈にあること、すなわち、ユダヤ の預言者や原始キリスト教の宗教者のように神がかりと その解釈が一体のものとして一人でなされるか、大本教 の開祖のように神がかりする人とその神の見分けや解釈 をする人の二人で神がかりとその解釈がなされるかにあ ることが明らかとなった。

参考文献

出口なお、村上重良校注、1979年、『大本神諭 天の巻』、平 凡社。 出口なお、村上重良校注、1979年、『大本神諭 火の巻』、平 凡社。 川上周三、1993年、『現代に生きるヴェーバー』、勁草書房。 川上周三、1998年、『資本主義経済システムの光と影―シス テム論からヴェーバーを解く―』、新泉社。 川上周三、2006年、『ヴェーバー社会科学の現代的展開―グ ローバル化論との結合の試み―』、専修大学出版局。 川村邦光、2017年、『出口なお・王仁三郎』、ミネルヴァ書 房。 栗原 彬、1997年、「1930年代の社会意識と大本―社会不安 と両義性の宗教―」、『リーディングス 日本の社会学 19 宗教』、東京大学出版会。 森本あんり、2015年、『反知性主義―アメリカが生んだ「熱 病」の正体―』、新潮社。 森本あんり、2017年、『宗教国家アメリカのふしぎな論理』、 NHK出版。 小栗純子、1981年、「出口なお」、『近代日本の女性史 第8 巻 自由と解放と信仰と』、集英社。 大 本 教 学 研 鑽 所 編、1977年、『お ふ で さ き(原 本 筆 写) (一)明治20年代:大本神諭研鑽資料(1)』、大本教学研 鑽所。 大本教学研鑽所編、1977年、『おふでさき(原本筆写) 昭 和35年帰還本(一)明治35年代:大本神諭研鑽資料』、大 本教学研鑽所。 小沢 浩、1988年、『生き神の思想史―日本の近代化と民衆 宗教―』、岩波書店。 タイセン, ゲルト、荒井献・渡辺康麿訳、1981年、『イエス運 動の社会学―原始キリスト教成立史によせて―』、ヨルダ ン社。 安丸良夫、2016年、『出口なお―女性教祖と救済思想―』、岩 波書店。 安丸良夫、2017年、『日本の近代化と民衆思想』、平凡社。 Weber, Max,1920, Gesammelte Aufsätze zur

Religionsso-ziologie!, J. C. B. Mohr.

Weber, Max,1921, Gesammelte Aufsätze zur Religionsso-ziologie", J. C. B. Mohr.

Weber, Max,1968, herausgegeben und erläutert von J. Winck-elmann, Soziologie Weltgeschichtliche Analysen Politik, Alfred Kröner Verlag in Stuttgart.

参照

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