三盛大生物資源妃変 節16号:49〜61 平成8年3月1日
血中コレステロール濃度調節機構に関ずる
最近の分子生物学的研究(総説)
−コレステロールの胆汁酸への異化を中心として一 古 市 率 生
三億大学生物資源学部
ReeelltProgressinMolecularBiolog■yof CholesterolIiomeostasis,ぎoeusedon七be Meta烏01ieChangeofCholes七eroltoI主ileÅeids(Review)
YukioダリRUICHI
FacultyorBioresource8,MieUniversiもy
Abstraet
Inもhisarticle,th¢meChanismsどormainぬinlngahomeostasisinbloodeholesterol levelinmammals,rOCuSlngOnmetabolicehallgeO£cholesもeroltobileacids,arerか viewed.Bloodc‡101esterolismainねinedaもaconsねntl飢elbymanyracもor乱 Oneofthe iIllPOrtantf王1CtOrSis a hepEltic conversion orccllulElr ChoIcstcrolto bile acids.、、rhieh playimportantrolesinthedig・CStionandと1bsol・Ptionofdietarylipidsinthegastrointes一
血放1traet.Onthesynthesisorbileacidsrromcholest8rOl,Cholester017(2・hydroxylase
Plays altey rolein thc proeess.RcceIltPrOgreSSeSin the rnechanisms forkeeping a
constant bloo(1eholesterolle\・el,nn Outli11O Of bile acid s)11thesis.purification and assa〉・111eulOdsortheenzymearere、・ie、、・ed・Thel−OrmOnalanddietaryregulationsinLhe
expressionornRNAforthccnzymcarealsodiseussed.
1(c)・\l√Ol・ds:Cholestero17α−hydrox)Plasc,Cholestel10l,bileaeids.1・eg・ulation,
mRNA,CDNA,purificaとion,aSSaymethod
ば,このような食生活の変化に伴って,血液中のコレス テロール濃度が上界し,動脈硬化に基づく虚血性心疾患 に罷る人の割合も増している。従って,血液中のコレス テロール過度を適切な植に調節することは栄養学的見地 からもまた臨床並びに基礎医学の立場からも非常に濱要 な研究殊遇となっている。しかし,このコレステロール 濃度は低すぎる場合には脳ぬ血,高すぎればアテローム 動脈硬化症の原因になることが疫学的に明ちかにされて おり,過度な浪度を保持することの蔑資性が赦近縁袖さ は じ め に
近年,日本人の食生活の欧風化が著しくなった結果,
米の消費数の減少により炭水化物摂取鼠が顕著に減少す る〟方で番肉・乳製品の消費増加宜よって動物性タンパ ク質と脂肪の摂駁腰が増加している。疫学的調姦によれ
平成7年10月30!ヨ受理
〒514 棒市上浜町1515 £uruiehi@bio.mie用.ae.jp
酋 薄 幸 生 50
属するものである。なお,この吸収は小腹吸収上皮細胞 内に存在するACAT活性で律速されている2)。なぜな
らば,食餌性のコレステロールは全て遊離型で腸管粘膜 より吸収され,吸収細胞内で再びエステル化される必要 があり,この反応がACAでにより行われるからである。
2)アセチルCoAからのコレステロールの生合成速度 コレステロールの体内での盤台成蒐は平均的な成人で 両目当たり1000mg位であるとされており,山田当り 体東kg当り約10mgである。体重kg当たりの山日燈 で,マウスやウサギでは50mg,S】〕系ラットでは120 mgであり,この合成速度は若い時程大きい。たとえば 雌SD系ラットの胎児では450mg,成長したものでは 120mg,雌ニュージランドホワイト種ウサギの胎児で は140mg,新生児では90mg,成島したものでは50 mgである3)。このコレステロール生食威厳は食餌申に 存在するコレステロール魔の他に以下のような種々の 園子によって調節されていることが知られている。
1)アセチルCoAを出発原料とするコレステロール盤 台成過程に関与する3・hydroxy−3−m離hylg・1utaryl
(HMG)−CoAreductaseの遺伝子は細胞内のコレステ ロール螢によって転写レベルでの調節を受けている。す なわち,細胞内の蓄機コレステロール汲が多くなると,
HMG.CoA reductaseの発現餞が減少するという down・regulatまonを受ける。このHMG・CoA reduc−
ぬSeはHMG−CoAからメゲァロン酸(m帥alonate)
への還元を触威する酵瀦であり,コレステロール生合成 の第叫の律速酵素である。2)食餌坤のコレステロール 合致で肝臓でのコレステロール合成は大きく抑制され,
小脇では軽度に抑えられるもののその他の肝臓外組織で の合成は殆ど影響を受けないとされている=〉。このこ とば水溶性の食物繊維などを与えて小腸からのコレステ ロールや胆汁魔の吸収を阻審あるいは排泄を促進すると,
肝臓でのコレステロール合成は大きく,小脳でば軽度に 促進されるが,肝臓外組織での合成は殆ど影轡をうけな いぃ8)ことからも良く理解できる。
3)LDLレセプターを介したLDLの細胞内への取り 込み
一般に脂質は水に難溶性であるが故に血液中ではリポ タンパク質というコレステロール,タンパク質(アポリ ポタンパク質あるいはアポタンパク質と称される),リ
ン脂質およぴトリアシルダリセロールから成る複合体を れるようになってさた。しかし,これまでほ高すぎる血
液中コレステロール漉庶を低下させることのみを主眼に おいた研究が主に行われている。なぜならば,コレステ
ロールは上述の動脈硬化の他に,高脂血症,高リポタン パク質血症,心筋梗塞,胆石症などの成人病の原因物質 となることが知られてきているからであるl)。
他方で,コレステロールは非常に盛宴な役割を果たし ている必須の生体成分であることも判明してきている。す なわち,哺乳動物では,コレステロールは生体膜の構成 成分であるとともに脂肪の消化吸収にはなくてはならない 胆汁酸の原料として,また副腎皮質ホルモンや性ホルモ
ンなどのいわゆるステロイドホルモンおよびカルシウム代 謝と密接な関係があるどタミンD(許しくは,コレステロ ール盤台成の前駆物質である7・Dehydrocholesterolの 紫外線照射によりどタミンD8が生じる)の合成原料とし て組織されて轟ている。
さて,血液中のコレステロール洩皮の恒常性は,
1)コレステロールの食餌からの摂取駿とAcylCoA CholesteroIAeyltransrerase(ACAで)活性 2)体内でのアセチルCoA(あるいはacetateといっ
てもよい)を出発原料とする生食成
3)細胞膜に存在する低密度リポタンパク質(LDL)
受容体(レセプター)を介しての血液中から細胞内・
組織内へのLDLの取り込み(レセプター介在エンド サイトーシス)
4)肝臓における胆汁敢への異化
の4つの要因によって主に調節されている。そこで,本 小論では,まず政初にこれら4つの血槽コレステロール 繊度関節要因について概説した後,コレステロールの胆 汁酸への選化に焦点を絞り給ずることにしたい。
血清コレステロール濃度調節要因 り食餌性コレステロールの摂取塵と吸収魔の割合を支
配するACAT活性
平均的な日本人一目当たりのコレステロールの食餌か らの摂取選ば400−500mgであり,その内200−300 mgが消化管より吸収されると鬼機もられている。この ように,吸収率は共存する胆汁敬やトリアシルグリセロー ルなどの脂肪成分の質や畿にも依存するが,平均約50−
60%であり,栄重来としては吸収率が非常に低い部類に
血中コレステロール濃度調節機構 51
形成して水溶性となり運搬されている。これらは疎水性 のトリアシルグリセロールおよびエステル化コレステロー ルを中心部に,新水素を有するリン脂質と遊離型コレス テロールおよびアポタンパク質を表面に配置した球状体 の形である。このリポタンパク質には,低密度リポタン パク質(LDL),高密度リポタンパク質(HDL).超高 密度リポタンパク質(VLD王.),キロミクロン,中間密 度リポタンパク質(‡D王.)の4種があり,これらは超過 心分離における浮上密度によって分轄されたものである。
ヒトでは血液中のコレステロールの主たる運搬形態であ るリポタンパク質はLDLであり.このLD‡.は細胞膜 に存在するLDL受容体を介して細胞内に取り込まれる。
すなわち,1、eCePtOr・mediatcd endocytosisによって 細胞内に取り込まれることが明らかにされている。なお,
リポタンパク質の血液中に占める割合は,ラットでは HDI.が,ウサギではLDLが高いように,動物種によ
り逢いが認められる。
」こ述のように,L工)LはLDL受容体を介して細胞内 に取り込まれるが,この経路はLDしpathⅥ一色yと称さ れている幻。これほ,BrownandGoldst扇nによって,
家族性高コレステロール血症の研究過程において見いだ された,血液中コレステロールを細胞に取り込む機構で ある。すなわち,LI)L受容体と呼ばれる膜怒白質に,
血液中の主穿なコレステロール輸送リポタンパク質であ るLDLが絶食して,LDLは受容体とともに細胞内に 取り込まれる。この1エ軋・レセプターの発現は細胞内番 機コレステロール厳によって調節されている。すなわち,
細胞内のコレステロール盈が多くなれば,Lnしレセプ ターの発現盈は減少し,逆に細胞内のコレステロール教 が減少すると発現盈は多くなるように調節される。
4〉 コレステロールの胆汁駿への異化
体内のコレステロールは肝臓で胆汁酸に異化され,肝 管・胆嚢(ヒト,マウス,ウサギでは胆嚢があるが,ラッ
ト,ウマなどではこれを欠く)を経由して十二指腸の Vater乳頭より腸管内脛に胆汁の構成成分として分泌
(排泄といってもよいだろう)されている。この胆汁酸 は小腸内で両親媒他の界面活磯割としていjアシルダリ セロール,油溶性ビタミン,コレステロ〜ルなどの食餌 性脂質と混合ミセルを形成して,それらの消化管よりの 吸収を促進する役割を果たしている。なお,コレステロー ルから胆汁酸への変換ほ肝臓においてのみ行われる。こ
のような膿汁酸の生成過程は,哺乳動物におけるコレス テロール代謝と排泄を調節する赦も意贅な経路であ
る1吼=〉。
以上のような調節機械で血液中のコレステロール繊度 の恒常性ほ維持されている。
人体でのコレステロールの収支は次のように免租もら れている。
人体におけるコレステロールの収支(血・日当たり)
体内の総コレステロール厳:約170g
(血酒コレステロールプールの大ささは6−10gで ある。従って,体内のコレステロール総意の10
%にも満たないこの傲が動脈硬化症などの疾病の 発症と関連をもつということになる。)
人体に入る厳(約1200mg)
(1)愈撃からの摂取:約200mg・
ほ)生合成:約1000mg 人体から出る盈(約1200mg)
11)発申排泄中性ステロイド:約800mg
(コレステロールおよびその腸内細菌代謝魔物)
(2)糞申排泄胆H㌦酸:約300mg
(3)ステロイドホルモンへの代謝:約50mg
(4)皮膚・消化管壁細胞の脱落:後段
このように,コレステロールはタンパク鼠 脂肪酸や 糖質のように代謝(燃焼)されず,ステロイドの基本骨 格をもったままで体中に存在し,寒中への排泄が主体で あるため体外への除去が困難である。さらに,血管壁や 体の末梢に寄概しているコレステロールが体外に除去さ れるためには,必ず肝臓を経由して胆汁として消化管内 腱に排泄されるか,肝臓で胆汁酸に異化されなければな らないということも体外への除去を困難にしている。
胆汁酸の生合成の概咤 コレステロールの膿汁敢への変換の過程に関しては,
我国や欧米の研究者を中心として,肯く1950年代から 活発に研究が進められ,筋1園に示すような過程が解明 されるに至った=。なお,第2園にコール敏の化学構造 と立体構造を示した。第1図に示すように,胆汁酸はコ レステロールを出発原料として肝臓で生食成されており,
この変化の過程には現在判明しているだけでも少なくと も14種額の酵紫が関与していることが明らかにされて
☆ 市 畢 生
コレステロール
7α−ヒドロキシコレステロール
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コール駿 ケノデオキシコール酸
第1図 コレステロールから一次胆汁敢への異化経路。
主要な段階について示した¢※で示した反応cholestero17α−hyか0Ⅹylaseが関与している。
血中コレステロール磯皮調節機構 53
に水敢基が導入されるという経路があるという研究報薯 があるが彗.これまで縛られた知見からして.叫般には コレステロール異化の敢初の反応は7位のα位への水酸 基の噂入であると考えてよいであろう。
コレステロールの胆汁酸への変化は疎水性の物質を親 水性の物質に変えて排泄するという意味をもつが,これ により体内コレステロールの大部分(ほぼ90%)はコー ル酸(cholie acid)およぴケノデオキシコール駿
(chenodeoxycholicaeid)などの山吹胆汁酸に変換
(これをコレステロールの異化と称する)された後,胆 汁に浪ざり,腸管内に排泄される。この胆汁酸は栄薬学 的には腸管内で脂溶性のビタミンや脂質などの消化吸収 を助けるという蕊寮な役割を果たしている。腸管内に排 泄された胆汁駿は,動物種によって異なるが,腸内細菌 の作用によりこ次胆汁酸に変磯される。コール酸からは デオキンコール軌 ケノデオキシコール酸からはりトコー ル酸が生じる(図8)。このような一次ならびに二次樋 汁酸の総数の約95%は回腸から吸収された後門脈経由 で肝臓に遊び戻され,再度胆汁として腸管内に排泄され る。このような繰返しは勝肝循環(entero・h印atic eireulaもねn)と呼ばれ,胆汁酸の効率的な再利用の方 法となっている。ヒトでは一日6−12回の循環があると 見積もられ,12−24gの胆汁酸に相当すると考えられて いる18)。
ヒト肝臓における一日当たりのコレステロールの収支 は,生合成600mg,LDしレセプタ…を介しての取り 込み300mg,直接コレステロールとしての排泄600 mg,胆汁酸への変換100−400mgと兇概もられ収支が 保たれている12)。
肝臓実質細胞からは.一次胆汁酸はグリシンあるいは タウリンと結合(抱合と称することが多い)した形すな
わちグリココール酸およびタウロコール酸として分泌さ れる(図4)。この抱合過程は肝臓細胞から胆汁酸が胆 汁申に分泌されるために必須と考えられている。最終的 には分泌された胆汁酸の鋸朗が抱合型であり,成人に おけるグリシン:タウリン比はa:1で,グリシン型の 比率が高い。まれ この比率は成長段階旭〉や動物種で 異なることも認められている。なお,再吸収された二次 胆汁傲は肝臓で一次胆汁酸に逆変換される場合があるが,
これには動物によってかなりの適いが認められており,
ヒトではケト義のみが肝臓で水酸基に変換されるといわ
0‡1
第2図 コール敢の化学構造(上図)と立体構適(下図)。
いる12)。この代謝過程において,第一段目cholesもero1 7a−hydroxylase(ECl.14.13.17)(以下C7H)に
よる触媒反応が砕遠投階となっていることが明らかにさ れてきている18・14)。
このC7Hは,ステロイド核であるcyclopentanoper−
hyかoph鮒anthrene環の7α位の水酸化反応を触媒す るcytochrol11eP−450酵莱であって.肝臓実質細胞の 小娘体に局在している。したがって,この7α位水酸化 反応は肝臓ミクロソームだけで特異的に行なわれる。さ
らに,反応には分子状酸嵐 櫛酵素としてのNADP払 およびcytochromeP−450reductaseを必要とし】5・I6).
いわゆるmixed−funetionmonooxygenaseファミリー の一員である。
ところで,胆汁酸合成の過程は大畠く二つに分けて考 えることがで轟る。すなわち,コレステロールの cyclop組tanOperhydrophenanthrene環構造のC−7 位にaxial(α)eonriguraぬnに水敢基を導入する過 程と炭素8個からなる側鎖を教化・短縮する過程である。
なお,最初にコレステロールの側鎖の末端である27位
富 市 率 生 54
ケノデオキショール燃
上
リトコール熊
デオキシ○−ル穀
第3図 血次胆汁酸(コール酸,ケノデオキシコール簡)から二次胆汁蘭
(デオキシコール酸,りトコ岬ル敢)への変化。
大脇内嫌乳性蘭による7α脱水酸化反応により,コール酸からデオキシコール乳 ケノデオキシコールからりトコール駿が生じる。
H
R亡(CK】)】・SO10Hタウロコール償 R・EC【l−・COOI】グリココール駿
第4図 抱合胆汁酸の化学構造。
コール酸のグリシンおよびタウリン抱合型について示した。ケノデオキシコール駿の抱合蔓削こ ついては12位が脱水酸化しているはかは同じである。
れている。
以上のように,コレステロールから胆汁俄に至るには 各種の興味ある反応段階があり,それらの反応に関与す
る酵素や酵素の遮伝子レベルでの研究も多々ある。また,
C7Hの活性およびmRNÅ発現の調節紫因に関する研 究報告も相当な数にのぽる。本小論では第鵬段階に関与 するC7Hに的を絞って紹介することにする。また,
調節機構の項北開しても代表的な研究成果について紹介 することにしたい。
Cho‡estero17q・hydroxyl8Seの精製と性質 C7王まは肝臓申での存在感が少なく,膜酵素であり,
さらにそれ自身非常に不安定であるということから精製 法が困難で,長い間の挑戦にも拘わらず成功しなかった。
はじめて精製に成功したのは0如shima等であり,ラッ ト肝懐からであった抑。彼等は,精製酵紫の分子飽が 52k工)aで,p450のスーパ岬ファミリーのメンバ岬であ
ることを示した。さらに,彼等はコレステロールおよび
血中コレステロール激庇調節機構 55
5alphかH型であるコレスタノールにほ活性を示すが 他のステロイドに対しては活性を示さないということも 明らかにしている。C7Hの基質特異性について Ogishima琴は次のように説明している抑。
1)5alpha−H構造のような平面的な構造が必黎で ある。2)3位にβ水酸基が必変である。3)5位に二 塵紙合が必要である。その後,ヒトとぅット21),ラッ
ト22),ウサギ2ユ)などの動物から本酸素の精製が報告され ている。
Nisbimoto等およびJelinekandRusse11によれは ラットのC7Hゲノムは1個で,転写開始部位はコド ンAでGの61bp上流に存在することが示された。さら に,ヒトの追伝予の構造はラットに類似し,6偶のエク ソンからなり,11kbpの長さであることも明らかとなっ
た88一路)
。
山方,Noshiro等は,ラットのcDNAをプローブと して,ヒトeDNAをタローエンダした。その結果によ ると,eDNAの翻訳領域(open reading rlame,
ORF)は1512bpで,504偶のアミノ酸からなる分子数
57,630のタンパク質をコードしていることが示された。
さらに,ラットのcDNAとは82タ石という高い相同性を 有することが明らかにされた86)。
扱近,ウサギのC7‡‡の遺伝子のeDNAのORF領 域を含む部分のクローニンダと墟養配列がⅩai等によっ て初めて報告された。彼等によれば,ウサギのC7Hの CDNAのORぞは1503bpで501個のアミノ駿残基をコー
ドしており,分子盈は58,097であることが明らかにさ れた。さらに同報告でほ,CytOehromeP450のヘム結 合ドメインの共通して保存されている塩基配列は434−
454アミノ酸残基にあることも示されているa7)。このウ
サギC7Hのアミノ酸配列は,ラット11)およびヒト88)の それらとそれぞれ81%および82%とかなり商い相同性 を有するものである。
また,ウサギC7HcDNAのOR甘の塩基配列は,ラッ トとと卜のそれらとそれぞれ82%,鋸%の相同性を示 している87〉。さらに,ヘム結合ドメインもヒト,ウサギ,
ラットという3種の動物でよく保存されており,ウサギ での11e−448が,ラットではVal−451に,ヒトではウサ ギのGln・449がHis−452に置き換えられていることも 明らかになった印。
Noshiro琴は,彼等が精製した酵素に対する樽輿約 な抗体を用いて,ラット肝臓cDNAライブラリーより,
完全なC7HcDNAのクローニングに成功している鋼)。
得られたeDNAは全長3,545bpで,1,509bpのORF を有し,503偶のアミノ酸をコードし,分子應は56,880 であることを示した。さらに,非常に長いAで配列に 富んだ3,・非翻訳機域を有することも明らかにしてい る11)。彼等は,mRNA発現駿,静紫タンパク質恩,静 架橋性の3者は臼内変動することを認め,午前10時に 低く,午後10時に高いことを示した。さらに,絶食す Cholestero17c(LhYdroxy[aseの活性測定法
既に「胆汁酸の生食成の概略」の項でのべたように,
本酵素は膜酵素で,肝臓実質細胞の小胸体に局在するた め,たとえば,肝臓組織申の酵紫活性を測定するには,
遼遠心によりミクロソーム両分を調整し,これを酵素液 として活性を測定することが多い。
初期には.活性測定として、‖C−Choleste†一nlを基質 として用い,生成物をクロー〜トゲラフイーで測定する方 法〇1)や7α−3Hcholesterolを基質として,反応液中に 遊離する8H20を測定する方法も開発された2石)。後者の 方法については,筆者らも試みたが,再現性のある植を 得るのが困難であった。ここでは省略するが,アイソトー プラベルのコレステロールを基質とし,生成物を浄層ク ロマトグラフィーで展開して測定する方法等,数多くの 方法が発表されているが,中でも近年Ogishimaand Okudaによって開発された方法は比較的便利である。
この方法の原理は,反応系に外から放射活性を有したコ レステロールを加えることなく,ミクロソーム画分にも ともと存在しているコレステロールを基質にして静紫反 応を行なわせ,噸相のシリカを担体としたHPLCを用 いて測定するものである2¢〉。
なお,運相HPLCを用いた測定法汎28) や分離肝細胞 での活性を測定する方法がPrまncen等によって報薯さ れており29〉,その他種々の改良法も発表されているき…2)。
C7H遮伝子のク臼−ニング
C7Hの遮伝子に関する研究は,タンパク質の一次構 造の解析や調節機械を明らかにすることを目的として数 多く行われてきている。
古 市 率 生 56
る。なお,筆者等も ぅットでは絶食によって,
mRNA発現鼠が顕著に低下することを認め,さらにコ レステロール負荷食の再摂取でほ飽和および不飽和脂肪 鹿央に継続摂澱の場合より発現煩が高くなることを初め て示した(箪5図)89〉。
なお,Jelinek轡8〉およぴLi轡りも,ラットC7Hc
DNAは,アミノ503個で56,880−56,890Daの分子恩の
タンパク質をコードしていることを明らかにしている。Li 等がC7王i発現を転写後調節としているのに射し,他の ると,全体的にこれらの3種は低下するが,冒内変数ほ
消えないことを示した。また,コレスチラミンを投与す ると,年商10時のこれら3糀の億は上界するが,午後 10時の植については影秤を及ぼさないことも認めてい る。mRNA発現恩とタンパク厳および砕米活性の問の l鋸\相関は,〔=勾変動を示すメカニズムが転写調節によ るものであることを示すものと推論している。さらに,
タンパク放とRNA発現駿の大きな冒内変動から,そ れらが非常に商い代謝回転をしていることを推論してい
S− U− S+ U+ RS− RU− RS+ RU+ Fas
一■Chot7α
一喝 β−Act毒n
0 0 32
N∈∈︑︵甲d︶ 0
S− しl− S−ト U−ト RS−− RU−1RS+ RU+ Fas
第5図 摂取条件によるラット肝臓cholesもero17α−hydroxylasemRNA発現魔の変化39〉。
上段はノーザンプロッチング,下段はそれを数値化したものを示している。
ただし,S,Uはそれぞれ飽和脂肪食,不飽和脂肪食を表し,+,−は食餌への コレステロール添加の有無を意味している。Fasは絶食を表し,Rは72時間絶 食した後各食餌を24時間再摂取食させたことを意味している。
血中コレステロール濃度調節機構 57
大部分の研究グループが転写調節pre−tranSlaもional regulationと考えている。この相避点の証明は今後の興 味深い問題点である。
ところで,ラット肝臓では,4種煩の輿なるC7‡まの mRNAが発現していることが報告されており,プロセッ
シンダの上から非常に興味深いものである。そのうち比 較的多い3つのmRNAは3.6.2.4.1.7kbpの大きさ である。筆者琴もノーザンプロッティンダでこれらに相 当する3本の発現バンドを検出している89)。Jelin¢k等 は,このようにサイズの異なるmRNAが生じるのは,
非翻訳領域(non−eOdingr¢gion)の3種轍の変異に よるものと推測しているjO〉。
なお,近鱒C7H遮伝子を大腸菌に組み込んで発現 させるという研究もみられる那∴伯)。特に,ヒトの場合に ほ静紫の性質の検討などに利用の価値が非常に大きいも のであると考えられる。
ここでは特に取り上げなかったが,Cohen等はC7 H遮伝子がヒトの染色体の8qll−q12に存在することを 明らかにしている刷。また,ウサギj5),ラットの5〕−
flanking・SequenC♂6),ラットユ4〉,ハムスター那〉,マウ ス槻のC7H遮伝子発現調節に関する報告がある。
興味深いことに,Gielen等ほ既に1975年にcyclo−
heximideやaeもhomycin王)のようなタンパク質合成 阻番剤をもちいてC7Hの日内変動にはタンパク質と RNAの双方の合成が関与していることを示している83)。
なお,コレステロール生合成の律速酵素である HMG−CoAreduetaseもmRNÅレベルで円内変動を
示すことが明らかにされている紺。このように,コレス テロール代謝に密接な関係を有する2つの酵素に典型的 な冒内変動という現象が認められることは非常に興味深
い。
Cholestero17cL−hydroxyl8Seの活性と発現の諏節 C7Hの活性と発現は腸管循環によって肝臓に戻る胆 汁酸の應と機構,ホルモン,食物繊維をはじめとする食 餌成分等の種々の園子によって弼節されていることが数 多くの研究により明らかにされてきている。なお,これ らの研究のほとんどにラットが実験動物として用いられ ている。
胆汁敬を結合するイオン交換樹脂eholestyramine く家族性高コレステロール血痕の治療に用いられること で知られている)を経口的に動物に与える槻あるいは bま1ediversionのような外科的手術によっで○〉,腸管循 環を阻止すると,肝臓に戻る胆汁酸の飽が減少する。そ の練熟 C7王‡の活性が上昇し,コレステロールの膿汁 酸への異化が増加する。この異化が増加し,それによっ て細胞内のコレステロールが減少すると,既にLDL経 路の項でも述べたように,コレステロール盤台成過程の 絆速静紫であるHMG−CoA reducもase活性ならびに LDL受容体の発現應が増加することになる8)。
−・方,コレステロールを添加した飼料を実験動物に与 えると.HMG−CoAreductaseの発現が抑えられると ともにC7Hが誘導されることが知られている仏紙57)。
従って,この誘導は胆汁酸優成を促進し,その排泄を促 進することになる瑚。また飼料に月旦汁駿を混合して与え
るとC7壬‡の酵素活性は低下することが示されてい る弼。なお,コール敵やケノデオキシコール駿のような 胆汁酸はC7HのmRNA発現を低下させ,さらに抗 体と結合するC7Hタンパタ質を減少させることも報 告されている桐㌔
しかし,全ての胆汁酸がC7Hを抑制するわけでは Cholestero17 cE−hydroxYlaseの日内変動
C7Hの活性,タンパク應およびmRNA発現盤は冒 内変動を示し,夜間に高く,昼間低いことが,数種の動 物で証明されている。すなわち,ラット以外の動物では,
マウスd9),ウサギ87)で観察されており,ヒトでは現在に 至るまで口内変動を示した報告は見当たらない。
ウサギについては,最近Kai等ほラットと比較級紺 し,C7Hの活性とmRNA発現螢にはsynchronous
(ウサギとラットは同調したように同じパターンを示し ている悪)な日内変動があることを認め,活性について の検討ほ比較的測達しやすいmRNAによって行えば よいということを提唱している。また,この静索の田内 変動がpre−tranSlationalであることも推測してい
る87)
ラットで円内変動を示した報告としては,Noshiro 等11〉によるものをはじめとして,数多くあり,どの報告
も…d致して酵素活性あるいはmRNA発現盛は夜間に 高く感間低いことを認めている22・41tら=2)。
古 市 率 生 58
ないらしい。たとえば,Shefer琴はコール敢やケノデ オキシコール徴の7β−hydroxyepimerであるウルソ コール酸やウルソヂオキシコール酸はC7Hの発現を 調節しないことを観察している柳。
なお,食餌性コレステロールほ肝臓におけるC7H のmRNA恩やタンパク質を増加させることが知られ ている21・棚。また,もhyroidホルモンなどのホルモンに よって調節されていることも多くの研究によって明らか にされてきている6=2)。
報告例は少ないが,リン酸化やS−S結合形成がC7H の静幾活性調節に関係しているという研究結果もみら れ揖…$$),今後より許しく検討されていくものと考えられ る。その他C7Hの調節に関して多くの研究が行われ
ている11・10・札的 。
最後に,戯近発愛されたChiangandSもroup87〉のC 7Hのプロモータ機械のbile aeid−reSpOnSive el¢−
menもに関する研究,Thompson等闇〉によるC7Hプ ロモータ領域の研免 Lee轡9)のmultiplefunetional DBPsiteが目内変動に関係しているという研究等はC 7Hの発現機構の血端を明らかにしたものであり,今後
ますますこの種の研究が進展するものと考えられる。
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あ と か き
コレステロールの代謝に関する研究ほ疾病の予防,純 粋な生化学的立粉,栄薬学的立場など様々な観点から膨 大な研究報償が発表されて轟ている。小論では,筆者が 現在取り組んでいるコレステロールを中心とした脂質代 謝に関する研究の過程で参照した研究報告を中心に取り 上げた。この分野の翌黎なものについては網羅するよう 配慮した概もりであるが,減れているものもあるかも知 れないこと番お断りしたい。
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