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委員会報告 1 膵 胆管合流異常形式 ( 合流異常形式 ) の診断方法として 最も用いられていたのは術中胆道造影 32 例 手術所見 25 例 MRCP18 例で ほぼこれら 3 つの方法で診断がなされていた 合流異常形式に関しては 記載のあった AD43 例中 A 型 ( 画像上 総胆管が主膵管に

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1.演 2.研 究 者 名 4.研 究 要 旨 3.所 【目的】 膵・胆管合流異常の出生前診断例(AD 例)は、合流異常自体が出生前に診断されるのではなく、 胎児期に肝外胆管の拡張が診断され、生後の精査により膵・胆管合流異常が発見される症例で ある。出生前診断の胆道拡張症に関しては近年報告例が増えているものの未だ症例数は少なく、 詳細は不明な部分が多い。日本膵・胆管合流異常研究会では、1990 年から全国登録を始め、 その集計結果は定期的に報告され 1,2) 、小児に関しても詳細な報告がなされているが3)、AD 例 に関する集計はなされていない。今回、日本膵・胆管合流異常研究会登録症例中の AD 例の臨 床的特徴を検討した。なお、詳細は既に報告しているため4)、本抄録での図表の掲載はみあわ せた。 【方法】 日本膵・胆管合流異常研究会に 1990 年から 2011 年までに登録された AD 例の後方視的比較 検討。 【結果】 1990 年から 2011 年までの 22 年間の膵・胆管合流異常研究会登録症例は 2971 例で、AD は 54 例(1.8%)であった。AD 例が最初に報告されたのは 1998 年で、その後毎年 1 例から 8 例の登録があり、1998 年以降の全症例 1465 例のなかでの AD 例の占める割合は 3.7% であっ た。AD 例は、2006 年まではゆるやかな漸減傾向にあり、それ以降は横ばい状態で昨年は増 加していた。  性別では、AD 例は女児が 54 例中 44 例 (81.5%)、非出生前診断例(nonAD)では女性は 2162 例(74.4%)で、両グループ間に有意差はなかった。AD 例の 55% が在胎 28 週から 36 週に診断され、初発年齢は、 2 歳が 1 例、 1 歳が 1 例、48 例は 1 歳未満であった。初発月齢 が記載されるようになった 2005 年以降の AD33 例では、新生児期が 29 例、1 ヶ月が 2 例、 5 ヶ月が 1 例と、ほとんどの症例が新生児期から治療をうけていた。症状に関しては、症状な しとしているものが 35 例(65%)と多く、症状ありとしているのは全体の 3 分の 1(19 例) であった。症状で最も頻度の高いものは黄疸(79%)、続いて腫瘤触知(63%)、灰白色便(53%)、 嘔吐(21%)、嘔気(16%)、腹痛(5%)であった。黄疸と腹部腫瘤の合併は 9 例(31%)に 認められたが、いわゆる黄疸、腹痛、腹部腫瘤の三徴を示す例はなかった。症状あり群 19 例 と症状なし群 35 例の主要検査値を比較すると、ビリルビン値、GOT、γ GTP が症状あり群で 有意に高値を示し、アルブミン値は両群でほぼ同じ正常値であった。  AD 例の肝外胆管の拡張は全例に認められ、最大胆管径は 6mm から 110mm の範囲で中央 値は 40mm であった。肝外胆管の拡張を、症状の有無で比較すると、症状あり群が 8mm か ら 110mm の範囲で中央値が 57.8mm、症状なし群が 6mm から 100mm で中央値が 35mm と、 症状あり群で有意に胆管径が大きいという結果であった(p=0.0375)。 新潟大学大学院小児外科1)、 日本膵・胆管合流異常研究会登録委員会2) 同  会長3) くぼた まさゆき 田正幸1,2)、新井田達雄2)、遠藤 格2)、小野 滋2)、島田光生2) 高松英夫2)、土岐 彰2)、野田卓男2)、松村敏信2)、嶋田 紘3) 出生前診断症例の臨床的特徴—登録症例からの検討

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3  膵・胆管合流異常形式(合流異常形式)の診断方法として、最も用いられていたのは術中胆 道造影 32 例、手術所見 25 例、MRCP18 例で、ほぼこれら 3 つの方法で診断がなされていた。 合流異常形式に関しては、記載のあった AD43 例中 A 型(画像上、総胆管が主膵管に合流した ように見える)が 37 例(86%)で、B 型(画像上、総胆管に主膵管が合流したように見える) が 6 例(14%)と、A 型が 9 割近く占めていた。症状あり群の 15 例では、A 型が 12 例で B 型が 3 例、症状なし群 28 例でも、A 型 25 例で B 型が 3 例と、症状の有無では合流異常形式 に違いは無かった。AD 例は全て肝外胆管拡張ありのため、nonAD 例で肝外胆管拡張ありに限っ て 15 歳未満とそれ以降で合流異常形式を比較すると、出生後診断例では小児と成人ともに A 型が約 6 割、B 型が 3 割 5 分という分布で変化なく、AD 例は胆管合流型が多いという結果であっ た。  胆嚢と総胆管内のアミラーゼに関しては、それぞれ 27 例と 30 例に記載があり、中央値が 16 IU/L と 30 IU/L と著明な上昇はなく、症状の有無で比較すると、総胆管内アミラーゼと 胆嚢内アミラーゼはともに症状なし群が高値を示し、症状あり群は、膵・胆管合流異常部の distal narrow segment の狭窄が強く、胆管閉塞による黄疸や灰白色便が発生し、膵液の流入は 軽度であったと考えられた。  共通管長の記載があったのは 45 例で、0mm から 25mm の範囲で中央値は 7.0mm であった。 共通管の拡張は、記載のあった 48 例のうち拡張径が 4mm でありとされていた 1 例以外はな しとされ、0mm から 5mm の範囲で中央値が 1mm であった。従って、共通管の拡張は出生前 診断例では、少ないものと考えられた。  手術は、生後 6 ヶ月までに 9 割が分流手術をうけ、1 例を除き空腸を用いた胆道再建が行わ れていた。組織学的肝硬変は 3 例に認められ、胆管壁の肥厚は 20 例に、胆嚢壁の肥厚は 11 例に認められていた。合併症として胆道穿孔 1 例、胆石 3 例、肝機能障害が 7 例に認められて いたが、急性膵炎、慢性膵炎、発がんの合併はなかった。登録時の転帰で、死亡が 1 例に記載 があるが、詳細は記載されていなかった。 【考察】  今回の検討で明らかにされた AD 例の特徴は、合流異常形式では胆管合流型で、総胆管の閉 塞機転が発症に関係し、合流異常症の中でも早期手術がなされている症例群と考えられた。 【参考文献】

1) Tashiro S, Imaizumi T, Ohkawa H, et al: Pancreaticobiliary maljunction: retrospective and nationwide survey in Japan. J Hepatobiliary Pancreat Surg 10:345-351, 2003

2) Morine Y, Shimada M, Takamatsu H, et al: Clinical features of pancreaticobiliary maljunction: update analysis of 2nd Japan-nationwide survey. J Hepatobiliary Pancreat Sci 20:472-480, 2013 3)高松 英 , 新井田 達 , 遠藤 格 , et al: 【膵・胆管合流異常アップデート】 膵・胆管合流異常の全 国集計 小児の特徴 . 小児外科 45:609-613, 2013 4)窪田正幸、新井田達雄、遠藤 格、小野 滋、島田光生、高松英夫、土岐 彰、野田卓 男、松村敏信、嶋田 紘.膵・胆管合流異常の最前線:出生前診断例の臨床的検討 胆と膵  35:927-931, 2014

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2.研 究 者 名

日本膵・胆管合流異常研究会 登録委員会1)、同 会長2)、鹿児島大学医 学部 ・ 歯学部附属病院小児外科3) 4.研 究 要 旨 3.所 【目的と方法】  小児症例で膵胆管合流異常を示唆する至適膵酵素を検討するために、日本膵・胆管合流異常 研究会(以下研究会)の小児登録症例の胆汁中酵素について分析した。  1990 年から 2007 年までの 18 年間に研究会に登録された合流異常症例 2561 例のうち、 14 歳以下の症例は 1022 例で、性別は女児 778 例(74.8% )、男児 262 例 (25.2% ) であった。 肝外胆管拡張例(以下拡張例)、肝外胆管非拡張例(非拡張例)はそれぞれ 950 例 (93.0% )、 67 例 (6.6% ) であった。今回は胆管拡張について不明または無記載の 5 例を除く 1017 例の 胆汁中膵酵素について検討を加えた。測定された膵酵素はアミラーゼ、リパーゼ、エラスター ゼⅠ、ホスホリパーゼ A2、トリプシンである。膵酵素値は手術時年齢で比較した。胆嚢内胆 汁中膵酵素(以下、胆嚢膵酵素)と胆管内胆汁中膵酵素(以下、胆管膵酵素)は別々に検討し た。0 才から 5 才までは 1 才ごとに分け、6 才からは 6 才以上としてまとめて比較検討した。  また、血清中膵酵素の基準値内にあるものを正常群、基準値より高値のものを高値群、基準 値より低値のものを低値群に分け、0 才児(0 才児群)と 1 才以上の症例(年長児群)でその 分布状況を検討した。正常値は各施設でばらつきがあることとアミラーゼ以外の検査は外注さ れることが多いため、今回はLSIメディエンスの基準値を用いた。  各群間での有意差検定はエクセル統計を用いてクラスカル・ウォリス検定を、測定結果の分布 状況の比較についてはカイ二乗検定を行い p< 0.05 を有意と判断した。 【結果】  各酵素の測定数はアミラーゼ;胆嚢 653 例、胆管 545 例、リパーゼ;胆嚢 325 例、胆管 274 例、 エラスターゼⅠ;胆嚢 232 例、胆管 192 例、ホスホリパーゼ A2 ; 胆嚢 173 例、胆管 132 例、 トリプシン;胆嚢 196 例、胆管 158 例であり、アミラーゼの測定数が最も多く、次いでリパー ゼの測定数が多かった。(表1) たかまつ ひでお 松英夫1,3)、新井田達雄1)、遠藤 格1)、小野 滋1)、窪田正幸1) 島田光生1)、土岐 彰1)、野田卓男1)、松村敏信1)、加治 建3)、安藤久實2) 小児膵・胆管合流異常症例の胆汁内膵酵素の検討 全国集計 -1.演

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5 アミラーゼ  胆嚢アミラーゼと胆管アミラーゼの平均は 106,058.4 ± 4,587.3IU/L(平均値±標準誤差) と 64,455.9 ± 12,175.1IU/L であり両者に有意差(p<0.01)を認めた。更に胆管の拡張・非 拡張による胆汁中アミラーゼの差異を見たところ、拡張症例で胆嚢と胆管の間に有意差を認め た (p<0.01)が、胆嚢、胆管それぞれの拡張、非拡張の間に有意差はなかった。( 図1) 年齢 別の胆嚢アミラーゼは図 2 の通りであるが、0 才児と 1 才以上の小児、1 才児と 2 才以上の 小児で有意差を認めた (p<0.01)。胆管アミラーゼもほぼ同様であった。(図2)

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リパーゼ 胆嚢胆汁、胆管胆汁で有意差がなかった。胆嚢リパーゼは 0 才児と 1 才児の間に有意差はな く、 0 才児と 2 才以上の群で有意差を認めた。(p<0.01)胆管リパーゼでは 0 才児は他の年例 群に比べ有意に低値であった。(p<0.01、但し1才児群のみ p<0.05)(図3) エラスターゼⅠ  胆嚢胆汁(1,685,947 ± 284,244.4ng/dl)の方が胆管胆汁(995,175 p± 178,286.0ng/ dl)より有意に高値を示した (p<0.05)。胆管の拡張・非拡張で比較したが有意差は無かった。 各年令群で比較すると胆嚢、胆管ともに 0 歳児は 1 才以上の小児に比較して有意に低値を示 した。(p<0.01 または p<0.05)(図 4)

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7 ホスホリパーゼ A2  リパーゼと同様に胆嚢胆汁と胆管胆汁で有意差はなかった。0 歳児は他の年齢群に比べて胆 嚢胆汁、胆管胆汁ともに有意に低値であった。(p<0.01)(図 5) トリプシン  胆嚢胆汁、胆管胆汁間で有意差を認めなかった。胆嚢胆汁、胆管胆汁はいずれの年令群で有 差を認めなかった。(図 6)

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 次に胆汁中膵酵素測定値を高値群、正常群、低値群に分け 0 才児群と 1 才以上の年長児群 でその分布を比較した。年長群では全ての酵素で胆嚢、胆管ともに 90%以上(胆管胆汁アミラー ゼ、胆管胆汁ホスホリパーゼ A2 以外は 95%以上)が高値群に属していた。 一方、0 才児群ではアミラーゼ・リパーゼは胆嚢胆汁、胆管胆汁で分布に差は無いものの、他 の 3 酵素は胆嚢胆汁が胆管胆汁より高値群に属するものが多く、ホスホリパーゼA2につい ては胆嚢胆汁で高値群の割合が 91.7%と高かったが、胆管胆汁との間に有意差はなかった。0 才児群と年長児群で各酵素値の分布について胆嚢胆汁・胆管胆汁それぞれでカイ二乗検定を 行ったところ、ほとんどの酵素は有意に年長群の方が高値群に属する割合が高かったが、胆嚢 胆汁のホスホリパーゼA2は0才児、年長児で有意差を認めなかった。(表 2) 【考察】  胆汁中膵酵素値を血清基準値と比較して高値群、正常群、低値群に分けその分布状況を検討 した。1 才以上の年長児群では全ての膵酵素で胆嚢胆汁、胆管胆汁ともに高値群に属する割合 が有意に高かった。0才児群ではアミラーゼでの高値群の占める割合は他の4酵素に比較して 低く膵液の逆流を示す指標としては不適切のように見えるが、月齢ごとの基準値に合わせて検 討すれば異なった結果が出てくる可能性がある。ただ、登録データは 0 才児でひとくくりに してあるため詳細な検討が出来なかった。ホスホリパーゼA2に関しては0歳児群で胆管胆汁 に対し胆嚢胆汁の 91.7%が高値群には分布していた。  0 才児群と年長児群の分布を比較すると、胆嚢ホスホリパーゼA2のみが0才児群・年長児 群で有意差を認めなかった。このことから現状では合流異常の存在を示唆する膵液の胆汁内逆 流の証明として0才児では胆嚢胆汁のホスホリパーゼA2の測定が最も適していると考えられ るが、測定症例数が少ない点が課題である。年長群においてはいずれの酵素も膵液の胆汁内逆 流の証拠として値すると考えられる。

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9  今回の検討で明らかになった課題としては、まず第 1 に合流異常を伴わない症例、すなわ ち正常状態の胆汁中膵酵素の測定値が小児・成人ともに不明であることがあげられ、胆汁内膵 酵素高値の基準を血清基準値の上限とすることの根拠が不明である。次にヒトの膵機能発達に 配慮した小児特に新生児・乳児症例の膵機能の発達に伴う変化(血清膵酵素値の月齢別基準値) を明らかにする必要性がある。両者の検討が進めば胆汁中膵酵素の測定による合流異常の診断 がより確実になると考えられる。  結論として、現状では胆汁中アミラーゼが低値であった場合、それに変わって膵・胆管逆流 を示す膵酵素としては胆嚢胆汁ホスホリパーゼA2を候補として提案することが出来る。

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1.演 2.研 究 者 名

日本膵・胆管合流異常研究会 診断基準検討委員会1)、東京女子医科大学 2)、手稲渓仁会病院3)、名古屋第一赤十字病院4)、兵庫県立こども病院5) 3.所 4.研 究 要 旨 【目的】診断基準検討委員会で検討された膵・胆管合流異常の 4 型分類に基づいて臨床的特徴 について調査した. 【対象と方法】2001 年~ 2013 年の間に 12 施設で初回手術を施行した膵・胆管合流異常で合 流部の形態が明らかな 16 歳未満の小児 318 例と成人 164 例の計 482 例を対象に 4 型に分類 し臨床的特徴と術後の膵炎、膵石などについて調査した. 【膵・胆管合流異常の型分類】 【結果】 a 179 例 b 148 例 c 142 例 d 14 例 嚢胞状拡張 140 (78%) 25 (17%) 44 (31%) 4 (29%) 紡錘状・円筒状 38 (21%) 59 (40%) 85 (60%) 7 (50%) 非拡張 1 (0.6%) 64 (43%) 13 (9%) 3 (21%) うるしはら なおと 原直人1)、濵田吉則1)、神澤輝実1)、安藤久實1)、藤井秀樹1) 糸井隆夫1)、越永 従道1)、諸冨 嘉樹1)、齋藤 武1)、新井田達雄2) 真口宏介3)、金子健一朗4)、福澤宏明5) 膵・胆管合流異常の型分類からみた臨床的特徴 有狭小部・共通管非拡張型 無狭小部・共通管非拡張型 共通管拡張型 上記に分類不能なタイプで膵管癒合不全や 輪状膵など複雑な合流を含む

a

b

c

d

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11  1.小児例(318 例)発癌例はなく全例で肝外胆管切除・胆道再建が施行されていた. a(132 例) b(75 例) c(101 例) d(12 例) 腹痛 58% 87% 84% 100% 高アミラーゼ 39% 85% 71% 67% 急性膵炎 4.5% 1.3% 3.9% 8.3% 慢性膵炎 0% 0% 0% 0% 胆道穿孔 3% 1.3% 14% 0% 蛋白栓などの結石 35% 47% 62% 25% 術後晩期膵合併症 0% 0% 0.9% 25%  術後晩期の膵炎、膵石の合併症は 4 例に認められた.c 型で蛋白栓 1 例と d 型で蛋白栓 1 例, 膵石 2 例であった.この内,急性膵炎を繰り返す 2 例で内視鏡的乳頭切開が行われていた.  2.成人非発癌例(114 例)肝外胆管切除・胆道再建が 87 例,PPPD2 例,胆摘のみ 25 例 (胆管非拡張の 23 例と Ic 型 2 例)でこの内 3 例で乳頭切開が施行されていた。b 型の 1 例が 急性膵炎で necrosectomy 施行したが死亡していた. a(42 例) b(43 例) c(27 例) d(2 例) 腹痛 57% 42% 59% 100% 高アミラーゼ 7.1% 16% 11% 50% 急性膵炎 7.1% 14% 7.4% 0% 慢性膵炎 0% 0% 0% 0% 胆道穿孔 0% 0% 0% 0% 蛋白栓などの結石 14% 19% 15% 100% 術後晩期膵合併症 0% 2.3% 3.7% 50%  3.成人発癌例(50 例) 成人例 164 例中,胆嚢癌 44 例、胆嚢癌・胆管癌 1 例,膵癌 1 例であった。 a(47 例) b(73 例) c(41 例) d(2 例) 胆嚢癌 11% 34% 34% 0% 胆管癌 0% 6.8% 2.4% ( 胆嚢癌重複 ) 0% 膵癌 0% 0% 2.4% 0% 発癌 11% 41% 39% 0%

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1.演 2.研 究 者 名 3.所 4.研 究 要 旨 膵・胆管合流異常の診療ガイドライン(文献 1,2)が、日本膵・胆管合流異常研究会と日本 胆道学会から 2012 年に作成され、さらに膵・胆管合流異常の診断基準 2013(文献 3,4) がその翌年に作成された。そのなかで、胆管に拡張を認める例を先天性胆道拡張症とした。 そこで、先天性胆道拡張症の診断基準 2015 においては、いわゆる狭義の先天性胆道拡張症 の診断基準を明らかにした。 定義 先天性胆道拡張症とは、総胆管を含む肝外胆管が限局性に拡張する先天性の形成異常で、膵・ 胆管合流異常を合併するものをいう。ただし、肝内胆管の拡張を伴う例もある。 病態  胆管拡張と膵・胆管合流異常により、胆汁や膵液の流出障害、膵液と胆汁の相互逆流、胆 道癌など肝、胆道および膵に様々な病態を引き起こす。 診断基準  先天性胆道拡張症の診断は、胆管拡張と膵・胆管合流異常の両者の存在を満たした場合と する。ただし、結石、癌などによる胆道閉塞に起因する後天性、二次的な胆道拡張は除外する。 1.胆管拡張の診断  胆管拡張は、胆管径、拡張部位、拡張形態の特徴を参考に診断する。  1)胆管径 胆管径は、超音波検査、MRCP, CT ( MD-CT の MPR 像ほか ) などの胆道に圧のかからな い検査によって、総胆管の最も拡張した部位の内径を測定する。 胆管径は、年齢により変化するので、年齢別の胆管径の上限値を参考にする。  2)拡張部位 胆管拡張は総胆管を含むものとする。また、総胆管を含む肝外胆管の拡張と同時に肝内 胆管が拡張している例も、先天性胆道拡張症に含める。  3)拡張形態  拡張形態は、嚢胞型 cystic と円筒 ( 紡錘 ) 型 diffuse の 2 つに分けられる。 日本膵・胆管合流異常研究会 診断基準検討委員会1)、関西医科大学外科 学講座小児外科2) はまだ よしのり 田吉則1,2)、安藤久實1)、糸井隆夫1)、漆原直人1)、神澤輝実1)、越永従道1) 齋藤 武1)、藤井秀樹1)、諸冨嘉樹1) 先天性胆道拡張症の診断基準 2015(案)

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13 狭義の先天性胆道拡張症は、戸谷分類(図1)のⅠ a 型 , Ⅰ c 型 , IV-A 型で表現される。 図1.戸谷分類 (1995 年改変)(文献 7 より引用) 2.膵・胆管合流異常の診断 膵・胆管合流異常の診断は、先天性胆道拡張症の診断に必須であり、膵・胆管合流異常の診断 基準 2013 に準拠して診断する。 解説 1.定義

  先 天 性 胆 道 拡 張 症 は、 従 来 欧 米 で は Congenital choledochal cyst と 呼 ば れ て き た。 Congenital choledochal cyst は 1959 年に Alonso-Lej ら(文献 5)により 3 つのタイプに分類 された。その後、Alonso-Lej の分類を基本として 1977 年に Todani らは新たな分類(文献 6) を提唱し、欧米で広く引用されるようになった。その後、先天性胆道拡張症は膵・胆管合流 異常を高率に合併することが分かり、戸谷は 1995 年に膵・胆管合流異常の概念を加えた分類 (文献 7)を発表した。その後国内外からの報告で、総胆管の限局性拡張を呈する I 型と、I 型 に肝内胆管の拡張が加わった IV-A 型の頻度が非常に高く、I 型(Ib 型を除く Ia 型と Ic 型)と IV-A 型はほぼ全例に膵・胆管合流異常を合併するが、他の II 型、III 型、IV-B 型、V 型では膵・ 胆管合流異常の合併はほとんどみられないことが判明してきた。

そこで本診断基準では、総胆管を含む肝外胆管および肝内胆管が限局性に拡張し、全例に膵・ 胆管合流異常を合併する戸谷 Ia 型、Ic 型と IV-A 型の先天性胆道拡張症を、狭義の先天性胆道 拡張症と定義した。また、Caroli 病、Choledochocele、戸谷分類のⅠ a 型 , Ⅰ c 型 ,IV-A 型以 外で膵・胆管合流異常のない胆道拡張症、などは狭義の先天性胆道拡張症に含めないことにし た。

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2.病態  先天性胆道拡張症では、胆管拡張やしばしば合併する総胆管の十二指腸側の狭小部 (narrow segment) によって胆汁の流出障害が起きる。また、合併する膵・胆管合流異常では、共通管 が長く、乳頭部括約筋作用が膵胆管合流部に及ばないため、膵液と胆汁が相互に逆流する。膵 液の胆道内への逆流(膵液胆道逆流現象)は高率に胆道癌を発生させ、胆汁の膵管内への逆流 (胆汁膵管逆流現象)は膵炎を惹起させることがある。 3.診断基準 1)胆管径 直接胆道造影(ERCP、経皮経肝胆道造影、術中胆道造影など)は、胆管内圧を上昇させて 胆管が拡張する可能性がある検査なので、その計測値は参考にとどめ、胆管拡張の診断は慎重 にすべきである。 胆管径は、年齢により変化する(文献 8,9,10)ので、年齢別の胆管径の上限値(表 1)(文 献 11)を参考にして拡張の有無について診断する。 2)胆管の拡張形態  先天性胆道拡張症には以下のような胆管の形態的特徴(文献 12,13,14)があるので、これ らを参考にして診断する。 (1) 拡張した総胆管の十二指腸側に狭小部 (narrow segment) がみられる。 (2) 拡張が総胆管から三管合流部を越えて肝臓側に及ぶ場合は、胆嚢管合流部の起始部が 限局性に拡張している。 (3) 肝内胆管が限局性に拡張している場合は、肝門部に相対的狭窄がみられる。 (4) 肝内胆管の拡張部から肝内末梢へは突然細い胆管が分岐している。 3)膵・胆管合流異常  膵・胆管合流異常とは、解剖学的に膵管と胆管が十二指腸壁外で合流する先天性の形成異常 である。膵・胆管合流異常の診断には、画像診断または手術、剖検などによって、膵管と胆管 が異常に長い共通管をもって合流するか異常な形で合流すること、または膵管と胆管が十二指 腸壁外で合流することを確認する必要がある。画像診断には、直接胆道造影(ERCP、経皮経 肝胆道造影、術胆道造影など)や、EUS または MD-CT の MPR 像などを用いる。また、高アミラー ゼ胆汁は、膵・胆管合流異常の存在を強く示唆しており有力な補助診断となる。 4.疾患名   先天性胆道拡張症のほかに、以下の用語(和文、英文)も同義とする。 先天性胆管拡張症 congenital bile duct dilatation( 戸谷 1995)(文献 7) 先天性総胆管嚢胞 congenital choledochal cyst(Alonso-Lej 1959)(文献 5)          congenital bile duct cyst(Todani 1977)(文献 6)

総胆管嚢胞   choledochal cyst 5.参考要件  つぎのような所見は、先天性胆道拡張症の存在を疑わせるので診断の参考となる(文献 1)。 1) 出生前超音波検査による肝下面の嚢胞性病変 2) 新生児期の直接型優位の間歇性黄疸 3) 小児期から繰り返す腹痛発作

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15   4) 小児の腹痛時の高アミラーゼ血・尿症   5) 小児の胆道穿孔による胆汁性腹膜炎 文献 1) 日本膵・胆管合流異常研究会、日本胆道学会:膵・胆管合流異常診療ガイドライン.医学 図書出版、2012.

2) Kamisawa T, Ando H, Suyama M, et al. Japanese clinical practice guidelines for pancreaticobiliary maljunction. J Gastroenterol 47:731-759, 2012.

3) 日本膵・胆管合流異常研究会 日本膵・胆管合流異常研究会診断基準検討委員会.膵・胆 管合流異常の診断基準 2013. 胆道学会雑誌 27(5):785-787, 2013.

4) Kamisawa T, Ando H, Hamada Y, et al. and The Japanese Study Group on Pancreaticobiliary Maljunction. Diagnostic criteria for pancreaticobiliary maljunction 2013. J Hepatobiliary Pancreat Sci 21(3):159-161, 2014.

5) Alonso-Lej F, Rever WB Jr, Pessagno DJ: Congenital choledochal cyst, with a report of 2 and analysis of 94 cases. Int Abstr Surg 108:1-30, 1959.

6) Todani T, Watanabe Y, Narusue M, et al. Congenital bile duct cysts: Classification, operative procedures, and review of thirty-seven cases including cancer arising from choledochal cyst. Am J Surg 134:263-269, 1977.

7) 戸谷拓二:先天性胆道拡張症の定義と分類.胆と膵 16(9):715-717, 1995.

8) 濵田吉則、嵩原裕夫、安藤久實、ほか:小児胆管径の基準値からみた胆管拡張の定義の問 題点 . 胆と膵 31(11):1269-72, 2010.

9) Itoi T, Kamisawa T, Fujii H, et al. Extrahepatic bile duct measurement by using transabdominal ultrasound in Japanese adults: multi-center prospective study. J. Gastroenterol 48:1045-50, 2013.

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12) Ando H, Ito T, Kaneko K, et al. Congenital stenosis of the intrahepatic bile duct associated with choledochal cysts. J Am Coll Surg 181:426-430, 1995.

13) 細村直弘、藤井秀樹、雨宮秀武、ほか.先天性胆道拡張症の定義と診断基準に関する考察. 胆と膵 31(11):1273-78, 2010.

14) 安藤久實、伊藤喬廣、杉藤徹志:先天性胆道拡張症における嚢胞壁の組織学的研究―特に 嚢胞下部の平滑筋組織について― 日消病学誌 84:1797-1801, 1987

(15)

Diagnostic criteria for congenital biliary dilatation 2015

The Japanese Study Group on Pancreaticobiliary Maljunction (JSPBM)

The Committee of JSPBM for Diagnostic Criteria for Pancreaticobiliary Maljunction

Congenital biliary dilatation (CBD) is a congenital malformation with both the extrahepatic bile duct dilatation and pancreaticobiliary maljunction (PBM). Although pathogenesis of dilatation of the bile duct is unknown, PBM causes reciprocal reflux between pancreatic juice and bile, resulting in various pathologic conditions in the biliary tract and pancreas.

For diagnosis of CBD, both abnormal dilatation of the bile duct and PBM must be evident. Diagnosis of dilatation of bile ducts is recommended to be evaluated based on age-related upper limits of the maximum diameter of the common bile duct by using diagnostic imagings such as ultrasonography, MRCP, and MPR by MD-CT. ERCP, PTCD, and operative cholangiography would be avoided as a tool for measurement of diameter of the bile duct. Typical concomitant anatomical characteristics of extra- and intra-hepatic bile ducts should be also considered to make a diagnosis of CBD. Diagnosis of PBM, an abnormally long common channel and /or an abnormal union between the pancreatic and bile ducts, must be established by various radiological imagings.

Members of the Committee of JSPBM for Diagnostic Criteria for Pancreaticobiliary Maljunction:

Yoshinori Hamada (Kansai Medical University), Hisami Ando (Aichi Prefectural Colony), Terumi Kamisawa (Tokyo Metropolitan Komagome Hospital), Takeshi Saito (Chiba University), Yoshiki Morotomi (Osaka City University), Naoto Urushihara (Shizuoka Children’s Hospital), Tsugumichi Koshinaga (Nihon University School of Medicine), Takao Itoi (Tokyo Medical University), Hideki Fujii (University of Yamanashi)

(16)

17      表1.胆管拡張の年齢別参考値 ( 文献 11 より引用 ) 年齢     基準値 上限値 拡張の診断        0 歳  1.5mm 3.0mm 3.1 mm 以上 1 歳  1.7mm 3.2mm 3.3 mm 以上 2 歳  1.9mm 3.3mm 3.4 mm 以上 3 歳   2.1mm 3.5mm 3.6 mm 以上 4 歳  2.3mm 3.7mm 3.8 mm 以上 5 歳   2.4mm 3.9mm 4.0 mm 以上 6 歳   2.5mm 4.0mm 4.1 mm 以上 7 歳   2.7mm 4.2mm 4.3 mm 以上 8 歳   2.9mm 4.3mm 4.4 mm 以上 9 歳   3.1mm 4.4mm 4.5 mm 以上 10 歳   3.2mm 4.5mm 4.6 mm 以上 11 歳   3.3mm 4.6mm 4.7 mm 以上 12 歳   3.4mm 4.7mm 4.8 mm 以上 13 歳   3.5mm 4.8mm 4.9 mm 以上 14 歳   3.6mm 4.9mm 5.0 mm 以上 15 歳   3.7mm 5.0mm  5.1 mm 以上 16 歳  3.7mm 5.1mm 5.2 mm 以上 17 歳  3.7mm 5.2mm 5.3 mm 以上 18 歳  3.8mm 5.3mm 5.4 mm 以上 19 歳  3.8mm 5.4mm 5.5 mm 以上 20 歳代  3.9mm 5.9mm 6.0 mm 以上 30 歳代  3.9mm 6.3mm 6.4 mm 以上 40 歳代  4.3mm 6.7mm 6.8 mm 以上 50 歳代  4.6mm 7.2mm 7.3 mm 以上 60 歳代  4.9mm 7.7mm 7.8 mm 以上 70 歳代以上  5.3mm 8.5mm 8.6 mm 以上    

参照

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