Title
ブロイラー鶏における胆管肝炎に関する病理学的研究( 内容
の要旨 )
Author(s)
佐々木, 淳
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(獣医学) 甲第090号
Issue Date
2001-03-13
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/2144
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(本籍) 学 位 の 種 猿 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻■ 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 佐々木 淳 (宮城県) 博士(獣医学) 獣医博甲第90号 平成13年3月13日 学位規則第4条第1項該当
連合獣医学研究科
獣医学専攻 岩手大学 ブロイラー鶏における胆管肝炎に関する病理 学的研究 主査 岩 手 大 学 副査 帯広畜産大学 副査 岩 手 大 学 副査 東京農工大学 副査 岐 阜 大 学 授授 授 授 授 教教教 教教 論 文 の 内 容 の 要 旨 助 峯柴一昭 幸 高 文 英 利 田 井 藤 多木 岡松首本.柵 ブロイラー鶏における胆管肝炎cholangiohepatitisは,原因不明の肝臓の腫大に特徴づけられる疾患として,1983年に■Ran叫lらによってはじめて報告された・本症は肉眼的に肝臓
の高度鹿大・退色および小葉構造の明瞭化を特徴とし,胆嚢・胆管壁の肥厚あるいは管腔
内に凝個物を容れた胆嚢炎・胆管炎を伴うことが多く,病理組織学的にはグリソン鞘を中心
とした線維化を伴う細胆管の著しい増生串よび多発性肉芽腫が認められている.これまで発
症原因は明かにされていなかったが,寝息鶏の肝臓,胆嚢から,しばしば血液貌鱒 ク軸∫(Cp軸カが分離され,病理組鞍学的に肝臓および胆嚢においてグラム陽性大枠菌が多数認められていることより,原因としてはC
p軸∫の関与が疑われて いる.病原体の感染経路は消化管からの上行性,あるいは血行性およびリンパ行性の経路が示唆されている.本研究ではブロイラー鶏における胆管肝炎わ原因ならびた病理発生を
解明する目的で,野外発生例を病理学的,細菌学的に検索するとともに,分離されたC
ク軸を用いた再現実験を行った.第1章で軋ブロイラー為における胆管肝炎の病理学的な特徴ならびに発症原因を明か
にする目的で,野外で発生のみられた45例を収集し病理学的に検索するとともに,細菌の分離・同定を行った.そめ結果,肉眼的に書も肝臓め高度慶大,退色,小葉構造の明瞭化
が特徴的であり,しばしば内腔に黄白色チーズ様物を伴う胆嚢炎が認められた.病理組紋
学的には肝臓のほぼ全域に及ぶ細胆管の増生および多発性肉芽塵の形成が特徴像で,こ
機序としては,肝内胆管,胆嚢,あるいは肝外胆管において胆汁のうっ滞を示す所見が認 められたことより,月旦汁のうっ滞に起因した反応性の増生であることが示唆された.肝臓にお
ける肉芽腫,肝内胆管,胆嚢,野外胆管の病変部ではグラム陽性大枠菌が多数認められ,
それらの大枠菌はニワトリ抗■Cク軸∫ポリクロ_-ナル抗体に陽性反応を示した.また,細菌検索たおいて羅思鶏の肝臓よりCタ軸よが分離・同定されたことより,本症の原
因としてはCp軸∫の関与が強く示唆された. 第2章では,Cp軸の本症における役割を解明する目的で,本症羅患鶏の肝臓よ り分離されたC p軸を胆管内に接種し,その後人為的に胆汁のうっ滞を引き起こすために総胆管あるいは肝腸管を外科手術により結致することによって,本症の病理発生を
検討した.C p軸∫を総胆管内に接種し,総胆管および肝腸管を結集した実験群に おける病変は,Randallの述べているブロイラー鶏における胆管肝炎ならびに前章の検索結 果と同様であった..この結果より,胆管肝炎の病変再現には,Cク軸の胆管内接種 ならびに総牌管・肝腸管の両方の肝外胆管結集による胆汁の通過障害が必要であることが 明かとなった.また,総胆管と肝腸管を結致した実験群では,病理組織学的に肝臓において明瞭な細胆管の増生が認められ,これらは胆汁の通過障害に起因した反応性の増生で
あることが示された.一方;総胆管のみを結集した実験群では細胆管の増生はみられなか ったが,これは肝臓の左右葉の間に胆管の吻合が存在するため,胆汁のうっ滞が引き起こ らなかったことによるものと考えられた. 第3章では,Cp軸∫と他の細菌との混合感染が本症の病理発生に何らかの影響を 及ぼしている可能性が示唆されたため,Cp軸∫の血行性感染ならびに肋∞e脇属 菌との混合感染を想定して,Cp軸∫と滋血00e肋属菌を肝臓内に接種することにより, 本症におけるC●p軸∫の感染経路および病理発生を検討した.肉眼的にC ク軸∫と肋∞曲属菌の混合液接種群のほとんどの肝右葉横隔面において帽針頭 大の接種痕がみられ,数例では米粒大の壊死巣の形成が認められた.痛理組織学的に, 鬼血00曲属菌接種群では肉芽腫の形成が1例でのみ認められたが,混合液接種群では4 例でみられ,その内の1例では肝臓の門脈領域における細胆管の増生を伴っていた.また, 胆嚢炎は混合液接種群の6例で認められた.これらより,肝臓内および胆嚢,肝外胆管にわたる胆道系の炎症性痛変は、Cp軸ゐみの感染よりも鹿血肌服脇属菌の混合感
染によって,より誘発されやすくなることが示唆された.以上ブロイラー鶏における胆管肝炎はCp軸∫の上行性奉るいは血行性の肝・胆
道索感染による慢性の肉芽腫形成性の肝炎である土とが明かとなり,本症に特徴的にみら
れる細胆管の増生は,胆汁のうっ滞に対する非特異的な反応性の増生であることが解明さ れた.審 査 結 果 の 要 旨 1983年にRandal1らによってはじめて報告されたブロイラー鶏の胆管肝炎cholangiohep血isは, 従来払rosing血olehepatitisあるいはhepatosisなどとも呼ばれていた.本病の発症原因は不明で あったが,原因としてC面の関与が強く疑われてきた.病原体の感染経路としては消化 管からの上行性,あるヤ、は血行性およびリンパ行性の経路が示唆されている・本研究の目的は,
ブロイラー鶏における胆管肝炎の原因と病理発生を解明することであるJ
第1章では,45例の野外発生例を病理学的に検索するとともに細菌の分離・同定を行い,ブロイ ラー鶏における胆管肝炎の病理学的な特徴ならびに発症原因を明かにした.肉眼的には,ほぼ 全例で肝臓の高度腫大,退色,小葉構造の明瞭化が認められ,しばしば内腔に黄白色チーズ枝 物を伴う月旦嚢炎がみられた.病理組織学的には肝臓のほぼ全域に及ぶ細月旦管の増生および多発 性肉芽腫の形成が特徴的で,これらの所見はプbイラー鶏における胆管肝炎の従来の報告と一 敦していた.肝内胆管,月旦嚢,あるいは肝外胆管において胆汁のうっ滞を示す所見が認められた ことより,細胆管の増生機序として胆汁のうっ滞に起因した反応性の増生であることが示唆された. 肝臓における.肉芽鹿,肝内胆管,胆嚢,肝外胆管の病変部に,グラム陽性,ニワトリ抗C 面ポリクローナル抗体陽性の大枠菌が多数認められた.'また,細菌検索において羅患鶏 の肝臓よりC曲が分離・同定されたことより,本症の原因としてC面の関与が強 く示唆された.第2章では,本症の病理発生を解明する目的で,野外発生例の肝臓より分離されたC
軸を胆管内に接種し,その後人為的に胆汁のうっ滞を引き起こすために総胆管あるいは 肝陽管を外科手術により結致することによってC面の本症における役割観た.c細の総胆管内接種と総胆管および肝腸管の両方を結致した夷験群における病変は,前
章の検索結果ならびに既報の胆管肝炎と同様であった.以上より,胆管肝炎の病変再現には」C
軸の旭管内接種と総胆管・肝腸管の両方め肝外胆管結敷こよる胆汁の通過障害が必要
であることが証明された.総胆管と肝腸管を結致した実験群では,病理組織学的に肝臓において
明瞭な細胆管の増生が認められ,これらは胆汁の通過障害に起因した反応性の変化であることが示唆された.また,総胆管ゐみを結致した実験群では細胆管の増生はみられなかった.こ和ま肝
臓の左右実の間における胆管の吻合により,胆汁のう⇒滞が引き起こらなかったためと考察され た.第3章では,常在菌の一つである肋e勉属菌とC画を肝瞭内に按種して,病理発
生を検討ルた.C軸と虚血脚免払属菌の混合液接種群のほとんどの肝右葉横隔面において,肉眼的に幅釦頭大の接種痕がみられ,数例では米粒大の壊死巣の形成が認められた.
合液接種群では4例でみられ,その内の1例では細胆管の増生を肝瞭の門脈顔域に伴っていた.
十方,月頭重炎は混合液壌種群の6例七認められた`よって,肝臓内および胆嚢,肝外胆管にわた
る胆道系の炎症性病変は,C面単独の感染よりも虚血旭光彪属菌の浪合感染によって, より誘発されやすくなることが示唆された.以上の実験結果から,ブロイラー鶏における胆管肝炎はC軸の上行性あるいは血行
性の肝・胆道系感染による慢性の肉芽腫形成性の肝炎であることが証明され,細胆管の増生は, 月旦汁のうっ滞に対する非特異的な反応性の変化であることが示された.以上について,審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医学研究科の学位論文と
して十分価値あるものと認めた. 基礎となる学術論文 1.佐々木淳,御領政信,布留川津,大越憲章,岡田幸助(1997)ブロイラこ鶏における胆管肝 炎(Chol如obep∈心血)罷患鶏の病理,地軸の分離・同定および接種実験.鶏病 研究会報33(2):79-85.2.佐々木淳,御領政信,大越憲章,布留川洋,本田城寿,岡田幸助(1998)ブロイラー鶏にお
ける肋地面による胆管肝炎の集団発生.日本獣医師会雑誌51(9):528-532. 3.SasakiJ.,G叩M.,OkoshiN.,FurukamH.,HondaJ.andOkadaKJ位00O)Cholangiohepathis inbrderchickensinJapan:相成qpathdogical,血mlIldbistochemicalandmicrdbidogicalstudiesof spontaneousdisease.ActaV成erinariaHt画侃48(1):59-67. 4.SasakiJ.,GoryoM.andOka血K.¢00¢Chd皿由血印atkisind正cke耶hducedbybne血ct 蜘onsandh00止血皿ば地面瓜A痴瓜托血0lo訂29(5):405-410. 既発表学術論文 1.SasakiJ.,GoryoM.,As血aM.,MakaraM.,ShishidoS.andOkadaK.(1999)Hemo血agic enteritisassociated¶血h伽元払四面typeAinadog.TbeJcnmalofVeterinary_Me Science61(2)175-177. 2.帆D.,TbkahashiK.,L如N.,KodchiA,MakaraM.,SasakiJ.,GoryoM.andOkndaK.(1999) Distrib血icnonWocytesubpqpuladoninbloodandsplecnofnmalca唖andcatdewith enzooticbovineleukosis.JotmalofComparativePathology120C2):117-127.3.高見成昭,御領政信,佐々木淳,前嶋孝典,本田城寿,布留川洋,本田佳保里,岡田幸