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三層構造超伝導バルクの作製

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Academic year: 2021

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(1)

三層構造超伝導バルクの作製

小野仁*1 芳野充*2 原田 寛治*3

Fabrication of the Superconducting Bulk with Tri−layer Structures

Hitoshi ONO Mitsuru YOSHINO Kanji HARADA

Melt−processed YBa2Cu30,(Y123) superconductors are highly attractive for bulk applications, such as strong superconducting bulk magnets. Phase diagram shows a peritectic point at about 10100C where Y,BaCuO,(Y211), a liquid and Y123 coexist. We have investigated the diffusion in both the Y123 and Y211 systems using the partial melting.

We put the Y123 superconducting bulk between the Y211 bulks. The conditlons of partial melting were 10400C−5 minutes. As the result, we could have the Y211 film in the Y123 superconducting bulk named two layer structures. Furthermore we put the two layer structures between Y123 bulks and condition of repartial melting were

10400C−5minutes. This process is po$sible to produce tri−layer structures.

It was shown that levitating force in this superconducting bulk by meissner effect had a higher than one in the Y123 superconductor without Y211 film at 77K.

Key rvords. Y123 superconductors, melt process, solid solution, diffusion

1.緒  言

酸化物超伝導体が発見されて以来、様々な問題が議 論されてきた。中でも結晶粒界における弱結合のため、

臨界電流密度が低く、実用化が難しいと考えられてい た問題点が指摘される。この問題点を解決するために 部分溶融法が考案された。

部分溶融法は、イットリウム(Y)系超伝導材料の包晶 分解温度以上で加熱溶融した後、再度結晶化させるこ とで粒界を除去する方法である1)。また、この部分溶融 法はY系においてピン止め点として有効であると考えら れているY211相を超伝導体に分散できることが知ら れている。通常、Y211相を分散させる場合には種結 晶を用いるが2・ 3)、本研究では、Y123バルクをY211 バルクで挟み部分溶融を行なった。その結果、Y123 バルクを保護するようにY211相が拡散した。また、 Y2 11相には保温効果が確認でき、浮上特性が向上する

ことを見出した4)。

原稿受付 平成14年8月30日

*1専攻科電子・情報システム工学専攻

*2平成13年度電気工学科卒業(現在東芝メディカル(株))

*3電気工学科

  本研究では、部分溶融を行なった二層構造の超伝導  体に再度、部分溶融処理を施した。これにより三層構  造(超伝導層一常伝導層一霞伝導層)の超伝導体が作 り製可能となった。また、三層構造にすることにより、強  い反発・吸引力を示し、特性の向上につながったので  報告する。

2.試料作製方法

図.1に試料作製行程のフローチャートを示す。全体の 質量を15[g]として、組成比Y=Ba二Cu=1=2=3、Y:Ba:

Cu=2:1:1になるように試料を混合した。仮焼成後に 粉砕し、これを5回繰り返した。つぎに、プレス器でバル ク状に形成し、本焼成を行なった。本焼成が済んだ試 料を図2(a)のようにY123バルクをY211バルクで挟 み、部分溶融を行なった(二層構造)。図.2(b)は再部 分溶融の概略図であり、図.2(a)で作製した試料をY1 23で挟み、部分溶融を行なった(三層構造)。

材料の混合一レ仮焼成一レ粉砕一→1>

       5回繰り返す

一レ本焼成一レ部分溶融『→レ再部分溶融

図.1試料作製行程

一13一

(2)

津山高専紀要第44号 (2002)

z:Y123

     囮

ロlY211

(a)部分溶融:二層構造 (b)再部分溶融二三層構造       図.2各部分溶融概略図

3.2 SEMによる測定

3.試料の観察 3.1 各試料の内部状態

図.3、図.4にそれぞれ作製した超伝導バルクの二層構 造試料と三層構試料の内部状態を示す。

図.3に示すように二層構造試料は外側から順に、Y21 1(常伝導)一Y123(超伝導)となっている。また、三層構 造試料は図.4に示すように外側から順に、Y123(超伝 導)一Y211(常伝導)一Y123(超伝導)となっているの がわかる。

このように、Y123をY211で挟み、部分溶融を行なった 試料は二層構造になり、さらにY123で挟み再部分溶融 を行った試料は三層構造となった。

Y123

(超伝導)

Y211

(常伝導)

図3二層構造試料の内部状態

Y123

(超伝導)

Y211

(常伝導)

 三層構造試料の断面をSEMで観察した結果を図.5に 示す。また、定量分析より、図5のa〜c付近の組成比は、

それぞれBa基準で表1のようになった。

表1に示すようにa、c付近にはY123に近い組成比、 b 付近にはY211に近い組成比をもつ物質が生成されてい ることがわかった。つまり、再部分溶融を行なうことにより 超伝導体内部にY211相を作製できることがわかった。

1 Omm

図.5試料断面の写真

表1組成比の測定結果[Y:Ba:Cu]

200 m

a 1.49:2=2.90

b 2.23:1=1.02

C 1.40:2=2.80

4.実 験

図4三層構造試料の内部状態

4.1 反発・吸引力測定方法

図6に示すような簡易な装置を作製し、反発・吸引力を 測定した。秤の上に磁石を固定し、発泡スチロールの底 面に試料を取り付ける。磁石は約0.3[T]のものを4個用 い、冷媒は液体窒素(77K)とした。

磁石と試料間の距離、秤に表示される値との関係をグ ラフにする。距離は25mmを最大とし、0.5mm間隔で値 を取り、距離はノギスにを用いて計測する。距離を近づけ る場合を反発力、離していく場合を吸引力とした5)。

磁石

□弄□

図.6反発・吸引力測定装置 一14一

(3)

三層構造超伝導バルクの作製  小野・芳野・原田

4.2 反発・吸引力測定結果

部分溶融、再部分溶融の条件を1040。C−5分と一定に して作製した試料の反発・吸引力測定結果を図.7に示す。

ただし、一層構造試料は上下に何も挟まずに部分溶融を 行なった試料である。単位は各試料を比較するために

[g/cm2]に統一した。上側3本が反発力を示し、下側3本 が吸引力を示す。また、試料を冷却する場合、磁石の影 響を受けない距離に試料を配置たときをゼロ磁界冷却と

した。

図8より三層構造試料がもっとも大きなヒステリシスル ープ面積を持ち、次いで二層構造試料、一層構造試料と なっている。ヒステリシスループの面積はピン止め力に比 例して大きくなると考えられるため、三層構造試料がもっ とも強いピン止め力を保持し、本研究においては二層構 造試料の約2倍、一層構造試料の約3倍のピン止め力を 保持していることがわかった。

4.4 磁界中冷却での測定結果

8

6 4 2 0 2 

4

      一  一

﹇乍ち\図﹈R喬餐・猷輿

k反発力

一・一u・一一一w構造

+二層構造 一三層構造

:フr lo 吸引力

20 3

    距離[mm]

図.7反発・吸引力測定結果

図.7は、三層構造試料がもっとも強い反発・吸引力を示 している。これは再部分溶融により、試料内部にY211相 を拡散させたためであると考えられる。次いで二層構造 試料、一層構造試料となっている。理由として挙げられる のはY211相の有無であり、二層構造試料にもY211相 が存在するため一層構造試料より、強い反発・吸引力を 示している。

超伝導体は磁束を外部にはじき出す性質をもっており、

ゼロ磁界冷却で測定した場合、ピン止め力が強すぎると、

試料内に十分な量の磁束を閉じ込めることが出来ない。

そこで、三層構造試料は磁石上で冷却する磁界中冷却を 行ない、測定結果を図.9に示す。

o

 9■   3   4T 一   一   一

﹇乍﹂o\凶︼R一聞餐

一6

5 10 15 20 25

4.3 各ヒステリシスループ面積

+三層構造

図Bに図7における測定結果の各ヒステリシスループ 面積を示す。

53525150&   2︐  L   α

 ﹇EO\譜渥⁝回K︽﹁諸いK﹄

■一層構造

■二層構造

■三層構造

一層構造  二層構造  三層構造

        距離[mm]

図.9磁界中冷却における吸引力測定結果

図8各ヒステリシスループ面積

図.9に示すように磁界中冷却を行なった場合は、磁石と 試料の距離を離してもある程度の吸引力を保持している ことがわかった。

ピン止め点であるY211相に十分な磁束が通っている 状態において、試料が超伝導転移温度に達した場合、常 伝導であった試料に通っていた磁束はピン止め点である Y211相に保持される。これはゼロ磁界冷却に比べ、より 多くの磁束を保持することが可能であり、最大吸引力は 図.7の結果に比べ、約25倍の値を示した。

5.結 論

部分溶融を行なうことにより、ピン止め点として有効であ るY211相をY123超伝導体に拡散させることが可能で ある。さらにその試料の上下をY123バルクで挟み、再部 分溶融を行なうことにより、超伝導体内部にY211相を取 り込むことが可能となった。つまり、超伝導層(Y123)一 門伝導層(Y211)一超伝導層(Y123)からなる三層構造 試料の作製が可能となった。

一15一

(4)

津由高専紀要第44号 (2002)

本研究で作製した超伝導体は、ピン止め点を拡散させ た試料であり、それによる反発・吸引力の向上、磁束の保 持が確認できた。

謝 辞

 試料の測定や分析において、本校西彰矩技官には 適切な御指導や助言、そして多大な協力をしていただき 感謝いたします。また有益な助言を頂いた、鳥取大学の 岸田悟助教授にこの場を借りてお礼申し上げます。

参考文献

1)坂井直道・成木紳也・村上雅人1超伝導バルク磁石:応用物理

 vol.71 No.5(2002)P.580−581

2)中村雄一・塩原融=高温超伝導体バルク材料研究の進展:応用  物理voL61 No.5(1992)P456−463

3)村上雅人=高温超伝導体の材料科学一応用への礎として一=内田老  鶴圃(1999)P210−212

4)小野仁・小倉雄一・赤木美崇・原田寛治=高温超伝導バルクの  表面拡散=津山工業高等専門学校紀要vol.43(2001)P.15−18

5)芳野充、原田寛治:超伝導体の反発力及び吸引力の測定に関する  研究:平成14年度電気工学科卒業研究報告書

一16一

参照

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