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部分溶融法によるイットリウム系超伝導体の作成

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Academic year: 2021

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NDC 541.62

部分溶融法によるイットリウム系超伝導体の作成

原田 寛治* 河本 慎太郎** 野上 健*1**

Partial Melting of YBa,Cu,O. Superconductor

Kanji Harada  Sintaro Kometo  Xen Nogaai

  YBa2Cu30y superconductors have been fabricated by a combination proeess of solid−state reaction and partial melting. Sinterring the yttrium−excess YxBa2Cu30y results in extremely grains, which in turn produce uniformly distributed Y2BaCuOy during partial melting. Y2BaCuOy aets as the nucleation site for peritection.

The nureacted Y2BaCuOy seems to act as a flux pinning center. Due to this flux pinning foree,the yttrum−excess YxBa2Cu30y(x=1.15) superconduetor have critical current densities of about 35A/cm2 at 77K.

1. 緒 2. 試料の作成方法

 高温超伝導が発見されて以来(1)(2>、より高い温度で超 伝導が起こる材料の研究が多くなされてきた。そして超伝 導体の実用上座も重要な特性は、使用温度における臨界電 流の大きさであることが指摘され、臨界電流密度(Jc)

の向上についての研究が進められてきた結果、ピン止めの 導入が必要であることがわかった(3)。ピン止めとは、超伝 導体に電流を流すことによって超伝導体の中に侵入した磁 束が、磁場と電流によるローレンツカによって動くことを 抑止する働きを持つものである。そこでピン止めを簡単に 導入する超伝導体の作成方法の一つとして部分溶融法が注

目されている(4)。

 本研究ではこの部分溶融法によりイ ?トリウム系超伝導

体(YBa2Cu30y)をイットリウム(Y)の組成比を変 化させて試料を作成した。試料の評価は光学顕微鏡や走査 型電子顕微鏡(SEM)による表面・断面の観察、微小部 X線分析装置(EPMA)による定量定性分析、 X線回折 による結晶解析を行った。また四端子法により臨界温度

(Tc)、Jcを測定することによって部分溶融法におけ る超伝導体作成方法の評価を行った。

 その結果、組成比Y:Ba:Cu=1.15:2.0:3.0の試料 において液体窒素温度(77K)で35[A/cm2]の臨界電流密度 を持つ超伝導体が作成できたので報告する。

  * 電気工学科

** 電気工学科平成4年度卒業現在日産エアロスペース㈱

*** 電気工学科平成4年度卒業 現在旭f囹島島㈱

   平成5年8月31日受理

 YBa2Cu 30 tiは、図1に示すように1000℃にある Y2BaCuO5(211)と液相の包晶反応によるYBa 2Cu30。(!23>の生成反応を利用して、123相中に 非超伝導相である211相を分散させることが一般的に知

られている。

 上記のことを考慮し、下記の方法で試料を作成した。原 材料は粉末状のY203、BaCO3、CuO(フルウチ化学

;純度99,9%)を用いた。まず、総量20gになるよ うに原材料比を計算し、天秤で測り乳鉢にいれ均一になる まで混合した。次に材料を取り皿に移し、電気炉で10℃

/分で昇温し、900℃で20時間焼き、1℃/分で降温

した。その後、再び乳鉢で粉末状にし、プレス器を用い、

7MPaで5分間プレスし、ペレット状にした。そして再 び電気炉で、10℃/分で昇温し、940℃で24時間焼 き、1℃/分で降温した。最後に試料を白金台の上に乗せ、

カンタル炉に入れ、図2のような本焼成を行い、試料を作 成した。なお本研究ではYの組成比を0.8からし25まで変化

させた。

3. 試料の評価

 作成した試料が、超伝導であるかを確認する簡単な方法 として、磁気浮上(マイスナー効果)の確認がある。そこ で作成した試料をシャーレの中に置き、液体窒素により冷

却し、その上に磁石(NEOMAX;3000gauss

;100g)を乗せ、磁気浮上を観察し超伝導体であるこ とを確認した。その結果を図3に示す。

一71一

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津山高専紀要第32号 (1993)

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      COMPOSITION   図1 Y系超伝導体の相図       vee

      ハ      ゆ ゆりけ

      ε

一、π一→茜㎝  ㎜

     950

       10D

      o      20        nME伽in}

      90080D

1co o 20 IO SO     TIME (h)

図2 焼成プログラム

0 8

 図でわかるように磁石は約7mm浮いており、作成した 試料が超伝導体であることがわかった。また反発力も強く、

工夫すればかなり重いものでも浮かすことが可能と思われ

る。

 作成した試料の表面を研磨し、光学顕微鏡で観察すると、

図4のように黒い斑点のようなものが見える。これは12 3相の結晶中に残留した211相であると思われる。それ を確かめるためにYの組成比が1.15の試料について、21 1相であると思われる黒い斑点の部分に、傷を付けてSE MとEPMAにより、斑点の部分とそれ以外の部分の定性 分析を行った。その結果を表1に示す。

図4 光学顕微鏡写真     k

  3e

2

0 1

表1組成比

測定場所 Y:Ba:Cu

a 3.0:2.0:2.8 (211)

b 3.0:2.0:2.7 (211)

C 2.4=2.0:4.2 (123)

o, so

O, 90 LOO 1, 10 L20 図5 211相の面積比

 測定場所a,bが211相と思われるところで、 cが1 23相と思われるところである。なお比率はBaを基準と して計算した。表1の結果から、a, bの組成比と、 cの 組成比には明らかに違いがみられ、黒い斑点のところはそ の周りと違う組成であるといえる。また、Yの組成比を変 えることによって、この黒い斑点がどのように変化するか を調べた結果を図5に示す。図5は、光学顕微鏡により一 定の倍率で写真を撮り、その写真の何パーセントを黒い斑

一72一

(3)

部分溶融法によるイットリウム系超伝導体の作成  原田・河本・野上

点が占めるかを計算したものである。この結果よりYの組 成比が増すにつれて斑点が占める面積が大きくなっている ことがわかる。またYの組成比を少なくしたものは、表面 構造がもろく測定できなかった。

︵>E︶園σ<ト﹂O>

O, Ol

o

鼠科の断百陵;O.580翼O.405=0.275[C㎡】

 Jc監7. 9/O. 275;28. 73 [A/C証ユ

to

     5     0︷と8Sα\ハト︸=

o

g20623 92070s

0817

    50 100

     TEMPERATURE (K)

図8 Tcの測定結果

150 7,9

2.5

図6

  5,G 7.5

CURRENT(A)

Jcの測定例

0 3

X 20

0 JcCAIcrni}

へ.

10, O

90 T・くK)

O, 80 e, go

8

1, oo L10

Yの成分比(Ba ==2、CU ==3とする)

   図7 Jcの変化

1, 20

 Yの組成比が超伝導体の電気的特性にどのような影響を 及ぼすのか、四端子法によりJcとTcを測定した。Jc の測定結果を図6に、またYの組成比の違いによるJcの 変化を図7に示す。図6で試料に取り付けた電圧端子に0.

01[mV]の電圧が発生したところで超伝導状態が壊れたと判 断した。また図7より、X=1.15のときJcが高くなって いる。これはYを過剰に加えた場合、超伝導体内にピン止 めとなる211相が分散する。この211相は電流密度の 向上に貢献するが、必要以上に211相が増加すると、ピ ン止めとして働く力より、常伝導として電流流れを妨げる 力の方が強くなり、結果としてJcが下がってしまうため と思われる。

 次に、Tcの.測定結果を図8に、またYの組成比の違い によるTcの変化を図9に示す。図9を見ると、Yの組成 比の違いによるTcの結果は、Yの組成比を変えたときの

Jcの特性と同様の特性を示していることがわかる。また、

Tcが高いとJcが高くなっていることがわかる。このこ とはJc、Tcが相関関係にあることを示している。

O, 8e O,9

圏    ・    {.20

図9 Tcの変化 4. 結

 SEM、光学顕微鏡による試料の観察、 EPMAによる 定量定性分析による測定結果から、部分溶融法により作成 されたY系酸化物超伝導体は、弱結合の少ない超伝導体を 作成することが可能であることがわかった。またYの組成 比を変えるだけで大きな123相の中にピン止めとなる2 11相を分散残留することができることもわかった。上記 のことより部分溶融法では、臨界電流の向上の妨げとなる 問題をクリアすることができることがわかった。

 またY系酸化物超伝導体においてJcとTcは互いに相 関であることがわかった。ただJcの値が今までの文献に よると約104[A/cm2]のJcが得られているのに対して、

本研究で得られたJcは非常に小さい。このことは、作成 した試料はあまりJcが高くないことの他に、端子の接触 抵抗による発熱によるためではないかと考えられる。今後 は、さらに測定方法を工夫し、Jcの測定を行えば向上す るものと考えられる。

一73一

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津山高専紀要第32号 (1993)

 本研究論文は 93マテリアル・コンテストに応募し、入選 した論文を修正したものである。

 .また、本研究にあたり、本校機械工学科助教授柴田政勝 氏には、有益な御指導を頂き感謝いたします。さらに情報 工学科技官の西彰矩氏には、試料の測定をはじめ、多大の 御協力を頂き深謝致します。

5. 参 考 文 献

1

2

3

4

J.G.Bednorz and K.A.Mliller; Z.Phys.,B64(1986),

189

M.K.Wu,J.R.Ashburn,C.J.Torng,R.H.Hor,R.L.Meng,

L.Gao,Z.J.Huang,Y.Q.Wang and C.W.Chu; Phy.Rev.

Lett.,58(1987),908

A.M.Campbell and J.E.Evetts; Adv.Phys.21,(1972),

199

Eun−Hong Lee,Seok Hyun OH and Seok−Yeol Yoon;Jpn.

J.Appl.Phys.Vol.31(1992),1318

一74一

参照

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