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バルク超伝導体の保護膜による磁気浮上特性

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Academic year: 2021

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(1)

バルク超伝導体の保護膜による磁気浮上特性

赤木美崇* 原田寛治**

Magnetic float property for shield film of high Tc supereonductor

Yoshitaka AKAGI and Kanji HARADA

   Recent, NIBa2Cu:Py superconductors have made by a combination process of solid state reaction and partial melbing. ln air YBaL,Cu:P, phase diagram shows a peritectic point at about 10100C where Y,,BaCuO,,, a liquid and YBa2Cu:iO, coexist. [1]he Y2BaCuOr, acts as the nucleation site for peritectic reaction. The nureacted Y,,BaCuOs seems to act as a flux pinning center.

   We fabricated bulk superconductors to put YBa2Cu30, and Y2BaCuOr, during partial melting. As  the result,

we have found that Y2BaCuO,) can penetrate into YBa,?Cu:Py bulk superconductors. This bulk superconductor showed long magnetic float property than no penetrated Y2BaCuOr,.

   Ke.v words. Superconductor, part,ial melting, magnetic fioat property,

         1.はじめに

 高温超伝導体が発見され.て以来,より高い臨界温度

(Tc),より高い臨界電流密度Oc)を求めて,多くの研究

がなされてきた.これら酸化物超伝導体の材料物性や特 性は,従来の金属系および化合物酸化物とは異なって いる.そこで,酸化物超伝導体の中でも,最も一般的な Y−Ba−Cu−0(YBCO)系を用い,加工プロセスを工夫し た.YBCO系超伝導体は,組成比Y:Ba:Cu=1:2:3 で,Y203が高温領域で安定しているので,完全溶融状 態になりにくい.さらに,YBa,aCu30.(Y123相)超伝導相 は,Y2BaCuO5(Y211相)常伝導相と液相との包晶反応

により生成されることが知られている.この包晶反応を積

極的に利用し,ピン.止め点を導入することにより,より高 いJcを得る研究がなされているD〜3).そこで本研究では,

Y123バルクをY211バルクで挟む.ことにより,ピン止め 点であるY211相をY123バルク.表面に浸透させた.そ の結果,Y211相の浸透厚を変化させることによって,磁

気浮上特性が変わることがわかったので報告する.

 原稿受付 平成12年8月31日

*専攻科電子・情報システム工学専攻

**電気工学科

       2.試料の作製方法

 図1のようにY二Ba:Cuの組成比が1:2:3,2:1:1に

なるようにそれぞれ.均一になるまで混合し,仮焼成を行 ったのち粉砕した.この仮焼成を5回繰り返した.次に,

プレス器でバルク状にし本焼成を行い,Y123バルク, Y

211バルクを作製した.さらに,図2のように試料を置き,

部分溶融を行い,O。アニールで酸素補給を行った.

雫四季斗の混台一

仮焼成と粉砕 5画繰り返す

粁≠∫戎:+本:暁成

吾ド分}容扇虫

02アニー一.pl;一

図1 作製L程

一5一

(2)

津山高専紀要第42号 (2000)

Y£11バルク Y1鴉バルク Y211バルク

図2試料の配置

3.試料の評価

3器2伍一σ5

 ︵糾燗①oD︶云握留

0

各試料の組成比(1040。C一定)

十Y/Ba*2

i一餐F・Ba/Ba*2

1+Cu/Ba*2

O 5 10 15 20

   各溶融時間[分]

3.1 走査型電子顕微鏡(SEM)写真

図3はY123バルクをY211バルクで挟み溶融した試 料の断面SEM写真である.この写真からわかるように元 はY123相のみの試料が,溶融することによってY211 相がY123バルクに浸透していることがわかる.また, Y2

11相は側面にも浸透していることがわかった.

謙趨鍵撫

       H

        1360 m

図3試料断面のSEM写真

Y211相

3.2 組成比

図4はY123バルクをY211バルクで挟み,溶融温度を

/040℃で…定にし,溶融時間を変化させた場合の各試 料の組成比である、尚,以後の図にある溶融時間0分の 試料はY211バルクで挟んでいない試料の特性である.

図4よりCuの組成比は2.5付近であまりバラツキが無 いが,Yの組成比はバラツキが大きい.これは測定場所

にもよるが溶融条件(溶融時間)によって組成比のずれ が生じると思われる.

35

3%2価105

 ︵糾欄⑩m︶ヨ怪羅

0

図4溶融温度一定の場合の組成比

各試料の組成比(5分一定)

十Y/Ba*2

一一一

№笈鼈黶@Ba/Ba*2

一一

Vir一 Cu/Ba*2

1020 1030 1040 1050

    溶融温度[。C]

図5溶融時間.一定の場合の組成比

図5は溶融時間を5分で一定にし,溶融温度を変化さ せた場合の各試料の組成比である.図5より1040℃を 除いてYの組成比は1,Cuの組成比は3近くになってい

る.

 以上のことより,組成比に関しては溶融温度より溶融 時間を一淀にすると組成比が一定になりやすいことがわ

かった.

3.3 浮上時間・浮上高さ・浸透厚

     (溶融温度一定の場合)

 図6は溶融温度を1040℃一一定にした場合の溶融時 間に対する浸透厚・浮1二時間を示したものである.図6よ り溶融時間が長くなるにしたがって浸透厚は厚くなるが,

浮上時間は10分をピークに短くなっている.これはY21 1相がY123バルクに浸透し過ぎ, Y123相が少なくなっ たためである.

一6一

(3)

バルク超伝導体の保護膜による磁気浮上特性  赤木・西本・原田

O L..

  O 5 10 15 pm

   溶iSfi flHFII5)]

 oo

40ト「

 20酩   冤

,」 o

圏浸透厚:

1+淫ヒ時間

図6溶融時間に対する浸透厚・浮上時間     (溶融温度:/040CC)

 図7は溶融時間に対する浮上時間・浮上高さを示した ものである.図7より10分はY211相の厚さが試料の半

分まで浸透していた.また,Y2]1バルクで挟んでないも

のに比べ約5倍浮上時間は延びたが,浮上高さが低くな

った.これはY211相に保温効果があるためと思われる.

以しのことより浸透厚を溶融時間で制御することによっ

て浮上時間・浮一L高さを変化させることが出来ることがわ

かった.

3.4  浮上時間・浮上高さ・浸透厚

     (溶融時間一定の場合)

 図8は溶融時間を5分に一.一定にした場合の溶融温度 に対する浸透厚・浮1二時間を示したものである.図8の

浮し時間の変化は溶融温度を一.・定にした場合の図6と

竃iil≠

pt o.2 1

艇Ql   o

      60鞭

        .こ1舞轟

      09

1Cmo 1030 1040 1050   溶融劉虹「(]

図8溶融温度に対する浸透厚・浮上時問      (溶融時間:5分)

大差はない.しかし,溶融時間を5分…定にすると浸透 厚が薄くなっているのがわかる.

図9は溶融温度に対する浮一L時間・浮上高さを示した

ものである.図9では浮上時間が多少短くなったが,浮

上高さは浸透厚が薄いためにバラツキがなく一一定になっ

ているのがわかる.

 また表1,表2は溶融温度,溶融時間に対する浮上時

間・浮上高さ・浸透圧・臨界温度である.尚,臨界温度

(Tc)はクライオケルビン(小型冷凍機)を用いて測定を

行った.

 表1,表2よりTcは77K〜86Kと巾がある.その原因

は試料の大きさが大きく,熱容量の問題等のためと思わ

れる.今後の検討課題である.

   O 5 10 15 ro       溶融瑚嗣

  図7溶融時間に対する浮し時間・浮上高さ       (溶融H寺問:1040。C)

60 T0

S30⑳100

 ﹇の﹈踵酋﹃蹴

       8        6津

       4鍵1譲饗

       2邑

       o

lcmo la30 lo40 loso

  灘(菱

縫9溶融温度に対する浮上時間・浮一L高さ

    (溶融時間:5分)

一7一

(4)

津山高専紀要第42号 (2000)

表1溶融温度を一定にした場合(1040℃)

処理条{牛

浮上時間[S] 浮上高さ[mm]

浸透厚[mm]

臨界温度[K]

0分 10.3 6.0 0 86.2

5分 43.0 4.0 0,028 82.9

10分 52.1 3.0 0.09 84.5

15分

30.0

2.5 0.12 一

20分 9 0 0.47

iすべて) 一

表2溶融時間を一定にした場合(5分)

処理条件 浮上時間[S] 浮上高さ[mm]

浸透厚[mm]

臨界温度[K]

10200C 10.4 3.8

薄くて不明

77.6

1030。C 33.0 3.5 0,004

10400C 43.0 4.0 0,028 82.9

10500C 23.5 3・7 0.12

         4.結論

SEMによる試料の観察,それぞれの溶融条件で作製 した試料の浮上時間・浮上高さ・浸透厚の測定結果か ら,Y123バルクをY211バルクで挟むことによって,溶

融時間が長くなると浸透厚が増し,浮上時間が著しく延

びることがわかった.また,浮上時間が延びることによっ1 て浮上高さが低くなった.これは,Y211相が保温の役 割を果たすためと考えられる.特に溶融温度1040℃,、

溶融時間5分のときに浮上高さが4[mm],浮上時間が 40[S]と,Y211相がないときと比べ,浮上高さは2

[mm]低くなったが,浮上時間が約4倍も葦ぐなった.

上訳のことより・.・Y123バノヒ十寸こY興相の膜が

出来たことにより,磁気浮.ヒ特性が変化することがわか

った.

       5.参考文献

1)Ghan−Joong KIM, Hai−Woong PARK, KトBaik KIM, Kyu−Won LEE  and Gye−WonHONGiJpn.J.Appl.Phys. 34(1995) P.671−674.

2)(財)国際超伝導産業技術研究センター=

 超伝導研究・開発ハンドブックP.102−106.

3)中村・雄一・塩原融=高温超伝導体バルク材料研究  の進展=応用物理Vol.61 No.5 P456−463.

一8一

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