オ ペ レ ー シ ョ ン ズ ・リサ ー チ の 成 長 と今 後 の 課 題
若 林 信 夫
1ま え が き
1997年 は,日 本 オ ペ レー シ ョン ズ ・リサ ー チ 学 会 創 立40周 年 の 記 念 す べ き年 で あ っ た 。 ま た,北 海 道 支 部 創 立35周 年 の 年 で もあ った 。 学 会 で は記 念 行 事, 記 念 講 演 会,記 念 出 版 を行 っ て い る。また,今 後10年 を視 野 に お い た 長 期 ビジ ョ
ン[1]も 発 表 され て い る 。
本 論 文 は,オ ペ レー シ ョ ンズ ・リサ ー チ の半 世 紀 の 歴 史 の な か で 学 会 創 設 の 重 要 性 を顧 み,オ ペ レー シ ョ ンズ ・リサ ー チ の基 本 理 念 を考 察 し,コ ン ピュ ー タ との 係 わ り とそ のOR教 育 に つ い て論 じ る。 最 後 に,オ ペ レー シ ョ ンズ ・リ サ ー チ の 今 後 に つ い て考 え る1)。
1.10Rの 黎 明 期
「オ ペ レ ー シ ョ ン ズ ・リ サ ー チ は 米 国 よ り も い ち は や く英 国 で 始 ま っ た 。」
と い わ れ る 。 こ の 意 味 す る と こ ろ は,研 究 者 の 集 団 で あ る 学 会 の 成 立 に つ い て で あ る 。 当 初 は,オ ペ レ ー シ ョ ナ ル リ サ ー チ と呼 ん だ が1949年 に ノ ー ベ ル 物 理 学 賞 を 受 賞 し たPatrickBlackettの 研 究 者 集 団 の 産 物 で あ る 。
1)記 念 行 事 等 につ い て は 「オ ペ レ ー シ ョ ン ズ ・リ サ ー チ 」 誌 の 会 告 を 参 照 せ よ 。 私 自 身 は,創 立40周 年 記 念 長 期 計 画 委 員 会 の 一 メ ンバ ー と して 長 期 ビ ジ ョ ン の 参 画 に携 わ る こ と が で きた 。委 員 会 の 多 くの メ ンバ ー,と り わ け,委 員 長 の 梅 沢 豊 氏(東 京 大 学)に 謝 意 を表 し た い 。
〔23〕
Blackettら は レ ー ダ ー を 用 い て ドイ ツ 軍 の 爆 撃 機 や 対 空 火 器 の 防 御 に 多 大 の 貢 献 を し た 。3人 の 生 理 学 者,2人 の 数 学 者,2人 の 数 理 物 理 学 者,天 文 学 者 と 陸 軍 技 師,測 量 技 師 の チ ー ム か ら構 成 さ れ,軍 の 作 戦 研 究 に あ た っ て い た が 科 学 と社 会 の 問 題 に も 深 い 関 心 が あ っ た の で 戦 後 は 方 向 転 換 を し て い る 。
1950年3月 に こ のOperationalResearchClubに よ り()perationalResearch QuarterlyのVol.1No.1が 出 版 さ れ て い る 。
こ の 雑 誌 の 主 目 的 は,ORに 関 連 し た 文 献 を1個 所 に 集 め る こ と で あ り,い くつ か の ア ブ ス ト ラ ク ト(論 文 要 約)と 論 文 か ら な っ て い る 。 前 者 に は,1934 年 と1937年 に 発 表 さ れ た 生 産 管 理 と道 路 交 通 に 関 す る も の で あ る 。 後 者 の 論 文
はBlackettの も の で そ の 表 題 が,"OperationalResearch"で あ る 。ORと は 軍 事,産 業 を 含 む 社 会 シ ス テ ム の 科 学 的 方 法 の 適 用 で あ り,さ ら に 科 学 的 方 法
と は,観 察,実 験,推 論(演 繹 的,帰 納 的)に よ る 考 察 で あ る と し て い る 。 2年 以 上 遅 れ て,ア メ リ カ の()PerationsResearchが 発 行 さ れ る 。1952年1月, 10人 の 設 立 準 備 会 が ボ ス ト ン 近 郊 で 開 か れ,同 年4月,ORSA(Operations
ResearchSocietyofAmerica)が 創 設 さ れ,同 年11月,上 記 の 機 関 誌 が 出 版 さ れ た2)。 設 立 目 的 は 英 国 と ほ ぼ 同 じ で あ る が 設 立 メ ン バ ー は 大 部 分 が 物 理 学 者 で あ っ た 。 初 代 会 長 のPhilipMorseはOperationsResearchが 軍 事 サ ー ビ ス は も と よ り工 業,商 業,政 府 の オ ペ レ ー シ ョ ン の 研 究 の 進 歩 と 知 識 の 普 及 に 貢 献 す る た め に 学 会 が 必 要 で あ る こ と を 述 べ て い る 。 オ ペ レ ー シ ョ ン ズ ・リ サ ー チ 誌 の 最 初 の 論 文 は サ ー チ(探 索)理 論 の 創 始 者B.Koopmanの 変 分 法 の 適 用 に つ い て で あ る 。 オ ペ レ ー シ ョ ン ズ ・リ サ ー チ の 定 義 は モ ー ス と キ ン ボ ー
2)ORSAの 創 設 の 翌 年,TIMS(ThelnstituteofManagementSciences)と
SIAM(SocietyforIndustrialandAppliedMathematics)が 相 次 い で 発 足 し, そ れ ぞ れManagementScience(1954)と ∫ozarnaloftheSocietyforlndustrial
andAPPIiedMathematics(1953)を 発 刊 し て い る 。 オ ペ レ ー シ ョ ン ズ ・ リ サ ー チ の 研 究 は,初 期 に は 計 量 経 済 学 会 の 機 関 誌Econometricaに も 多 く 掲 載 さ れ て い る 。 計 量 経 済 学 会 は,1930年 に 統 計 学,数 学 を 援 用 し て 経 済 理 論 の 進 歩 に 貢 献 す る こ と を 目 指 し て,1.Fisher(初 代 会 長)とR.Frisch(Econometricsの
命 名 者,最 初 の ノ ー ベ ル 経 済 学 賞 受 賞 者)に よ っ て 創 設 さ れ た 。
URL:http://www.econometricsociety.org/参 照 。
オ ペ レー シ ョ ンズ ・リサ ー チ の 成 長 と 今 後 の 課 題 25 ル に よ り,以 下 の よ う に与 え られ 長 く引 用 さ れ て きた 。(オ ペ レー シ ョ ンズ ・ リサ ー チ もオ ペ レー シ ョナ ル リサ ー チ も同義 と し,ORと 省 略 す る 。)
「ORと は経 営 執 行 部 に彼 らの 管 理 下 に あ る オ ペ レー シ ョ ンに 関 す る 諸 決 定 を 下 す た め の 数 学 的基 礎 を提 供 す る 科 学 的 方 法 で あ る。」
日本 の オ ペ レ ー シ ョ ンズ ・リサ ー チ 学 会 は ア メ リ カ よ り5年 遅 れ,英 国 か ら は7年 遅 れ て1957年6月 発 足 した 。 発 足 の経 緯 につ い て若 干 触 れ て お こ う。
1955年(昭 和30年)11月 に大 阪 大 学 の 目崎 憲 司 を代 表 理 事 とす る経 営 科 学 協 会 が 設 立 され,機 関 紙 「経 営 科 学 」第1巻 第1号 が 翌 年 の3月 に発 行 され て い る 。
内 容 は,線 形 計 画 法,在 庫 管 理 とい っ た 最 先 端 の研 究 で あ る 。他 方,関 東 で は1957 年6月15日 に慶 応 大 学 に約200名 が 集 ま っ て前 記 の 経 営 協 会 を吸 収 す る形 で 日本 オ ペ レー シ ョ ン ズ ・ リ サ ー チ 学 会 の 設 立 総 会 が 開 か れ,久 留 島 秀 三 郎 (1888‑1970,同 和 鉱 業 社 長,日 本 ボ ー イ ス カ ウ ト会 長)を 会 長 に選 び発 足 す る。
機i関誌 は 「経 営 科 学 」 第2巻 第1号(1957年9月)に 合 流 す る こ と に な る。
学 会 はORの 理 論 研 究 と実 践 を通 じて 日本 経 済 の 学 術,産 業,文 化 の発 展 に 少 な か らず 貢 献 して きた が,主 要 な 活 動 は,邦 文 月 刊 誌 「オ ペ レー シ ョ ンズ ・
リサ ー チ 」,欧 文 の 季 刊 誌Journalofthe()PerationsResearchSocietyo.〃 砂 σ〃
の 発 行,年2回 の研 究発 表 会,各 種 の 研 究 会,講 演 会 の 開 催 で あ る。
日本OR学 会 は 支 部 づ く り を積 極 的 に 推 し進 め,北 海 道 支 部 は,1963(昭 和38) 年5月,古 瀬 大 六(小 樽 商 科 大 学)を 支 部 長 に発 足 した 。札 幌 鉄 道 管 理 局,日 本 電 信 電 話 公 社,北 海 道 電 力,北 海 道 大 学 所 属 の 支 部 会 員 は 同 年10月 の 全 国大
会 を成 功 に 導 い た。
日本OR学 会 は,現 在,約3000名 の 会 員 か ら構i成され,北 海 道 支 部(約80名), 東 北 支 部,中 部 支 部,関 西 支 部,中 国 四 国支 部,そ して 九 州 支 部 か らな る。 当 初 は,旧 国鉄 の サ ポ ー トが 強 か っ た が,現 在 は 電 力 会 社 の 貢 献 が 顕 著 で あ る。
日本OR学 会 は,1973年 社 団 法 人 とな り,学 会 の 地 位 を強 固 に した 。
1.2変 節 期 のOR
前 節 で は,オ ペ レー シ ョ ンズ ・リサ ー チ の発 展 が,学 会 組 織 の 基 盤 整 備 と深
い 関 係 が あ る と み て,そ の 黎 明 期 を 中 心 に 見 て き た 。 今 日,世 界 のORの 学 会 はIFORS(lnternationalFederationofOperationalResearchSocieties)と
い う 国 際 連 合 の も と に 階 層 化 さ れ て い る と み る こ と も で き る 。 日 本 のOR学 会 は,ま た,1985年 か ら ア ジ ア 太 平 洋 地 区 のOR学 会 連 合,通 称,APORS
(AssociationofAsia‑PacificOperationalResearchSocieties)の 中 心 メ ン バ ー で あ る3)。
現 在,日 本 は ア メ リ カ に 次 い で 第2の 会 員 数 を 誇 る が そ の 規 模 や 増 加 率 は 決 し て 大 き く は な い 。 そ れ は 全 世 界 に つ い て い え る 。 ア メ リ カ で は 学 会 の み な ら ず,大 学 のOR学 科 や 企 業 のOR部 門 に お い て も 統 合 や 廃 止 が 進 ん で い る 。 い
わ ゆ る,リ ス ト ラ で あ る 。
具 体 的 に は,名 門Stanford大 学 のOR学 科 は1996年EngineeringEconomic Systems学 科 と 一 緒 に な りEESOR学 科(DepartmentofEngineeringEcono‑
micSystemsandOperationsResearch)と な っ た 。 研 究 分 野 の 重 複 も さ る こ と な が ら,学 科 を 運 営 す る た め の 研 究 資 金 の 逼 迫 が 最 大 の 要 因 で あ ろ う。現 在, 同 学 科 の 基 本 理 念 は,オ ペ レ ー シ ョ ナ ル で 戦 略 的 で,か つ,政 策 的 な 問 題 を 論 一 理 的,数 理 的 な モ デ ル を 用 い て 洞 察 な い し解 を 提 供 す る こ と で あ る と し て い る 。
ま た1995年 ア メ リ カOR学 会 もTIMS(TheInstituteofManagementSci‑
ences)と 合 併 し てINFORMS(INstituteForOperationsResearchandthe‑
ManagementScinces)と な っ た 。INFORMSは イ ン タ ー ネ ッ トを 通 じ てOR /MSの 現 状 を 即 時 に 伝 え て い る 。URL:http://www.informs.org/を 参 照 せ よ 。
企 業 の み な らず,学 会 組 織 に も 大 き な リ ス ト ラ が 進 行 し て い る が,日 本 の 学 会 で は 議 論 は な さ れ て い る も の の 実 現 に 至 っ て い な い 。 そ の 理 由 は,非 営 利 団 体 のM&Aは 歴 史,財 産,コ ス ト対 ベ ネ フ ィ ッ トの 観 点 で 消 極 的 に な ら ざ る
を 得 な い か ら で あ ろ う 。
次 節 で は 今 後 の 展 望 も 含 め て,オ ペ レ ー シ ョ ン ズ ・ リ サ ー チ の 現 状 を 考 察 し た い 。
3)IFORSの 下 に は,APORSの ほ か,ヨ ー ロ ッパ 連 合 のEURO,北 米 のNORMA, 南 米 のALIO等 が あ る。
オ ペ レ ー シ ョ ン ズ ・リサ ー チ の 成 長 と今 後 の 課 題 27
20Rの 基 本 理念
オ ペ レ ー シ ョ ン ズ ・リ サ ー チ と は 何 か 。
伝 統 的 に は,前 節 の モ ー ス と キ ン ボ ー ル の 定 義 に 準 拠 し て,「 科 学 的 方 法 お よ び 用 具 を シ ス テ ム(体 系)の 運 営 方 策 に 関 す る 問 題 に 適 用 し て 方 策 の 決 定 者 に 問 題 の 解 を 提 供 す る 技 術 」 と 定 義 さ れ て い る(JIS(日 本 工 業 規 格)OR用 語, Z8121‑1967)。 ま た,OR事 典(日 科 技 連,1975)に よ れ ば,「ORは 政 府 機 関, 公 共 事 業 体,企 業 な ど の 組 織 の 長 や 中 間 管 理 層 に 判 断 の 基 礎 を 提 供 す る こ と」
で あ る 。 両 者 に 共 通 し て い る の はORは 意 思 決 定 の た め の 情 報 提 供 の 役 割 で あ る 。 し か し,イ ギ リ ス のCOD(TheConciseOxfordDictionary)を 見 る と1982 年 版 が
scienti且cstudyofbusinessandotheroperations,providingquantitative basisformanagementdecisions,
1995年 版 が
theapplicationofscientificprinciplestobusinessmanagement,providinga quantitativebasisforcomplexdecisions.
と な っ て い る 。 ア メ リ カ のRandomHouseDictionaryofEnglishLanguage (2nded.1987)に よ れ ば,
theanalysis,usuallyinvolvingmathematicaltreatment,ofaprocess,prob‑
lem,oroperationtodetermineitspurposeandeffectivenessandtogain maximumef丘ciency.
と な っ て い て,そ の 定 義 は 方 法 論 の 色 彩 が 強 い 。 こ れ ら を み る と オ ペ レ ー シ ョ ン ズ ・ リ サ ー チ は 常 に 実 践 的 な 価 値 を 視 座 に 置 い て い る 。
成 功 し た 適 用 例 の 積 み 重 ね は も ち ろ ん 重 要 で あ る が,決 定 や そ の プ ロ セ ス の 論 理 的 整 合 性 や グ ロ ー バ ル な も の の 見 方 が も っ と 重 要 で あ ろ う 。
1980年 代 に な る と科 学 技 術 の 目 覚 しい 進 歩,産 業 経 済 シ ス テ ム の 高 度 化,消 費 者,住 民 の 意 識 や 価 値 観 の 変 化 が 著 し い 。 そ れ に 伴 い,ORが 手 法 偏 重 か ら 脱 皮 し,数 量 的,論 理 的 な 解 析 を通 して 産 業 お よ び 社 会 に 貢 献 し う る と き に 至 っ た 。
40周 年 記 念 長 期 計 画 の 基 本 理 念 は,長 期 ビ ジ ョ ン[1]に よれ ば,将 来 のOR の あ る べ き姿 と して,
(1)オ ペ レー シ ョ ンや 複 雑 な シス テ ム 上 の 各 種 問 題 を科 学 的,数 理 的,数 量 的 に解 決 す る方 策,手 法 の研 究 に 加 え て,新 た に オ ペ レー シ ョ ン 自体 を探 求 目 標 とす る 。 す な わ ち,
(2)オ ペ レー シ ョ ン,プ ロ セ ス,複 雑 な シス テ ム とそ の マ ネ ジ メ ン ト,コ ン トロ ー ル を研 究 対 象 とす る。
こ れ か らのORは 新 しい 適 用 分 野 に積 極 的 に 参 入 を 図 っ て い か な け れ ば な ら ない 。
具 体 的 に は,次 の5点 を揚 げ て い る 。
1.ロ ジ ス テ ィ ク,フ ァ イ ナ ンス,情 報 ネ ッ トワ ー ク,行 政 な ど比 較 的 未 開 拓 な分 野
2.高 齢 化,地 球 環 境,食 料,医 療,教 育,災 害 対 策 な ど グ ロ ーバ ル な社 会 的 課 題
3.情 報 シ ス テ ム な どの 近 接 領 域 との 連 携 の 強 化
4.顧 客,従 業 員,住 民 な ど具 体 的 な人 間 を モ デ ル の 中 に取 り込 む。
5.従 来 か ら戦術 論 は あ った が,コ ア コ ン ピ タ ンス の よ うな 戦 略 論 は なか っ た 。 戦 略 論 へ の 接 近 を はか る 。
これ ら の 課 題 設 定 は,ORワ ー カー に と っ て は 考 え るべ き事 柄(Foodfor thought)で あ る。 学 会 が これ か ら10年 間 の 視 野 で どれ く らい 取 り組 め る か は 会 員 の 増 強 に もか か っ て い るが,難 問 で あ る こ とは 間 違 い な い 。
JohnA.White(米 国 科 学 財 団)[9]はOR/MSの 存 在 定 理 に お い て 証 明 無 しに,次 の4つ の 必 要 十 分 条 件 を あ げ て い る。
1.現 実 世 界 の 問 題 を解 け 。
2.ク ロ ス ・デ ィ シ プ リナ リ な チ ー ム ァ プ ロ ー チ を採 用 せ よ。
3.女 性,少 数 民 族,身 体 障 害 者 の 参 加 を促 進 せ よ。
4.国 家 の教 育 制 度 の 強化 に貢 献 せ よ。
この う ち,最 初 の2つ はOR/MSの 基 本 理 念 で もあ るが,3に つ い て は なぜ
オ ペ レー シ ョ ンズ ・リサ ー チ の 成 長 と今 後 の 課 題 29 OR/MSに 特 異 な 要 請 で あ る か 不 明 瞭 で あ る。4に つ い て は 日本 の 教 育 制 度 を 推 奨 して い る が,そ れ は 平 均 した 数 理 的 能 力 の優 劣 で あ っ て,個 性 の尊 重,き め細 か さ,チ ー ム共 同作 業 の 教 育 で は外 国 に 学 ば な けれ ば な ら な い。
い ず れ に せ よ,ORの 成 否 はORに 携 わ る一 人 一 人 が グ ロ ー バ ル で現 実 的 な 視 野 の も とに 課 題 解 決 す る こ とが で き るか に か か って い る 。
3コ ン ピ ュ ー タ併 用 のOR
ORは 問 題 の 定 式 化,解 の探 索,解 の提 示 の い た る と こ ろで コ ン ピ ュ ー タ と 深 い 関 連 が あ る 。 本 節 は コ ン ピ ュ ー タ ・イ ンテ ン シ ブ な,あ るい はパ ソ コ ン指 向 のORの 現 状 と問 題 点 を検 討 す る。
ORは 伝 統 的 に コ ン ピ ュ ー タ と密 接 な 関 係 が あ る。 こ れ まで3つ の 大 き な変 革 を見 る こ とが で き よ う。
第1は,汎 用 計 算 機 に よ る 線 形 計 画 法 の 実 現 で あ る。 特 にOrchard‑Hays の 貢 献,た とえ ば,逆 行 列 の コ ンパ ク ト化,疎 行 列 の 処 理,数 値 安 定化 の 保 証 は大 規 模 な線 形 計 画 問題 の コ ン ピュ ー タ コ ー ドの 基 本 要 件 と し て実 現 され て き た 。
最 初 に もっ と も成 功 した 応 用 は石 油 精 製 の プ ロセ ス 管 理 で あ る。 輸 送 と ロ ジ ス テ ィ ック(流 通),人 員 配 置 問 題 の解 も初 期 の成 功 例 で あ る。
第2は,ACM(AssociationforComputingMachinery,ア メ リ カ計 算 機 学 会)に よる 計 算 機 科 学 の 確 立 で あ る。特 に,ア ル ゴ リズ ム と デ ー タ構 造 の 理 論 は, ORの 例 題 を吸 収 し,数 理 計 画 言 語 コ ンパ イ ラ を作 る ま で にい た っ た 。
この 段 階 で は,オ ペ レー シ ョ ンズ ・リサ ー チ の 解 の 探 索 問 題 が 計 算 機 科 学 あ る い は情 報 科 学 の サ ブ セ ッ トに な っ た。ORの 固 有 の 問 題 とい う の は,い か に 定 式 化 す る か,そ して得 られ た解 を ど の よ うに 解 釈 し,提 言 に結 び付 け るか で あ る。ORは こ の 観 点 に お い て,一 個 の独 立 な科 学 と して 存 立 し得 る。
第3は,現 今 のPCと イ ン ター ネ ッ トの ブ ー ム の 中 でORの 普 遍 的 な 知 の 共 有 で あ る 。PCや イ ン ター ネ ッ トの 稀 少 資 源 の 効 率 的 な配 分 問 題 をエ ン ドユv…
ザ が 意 識 す る こ と な く対 話 的 に 実 現 す る よ う に な っ た の は,ORが 「知 の イ ン フ ラ」(刀 根 薫 日本OR学 会 会 長 の 言 葉)に 移 行 して い る証 左 で も あ る 。
3。1実 践 的OR
お よ そ10年 前,真 鍋 ら の 「文 科 系 の コ ン ピ ュ ー タ/応 用 篇:表 計 算 ソ フ トの 活 用 」(岩 波 書 店,1988)はLotus1‑2‑3を 用 い て オ ペ レ ー シ ョ ン ズ ・ リ サ ー チ の 輸 送 計 画,在 庫 と待 ち 行 列 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン,産 業 連 関 分 析 等 の ワ ー ク シ ー ト上 の 実 践 を 行 っ て い る 。
同 書 は 基 本 的 な モ デ ル 作 成 か ら解 の 導 出 を 表 の 上 で 明 瞭 に 扱 っ たORの 優 れ た 書 物 で あ る が,残 念 な が ら,最 適 化 の ツ ー ル が 開 発 さ れ て い な か っ た た め に 物 足 り な か っ た 。
Microsoft社 のExcelは4版 よ り米 国FrontlineSystems社 のSolverを ア ド イ ン ソ フ ト と し て バ ン ド ル し た(ア ドイ ン ソ フ トで あ る か ら オ プ シ ョ ン の 形 を と っ て い る の で イ ン ス ト ー ル の 際 に は 注 意 が 必 要 で あ る)。ソ ル バ ー は ス プ レ ッ
ド シ ー トで デ ー タ整 備 さ れ た も の を パ ラ メ ー タ 設 定 し て 解 を 導 く ソ フ トウ ェ ア ー で あ り,対 話 的 で 実 践 的 な オ ペ レ ー シ ョ ン ズ ・ リサ ー チ に 大 き な イ ン パ ク ト を も た ら し て い る4)。 現 在,ソ ル バ ー はExcelの み な ら ず,Lotus1‑2‑3へ の 組 み 込 み も可 能 に な っ て い る の で 最 適 化 機 能 を も っ た 表 計 算 ソ フ ト はOR入 門 の イ ン フ ラ ス ト ラ ク チ ャ と い え る 。
ソ ル バ ー は 元 々 は 制 約 付 の 最 適 化 問 題 を 解 く こ と に あ っ た が,そ の 特 殊 な 場 合 で あ る,連 立 方 程 式 の 解 を 求 め る こ と も で き る 。 ま た,パ ラ メ ー タ の 変 動 に 基 づ く シ ミ ュ レ ー シ ョ ン も 可 能 に な っ て い る 。
4)INFORMSの あ る 教 育 部 会 は,オ ペ レ・一 シ ョ ンズ ・リ サ ー チ/マ ネ ジ メ ン トサ イ エ ン ス(OR/MS)の 入 門 を教 育 す る さ い,ス プ レ ッ ドシ ー トを採 用 す る こ と はOR/MSの 「配 達 車 」 と な っ て い る と勧 告 し て い る[7]。 ス プ レ ッ ド シ ー ト ソ フ トはOR/MS教 育 の 修 了 後 も市 販 の 特 殊 目 的 の 統 計/ORパ ッケ ー ジ よ り郁 ま る か に 利 用 さ れ る で あ ろ う。
オ ペ レー シ ョ ン ズ ・リ サ ー チ の 成 長 と今 後 の 課 題
3ヱ
(1)方 程 式 の解
Exce1の 基 本 関 数 に は 連 立 方 程 式 を解 く関 数 が な い(ゴ ー ル シー ク は あ る)。
例 え ば,Aを 与 え られ た 正 方 行 列,bを 与 え られ た ベ ク トル と して,線 形 連 立 方 程 式
.4x=b
の 未 知 ベ ク トル κを解 くた め の もの は ない が,表 の よ うな 関数 が 用 意 され て い る。
行 列 計 算 処 理関 数
行 列 式 =MDETERM(1引 数) 行 列 の 積 =MMULT(2引 数) 行列 の転 置 =TRANSPOSE(1引 数) 逆 行 列 =MINVERSE(1引 数)
(関数 を入 力 後 にCtrlキ ー を押 した ま まShiftキ ー とEnterキ ー を 同 時 に押 す こ とが 肝 心 で あ る 。)
そ こ で 逆 行 列A'1を 求 め る た め の=MINVERSE()と 行 列 とベ ク トル の 積 を求 め る=MMULT(,)を 使 え ば,一 見 困 る こ と は な い が,ゴ ー ル シ ー クお よ び ソ ルバ ー は,右 辺 と係 数 行 列 を与 え た と き,ど の よ うな 組 み 合 わせ で 解 を構 成 す る か を見 い だ す こ とが で き る。 そ こに は,計 算 誤 差 の 大 きい逆 行 列 計 算 は 存 在 しな い 魅 力 が あ る。
(2)制 約 付 の 最 適 化 問 題
多 数 の 等 式,不 等 式,符 号 制 約 の も とで 目的 関数 を 最 大 ま た は最 小 にす る よ う な最 適 な解 を 求 め る問 題 は,ORの 標 準 的 な 「数 理 計 画 問 題 」 で あ る。 経 済 学 の 「最 適 な資 源 の 配 分 」 に相 当 す る。 サ ミ ュエ ル ソ ン らの 経 済 学 で は伝 統 的 に定 性 的 な解 の性 質 の 吟 味 と比 較 静 学 に と ど ま っ て い た 。 現 在 のORで は最 初 に計 算/定 量 あ りき で あ る 。
ソ ルバ ー を使 う上 で はパ ラ メ ー タ の設 定 に注 意 を払 わ な けれ ば な ら な い。 た と え ば,線 形 計 画 を解 こ う とす る な らば,オ プ シ ョ ンで 「線 形 モ デ ル で 計 算 」
を チ ェ ッ ク し な い と 準 ニ ュ ー ト ン 法 で 解 い て し ま う た め に,あ る 場 合 に は,計 算 時 間 や 計 算 精 度 で 問 題 が 生 じ る 。
非 線 形 の 問 題 で は 収 束 の 許 容 限 界 の 設 定 が 難 し く,試 行 錯 誤 に よ ら な け れ ば な ら な い こ と が あ る 。 実 行 経 過 の 補 助 情 報 が も ら と提 供 さ れ る か 自 動 化 さ れ る と 有 り 難 い 。
な お,最 近FrontlineSystems社 はVisualBasic,C/C++,Fortran言 語 か ら 呼 び 出 せ る よ う な ソ ル バ ー を 提 供 し て い た り 数 理 計 画 モ デ リ ン グ 言 語 の AMPLと ド ッ キ ン グ し た ソ ル バ ー を 別 個 に 提 供 し は じ め た 。(URL:http:
//www.frontsys.com/参 照)
3.2ソ ル バ ー の 使 用 例
本 節 で は,Excelソ ル バ ー の使 用 例 を示 す5)。
OR(数 理 計 画)問 題 の 中 で も っ と も直 観 的 な例 題 は,「 ナ ッ プザ ック 問 題 」 で あ る。 制 約 式 が1つ,決 定 変 数 が 悉 無 条 件,最 大 化 す べ き 目的 関 数 が あ る 。 具 体 的 な 数 値 デ ー タ例 は,次 図 の ワ ー ク シー トの 中 に あ る よ うに6種 類 の 品物' とそ れ ぞ れ の1個 あ た りの重 さ と効 用 で あ る。 重 さの 単 位 は,キ ロ グ ラ ム,効 用 の 単 位 は,ユ ー テ ィル と し よ う。 ナ ップ ザ ック の積 載 重 量 制 限 は,20キ ロ と す る と き,総 効 用 を 最 大 にす る に は どの 品 物 を選 ん で 詰 め た ら よい か が 解 くべ き問 題 で あ る。 た だ し,ど の 品 物 も1個 よ り多 く詰 め る こ と は で き ない 。
こ の 問 題 をExcelソ ル バ ー で解 くに は 次 の2段 階 を 踏 む 。
1.前 準 備:与 え られ た デ ー タ を ワ ー ク シー トに入 力 し,決 定 変 数 の 初 期 解 を 任 意 に与 え,そ の と きの 総 重 量 と総 効 用 を計 算 す る 。図1で は初 期 解 が す べ て1, 総 重 量 は セ ルC12,総 効 用 は セ ルD12に 数 式 バ ー で 見 られ る よ うな 算 式 で 求 め て い る。
5)拙 稿,[3]参 照 。
オ ペ レ ー シ ョ ン ズ ・リ サ ー チ の 成 長 と今 後 の 課 題 33
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ナ ップ ザ ック 問 題(制 限 重 量 内 で 効 用 最 大 に な る よ う選 択 す る)
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図1Excel97で の 入 力 画 面
2.実 行 段 階:「 ツ ー ル 」(T)バ ー か ら ソ ル バ ー を 選 び,パ ラ メ ー タ 設 定 画 面 で パ ラ メ ー タ を 正 し く 設 定 し,オ プ シ ョ ン を 確 認 し,「 実 行 」(S)ボ タ ン を 押 す 。 以 下 の 図2参 照 。
一懲的協卿顧 圏 蟄撚・編献鞭 「齢醐 ぐ魍・欝… 劇
謝 懲 捗るセ織 …
$E$4$E$9
調約桑麹
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$C$12く=$C$11
$E$4$E$9=ハ 尋イナリ
」
型型 難 ナト⑳
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図2Excelの ア ドイ ン ソ フ ト 「ソ ル バ ー 」 の パ ラ メ ー タ 設 定 画 面
以 上 で,(も し,あ れ ば)最 適 解 が 得 られ る 。 この 場 合 は,1(寝 袋),3(缶 詰),4(乾 パ ン),6(手 斧)を 詰 め る と制 限重 量 ち ょう どに な り,総 効 用80ユ ー テ ィル に な る 。(ワ ー ク シ ー トは 省 略)
ORの 最 終 目的 は,計 算 の 実 行 で は な く,実 行 結 果 の 解 釈 と報 告 書 の 作 成 に あ る こ と は い う まで もな い 。
ソ ル バ ー は,最 適 解 を得 た 後,解 答 の 一 覧 表 示,最 適 解 の感 度 分 析,条 件 変 化 分 析 が 可 能 に な っ て い る。(た だ し,感 度 分 析 と条 件 変 化 分 析 は整 数 計 画 で は不 可 で あ る。)
3.3PC併 用 教 育 の 問 題 点
ORの 教 育 に は,企 業 内教 育 で あ れ,大 学 教 育 で あ れ,さ ま ざ ま な形 態 が あ る 。 こ こ で は,大 学 の パ ソ コ ン を座 右 に お い た,い わ ば,PCイ ン テ ン シブ 教 育 を 考 え る 。 そ の 中 で さ ま ざ ま な 問 題 点 が 発 生 して い るが 次 の3点 を指 摘 す る。
第1は,新 しいハ ー ドウ ェ ア の 利 用 可 能性 とそ れ に 関 連 す る ソ フ トウ ェ ア の 利 用 可 能性 で あ る。
日本 の 国 立 大 学 の情 報 処 理 セ ン ター は4年 間(48ヶ 月)の レ ン タル 契 約 で コ ン ピ ュ ー ター 式 を更 新 で き る。 そ れ 自体 は評 価 す べ きこ とで あ るが,4年 間 の 継 続 利 用 で は 計 算 機 環 境 の 日進 月歩 の 進 歩 に大 き く遅 れ て し ま う。 教 師 や 学 生 は,手 元 の 新 しい 計 算 機 環 境 で 問 題 を解 い て も画 一 し た教 育 現 場 で は古 いOS 環 境,古 い 版 の ソ フ トで準 備 しな け れ ば な らな い 。そ れ に 関係 し て,ソ フ トウ ェ
ア の ラ イ セ ンス の 問 題 も無 視 で きな い 。
これ に対 処 で き る代 案 と して提 示 され て い る の が,ネ ッ トワー ク コ ン ピ ュ ー タ の 導 入 で あ る 。 しか し,ラ イ セ ンス 問 題 が 残 る こ と,ま た,実 施 例 が 少 ない た め,未 知 数 で あ る。
第2は,ハ ー ドウ ェ ア と コ ン ピ ュ ー タ環 境 が 技 術 の 進 歩 と と も に絶 え ず 変 化 して い る こ とで あ る。 教 師 は 現 行 の潮 流 に従 うた め に常 に最 新 の 情 報 を 持 っ て い な け れ ば な らな い 。 計 算 環 境 の急 速 な変 化 と変 更 につ い て知 る こ とは 自然 に 獲 得 で き る もの で は な く,積 極 的 に マ ス メ デ ィ ア を通 じて求 め て い か な け れ ば
オ ペ レー シ ョ ンズ ・リ サ ー チ の 成 長 と 今 後 の 課 題 35 な ら な い 。
Excelは こ こ 数 年,第4版 か ら,5版,7版(Excel95),Excel97と 急 激 に 改 版 が な さ れ て い る 。改 版 に 伴 な っ て,機 能 が 増 加 し,処 理 ス ピ ー ドが 上 が っ た こ と は 言 う ま で も な い が,操 作 性 は 大 き く 変 わ り初 心 者 や 教 師 に 戸 惑 い を 与 え た 。 た と え ば,「 ソ ル バ ー 」 は4版 で は メ ニ ュ ー バ ー の 「式 」 か ら選 ん だ が,
5版 以 降 で は,「 ツ ー ル 」 か ら選 ぶ 。 グ ラ フ 描 画 で も 同 様 の こ と が 起 こ っ た が ア イ コ ン に よ っ て よ り わ か りや す く な っ た 。
機 能 の 改 変 で は,「ソ ル バ ー 」に お け る2値 変 数 の 指 定 を あ げ る こ と が で き る 。 第7版 ま で は,2値 変 数 を 指 定 す る に は,た と え ば,
A10:A44>=0,A10:A44〈=1,A10:A44=intの3つ の 条 件 が 必 要 で あ っ た が,
Excel97に い た っ て は,A10:A44=binと す る だ け で よ く な っ た 。 上 記 は,Excelの 改 版 に 基 づ く ト ラ ブ ル の 一 例 で あ る が,Mathematica Ver.3,M}4TLABVer.5.1,S‑plusVer.2.0で も 同 様 な 問 題 が 発 生 し た 。 こ れ は 大 部 分 ユ ー ザ が ソ フ ト ウ ェ ア の 提 供 側 の 情 報 に 十 分 つ い て い け な い こ と に よ る 。
最 後 の 第3点 は,OR教 育 に 携 わ る ア メ リ カ の 大 学 教 師 の 悩 み で あ る 。[4, P.294コ
OR教 育 にPCイ ン テ ン シ ブ な 時 問 を 費 や す に 値 す る か と い う こ と で あ る 。 こ こ で 時 間 と い う の は 演 習 に 至 る ま で の 貴 重 な 準 備 時 間 や 後 始 末 の 時 間 も 考 慮 し な け れ ば な ら な い 。 演 習 の 結 果 提 出 さ れ る レ ポ ー ト は し ば し ば 間 違 っ て い る こ と が あ る 。 そ の 理 由 は,入 力 の 問 題 で あ っ た り,ソ フ トウ ェ ア の 質 の 問 題 で あ っ た り,数 値 誤 差 の た め で あ る 。 教 師 は そ れ ら に 応 え て や ら な け れ ば な ら な い 。 提 出 さ れ た レ ポ ー トは 他 の 履 修 者 の コ ピ ー に す ぎ な い こ と も あ る 。 教 師 は 些 細 な こ と に わ ず ら わ さ れ る こ と な く,も っ と生 産 的 なPublishの 仕 事 に 励 ん だ 方 が よ い と い う も の で あ る 。 日本 で も確 か に 首 肯 で き る 意 見 で あ る が 選 択 の 自 由 の 問 題 で あ ろ う 。
以 上 の 問 題 点 を解 決 す る た め に は,イ ン タ ー ネ ッ ト を 活 用 し た き め 細 か い 共
同 作 業 が で き る か に か か っ て い る。
4ス プ レ ッ ド シ ー トを 超 え て
ORの 問 題 解 決 に は 計 算 環 境 の 整 備 は 不 可 欠 で あ り,ソ フ ト ウ ェ ア と し て は 最 適 化 機 能 を 持 っ た 対 話 型 の 表 計 算 ソ フ ト,具 体 的 に は,MicrosoftのExcel やLotusの1‑2‑3あ る い は,Improv6)は 必 要 条 件 で あ る 。 歴 史 的 に は,Lotus の1‑2‑3に は 最 適 化 機 能 を 持 た な か っ た た め に,SamSavage[8]のWhaでs
Best1の よ う な パ ッ ケ ー ジ を 組 み 込 む 必 要 が あ っ た 。 し か し,表 計 算 ソ フ トは ユ ー ザ ー フ レ ン ド リ ー で だ れ で も使 え る 利 点 が あ り,そ の 意 味 で 実 践 的 で は あ る が 大 規 模 の 実 用 的 なOR問 題 の レ ベ ル に は 達 し な い 。 トー タ ル の 環 境 と し て は よ り高 次 元 の 条 件 が 要 求 さ れ る 。そ れ は,高 速 性,柔 軟 性,高 文 書 能 力 や デ ー タ ベ ー ス と の 連 携 で あ る 。
米 国 のOR関 係 の 大 学 院 で はAMPL,GAMSあ る い はLINGOの よ う な モ デ リ ン グ 言 語 が 採 用 さ れ て い る 。 こ れ ら は,大 規 模 な 数 理 計 画 モ デ ル の 記 述 の た 一 め に 開 発 さ れ た 。 こ れ ら に つ い て 整 理 し て お こ う 。
(1)AMPL(AModelLanguageforMathematicalProgramming)
米 国Bell研 のBrianKernighanら の グ ル ー プ に よ り 開 発 さ れ,Macを 除 く ほ と ん ど の プ ラ ッ トフ オ ー ム で 稼 動 し て い る 。[6]
生 産,流 通,石 油 精 製,ス ケ ジ ュ ー リ ン グ の よ う な 大 規 模 な 数 理 計 画 や 最 適 化 の た め の 特 殊 化 さ れ た 代 数 型 の モ デ リ ン グ 言 語 で あ る 。
記 述 に あ た っ て は 通 常 の 数 学 概 念 を 用 い,フ レ キ シ ブ ル,簡 便 さ,速 度,拡 張 性 と い っ た 特 徴 を 持 っ て い る 。
解 を 求 め る に は ソ ル バ ー と 呼 ば れ るCPLEX,MINOS,OSLの よ う な 外 部 の
6)1‑2‑3とImprovは 同 じ会 社 の 製 品 で あ り な が ら,機 能 的 に異 な る 。Improvは 「即 興 」の 意 味 が あ る が,次 世 代 の 表 計 算 言 語 とい わ れ た 。セ ル ・ア ド レ ス を な く し, 式 を分 か りや す く書 け,ダ イ ナ ミ ッ ク ビ ュ ー 機 能 が あ る な ど特 徴 を も っ て い る が 市 場 か ら は 見 放 さ れ て い る 。
オ ペ レー シ ョ ンズ ・リサ ー チ の 成 長 と今 後 の 課 題 37
数 理 計 画 パ ッ ケ ー ジ を 必 要 と す る 。FrontlineSystems社 の 製 品 も 参 入 を 計 っ て い る 。
AMPLPIusはAMPLと ソ ル バ ー を サ ポ ー トす る グ ラ フ ィ カ ル ・ユ ー ザ ・ イ ン タ フ ェ ー ス(GUI)を 提 供 し,デ ー タ ベ ー ス 管 理 シ ス テ ム と の リ ン ク を 図 る 最 近 の 製 品 で あ る 。
し か し な が ら,問 題 点 と し て 以 下 の よ う な 点 が あ げ ら れ て い る 。
・学 生 版 と専 門 家 版 が あ る が 商 用 の た め 高 価 で あ る 。
・コ マ ン ド指 向 で あ り ,メ ニ ュ ー 方 式 で は な い 。
・確 か に ,モ デ ル化 の た め の文 書 能 力 は優 れ て い るが,対 話 型 で は な い 。
・統 合 化 さ れ たAMPLPIusが 十 分 開 発 さ れ て い な い。
(2)GAMS(GeneralAlgebraicModelingSystem)は 経 済 学 や フ ァ イ ナ ン ス か ら 工 学 シ ス テ ム の 事 例 研 究 の 定 式 化 や 解 の 解 析 の た め の モ デ ル 化 の 道 具 で あ り,数 理 計 画 問 題 の 高 水 準 の モ デ ル 化 シ ス テ ム で あ る 。AMPLと 同 様,言 語 コ ン パ イ ラ と 安 定 し た 高 効 率 の ソ ル バ ー か ら な る 。 ソ ル バ ー の 名 称 と し て は, BDMLP,CONOPT,CPLEX,DICOPT,LAMPS,MILES,MINOS,MPSGE,
OML,OSL,PATH,XAが あ り,線 形,非 線 形 計 画,混 合 整 数 計 画 問 題 ま で 解 く。
URL:http://www.gams.org/を 参 照 せ よ 。
も う 一 つ のGAMS(GuidetoAvailableMathematicalSoftware)が あ る 。 後 者 のGAMSは 米 国NIST(NationalInstituteofStandardsandTechnol‑
ogy)の 情 報 技 術 研 究 所 の 中 の 数 学 ・計 算 機 科 学 部 門 の サ ー ビ ス と し て 提 供 さ れ て い る 。
GAMSはOR問 題 に 限 ら な い す べ て の 科 学 技 術 問 題 の 解 決 の た め の 数 学 プ ロ グ ラ ム の パ ッ ケ ー ジ で あ り,図3の よ う な 階 層 構 造 の 中 か ら 選 ん で い く 。
プ ロ グ ラ ム 集 の た め,ユ ー ザ ー フ レ ン ド リ ー で は な い 。
GAMSProblelhTaxonomy.
G.Optimizatio耳(searchalsoclassesK,L8) G1,Unconstrained
Gla.Univariate Gla1.Smoothfunction Glala。Userprovidesnod6rivatives Glalb.Userprovidesfirstderivatives Glalc.Userprovidesfirstandsecondderivatives Gla2.Generalfunction(nosmoothnessassumed) Glb.Multivariate
Glb1.Smoothfunction Glbla.Userprovidesnoderivatives Glblb,Userprovidesfirstderivatives Glblc。Userprovidesfirstandsecondderivatives Glb2,Generalfunction(nosmoothnessassumed) G2.Constrained
G2a.Linearprogramming G2a1.Densematrixofconstraints G2a2.Sparsematrixofconstraints G2b.Transportationandassignmentsproblenl G2c.Integerprogrammlng
G2c1.Zero/one
.G2c2 .CoVeringandpacklngproblems
G2c3.Knapsackproblems G2c4,Matchingprob藍ems
G2c5.Routing,scheduling,locationproblems G2c6.Purelntegerprogramming G2c7.Mixedintegerprogramming
G2d.Network(fbrnetworkreliabilitysearchclassM) G2d1.Shortestpath
G2d2.Mlnimumspanningtree G2d3.Maximumflow G2d3a.Generalizednetworks G2d3b.Networkswithsideconstraints G2d4.Testproblemgeneration G2e.Quadratlcprogramming
G2e1.PositivedefiniteHessian(i.e.,convexproblem) G2e2.IndefiniteHessian
G2f.Geometricprogramming G2g.Dynamicprogrammmg G2h.Generalnonlinearprogramming G2h1.SiMplebounds G2hla.Smoothfunction G2hla1.Userprovidesnoderivatives G2hla2.Userprovidesfirstderivatives G2hla3。Userprovidesfirstandsecondderivatives G2hlb.Generalfunction(nosmoothnessassumed) G2h2.Linearequal至tyor.inequalityconstraints G2h2a.Smoothf皿ction
G2h2a1.Userprovidesnoderivatives G2h2a2.Userprovides丘rstderivatives G2h2a3.Userprovides丘rstandsecondderivatives G2h2b,Genera豆function(nosmoothnessassumed) G2h3.Nonlinearconstraints'
G2h3a.Equalityconstraintson董y G2h3a1.Smoothfunctionandconstraints G2h3ala.Userprovidesnoderivatives
G2h3alb.Userprovidesfirstderivativesoffunctlonandconstralnts G2h3alc,Userprovidesfirstandsecondderivativesoffunctionandconstraints G2h3a2.Generalfunctionandconstraints(nosmoothnessassumed)
図3.
GAMSパ ッケ ー ジ の 一 部オ ペ レ ー シ ョ ン ズ ・リサ ー チ の 成 長 と今 後 の 課 題 39 (3)LINGO(LinearInteractiveGenera10ptimizer)
LINGOは シ カ ゴ 大 学 のLinusSchrageの 開 発 し た 数 式 処 理 型 の 線 形 計 画 言 語LINDO(LinearlnteractiveDiscreteOptimizer)か ら発 展 し た 汎 用 の 数 理 計 画 パ ッ ケ ー ジ で あ る 。
輸 送 問 題 をLINGOに よ っ て 記 述 す る と以 下 の よ う に な る 。[4,p.278]
MODEL:
1]
2]SETS:
3]WAREHOUSE/SAN̲FRAN,DENVER,CHICAGO,DALLAS,NEW̲YOaX/
:D㎜),RECElVED;
4]PLANTS/S̲CAROL工NA,TENNESSUr,ARIZONA/
:CAPACITY,SUPPI.IED;
5]ROUTES(PLANTS,WAREHOUSE):VOI.UME,COST;
6]㎜SETS 7】
8]OFOR(PLANTS(J):SUPPLIED(J)〈CAPACITY(J));
9]@FOR(WAREHOUSE(1):RECEIVED(1)>DE㎜D(1));
10]MIN=QSUM(ROUTES(1,」):VOLU{E(1,J)*COST(1,J));
11]QFOR(WA則EHOUSE(1):RECEIVED(1)=OSUM(PLANTS(J):
VOLUME(J,1)));
12]QFOR(PLANTS(J):SUPPLIED(J)=OSUM(WAREHOUSE(1):
VOLUME(J,1)));
13]DATA:
14]CAPACITY=310,260,280;
15]COST=10,8,6,5,4,6,5,4,3,6,3,4,5,5,9;
16ユDEMAND=180,80,200,160,220;
17]ENDDATA 18]
㎜
ス プ レ ッ ドシ ー ト,代 数 的 な モ デ リ ン グ 言 語 に 続 く第3の 問 題 解 決 ア プ ロ ー チ と し て 最 近 注 目 を 浴 び て い る の が,OLAPで あ る 。
OLAP(On‑LineAnalyticalProcessing:オ ン ラ イ ン 解 析 処 理 ソ フ ト)ま た は, MDM(MultidimensionalDecisionModeler:多 次 元 モ デ ル 作 成 ソ フ ト)の 考
え は,必 ず し もORに 限 定 し な い 問 題 解 決 の 新 し い 道 具 と な りつ つ あ る。
OLAPは リ レー シ ョナ ル デ ー タ ベ ー ス の 創 始 者 で あ るEF.Coddら の チ ー ム の 産 物 で あ る。 著 書[5]に お い て,ユ ー ザ や ア ナ リ ス トに とっ て 真 に 役 立 つ 情 報 技 術 はス プ レ ッ ドシ ー ト,デ ー タベ ー ス,モ デ ル 言 語 の最 良 の 機 能 の 組 み 合 わ せ で あ り,対 話 型 の,文 書 能 力 が あ り,ス ケ ー ラブ ル(柔 軟)で あ る こ とで あ る。
OLAPは ア ナ リ ス ト,経 営 者 が 直 面 す る 問 題 解 決 の た め の ソ フ トウ ェ ア技 術 の 一 種 で あ り,高 速 で 一 貫 した 対 話 型 の ク ラ イ ァ ン トサ ー バ 方 式 で 情 報 を獲 得 す る こ とが で きる 。
OLAPに よ り,解 析 的,戦 略 的 な 意 思 決 定 が 可 能 で あ る。 た と え ば,日 常 の デ ー タ とニ ュ ー ス の 収 集,統 計,グ ラ フ処 理,時 系 列 分 析,横 断 面 分 析,予 測, 方針 変 更 に よ る影 響 調 査,関 連 企 業 や 競 合 企 業 の 動 向 が オ ン ラ イ ン リ ア ル タ イ ム に利 用 可 能 に な る。 こ れ はOLAPの サ ー バ ー と ク ラ イ ア ン トの 連 携 に よ り 可 能 とな る 。
この 段 階 で は,オ ペ レー シ ョ ンズ ・リサ ー チ は問 題 の所 在 の探 求,得 られ た 解 の 解 釈,提 言 に 固 有 な存 在 理 由 を見 い 出 す 。
5お わ り に
本 稿 で は,最 初 に,オ ペ レー シ ョ ンズ ・リサ ー チ の確 立 が 学 会 の 創 設 と深 い 関 連 が あ る とい う認 識 か ら,そ の 黎 明期 を 跡 づ け た。 お よそ 半 世 紀 の 問 に オ ペ レー シ ョ ンズ ・リサ ー チ は,軍 事 的 な応 用 か ら始 ま っ て,生 産,流 通,販 売, 経 済 計 画,社 会 の あ らゆ る問 題 の解 決 の た め の 知 恵(wisdom)を 提 供 して きた 。 ORは 広 く,知 の イ ン フ ラ と もい わ れ る よ う に な っ た が,こ れ も ひ とつ に は 学 会 組 織 の 形 成 と発 展 に あ る。ORの 特 徴 は,そ の ク ロ ス ・デ ィ シ プ リナ リに あ り,関 連 諸 科 学 の 密 接 な発 展 と,企 業 や 行 政 の現 場 のORワ ー カ ー と の接 点 が OR学 会 で あ る。ORを これ ほ ど成 熟 発 展 させ た 別 の 理 由 は,高 度 情 報 社 会 に あ っ て,コ ン ピ ュ ー タ の驚 くべ き発 展 で あ る。OR的 な 発 想 が,あ る もの は 表 だ っ て,ま た あ る もの は影 な が ら浸 透 して い る。
オ ペ レ ー シ ョ ン ズ ・リサ ー チ の 成 長 と今 後 の 課 題 41 エ ン ドユ ー ザ が 日常 の 問 題,例 え ば,1.44Mバ イ トの フ ロ ッ ピー に い くつ か の フ ァ イ ル を無 駄 な くコ ピー す る こ と を考 え る と き,ソ ルバ ー を使 え ば 手軽 に そ の 問 題 を解 決 で き る。ま た,「駅 ス パ ー ト」ソ フ トを使 え ば 車 で 旅 行 の 際 に, 最 短 の経 路 で 目 的 地 に 達 す る こ とが で きる 。
最 適 化 機 能 を持 っ た 表 計 算 ソ フ トを使 え ば,手 頃 なOR問 題 を気 楽 に解 い て くれ る。 しか し,一 旦,大 規 模 な計 画 問 題 に直 面 す る と手 に負 え な くな っ て し ま う。AMPLPIusやOLAPの よ う な代 数 的 モ デ リ ン グ 言 語 と ソ ル バ ー,そ して,デ ー タベ ー ス 管 理 シス テ ム を グ ラ フ ィ カ ル ・ユ ー ザ ー ・イ ン タ フ ェ ー ス で 統 合 す る シス テ ム が 注 目 され て い る。
今 日,オ ペ レ ー シ ョンズ ・リサ ー チ は 実社 会 の 問題 解 決 の ツ ー ル の 開 発 か ら トー タ ル な 整 備 の段 階 に至 り,知 恵 袋 を即 時 的 に拡 大 しつ つ あ る 。 そ の 成 長 誘 因 は コ ン ピュ ー タ とイ ン タ ー ネ ッ トの飛 躍 的 な発 展 と深 く結 びつ い て い る。
オ ペ レー シ ョン ズ ・リサ ー チ もオ ペ レー シ ョ ンズ ・リサ ー チ 学 会 も成 熟 期 に 至 っ た の で は な く,新 しい 挑 戦 的 な時 代 に至 っ た と考 え る こ とが で き よ う。
参 考 文 献
[1]日 本OR学 会,創 立40周 年 記 念 長 期 計 画,1997年6月
[2]真 鍋 龍 太 郎,逆 瀬 川 浩 孝,若 山 邦 紘,「 文 科 系 の コ ン ピ ュ ー タ/応 用 篇:表 計
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[3]、 若 林 信 夫,「 表 計 算 ソ フ トExcelに よ る オ ペ レ ー・・一・シ ョ ン ズ ・ リ サ ー チ 演 習 」, 小 樽 商 科 大 学 情 報 処 理 セ ン タ ー 広 報,第10号(1997.3),pp.31‑47.
[4]Arrow,K.,Cottle,R.,Eaves,C.,andOlkin,1.,(eds),EducationinaResearch University,StanfordUniversityPreSs,1996.
[5]Codd,E.F"Codd,S.B.,andSalley,C.T.,ProvidingOLAP(On‑lineAnalytic‑
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1998.
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[9]White,John,A.,AnExistenceTheoremforOR/MS,OpemtionsResearch, VoL39No.2(1991)pp,183‑193.
[10ユWinston,WayneJ.,Albraight,C.,PracticalManagementScience,SPreadsheet Modelingand.4pplications,DuxburyPress,1997.