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Helicobacterpylor i除菌療法の効果 慢性特発性血小板減少性紫斑病に対する

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全文

(1)

慢性特発性血小板減少性紫斑病 に対す る Hel i c obact e rpyl or i除菌療法の効果

子 作

典 員

村 田

揮 福

I‑ ‑

=)

史 克 樹

形 山 見

山 下 高

テ 也 博

佳 達 昭

井 上 方

玉 三 梯

子 恒 ii j 矢

松 山

小 間

抄録 慢性 特発性血 小板減 少性 紫斑病 ( I TP)22 例 を対 象 に He l i c obac t e rpyl or i( H. pyl or i ) 感 染 を検査 し,感 染 陽性 者 18 例 中 i nf or me dc ons ent を得 られ た 17 例 に除菌療 法 を施行 して ,I TP に対す る治療効果 を検討 した. 15 例で 除菌 に成功 ( 除 菌 成功率 88. 2%) した. 8 例 で血 小板数 が 10 万 /〟 1 以 上 とな る完 全寛解 とな り,軽快 が 1 例 ( 有効率 60%) で, 6 例 は不変 で あった.有意差 はみ られなか ったが,治療 前 の血 小板 関連 I gG( PAI gG) 低値例が奏効す る傾 向が あった. Gr ade2 の発疹が 3 例, Gr ade lの下痢が 2 例 にみ られ た他 は重篤 な有害事 象 を認 めず, 除菌療法 を中止 した症例 は いなか った .H. pyl or i 陽性 I TP に対す る除菌療法 は重篤 な副作用 な しに優 れた奏効 率 を示 した.今後標準 的治療 の第一選択治療 のひ とつ と して確立 され る と考 え られ た.

弘前医学 56:9 ‑1 4,2004 キーワ‑ ド:特発性血小板減少性紫斑病;ヘ リコバ クター ピロリ菌;血小板関連 I gG; 除菌;有害事象

ORI GI NALARTI CLE

E FFECT OF HELL COBACTERPYLORtERADI CATI ON I N PATI ENTS WI TH CHRONI C I DI OPATHI C THROMBOCYTOPENI C PURPURA

TomokoKomat su

l)

, Yoshi koTamai l ) , Kazuf umiYamagat a l ) , Nor i koSawamur a l ' , KoMayama

l'

, Tat suyaMi kami l ' , TadashiShi m( ) yama l ' , shi nsaku Fukuda l ) ,

Aki hi roMunakat a l ) ,andHi dekiTakami

2)

Abs t r act Thepr e val enc eofHe l i c obac t e rpyl or i( H. pyl or i ) i nf e c t i onandt hee f f e c tofi t se r a di c at i oni n22pat i e l l t S wi t hi di opat hi ct hr ombocyt ope ni cpur pur a( I TP)we r es t udi e d.H. pyl or ii nf e c t i onwasde t e c t edi n18pat i ent s ,anC l i t se r a di c at i onwasobt ai ne di n15of17i nf e c t e dpat i ent s( 88. 2%) .H. pyl or i er adi c at i onl ed8pat i ent st oac ompl et e r es pons e( pl at el et s)100Ⅹ10 L ' /L ) ,and1t oapar t i alr es pons e( pl at el et s50‑ 99Ⅹ10 " /L )( ef f ec t i ver at e60%) .The pat i ent swi t hl ow l e velofPAI gG be f or eer adi c at i ont endt oac hi e vec ompl e t er e s pons ec ompar e dwi t ht heOt her c a s e s .Toxi ce f f e c t sofGr ade20fs ki nr a s ha ppear e di n3pat i e nt sandGr ade1ofdi ar r he ai n2pat i e nt s ,al 一 ( 1al l pat i ent sc oul dc ont i nuet hemedi c at i onwi t houts ever et oxi ce f f e c t s .H. Pyl or i er adi c at i onmaybec ons i de r e c last he f i r s tl i net he r a pyf orI TP.

Hi r os akiMe d. J . 56:9 ‑1 4,2004 Keywords:i di opat hi ct hr ombocyt openi cpur pur a( I TP) : He l i c obac t e rpyl o r i( H. pyl or i ) :

pl at el eLassoci at edl gG ( PAI gG) ;er adi cat i on,t oxi cef f ec t .

I

)Fi r stDepar t mentofI nt er nalMedi ci ne,Hi r os aki 1 )弘前大学 医学部 内科学第一講座

Uni ver s i t ySchoolofMedi ci ne

2)

弘前大学 医学部保健学科病 因 ・病態検査学講座

2)

Depar t mentofMedi calLabor at or yTec hnol ogy , 別刷 請求先 :小松知子 Hi r os akiUni ver si t ySc hoolofHeal t hSci enc es .

Cor r es pondenc e:T. Komat su

Recei vedf orpubl i cat i on,Apr i l1 3 ,2 00 4 Accept edf orpubl i cat i on,May2 0 ,2 00 4

平成 1 6 年 4月 1 3 日受付

平成 1 6 年 5月 2 0 日受理

(2)

10 松,他

Hel i c obac t erpyl or i( 以下 H.pyl or i ) 感 染 は 上 部 消化 管 疾患 の み で な く各種 の非 消化 器 疾 患 との関連 が注 目され て い る

1〜 4)

. 血液 疾患領 域 に お いて も特発性血 小板減 少性紫斑病 ( i di opat hi c t hr ombocyt openi cpur pur a ;以下 I TP) に対す

る H.pyl or i 除菌療法 の有効性が示 され

5‑9'

, I TP に 対す る新 たな治療戦略 となる可能性が示唆 されて いる.

今 回我 々は,弘前大学 医学部 附属病 院第一 内科 における慢性 I TP22 症例 の H. pyl o r i 感染状況,除 菌療法 の治療効果,有害事 象な らび に長期経過 に ついて検討 した.

対 象

平成 13 年 4 月か ら平成 14 年 12 月 まで 当科 で診 療 した慢性 I TP22 例 を対象 とした.急性型の可能 性 のある例, 当科通 院回数が年間 3 回以下 の例 は 今 回 の検 討 か ら除外 した. 年齢 は 17 歳 か ら 69 歳 ( 年齢 中央値 : 48 歳 ) , 男性 8 例 女性 14 例 で あ っ た.

方 法

I nf ormed consent が 得 られ た慢 性 I TP 症 例 に対 して , H.pyl ori 感 染 の有 無 を尿 素 呼 気 試験 ( 1 こ う c ur eabr eat h t est ; 以下 UBT) ,抗 H.

pyl or il gG 抗体 ( 抗 HPI gG 抗 体) を用 いて検 査 した . 除 菌 療 法 を希 望 した 感 染 陽 性 例 に は , 1 ans opr az ol e60mg/ 冒, amoxi c i l l i n1500mg/

冒, cl ar i t hr omyci n 400 (また は 800)mg/ 冒 を 2 分服 で 7日間服 用 す る標 準 除菌 療 法 を施 行 した. 除菌 不 成 功 例 で再 除 菌 を希望 した例 には c l ar i t hr omyci n を met r oni daz ol e750mg/ 日に 変更 した再除菌療法 を追加 した.

効果判定基準

H. pyl or i 感染 の除菌判定 は除菌療法終 了後 4 週 間以上経過後 に UBT にて行 った.

血 小板増加 に対す る有効性 は,厚生省特発性造 血 障害研 究班 I TP 分科会 による治療効果判定基準

10

' に従 った.す なわ ち除菌後 無治療で血 小板 数が 10 万 /〟 1 以上 を維持 している ものを完全寛解, 10 万 /〃 1 以 上だが維持療法 を要す る もの を不完 全寛

表 1 患者背景

除 菌 除菌後成績 症 例 年齢 .性別 羅病期 間 前治療 讃 温 濫 驚 簸 讐 書記 l I t g s ? 讐 欝 讐 苧 ( 月) ( 万 / 〃1 ) ( 万 / 〟1 ) ( A 社) ( B 社) ( U/ m l )

』 (%

o)

成 功 完 全寛解 1 38 F 初発 な し 5. 2 5. 2 24.

9 53. 3

2 56 M 84 加味帰牌湯 3. 6 5. 6 7. 7 87 20. 5 セフアランチン

3 27 F 3 な し 3. 0 2. 0 31

. 3 153 7. 3 4 59 F 72 な し 6. 5 10. 8

8. 2 141 7. 2

5 69 M 72 な し 6.

1 3. 2 9. 3 104

6 20 F 4 プレドニゾロン 1

. 6 14. 0 286. 0

7 39 F 3 な し 6. 7 6.

1 131 . 7 99 95. 7 8 17 M 初発 プレドニゾロン 2. 7 3 . 4 22

. 6 78. 2 111 16. 6 軽 快 9 48 M 9 プレドニゾロン 5. 0 0. 5 9

6. 3 400. 0 109 35. 8 無 効 10 61 M 初発 プレドニゾロン 1 . 3 1 . 3

57. 0 1694. 0 113 14. 8 11 60 F 70 プレドニゾ

ロン 0. 3 1 . 0 74 . 4 20 34 . 4 12 51 M 104 プレドニ

ゾロン 3. 0 1 . 1 229. 0 63 7. 2 13

49 F 42 な し 4. 9 6 . 4 40. 3 115 14 27

F 90 な し 3. 5 1 . 9 57. 0 84 22. 8 15 56 F 24

プレドニゾロン 2. 8 1 4. 2 7. 7 47 4 . 4

不成功 16 35 F 18 な し 不 明 7 . 4 27. 7 174 1

9. 6

17 37 M 初発 な し 24. 9 139 23 . 4

PAI gG の測定 は, A 社, B 社 ともに測定 して いる場 合 は, 同時期 に測定 した ものであ る . 測定方法 は両者 ともにサ ン ドイ ッチ ELI SA 法で ある.

基準値 は A 社 は 5‑25ng/107 pl at et et s

(3)

PAl gG ( ng/10

7

pl t s)

● ●

非完全寛解例

( p ‑0. 11 7)

図 1 除菌前 PAI gG 値 ( A 社) と除菌成功後 の血 小板増加 との関係.

完全寛解 は,除菌後無治療で血小板数が 10 万 /〟 1以上を維持 し ているもの と定義 した.

解,血小板数が 5. 0‑9. 9 万 /〟 1 で治療前 に比べて 2. 0 万 /〝 1 以上増加 した ものを軽快, 5. 0 万 /〃 1 以 下だが治療前 に比べて 2. 0 万 /〃 1 以上増加 した もの をやや軽快,血小板数 の変動が 2. 0 万 /〟1 以内のも のを不変, 2. 0 万 /〝 1 以上減少 した場合 を悪化 とし た.

結 果

H. pyl or i 感染状況 と除菌成績

H. pyl or i 感染診断を受けた 22 例 中 18 例 ( 81 . 8%) が 且 pyl or i 感染陽性であった.除菌療法 を希望 し なかった 1 例 を除いた 17 例で標準的除菌療法 を施 行 し,除菌成功例は 13 例であった.標準的除菌療 法が不成功であった 4 例 の うち再除菌 を希望 した 2 例で再除菌療法 を施行 し, 1 例が除菌 に成功, 不成功 の 1 例 は再 除菌療法 に mi nomyc i n を加 え た 4 剤併用除菌療法 を施行 し , 3 回 目の除菌 にて は じめて除菌 に成功 した.最終的な除菌成功例 は 15 例 ( 88. 2%) であった.除菌療法 を受 けた各患 者背景 を表 1に示す.

血小板増加効果

除菌成 功 15 例 中完 全寛解 は 8 例,軽快 は 1 例 ( 症例 9 ) ,不変が 6 例 で,悪化例 はなか った.除 菌不成功 の 2 例では,血小板数 に変動は認め られ なか った. H. pyl o r i 除菌 による血小板数増加の有 効率 ( 軽快以上)は 60% であった.

除菌成績 と各患者背景 ・臨床検査値 ( 表 1) 除 菌 成 功 15 例 中血 小 板 増 加 が み られ た 奏 効 例 9 例 と不 変 例 6 例 で は , 年 齢 ・性 別 , 羅 病 期 間 , 前 治 療 の有 無 ・治 療 内容 , 除 菌 前 血 小 板 数 , 抗 HPI gG 値 , UBT 値 の いず れ も有 意 な 差 を認 め な か っ た . A 社 で 測 定 した 治 療 前

p l a t e l e t ‑ a s s o c i a t e dl gG( PAI gG) は,完全寛解例 では軽快 ・不変例 に比 して低値 を示す傾向があっ たが有意差はなかった ( p= 0. 117 ,図 1) .

除菌後の長期経過

完全寛解 の 8 例 中 7 例は除菌療法終 了後 2‑ 8

週で速やか に血小板が増加 し 10 万 /〟 1 以上 になっ

た. 1 例 ( 症例 5) は徐 々に血小板が増加 して,

除菌後 1 年で血小板数が 10 万 /〝 1 以上 になった.

(4)

1 2

Pl t( x10

4

/F Ll ) 30

小 松,他

除菌前 除菌後

2 4

図 2 除菌成功 15 例の除菌後血

小板数の推移.

除菌成功 15 例のうち完全寛

解 9 例を実線 (

無効 6 例を点線 仁一 一 一 一一 一

一 )で示した.

軽快 の 1 例 ( 症例 9) は除菌 6 ケ

月後 まで血小板 数 に変動 はなか ったが,そ の後徐

々に血小板が増 加 した.除菌成功 15 例 にお ける除

菌後 の血小板数 の推移

を図 2 に示す.

除菌成功例 にお いて,抗 HPI gG

抗体 は経過 とと もに減 少 し, 3ケ月〜 1年で陰性

化 した症例が多 か ったが, 1 年半以上経過 して も

陰性化 しな い例 もあ った ( 症例 4 , 13) .PAI gG

は経過 とともに 減少す る例,変動す る例様 々で一

定 の傾 向はみ ら れ なか った.抗 HPI gG 抗体 ,PAI

gG ともに, 除 菌奏効例,不変例で変動 に差はなかっ

た.

有害事象 Nat i onalCanc erI ns t i t ut e‑ CommonT

oxi ci t y cr i t er i a に準 じて判定 した有害事象

は 17 例 中 5 例 ( 29 . 4%) に認 め られた. Gr ade

2 の発疹が 3 例 ( 症例 13 , 14 , 16) , Gr ade lの

下痢が 2 例 ( 症 例 3, 9) で あ った. 発 疹 は,

3例 とも薬 剤 服 用 6‑ 8日目に出現 したが, いず

れ も対症療法 ・ 経過観察で軽快 し除菌療法 を中断 した症例は

いな

か った. 6 8 10

12 ( M) ) ,軽快 1 例を破線 ( 一一 一一 一) ,

考 察

H.pyl or i 感 染 は, 最 近 で は消

化管 疾患 のみ で な く,慢性 関節 リウマチ

1'

, 自己

免疫性 甲状腺 疾 患

2)

, I TP な どの 自己免疫疾患や,慢

性毒麻疹 i ' や 冠動脈 疾患

4)

な ど多 岐 にわ た る疾

患 との関連 が注 目され て い る. I TP に対 す る H.pyl

or i 除 菌療 法 の有 効 性 は 1998 年 イ タ リアの Gasbar r

i ni ら5 ' , Emi l i na ら

6

' の報告 以来, 世界 各

国 の多施設 で追 試が行われて いる. 先進諸国の中

ではスペイ ンと ともに高 い H.pyl or i 感 染率 を有

す る本邦 にお け る治療成績 はイ タ リアの報告 と同様

に I TP に対す る有 効 率 は 50‑ 90 % と優 れ た成績 で

あ り

7

‑9 ', 我 々 の施設 にお け る有効 率 も 60

% と同様 の成 績 であ った. H. pyl or i 除菌が I TP に

お ける血小板増 加 に有効 な治療法で ある との報告

が多 い一方 で, スペイ ンの J ar que ら1 1 ) は除菌成功

者で 3 カ月後 に 血小板増加が見 られたのは 13% の

みで除菌不成功 群や H. pyl or i 陰性群 とに差 を認 めず

,除菌 と I TP

の治療成績 に関連性 はない として い

(5)

の Mi chel ら

12

' も H. pyl or i 感染 と I TP の関連性 には 否定 的で あった. いず れ に して も, H.pyl or i 感 染の病原性は宿主側 の免疫反応性 と菌株側 の因子 によって決定 され るものである

1:i)

ため,人種やH.

pyl or i 株 による違 いな どが関与 して いる可能性が ある.今後広範囲にわたる H. pyl or i 感染 と I TP の 関係の検討が待たれる.

H.pyl ori 除菌 によ る I TP の血 小板増加 の機序 は, い まだ解 明 され て いな い. 除 菌 に使 用 した 薬剤 の直 接 反応 で あ る可能性 は, ① 除菌失敗 例 で は血 小板 増加 がみ られ なか った こと,② 胃 ・ 十二指腸潰癌で除菌 した症例では血小板増加がな か った こと9 ' ,③血小板増加 まで の期 間は除菌終 了後か ら数 日か ら数 ヶ月まで幅広 い ( 多 くは 2‑

8 週 間) こと

5朋 )

な どか ら否定 的で ある.現在 で は, H.pyl or i 菌体 と血 小板 との共通抗原 に対す る交差反応 の可能性や, H.pyl or i の慢性 的な感 染がある種のサイ トカイ ンを誘導 して宿主の免疫 担 当細胞 を刺激す る ことによって I TP をは じめ と す る自己免疫疾患が誘導 され るとい う可能性な ど が有 力視 されて いる. 前者 は H.pyl or i が 胃上皮 の Lewi sX,Y 抗原や糸球体毛細血管,腎尿細管 や唾液腺 の上皮な どの ヒ ト抗原 と類似 ・共通抗原 を有す る ことが示 され て いる

14,15)

ことか ら血小板 に対 して も交差反応す る可能性 を示 している.後 者 に関 しては, H.pyl or i 感 染 によ り胃粘膜 上皮 か ら i nt er l euki n( I L) ‑ 8 が誘導 され好 中球活性化 が生 じ,浸潤 した炎症細胞か ら種 々のサイ トカイ ン ( I L‑ 1 , I L‑ 6 , t umornecr ot i zi ngf act or ‑α ( TNF‑α) な ど)が誘導 され る

16・17)

ことか ら生体 に おける種 々の免疫反応 が惹起 され る と想定 されて いる.

除菌後 の血小板増加 は除菌終 了 2‑ 8週間後か ら見 られ る場合が多 く, これ らは除菌 による抗血 小板抗体産生の低下で説明 しやす い. しか し少数 ではあるが,除菌直後 よ り血小板が増加す る例 を 経験す る. これ らの症例は抗血小板抗体 の産生が 低下す るだけでな く,除菌 によるサイ トカイ ンの 変化 によって血小板破壊 の場である網内系細胞 の 沈静化が関わ っている もの と推察 され,今後 の解 明が待たれる分野である.

最近 H. pyl o r i のある菌株が vonWi l l e br and 因 子 と血小板膜蛋 白 gl ycopr ot ei n( GP) I b の結合 に

関与 し, さ らに H.pyl or i に結合 した I gG と血小板 膜上の Fc レセ プター ( FcγRⅡA) と結合す る とい う二つの経路 によって血小板 を活性化す る こ とが報告 された

18'

. この ことは, H, pyl or i と血小 板 の直接 の関与 を示す ものであ り, I TP との関連 を考 えるうえで も興味深 い.

今回我 々は, 当科で診療 した H.pyl or i 陽性 I TP に対す る除菌療法の有効性 について検討 した.育 効率は 60% であ り,他施設の報告 とほぼ同様の成 績であった. H. pyl or i 陽性 I TP に対す る除菌療法 は,現時点での標準治療であるステ ロイ ド治療や 摘牌な どにも遜色な い有効率が得 られた.除菌療 法は重篤 な副作用が ほ とん どない ことか ら,ステ ロイ ドの副作用や摘牌 の侵襲 を考慮す る と標準的 治療 として第一選択治療 のひ とつ として確立 され る ことが望 ましい. 出血傾向の少な い症例 にお い て,除菌療法は第一選択 とす る価値 のある治療法 と考 える. しか し,除菌療法後 の血小板増加反応 は数週か ら数 ヶ月を要す る ことが多 いため, 出血 傾向が強 い場合 には即効性 のあるステ ロイ ド治療 の先行あるいは併用 を考慮すべきである.

また, どのよ うな症例 に除菌療法 の効果が期待 で きるか を明 らか にす る ことは ,I TP に対す る除 菌療法 の位置づけのためにも重要であるが,今の ところ確立 された ものはない.我 々の検討では治 療 前 の PAI gG 低値 の症例 が奏効 す る傾 向が あ っ た ( p=0. 117) が,症例数が少な く有意差 はみ ら れ なか った.他施設 で は治療前 PAI gG 値 と奏効 率は相関 しない とい う報告が多 いが,大部分は測 定施設が B社であ り,我 々の場合 もB社で測定 し た PAI gG 値 とは相関がみ られなかった ことか ら, PAI gG 測 定法 と除菌効果 との関連 をさ らに検 討 すべ き と考 える. また,他施設の報告では除菌後 PAI gG 値は有意 に低下 した との報告が多 いが, 当 科での検討では PAI gG 値の変化 に特徴的な ものは 認めなか った.今後,本邦での大規模な多施設共 同での臨床研究の うえ,治療成績な らびに除菌療 法 の意義 の検討,治療指針への組み込みが望 まれ る.

文 献

1 )Zent i l i nP,Savar i no V ,Gar ner oA,Ac c ar d( )

S,Se r i ol o B .I sHel i c oba c t e rpyl or ii nf e c t i ona

(6)

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参照

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