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論文審査の結果の要旨 氏名:生田目

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Academic year: 2021

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論文審査の結果の要旨

氏名:生田目

博士の専攻分野の名称:博士(歯学)

論文題名:老化による口腔粘膜切開痛感受性変化に対する延髄ミクログリア性質変化の役割 審査委員:(主 査) 教授 浅

(副 査) 教授 飯 教授 篠 教授 松

中枢神経系の免疫担当細胞であるミクログリアには,活性化に伴い炎症性サイトカインを放出する 傷害性ミクログリア(M1)と,抗炎症性サイトカインを放出する保護性ミクログリア(M2)という 機能的に相反する2種類の細胞が存在し,両者ともに,末梢の組織損傷時や神経炎症時の疼痛調節に 関与する事が報告されている。また,顎顔面領域の疼痛調節に,延髄中に発現する活性化ミクログリ アが関与する事が報告されている。しかしながら,口腔粘膜損傷後の疼痛調節に対する,活性化ミク ログリアのM1M2への性質変化が及ぼす影響,およびミクログリア性疼痛調節に対する老化の影 響は不明である。そこで,本研究では,老化促進マウス(senescence-accelerated mice prone 8SAMP8 を用い,口蓋粘膜切開後における延髄中での活性化ミクログリア(Iba1)の変化,M1M2への性質 変 化 , お よ び M1 M2 か ら 放 出 さ れ る 各 種 サ イ ト カ イ ン の 変 化 を 正 常 老 化 マ ウ ス

senescence-accelerated mice resistant 1SAMR1)と比較検討し,老化がミクログリア活性化に依存し た口腔内切開痛調節機構に及ぼす影響の解明を目的とした。

その結果,以下に示す結論を得た。

1. 口蓋粘膜切開後 1 日目から 21 日目まで,SAMP8 incision 群の機械的頭部引っ込め反射閾値

MHWT)は,SAMR1 incision群と比較し有意な低下を認めた。

2. 口蓋粘膜切開後3日目および11日目に,SAMP8 incision群のIba1陽性細胞数は,SAMR1 incision 群と比較し有意に増加した。

3. 口蓋粘膜切開後3日目に,SAMP8 incision群の延髄におけるIba1陽性かつM1のマーカーとして CD11c陽性細胞数およびtumor necrosis factor alphaTNF-α)陽性かつCD11c陽性細胞数は,

SAMR1 incision群と比較し有意な増加を認めた。また,western blottingにより,SAMP8 incision

群のTNF-αタンパク量は,SAMP8 naive群と比較し有意に増加した。

4. 口蓋粘膜切開後11日目,SAMP8 incision群の延髄におけるIba1陽性かつM2のマーカーとしての CD163陽性細胞数およびinterleukinIL-10陽性かつCD163陽性細胞数は,SAMR1 incision と比較し増加量が有意に少なかった。

5. SAMP8 incision群へTNF-α中和抗体あるいはリコンビナントIL-10を大槽内持続投与したところ

vehicle投与群と比較して,TNF-α中和抗体投与により5日目から14日目まで,リコンビナント

IL-10投与により1日目から14日目までMHWTの有意な上昇を認めた。また,SAMR1 incision

群へIL-10中和抗体を大槽内持続投与したところvehicle投与群と比較して,5日目から9日目ま

MHWTの有意な低下を認めた。

以上のことから,口蓋粘膜切開後に発症する機械アロディニアは,老化により増強および持続し,

延髄におけるM1数増加に伴うTNF-α放出増加,およびM2数増加の減弱に伴うIL-10放出減少が関 与することが示唆された。本研究は,歯科臨床における疼痛発症メカニズムの一端を明らかにしたも のであり,極めて意義深いものと考えられた。

よって本論文は,博士(歯学)の学位を授与されるに値するものと認められる。

以 上 令和3年3月10日

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