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博 士 ( 医 学 ) 白 木 淳 子 学 位 論 文 題 名

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 医 学 ) 白 木 淳 子

学 位 論 文 題 名

海 馬 硬 化 を 伴 う 側 頭 葉 てん か ん 患 者に お け る

     局 所 脳 血 流 低 下 の 検 討

一 123I̲IMPSPECT 所見の SPM 解析一

学 位 論 文 内 容 の 要旨

  近年 ,てんか んの診 断に倣 頭皮ヒ 脳波記 録など の電気 生理学 的診断,MRIなどの形態学的診断,

Single‑photon emission computed tomography (SPECT)やPositron emission tomography (PET) などの 機能的 診断が 用いら れてい る.ま た,Statistical parametric mapping (SPM)はFristonK に よっ てPETあ るい はSPECTか ら 得 ら れる さ ま ざ まな 活 動 中 の脳 血 流 の デー タ を 統 計的 に 意義 のある 部位と してみ るため に考案 された ものである.最近この方法はさまざまな疾患に対し,臨床 的に脳 血流量(cerebral blood flow: CBF)の変化を調べるために適用されており,客観的診断がで きるようになった・

  従来のてんかんの発作間欠期io(10・123n‐isopropyl.p.iodamphetamむIe(l23111MP)SPECT研究に おいて は,い ずれもrCBF低下の 評価が 視覚的 あるい は関心 領域の 設定な どの主 観的方法 であるた め客観 性に欠 け,ま た側方 性につ いて言 及できても局在性について詳細なことは明らかにしていな い.

  本 研 究 で は, 海馬 硬化を 伴う側 頭葉て んかん (Rmpor甜lobe叩ilepsy:TLE)患者 のSPECT画像 のSPM解 析 に お いて , 側 頭 葉タH則のrCBFカ 牴 下 した も の と 側頭 葉 内 側 のrCBFが低 下 し た もの について,その臨床的バラメータの相違について比較検討を行った・

[対象 およぴ 方法]

  北海道 大学病 院精神 科ネ噺 翻凱こ外 来通院中および入院中のTLEと診断されている106例のうち,

MRI上,腫 窃など の占拠性病変,血管性病変,外傷,奇形のある者を除外し,発作間欠期に123I‑IMP SPECT検 査 を受 け た57例 で あ っ た, そ の う ち海 馬 硬 化 所見 と 頭 皮脳 波上の 突発性 異常波 の出現 の 側 方 性 カs‑致 し た25例に 対 し てSPM解析 を 行 い ,そ の 結 果 ,側 頭 葉 にrCBF低下 所 見 が 認め られ た19例を 対 象 と した . そ の 内訳 は 男 性8名 ,女r生n名, 平 均 年齢39.9歳 ,年齢 幅は13歳 〜 60歳であ った・

  SPECT撮像 時の患者 の年齢 ,発作 開始の 年齢, 発作開 始から の罹患年数,熱性けいれんの有無,

SPEく汀撮 像から 前1年間 の発作 頻度な どの臨 床デ一夕 は患者 の診療 録と患 者への インタビューか ら得た .健常 群として はネ緜 黼,精 神医学的疾患のない健常ボランテイア全員にインフオ―ムド・

コン セ ン ト を行 い,MRI,lz3I‑IMP SPECT検査を 行った .核医学 放射線 科医の 診断に より両 所見 に異 常 が 認 めら れ な か った 男 性9名 , 女r生9名 ,平 均 年 齢30.1歳, 年齢矚 は23歳‑‑40歳 であっ た.

    ―77−

(2)

  SPECT装置 は3検出 器回 転型 ガン マ カヌ ラ,GCA930(VDI(東芝 メ ディカ ル社製)を用い,安静,

仰 臥 位 , 閉 眼 状 態 で167MBqの103I.IMPを 静 注20分 後 よ り20分 間 撮 像 し た .脳 波 は国 際10‑20 法に基づき単極導出による 頭皮脳波記録を行った.側 頭葉領域に突発性異常波が出 現するものを所 見とした.片側のみに突発 性異常波が出現するものを 片倶牲,同期の有無にかかわ らず左右両側に 突 発 性 異 常 波 が 出 現 す る も の を 両 側 性 と し た ,MRI装 置は1.5 TeslaのSiemens社 製Magnetome Visonで,視察で海馬の萎 縮とT2強調画像あるいはfluid attenuateclinversion recovery( FI」AIR) 画像の高信号域の両方を満 たすものを海馬硬化と判断 した・

  対 象 と な っ た 患 者 に 対 し, 発作 間欠 期SPECT所見 に つい てSPM96 for Winclowsを 用い て 解析 を 行 っ た .SPMに よ る 側 頭 葉 のrCBF低 下 領 域 の 判 定は ,標 準 脳図 譜座 標上 のX座標 の絶 対 値が 15〜 55mmを 内 側 ,55‑‑‑70mmを 外 側 と し た . 以 上 よ り側 頭葉 内側 から 底 部の みにrCBF低 下が 認め られ るも の を内 側型 ,側 頭葉 の それ 以外 にrCBF低下が及ぷものを全 て外側型とした,統計学 的検 定に はSPECT撮像 時の 患 者の 年齢 ,発 作 開始 の年 齢, 発作 開 始か らの 罹患 年数 に はt検 定,

性差 ,熱 性け い れん の有 無に はカ イ2乗検 定 ,発 作頻 度に はMann‑Whitney検定 を用 い ,pく0.05 を有意とし,内側型とタJqRij型とを比較検討した.

[結果および考 察],  .

  SPM解 析 に よ る123I‑IMP SPECTの結 果 では 健常 群と 比較 し て有 意にrCBFの低 下 が認 めら れ,

8例 は 側 頭 葉 内 側 に ,6例 は 側 頭 葉外 側に ,残 りの5例 は内 側 と外 側の 両方 にrCBF低下 が認 めら れ た. 側頭 葉内 側の み にrCBF低 下を 認 めた8例を 内 側型,側頭葉 タ岫l」のみにrCBF低下を認 めた 6例 お よび 内 側を 含む タ惟iJにrCBF低 下を 認め た5例の 計11例 を外 側型 とし ,そ れ それ 臨床 バラ メータを比較検 討したところ,タ惟0型と内 側型とでは性差や熱性けい れんの有無や発作頻度に有意 差 は認 めら れな いが , 発作 の発症年 齢tまタ惟ijJは12.5+7.0歳で あり,内側型の3.915.4歳に 比べ て有意に高年齢 であった(p:ニ0.0098,t‑test).また,発作頻度については単純・複雑部分発作,全 身けいれん発作 ともに内側型に比べて外側 型に多い傾向にあった.

  今回 の対 象で は手 術 症例 は少なく 全例において病理学的に証明 されたわけではないが,MRI上,

FLAIR画 像 にて 海馬 の萎 縮と 高 信号 域が 認め られ た こと と臨 床発 作 症状 から 全冽内側側頭葉 てん かん(Medial′Femporal LobeE桝lepsy:MnーE)であると診断した.ま た,深部電隠による発作発射 の部位を確認し ていないが,外側型カ瀬嶇A葉タ畑4に発作焦点を有していた場合,外側からの発作発 射 が各槲 輔繍雛を経由し,連続して伝 播した結果,時間を経て海 馬硬化が形成されたというこ とも 考 えられ る.これらについては今後さ らなる検討を要するが,病 因的あるいは病理学的に異な るタ イ ブ のTLEで あ る か も し れ な い と 考え ら れた .こ のよ うな デ ータ を蓄 積す るこ と で, 今後MTLE をサブタイプに 分類できる可能性があると いうことが示唆された.

  以 上 の よ う に こ れ ま でTLEに つ い て 発 作 間 欠 期SPECTのrCBFの 側方 性に つい て の報 告は 多い が 側頭 葉のrCBF低下 の 局在 性に つい て の報 告は 少な い. そ の理 由と して ,従 来のSPE(汀定 性画 像 は視 覚的 方法 や関 心 領域 の設 定な ど の主 観的 な方 法でしかrCBF低下の翻竝や分布異常の程 度が 評 価 し 得 な か っ た か ら と 考 え ら れる .し かし 今回 , 但鰈 の脳 血流 低 下の 局在 につ いてSPMとい う客観的方法を 用いて統計学的に評価する ことが可能となった.

  以 上 よ りMRIに よ る 海 馬 硬 化 所 見と 脳 波上 の突 発陸 異常 波 の側 方性 が一 致し た 症例 にお いて TLEの 発 作 間 欠 期 脳 血 流SPE( 汀 のSPM解 析は ,統 計学 的に 側 頭葉 の脳 血流 低下 の 局在 を明 らか に し,臨 床的特徴との相関性を見出し ,てんかんの病態がより詳 細に示唆されたという点で重 要で ある.

78 ‑

(3)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

海馬硬化を伴う側頭葉てんかん患者における      局所脳血流低下の検討

‑123I‑IMPSPECT 所 見 の SPM 解 析 ー

  従 来 の て ん か ん の 発 作 間 欠 期123I‑IMP SPECT研究 にお いて は, いず れも 局 所脳 血流 量 (regionalcerebralbh)dnow:rCBF)低 下の 評価 が視 覚的 ある いは 関´ 己領 域 の設 定な ど の主 観的 方法 であ るた め客 観性 に欠 け, ま た側 方性 につ いて 言及 でき ても局在性にっいて 詳細 なこ とは 明ら かに され てい ない .本 研 究で は, 内側 側頭 葉て んか ん(Medialtempor甜 10beepmp8y:MTLE) 患 者 のSPECT画 像 のStatisticalpar岨etricmapp泣g(SPM) 解 析 に お い て , 側 頭 葉 外 側 のrCBFが 低 下 し た も の と 側 頭 葉 内 側 の 、rCBFが 低 下 し た も の に っ い て ,そ の臨 床的 パラ メー タの 相違 にっ いて 比 較検 討を 行っ た.MRI上, 腫 瘍な どの 占 拠性 病変 ,血 管性 病変 ,外 傷, 奇形 のあ る 者を 除外 し, 海馬 硬化 所見 と頭皮脳波上の突発 性 異 常 波 の 出 現 の 側 方 性 が 一 致 し た25例 に 対 し てSPM解 析 を 行い ,そ の結 果 ,側 頭葉 に rCBF低 下 所 見 が 認 め ら れ た19例 を 対 象 と し た . 臨 床 パ ラ メ ー タ はSPECT撮 像 時 の 患 者 の 年 齢 , 発 作 開 始 の 年 齢 , 発 作 開 始 か ら の 罹 患 年 数 , 熱 性 け いれ んの 有無 ,SPECT撮 像 か ら 前1年 間 の 発 作 頻 度 と し た .S珊 崕 に よ る 側 頭 葉 のrCBF低 下 領 域 の 判 定 は , 標 準 脳 図 譜 座 標 上 のX座 標 の 絶 対 値 が15〜55mmを 内 側 ,55〜70111mを 外 側 と し た . 統 計 学 的 検 定 に はSPECT撮 像 時 の 患 者 の 年 齢 , 発 作 開 始 の 年 齢 , 発 作 開 始 か ら の 罹 患 年 数 に はt 検 定 , 性 差 , 熱 性 け い れ ん の 有 無 に は カ イ2乗 検 定 , 発 作 頻 度 に はMann.Whitney検 定 を用 い,pくO.05を有 意と した .そ の結 果 ,8例は 側頭 葉内 側に ,6例 は側頭葉外側に,残 り の5例 は 内 側 と 外 側 の 両 方 にrCBF低 下 が 認 め ら れ た . 側 頭 葉 内 側 の み にrCBF低 下 が 認 め ら れ る も の を 内 側 型 , 側 頭 葉 外側 およ び内 側にrCBF低下 が認 めら れる も のを 外側 型 とした.発作の発症年齢は外側型では12.dニ7.0歳であり,内側型の3.9士5.4歳に比べて有 意に高年齢であったくp=O.0098,t‐test).性差や熱性けいれんの有無や発作頻度に有意差 は認 めら れな いが ,発 作頻 度に っい ては 単 純・ 複雑 部分 発作 ,全 身け いれん発作ともに内 側 型 に 比 べ て 外 側 型 に 多 い 傾 向 に あ っ た . こ の こ と か らMTI皿で 高年 齢に て んか ん発 作 を発 症す るも のは ,よ り重 症化 しや すく , 内側 から の発 作発 射が 外側 に拡がりやすいメカ ニズ ムを 有し てい るの では ない かと いう こ とが 考え られ た. また ,内 側から外側への発作

司 良

   

   

山 木

   

   

小 玉

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

発射を繰り返すことで外側の二次性焦点を形成する可能性もあり,より難治化し発作頻度 が多くなることも考えられた.以上よりMRI による海馬硬化所見と脳波上の突発性異常 波の 側 方陸 が一 致し た症 例に おい てTLE の発 作間 欠期 SPECT のSPM 解 析は ,統 計学 的 に側頭葉のrCBF 低下の局在を明らかにし,臨床的特徴との相関性を見出し,てんかんの 病態がより詳細に示唆された.

   質疑応答では,玉木教授から海馬硬化病変以外の構造異常によるrCBF 低下の有無につ いて, rCBF 低下 所見 が発 作焦 点になり得るかについて,Normal control におけるage matching の 問題 につ いて ,発 作間欠期SPECT を選んだ理由にっいて質問があった.こ れに対して申請者は,海馬硬化病変以外の構造異常でもrCBF 低下が起こり得ること,

rCBF 低 下所 見が 必ず しも 発作 焦点にはならないこと,Normal control と対象例でage matclung は行われていないが平均年齢に有意差はなく,側頭葉には加齢の影響は及びに くいこと,発作間欠期SPECT は非侵襲的で比較的容易に検査が行えるため汎用性がある ことを回答した.次いで佐々木秀直教授から,rCBF 低下が複数みられる理由について,

内側型と外側型とのbackground の相違について,側頭葉以外にどの部位にrCBF 低下が 認められるかついて質問があった.これに対し申請者は内側からの発作発射が外側に拡が る た め 両 側 に rCBF が 低 下 す る 可 能 性 が あ る こ と , 内 側 型 と 外 側 型と で 明 ら か な background の相違はなぃこと,側頭葉以外に帯状回,前頭葉,後頭葉,被殻,視床など にrCBF 低下が認められることを回答した.

   この論文は側頭葉てんかんの発作間欠期SPECT において統計学的に側頭葉の脳血流低 下の局在を明らかにし,臨床的特徴との相関性を見出したという点で高く評価され,今後,

側 頭 葉 て ん か ん の 病 態 が よ り 詳 細 に 示 唆 さ れ る こ と が 期 待 さ れ る .

   審査員一同は,これらの成果を高く評価し,申請者が博士(医学)の学位を受けるのに

十分な資格を有するものと判定した.

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