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(1)

「高効率熱電変換システムの開発」

事後評価報告書

平成19年9月

独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

研究評価委員会

(2)

平成19年9月

独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

理事長 牧野 力 殿

独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

研究評価委員会 委員長 西村 吉雄

NEDO技術委員・技術委員会等規程第32条の規定に基づき、別添のとおり

評価結果について報告します。

(3)

目 次

はじめに

1

分科会委員名簿

2

審議経過

3

評価概要

4

研究評価委員会におけるコメント

7

研究評価委員会委員名簿

8

第1章 評 価

1.プロジェクト全体に関する評価結果

1-1

1.1 総論

1.2 各論

2.個別テーマに関する評価結果

2.1 高効率熱電変換モジュールの開発

2.2 高効率熱電変換システムの開発

3.評点結果

第2章 評価対象プロジェクト

1.事業原簿

2-1

2.分科会における説明資料

2-2

参考資料1 評価の実施方法

参考資料

1-1

参考資料2 評価に係る実施者意見

参考資料

2-1

(4)

1

はじめに

独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構においては、被評価プロジェク

ト毎に当該技術の外部の専門家、有識者等によって構成される研究評価分科会を研究

評価委員会によって設置し、同分科会にて被評価対象プロジェクトの研究評価を行い、

評価報告書案を策定の上、研究評価委員会において確定している。

本書は、「高効率熱電変換システムの開発」の事後評価報告書であり、第13回研

究評価委員会において設置された「高効率熱電変換システムの開発」(事後評価)研

究評価分科会において評価報告書案を策定し、第14回研究評価委員会(平成19年

9月26日)に諮り、確定されたものである。

平成19年9月

独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

研究評価委員会

(5)

2

「高効率熱電変換システムの開発」

事後評価分科会委員名簿

(平成19年6月現在)

氏名

所属、肩書き

分科

会長

松浦

まつうら

滿

みつる

放送大学 山口学習センター 所長

分科会長

代理

河本

かわもと

くに

ひと

名古屋大学 大学院工学研究科 科学・生物工学専攻

教授

阿武

あ ん の

宏明

ひろあき

山口東京理科大学 基礎工学部 電子・情報工学科

准教授

きし

まつ

セイコーインスツル株式会社 技術本部 研究開発セ

ンター 基盤技術開発部 副主査

鈴木

す ず き

りょう

すけ

北海道大学 大学院工学研究科 材料科学専攻 エコ

プロセス工学研究室 教授

委員

中村

なかむら

恭之

やすゆき

有限会社フロンティア・マテリアル 取締役社長

敬称略、五十音順

(6)

3

審議経過

z 第1回 分科会(平成19年6月15日)

公開セッション

1.開会、資料の確認

2.分科会の公開について

3.評価の実施方法について

4.評価報告書の構成について

5.プロジェクトの概要

非公開セッション

6.プロジェクトの個別テーマの詳細について

7.コメント、質疑応答

(全体について)

z 第14回 研究評価委員会(平成19年9月26日)

(7)

4

評価概要

1.総 論

1)総合評価

低品位エネルギーである廃熱を有効利用する技術として熱電発電は有用である。こ

れは地球規模での重要課題である省エネや二酸化炭素排出削減のここ数年における

対応策に大きく資するとは思えないが一助となるものである。未だ市場が明確でない

状況において、公的資金の導入はこの分野の技術進展に寄与し、国内の研究開発は大

いに活発になった。また、実用化を目指して、学術レベルであった熱電変換材料に関

する研究を熱電変換モジュールおよびシステム開発まで取り組み、モジュールにおい

ては世界最高水準の成果が得られると共に、システムも概ね目標値を達成した。合わ

せて、今後の開発課題も明確にし、実用化に向けて一歩前進したと評価出来る。

しかしながら、モジュールとして良いものを得たにもかかわらず、システム化技術

は一定の進歩に留まっている。また、より広い社会普及を見込んだ汎用性にも着目し

コストダウンにつながることなど使用者の視点に立った総合的な観点からの技術開

発もなされるべきであった。実用化や事業化へ向けて、残された課題を早期に解決す

ると共に、いち早く商品化、普及に努めることで市場開拓し、広く国民に認知される

よう啓発に努めることが望ましい。

2)今後に対する提言

省エネや二酸化炭素削減の社会的ニーズは高く、実用化、事業化されれば経済・波

及効果が見込まれるが、普及するためには熱電変換の高効率化のみならず、汎用性や

経済性にも重視した取り組みがなされることが望まれる。

また、本事業で取り組んだ熱電変換材料は資源量、有害性、コスト、信頼性等の問

題が残されている。今後は、新しい着想により、低コストで資源豊富な元素で構成さ

れ環境にも優しく高い熱電性能をもつ革新的熱電変換材料の開発とそれを用いた熱

電変換モジュール開発などの基礎研究を実用化研究と同時に進めていく必要がある。

更に、生産ロボットの活用、冷却フィンまで装着した一体型モジュールなど、製造や

設計においても低コスト化への改善も望まれる。

これらは企業単独で取り組むには難しい面もあり、大学・国研などが相互に協力し、

社会的に重要性が認知させることを目指した研究開発へ展開することが望ましい。

2.各 論

1)事業の位置付け・必要性について

利用するには困難で、無駄に捨てられている多くの廃熱を熱電変換技術により発電

し有効利用することは、日本のみならず国際的に急務とされる地球温暖化防止および

省エネに寄与するものである。熱電発電に関する市場が形成されていない状況におい

て、熱電変換モジュール開発やシステム開発を進めるには、基盤的な要素技術も含め

て研究開発がなされる必要がある。また、熱電材料、接合技術等に係る要素技術の課

題解決や熱電モジュールの特性評価方法の統一などは、民間の一企業では対応できな

い課題であり、早期実用化に先鞭をつける上でも、NEDO の関与は必要であった。また、

未開拓であった新材料のモジュール化に道をつけ、未だに課題が残るものの将来の

中・高温熱利用へ展望を開いた成果は評価に値する。

(8)

5

一方で、現状でも市場が十分形成されていないことや国内外の研究開発の実用化状

況や研究開発状況から、本事業を近々の地球温暖化問題への対応や省エネ技術に位置

付けるには難しい点もあった。また、すぐに波及効果を期待するのも難しいことから、

今後の長期的視点でフォローしていくことが必要である。

2)研究開発マネジメントについて

内外の技術的動向を踏まえて、世界的に見ても非常に高いレベルの熱電変換効率を

統一指標として、適応する温度範囲を複数設定するとともに、新しい提案を含む研究

開発内容と技術要素を明確にし、モジュールとシステムそれぞれに妥当な目標値が設

定されている。

また、熱電分野での研究活動経験が豊富なプロジェクトリーダーを選任し、強力な

リーダーシップの元、熱電分野において技術の蓄積と熱電関連での事業実績を有する

企業により、計画が推進されていた。委員会、分科会など検討会が頻繁に行われてお

り、競争を図りつつも、技術交流に配慮されたものと思われる。加えて、材料系の問

題や中間評価での指摘を研究計画へ実用化を指向しつつ適切に反映していたと考え

られる。

なお、早期実用化に向けて、熱電変換技術の応用先を探索することは必要であるが、

用途調査は総花的であったことは否めなく、量的評価や質的評価など何らかの方向性

を示唆する調査もほしかった。また、新規の素子・モジュール開発もなされた点は評

価できるが、画期的とは言えない面もある。効率的実施のため実施者間の競争は有効

であったものの、熱電技術の優位性など事業化へのシナリオ・見通しが十分ではない

点も見うけられ、システム技術などを含め実施者間が協力できる柔軟性ある仕組みが

あっても良かった。

また、回収電力量の経済性は重要な側面であり、今後、それを評価指標とすること

が望ましく、参加企業間の知財権などの問題もあるが、より効率的な研究開発と広範

な普及を図るうえで、各社間の技術交流を期待する。

3)研究開発成果について

熱電変換モジュール開発では変換効率 15%(温度差 550 度)という世界的に見ても

高レベルの目標値を実証し、概ね目処を得られている。また、個別のモジュール、シ

ステム開発については、一部未達であるものの、耐久性を確保した上で、概ね目標を

達成している。学会レベルであった熱電材料について、モジュール化、カスケード型

モジュール化を行うと同時にシステム化を図り、実証実験を行った点は、高く評価で

きる。加えて、モジュール耐久性評価技術の開発は、汎用性の意味で価値が高いとい

える。量産化を踏まえた技術開発にも取り組み、製造コストの低減も検討し、実用化

に向けた技術課題も明らかになっている。知的財産権等の取得による事業化への備え

をしつつ、ノウハウの確保にも配慮しながら、フォーラム、論文などによる成果の普

及にも取り組んでいた。

しかしながら、モジュール、システムとも特定な用途に対するものが中心であった

ことから、直ちに汎用性や普及促進に繋がるには難しい感じがあった。実用化に向け

ては、初期投資や回収期間、メンテナンスフリーなど使用者側の視点での評価指標の

より明確化など、課題も多く残っている。今後、普及促進に向けて、更なる検討を進

めるべきである。また、一般社会の認知度が上がる観点からは十分とは見えず、更な

る工夫や試みが成されることが望ましかった。市場開拓や顧客確保に繋がることから

(9)

6

も熱電の重要性を社会に認知してもらうための努力を期待する。

4)実用化、事業化の見通しについて

実用化については、的を絞っていると共に、自社および関連企業で自社既存事業と

関連付けられながら進められており、期待が持てる。また、事業化に向けた課題の検

討やそれに伴う経済効果・波及効果も検討しており、実現されると経済的、社会的な

波及効果は大いに期待される。また、本プロジェクトの実施自体がこの分野の研究開

発、人材育成等促進に大きな刺激となり、我が国および世界での熱電変換科学技術の

進歩に寄与できたと考える。

しかしながら、一部、積極的に実用化、事業化する意欲が伝わってこなかったこと

やシナリオが必ずしも十分でない点も見受けられた。未だ大きな市場をもたない状況

で、量産化効果に頼るコスト低減には懸念がある。量産効果以外のコスト低減につい

て今後さらに工夫・努力が必要である。また、量産効果を見込むためには、分野や電

力の使用用途の拡大や主電源としての活用方法の検討などが重要であり、その点から

言うと見通しが甘い点が見受けられる。確かに、事業をしてみないとわからない面が

あることは理解できるが、社会的によりアピールするシナリオを検討すると良かった

と思われる。

なお、熱エネルギーの電気変換はいろいろな側面を持ち、その対象によっても、変

換にかける費用や目的とする変換効率も異なることから、モジュールや単なる発電シ

ステムとしての取り組みだけでなく、電力供給システム全体としての取り組みが望ま

れる。

(10)

7

研究評価委員会におけるコメント

第14回研究評価委員会(平成19年9月26日開催)に諮り、了承された。研究評

価委員からのコメントは特になし。

(11)

研究評価委員会

委員名簿(敬称略、五十音順)

職 位

氏 名

所属、肩書き

委員長

西村 吉雄

国立大学法人東京工業大学 監事

委 員

伊東 弘一

早稲田大学 理工学術院総合研究所 客員教授(専任)

委 員

稲葉 陽二

日本大学 法学部 教授

委 員

大西 優

株式会社カネカ 顧問

委 員

尾形 仁士

三菱電機エンジニアリング株式会社 取締役社長

委 員

黒川 淳一

国立大学法人横浜国立大学大学院

工学研究院・システムの創生部門 教授

委 員

小林 直人

独立行政法人産業技術総合研究所 理事

委 員

小柳 光正

国立大学法人東北大学大学院

工学研究科バイオロボティクス専攻 教授

委 員

佐久間一郎

国立大学法人東京大学大学院

工学系研究科精密機械工学 精密機械工学専攻 教授

委 員

冨田 房男

放送大学 北海道学習センター 所長

委 員

架谷 昌信

愛知工業大学 工学部機械学科

教授・総合技術研究所所長

委 員

平澤 泠

東京大学名誉教授

委 員

吉原 一紘

アルバック・ファイ株式会社 技術開発部 理事

8

(12)

第1章

評価

この章では、分科会の総意である評価結果を枠内に掲載している。なお、枠の下

の○、●、・が付された箇条書きは、評価委員のコメントを原文のまま、参考とし

て掲載したものである。

(13)

1-1

1.プロジェクト全体に関する評価結果

1.1 総 論

1)総合評価

低品位エネルギーである廃熱を有効利用する技術として熱電発電は有用であ

る。これは地球規模での重要課題である省エネや二酸化炭素排出削減のここ数

年における対応策に大きく資するとは思えないが一助となるものである。未だ

市場が明確でない状況において、公的資金の導入はこの分野の技術進展に寄与

し、国内の研究開発は大いに活発になった。また、実用化を目指して、学術レ

ベルであった熱電変換材料に関する研究を熱電変換モジュールおよびシステム

開発まで取り組み、モジュールにおいては世界最高水準の成果が得られると共

に、システムも概ね目標値を達成した。合わせて、今後の開発課題も明確にし、

実用化に向けて一歩前進したと評価出来る。

しかしながら、モジュールとして良いものを得たにもかかわらず、システム

化技術は一定の進歩に留まっている。また、より広い社会普及を見込んだ汎用

性にも着目しコストダウンにつながることなど使用者の視点に立った総合的な

観点からの技術開発もなされるべきであった。実用化や事業化へ向けて、残さ

れた課題を早期に解決すると共に、いち早く商品化、普及に努めることで市場

開拓し、広く国民に認知されるよう啓発に努めることが望ましい。

<肯定的意見>

○ 使用が困難である温度領域の熱エネルギーの電気エネルギーへの変換は、従来

から期待が大きい。本プロジェクトの成果は世界トップレベルの値に設定・定

量化されたものに対し、達成できたといえる。とくに、これまで学術レベルで

あった熱電材料に対して、モジュール化、システム化し、実証実験を行った点

は高く評価できる。これらの熱電変換材料の実用化を含め、今後、商業ベース

での展開に期待が持たれる。

○ 原理的にエネルギーを生み出す能力は他の発電方法に比べ高くはならない熱

電発電であるが、熱電発電は低温熱源の恒久的な利用には効果が期待できる分

野である。今回の NEDO 資金投入によってこの分野の技術は進展し、国内の研

究開発は大いに活発になった。本プログラムによって世界最高水準の熱電変換

素子効率を得たことは我が国の科学技術水準の高さを世界に知らしめ、かつ、

世界のトップに立って国内における熱電変換技術の商業化と一般への普及・啓

蒙のために大いなる貢献があった。モジュールの効率としては良いものを得た

ので、今後の道筋が開けた。

○ 特定用途に対して、実装試験で良好な成果が得られた。

○ 世界最高水準のモジュールが開発できた。

○ コストダウンには、生産技術面での進展が見られた。

○ 日本での研究や生産が世界での調査、セミナーなどでトップにあることが確認

できた。

○ 熱電モジュールの開発においては世界最高と思われる成果も上がっており、プ

ロジェクト全体としては成功裏に終えたといえよう。

○ 無駄に捨てられている廃熱を熱電技術により回収し、CO2 削減に寄与しようと

する本事業は、実用化を目指して熱電の材料開発、素子開発、システム開発を

総合的に展開し、国際水準として高い成果を上げている。

(14)

1-2

○ 熱電発電技術は低品位な排熱をエネルギー回収し有効利用する技術として有

用であり、それによる省エネルギー効果、二酸化炭素排出削減への効果が期待

されている。当該プロジェクトは実用化のための熱電変換モジュールおよびシ

ステム開発に取り組み、目標値を概ね達成し、実用化に向けての要素技術で有

益な知見を得ると共に今後の開発課題も明確にしている。世界的にもトップレ

ベルの成果を含んでいる。実用化に向けて一歩前進したと評価する。

<問題点・改善すべき点>

● 発電効率という点に力点をおきすぎたところがある。熱電変換の持つ特異性や

廃熱利用という観点から考えた場合、使用環境、発電コストなど総合的な観点

から技術開発を進めて欲しかった。発電効率重視のため、実用化にあたり、モ

ジュールやシステムに限定が付けられ、使用範囲が狭められることは避けなけ

ればならない。

● モジュールとして良いものを得たにもかかわらず、システム化技術は一定の進

歩に留まった。期待が大きいだけに歩みが小さく見えるのかもしれないが、こ

れからもこの技術は着実に伸ばしていかなければならない。

● 未だ市場が明確でない部分も多いため、国の 100%の援助がふさわしい分野であ

ったと思う。企業の資金をある割合で利用したために、かえって「企業活動で

あるから秘密である」として公表されない点も多くなり、先駆的であるこの分

野の今後の発展に対し、国全体としてのレベルアップには不満がある。国の資

金援助が 100%ではない助成事業であったとはいえ、公的資金を導入する上では

研究者らの努力が国全体の共通資産となるよう留意すべきであろう。

● もともと市場がない分野に新たに挑戦したこの試みは、先駆的なものであるだ

けに、成功した開発結果をいち早く商品化して普及させ、熱電変換技術を普通

の発電技術として広く国民に認知されるよう、フォローアップして欲しい。

● 研究レベルの材料で熱電気変換モジュールを開発したことは認められるが、事

業期間中に新たな材料が出てきていることから、画期的な発展がみられたとは

言い切れない。

● 素子の組成、形状についても改善の余地が認められる。

● 入熱及び冷却のより一層の効率向上を図らねばならない。

● 一部当初目標が未達成のものについては、改善または方向転換して引き続き開

発努力をしていただきたい。

● 得られた成果を踏まえて、終了後の実用化展開へ向けた具体的な戦略をきちっ

と立て、市場開拓と顧客獲得の努力をして欲しい。

● 性能・効率向上について一定の成果を得ているが、排熱回収で熱電技術の優位

性が発揮できるように実用化に向けては経済性を重視し、システム全体のコス

トを低減するための材料、構造、製造法、利用法の開発が求められる。

● 伝熱ロス低減はシステム効率向上のための重要課題であり、システムの伝熱効

率改善の余地は残されおり、独創的で革新的な伝熱技術の開発が求められる。

<その他の意見>

・ 数年のうちにおける熱電変換による二酸化炭素削減試算は楽観過ぎる。熱電変

換技術の実用化とともに、適用範囲の拡大を図るためには格段の努力が必要で

ある。

(15)

1-3

• 今回の資金援助を受けた企業が中核となって、業界のリーダーとしてこの分野

をさらに大いに伸ばしていってもらいたい。

• 熱電気変換材料が汎用され、クリーンな熱エネルギーを電気エネルギーに変換

できるように、日本の他の研究機関・研究者とのより一層の共同開発を進めて

いただきたい。

• 事業化の点では、更なる市場開拓をふくめて、今後の展開が必要な状況にある。

(16)

1-4

2)今後に対する提言

省エネや二酸化炭素削減の社会的ニーズは高く、実用化、事業化されれば経

済・波及効果が見込まれるが、普及するためには熱電変換の高効率化のみなら

ず、汎用性や経済性にも重視した取り組みがなされることが望まれる。

また、本事業で取り組んだ熱電変換材料は資源量、有害性、コスト、信頼性

等の問題が残されている。今後は、新しい着想により、低コストで資源豊富な

元素で構成され環境にも優しく高い熱電性能をもつ革新的熱電変換材料の開発

とそれを用いた熱電変換モジュール開発などの基礎研究を実用化研究と同時に

進めていく必要がある。更に、生産ロボットの活用、冷却フィンまで装着した

一体型モジュールなど、製造や設計においても低コスト化への改善も望まれる。

これらは企業単独で取り組むには難しい面もあり、大学・国研などが相互に

協力し、社会的に重要性が認知させることを目指した研究開発へ展開すること

が望ましい。

<今後に対する提言>

・ 熱電材料に係る資源量、有害性、コスト、信頼性等の問題が残っている。これ

らを総合した考えのもとに熱電関連の開発と実用化を図ることが望まれる。ま

た、効率重視から汎用性およびコスト重視への研究開発への転換が望まれる。

・ モジュールの効率としては良いものを得たので、一刻も早く商品化を行って

500℃の熱源に限らず色々の方面に対して適用して頂きたい。量産化が価格低減

の先導となると思われるので、今後はロボットを用いた製造技術や、冷却フィ

ンまで装着した一体型のモジュール製品の製造販売体制などを構築してもらい

たい。

・ 画期的な変換効率のモジュール開発:そのためには、①組成・成分系の探索、

②最適形状(複合化含む)③入熱・冷却の高効率化検討④信頼性のある接合、

これらを既存の電気エネルギーコストと同レベルまで引き上げる事を目標とす

・ 高変換効率のみを求めず、熱電変換技術を広く普及、拡大できる汎用的な適用

先を見出せることが望ましい。そのためには。機能素子とのハイブリット化な

どについても検討する必要がある。

・ 地球資源活用のために、汎用元素(Fe,Si,Al,Cuなど)を対象とし

ての素子の検討が必要。

・ 本プロジェクトで採用した材料はすべて非酸化物系であるため、高温熱利用に

際して酸化防止の措置を取らねばならないという大きな問題を残した。今後は、

耐熱性・耐酸化性を兼ね備えた酸化物系材料の開発とモジュール化・システム

化へ向けた研究開発も望まれる。

・ この事業で得られた多くの成果を生かし、シリサイドクラスレート、酸化物な

どの最近の種々の新たな高性能材料開発状況をふまえ、今後、資源的にも豊富

で環境負荷の少ない材料を用いた高性能熱電変換モジュール開発を展開するこ

とが望ましい。

・ また新たな用途開発を含め、企業、大学・国研究機関が材料開発、素子開発、

システム開発を協力し総合的に実用化を目指し、研究開発を展開することが望

ましい。

・ 省エネルギー効果・二酸化炭素削減効果が期待される中高温度領域の排熱回収

(17)

1-5

においては、社会的ニーズもあり経済・波及効果が見込まれるため、幅広く熱

電変換技術の適応を検討するべきである。実用化のための重要な課題の一つが

経済性(コスト低減)である。熱電変換効率ばかりではなく、社会ニーズに応

えられるように経済性を重視した開発を今後進める必要がある。

• 当該事業開始後、いくつかの新材料の発見、ナノ構造材料(バルク・薄膜)な

どの材料開発において進展があった。新しい着想により、低コストで資源豊富

な元素で構成され環境にも優しく高い熱電性能をもつ革新的材料の開発とそれ

を用いた熱電変換モジュール開発などの基礎研究は実用化研究と同時に進めて

いく必要がある。米国では移動体からの排熱回収を目的として、量子構造・超

格子材料などの先端的モジュールも含めた熱電変換技術開発が国家プロジェク

トで進められている。このような世界的な情勢も鑑みて、今後も基礎研究も含

めて実用化のための研究開発を長期的・戦略的に進めていくことが強く望まれ

る。

<その他の意見>

• 今回の助成に対し直接の主要テーマではなかったが、温度変化の繰り返しの多

い産業機器への熱電モジュールの適用に対し、進んで耐久性試験などが実施さ

れていたので、商品化への対策に抜かりはなく、安心した。

• カスケード型モジュールの設計方針や熱応力の掛かり方、耐久性試験などにつ

いての知見などは、今後のこの分野の発展に寄与するところが大きいと思われ

る。

• すでに成果の一部は発表されているが、出来るだけ詳細に至るまで広い範囲に

ついて、この分野の研究開発に携わる者、この分野に新たに参入してくる者、

などに普及して欲しい。ソフト的な分野でもあり、短期間では特許化すること

が難しい技術であるので、プロジェクト終了後も本プロジェクトで示された技

術概念や設計方針などに関して継続的な特許出願等への支援などを国が考え

てはどうか。

• 長期間のグローバルなビジョンを立ててもらいたい。

• 市場創生のために研究者のグロ-バルな活動で、共同で各種規格、標準を制定

し共通認識で熱発電市場を拡大活性させ、電気エネルギーをクリーンな熱変換

で作り出し、地球環境保持に寄与していただきたい。

• 大きな発電でなくても、通信等で役立つ小さなエネルギー創生にも取り組んで

もらいたい。

(18)

1-6

1.2 各 論

1)事業の位置付け・必要性について

利用するには困難で、無駄に捨てられている多くの廃熱を熱電変換技術によ

り発電し有効利用することは、日本のみならず国際的に急務とされる地球温暖

化防止および省エネに寄与するものである。熱電発電に関する市場が形成され

ていない状況において、熱電変換モジュール開発やシステム開発を進めるには、

基盤的な要素技術も含めて研究開発がなされる必要がある。また、熱電材料、

接合技術等に係る要素技術の課題解決や熱電モジュールの特性評価方法の統一

などは、民間の一企業では対応できない課題であり、早期実用化に先鞭をつけ

る上でも、NEDO の関与は必要であった。また、未開拓であった新材料のモジュ

ール化に道をつけ、未だに課題が残るものの将来の中・高温熱利用へ展望を開

いた成果は評価に値する。

一方で、現状でも市場が十分形成されていないことや国内外の研究開発の実

用化状況や研究開発状況から、本事業を近々の地球温暖化問題への対応や省エ

ネ技術に位置付けるには難しい点もあった。また、すぐに波及効果を期待する

のも難しいことから、今後の長期的視点でフォローしていくことが必要である。

<肯定的意見>

○ 熱電変換による発電は、この発電のための熱源を新たに作らないということで、

低品位・未利用エネルギーの有効利用手段である。また、熱電材料、接合技術

等に係る研究開発の進展は世界的にも著しいものがある。実用化に際しては、

材料開発、モジュール開発さらにシステム開発が必要であり、周辺および関連

技術開発も多岐にわたっており、民間企業独自による全般的な開発には、困難

とリスクが大きく伴う。広範な技術開発による技術普及とエネルギー・環境問

題という公共性からもNEDOのプロジェクトとしてふさわしいといえる。

○ 高温の廃熱利用を考えると一定の進歩が得られた。

○ とりわけ、熱電モジュールの特性評価方法の統一など、民間の一企業では対応

できない課題も多く、NEDO の関与は必要であった。これはリーダーシップの発

揮された好例である。

○ 熱電発電に関する市場が形成されていない段階で、新しい製品を開発し、その

応用先を積極的に開発していこうとする事業の目的、実施者の姿勢は評価でき

る。

○ 移動体へのエネルギー供給は重要であるが、熱電変換の技術の性格上、自動車

応用を避けた点は賢明であったと思われる。

○ 利用できる熱エネルギーの温度範囲を幅広く設定した。

○ 実装試験を主として行い、その実装段階での課題を明確にした。

○ グローバルな観点から、他国の研究所等についての調査を実行し、トップレベ

ルの研究である事を確認した。

○ 既存の汎用モジュールを比較対照品として、開発品の具体的な位置づけを与え

た。

○ 参加各社の人的・資金的な協力で進められた。

○ 具体的な対象アイテムについては、商品化の目処をつけた。

○ CO2 排出削減が急務となった世界情勢を踏まえて、排熱回収・熱電発電技術の

開発にいち早く取り組んだ本事業は、大変意義が高く国内外に対してアピール

(19)

1-7

するにもタイムリーであったといえる。目的もほぼ妥当である。

○ 本事業をとおしてこれまで未開拓であった新材料のモジュール化に道をつけ、

未だに課題が残るものの将来の中・高温熱利用へ展望を開いた成果は評価に値

する。この部分に関しては、投じた予算に見合う成果を得ているといえる。

○ 多くの無駄に捨てられている廃熱を熱電技術により回収し、CO2 削減に寄与し

ようとする本事業は、以下の点もありNEDO事業として妥当である。

○ これまでの熱電技術の研究は、熱電材料研究が主体であり、素子開発、システ

ム開発はあまりなされてこなかった。

○ 素子開発、システム開発では、基盤的な要素技術を含めて研究開発がなされる

必要があり、必要経費も大きく、民間活動のみでは対応できる状況になく、N

EDOの支援が必要であった。

○ 国際的にも、熱電材料開発、素子開発、システム開発の3点すべてを考慮して

の本格的研究開発事業がなされてこなかった。

○ 熱電変換技術は低品位な廃熱を電気エネルギーに変換して有効利用する技術

として有用で、それによる省エネルギー効果、その結果として二酸化炭素排出

削減への効果が期待されているものの、実用化のためのモジュールおよびシス

テム開発は既存技術の組み合わせ・応用だけでは容易ではなく、技術革新によ

り種々の要素技術における課題を解決する必要がある。民間活動では大きなリ

スクを伴うため、NEDO の事業として位置づけて取り組み支援するべきである。

さらに、当該事業で得られた成果が社会に還元され、熱電変換技術が幅広い分

野で応用・普及する場合には経済・社会にもたらす影響や地球温暖化抑制への

貢献も期待されることを鑑みて NEDO 事業として重要であると判断する。

<問題点・改善すべき点>

● 国内外の研究開発の実用化状況や研究開発状況から考えて、近々の地球温暖化

問題への対応や大幅な二酸化炭素排出抑制技術に位置付けることは難しい。モ

ジュール評価方法の共通化が不十分である現状を鑑みると、エンジニアリング

振興協会/産総研が開発したモジュール性能評価装置とその原理等について

は、今後の発展と共通化を目的として開示を進めることが望まれる。

● 事業の個々の目的はおおむね妥当であったが、計画全体として高いエネルギー

生産量を期待させるかのような計画目標はやや大風呂敷であった。市場が形成

されていない段階でのエネルギー削減量の目算を立てるのは事業立案時にお

いて重要である事は認められるが、順調に採用、導入できる事を前提とし、高

い効果が得られることにしているのは、実用化開発としては楽観視過ぎたよう

に思う。今後の NEDO プロジェクトについては、計画段階では期待できる最大

のエネルギー生産量と共に、最低でもこの程度はという最小限のエネルギー生

産量を記述させると良いのでは、と考えます。

● 本計画を NEDO の省エネルギープロジェクトとして位置づけるには少し企画段

階で無理があった。本来、長期的に取り組むべき課題であるのに対して、実用

化を狙ったために、助成事業で取り組んだことには普及するための PR として

は良い。しかし、本事業で取り組んだ評価装置の共通化や評価手法などはこの

分野の技術発展、国の産業競争力強化にとって不可欠であり、委託で取り組む

べき課題であった。プロジェクトの進展を勘案しつつ、事業の意味合いを臨機

応変に変更し、必要に応じて、公的研究機関や大学などの援助を直接求められ

(20)

1-8

る様な柔軟性ある制度が必要であった。

● 100℃以下の低温廃熱への適用はやはり未だ困難な点がある。低温の熱利用と

して本プロジェクトで提案された利用方法が商品化を意識してかなり限定さ

れたものに留まったので、国全体としてのエネルギー使用量の削減効果は元々

大きくは期待できなかった。低温廃熱への適用は熱電発電の啓蒙的な側面があ

るので、幾つかの先駆的な応用例については継続的な財政支援があってよい。

● 素子を提供された場合、システムに組み上げる努力自体は一般的にそれで営利

を求める、事業をしようとする者が背負うべきリスクであり、基本的に公的資

金を投入すべきものではない。しかし、市場がない、価格などが不透明な状況

で、普及への道筋をつけるためには、この開発研究にまで援助することは仕方

がなかったことと思う。

● 投じられた高額の費用に対して直ぐに波及効果が現れるわけではなく、全体の

レベルを高く引き上げることが出来たので、もう少し長い年月の視点でフォロ

ーしていくことが必要である。掲げられた波及効果の数字は投じられた費用に

対して小さいのではないかと懸念した。

● 天然ガスプラントや水素貯蔵での極低温から氷や雪などの低温度域について

の設定がない。冷却での問題点が少ないという注目すべき温度範囲だと考える。

CO2の削減は、電力を発生させることで意味づけできる。

● 実装試験を主とするために、限定した客先分野への展開を図っている。今後は

一般的な汎用用途への検討も進めていただきたい。

● 熱と電気の変換効率向上を生産技術面で進めている。この内容は、各企業だけ

でも検討可能な内容であり、一般的に材料の画期的な特性向上が30年周期で

ある(磁石材料等。)からみて、画期的な特性を持つ材料開発にもっと力を入

れるべきではないだろうか。生産技術面でも、アメリカが、薄膜を検討してい

るのには意味があり、今後取り上げる課題であろう。

● 初期投資の回収期間が、一般的には2から3年であることから、今回のシステ

ムでは、まだまだの結果であり量産という観点でより一層のコストダウンを目

指してもらいたい。

● 冷却源について、既存にファン冷却されている装置への適応が多いが、水を利

用するアイテムが少ない。海や川、揚水の利用などの利用についても検討する

余地がある。

● 省エネルギー技術開発プログラムの下で行う事業としての意義をより明確に

するために、熱電発電技術が実用化され、様々な分野で応用された場合に期待

される省エネルギー(二酸化炭素削減)への寄与は、国の掲げる目標に対して

どの程度の貢献となるのかを示しておくことも望まれる。

<その他の意見>

・ 諸般の事情を踏まえてこの事業が経済産業省で立案され、実行時に NEDO へ移

管したと思われるが、NEDO の組織目的と本技術の当時の状況を考えると、より

要素基盤的な部分をクローズアップし、国挙げての研究として取り組む方が効

果的であったように思われる。一方、実用化による地球温暖化防止、省エネの

達成も重要であり、NEDO の組織目的にも適合しているが、この事業は実用化開

発であり、普及事業とも異なることから、効果を求める目的には少々難しいと

思われる。

(21)

1-9

システムの特性評価装置は NEDO が装置を各地の試験所に無償配布するとか、

技術供与や市販の可能性を探って欲しい。

• 毎年開催される国際会議に積極的に成果を発表したのは好ましいことであっ

たが、調査として各地を訪問する必要があったかどうかは幾分疑問である。

• 限られた期間、限られたメンバーでは、このように目的を絞り進めなければな

らないということは理解するが、個々のテーマだけではなく、メンバー全員で

の取り組みが欲しかった。

• 国家として高効率の熱電気発電というテーマであり、日本が最先端の技術を有

するのであれば画期的な素子やシステムの可能性を提案して欲しかった。

• 市場の拡大による量産効果を踏まえ、高効率でなくても汎用性を持たせ光発電

と同じように量産化する対象についても議論いただきたかった。

• 価格は、光発電程度を目途としているが、光でも国の援助がなければまだ不満

があり、水力・火力・原子力などと対等になる価格を設定しその可能性を探っ

ていたただきたかった。

(22)

1-10

2)研究開発マネジメントについて

内外の技術的動向を踏まえて、世界的に見ても非常に高いレベルの熱電変換

効率を統一指標として、適応する温度範囲を複数設定するとともに、新しい提

案を含む研究開発内容と技術要素を明確にし、モジュールとシステムそれぞれ

に妥当な目標値が設定されている。

また、熱電分野での研究活動経験が豊富なプロジェクトリーダーを選任し、

強力なリーダーシップの元、熱電分野において技術の蓄積と熱電関連での事業

実績を有する企業により、計画が推進されていた。委員会、分科会など検討会

が頻繁に行われており、競争を図りつつも、技術交流に配慮されたものと思わ

れる。加えて、材料系の問題や中間評価での指摘を研究計画へ実用化を指向し

つつ適切に反映していたと考えられる。

なお、早期実用化に向けて、熱電変換技術の応用先を探索することは必要で

あるが、用途調査は総花的であったことは否めなく、量的評価や質的評価など

何らかの方向性を示唆する調査もほしかった。また、新規の素子・モジュール

開発もなされた点は評価できるが、画期的とは言えない面もある。効率的実施

のため実施者間の競争は有効であったものの、熱電技術の優位性など事業化へ

のシナリオ・見通しが十分ではない点も見うけられ、システム技術などを含め

実施者間が協力できる柔軟性ある仕組みがあっても良かった。

また、回収電力量の経済性は重要な側面であり、今後、それを評価指標とす

ることが望ましく、参加企業間の知財権などの問題もあるが、より効率的な研

究開発と広範な普及を図るうえで、各社間の技術交流を期待する。

<肯定的意見>

○ 研究開発目標に定量化、計画については十分検討されており、プロジェクトリ

ーダーは参加企業の進捗状況を十分把握して進められている。開発テーマは関

連技術を含め、幅広く網羅されており、参加企業各社ごとにオリジナリティー

を出している。開発困難と判断された材料を他の材料に転換するなど、状況に

応じた判断がなされている。

○ 内外の技術的動向および国の長期戦略にそった提案であって、しっかりした技

術目標を数値として立てることが出来た。また、統一した基準で数値化する技

術をもつことで、複数の実施社の競争が正常に行われた。高変換効率というテ

ーマにふさわしい一つの指標が打ち出され、国民にわかりやすい指標であった。

○ 強いリーダーシップが発揮され、高度な技術力を持つ実施者が選ばれ、必要な

システム評価装置が提供された。事業の途中で実施体制を見直してモジュール

製作会社1社を外したことは、効率的、効果的な運営として評価できる。

○ 適切な要素技術が取り上げられ、また検討されていた。委員会、分科会など検

討会が頻繁に行われており、技術交流があったものと思われる。ただし過度に

頻繁に検討会を開くと研究者個人に過大な負担が生じる恐れがある。その点を

留意して進められていたことは思うが、少々不安に感じた。

○ 全体の統括については問題はなかった。計画の見直しも随時行われ、開発体制

もしっかりしていた。中間評価を反映して、熱技術にも力を入れ、また多くの

一般参加者を得た熱電発電フォーラムの2回の開催などにも注力されたので、

これらの努力がより早い市場開発に繋がればと期待している。

○ 日本でも優良な企業で、従来より熱発電に取り組まれているメンバーである。

(23)

1-11

○ 実用化を意識して、既存の素子やシステムを利用して、無駄なく研究を進めて

いる。

○ 生産技術として、メンバーの創意工夫がされていて成果も得られている。

○ 短い期間で実装的な取り組みがなされ、その課題も抽出されている。

○ 研究開発目標の設定は具体的かつ高レベルであり、妥当である。

○ 計画も、モジュール開発とシステム開発の両面から検討を行っており、プロジ

ェクトリーダーと一緒に十分相談して決めた妥当なものである。

○ プロジェクトリーダーは熱電分野での研究活動経験が豊富でかつ日本のリー

ダーの一人であり、全体を統括するに相応しい人選である。

○ 当初の予想が不適切であった材料系で、すばやく対象を変更して開発を進めた

ケースがあるなど、計画の見直しが常に行われていたと考えられる。

○ 研究開発目標は、現状技術の状況、目標の明確・定量的な設定、目標達成度判

断指標などを考慮して設定されており妥当である。

○ 企業別で用途システム・開発目標を定めての研究開発計画は、熱電材料開発、

素子開発、システム開発の3点での必要な要素技術を考慮しており、スケジュ

ール、予算を含めおおむね妥当と考えられる。

○ 研究開発実施の事業体制は、全体統括のプロジェクトリーダー選任、技術能力

を有する企業参加など適切な体制と考えられる。

○ 大きな必要性が生じなかったこともあり、情勢変化への対応等などでは特に問

題は無い。

○ 熱電技術を応用する温度範囲を複数設定し、それらに対して従来にない新しい

提案を含む具体的な研究開発内容と技術要素を明確にして、達成度評価の指標

として熱電変換モジュールと熱電変換システムの効率を定義し妥当な目標値

が設定されている。

○ 目標達成のために、熱電分野において技術の蓄積と熱電関連での事業実績があ

り当該プロジェクト成果を事業化し将来発展的に事業展開する意欲とそのポ

テンシャルを有する企業により組織され、熱電分野で充分に実績のあるプロジ

ェクトリーダーの統括の下、研究開発が計画的に実施されている。さらに、第

三者を含む各種委員会・部会を設置して、モジュール開発側とシステム開発側

の連携の推進を図ると共に、熱電技術の研究開発に関して実用化・普及に向け

ての助言・評価や調査活動を頻繁に行い当該プロジェクトに役立てる努力がな

されている。これらの委員会・部会の組織運営に(財)エンジニアリング振興

協会が役割を果たしたことを理解した。

○ 研究開発の進捗状況・マネジメント、熱技術・コスト・信頼性など研究開発課

題、実用化・事業化への見通しなどに関しての中間評価での指摘事項について

も検討し対応している。

<問題点・改善すべき点>

● 各社各様の実用化を目指しているが、共通の開発項目もあるはずである。知的

財産の関係もあるが、相互間の協力が望まれる。用途調査や実用化については、

具体性に欠ける点が多く、やや楽観的なようである。

● システム設計については途中で実施体制を変更しなかった。また、熱電変換技

術の具体的な応用先を探索するための個別的な挑戦と試験は必要であるが、総

花的であった様に感じた。

(24)

1-12

● 具体的な開発目標が多すぎて体制が水平的であり、深化は少なかったように思

う。

● 市場が明確でない熱電発電について競争原理を働かせるのは多少無理があっ

た。NEDO のテーマとして市場の開発も含めたテーマを助成する場合は競争原理

の項目を外した方がよい。

● 啓蒙・普及活動についてエンジニアリング振興協会の役割が今後は一層重要で

ある。

● 個々のテーマへの取り組みは、十分評価できる。しかし、研究開発チームとし

て、熱発電の普及や、画期的な素子・モジュールについての取り組みがない。

各国の状況調査等も実行しているのであれば、今後についての熱発電の発展と

環境への寄与についての提言をまとめておくべきではないか。

● メンバー以外の日本の研究者も多くいるが、その研究者の現状成果との比較を

してもらいたかった。

● 発電もCO2削減という省エネルギー観点から進められているが、熱電気変換

の活用という基本的な観点からも議論してその方向性を示していただきたか

った。

● モジュール開発では実施者間の競争が非公開で行われたために情報交換が行

われず、かえってシステムのスムースな実用化展開に障害になる点が見受けら

れる。

● 実用化シナリオが各社すべて完全にできているとは言えず、今後の努力を要す

る。

● 熱電技術の優位性など事業化へのシナリオ・見通しが十分ではない点も見うけ

る。

● BiTe 以外のシリサイド系素子開発が比較的低温でのシステム用途企業でなさ

れ、比較的高温でのシステム用途企業で取り組んでいない企業もあるのは不自

然とも思える。

● 変換効率のみが数値目標として重視されているが、排熱有効利用を考えると回

収電力×稼働時間=回収電力量の経済性は重要な側面であり、それを評価指標

とすることの検討もお願いしたい。

<その他の意見>

参加企業間の知財権などの問題もあるが、より効率的な研究開発と広範な普及

を図上で、各社間での技術交流が望まれる。

• 予算配分額の各事業体への配分額やその内訳・詳細が十分示されなかったので、

予算に対する計画性や妥当性は評価できない。総額として判断するなら、もう

少し集中的に研究開発を行った方が先頭軍団を育成するためには効果的であ

ったように思う。特に中間評価以降でもっと差別化されてもよかったかもしれ

ない。

• このような大型投資は、参加メンバー企業の負担をなくし、全面的に国の投資

としてはどうだろうか。メンバー各社の個別な企業目的を踏まえるのではなく

て、日本国としての研究として、新たな組織を創生してでも単独目的で進め、

開発実行企業も参加メンバー企業以外にも発注できる柔軟な研究体制が必要

でないか。コアメンバーとして各企業から選定されたメンバーを位置づけ研究

者も必要なアイテムごとに日本の優秀な研究者の参加も認めて、幅広い視野で

(25)

1-13

進めてはどうだろうか。長期間の研究ではどうしても参画企業独自の目的が研

究を妨げる可能性がないとはいえない。反面、熱心な企業がトップランナーと

して存在することも大切であり、どちらがいいとはいえない。

• 研究開発実施の事業体制は、目標達成及び効率的実施のため実施者間の競争が

行われる面で良いと思われるが、この分野の実用化の難しさから、システム技

術などを含め協力できる点は協力する柔軟性ある仕組みもあって良い。

(26)

1-14

3)研究開発成果について

熱電変換モジュール開発では変換効率 15%(温度差 550 度)という世界的に

見ても高レベルの目標値を実証し、概ね目処を得られている。また、個別のモ

ジュール、システム開発については、一部未達であるものの、耐久性を確保し

た上で、概ね目標を達成している。学会レベルであった熱電材料について、モ

ジュール化、カスケード型モジュール化を行うと同時にシステム化を図り、実

証実験を行った点は、高く評価できる。加えて、モジュール耐久性評価技術の

開発は、汎用性の意味で価値が高いといえる。量産化を踏まえた技術開発にも

取り組み、製造コストの低減も検討し、実用化に向けた技術課題も明らかにな

っている。知的財産権等の取得による事業化への備えをしつつ、ノウハウの確

保にも配慮しながら、フォーラム、論文などによる成果の普及にも取り組んで

いた。

しかしながら、モジュール、システムとも特定な用途に対するものが中心で

あったことから、直ちに汎用性や普及促進に繋がるには難しい感じがあった。

実用化に向けては、初期投資や回収期間、メンテナンスフリーなど使用者側の

視点での評価指標のより明確化など、課題も多く残っている。今後、普及促進

に向けて、更なる検討を進めるべきである。また、一般社会の認知度が上がる

観点からは十分とは見えず、更なる工夫や試みが成されることが望ましかった。

市場開拓や顧客確保に繋がることからも熱電の重要性を社会に認知してもらう

ための努力を期待する。

<肯定的意見>

○ 成果は世界トップレベルであり、研究開発成果は、概ねクリアしている。これ

まで、学会レベルであった熱電材料について、モジュール化、カスケード型モ

ジュール化を行うと同時にシステム化を図り、実証実験を行った点は、高く評

価できる。また、知財権と技術の公表という点では矛盾もあるが、特許の出願

や論文等学術発表も多くなされており、十分な成果が得られたと判断できる。

○ 研究開発成果は概ね良好であり、当初の目標水準をクリアしている。全体とし

ても計画段階での目標は概ね達成された。

○ 一部の成果は、世界最高水準であると各国から認められた最良レベルである。

現在存在していない熱電発電市場の創造の切っ掛けになったことは間違いな

い。

○ 論文の発表や、新聞発表は適切に行われた。成果の受取手に対して適切に普及

活動が行われた。一般向けの啓蒙活動も積極的に行われた。

○ 目標値は達成している。

○ 実装での短期的な結果は良好である。

○ 現状保有する素子は世界トップレベルで特性が向上している。

○ 量産化を踏まえた技術開発がされている。

○ 生産技術開発でモジュール価格の低廉化の目処が得られた。

○ 各温度範囲でのプロト型での目標仕様を満足している。

○ 熱電モジュール開発では、一部を除いて素子効率、モジュール効率とも目標を

ほぼ達成するか達成の目処を得るに至っている。

○ カスケードタイプで 14.8%のモジュール効率を得た成果は世界最高水準である。

また、Bi-Te 系モジュールでは結晶組織配向の技術を確立し、高効率化に成功

(27)

1-15

するとともに耐久性向上にも進歩が見られる。

○ モジュール耐久性評価技術の開発は、汎用性の意味で価値が高い。熱電技術の

標準化へ向けて今後さらに育成したい技術である。

○ 熱電材料開発、素子開発、システム開発とも、成果は、おおむね、目標を達成

している。但し、この成果を受けて、実用化が急速に進む状況にするにはさら

に努力が必要である。

○ また、当事業は、世界最高水準の成果を上げている。これをベースに、今後、

ユーザーへの提案・事業化へ向けてシステム開発をしながら市場開発・拡大に

期待したい。

○ 知的財産権等の取得による事業化への備えも対応している。

○ ノウハウの確保にも配慮しながら、フォーラム、論文などによる成果の普及に

も取り組んでいる。

○ 熱電変換モジュールについては変換効率の目標値を実証あるいは目処を得て

おり概ね達成している。開発したモジュールには世界最高水準の性能をもつも

のも含まれており高く評価できる。熱電変換システムの開発では効率の目標値

を実証もしくは目処を得ておりほぼ達成しており良好な成果が得られている。

○ 高い性能をもつ Zn-Sb 材料の開発、環境負荷・資源量の観点からシリサイド系

材料の開発は評価に値する。

○ 高温領域の熱電モジュール評価技術を開発し、さらに一般にも利用できるよう

検討されたことは好ましい。

○ モジュール製造方法の工夫により製造コストの低減も検討されている。

○ 特許等の取得・成果の普及では、特許出願や論文発表のない研究開発テーマも

あるが、プロジェクト全体としては充分な件数の発表がなされ、一般に向けて

の情報発信も行われている。

<問題点・改善すべき点>

● モジュール、システムとも特殊な用途に対するものが中心であった。熱電発電

が熱の有効利用という点で、既存の熱源を利用しなければならないという困難

さがあり理解はできるが、コスト低減が普及への障壁となっていることを考え

ると、より幅広い展開を図るべきである。

● 成果の汎用性については今後の技術効果によるが、大略は計画段階で認められ

ていた技術レベルの延長にあり、とりわけ新規な技術が得られたわけではない。

従来技術を極限まで高めることによって得られた成果である。

● 成果の汎用性は輻射熱の利用技術や蒸発潜熱による熱回収技術など一部の点

ではかなり有望であると思われるが、そのほかの技術に応用する具体的な展望

が見られなかった。

● 熱電変換技術と原理的に全く異なる従来の発電機などの方法による発電とは、

廃熱および未利用熱源利用という概念と適用温度範囲が異なり、直接比較する

ことが出来ない。熱電発電技術を適用することで製品に付加価値がどの程度付

与されるか、を数値的に効用を示し社会に発信する必要がある。

● 素子、モジュールとシステムについて、飛躍的なコストパフォーマンスは得ら

れなかった。

● 熱電気変換素子の一部の用途への手がかりは得られたが、光発電のような汎用

化への手がかりになる用途については検証できなかった。

(28)

1-16

● 変換効率の目標ではなく、実用上の初期投資と償却期間、入熱に対する発電量、

長期間保障、メンテナンスフリーなどの使用者側の視点での指標に対しての効

果を明確にしてもらいたい。

● 測定法などの共通技術は公開し規格化してもらいたい。

● 接合技術は長期保証面からより高度化を進めたい。

● 受熱部や冷却部のより効率化が必要。

● 熱電システム開発に関しては、目標が達成されたものもあるが、達成されたも

のも未達成のものも今後の実用展開へ向けて多くの課題を残しており、市場開

拓・顧客確保の面から更なる検討を要する。

● 折角の成果があまり外部に出てこず、説明責任の点で若干問題があると感じる。

論文、国際会議等での発表、受賞等を通じて成果発信をしてはいるが、その数

は十分とは言えず、また他分野を含む一般社会へのアピールがあまり多くなか

ったとの印象を持つ。モジュール開発に関しては、各社で競争する態勢を取っ

たため、その成果の詳細が外部に出なかったようで、やむを得ないかもしれな

い。今後は顧客確保のためにも熱電の重要性を社会に認知してもらう努力を惜

しまないで頑張って欲しい。

● Zn-Sb/Bi-Te モジュール開発では、Zn-Sb 材料固有の問題により使用する材料

組成を変更して開発が行われたが、効率の目標値を達成するための課題解決の

目処は示されていない。高温度域モジュールでは、目標値の実証に加えて耐久

性・信頼性の向上、コスト低減を図る必要があり、確実に実用化・事業化へ繋

がるよう今後も研究開発を継続することが必要である。

● システム開発では、回収した電力の利用まで含めたシステム開発とその効率評

価が必要である。

● 汎用性のある成果が求められている観点から、モジュール設計で各社独自の開

発を行って最適化を行っているが、それらの結果からより一般的で汎用的な設

計・解析手法を構築して、モジュール開発に活用できるよう特許化・プログラ

ムの商品化・成果報告等を通して社会に還元することも検討いただきたい。

● システム効率の向上には熱伝達ロスの低減が重要な課題であるが、モジュール

と熱源との接触には熱伝導シートやグリースを介して加圧する方式において

は新規性・革新性が見られない。

● 海外技術調査活動の結果は当該情報提供機関との秘密保持の制約があるもの

を除いて、成果の普及の一環として報告書に含めるなどして公開するべきであ

る。

<その他の意見>

• 投入された助成額に見合った技術成果であるかどうかは今後の展開によるとこ

ろが大きい。プロジェクト全体が競争的に設計され、一体として金銭面で評価

することは難しい。また、各社別に投入された助成金の詳細などが不明のため、

投入された助成金に対する成果の度合いを判定することも難しい。

• 画期的な発明は望んでも出来ないが、柔軟で冒険心を持ってチャレンジするこ

とが必要。

• 生産技術の検討だけでは、今後の熱電気変換の環境問題への寄与は期待できな

い。

• 異業種企業も含めた多くの研究者の幅広い観点で進めることで生まれると思わ

(29)

1-17

れる。

• 光発電が売電まで実現したことの歴史的な観点からみて、汎用用途への展開が

必要になる。

• 市場を大きくなれば、差別化等より更なる開発(特に材料開発)が必要となり、

場合によると新たな発見につながる場合がある。その先鞭をつけるためにも研

究投資額を増すことが望まれる。

• 個々の企業の個々の客先での成功だけでは、大きな市場は形成できない。

• 今後の取り組みにはなるが、市場開拓し普及促進の観点から、ユーザーとシス

テム開発を含め事業化へ向けた共同開発を行うことが望ましい。

• 事業の途中で卒業した企業は素晴らしい成果を上げていたので、その成果を今

後活用されていくことが望まれる。

参照

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Department of Central Radiology, Nagoya City University Hospital 1 Kawasumi, Mizuho, Mizuho, Nagoya, Aichi, 467-8602 Japan Received November 1, 2002, in final form November 28,

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株式会社 8120001194037 新しい香料と容器の研究・開発を行い新規販路拡大事業 大阪府 アンティークモンキー

DX戦略 知財戦略 事業戦略 開発戦略

◆長大法のうち、法高が 30mを超える切土又は 18mを超える盛土:原

アドバイザーとして 東京海洋大学 独立行政法人 海上技術安全研究所、 社団法人 日本船長協会、全国内航タンカー海運組合会

• 熱負荷密度の高い地域において、 開発の早い段階 から、再エネや未利用エネルギーの利活用、高効率設 備の導入を促す。.