Japanese Society for the Science of Design
NII-Electronic Library Service
Japanese Sooiety for the Soienoe of Design巻
頭
言
一
デ
ザ イ
ン
思 考
Preface
Design
Thinking
永 井 由 佳
里北 陸 先 端 科 学 技 術 大 学 院 大 学
NAGAI Yukari
Japan
Advanced Institute ofScience
and Technology人 は 「思
考
」す る一
常
に 人 は ものを 思い,
人 を 思い,
時 を 思 う,
また,
そ う い う自 分 を も思 う.
思 う こと と生 きる こと は一
体
で,
分 離
できそ う にない.
思
考
は,
認 知 心理学におい て高
次 認 知 プロ セ スとし て研 究 され
てき た.
人間
の 「こ こ ろ 」 を包 括
するため には,
伝 統 的
な 思 考研究の枠
組み である推 論 や 問 題 解 決で はとら えきれ ないダイ ナミック な は たらき を議 論
する必 要 が ある.
思 考の創 造 的特 徴
は 「デザイ ン 」 を 深 く掘
り下げる こ と で とら え られるだろ う.
「デザ イ ン
思 考
」一
それ は,
「デザ イン にお けるもの の考
え方 や
その方 法 論
」(
石井 )
であ
り,
教育 や
ビ ジネ
スな ど広
い範
囲に適 応 す るこ と がで き る.
「デ ザ イン思 考」 は,
デ ザ イ ナ の 思考
を意
味 して いるので は ない.
デザ
イン の語意
は昔
のよ う に 製 品に限 定 さ れ ること はな く,
社 会のあらゆる側 面で 用い られ て いる.
デ ザ イン産
業 を輸
出 す る 「Japan
Design
+ 」 を 通 じ た 日 中 間の課 題の解 決 (鷲 田 ),
厂デ ザ イン論の観 点を取り入 れた 新 しい ソ フ トウェ ア開 発 プロセス」〔
大槻 )
に反映
す る,
新
た な 現 実 解へ の 潮 流を生 み 出して いる.
さ ら に,
「デ ザ イ ン思 考」 は 「人 間 が工 夫 し 改善
あ るいは 創 出 し よ うとす る あ ら ゆ る 場 面 で期待
さ れて いる」〔
近藤 )知
識創造
プ ロ セ ス と位
置 づ けられ る,
デ ザ イ ナ た ち も 変 化 して いる
.
自
分 た ち の デ ザ イン の対 象
が 「活 動 」 や 「で きゴ ト」 (岡 本 )であること を自 覚し,
それ ゆ え デ ザ インを 学 ぶ 場 も新
たな 課 題と向
き あっ て いる,
「デジ タル サイ ネー
ジが普 及 する時 代のコ ン テ ン ツ デザイ ン」 に向
け ての取 組 み〔
佐
々木)
,
グ
ルー
プワー
クへ の参 加意 欲
へ の疑 問
(
田 代)
は,
デ ザ イン教育
へ の新
た な意 識の存 在を感じ さ せ る.
「デザ
イン思考
」が
デザ
イン実 践
に埋
め込まれ
た知識
であ
るな ら,
「コミ ュ ニ ケー
ショ ンの デ ザ イン」〔
出 原)
として地 域
の 人々 との出 会いや 交 流の機 会によっ て育まれ,
「デ ザ イ ン思 考 の 環境
づ く りコ(
由
田)
に支
えられ るこ と で よ り充 実
し た デザ イン思 考が,
世の中に拡が る と期 待さ れ る.
さ ら に
,
本特 集
は 「デザイ ン 思考
」 を社 会
的 な意 味
に展 開
す る に 至 っ て い る,
プロダ クトをデザイ ンする 「社 会 的 動 機」 と い う概 念
の提案 〔
田浦 〉
は デザイ ン の視 点
で新
た な社会
の姿 を 示し て い る.
ま た,
「自然
共 生 型の ラ イ フ スタイ ル志 向」 (三橋)
は,
文 化が
一
人
ひとりの暮
ら し の デザインから生 まれ
る の だ ということ に 気 づ か せてくれ る.
今 日
,
文 化 を 基 盤 に 社 会 や 制 度 を デ ザ イン す ることへ の啓 蒙 とイ ノベー
ショ ンが 海 外の大 学でさ か んに取 り組 ま れて い る(
ゲ オルギエフ)
.
本 特 集
の起 点 も ケン・
フリー
ドマ ン教授
(
Swinburne
University
ofTechnology
)によ りオー
ス トラ リ ア で開催
さ れ たデザ イン思考 国際
ワー
クショ ッ プに永井
が招 聘
さ れ たことにある,
フ リー
ドマ ン教 授 た ち との議 論 は次の機 会 と し,
本特
集では 関 連 す る オー
ス トラ リアと,
シンガ ポー
ルの例 を 紹 介 する.
「デザ イン思 考 」 はデザ インという 創 造 的 思 考 を 意
味
する と 同時
に,
それ 自体
がデザイ ンとデザイ ン研 究
の動 因
でも ある.
そ の動 因で人は創 造
する.
デザイ ン学 会 「 創造 性
研究 部 会
」(
SIG
Design
Theory
andCreativity
)
で は、
デザ
イン創 造
の本
質を
議
論 する と と も に創造 性
を高
め る方 法
を探究
し て い る.
特
集
号 『What
is
What
’
sthe
design
?』(
2010
)
,
『デ ザ イン学
:メ タ デ ザ インへ の挑 戦』