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車載イーサネット TC8 ECU ソフトウェア
Keysight E6959A
OPEN AllianceTC8 ECU IEEE 規格でリリースされたテストケースに
基づいて、 100BASE-T1 デザインを容易かつ正確に検証します。
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目次
はじめに ... 3
特長 ... 4
簡単なテストの定義 ... 5
テストのセットアップ... 6
構成の柔軟性と接続ガイド ... 7
テストレポート ... 8
テスト規格の比較 ... 10
推奨ハードウェアと周辺機器 ... 11
オーダー情報 ... 12
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はじめに
Keysight E6959A車載イーサネットTC8 ECUコンプライアンスアプリケーションソフトウェア 2017年8月にTC8分科委員会が設定したOPEN Alliance車載イーサネットECUテスト規格に対
応するKeysight E6959Aは、MDIモード変換損失、コモンモードのエミッションテストを含む多
様な PMA トランスミッターの電気的仕様に対応しています。これらのテストは、100BASE-T1 インタフェースの物理層をECUレベルで評価するために使用します。
Keysight E6959A車載イーサネットTC8 ECUパフォーマンス検証およびコンフォーマンスアプ
リケーションは、開発中の100BASE-T1デザインの検証/デバッグを簡単かつ正確に実行するこ とができます。
自律自動車は、商用および自家用自動車交通を本質的に変革すると見なされています。このよう な新型自動車の設計には、データ速度と帯域幅要件の増加という課題があります。車載イーサ ネットによりデータ通信が高速になり、今日の車両や未来のコネクテッドカーの要求に対応する ことができます。CANやLINのような低速バックプレーン回路と異なり、100BASE-T1車載イー サネットには厳格なコンプライアンステストが求められます。キーサイトの車載イーサネットソ リューションのフルスイートによって、100 Mb/s および 1000 Mb/s 車載イーサネットの Tx、
Rx、リンクセグメント全体のテスト/検証を自動化できます。
E6959Aは、Open Alliance規格を使用し、トランスミッターのコンプライアンスを確認するため
にイーサネット物理層(PHY)電気的テストを簡単にセットアップして自動的に実行することができます。
その上で E6959A ソフトウェアアプリケーションは、結果を柔軟なレポート形式で表示します。レポート
には、測定データの他に、どの程度のマージンでデバイスが各テストに合格/不合格になったかを示す マージン解析も含まれています。
E6959Aは、TC8 ECU規格を満たす上で必要な広範囲の電気的テストを実行します。製品が信号品質の要
件を満たすには、これらの規格に従ったコンフォーマンステストに合格しなければなりません。テストの 実行により、自信を持ってデザインを進めることができます。キーサイトの様々な測定器を使ってコン フォーマンステストを実行することができます。
E6959A 車載イーサネット TC8 ECU 送信コンプライアンスアプリケーションの
ライセンスの種類
–– E6959A-1FP TC8 ECUコンプライアンステストアプリケーション、固定永久ライセンス
–– E6959A-1TP TC8 ECUコンプライアンステストアプリケーション、トランスポータブル永久ライセンス
注意:ソフトウェアはKeysight Infiniiumオシロスコープ上にインストールされて動作します。
あらゆる規格に対応
キーサイトは業界で初め て車載イーサネットTC8 ECU PHYコンプライアンス テスト環境を提供。トラ ンスミッター、レシー バー、ハーネスおよびコ ネクタをすべてカバーす る車載イーサネットのコ ンプライアンス/コン フォーマンステストの実 現が可能になりました。
ADASモジュールの有効性を 高め、最終的には自律自動 車の実現を目指します。
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特長
Keysight E6959A車載イーサネットTC8 ECUコンプライアンスアプリケーションソフトウェアを使用すれ
ば、コンプライアンステストをシンプルに実施できます。このソフトウェアは必要なテスト機器をすべて自 動構成するので、全般的なテスト時間の短縮につながります。
• セットアップ、設定、テストを迅速かつ分かりやすく実行するセットアップウィザード
• 規格準拠を実現する広範囲の100BASE-T1テスト
• 100BASE-T1 ECUコンプライアンステストの固有な、新しいMDIモード変換損失、コモンモードのエ
ミッションテスト
• Keysight Infiniiumオシロスコープによる正確で再現性の高い結果
• 実行済みテストの詳細情報表示
• マージン解析を用いた包括的な合否判定のHTML形式の自動レポート作成
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E6959A ソフトウェアによる時間の短縮
E6959Aテストソフトウェアは、OPEN Alliance TC8 ECUテストの自動実行環境を提供し、検証時間を節約
します。車載イーサネットの送信コンプライアンステストを実行する上で困難なのは、オシロスコープへの 適切な接続、正しいセットアップファイルの読み込み、測定値と測定規格値との比較検証です。E6959Aコ ンフォーマンステストソフトウェアは、この大部分のタスクを自動で行います。
E6959A ソフトウェアは、各テスト用にオシロスコープを自動的に設定します。また、特定のテスト・ア
サーションに対してどの程度のマージンで合格/不合格したかを示すマージン解析を含むレポートも出力し ます。E6959Aソフトウェアによる測定の全リストは、表1を参照してください。
容易なテストの定義
E6959A テストソフトウェアは、キーサイトの Infiniium オシロスコープの使いやすさを、2017 年 8月の
Open Alliance TC8 ECUテストケースに沿って100BASE-T1デザインのテストに拡張します。キーサイト
の自動テストエンジンが、実行予定のテストの定義、テストのセットアップ、テストの実行、結果の表示に 必要な手順を詳しくガイドします。セットアップページでは、テストの選択と、関連する機能の実行を行い ます。以下の手順で選択可能なテストは、セットアップページの選択内容に基づいてフィルターされます。
テストを選択する際には、テストをカテゴリ別に一括選択することも、個々のテストを指定することも可能 です。テストと構成はプロジェクトファイルとして保存し、後から呼び出して即座にテストを実行し、前回 テストの結果を確認することができます。操作メニューは分かりやすく、最小限のマウスクリックでテスト を実行できます。
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選択したテスト項目に含まれる全テストを GUI 上で確認
セットアップ、設定、テストを迅速かつ分かりやすく実行するセットアップウィザード ––実行可能なテストすべてを表示
––必要性に応じて1つまたは複数のテストを実行
––テスト項目を選択してハイライトすると、テストの詳細とパス/リミット値を表示
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構成の柔軟性と接続ガイド
E6959A ソフトウェアは柔軟なテストセットアップを実現しており、接続図を使いながら接続方法をガイド
します。
図1. 選択したテストの接続図を表示
図2. 接続セットアップでは、手順ごとの説明を表示
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HTML 形式のレポート
E6959A テストソフトウェアは、テスト項目、合否判定ステータス、テスト仕様の範囲、測定値、どれだけ
マージンがあるかをエクスポート可能な HTMLファイルで表示します。各テストには、テストリミット、
テストの詳細、該当する場合は波形を含む結果が表示されます。
図3 パワースペクトル密度の測定結果の例
テストの合否結果にどれだけマージンがあるかは、マージンフィールドにパーセンテージで示されます。黄 色または赤色で強調表示されている結果は、警告または不合格が検出されたことを示しています。
図4. 合否判定ステータスと共に表示される、わかりやすい測定結果。詳細な解析を手助けするため、マージンも記録さ れる
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図5. テストリミット、テストの説明、該当する場合は波形を含むテスト結果などの各テストの
詳細が参照可能。HTMLのテストレポートをエクスポートして簡単にテスト結果を記録
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テストケース
E6959AではOABRテスト仕様の追加により、トランスミッターの波形、歪み、ジッタ、パワースペクトラ
ム密度、MDIモードのテストが追加されています。
実行可能なテストケースの全リストについては、表1を参照してください。
規格と関連テスト番号 概要
IEEE 96.5.4.1 & 2.2 OABR_PMA_TX_01 トランスミッター出力ドループ
IEEE 96.5.4.2 & 2.2 OABR_PMA_TX_08 トランスミッターの歪み
IEEE 96.5.4.3/ 96.5.4.5 & 2.2 OABR_PMA_TX_02 トランスミッターのタイミングジッタ(マスターとスレーブ)
IEEE 96.5.4.4 & 2.2 OABR_PMA_TX_04 トランスミッターのパワースペクトラム密度
IEEE 96.5.4.5 & 2.2 OABR_PMA_TX_03 送信クロック周波数
IEEE 96.8.2.2 & 2.2 OABR_PMA_TX_05 MDIリターンロス
2.2 OABR_PMA_TX_06 MDIモード変換
2.2 OABR_PMA_TX_07 MDIコモンモードのエミッション
表1 E6959Aテストケース
3 つの規格団体と、各団体により設定されたコンフォーマンステストがあります。以下の表では、テスト ケース間の異なるテスト要件を比較しています。
テスト名 IEEE 100BASE-T1
BroadR-Reach
OPEN Alliance ECU IEEE 1000BASE-T1
トランスミッター出力ドループ 96.5.451 2.2 OABR_PMA_TX_01 97.5.3.1 トランスミッターの歪み 96.5.4.2 2.2 OABR_PMA_TX_08 97.5.3.1 トランスミッターのタイミングジッタ
(マスターとスレーブ) 96.5.4.3/ 96.5.4.5 2.2 OABR_PMA_TX_02 97.5.3.3 トランスミッターのパワースペクトラム密度 96.5.4.4 2.2 OABR_PMA_TX_04 97.5.3.4
トランスミッターのピーク差動 96.5.6
(IEEEテストのみ) - 97.5.3.5 送信クロック周波数 96.5.4.5 2.2 OABR_PMA_TX_03 97.5.3.6 97.5.2 MDIリターンロス 96.8.2.2 2.2 OABR_PMA_TX_05 97.7.2.1
MDIモード変換 - 2.2 OABR_PMA_TX_06 - MDIコモンモードのエミッション - 2.2 OABR_PMA_TX_07 -
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推奨ハードウェア
推奨ハードウェアの表では、規格に求められる最小要件と、その要件に対してキーサイトが提供する対応機 器をリストしています。推奨アクセサリの表は、使用している DUT への接続や校正に便利な各種アクセサ リやブレークアウト基板を紹介しています。
テスト要件 最小 要件(装置) 対応するキーサイト製品
基本コンプライアンス 1 GHzオシロスコープ、2チャネル Infiniium Sシリーズ、90000、
VシリーズまたはZシリーズ トランスミッターの歪み 2チャネルファンクションジェネレーター、
最小帯域幅12 MHz 33512A/B、33522A/B、81150/60A MDIリターンロス ネットワーク・アナライザ、スタート/
ストップ周波数レンジ1 MHz - 66 MHz E5063A、E5061B、E5071C、E5072A、 E5080A
パワースペクトラム密度(SA) † スペクトラム・アナライザ、最小帯域幅1 GHz 任意のXシリーズアナライザ
† パワースペクトラム密度テストはオシロスコープでも実行できます。スペクトラム・アナライザは2番目のオプションです。
推奨アクセサリ
概要 キーサイトのモデル番号 備考
プローブ 113xA/116XA/N275xAシリーズ 最小1.5 GHzの帯域幅 プローブヘッド
E2678A InfiniiMax差動ソケットプローブヘッド E2677A InfiniiMax差動はんだ付けプローブヘッド N5381A InfiniiMax差動はんだ付けプローブヘッド E2669A InfiniiMax差動/シングルエンド測定用コネ クティビティキット
必要なプローブヘッドは1つのみです。E2677A とE2678Aの代替品としてE2669Aがあります。
E2669Aには、E2575A 差動ブラウザプローブ ヘッドが1個、E2677A差動はんだ付けプローブ ヘッドが4個、E2678A差動ソケットプローブ ヘッドが2個含まれています。
イーサネット・
テスト・フィクスチャ N5395A
SMAケーブル E6961-SMA 2個必要*
SMA(オス) –
SMA(オス) 54855-67604 2個必要
トランスミッターの歪みとMDIリターンロステストには追加のアクセサリが必要
周波数デバイダー基板 E6961A-FDB ECal 4ポートが別途必要
*MDIリターンロステストとENAの実行が求められる場合、合計4本のSMAケーブルが必要です。
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本書の情報は、予告なしに変更されることがあります。© Keysight Technologies, 2018, Published in Japan, November 14, 2018, 5992-3384JAJP
詳細情報: www.keysight.co.jp/find/E6959A
キーサイト・テクノロジー株式会社
本社〒192-8550 東京都八王子市高倉町9-1
計測お客様窓口
受付時間 9:00-12:00 / 13:00-18:00(土・日・祭日を除く)
TEL:0120-421-345 (042-656-7832) | Email:contact_japan@keysight.com
オーダー情報
100BASE-T1、1000BASE-T1およびTC8のTxコンプライアンスアプリケーションすべてを必要とされる
場合、E6958Aをご検討ください。
1つのパーツ番号で必要なすべてのハードウェアとソフトウェアを含みます。
コンプライ
アンス 概要 バンドル製品(E6961A)の
オプション型番 製品単体の型番
必須 100BASE-T1 Txコンプライアンステストソフトウェア E6959A-1FP E6959A-1FP
必須 イーサネットコンプライアンステストフィクスチャ1 E6961A-ETF N5395C
必須 SMAケーブル x 2 SMA(m) – SMA(m) E6961A-SMA E6961A-SMA
必須 SMAアダプタ x 2(BNC~SMA) E6961A-ADP 54855-67604
必須 Infiniium Sシリーズ オシロスコープ2.5 GHz、
4アナログチャネル2 E6961A-OSC DSOS254A 以下はテストモード4を実行する際の追加要件です。
必須 周波数デバイダー基板 E6961A-FDB E6960-66600 必須 RF電子校正(ECal)モジュール、9 kHz~13.5 GHz、
4ポートおよびENA校正に使用するコネクタ E6961A-ECL N4431B opt 010 必須 ENAへの接続に使用するNタイプ(オス)-APC-3.5
(メス)アダプタ、4個必要 E6961A-ADC 1250-1744 必須 パルス/ファンクション/任意波形/ノイズ発生器、
2チャネル2 E6961A-AWG 81150Aオプション
002
必須 ENAベクトル・ネットワーク・アナライザ E6961A-ENA E5071Cオプション 440、810、820 オプション(パワースペクトラム密度テストの代替手法)
オプション EXAシグナル・アナライザ、マルチタッチ、
10 Hz~3.6 GHzおよびステップ・アッテネータ E6961A-EXA N9010B、オプショ
ン503およびFSA
1.IEEE 802.3bwではコネクタを指定していません。D+およびD-信号とオシロスコープとの接続に別の方法を使用してもかまいません。
RJ-45イーサネットを使用するDUTの場合、RJ-45をSMAに変換させるためにキーサイトのイーサネット・テスト・フィクスチャを使用 することができます。DUTにあわせたカスタムフィクスチャをご提案いたしますので、キーサイトの担当者へお問い合わせください。
2.これらの製品は100BASE-T1の最小要件を超えていますが、1000BASE-T1要件に対しても十分な帯域幅を有しています。
まとめ
Keysight E6959Aは、送信規格に関してTC8分科委員会が定めたECUテスト規格に対応しています。これ
には MDI モード変換損失、コモンモードのエミッションテストが含まれます。データ速度と帯域幅の要件 は増大し続けています。将来の規格対応も踏まえ、ご投資の際は十分に余裕のある機材/環境を整えられる ことをお勧めいたします。