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2-7.動向調査(スウェーデン・フィンランド・スイス)

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スウェーデン

スウェーデン

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原子力事情・原子力政策動向

1.1 エネルギー政策と原子力政策の状況と動向 <エネルギー政策と原子力の位置づけ> 欧州連合(EU)では、再生可能エネルギー促進指令(2009/28/EC)のもと、最終エネルギー 消費量に占める再生可能エネルギーの比率を、EU 全体で 2020 年までに 20%に高めることとし ており、スウェーデンに対しては目標値として最終エネルギー消費量における再生可能エネルギ ーの比率を 49%と定めている。それに対してスウェーデンは独自でさらに高い目標を設定して おり、2020 年までに少なくとも最終エネルギー消費量における再生エネルギーの比率を 50%ま で高めることを目標に定めている。また、輸送部門で使われるエネルギーについても、少なくと も10%を再生可能エネルギーによって賄うことを計画している。さらに、2030 年には輸送手段 の20%において化石燃料を使用しないことを目標としている。 スウェーデンにおける原子力の位置づけは、1980 年に実施された原子力発電に関する国民投 票の結果に従い、“段階的に撤退する政策”がとられ、4 か所の原子力発電所(12 基の原子炉) の内の 2 基が営業運転を停止した。しかしその後、地球温暖化問題に対応を主な理由として、 脱原子力政策は撤回されることとなった。そして、2010 年 6 月に法律が改正され、既設炉の建 て替えに限った原子炉の建設(リプレース)を認めることとなった。 2016 年 6 月 10 日、スウェーデン議会は原子力発電の課税廃止に関する枠組み合意に達した* この合意に基づいて、今後2 年かけて原子力発電の設備容量に対する課税を廃止していくことが 決まった。また、閉鎖する既存炉の建て替えとして、最大10 基の原子炉を既存サイトに建設する 道が開かれることになるという。 * 今回の合意文書では、2040 年には同国における発電の 100%を再生可能エネルギーでまかなうべ きとしているが、2040 年というのは目標であって、原子力発電を廃止する期限ではないことが強 調されている。 2016 年 9 月 21 日、スウェーデン放射線安全機関(SSM)は、IAEA が 2016 年 5 月に行った 総合的規制評価サービス(IRRS)に関して IRRS チームが作成した最終報告書を公開した。報 告書では、2012 年に行われた IRRS での勧告事項(22 件のうち 20 件)・提案事項(17 件の全 て)について、SSM が規制の枠組みへ体系的に組み込んでおり、目覚しい改善が見られると評 価された。またその一方で、スウェーデンの原子力産業の将来の見通しに基づいてSSM が必要 とする資源について包括的な評価を完了させることなど、さらなる改善のための提案も示されて いる。 2017 年 3 月 30 日、SSM は、放射性廃棄物管理のための原子力産業界の最新の研究開発プロ グラムを承認するよう、政府に対して勧告した。法律によりスウェーデンの原子力発電所の所有 者は、その研究開発プログラムについて(原子力発電所の運転及び廃止措置で発生した放射性廃

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棄物の安全管理を含む)、3 年毎に報告をする必要がある。なお研究開発プログラムには、必要 となる可能性のあるすべての措置について概要が記載されていなければならず、また少なくとも 6 年以内に実施する予定の全ての措置の詳細が明記されている必要があるという。

2017 年 11 月 1 日、SSM は、新しい緊急時防災計画区域(EPZ)および緊急事態計画距離に 関する報告書を政府に提出した。今回の報告書では、原子力発電所の周囲からの距離について、 予防的防護措置区域(PAZ:Precautionary Action Zone)は約 5km、早期防護措置対策区域 (UPZ:Urgent Protective action planning Zone)は 25km とし、さらに追加で 100km の拡 大計画距離(EPD:Extended Planning Distance)を設定するとしている。2015 年 10 月 22 日にスウェーデン政府がSSM に対して、スウェーデン市民緊急事態庁(MSB:Swedish Civil Contingencies Agency)および地方行政局や他の所轄官庁、ステークホルダーと協議し、電離 放射線を含む活動に適用するEPZ 等の見直しを依頼しており、SSM は 2 年間にわたる作業の 後、今回の報告書を作成した。

2018 年 1 月 11 日、SSM は、EU 指令に基づき報告書(National Assessment Report)* 欧州原子力安全規制者グループ(ENSREG)に対して提出したことを明らかにした。EU 加盟 国は、EU 指令第 2014/87/Euratom 号の第 8 条の規定により、事前に定められた原子力安全に 関するトピックについて評価を行い(トピカル・ピアレビュー)、報告書をEU に対して提出す ることになっている。トピカル・ピアレビューは、少なくとも 6 年ごとに実施することが求め られており、2017 年については、「経年管理」がトピックとなっている。スウェーデンではフォ ルスマルク原子力発電所とリングハルス原子力発電所が対象となり、各発電所の所有者による自 己評価報告書がSSM へ提出され、その報告書に SSM がレビューと評価を行ったものがスウェ ーデンの報告書としてENSREG へ提出された。 * この報告書によると、フォルスマルク原子力発電所とリングハルス原子力発電所はSSM の要求に 沿った包括的な経年管理プログラムを有しており、また OKG 社は必要なプログラムの整備を行 ったとのことである。 <ウラン資源> 関連する公開情報は無し。 <核燃料サイクル、バックエンドに関する動向> (1)放射性廃棄物処分管理 集中貯蔵施設(CLAB) 使用済燃料処分の実施主体は、スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB)である。 スウェーデンでは、使用済み燃料は再処理しないで処分するワンススルー方式をとっており、 国内の原子力発電所から発生した使用済み燃料は、約 1 年間にわたって各原子力発電所で冷却 された後に、SKB が運転する集中貯蔵施設(CLAB)に輸送され、地下 30m に設置されたプー ルに貯蔵されている。 SKB は使用済み燃料について、KBS-3 処分概念をもって処分する意向である。KBS-3 処分概

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スウェーデン 念とは、複数の人工バリアと天然バリアを組み合わせた多重バリアにより放射性核種を長期間に わたり人間および生物環境から隔離し、万が一隔離できない事態が生じたとしても、処分場から の放射性核種の移行を(安全なレベルにまで減衰するまで)十分な時間遅延させるという概念で ある。具体的には、使用済み燃料を銅と鋳鉄の二重構造のキャニスタ(直径 1,050mm、長さ 4,835mm)に封入し、その周囲をベントナイト(緩衝材)で取り囲み、力学的、化学的に安定 した岩盤内に定置するというものである。 キャニスタ封入施設(CLINK) 使用済み燃料キャニスタ封入施設(“CLINK”と呼ばれる)の建設計画によると、必要な免許 については同施設の建設を開始する 2021 年までに取得し、試運転については処分施設と同じ 2029 年の開始を予定している。それまでは、使用済み燃料は 1985 年に認可された SKB の CLAB 中間貯蔵施設(オスカーシャム所在)に貯蔵されることになっている。なおCLINK は、CLAB に隣接して建設される予定である。 2016 年 3 月 23 日、SSM は、CLINK の操業等に関して、SSM が定める原子力安全と放射線 防護の要件をSKB が満たしていると評価したことを明らかにした*

* SKB は CLAB の隣接地に CLINK を建設する計画と、CLAB の容量を 8,000t から 11,000t に拡 張する計画の両方について、SSM に対して許認可を申請している。 2017 年 6 月、SKB は、CLINK の建設計画について、システムエンジニアリングと安全解析 に関する作業を開始した。SKB によると、これらの作業は 5 つの作業に分けて実施されるとの ことであり、作業が完了するのは2020 年の半ばの見込みであるという(作業の外部企業への発 注契約総額は4 億スウェーデンクローナ(4,600 万ドル))*。なおSSM は、これらの作業の結 果に基づいて許認可審査を行うこととなる。 * 使用済み燃料は、CLINK が完成するまでの間、1985 年に認可された SKB の CLAB 中間貯蔵施 設に貯蔵される。 地層処分場 フォルスマルクは、2002 年に地下処分施設の候補地として地域の住民によって提案された。 選定プロセスでは他に数か所の候補地が含まれていたが、2009 年に地域の 77%の支持を得たフ ォルスマルクが最終的に選ばれた。2011 年 3 月、SKB は、フォルスマルクを処分場の建設予定 地とする立地・建設について、許可申請書を SSM と国土環境裁判所に対して提出した。SKB は、2025 年までに最終処分場の操業を開始したいとしていた。しかし 2015 年 9 月に SKB は、 2019 年にフォルスマルクの使用済み燃料処分施設の許認可手続きを終了し、2028 年までに処分 施設の建設と試運転を終了して 2030 年に商業運転を開始する計画を明らかにした。処分場は 6,000 体の銅製の鋳造キャニスタに詰めた 1 万 2,000t の使用済み燃料を処分できる容量となっ ている。銅製のキャニスタは漏洩物質を吸収するためにベントナイト粘土で周辺を埋め戻される。 処分場は19 億年前に生成した花崗岩の地下 500m の約 60km の処分トンネルで構成されるとい う。 2015 年 6 月 24 日、SSM は、SKB が提出したフォルスマルクでの使用済み燃料処分場の許認 可申請*についての予備結果を発表し、2016 年 1 月 29 日には、許可申請書が審査を継続するう えで十分であるとの判断を下した。また2016 年 6 月 29 日には、使用済み燃料の最終処分につ

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いて SKB が、SSM が定めている安全要件を満たす能力を備えていると評価したことを明らか にした。SSM は国土環境裁判所に対して、SKB による地層処分場システムが同国の環境法典に 基づき許可できるものであるとしている。 * SSM は使用済み燃料処分場に関する計画書を欧州委員会(EC)に対して 2015 年 8 月 20 日に提 出している。 2018 年 1 月 23 日、SSM は SKB の使用済み燃料最終処分の申請の規制審査を実施し、安全 な最終処分に関して原子力活動法(Act on Nuclear Activities)の要件を満たす能力があるとし て政府への答申を行った。また、SSM は SKB への使用済み燃料処理施設建設の認可を推奨し た。また、同日、ナッカ地方裁判所の土地環境法廷が環境基準(Environmental Code)に基づ いて許容されうるという声明を政府に提出した。法廷の結論は、SKB の認可申請は実質的で広 範なものであるが、処分コンテナに関して調査しなくてはならない不確定部分が残っており、コ ンテナの防護機能を明らかにする文書を提出した場合に、認可が許容できるというものである。 (2)廃棄物基金について SSM は、SKB の見積もりに基づき、3 年ごとに積立金額を評価しているが、SKB の最新の見 積りによると、廃止措置と放射性廃棄物の処分にかかる経費が1,360 億スウェーデンクローナと 算出されており、少なくとも 110 億スウェーデンクローナ程度過小評価していた可能性が示さ れた。そこでSSM は、2014 年 6 月 27 日に、放射性廃棄物基金の 2015 年の料金について、現 行の価格である原子力による発電1kWh あたり 2.2 オーレ(0.33 セント)から 3.8 オーレ(0.56 セント)へ値上げすることを提起し、10 月 13 日には、「1kWh 当たり 4.0 オーレ」に増額すべ きとする案を政府に提出した。 2015 年 9 月、SSM は、2016~2017 年の原子力による発電料金を 1kWh あたり 3 オーレから 4 オーレに引き上げた。 2017 年、SSM は、2018~2020 年の原子力による発電料金を 1kWh あたり 5 オーレへとさら に引き上げることを勧告した。さらなる値上げについてSSM は、スウェーデン国内のいくつか の原子力発電所が早期閉鎖されることにより、原子力発電による発電量に対する料金によって賄 われている廃棄物基金への積立てが不足することを避けるために、必要な措置であると述べてい る。 (3)低・中レベル放射性廃棄物取り扱い事業 2016 年 4 月 20 日、Studsvik*社が実施しているスウェーデンと英国における低・中レベル放 射性廃棄物取り扱い事業について、EDF Développement Environnement(EDF の子会社)が 3 億 5,500 万スウェーデンクローナ(4,400 万ドル)で買収することで EDF と Studsvik 社が合 意に達した。また両者は、廃止措置や放射性廃棄物管理について協力していくことにも合意した。 * Studsvik 社は、原子力発電所や核燃料サイクル施設等の保守・管理を行うスウェーデンの会社で ある。元々は1947 年にスウェーデン国立原子力エネルギー研究所(Atomenergi AB)として発足 (スウェーデン政府が57%を出資)したが、1990 年代に民営化されている。 (4)その他 2017 年 10 月 23 日、SSM は、使用済み燃料管理及び放射性廃棄物管理の安全に関する条約 (the Joint Convention on the Safety of Spent Fuel Management and on the Safety of

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スウェーデン

Radioactive Waste Management)について、国別報告を政府と IAEA に対して提出した(今回 が6 回目)。この国別報告は、条約の下で 3 年ごとに政府や規制機関等の条約に関する実績を報 告するものであり、今回は使用済み燃料管理に関する計画に対する許認可の状況*について記述 している。 * 2017 年 9 月 5 日、使用済み燃料の管理・処分に係る施設について SKB が提出した建設許可申請 について、5 週間にわたる公聴会が開始された。 1.2 原子力関連予算の状況と動向 関連する公開情報は無し。 1.3 原子力発電所の建設・運転状況 (1)既設炉 2018 年 3 月現在、8 基の商業炉が運転 している。1980 年に行った国民投票の結 果を受けて、議会は新規原子力発電所の 建設を禁止し、原子力の代替となる新エ ネルギー源が見つかった場合には、2010 年までに国内 12 基の原子炉を全て廃止 することを決定したが、2010 年、既存の 原子炉の置き換えとしてのみではあるが、 新規の原子炉の建設を許可することとし た。 2013 年 5 月、バッテンフォール社は、 リングハルス原子力発電所とフォルスマ ルク原子力発電所における運転延長計画 を発表した。同社は原子炉の長期運転に 関する条件評価において、リングハルス 原子力発電所1、2 号機については 50 年 間、リングハルス原子力発電所3、4 号機とフォルスマルク原子力発電所 1~3 号機については 60 年間運転できる技術的・経済的条件が整っているとし、60 年間運転を行うために必要な投資 について調査を行うこととした。 なお、2014 年 1 月、バッテンフォール社は、リングハルス原子力発電所及びフォルスマルク 原子力発電所で現在運転中の原子炉が恒久停止された後の置き換え電源となる、新規原子炉の建 設に関する協議を公式に開始したことを明らかにした。この協議は、10 年程度の期間をかけて 行われることが想定されている。

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オスカーシャム原子力発電所

2014 年 6 月、OKG 社は、2013 年 6 月から停止しているオスカーシャム原子力発電所 2 号機 について、早くとも2015 年夏までは再稼働しない見通しであることを明らかにした(同 2 号機 は2014 年 9 月に再稼働することになっていた)。

2015 年 6 月、OKG 社は、オスカーシャム 1 号機の廃止措置について、許可申請書を国土環 境裁判所(Land and Environmental Court)*に提出した。その後、10 月 14 日に OKG 社は、 筆頭株主であるドイツのE.ON 社の方針に従ってオスカーシャム 1、2 号機を恒久停止すると発 表した。1 号機は廃止措置の準備ができた段階で停止が決定され、また発表時点で停止中であっ た2 号機は再稼働されないこととなった。なお、3 号機については設計寿命である 2045 年まで 運転が継続される。2016 年 2 月 16 日に OKG 社は、オスカーシャム 1 号機を 2017 年 6 月末に 閉鎖することを取締役会が決定したと発表した。 * 環境問題や地方における土地利用計画と建築許可を管轄する裁判所 2016 年 12 月 19 日、GE 日立ニュークリア・エナジー社は、オスカーシャム 1、2 号機の解 体作業に関する契約(3 年間)を OKG 社と結んだ。今回の契約は同発電所 1、2 号機の原子炉 圧力容器の内部構造物の解体作業に関するものであり、原子炉内部の切断や搬出作業も含まれて いる。2 号機の解体作業は 2018 年 1 月から、1 号機は 2019 年からを予定しており、一連の解 体作業は2020 年までに完了する見通しである。 2017 年 5 月 12 日、スウェーデン放射線安全機関(SSM)は、オスカーシャム原子力発電所 1、2 号機の解体に関する報告書をスウェーデン政府に対して提出したことを明らかにした。こ の報告書によると、同発電所1、2 号機の解体によるスウェーデンおよびその他のユーラトム加 盟国へ影響を与える可能性はないとのことである。この報告書は、「ユーラトム加盟国は原子炉 の解体に際して欧州委員会(EC)に対して情報提供を行う必要がある」としたユーラトム条約 の第37 条の規定に従い、スウェーデン政府が EC に提出するための報告書として作成されたも のである。 2017 年 6 月 19 日、OKG 社は、オスカーシャム 1 号機を予定より 10 日早く恒久停止させる ことを決定した。同発電所1 号機は 2017 年 6 月末で恒久停止することが 2016 年 2 月に決定し ていたが、2017 年 6 月 17 日に運転上の障害により自動停止しており、そのまま再稼動せずに 恒久停止させることとなった。 2017 年 8 月 24 日、OKG 社の取締役会は、オスカーシャム原子力発電所 3 号機に独立した炉 心冷却システム(independent core cooling system)を設置するための投資を行うことを決定し た。この炉心冷却システムは 2020 年に設置が完了する予定であり、そのための総費用は 8 億 6,500 万スウェーデンクローナである。なおスウェーデンでは、2020 年 12 月 31 日から国内の 原子炉に対して安全要件が強化される見込みであり、将来も継続して発電を行うために国内の電 力事業者は、すべての安全システムが作動しない場合でも炉心を冷却することができるシステム への投資が必要となっている。 2017 年 12 月 6 日、IAEA の原子力安全の専門家チームは、オスカーシャム原子力発電所 3 号機について、11 月 28 日に開始した長期運転の安全的側面(SALTO:Safety Aspects of Long

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スウェーデン

Term Operation)に関するレビューを完了した。このレビューにおいて IAEA の専門家は、同

発電所 3 号機における高経年化管理と安全な長期運転への準備は進んでいると結論付けた。そ

の一方で、長期運転の安全性への準備を示す明確なプロセスを示すことなどを勧告している。 フォルスマルク原子力発電所

バッテンフォール社は、2014 年 11 月 21 日に開かれた FKA(Forsmark Kraftgrupp AB)社

(バッテンフォール社のグループ企業)の理事会において、フォルスマルク原子力発電所 3 号 機の出力を17 万 kWe 増強する計画の取り止めを決定したと発表した。その一方で 1 号機の出 力増強作業は続けることとし、98.4 万 kWe から約 11.4 万 kWe を増強することとした。2015 年3 月 6 日には、2 号機の出力を 112 万 kWe へ増強する申請を SSM に提出したことを明らか にした。出力100 万 kWe である同 2 号機は、2013 年 5 月から 2 年間にわたり試験的に 112 万 kWe で運転されており、問題も生じていないという。 2016 年 6 月 15 日、バッテンフォール社は、フォルスマルク原子力発電所にある 3 基の原子 炉に独立した炉心冷却システムを導入することとし、そのための投資を同社の取締役会が決定し たと発表した*。炉心冷却システムの設置には数年かかる予定であるが、発電への影響がないよ う行われる予定であるという。この改造により、フォルスマルク原子力発電所は2040 年代まで の運転が可能になるという。 * 同発電所が2020 年以降も継続運転するためには、安全上の改造工事を行うことが SSM による要 件であった。 リングハルス原子力発電所 2015 年 2 月 2 日、SSM は、リングハルス電力(Ringhals AB)により 2007 年に申請されて いたリングハルス原子力発電所4 号機の出力増強を承認した。これにより 4 号機の電気出力は、 17.5 万 kWe 増えることとなった。 2015 年 10 月 15 日、バッテンフォール社は、リングハルス原子力発電所 1 号機を 2019 年に、 同発電所2 号機を 2020 年に閉鎖すると発表した。同社は両機について 2025 年まで運転する予 定であったが、電力価格の低迷や政権交代後の原子力政策(原子力課税の引き上げ)等を考慮し て閉鎖を決定したと述べている。なお、同発電所3、4 号機の運転計画については変更しないと している。

2016 年 12 月、Vattenfall Nuclear Fuel AB とロシアの TVEL 社は、TVS-K(TVEL 社製の 燃料)*1のリングハルス原子力発電所への供給契約を締結した。同契約には 2021 年からの TVS-K の商業用燃料の供給も含まれている*2

*1 TVS-K:TVEL 社が開発した、西側諸国で設計された加圧水型炉を対象とした燃料。 *2 現在、同発電所においてこの燃料を使用した試験運転を行っている。

2018 年 3 月 8 日、IAEA の原子力安全の専門家チームは、リングハルス原子力発電所 3 号機 について、2 月 27 日に開始した長期運転の安全的側面(SALTO:Safety Aspects of Long Term Operation)に関するレビューを完了した。このレビューにおいて IAEA の専門家は、同発電所 における高経年化管理と安全な長期運転への準備は進んでいると結論付けた。その一方で同発電 所に対して、経年変化の評価のために集めた全ての情報について、適切な方法で使用し記録する ことなどを勧告している。

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バーセベック原子力発電所

バーゼベック原子力発電所は、1 号機が 1999 年、2 号機が 2005 年に恒久停止している。2015 年11 月 2 日、ウェスチングハウス(WH)社は、バーセベック原子力発電所の解体作業に関す る契約をバーセベック・クラフト社(Barsebäck Kraft AB)から受注したことを明らかにした。 解体作業は、同発電所にある圧力容器に関するものであり、WH 社は、遠隔操作による機械的 水中切断法(underwater mechanical cutting)を用いて内部構造物の解体等を行うとしている。 (2)建設・計画中の原子炉 現在、建設・計画中の商業炉はない。 No. プラント名 型式 状況 所在地 設備容量 (万 kW) 営業運転 開始日 1 FORSMARK-1(フォルスマルク) BWR 運転中 UPPSALA 101.6 1980.12.10 2 FORSMARK-2(フォルスマルク) BWR 運転中 UPPSALA 102.8 1981.07.07 3 FORSMARK-3(フォルスマルク) BWR 運転中 UPPSALA 121.2 1985.09.01 4 OSKARSHAMN-3(オスカーシャム) BWR 運転中 KALMAR LAN 120.5 1985.08.15 5 RINGHALS-1(リングハルス) BWR 運転中 HALLAND 89.7 1976.01 6 RINGHALS-2(リングハルス) PWR 運転中 HALLAND 91.0 1975.05 7 RINGHALS-3(リングハルス) PWR 運転中 HALLAND 103.4 1981.09.09 8 RINGHALS-4(リングハルス) PWR 運転中 HALLAND 99.0 1983.11.21 9 ÅGESTA(オゲスタ) PHWR 恒久停止 SÖDERMANLAND 1.2 1964.03 10 BARSEBÄCK-1(バーセベック) BWR 恒久停止 SKÅNE 61.5 1975.07 11 BARSEBÄCK-2(バーセベック) BWR 恒久停止 SKÅNE 61.5 1977.09 12 OSKARSHAMN-1(オスカーシャム) BWR 恒久停止 KALMAR LAN 48.7 1972.02.06

13 OSKARSHAMN-2(オスカーシャム) BWR 恒久停止 KALMAR LAN 63.0 1974.11

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国際協力動向

2.1 二国間原子力協力関係 相手国 協定 日付 ウクライナ 原子力安全及び放射線防護分野における 協力協定 2014 年 11 月 18 日署名 カナダ 両国間で移転される核物質・設備・機器及 び情報の利用に関する協定 1977 年 9 月 27 日署名 1978 年 11 月 17 日発効 原子力規制情報交換に関する覚書 2014 年 9 月署名(SSM と CNSC) スイス 原子力平和利用に関する協力協定 1968 年 11 月 30 日署名 1969 年 1 月 16 日発効 1968 年の原子力平和利用に関する協力協 定の追加議定書 1990 年 4 月 25 日署名、同日発効 デンマーク 北欧 4 か国の国境地域にある原子力施設 に関する原子力安全条件についての協力 指針 フィンランド/ノルウェーと共に 1976 年11 月 15 日締結 原子力事故の早期通報と原子力施設の情 報交換に関する協定 1986 年 10 月 21 日締結、同日発効

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スウェーデン ドイツ 原子力事故の早期通報に関する情報交換 協定 1990 年 9 月 25 日署名 1990 年 12 月 5 日発効 ノルウェー 北欧 4 か国の国境地域にある原子力施設 に関する原子力安全条件についての協力 指針 デンマーク/フィンランドと共に 1976 年11 月 15 日締結 原子力事故の早期通報と原子力施設の情 報交換に関する協定 1986 年 10 月 21 日署名 1987 年 7 月 22 日発効 フィンランド 北欧 4 か国の国境地域にある原子力施設 に関する原子力安全条件についての協力 指針 デンマーク/ノルウェーと共に 1976 年 11 月 15 日に締結 核物質、技術および設備の輸出に係る指針 に関する協定 1983 年 3 月 4 日署名、同日発効 原子力事故の早期通報と原子力施設の情 報交換に関する協定 1987 年 2 月 25 日署名 同年5 月 23 日発効 米国 米国NRC 配管健全性研究グループヘの参 加に関する合意 1987 年 2 月 2 日と 3 月 3 日署名 同年3 月 3 日発効。 原子力安全問題における技術情報交換お よび協力に関する取決め 2016 年 9 月 27 日署名(SSM と NRC) リトアニア 原子力安全分野における協力の枠組み合 意 2000 年 1 月 27 日締結(イグナリナ原 子力発電所、リトアニア経済省とスウ ェーデン国際原子力安全プロジェク ト(SIP)) ロシア 原子力事故の早期通報と原子力施設の情 報交換に関する協定 1988 年 1 月 13 日署名 同年4 月 3 日発効(ソ連時代、ロシア に継承) フィンランド、 ノルウェー、ベ ラルーシ 放射線安全機関との情報交換等の協力に 関する了解覚書 2016 年 10 月 4 日署名(期間は 5 年間) (フィンランド、ノルウェー、ベラル ーシの放射線安全機関と) 2.2 国際的取組への参加状況 (1) 協力全般 ・IAEA:1957 年 4 月 5 日加盟、また 1957 年 7 月 29 日までに批准し IAEA 憲章を発効させ た原加盟国(18 か国)の一つ ・経済協力開発機構(OECD)原子力機関(NEA) (2) 核不拡散 ・核兵器不拡散条約(NPT):1970 年 1 月 9 日発効 ・IAEA 保障措置協定:1995 年 6 月 1 日発効 ・IAEA 保障措置追加議定書:1998 年 9 月 22 日署名、2004 年 4 月 30 日発効 ・包括的核実験禁止条約(CTBT):1996 年 9 月 24 日署名、1998 年 12 月 2 日批准 ・ザンガー委員会(NPT 加盟の原子力輸出国が NPT 第Ⅲ条 2 項を遵守するための自発的グ ループ) ・原子力供給国グループ(NSG:ロンドン・ガイドライン輸出管理グループ) (3) 原子力安全 ・北欧の放射線事故に関連した緊急時相互支援協定:デンマーク/フィンランド/ノルウェー とIAEA が 1963 年 10 月 17 日署名

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・原子力事故の早期通報に関する条約:1986 年 9 月 26 日署名、1987 年 3 月 30 日発効 ・原子力事故援助条約:1986 年 9 月 26 日署名、1992 年 7 月 25 日発効 ・原子力分野での第三者損害賠償に関するパリ条約およびブリュッセル補足条約 ・ウィーン条約・パリ条約の適用に関する合同議定書:1988 年 9 月 21 日署名、1992 年 4 月 27 日発効 ・原子力安全条約:1994 年 9 月 20 日に署名し、1996 年 10 月 24 日発効 ・使用済燃料と放射性廃棄物の安全管理に関する合同条約:1997 年 9 月 29 日署名、2001 年 6 月 18 日発効 ・パリ条約:1968 年 4 月 1 日批准 (4) その他協力 ・核物質防護条約:1980 年 7 月 2 日署名、1987 年 2 月 8 日発効 ・北欧4 か国の環境保護に関する条約:デンマーク、ノルウェー、フィンランドと共に 1974 年 2 月 19 日締結 ・廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約:1975 年 8 月 30 日発効 ・国連欧州経済委員会(UNECE)越境環境影響評価に関するエスポ条約:1992 年 1 月 24 日 発効 ・国際原子力パートナーシップ(GNEP、2010 年 6 月に“IFNEC”に改称):オブザーバー国 2.3 人材育成に関する協力の状況 関連する公開情報は無し。

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原子力研究開発推進・規制体制

3.1 原子力関連行政・規制機関の役割 原子力行政機関 スウェーデンでは、原子力安全及び放射線防護の責任は環境省が有している。同省には、これ らに関連する立法の責任がある。 原子力規制機関

スウェーデンでは、スウェーデン放射線防護研究所(SSI:The Swedish Radiation Protection Institute)とスウェーデン原子力発電監査局(SKI:The Swedish Nuclear Power Inspectorate) の2 つの機関が、放射線防護、原子炉安全、放射性廃棄物の安全規制に取り組んでいたが、2008 年 7 月 1 日からは、スウェーデン放射線安全機関(SSM:The Swedish Radiation Safety Authority)がその役割を担っている。SSM は SSI と SKI を合併した組織で、SSI と SKI の担 っていた役割を引き継いだ。環境省に設置された組織であり、予算の決定と所長の任命は政府に より行われるが、個別の判断や決定は独立した立場で実施している。

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スウェーデン SSM の活動内容は以下の通りである。 ・規則の制定およびその遵守状況の監視 ・放射線関連の活動に対する許認可の発給 ・放射線関連の活動に対する検査・査察、有害活動の停止 ・国内外における放射線関連の事故や放射性物質の意図的拡散に対する24 時間の緊急対応 ・一般公衆および放射線従事者に対する許容放射線量の設定 ・環境放射線の計測・監視 ・放射性物質の排出による影響の調査・評価 ・あらゆる原子力技術を伴う活動の監視(放射性物質の製造、所有、加工、輸送、原子力 技術を用いた施設の操業、放射性廃棄物の最終処分) ・国内的に、および国際的に、原子力技術を用いた施設における安全な作業を確保するた めの活動 ・研究の実施、援助、評価 ・情報提供、訓練、助言、勧告による放射線及び放射線防護に関する知識の拡大 ・国際協力への参加 3.2 規制体制図(組織、法令) 3.3 原子力研究開発機関と研究内容 <研究機関一覧・主な研究内容等> 機関名、ホームページ 主な研究内容等 エスポ岩盤研究所(HRL:Äspö Hard Rock Laboratory) http://www.skb.com/research-and-tech nology/laboratories/the-aspo-hard-roc k-laboratory/ ・ SKB が所有する実際の地層環境での研究を目的として建設 された地下研究施設。1995 年から操業を開始している。 ・ 研究内容は、深地層処分システム(KBS-3 方式)に関する研 究、地下水流動/核種移行のモデル試験、地下水の科学組成の 分析、岩盤調査の試験的手法の開発等 環境省 http://www.government.se/government-of-sweden/ministry-of-the-environment/ 評議会 政府 スウェーデン 原子力廃棄物評議会 環境省 スウェーデン 放射線安全機関 (SSM)

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機関名、ホームページ 主な研究内容等 キャニスタ研究所(The Canister Laboratory) http://www.skb.com/research-and-tech nology/laboratories/the-canister-labor atory/ ・ 1998 年に開設された SKB の研究所。 ・ 主な研究内容、使用済燃料処分キャニスタの溶接/密封技術 の実証試験、キャニスタ接合部の検査技術の開発、使用済燃 料封入技術の実証試験、使用済燃料封入プラントの運転・保 守職員の養成である。 3.4 研究炉を含む原子力研究開発施設の計画、建設、運転、保守、廃止、共用等に関する動向 関連する公開情報は無し。 3.5 原子力分野の研究開発に関する公募制度 関連する公開情報は無し。

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フィンランド

フィンランド

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原子力事情・原子力政策動向

1.1 エネルギー政策と原子力政策の状況と動向 <エネルギー政策と原子力の位置づけ> フィンランドはその産業構造と気候条件から、欧州の中でもエネルギーの消費量が高い国家で あるが、水力以外にエネルギー資源がないため、国内の総発電量の約半分は他国由来の発電源に 依存している。 エネルギーセキュリティの確立と温室効果ガス削減を目標とする欧州連合(EU)の一加盟国 として、フィンランドは現在、積極的に原子力及び再生可能エネルギーの開発に取り組んでいる。 政府は、2025 年には原子力による発電量をほぼ倍増させて約 60%を供給し、2020 年には再生 可能エネルギーから38%の電力を供給することを目指している。 <ウラン資源> 関連する公開情報は無し。 <核燃料サイクル、バックエンドに関する動向> 放射性廃棄物 フィンランドにおける放射性廃棄物処分の実施主体は、1995 年に設立されたポシバ(Posiva) 社である。同社は、国内2 か所の原子力発電所を運転する TVO 社(オルキルオト原子力発電所) とフォータム社(ロビーサ原子力発電所)が6:4 の割合で出資し設立した民間企業である。 フィンランドでは、使用済み燃料は(再処理を行わずに処分する)ワンススルー方式が採用さ れている。現在、フィンランドではオルキルオト原子力発電所とロビーサ原子力発電所から発生 した使用済み燃料は、燃料プールで数年間冷却を経た後、各原子力発電所で中間貯蔵されている。 かつてロビーサ原子力発電所から発生した使用済み燃料は、燃料の供給国であったロシアへ返 還されていたが、1994 年に原子力法が改正されて使用済み燃料の輸出入が禁止されたため、 1996 年を最後に行われていない。改正された原子力法では、国内で発生した放射性廃棄物は全 て自国内で処分を行わなければならないとされている。 ・オルキルオト原子力発電所 1999 年にポシバ社が、原則決定(DIP:Decision-in-Principle)*を申請し、2001 年に国会 が原則決定を承認したことから、使用済み燃料の最終処分場の予定地がオルキルオトに決定した (建設には別途手続きが必要)。2001 年に承認された処分する使用済み燃料は 4,000t であった が、その後、2002 年と 2010 年に追加された。 * 原則決定(DIP)の手続き:原子力施設(原子力発電所や放射性廃棄物処分場施設)は、建設許可 申請の前の段階において、政府が「その施設の建設が、フィンランドの社会全体の利益に合致す る」ことを決定した上で国会が承認するという、フィンランド特有の“原則決定の手続き”が必 要とされている。DIP は、1987 年に原子力法が改訂された際に導入された。

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オルキルオト処分場決定までの経緯 1983 年: 実施主体のポシバ社が、使用済み燃料処分場のサイト特性調査を実施。 1999 年: ポシバ社が、原則決定を申請。 2000 年: 政府が、原則決定を行う。 2001 年: 国会が、原則決定を承認。この時点で、エウラヨキのオルキルオト処分場の立地 が決定。4,000t の使用済み燃料(ウラン換算)の処分が承認された。 2002 年: 6,500t の処分を原則決定(オルキルオト 3 号機からの発生分予定分を追加) 2010 年: 9,000t の処分を原則決定(オルキルオト 4 号機からの発生分予定分を追加) 2012 年 12 月 28 日、ポシバ社は、雇用経済省(MEE)に対して使用済み燃料のカプセル化 プラントと処分場の建設許可申請を提出した。これが認められると、処分場の建設が開始するこ ととなる。STUK は 2013 年 4 月 23 日付のプレスリリースにおいて、申請書の安全審査の第一 段階を完了したことを発表した。その後、2015 年 2 月にはポシバ社の建設申請に対する支持を 表明した。 2015 年 4 月 1 日、ポシバ社は、同社の地下特性調査施設(ONKALO(オンカロ))*に、処 分場の実証トンネル用の大型プラグ(長さ 6m、幅 6m、高さ 7m)の建設を開始していること を発表した。 * 同施設は、処分場予定地の地下情報を集める等の目的で2004 年に建設を開始した。2014 年には 全ての立坑の掘削が完了している。 2015 年 11 月 12 日、MEE は、ポシバ社に対し、使用済み燃料の処分場の建設を許可した。 これは、使用済み燃料の処分場建設に対する世界で初めての許可となる。許可が下りたのは、地 上の使用済み燃料封入施設と地下処分場の建設で、許可された使用済み燃料の処分量は 6,500t である。ポシバ社によると2023 年の操業開始を目指しており、2016 年末頃には建設を始める という。また、2016 年 11 月 25 日には、STUK が「ポシバ社は処分場の建設を開始する準備が できている」と結論づけた。 2016 年 11 月 29 日、ポシバ社は、使用済み燃料最終処分場の最初のトンネル掘削に関する契 約をYIT グループ(YIT Group)と締結したと発表した。契約金額は 2,000 万ユーロ、工事期

間は 2 年半である。この契約により、最初の中央トンネルとこれに通じる車両用トンネルの掘 削のほか、キャニスター用リフトが設置される予定の立て坑のボーリングに備えた予備掘削等も 行われるという。2016 年 12 月、掘削作業が開始された。 ・ロビーサ原子力発電所 2016 年 2 月 15 日、STUK は、ロビーサ原子力発電所における液体放射性廃棄物の固化施設 について、全面操業許認可をフォータム社に対して発行した。この施設はロビーサ原子力発電所 の運転中および廃止措置期間中に発生する低・中レベルの液体放射性廃棄物を固化処理するため の施設であり、2006 年から試運転が行われていたものである。

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フィンランド ・ハンヒキビ原子力発電所 2016 年 6 月 22 日、フェンノボイマ社は、最終処分場建設に関する環境影響評価書(EIA)を MEE に提出した*。また同日、使用済み燃料の最終処分に関連してポシバ・ソリューションズ 社(ポシバ社の子会社)との間で業務委託契約を締結したと発表しており、今後は、サイト候補 であるピュハヨキ(Pyhäjoki)とエウラヨキ(Eurajoki)について、ポシバ・ソリューション ズ社と共同で地質調査を行うことになっている。またサイトは2040 年代に選定され、使用済み 燃料の最終処分は2090 年代の初めに開始する予定である。 * 同社は、新規原子炉の建設に関して発行された「原則決定」に定められた要件として、TVO 社と フォータム社との最終処分に関する協力協定書、もしくはフェンノボイマ社独自の最終処分場に 関するEIA、いずれかを 2016 年 6 月末までに MEE に対して提出することになっていた。 国際協力 2016 年 10 月 14 日、ポシバ社とチェコ放射性廃棄物処分庁(SÚRAO)が、使用済み燃料と 高レベル放射性廃棄物の処分場建設に関する専門知識を提供する契約について合意した。契約期 間は4 年間で、契約金は 275 万ユーロ(303 万ドル)である。技術支援は、ポシバ社の子会社 であるポシバ・ソリューションズ(Posiva Solutions)社と、フィンランドのエンジニアリング 会社であるSaanio & Riekkola 社によって提供され、スウェーデンの SKB インターナショナル 社とフィンランドの地質調査会社もプロジェクトに参加するという。 1.2 原子力関連予算の状況と動向 関連する公開情報は無し。 1.3 原子力発電所の建設・運転状況 フィンランドは 1970 年代に発生したオイル ショックに鑑みて、エネルギーの安定供給の観 点を重視し、原子力発電所の建設に着手した。 1977 年にロビーサ原子力発電所を運転開始し た後、いくつもの原子炉が建設された。 (1)既設炉 現在、4 基の原子炉が運転中である。 ・ロビーサ原子力発電所(フォータム社が運転) 現在運転中 の 2 基について、フォータム (Fortum)社は 2016 年 1 月 4 日、2030 年ま で運転する計画を発表した。 2017 年 2 月 7 日、放射線・原子力安全センタ ー(STUK)は、ロビーサ 1、2 号機が安全に運 転するための要件を満たしていると結論付けた。 これは、フォータム社による同発電所1、2 号機への定期安全評価レビューを受けたものである。

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2007 年に STUK は、10 年毎の定期的な安全評価を条件に運転認可の延長(2030 年まで)を認 めている。安全に関する包括的評価では、経年劣化の影響など原子炉の状態が確認され、また継

続的な安全運転を保証する能力も評価された。フォータム社は、第 1 回目となる安全評価の書

類を2015 年末に STUK に提出していた。なおフォータム社は 2017 年、同発電所 1、2 号機に 対する1.2 万 kWe の出力増強を発表している。

・オルキルオト原子力発電所(TVO(Teollisuuden Voima Oyj)社が運転)

現在運転中の2 基の改修工事に関して、2016 年 9 月 30 日、欧州投資銀行(EIB)が、オル キルオト1、2 号機(各 88 万 kWe)の安全性改善の改修工事のために、TVO 社に対し 1 億ユー ロを融資することを明らかにした。今回の改修工事では、非常用ディーゼル発電機の交換や再循 環ポンプと周波数変換器の取替え、新しい冷却材注入装置の設置などが行われ、これにより原子 炉の安全性や信頼性、および運転効率を上げることになるという。 2017 年 1 月 26 日、TVO 社は、オルキルオト 1、2 号機の運転認可更新の申請書を雇用経済 省(MEE)へ提出した。現在発給されている 20 年間の運転認可は、2018 年末までに更新する 必要があるという。更新が認可されると2038 年末までの運転が可能となる。認可申請に関連し て、TVO 社は定期安全評価レビューを STUK に提出している。このレビューは 10 年毎に実施 しているもので、前回は2008 年に実施されている。 2017 年 3 月 16 日、IAEA は、オルキルオト原子力発電所での 17 日間にわたる運転安全評価 チーム(OSART)によるミッションを終了させた。今回の OSART は、同発電所で運転中の 2 基のBWR を対象にレビューを実施したものであり、建設中の PWR と使用済み燃料処分場につ いては対象としていない。OSART は、事業者である TVO 社に対して、リスク評価のための PSA 能力に優れている点を指摘するなど同発電所における安全が証明されているとした一方で、機器 の不備に迅速に対応できるようメンテナンス活動を向上させること等を含む是正措置勧告も示 した。 (2)建設中・計画中の原子炉 オルキルオト3 号機(建設中) フィンランドでは2002 年 5 月に新規原子炉の建設が承認され、2003 年 10 月に、オルキルオ ト3 号機の建設が決定された。その後 2003 年 12 月、炉型に EPR が採用され、2005 年 8 月に 認可を受けて同月に着工された。当初、2009 年に運転開始を目指していたが、コスト高騰など を原因として、TVO 社から数回にわたって運転開始日の遅延が発表されている。2013 年 2 月 11 日付の TVO 社の発表によれば、同 3 号機の運転開始は 7 年遅れて 2016 年になる予定であっ たが、2014 年 9 月、アレバ社(当時。現在はオラノ社)とシーメンス社からなるコンソーシア ム(Areva NP、Areva GmbH、Siemens AG、および Areva SA)*は、2018 年後半に先送りに なると発表した。

* Areva NP は 2018 年 1 月に社名を「フラマトム(Framatome)社」へと変更している。これに 伴い、Areva GmbH もフラマトム社のドイツ法人となっている。

・係争問題

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フィンランド 仲裁裁判所において係争中であった。損害額についてTVO 社は 2015 年 7 月に、2018 年末時点 で26 億ユーロになると算定した一方、アレバ社(当時)とシーメンス社からなるコンソーシア ムは、2016 年 2 月、建設遅延による損害額について合計約 35 億 2,000 万ユーロと算定してい た。 2018 年 3 月 11 日、この係争について TVO 社は、コンソーシアムのとの間で包括的な和解合 意(comprehensive settlement agreement)に署名したことを明らかにし、同 3 月 28 日にはこ の和解合意が有効となったことを発表した。この和解合意では、同発電所3 号機について、2019 年5 月に発電を開始するというコンソーシアム側による最新のスケジュールも記載されている。 TVO は、最初の支払いとしてコンソーシアムから 3 億 2,800 万ユーロを 2018 年 3 月中に受け 取り、同建設プロジェクトの完成時または遅くとも2019 年末までに、第 2 回目の支払いとして 1 億 2,200 万ユーロを受け取ることとなる。 ・フランスのフラマンビル3 号機の影響 STUK は、フランスのフラマンビル 3 号機(EPR)で 2015 年 4 月に原子炉容器の鋼材組成 に問題が見つかったことを受けて、同じEPR であるオルキルオト 3 号機について調査報告書の 提出をTVO 社に対して要請した。これを受けて 3 号機の原子炉容器の鋼材や加圧器について調 査したTVO 社は、フラマンビル原子力発電所で発覚したものと同様の問題はないとした報告書 をSTUK に対して提出した。STUK は 2015 年 12 月 10 日、この報告書を承認したと発表した。 2016 年 1 月 12 日、3 号機の計装制御(I&C)システムの試験が開始された。 ・3 号機の運転に向けた動き 2016 年 4 月 14 日、TVO 社は、建設中の 3 号機の運転許可申請書を MEE に提出したと発表 した。13 万ページに及ぶ申請書は、最初の 20 年間(2018~2038 年)の運転承認と、この運転 期間中に発生する使用済み燃料と放射性廃棄物を保管するために、既存のサイト内中間貯蔵施設 を使用する許可についても求めている。 2017 年 3 月 22 日、IAEA は、3 号機における 18 日間にわたる運転前の運転安全評価チーム (Pre-OSART)ミッションを完了させた。今回のミッションの目的は、IAEA 安全基準に基づ いて安全性を評価し、改善勧告を行うことで安全性を高めることである。チームは幾つかの優れ た点を見つけるとともに、幾つかの改善勧告を示した。 2 基の原子炉の建設計画 2010 年 7 月に 2 基の原子炉建設が決定された。1 基は TVO 社が進めるもので、サイトはオ ルキルオトと決まり(オルキルオト 4 号機)、新規参入のフェンノボイマ(Fennovoima)社に よるもう1 基の建設サイトについても北フィンランドのピュハヨキ(ハンヒキビ原子力発電所) に決定した。 ・オルキルオト4 号機 2008 年に TVO 社が申請を行い、2010 年 5 月に建設が許可された。TVO 社は、2012 年 3 月 26 日にアレバ、GE 日立、三菱、東芝、韓国水力原子力発電会社(KHNP)の 5 企業に対して 入札を呼びかけ、2013 年 1 月に上記 5 社が応じた。入札で提案された原子炉はそれぞれ、EPR

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(アレバ社)、ESBWR(GE 日立)、EU-APWR(三菱)、EU-ABWR(東芝)、APR-1400(KHNP) である。TVO 社は 2013 年内に業者を決定し、2015 年 7 月には建設許可を申請し、2020 年に は運転開始することを予定していた。 2014 年 5 月、TVO 社は、4 号機の建設に関する原則決定の有効期限について、建設計画の遅 れを理由に5 年間の延長を求める申請書を MEE に対して提出したが、フィンランド内閣は 2014 年9 月に TVO 社の申請を否決した。その後 2015 年 6 月 24 日に TVO 社は、6 月 30 日に期限 を迎える 4 号機の建設許認可について、再申請を行わないことを決定した。この決定について TVO 社は、オルキルオト 3 号機の運転開始が遅延していることを理由に同社の株主が決定した ものであると述べている。これにより2010 年の原則決定は 2015 年 6 月末に失効したが、TVO 社は、オルキルオト 4 号機の建設について将来的には新たな申請を行う可能性があるとの見解 を表明した。 ・ハンヒキビ原子力発電所(ピュハヨキ) ピュハヨキ(Pyhäjoki)は福島事故後、世界で初めて選定された原子力発電所建設サイトで ある。2007 年に新規原子力発電所建設計画が発表され、建設サイト候補地には 40 か所の地域 が応募し、許認可申請の段階で最終候補地として残ったのはシモ(Simo)とピュハヨキであっ た。建設に係る許認可申請は2009 年 1 月にフィンランド政府へ提出され、2010 年 5 月に建設 に関する原則決定が下された。最終的にピュハヨキが選定された理由として、岩盤が良質かつ堀 削が容易であること、冷却水引込みトンネルがシモを建設サイトにするよりも1km 短くて済む こと、人口が少ないこと、地震の発生頻度が低いことが挙げられた。 ハンヒキビ原子力発電所建設計画は、フェンノボイマ社の株式を34%所有していた E.ON 社 が2012 年 10 月に撤退を表明したことにより、一時は計画の存続が危ぶまれ、フェンノボイマ 社のP.オッタバイネン会長は 2013 年 10 月までに建設の可否に関する決定を行うと述べたが、 2013 年 11 月には、ボイマオサケイティエ SF(Voimaosakeyhtiö SF)社*E.ON 社の所有 分株式を引き受けた事で存続し、その後2014 年 3 月 27 日には、ロスアトム社が株式の 34%を 取得することで決着した。 * フェンノボイマ社を有するコンソーシアムであり、60 社の株主で構成される。 2012 年 1 月、東芝(EU-ABWR)とアレバ(EPR)が正式に応札し、フェンノボイマ社は評 価の末、2013 年 2 月 25 日に東芝に優先交渉権を与えたが、2013 年 3 月には、ロスアトム社と の交渉を開始したことを明らかにした(提案された炉型はAES-2006)。2013 年7 月 3 日には フェンノボイマ社は、建設プロジェクトをロスアトム社の子会社であるルスアトム・オーバーシ ーズ社と開発していくことに合意し、12 月 21 日に建設契約を締結した。 また2013 年 12 月にはハンヒキビ 1 号機の環境影響評価(EIA)の実施を MEE が許可し、 2014 年 2 月にはその結果を MEE へ提出した。また同 3 月には、2010 年に承認された原則決定 について、導入する原子炉をロシア製のAES-2006 に変更する修正案を政府に対して申請した。 2014 年 9 月にフィンランド政府は、建設プロジェクトにおけるフィンランド資本の比率が 60% 以上であること(フェンノボイマ社は、条件を満たしたことを2015 年 8 月 5 日に発表)を条件 として、原則決定への修正を承認した。その後、フィンランド議会での審議に入り、2014 年 12

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フィンランド

月5 日にフィンランド議会は、同建設プロジェクトの原則決定について、ロシア製の AES-2006 を採用するとした改訂(修正案)を承認した。

2014 年 12 月 30 日、ロシア連邦内閣は同建設プロジェクトについて、ロシアのソブリン・ウ ェルス・ファンド(sovereign wealth fund)*から最大で1,500 億ルーブル(23 億ドル)を融 資することを承認した。 * ソブリン・ウェルス・ファンド:政府が出資する投資機関が運営するファンドのことであり、「政 府系ファンド」などとも呼ばれる。 2014 年 12 月、フィンランド内閣は、同発電所近隣の民間私有地(100 ヘクタール以上)につ いて、フェンノボイマ社による(強制)買い取りを承認した。 2015 年 4 月 30 日、フェンノボイマ社は、ハンヒキビ 1 号機の主建設業者として TITAN2 社 *を選定したことを発表した。これによりTITAN2 社は、同 1 号機におけるサイト準備、インフ ラ整備作業、原子炉建屋とタービン建屋の建設、機器の設置作業、資材・機器・計装制御機器等 に責任を持つこととなる。 * 2014 年末にルスアトム・オーバーシーズ社は、ハンヒキビ原子力発電所建設計画について、 TITAN2 社、アトムエネルゴマッシュ社、およびギドロプレス社の各社との間で締結した契約に 関する概要を発表していた。 2015 年 6 月 30 日、フェンノボイマ社は、ハンヒキビ 1 号機の建設許認可申請書を MEE に 提出した*。同発電所の着工は2018 年で、商業運転開始は 2024 年を想定している。また、2016 年1 月 19 日には、ハンヒキビ 1 号機の建設サイトにおいて基礎掘削開始を記念する式典が開催 された。 * 2016 年 5 月 3 日、MEE は、同発電所 1 号機の建設計画への許認可発行について、スウェーデン 放射線安全機関(SSM)からの反対意見が無かったことを明らかにしている。これは、フィンラ ンド政府が北欧4 か国における協定に基づき、同発電所 1 号機に関してスウェーデンに対して意 見を求めており、それにSSM が回答したものである。 2015 年 8 月 5 日、MEE は、建設許認可発行のための条件(EU 企業または欧州自由貿易連合 加盟国の企業による60%以上の所有)がクリアされた*ことから、ハンヒキビ1 号機の建設認可 申請書の審査を進めることを明らかにした。 * 同日にフェンノボイマ社が、国内3 社(フォータム社、SRV 社、Outokumpu 社)がハンヒキビ 1 号機の建設計画に参加したことにより、同計画の所有権の 65%以上を確保できたことを発表(フ ォータム社が6.6%、SRV 社が 1.8%の株式を取得し、Outokumpu 社は現状の 12.3%から 14.1% に増やすことで合意)。 2016 年 10 月 31 日、フェンノボイマ社は、計画中のハンヒキビ 1 号機の建設許可申請に係る 書類をSTUK に提出した。この申請書類は安全設計の原則と作業工程が記載されているもので ある。 No. プラント名 型式 状況 設備容量(万kW) 営業運転 開始日 ネット グロス 1 LOVIISA-1(ロビーサ) VVER 運転中 50.2 52.6 1977.05.09 2 LOVIISA-2(ロビーサ) VVER 運転中 50.2 52.6 1981.01.05 3 OLKILUOTO-1(オルキルオト) BWR 運転中 88.0 91.0 1979.10.10 4 OLKILUOTO-2(オルキルオト) BWR 運転中 88.0 91.0 1982.07.01 5 OLKILUOTO-3(オルキルオト) EPR 建設中 160.0 172.0 - 6 OLKILUOTO-4(オルキルオト) - 計画中 - - - 7 HANHIKIVI(ハンヒキビ) VVER 計画中 - 120.0 -

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国際協力動向

2.1 二国間原子力協力関係 相手国 協定 日付 インド 原子力平和利用に関する協力協定 2014 年 10 月 15 日署名 ウクライナ 原子力事故の早期通報ならびに原子力安全 と放射線防護に関する情報交換協定 1996 年 2 月 8 日署名 1997 年 9 月 7 日発効 エストニア 原子力事故または放射線緊急事態の早期通 報および原子力安全・放射線防護分野の情 報・経験の交換に関する協定 原子力事故の早期通報に関する条約 (1986 年)の履行を目的として、両 国政府が 1999 年(1 月 25 日、6 月 11 日、6 月 21 日)に署名、同年 7 月 10 日に発効。 カナダ 核物質、原子力機器、施設および科学情報 の交換に関する協力協定 1976 年 3 月 5 日署名 1976 年 8 月 15 日発効 韓国 原子力平和利用に関する協力協定 2013 年 10 月 24 日署名 サウジアラビア サウジアラビアにおける独立した放射線安 全機関の設立を目的とした協力合意 2017 年 7 月署名 スウェーデン 北欧4 か国の国境地域にある原子力施設に 関する原子力安全条件についての協力指針 デンマーク/ノルウェーと共に 1976 年 11 月 15 日に発効 核物質、技術および設備の輸出に係る指針 に関する協定 1983 年 3 月 4 日締結、同日発効 原子力事故の早期通報と原子力施設の情報 交換に関する協定 1987 年 2 月 25 日署名 同年5 月 23 日発効 デンマーク 北欧4 か国の国境地域にある原子力施設に 関する原子力安全条件についての協力指針 ノルウェー/スウェーデンと共に 1976 年11 月 15 日に発効 原子力事故の早期通報と原子力施設の情報 交換に関する協定 1987 年 2 月 25 日署名 同年5 月 4 日発効 ドイツ 原子力事故の早期通報ならびに原子力安全 と放射線防護に関する情報交換協定 1992 年 12 月 21 日署名 1993 年 5 月 28 日発効 ノルウェー 北欧4 か国の国境地域にある原子力施設に 関する原子力安全条件についての協力指針 デンマーク/スウェーデンと共に 1976 年11 月 15 日に発効 原子力事故の早期通報と原子力施設の情報 交換に関する協定 1987 年 2 月 25 日署名 同年8 月 20 日発効 ポーランド 原子力安全と核セキュリティの分野におけ る協力と技術情報の交換に関する了解覚書 2017 年 9 月 19 日署名(STUK とポー ランド原子力庁) ロシア 原子力平和利用に関する協力協定 ソ連時代の1969 年 5 月 14 日に署名、 同年 9 月 28 日に発効、その後 1999 年9 月 27 日に失効し、2014 年 2 月 25 日に新たに締結 原子力事故の早期通報と原子力施設の情報 交換に関する協定 1995 年 1 月 11 日署名 1996 年 6 月 6 日発効 スウェーデン、 ノルウェー、ベ ラルーシ 放射線安全機関との情報交換等の協力に関 する了解覚書 スウェーデン、ノルウェー、ベラルー シの放射線安全機関と2016 年 10 月 4 日に署名(期間は5 年間)

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フィンランド 2.2 国際的取組への参加状況 (1) 協力全般 ・IAEA:1958 年 1 月 7 日加盟 ・経済協力開発機構(OECD)原子力機関(NEA):1976 年加盟 (2) 核不拡散 ・核兵器不拡散条約(NPT):1968 年 7 月 1 日に署名、1970 年 3 月 5 日発効 ・IAEA 保障措置協定:1995 年 12 月 1 日発効 ・IAEA 保障措置追加議定書:1998 年 9 月 22 日署名、2004 年 4 月 30 日発効 ・包括的核実験禁止条約(CTBT):1996 年 9 月 24 日署名、1999 年 1 月 15 日批准 ・IAEA 保障措置追加議定書:1998 年 9 月 22 日署名、2004 年 4 月 30 日発効 ・ザンガー委員会(NPT 加盟の原子力輸出国が NPT 第Ⅲ条 2 項を遵守するための自発的グ ループ) ・原子力供給国グループ(NSG:ロンドン・ガイドライン輸出管理グループ) (3) 原子力安全 ・北欧の放射線事故に関連した緊急時相互支援協定:デンマーク/スウェーデン/ノルウェー とIAEA が 1963 年 10 月 17 日署名、1965 年 6 月 23 日発効 ・原子力事故の早期通報に関する条約:1986 年 9 月 26 日署名、1987 年 1 月 11 日発効 ・原子力事故援助条約:1986 年 9 月 26 日署名、1990 年 12 月 28 日発効 ・原子力分野での第三者損害賠償に関するパリ条約(1972 年 6 月 16 日発効)およびブリュ ッセル補足条約(1977 年 4 月 14 日発効) ・ウィーン条約・パリ条約の適用に関する合同議定書:1988 年 9 月 21 日署名、1995 年 1 月 3 日発効 ・原子力安全条約:1994 年 9 月 20 日署名、1996 年 10 月 24 日発効 ・使用済み燃料と放射性廃棄物の安全管理に関する合同条約:1997 年 10 月 2 日署名、2001 年6 月 18 日発効 (4) その他協力 ・核物質防護条約:1981 年 6 月 25 日署名、1989 年 10 月 22 日発効 ・北欧四か国の環境保護に関する条約:スウェーデン/ノルウェー/デンマークと共に1974 年2 月 19 日締結 ・廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約:1979 年 6 月 2 日発効 ・国連欧州経済委員会(UNECE)越境環境影響評価に関するエスポー条約:1995 年 8 月 10 日発効 ・国際原子力パートナーシップ(GNEP、2010 年 6 月に“IFNEC”に改称):オブザーバー国

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2.3 人材育成に関する協力の状況 2016 年 1 月 27 日、放射線・原子力安全センター(STUK)の開催する年会にロシアの連邦 環境・技術・原子力監督庁(Rostechnadzor)が参加し、原子力規制に関する情報交換を行った。 両機関は2016 年内に実施する協力プログラムについても合意に達し、ロシア製の原子炉が使用 されるハンヒキビ原子力発電所建設計画についても議論したという。

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原子力研究開発推進・規制体制

3.1 原子力関連行政・規制機関の役割 原子力行政 フィンランドの規制行政機関は、政府、雇用経済省(MEE)、放射線・原子力安全センター (STUK)の三者である。政府は、一般安全規則の策定と許認可の権限を有している。MEE は、 原子力エネルギー政策を担当し、原子力発電所、使用済み燃料関連施設、放射性廃棄物施設やそ の他の原子力関連施設の許認可手続きや管理を実施している。また、STUK は、詳細安全規則 を定める権限を有し、安全規制を実施している。 STUK には原子力発電所の建設・運転に関する許認可の発行の権限はないが、安全規制の細 目を定める権限を有しており、STUK の安全規制を満足しない限り、政府は許認可を発行する ことができない仕組みになっている。 2015 年 5 月に原子力及び放射線法が改正され、STUK の安全規制に関する権限がより強化さ れた。 3.2 規制体制図(組織、法令)

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フィンランド

3.3 原子力研究開発機関と研究内容

<研究機関一覧・主な研究内容等>

機関名、ホームページ 主な研究内容等

フィンランド技術研究センター(VTT Technical Reserch Centre of Finland) http://www.vttresearch.com ・ 複合科学技術を応用した研究機関では北欧最大規模の研究機 関である。職員数は、3,000 名である。同研究センターの活 動内容は、国の原子力研究プログラムの管理・運営や、原子 炉の研究、安全及び環境への影響の研究、原子力発電プラン トの運転・維持、核融合技術の研究、放射性廃棄物の管理・ 処分、先進的核分裂技術の研究などを行っている。 フィンランド地学研究所(GTK: Geologian tutkimuskeskus) http://en.gtk.fi ・ フィンランド地学研究所は、雇用経済省(MEE)の機関であ る。同研究所は、放射性廃棄物処分に関する研究や、岩盤工 学研究また地下水研究などを行っている。 3.4 研究炉を含む原子力研究開発施設の計画、建設、運転、保守、廃止、共用等に関する動向 関連する公開情報は無し。 3.5 原子力分野の研究開発に関する公募制度 関連する公開情報は無し。

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スイス

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原子力事情・原子力政策動向

1.1 エネルギー政策と原子力政策の状況と動向 <エネルギー政策と原子力の位置づけ> スイスの原子力開発は、第二次世界大戦終了の翌年1946 年に始まっている。連邦議会が原子 力推進の決議を承認し、原子力平和利用に向けた研究開発が始まった。1957 年には憲法に原子 力利用を規定する条文が明記され、1959 年 12 月 23 日に連邦内閣が原子力法を承認し、商業用 原子力発電の導入体制が整った。 1960 年代に入り、電力需要の長期見通しの検討が行われた結果、豊富にあると考えられてい た水力発電の供給能力だけでは増加する需要を賄えないことが判明し、電力会社は石炭火力発電 所と石油火力発電所を建設することを提案した。しかし、それまでの水力発電によるクリーンエ ネルギーが損なわれるとして環境団体等が反対したため、化石燃料の大規模導入はできず、炭素 排出量の少ない原子力発電に目が向けられることとなった。 連邦内閣は、2004 年から気候変動対策と新規原子力発電所建設を含む長期エネルギー政策の 検討に着手し、2007 年 2 月に長期エネルギー見通しに基づく「エネルギー基本政策」を発表し た。骨子は、①エネルギー効率の改善、②再生可能エネルギーの利用拡大、③既設の大規模発電 所の更新と新規プラントの建設、④電力供給保障を確保するための海外エネルギー政策(ヨーロ ッパ送電網との連携強化等)、であった。この政策実施に向けて、「エネルギー効率と再生可能エ ネルギーに関する行動計画」が2008 年 2 月 20 日に連邦内閣によって承認された。政策の中で は、炭素排出量を削減しエネルギーの独立性を高めていく手段として原子力は重要であるとされ、 2034 年までに運転寿命を迎える 5 基の原子力発電所に対する対応策の検討が行われていた。 福島事故以降、スイスは脱原子力へと方針転換した。2011 年 5 月 25 日、内閣は 2011 年 2 月 の国民投票で承認されていた既設原子炉の建て替えを行わないことを決定した。その後、内閣が 提出した新規原子力発電所の建設を全面的に禁止する「新エネルギー戦略」は、同年 6 月に下 院を通過し上院に提出された。2011 年 9 月 7 日に行われた議会上院のエネルギー環境委員会で は、原子炉建設全面禁止ではなく現在運転されているような炉型の建設のみを禁じ、最新型の原 子炉の建設は禁止しないという条項が付け加えられた。 最終的にその条項は取り除かれ、下院に再提出され承認された後、2011 年 9 月 28 日に再び 上院で投票が行われた。結果、賛成多数(3 対 1)で可決され、2034 年までにスイス国内全て の原子力発電所を段階的に廃止し、再生可能エネルギーの支援を強化することが決定された。現 在稼働中の原子炉は、運転寿命まで使い切った後に閉鎖する予定である。一方、原子力研究の全 面禁止案に対しては、国民党や急進党など産業界寄りの右派から強い反対が出たため差し戻され た。その後、みどりの党は法制化を目指して活動を行い、2012 年 11 月には国民投票の実施に

参照

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