Title
新規双頭型配糖体の合成とレクチンとの結合特性解析に関
する研究( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
三澤, 義知
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(農学) 甲第485号
Issue Date
2008-03-13
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/23492
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(本(国)籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 会 三 澤 義 知 (静岡県) 博士(農学) 農博甲第485号 平成20年3月13日 学位規則第3条第1項該当 連合農学研究科 生物資源科学専攻 静岡大学 新規双頭型配糖体の合成とレクチンとの結合特性解析 に関する研究 主査 静岡大学 副査 静岡大学 副査 岐阜大学 副査 信州大学 授 授 授 授 教 教 教 教 市 和 実 満 泰 洋 氷 岸 曽 田 碓 河 木 廣 論 文 の 内 容 の 要 旨 細胞表面糖タンパク質や糖脂質の糖鎖はレクチン(糖結合タンパク質)に対し高い親 和性を有し結合する。しかしその結合力は、酵素反応の酵素基質複合体の結合力と比較 すると弱いことが知られている。そこで、リガンドを多備にすることで、レクチンに対 する結合親和性を高めた多価糖鎖配糖体の分子設計を計画した。本研究では、天然分岐 糖鎖をミミックした最も単純なアルキル鎖をスペーサーに介した双頭型二糖配糖体の 酵素的および化学的合成法の新規作製法を確立するとともにこれら二価配糖体とレク チンとの相互作用を解析し糖鎖プローブとして有用であることを実証することを目的 とした論文で以下のように二大別できる。 1.酵素法によるα結合型および〃結合型配糖体の合成 放線菌(A間作αね卸由血由血)由来キチン分解酵素の糖転移反応を利用し、〟 アセチルキトテトラオースを糖供与体、アルカンジオール(炭素鎖3∼7)を糖受容体 とすると、受容体の両末端にNアセチルグルコサ主ン(GIcNAc)が転移したGIcNAc 双頭型配糖体が生成することを始めて見出した。得られた二価配糖体を出発基質にして 両GIcNAc残基に順次ガラクトースそしてシァル酸を付加したSialyl・LacNAc (Galβ1・4GIcNAc)3糖構造を有する双頭型配糖体の酵素合成にも成功した。次に、 N結合型双頭型配糖体の合成を行なった。GIcNAcおよびLacNAcをアンモニア処理し て〟β・グリコシルアミンを得た。このアミン体とジカルポン酸(炭素数5∼7)との縮 合反応により、各糖を両末端に結合させた〟結合型双頭型配糖体の合成法を確立した。 本反応は、立体選択的に進行し、保護・脱保護の工程を必要としないワ㌢ポット合成法 である。
-94-2.双頭型配糖体とレクチンとの結合特性解析 合成したα結合型および〟結合型GIcN血およびLacNAc双頭型配糖体と小麦胚芽 レクチン(WGA)との相互作用解析を行なった。双頭型配糖体はいずれも赤血球凝集 阻害能を示さなかった。そこで、配糖体とWGAを直接混合したところ、GIcNAc双頭 型配糖体に関しては、α結合型および〃結合型いずれも白濁の沈降能を示した0これ ら結果をさらに表面プラズモン共鳴法を用い相互作用解析を行なった。即ち、センサー チップ上にアシアロフェツインを固定化したり、WGAを固定化し、アナライトとして 双頭型配糖体を流すことでセンサーチップ上での質量変化に対応したセンサーグラム を得た。その結果、アナライトの濃度依存による質量の増大を伴う異常な挙動が観察さ れた。このことは、WGAとGIcNAc双頭型配糖体が架橋構造の形成を示唆するもので あり、低分子であっても高分子タンパク質レクチンの特異的な沈降剤になりうるもので あることを実証し、糖鎖ブロープの有力なツールになりうることを示した。 審 査 結 果 の 要 旨 本論文の公開学位論文発表会は、平成20年1月24日(木)静岡大学農学部B210 講義室において審査員を含む関連教員、学生の出席のもとで行なわれ引き続き質疑応 答が行なわれた。論文内容の概要は以下のとおりである。
本論文は、複合糖質(痺タンパク質、糖脂質)の分岐糖鎖をミミックした双頭型(二
価)配糖体を酵素および化学法により合成し、糖結合性タンパク質(レクチン)との 特異的相互作用の解析を介して、最も単純な分岐糖鎖のミミックとして新たな糖鎖認 識の素子として利用を目指した研究である。内容は、双頭型配糖体の合成とレクチン との相互作用解析に二大別出来る。 始めに、α結合型糖鎖のミミックの合成に着手した。二価の糖鎖を配するにあた り、水酸基を両末端に持つ炭素鎖3∼7個のアルカンジオールに微生物由来 (AqYCOhiqp由ozibD地)キチン分解酵素のNアセチルグルコサミン(GIcNAc) 糖転移反応を利用しワンポットで実に簡単にGIcN血を両末端に二価で配した、 GIcNAc双頭型配糖体の合成に成功した。 得られた二価配糖体は、さらにガラクトシル転移酵素を活用することでGal残基を 付加させたLacNAc(Galβ1・4GIcN血)双頭型配糖体へと変換さらにシァル酸転移 酵素により、両末端にシアリルーLacNAc三糖構造を有する双頭型配糖体の合成法も 確立した。次に〃結合型糖鎖ミミックの合成法の開発も行なった。GIcNAcや LacNAcをアンモニア処理で〃β・グリコシルアミンとした。生成したアミン体とカ ルポキシル基を両末端に持つ様々な長さのジカルポン酸とを縮合反応によ、り両末端 にGIcNAcやLacNAcが結合したN結合型双頭型配糖体を得た。本反応は、立体選 択的に進行し、保護・脱保護の工程を必要とせずワンポットで目的化合物を合成でき ることを実証した。 合成したα結合型および〟結合型双頭型配糖体と小麦胚芽レクチン(WGA)と の相互作用を赤血球凝集阻害試験・沈降テスト・表面プラズモン共鳴法により解析し た。赤血球凝集試験では、双頭型配糖体はいずれも阻害作用を示さなかった。そこで WGAと配糖体との直接的な相互作用を検証するために沈降試験を行ったところ、 GIcNAc双頭型配糖体は、α結合型および〟結合型に関係なく白濁の沈降体を形成-95-することを見出した。これら結果をさらに検証するため表面プラズモン共鳴法を用い 相互作用解析を行なった。方法は、センサーチップ上にWGAと結合特異性を示すア シアロフェツインを固定化したり、WGAを直接固定化することで双頭型配糖体の相 互作用を解析した。両固定化法によるセンサーグラムは、センサーチップ上で双頭型 配糖体とWGAが結合することによるRU(レスポンスユニット)の増大という異常 な挙動を示した。即ち、アナライトの濃度依存によるセンサーグラムの上昇・下降を 観察している。このことは、センサーチップ上でWGAとGIcNAc双頭塑配糖体が架 橋構造を形成し、このことが、質量増大に伴う異常RU上昇を引き起こすものと解釈 した。 以上のように、本論文は糖鎖ミミックとしての最も単純なαおよび」Ⅴ結合型双頭 型配糖体の簡便な合成法を開発するとともに、低分子でありながらレクチンとの架橋 形成能があることを明らかにしたものであり、糖質-レクチン間の特異性解析におけ る分子認識の有用なツールとして今後のさらなる展開が期待できる。 『以上について審査委員会全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合農学研究科の 学位論文として十分価値のあるものと認めた。』 【学位論文の基礎となる学術論文】 1)MisawaY;AbmotoTlAmarumeS,MurataTandUsuiT Enzymatic Synthesisofspacer・linkeddivalentglycosidescarryingNacetylglucosamine andNacetyⅡactosamine:analysisofcross-linkingactivitieswithWGA. よ点奴通eⅢ.143,21-30(2008). 2)MisawaY;Ma8akaR,MaedaE,YhnoM,Murata℃KawagishiHandUsuiT Efficientsynthesisofspacer・N・linkeddouble・headedglycosidescarrying NacetylglucosamineandNN-diacetylchitobioseandtheircro由・linking activitieswithwheatgermagglutinin.aLilOhYh蝕.343,434・442(2008)..