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東京女子医科大学学会
( 東 女 医 大 誌 第55巻 第6
号)
頁 551-556 昭和60年6月,
第
2
6
1
回例会抄録
71
日時
会 場
昭和60年 2月21日(木〉午後 1時30分より
中央校舎
1
階会議室
1.生物組織の光学顕微鏡および電子顕微鏡による
対比観察
(第一解剖)
0
飯島 治之・串田つゆ呑
従来,生物組織における同一切片に対しての光学顕
微鏡および電子顕微鏡による対比観察は不可能であっ
た.
今回,われわれが開発した親水性メタグリル樹脂に
包埋することにより,同一切片上の同一視野を光学顕
微鏡および電子顕微鏡により対比観察を行なうことが
できた.この方法および観察結果について報告する.
材料はC3H系マウスの腎臓,小腸,顎下腺および精
巣を用いる.各組織は採取後, 3X3X5mmに細切し,
2.5%グルタノレーアルデヒド,または4%フォルムーアル
デヒドー2%グルタノレアルデヒド混合液で固定し,水
洗,脱水を行なう.包埋は親水性メタクリル樹脂の
HPMA, Quetol 523および疎水性メタクリル樹脂の
MMAの混合樹脂液を用いる.その組成はつぎのとお
りである.
HPMA 65ml, Quetol 523 10ml, MMA 25ml, QCU・
10.05g
本包埋法により作製した0.3-0.5μmの準超薄切片
は,種々の実験の結果, H.E染色およびPAS染色に
よる染色性を獲得することができた.しかも, これら
の光顕的染色切片は,すぐれた解像力を示し,光顕レ
ベルにおいても細胞小器官などを鮮明に観察できた.
なお,これらの比較的厚い切片は加速電圧200KVの電
顕的観察によりすぐれた立体像が得られた.
2.ヒト赤血球膜グリセルアルデヒド3-リン酸脱水
素醇素のnonenzymaticglycosylation
(生化学)
0
堀 川 博 朗 ・ 降 矢 焚
(国立病院医療センター〉木下忠雄
赤血球の膜結合酵素であるグリセルアルデヒド3ーリ
ン酸脱水素酸素(G3PD)は解糖系酵素の一つであり D
グリセルアルデヒド3-リン酸を酸化的にリン酸化し
て 1,3-ジホスホーD グリセリン酸を生成する反応
を触媒する.
ところで糖尿病患者ではHbAのサブユニットであ
るβ鎖の NH2一末端のパリン残基がグルコースによ
るnonenzymaticglycosylationを受け,その結果,電
気泳動やイオン交換クロマトグラフィー上でHbAと
は挙動を異にする HbA,cと呼ばれるグリコヘモグロ
ビンに変化する.現在,このHbA,cは糖尿病患者の長
期間の血糖コントローノレのーっと考えられているが演
者らはG3PDの比活性がHbA,c値と逆相関の関係に
あることなどを報告してきた.
今回, Kantらの方法に従って調製した正常者の赤
血球膜を2.5mMの糖 (glucose,glucose-1-p, glucose
6-p, fructose-6-p, fructose-1,6-p2)' 0.5mM DTT, 1
m M EDTAを含む5mMリン酸カリウム緩衝液 (pH
7.4)中でincubation
C
3
TC)し, G3PD活性を経時的
に 測 定 し た と こ ろ , 24時 間 後 に はglucose-6-p,
fructose-6-p, fructose-1,6-p2で は 糖 無 添 加 の 対 照 に
比べ低下する傾向を示した.次にglucose-6-pで処理
し た 反 応 液 の 膜 お よ びincubation中 に 膜 か ら
medium中に溶出したG3PDを単離しリジン残基のE
NH2に結合している糖をSchleicherらの方法に従っ
て〔ε N(L-furosyl-methyl)-L-lysineJ (furosine)
としてHPLCで分析したところ,膜に結合している
G3PDか ら 検 出 さ れ た . こ の 結 果 はnonenzymatic
glycosylationを受けたG3PDは膜に結合し難くなる
ことを示唆する.そこで;正常者および糖尿病患者の
赤血球を溶血し,膜結合,非結合G3PDについてfur
-osineの検出を試みたのでその結果をも併せて報告す
る.
3.尿中に見出される免疫抑制物質の検討
(微生物学教室)
0
鎌 形 有 祐 ・ 内 山 竹 彦 ・
若井真理子・吉岡 守正
(中央検査部〉清水喜八郎
緒言:生体の免疫応答は多様な調節因子により制御
されている.我々は正常マウス及び発熱患者尿中にマ
ウス胸腺細胞の種々のmitogenCInte
r
1
eukin(IL)・1,2
及びConA)に対する増殖反応を抑制する物質を見出