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レーザーの最近の進歩と医学応用

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Academic year: 2021

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東京女子医科大学学会 第56回総会抄録

〔特別講演〕 浮腫の病態一最近の概念から一 (第四内科)杉野 信博 1.全身性浮腫の病態(心性。腎性・肝性浮腫) 2.ネフローゼ浮腫 3.利尿薬の功罪 〔教育講演〕 薬診 (皮膚科)肥田野 信 薬物治療中に皮膚に出現する副作用を,広義の滋雨 として扱っている.薬疹の頻度はきわめて高く,皮膚 科外来患者の4%を占め,医薬品副作用の中でも薬疹 の率は高い. 薬疹を発症機序から大きくアレルギー性と非アレル ギー性とに分けるが,近年は種々の非アレルギー性の 型が増している. 臨床的にはきわめて多彩な表現をとるので,あらゆ る皮膚症状をみるとき薬疹の可能性を一応は検討して みる必要がある.現在最も頻繁にみられるのは播種状 紅斑型で,50%をやや上まわる.セフェム系やペニシ リン系の抗生剤によることが多い.ついで轟麻疹型, 多形紅斑型,湿疹型,固定疹型などがある. そのほか特殊な型として原因薬との結びつきが割合 に明らかなものに扁平苔癬型(中枢神経代謝改善薬), LE型(アプレゾリン,ヒダントイン),座高型(副腎 皮質ステロイド),褥瘡型(眠剤自殺企図),多毛(ヒ ダントイソ),色素沈着型(抗癌剤),爪変化(ブレオ マイシン,リマチル)などが知られている.新しい薬 剤が出現するにつれ新しい疹型がみられるようにな り,知識の絶えざる入替えが要求される. 原因薬として薬疹を起こしやすいのはアンピシリ ン,ついで種々のペニシリン系,セフェム系抗生剤が あげられる.非ステロイド系消炎剤,抗てんかん剤, 抗腫瘍剤なども原因薬として頻繁に登場する.しかし 絶対に薬疹を起こさない薬物というのはない. 薬疹の診断に最も大切なのは正確な薬歴の聴取であ り,ついでDI情報などを含めた広い知識である.これ に反して診断確定の手段としての検査は甚だ不十分で あり,感度も特異度も低い.感度は低いけれども信頼 性の比較的高いのはパッチテストである. 治療の根本は原因薬の中止であるが,どれが原因薬 なのか分らずに悩むのが実情である。 〔シンポジウム〕 レーザーの最近の進歩と医学応用 (東京大学物性研究所 極限レーザー部門) 黒田 寛人 レーザーの医学への応用は新しい展開が求められ, また,その端緒がひらかれている.例えばCO2やYAG レーザーによるレーザーメスを第一期とするならば, 現在は,いわば第二期として,YAGやCO2による2波 長作用や紫外エキシマレーザーによる非熱的手術の可 能性(眼科におけるA.T,193nmは一例)のように, レーザーのもつ波長可変性や新しい短波長という性能 をより積極的にいかす方向となっている. 方向の一つの精密化として光CTや代謝のマッピン グがある.従来の超音波スキャナーやX線CTは高性 能ではあるものの形態変化にむすびつく密度や,物性 定数の変化をみるものである.NMRも組織のミセル 化に伴うプロトンの横緩和時間変化をみるものであ る.光CTは,波長可変レーザーと超微弱光検出をく みあわせで,組織の生理化学変化を吸収により定量化 するもので,形態変化以前の前駆的現象の測定が可能 となり,がん診断等に新しい知見を与える可能性があ る.CaやNaイオンの代謝や電位変化によるマッピン グCTは脳の老化や不活性化との関連で期待される.

ヘマトポルフィリソ等による光線力学的治療

(PDT)も今後一層発展すると考えられる.作用機序と して,102は有力ではあるが,発生量は少ないと考える べきで連鎖反応あるいは他のスーパーオキサイドとの 相乗作用等,より詳細なメカニズムの決定が新しい展 開の鍵である. 低エネルギー領城の利用は,麻酔,血行改善,傷の 治癒,神経系やホルモン代謝の改善等多岐にわたる. 統一的な理解は今後の問題であるもののレーザーの波 長可変性急の進歩により広範な分野で新しい治療法が 出現するであろう。解析にたえる信頼しうるデーター の蓄積がポイントである. 新しいレーザーによる遺伝子やDNAへの働ぎかけ 一650一

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49 とそれによる治療等も新しい分野である. 最初の展開は,顕微山下における,レーザーによる 細胞の穴あけと融合であろう.今後はレーザーの波長 とパルス幅を制御することにより,DNA中のA, G, T,C等の塩基の選択的励起と選択的化学変化による 遺伝子制御(fusionや飴sion)が研究されよう。 将来は一番新しいレーザーである軟X線レーザー により44A近傍のwater window領域での生体ホロ グラフィや遺伝子やウイルスの立体構造の決定等が可 能性に入ってくる. 新しい医学応用は新しいレーザーにより進展する. 紫外域から軟X線領域への短波長化,ピコ秒から フェムト秒への短パルス化,新固体レーザーによる広 帯域波長可変幽幽が新しいレーザーとして研究が進め られている.それらのうちで,近い将来医学に大きな 影響を与えるものに自由電子レーザーと軟X線レー ザーがあり,確実な進歩を示している. 本講演では最近のレーザーの医学応用について新し い分野を概説するとともに,新しいレーザーの開発研 究の現状と,将来の新しい医学応用について述べる. 基礎医学への応用,特にセルソーター (微生物学)内山 竹彦 Folow cytometer(FCM)は1960年代の後半,米国 NIHを中心に開発が始まり,1970年代になって現在世 界各国で使用されている各種機器が完成した.開発当 時は反応細胞のDNA量測定に重点がおかれていた. 近年,単クローン抗体の開発により,細胞表面抗原の 解析や特定のマーカーを保有する細胞の分取等,特に 基礎免疫学や臨床免疫学のリンパ球系疾患の解析に とって欠くことのできない機械となった.最近では 3H−TdRを用いない細胞増殖の研究,性染色体の分取, 癌遺伝子産物の分析など応用範囲の拡大は限りがな い. 我々は現在ブドウ球菌やレンサ球菌外毒素のMHC クラスII分子への結合や,これらの外毒素によるT細

胞活性化の解析を行っており,FCMの使用はMHC

クラスII分子の前細胞への発現,抗原に対するT細胞 上の受容体(Tcell receptors, TCR)の解析にとって 大なる威力を発揮している.本学会では本学微生物学 教室で行っている研究一外毒素によるT細胞の活性 化とFCMの利用一を中心として話題を提供したいと 思う. 眼科領域での最近のレーザー診断と治療 (糖尿病センター眼科)堀 貞夫 眼科領域におけるレーザー機器は,診断用と治療用 に用いられるが,両老ともに近年のレーザー工学の発 展の恩恵を受げて,著しく応用の枠を広げた.今回は, 当科において実際に行っているもののうち,糖尿病性 黄斑浮腫に関するダイレーザーの治療と,種々の眼内 侵襲による前房内蛋白濃度のHe−Neレーザーによる 測定の結果を述べる. 1.糖尿病性黄斑浮踵に対するダイレーザー黄斑凝 固 糖尿病性黄斑浮腫は,糖尿病の眼合併症の中でも, 増殖性網膜症による硝子体出血や網膜剥離と並んで失 明にいたる確率が高い.黄斑部は網膜の中でも他の部 位と異なる組織構造をしており,凝固の範囲が広い従 来のアンゴンブルー・グリーンレーザーで凝固するの は禁忌とされていた.ダイレーザーは網膜の比較的深 層のみを凝固するので,浮腫の原因となる漏出血管を 凝固するのに適している.凝固は,浮腫が限局してい る場合は局所凝固を,広汎におよぶ場合は格子状凝固 を,50∼200μm径,0.1∼0.2秒,0.1∼0.2Wで行った. 治療後視力改善率は38.4%,不変51.2%,悪化10.4% であった.手術予後を左右する因子を検討すると,早 期の治療が推奨され,高度の視力障害が長期にわたり 遷延しているものでは予後が不良であること,高血圧 や腎機能低下者の視力予後が悪いことが判った. 2.Laser cell Haremeterによる眼科手術後の前房

内蛋白濃度の測定 眼内での炎症は,細胞や滲出した蛋白が硝子体や前 房内に現われるが,この程度を定量的に測定する, He−Neレーザーを利用したlaser且aer cell−meterが 開発された.糖尿病性網膜症の重症度や硝子体術の予 後に,前房内蛋白濃度の測定がよい判定基準になるこ とカミ半Uつた. 母斑治療とレーザーメス (形成外科)若松 信吾 “あざ”とは皮膚中に正常では存在しない発色細胞 または組織を含有する生まれつきの良性腫瘍である. そしてその色の種類は表のごとくに,原因となるそれ ぞれのあざの細胞または組織によって分類される.ま た同じ病名がつけられてもその細胞が真皮中に存在す る深度によって,色調に変化が見られる.あざの理想 的な治療とは真皮中の正常組織だけを温存し,異常細 一651一

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