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(シンポジウム レーザーの医学への応用)レーザーの最近の進歩と医学応用

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シンポジウム

レーザーの医学への応用

嗜権薔84第難講言〕

レーザーの最近の進歩と医学応用

東京大学 物性研究所 クロ ダ

黒 田

極限レーザー部門 ヒロ ト

寛 人

(受付 平成3年2月28日) はじめに レーザーの医学への応用は新しい展開が求めら れ,また,その端緒がひらかれている.例えばCO2 やYAGレーザーによるレーザーメスを第一期と するならば,現在は,いわぽ第二期として,YAG

やCO2による2波長作用や紫外エキシマレー

ザーによる非熱的手術の可能性(眼科におけるA. T.193nmは1例)のように,レーザーのもつ波長 可変性や新しい短波長という性能をより積極的に 活かす方向となっている. 方向の一つの精密化として光CTや代謝のマッ ピングがある,従来の超音波スキャナーやX線 CTは高性能ではあるものの形態変化にむすびつ く密度や,物性定数の変化をみるものである. NMRも組織のミセル化に伴うプロトンの横緩和 時間変化をみるものである.光CTは,波長可変 レーザーと超微弱光検出をくみあわせて,組織の 生理化学変化を吸収により定量化するもので,形 態変化以前の前駆的現象の測定が可能となり,癌 診断等に新しい知見を与える可能性がある.Caや

Naイオンの代謝や電位変化によるマッピング

CTは脳の老化や不活性化との関連で期待され

る. ヘマトポルフィリン等による光線力学的治療 (PDT)も今後一層発展すると考えられる.作用機 序として102は有力ではあるが,発生量は少ないと 考えるべきで連鎖反応あるいは他のスーパーオキ サイドとの相乗作用等,より詳細なメカニズムの 決定が新しい展開の鍵である. 低エネルギー領域の利用は,麻酔,血行改善, 傷の治癒,神経系やホルモン代謝の改善等多岐に わたる.統一的な理解は今後の問題であるものの レーザーの波長可変性等の進歩により広範な分野 で新しい治療法が出現するであろう.解析にたえ る信頼しうるデーターの蓄積がポイントである. 新しいレーザーによる遺伝子やDNAへの働き かけとそれによる治療等も新しい分野である. 最初の展開は,顕微鏡下における,レーザーに よる細胞の穴あけと融合であろう.今後はレー ザーの波長とパルス幅を制御することにより, DNA中のA, G, T, C等の塩基の選択的励起と

選択的化学変化による遺伝子制御(fusionや

丘ssion)が研究されよう. 将来は一番新しいレーザーである軟X線レー

ザーにより44A近傍のwater window領域での

生体ホログラフィや遺伝子やウイルスの立体構造 の決定等が可能性に入ってくる. 新しい医学応用は新しいレーザーにより進展す る. 紫外線から軟X線領域への短波長化,ピコ秒か らフェムト秒への短パルス化,新固体レーザーに よる広帯域波長可変化等が新しいレーザーとして 研究が進められている.それらのうちで,近い将 来医学に大きな影響を与えるものに自由電子レー

Hiroto KURODA〔Laser Physics, Institute for Solid State Physics, University of Tokyo〕:Recent

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光透過熈射・・……… ・レーザー照明 視野検査・………・………・レーザー光回折 蓋1難繕1難弾}一・一一・・渉 白内障粒子計測…………・・…一・…・……・レーザー光散乱 鰹謹覧麟ブロフィ}…一転=桝ッブ 叢護下穿…・…一・…一一一奪ツク’レバタ

難難フ腸押

難難1繋留}画一

痛覚,色覚,温覚測定・……・………・・車吐激しきい値計測 生体組織,細胞内なとの伝搬,反射,屈折,吸収 温レイリー・ラマ}一・一・一…光散乱 螢光,吸収9偏光・…………・…・・・・……分光分析 垂響響遠}・・…一・・……一 鑛麓鷲謙トー・一騒一光反応 極微弱発光計測・分析・情報解析 生体ミクロ情報伝送・処理 生体 検体 検査 計 測 基礎研究・ レーサー 診 断 検査 治 高 工 ネ ル 応用開発 療 三 @ F . 低 工 ネ ル_ギ 科学技術一基礎研究 生 命 科 学 エレクトロニクス 物 性 物 理 婿報・制御工学 高エネルギー物理 エネルギー工学 非線形・線形光学 殻 械 工 学 化 学 材料・資源工学 材 料 科 学 化 学 工 学 情報・画像科学 土木・建築工学 地球・宇宙科学 農 学 ・林 学 τ冒=サイトメ…{鰐幽幽臓置・ ・一 光散乱

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レーザー顕微鏡… 綬胞・組織検査.分光・画像分析 レーザーマイクロプローブ 顯是反射●偏一・{震難血液肱 画像処理………… 細胞診,血球分別.X線像解析

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砕石・…・…… 溶接…・・…・・…… 殺菌用光照射…・ 光化学効果・・…”

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尿路結石.胆石 ・・ 試侮。療,骨溶接 ・・’? 熱処理,下水処理 ・・ 烽フ光化学治療PDT

一{難灘鷺。。応

血管’神経吻合 鍼灸ツボ刺激 (東洋医学, 図1 レーザー医学分野への応用 ザーと軟X線レーザーがあり,確実な進歩を示し ている. 本講演では最近のレーザーの医学応用について 新しい分野を概説するとともに,新しいレーザー の開発研究の現状と,将来の新しい医学応用につ いて述べる. 以下に,これらの点について要約する. 1.レーザー医学の新しい方向と展開 レーザーの医学への応用は新しい局面を迎えて いる. 図1は,レーザーの医学への応用をまとめたも のである1).実に広範な範囲に用いられているこ とがわかる.これらのうち特に注目すべきことは, “レーザーでしかできないこと”あるいは“レー ザーにより飛躍的に性能が向上し,他では得がた いデーターが得られること”にベースをおく方向 が新しい展開を示していることである.レーザー 分光によるスペクトル解析は他の方法では得られ ない,定量的な成分についてリアルタイムでの情 報を提供する可能性をもつ. レーザー光反応,光刺激は未だ理解されていな いメカこズムが重要と考えられるが,酵素の賦活 や代謝の活性化に新しい分野をひらくと考えられ る.本格的な研究は今後である.光線力学的治療 と.よぼれる光化学による癌治療は,適用に一定の 限界はあるものの,画期的な方法としてほぼ確立 されつつある.光による免疫反応制御は,代謝改 善とも関連しており,単なるレーザー針とは異な る奥深い領域であることはまちがいない. 図2は,レーザーの新しい方向として期待も大 ぎい成人病関連の応用分野をとり出したものであ る.心臓病や血管関係ではファイバー導入による マイクロサージエリーや短波長レーザーによる熱 の影響の少い,いおゆる非熱反応による障害除去

(3)

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ア動態の解析

垂li難熱

刺激伝導系への刺激

心臓病 一

等馨・箪貸∵

! 診断

レーザー光励起徴量分光分析 レーザー光照射スペクトル診断 レーザー光励起癌組織螢光 超音波ホログラフィ ダブルパルスレーザーによる内 視鏡ホログラフィ レーザー光照射内視鏡 モノクローナル抗体とレーザー 細胞分析技術 レーザー光励起螢光顕微鏡 高エネルギーレーザー光による 癌破壊 光増感物質のレーザー光励起に よる光化学的癌破壊 紫外線レーザー光の光化学効呆 光C丁 代謝マッピング X線+レーザー 超音波ホログラフィ

X線ホログラフィ レーザードップラー血流計測 レーザー光刺激しきい値測定による神経麻痺局在の定量化 可変波長色素レーザーによる脳エネルギー代謝変化のマッピング

“lll難1;;;;鷲隔..

図2 癌,心臓病および脳卒中の診断・治療へのレーザー医学の応用 が新しい方向である. 癌や脳の代謝のマッピング等は,単に病変部位 の密度変化でなく,化学反応,代謝を追いかける という意味で,レーザーで.しかできないことにあ げられよう. レーザーと生体の相互作用という面から見る と, ①波長可変性の拡大 ②コヒーレンスの積極的応用 ③相互作用として非熱特殊作用の導入 ④短波長・短パルス等極限条件の積極的採用 ということができる.

X線を光におきかえた光CTやレーザーによ

る代謝マッピング,短波長レーザーの極限である X線レーザーによる診断と治療はこれらの新し い発展のもたらすものである,

2.光CT

光CTはX線CTの原理と同様と考えること

ができるが,ビームとしてのX線を可視光のレー ザーに替えたものである.X線CTはすばらしい 効果を発揮するが,ビームがX線であることや, 測定の機序が物質の密度変化であること,等によ り物質の同定や分解能に限大がある. 最近,稲場らにより開発が進められた光CTは これらの限界を破るものであり,今後の発展はき わめて大きいと考えられる. 生体光CTは光の吸収の変化により,生化学的 変化をとらえるものであり,走査するレーザーの 波長をかえることにより物質の吸収スペクトルに 対応する信号を得ることにより,密度変化以前の 生化学変化を読みとることができる. 問題となるのは光が透過するか,まっすぐ進む か,というポイントである.これらに対応するた めに,レーザーのコヒーレント性を活かした,散 乱光に埋もれた微弱信号を検出するコヒーレγ ト・イメージング技術(CDDという特殊なレー ザー測定法を用いる.すなわち透過性,指向選別 性,線形吸収性,直進可能性という原理を,レー ザーのコヒーレント性という特殊性により,再現 するものであり,X線CT, NMR,’ エ音波測定等 を超えた情報が原理的には可能である. 図3,4に稲場らによる光CT, CDIの原理図を 示す.実用化に向けて期待は大きい. 3.生理代謝のマッピング 波長可変レーザーの発展は,特殊な生理活性物 質に対応した光励起を可能とし,微弱発光による

(4)

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図3 光ヘテロダイン検:出法による多重散乱透過光中に埋もれた微小な透過直進光成 分の検出原理のモデル図

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H・一NGしASER lS聴nglo Fr●qu●n‘y} 図4 光ヘデロダイン検出法が有する散乱媒質中における透過直進光成分の指向選別 能の直接検出法との比較・評価のための実験装置ブロック図 同定も容易となった. 例えば,NaOHやCa, Mg等の代謝,あるいは

チトクロームCやbsの酸化・還元等はエネル

ギー代謝,電子伝達系と密接な関連がある.また, ATP合成やスーパーオキサイド等による微弱発 光により,物質のラベリングがでぎる.これら, 生理活性物質,免疫関連物質の発光をリアルタイ ムで2次元画像処理することにより,成人病や脳 の代謝に関し,従来得られなかった情報が期待で きる. 4.レーザーによる細胞プロセッシング 短波長レーザーの開発で,レーザー光学系の進 歩により顕微鏡において,レーザー光をサブミク ロン径に集光して,細胞に穿孔し,遺伝子制御を も行うことが可能となった. 表にこの作業手順を示す. 現在は,限られた遺伝子と物質で研究が進めら れているが,今後はより多方面に研究が進むであ ろう. 5.光線力学的治療(PDT)における新しい展開 PDTは現在研究が進んでいるものの,より治療 効果の高信頼化が重要である.しかしながら,筆

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表 レーザーによる細胞プロセッシング サブ∼1μm∼20μm細胞 波長可変∼UVレーザ_パルス 1 細胞センシング 蛍光ラベル 2 レーザーマニピュレーション 赤血球etc 3 生細胞 穿孔 切断 4 遺伝子移入 EX 培養細胞NRK 遺伝子 Ecogpt RNAウィルスetc 者達の研究2>によれば,殺細胞効果のある一重項 酸素102の生成確率は低い.これらの基礎的研究に 基づいて筆者達は,1μm光でなく可視の緑色の光 で,2個の102を同時に励起する協力光吸収機構iを 提唱し,実験的にもその可能性を示した.これは, PDTの限界を高め,高効率化するものとして注目 に値するものである. 6.波長可変新レーザーの今後の展開 これら述べたレーザーの医学への応用を支える 波長可変レーザーは従来は色素レーザーか,非線 形効果による波長帯変化であった. 今後の展開として,より強力なレーザ光を発生 させうるTi:A1203等の新素材・新固体レーザー が開発されつつある.また,将来の方向として自 由電子レーザー,X線レーザー等の研究が端諸に ついている. 筆者達も軟X線レーザーの開発を進めており 現在42Aという短波長の,従来は不可能と考えら れていた領域での増幅実験の研究も進めており, 軟X線レーザーの実用化も可能性が強くなって きた. これらの新しいレーザーの研究と,それによる 新しいレーザー医学作用機序の研究により,将来 のレーザー医学は,現在考えているよりももっと, 広範囲の未踏の領域に入ることであろう. 文 献 1)稲場文男:レーザーの医療への応用.治療学 17:151−159, 1986 2)田邊一郎,岡崎幸紀,竹本忠良ほか:HpDの分光 学的計測とその動的過程解析“HpD nuorescence

and its energy transfer process”.日本レーザー

医学会誌 第6回大会号論文集別刷,S59,1984 3)黒田裕介,黒田寛人,田中佑一ほか:ヘマトポル フィリン光化学治療におけるレーザー波長依存性 の考察一ヘマトポルフィリン・酸素分子複合体に よる新機構“協力光吸収”の可能性一.日本レー ザー医学会誌 6:77,1986 4)黒田裕介,黒田寛人,田中佑一ほか:励起状態T、 →T3吸収によるヘマトポルフィリン励起三重項 の寿命測定.日本レーザー医学会誌 6:85,1986 5)黒田裕介,黒田寛人,田中佑一ほか:波長可変紫 外ピコ秒レーザーによるDNA塩素の選択光反応 の可能性の検討.日本レーザー医学会誌 6:315, 1986

表 レーザーによる細胞プロセッシング     サブ〜1μm〜20μm細胞     波長可変〜UVレーザ_パルス 1 細胞センシング 蛍光ラベル 2 レーザーマニピュレーション 赤血球etc 3 生細胞 穿孔 切断 4 遺伝子移入   EX 培養細胞NRK         遺伝子 Ecogpt             RNAウィルスetc 者達の研究2>によれば,殺細胞効果のある一重項 酸素102の生成確率は低い.これらの基礎的研究に 基づいて筆者達は,1μm光でなく可視の緑色の光 で,2個の102を同時に励

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