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神経疾患における図形反転視覚誘発電位の検討

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Academic year: 2021

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82 (17) 氏名(生年月日) 本 籍

学位の種類

学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件

学位論文題目

論文審査委員

シバ タ コウ イチ

柴田興一(昭和3

医学博士 乙第1095号

平成2年5月18日

学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者)

神経疾患における図形反転視覚誘発電位の検討 (主査)教授 :丸山 勝一 (副査)教授 内田 幸男,藤田 昌雄

論 文 内 容 の 要 旨

目的 図形反転視覚誘発電位(VEP)は,主に多発性硬化 症(MS)や,視神経炎などの視神経疾患の診断に有用 とされている.しかし,脳血管障害(CVD)や神経変 性疾患についての検討は少ない.著者は,各種神経疾

患においてVEPを施行して,その所見と頭部

computed tomography(CT)やmagnetic resonance imaging(MRI)による局在病変とを対比し, VEPの 臨床上の有用性について検討した. 対象 対象は,CVD 30例(平均年齢52,6歳),運動ニュー ロン疾患(MND)20例(同54.9歳),脊髄小脳変性症 とその類縁疾患(SCD)20例(同51.6歳),パーキンソ ン病(PD)10例(同62.4歳)およびMS 6例(同26.2 歳)で,健常対照群として35例(同37.8歳)を用いた. 方法 VEP記録には白黒模様の図形反転法を用い,反転の 時間間隔500msec,分析時間200msec,加算回数100回 とし,全視野および半側視野の各々を刺激し,記録電 極を正中後頭部と両側の外側後頭部に,基準電極を鼻 根部上方の頭皮斑の点に置いた.P100の頂点潜時と N75-P 100振幅を計測し, CT, MRIによる病巣の局在 との関連を検討した. 結果 1)健常対照群のP100潜時,振幅と年齢とに明らか

な相関はなかった.2)CVDではP100の欠如10例

(71%),潜時延長4例(29%)で,欠如例が有意に多 かった(p<0.05).同名半盲3例中全例(100%),四 分の一半盲12例中6例(50%)にVEP異常を認めた が,半盲の明らかでない症例においても15例中7例 (47%)に異常を認めた,VEP異常と, CT, MRI上の 病変部位とを比較検討すると,CVDでは病巣が内包・ 外側膝状体領域にある8例中1例(13%),側頭葉・後 頭葉領域の9例中6例(67%),頭頂葉・後頭葉領域の

11例中7例(67%)にVEP異常を認めた.3)MNDで

は異常がみられなかった.4)SCDではVEP異常は7 例(35%)で,うちP100潜時の延長が4例(20%),ま た,高振幅が3例(15%)でみられた.5)PDでP100 潜時の延長が2例(20%)にみられ,.ともにYahr重症

度がIV度であった.6)MSではP100潜時は,5例

(85%)で延長していた. 考察 CVDでは, CT, MRI上頭頂・側頭・後頭の各頭葉 に病巣のあるもので高率に異常がみられたが,病変の

局在が不明瞭な症例においてもVEP異常が認めら

れ,VEPが潜在性病変の検出に有用と考えられた.そ の異常としてP100欠如が多く,MSなどの脱髄性疾患 でP100潜時の延長が多いのと対比された. SCDやPD でのP100潜時の延長と振幅の低下は視覚路の軸索,髄 鞘の両者に潜在性障害のあることを示唆すると考えら れた.SCDの一部ではP100の異常高振幅が認められ たが,視覚野の過興奮を反映している可能性が考えら

れた.なお,MNDではVEPは全例正常で,画像上に

も異常がみとめられず,視覚路障害はないと考えられ た. 結語 一692一

(2)

83 VEPは,各種神経疾患における視覚路病変の検出に 際してCT, MRIで明らかな病変のみならず,潜在性 の病巣の広がりを把握し得る有用な方法と考えられ た.

論 文 審 査 の 要 旨

図形反転視覚誘発電位は,多発性硬化症,視神経疾患の診断上,有用性が高いとされているが,その他の神 経疾患について,病変の局在と対比して検討した報告は少ない. 本論文は,多数例の各種神経疾患について,記録した図形反転視覚誘発電位と,画像診断により明らかにさ れた病変部位とを対比検討し,図形反転視覚誘発電位は,年齢とは相関せず,脳血管障害では大脳半球後半の 各頭葉病巣と相関し,脊髄小脳変性症,パーキンソン病では視覚路の潜在性病変があること,運動ニューロン 疾患では視覚路障害が無いことを初めて総合的に明らかにし,図形反転視覚誘発電位が視覚路障害の検出に際 して有用性が高いことを指摘したもので,学術上価値ある論文である. 主論文公表誌 神経疾患における図形反転視覚誘発電位の検討 東京女子医科大学雑誌 第59巻 第6号 672-682頁(平成元年6月25日発行) 副論文公表誌 1)Clonazepanにより著明な改善をみた痙性斜頚 の1例 太田綜合病院年報 21:67-70,1986 2)脳血管障害におけるBrovincamineの臨床的, 臨床生理学的検討 Geriatric Medicine 27:563-569,1989

3)筋の打撲による一過性の高CK血症でCK結合

免疫グロブリン(IgA・λ)を伴った1症例 神経内科 27:71-72,1987 4)網膜色素変性症,感音性難聴を伴った神経原性 肩甲大腿二筋萎縮症と考えられる1症例 臨床神経学 27:1367-1371,1987 5)パーキンソン病に対するbromocriptineと抗 コリン剤併用療法の臨床評価 Geriatric Medicine 26:435-444,1988

6)老年期痴呆,夜間せん妄に対するmethyl

phenidateの治療効果について 神経内科治療 5:147-151,1988

7)脳卒中後遺症,脳動脈硬化症に対する

Idebenoneの臨床的および中枢伝導時間など からみた神経生理学的治療効果 Geriatric madicine 27:271-279,1989 8)両側輪状咽頭筋切断により嚥下不能が著明に改

善したWallenberg症候群

神経内科治療 6:249-253,1989

9)MELAS(mitochondrial encephalopathy with

lactic acidosis and strokelike episodes)の

stroke like episodeの経過中一過性にPSD

およびPLEDsを呈した1症例

臨床脳波 31:349-352,1989

参照

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