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情報メディアの特徴理解を目的とする効果的な授業モデルの提案

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Academic year: 2021

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原 著 論 文 第1章 はじめに 1.1 問題の所在 文部科学省が実施した平成25年度の学校に おける教育の情報化の実態等に関する調査結果 から,中学生を取り巻く学校現場の情報化は, 急速に進んでいることが伺える。社会の変動に 伴い,学校現場も変化していく。また,総務省 (2014)によると,中学生のスマートフォン の普及率は,5割を超え,そして,高校生では, 9割を超えている。この先,どんどん学校現場 も生活環境も情報メディアに取り囲まれた社会 になっていく。現在の社会の変動と,今の子ど もたちが社会に出たときの環境は,異なるもの になっている。そのため,現在の情報メディア について教えることも重要であるが,この先, 開発される情報メディアに対しても,それらが 持つ特徴を掴む力が必要となる。 1.2 研究目的 本研究では,情報メディアの特徴理解を促す ための効果的な授業モデルを提案することを目 的とする。また,今の中学生が情報メディアに 対してどのようなことを考えているのかについ ても調査する。 1.3 授業設定 本研究は,滋賀大学附属中学校の協力のも と,技術・家庭科の時間に,作業を進めること で考えや話し合いを深め,情報メディアの特徴 について吟味することのできる二次元イメージ 展開法という手法を用いた授業を実践した。「情 報メディアの特徴を理解できたか」,「情報メデ ィアの活用ついて考えられたか」という視点か ら,授業の有用性を検証する。授業は,2年A組, 2年B組,2年C組を対象とし,各クラス前半と 後半に分かれた計6回行った。 1.4 研究の方法 (1)情報メディアに関する教材やデータを調 べ,情報メディアの特徴について整理する。 (2)二次元イメージ展開法について調べ,イメ ージマップ作成の手順,効果について整理 し,授業を構成する。 (3)中学2年生が作成したイメージマップと意見 用紙を収集し,授業のねらい,構成,内容, 有効性,改善点を分析する。 (4)新たな手法を加えるなどして改善した授業 モデルについて考察する。 第2章 情報メディア 2.1 メディア 広辞苑によれば,メディアとは,「媒体。手段。 とくに、マス ‐ コミュニケーションの媒体。」 を意味する言葉である。つまり,メディアは, ある所から異なるある所へと内容を運ぶための 媒体である。そのメディアの種類には,表現メ ディアや通信メディアのように○○メディアと 呼ばれるものが多数存在する。○○に表現や通 信という言葉を用いるのは,メディアの概念の 広さを理解させるためである。中学校学習指導 要領解説技術・家庭編によれば,メディアとは, 記憶媒体としてのメディアではなく,文字,音 声,静止画,動画など,表現手段としてのメデ ィアと記されている(文部科学省 2009)。 2.2 情報メディア 高等学校学習指導要領解説情報編によれば, 情報メディアとは,情報を伝達する機能を持 つ媒体の総称とされ,教育上,メディアとほ とんど同義として扱われている(文部科学省 2011)。つまり,表現メディアや通信メディア のような概念分けされたメディアではなく,そ れらを含んだ全てのメディアを情報メディアと 呼ぶ。もともと,メディアの概念の広さを理解 しやすくするために○○メディアと分類した。 しかし,情報メディアは,情報を伝達する機能

情報メディアの特徴理解を目的とする効果的な授業モデルの提案

蔭 山 拓 人

滋賀大学大学院 教育学研究科 学校教育専攻  情報教育専修 13715

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を持つ媒体の総称とされるため,他の○○メデ ィアも含めることができる。 2.3 情報メディアの性質 松原伸一(2011)によれば,情報理論では, 情報は,空間と時間を媒介として伝えられると 考えられている。情報の空間的伝達とは,ある 場所で発生した情報を別の場所で受け取ること であり,時間的伝達とは,ある時刻に発生した 情報を別の時刻に受け取ることである。時間と 空間の視点から情報メディアを4つに区分して 考える。場所は,直接話すことができるような 同じ場所によるコミュニケーションか,離れた 場所にいる人とのコミュニケーションのような 異なる場所でのコミュニケーションかを分類す る。時間は,同時にコミュニケーションが行わ れているのか,それとも,異なる時間でのコミ ュニケーションが行われているかを分類する。 これに加えて,情報メディアの性質の種類を 考えるにあたって,坂村健ほか(2012),本郷・ 松原(2012),水越・村井・生田(2014),な どの教科書を参考に考えた(表1)。 表1 情報メディアの性質 第3章 二次元イメージ展開法 二 次 元 イ メ ー ジ 展 開 法(TDMM:Two-DimensionalMappingMethod)とは,自己 意識形成を支援やコミュニケーションを活性化 するなどの特徴(図1)をもった教育的な手法 である。 二次元イメージ展開法(図2)は,日常生活 の構成要素をもとに,マップへと集約し,表現 性質の種類 速報性 同報性 蓄積性 検索性 発信範囲 発信者 マスコミュニケー ション 信頼性 拘束性 特徴 情報をいち早く伝えること ができる性質 多くの受け手に同時に情報 を伝達できる性質 発信された情報を蓄積でき る性質 発信された情報の中から欲 しい情報を検索できる性質 発信した情報を受け取るこ とができる人の範囲 メディアを使って情報を発 信できる立場 一度に多くの情報を多くの 受け手に伝達することがで きること 発信された情報の正しさ 場所や時間や環境に縛られ ること ①日常生活の構成要素をもととする。 ②カードと縦軸,横軸をもとにマップを作る。 ③自己意識形成を支援する。 ④コミュニケーションを活性化する。 ⑤個人の複雑なイメージがマップへと集約で きる。 ⑥イメージマップとして視覚的に認識でき る。 ⑦自分と他者との相互理解を促す。 図1 二次元イメージ展開法の特徴 二次元イメージ展開法の手順 手順(1)二次元イメージ展開法を用いるテ  ーマを設定 ⇒ 手順(2)テーマに沿ったカード全てを確認 ⇒ 手順(3)カードを選択 ⇒ 手順(4)選択したカードを横軸に配列 ⇒ 手順(5)横軸に配列したカードを縦方向に  配置 ⇒ 手順(6)完成したイメージマップ 図2 二次元イメージ展開法の手順

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する。与えられたテーマに対して他者とコミュ ニケーションを通して,互いの持つ考えにつ いて理解を深めることを目標に開発された。 1989年に食を題材に開発され,その後,生活 習慣から心の問題などの様々な課題に適用され ている(守山,松原 1996)。開発以前は,相 手の状態を知るための方法として,一問一答形 式のような質問者側からの一方的な問いに対す る回答から,相手のことを理解しようとするこ とがしばしば行われていた。 しかし,この方法では,相互理解ではなく, 質問者側の一方的な理解になる。そこで,より 相手の考えが反映されるよう,個人の持つ複雑 な概念をイメージマップ上にカードを使用して 整理・展開する二次元イメージ展開法が開発さ れた。そうして展開されたイメージマップを見 ることで自身の考えを整理でき,さらに,他者 と見せ合い,コミュニケーションを通して自分 の考えを伝えることや他者の考えを理解するこ とができる。 よって,互いのイメージマップを視覚的に捉 え,コミュニケーションを通すことで相互に考 え方を理解するということが二次元イメージ展 開法の概要である。 第4章 授業展開 4.1 授業を行う立場 授業は,2つの立場で行った。1つは,研究 者の立場に立ち,生徒一人ひとりの考える情報 メディアの特徴についてデータを集めることを 目的としている。もう1つの立場は,授業者と しての立場で,情報メディアの特徴を理解さ せ,工夫して生活に活用することができるよう に生徒がなることを目的としている。 4.2 授業の構成と内容 授業は,「中学校学習指導要領技術・家庭」 の技術分野「D情報に関する技術」,「エ情報に 関する技術の適切な評価・活用について考える こと。」にあたる指導内容として行った。 授業の構成は,導入,展開,まとめの3構成 である。導入では,伝言ゲームを通して,情報 伝達の難しさや,情報の信頼性,速報性などの, 授業のテーマでもある情報メディアの特徴に通 じる部分を体感させる。もちろん,初対面での 授業となるため,緊張の緩和も目的に行ってい る。 展開では,二次元イメージ展開法を通して, イメージマップの作成を行う。イメージマップ の作成手順とともに,一人ひとりの生活や情報 メディアに対する考えを深めることを目的とし ている。また,一人ひとりの異なるイメージマ ップを見比べることや意見交換するためのツー ルとしても活用する。 まとめでは,完成したイメージマップから考 えられる情報メディアの特徴を踏まえて,どの ように活用するのが良いかを話し合う。 このように進めることで,研究として,「一 人ひとりの考える情報メディアに対するイメー ジマップの作成」と授業として,「情報メディ アの特徴を理解し,活用できる」という2つの 目的の達成を目指した。 第5章 データ分析 5.1 分析方法 分析は,3種類行った。1つは,授業を録画 した動画から逐語記録をとり,その逐語記録か ら授業の発問や進行について振り返った。も う1つは,授業で作成したイメージマップの横 軸,縦軸ごとの並びや配置を順位でデータ化し たものを分析した。さらに,生徒が記述した意 見用紙からも,中学生の考える情報メディアの 特徴について整理した。 5.2 分析結果と考察 結果として,まだまだアナログの文字文化の 信頼性は高いと考えられている(図3)。また, 図4のグラフを見ると,以下のことが考えられ る。 1つ目は,普段の生活に必要な情報は少な い。グラフから,普段,情報を得たいときに ❶ アナログの方が信頼性が高い。 ❷ 普段の生活に必要な情報は少ない。 ❸ 情報の信頼性よりも手軽でお金のかから ないメディアが好まれる。 ❹ 調べやすさや得られる情報量が重要。 図 3 メディアに求める要素

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は,パソコンや携帯電話のようなインターネッ トに接続できるメディアやテレビを活用すると 考えられる。それらの使用頻度は,いずれも群 を抜いて高い。しかし,図5のように,それら から得た情報の信頼性を低いと評価している。 さらに,新聞や書籍の使用頻度も高くなってい るが,調べ学習をするので用いるという意見が 多く挙がった。すなわち,普段,得られる情報 をわざわざどのくらい正しいものか検証する者 はいない。おそらく,インターネットから得た 情報を話題に友達との会話を楽しむことが目的 となっているのではないだろうか。2つ目は, 手軽なメディアとお金のかからないメディアが 好まれる。上位に挙げられているメディアは, 使用頻度が高いが,そこから得られる情報の信 頼性は低い。言い換えれば,情報の信頼性が低 くても,手軽に多くの情報が得られるメディア が好まれる。インターネットやテレビは,子ど もと連絡を取り合うためや仕事や娯楽など多く の場面で用いられる。そのため,ほとんどの家 庭には,テレビやパソコンがあり,子どもには 携帯電話を持たせている。また,その通信費な どのお金は,親が支払う。よって,子どもにと っては,お金がかからないメディアであり,い つでもどこでも手軽に情報が得られるようにな った。これに対して,新聞や書籍は,わざわざ 購入したり,図書館で借りたりしなければなら なく,お金や労力を要する。また,新聞は電子 化され,ある程度の情報ならインターネットで 検索できるようになった。さらに,新聞や書籍 は,専門用語や難しい言葉が多い。そのため, 中学生には,読み進め辛い。よって,インター ネットやテレビの方が好まれる。 3つ目は,情報の信頼性よりも解決策に繋が る情報や情報量を楽に入手できるメディアが重 宝される。上記の2点を総合すれば,信頼性が 低くても身近で調べやすいメディアが使用され ていることがわかる。また,図6の有用性に関 するグラフからも,調べやすさや身近さを特徴 に持つメディアが選択されていることが分か る。反対に,書籍や新聞などの信頼性,有用性 が高いと考えられているメディアは,その利点 よりも,文字の読みづらさや家庭で新聞をとっ ていないといった環境が使用頻度を左右させて いる。また,スマートフォンなどの手軽に携帯 できるメディアが増え,信頼できるサイトも増 えたため,分からないことは,まず,インター ネットで検索する生徒が多い。人に聞くより も,遥かに情報量が多いインターネットの方が 重宝されている。人に聞いても,相手が無知で 図 4 項目ごとの座標別使用頻度の蓄積グラフ  図5 項目ごとの信頼性座標別に置かれた     付箋枚数グラフ  図6 項目ごとの有用性座標別に置かれた     付箋枚数グラフ

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あれば,何も解決できない。そこで,情報量が 多く,幅広い情報を得られるメディアで情報を 検索する。生活に置いて,専門知識よりも解決 策やヒントが見つかれば,大概のことはそれで 片付く。そのため,インターネットなどの情報 で十分事なきを得,専門知識や詳しい情報の記 載されているアナログなメディアまでは活用す ることはないと考えられる。 第6章 意見分析 6.1 使用頻度に関する意見のまとめと考察 2年A組,B組,C組の計114人の使用頻度を 横軸の尺度としたときの各メディアの使用理由 についてまとめる。 インターネットに関する意見は,スマートフ ォンやパソコンで接続するため普段から使用率 が高い,大きな事故やイベントなどのニュース があれば,インターネットを利用して詳しく調 べる,インターネット上で分かりやすく解説さ れているニュースを見る,インターネットは情 報を早く知れる,手軽に情報が得られる,1つ のものに対しての情報量が多い,身近で使いや すい,などの意見が多かった。意見からインタ ーネットは,日常生活に欠かせないほど,浸透 しており,情報の量や更新の早さ,手軽さに期 待し,活用する生徒が多いと考えられる。 スマートフォンやパソコンの使用理由として は,主にインターネットの利用が挙げられた。 日常的に携帯できるスマートフォンによって, どこにいても,いつでもインターネットに接続 でき,情報を得ることができる。また,スマー トフォンは,電源の点くのが早いといった利点 も挙がった。この面から,インターネットの身 近さ,操作の容易さが,生徒にとって魅力とな っていると考えられる。しかし,スマートフォ ンの音声メモや写真などの記録機能を活用する といった意見は出なかった。つまり,メールや 電話,ゲームなど限られた使い方がされている と予測できる。 テレビに関する意見は,毎日天気予報やニュ ースを見る,わかりやすい,いつも点いている, 情報が多い,映像があるのでわかりやすい,短 時間で情報が得られる,などが書かれていた。 その反面で,テレビはあまり見ない,調べたい ことが都合よくやっているわけではない,いら ない情報も多い,知識がないとわからないこと もある,内容が難しい,などの意見も見られた。 テレビは,決まった時間の中で情報を伝えなけ ればならないので,要点がまとめられており, わかりやすい。解説に加えて,映像や音声など の情報も同時に得られるため伝わりやすい。そ のため,テレビから多くの情報を得ることは, 興味を持つことや調べるきっかけとなる。ま た,家族の誰かがテレビを点け,ニュースや天 気予報を見ている環境があるということも自然 と情報を得るための条件となっていると考えら れる。よって,使用頻度が高くなる。しかし, 調べたいことが必ず放送しているわけではない ことや,専門的な内容になれば,中学生にとっ ては難しい内容となるため,調べ学習には,あ まり適していないと考えられる。 新聞に関する意見は,大きな記事だけ読む, 情報が多い,他のメディアよりも安い,情報が 詳しい,などが良さとして挙がった。その反面 で,毎日は読まない,家でとっていない,情報 量が限られている,保管しておくことができな い,一番に頼るメディアではない,知りたい情 報が必ず載っているわけではない,読むのが面 倒,字が細かいので読む気になれない,調べた いことが掲載されているかを自分で探さなけれ ばならない,などの意見が短所として書かれて いた。新聞は,家庭がとっていないところでは, 馴染みのないメディアであり,また,字の細か さや記事の難しさが,中学生の読む気を損なわ せていると言える。しかし,大きく掲載されて いる記事は,見出しを見るだけでも世の中の出 来事を知るきっかけとなる。 同じ読み物である書籍は,新聞よりは値段が 高く,中学生にとっては,なかなか手を出し辛 い面はあるが,書かれている情報の詳しさや量 は,新聞よりも高い評価を示す意見が挙げられ ていた。そのため,普段は,読む機会が少ない が,調べるときには,活用する頻度が高くなる。 インタビューや会話などの人を介する情報 は,毎日人と話している,身近である,聞いた 方が楽である,などが挙げられた。その反面で, インタビューは身近ではない,聞いた相手が知 りたい情報を知っているとは限らない,などが

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書かれていた。 ラジオは,普段は,ほとんど聞かないが,情 報を得るきっかけになると考える意見が多かっ た。また,映像などがなく,音声だけなので分 かりにくいという点も挙がった。 主に,インターネット,テレビ,新聞,書籍, インタビューや会話,ラジオに関する意見が多 く見られた。使用頻度が高くなる傾向として, 身近であること,手間がかからない,安価であ ること,などの条件にまとめられた。反対に, 使用頻度が低くなる傾向としては,時間がかか る,ほしい情報が得られない可能性がある,手 間がかかる,などの条件が考えられる。 6.2 信頼性に関する意見のまとめと考察 2年A組,B組の縦軸の尺度を信頼性とした ときの各メディアに対する意見をまとめ,考察 する。 インターネットの信頼性に関する意見は,誰 が書いたかが分からない,見るサイトによる, 誰でも書き込める,嘘もまぎれている,情報量 が多すぎる,他人によって受け取り方が違うの で個人の意見が強い,意見が偏る,速報が多い ため,などのように信頼性を低いと評価する意 見が多く見られた。しかし,インターネット上 の多くの情報を見比べれば,信頼できる情報か どうかは判断できるという意見もあった。イン ターネットは,顔が見えず,誰でも書き込ため るため,情報を発信するときに責任を感じな い。さらに,多すぎる情報量のために,どの情 報を信じてよいのか分からなくなることや,情 報の更新が早いので,確実な情報として発信さ れていない可能性があるといった点からインタ ーネットの信頼性に対する評価が低くなると考 えられる。 また,スマートフォンやパソコンの使用理由 のほとんどがインターネットの接続であったた め,インターネットの評価が低くなるとともに スマートフォンやパソコンに対する信頼性の評 価も低くなっている。 テレビの信頼性を低いとする意見は,間違っ た情報も含まれている,速報としての情報は曖 昧な部分が多い,視聴率を気にしている,番組 による,表現が大袈裟,偏った意見がある,な どが挙がった。信頼性を高いと考える意見とし ては,他会社と情報を比べられるため正確な情 報を発信している,取材している,実際の映像 がある,発信範囲が広いので正確な情報が多 い,解説が分かりやすい,専門の知識を持った 人が出演している,などが書かれている。基本 的には,テレビの放送は,多くの視聴者に情報 を伝達するため,正確な情報を発信していると 考えられる。しかし,視聴率や多局を気にする 事で,表現が大袈裟になることや,過剰な演出 といったテレビならではの短所が指摘でき,こ のような点から情報の信頼性が低下させてい る。テレビの情報もインターネットと同様に多 くの情報を比較し,判断する事が必要と言える。 新聞の信頼性を低いとする意見は,個人の主 張が強い,利益のために大袈裟に情報を伝えて いる,立場によって意見を変える,などが挙げ られた。新聞の信頼性を高いとする意見は,客 観的である,編集者が原稿を確認している,取 材をしっかりしている,情報量が多い,比較で きる他会社がいるので正確な情報を発信してい る,文字や写真を使っているので分かりやす い,内容が詳しい,書いている人がわかる,な どが書かれている。また,書籍は,新聞の特徴 に加えて,さらに詳しく情報が書かれているこ とや,出版するまでに何度も確認されているこ とや,情報源がはっきりしているといった意見 が挙げられた。これらの事から,情報を文字に し,売り物としている新聞や書籍のようなアナ ログメディアは,情報の発信に責任が伴い,出 版までに何度も原稿を確認されていることか ら,情報の信頼性が高いと評価される傾向にあ る。 インタビューの信頼性を高いとする意見は, 他人の意見が聞けるので貴重,などがあり,反 対に,信頼性を低いとする意見は,誰に聞くか にによって結果が大きく変わる,失敗する事も ある,聞いた人が知らないかもしれない,など が挙がった。また,会話は,嘘をつかれること が多い,間違いが多い,相手の思い違いや考え が含まれている,伝達する中で情報が変わって いく,噂が多い,相手の顔は分かるが,情報源 がどこからかわからない,など信頼性の低いメ ディアとしての意見が多く書かれていた。人か ら得られる情報は,噂や情報源の分からない情

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報や,嘘が混ざっているため,信頼性に欠けて いると考えられる。インターネットは,顔が見 えないため,誰が書いているか分からない事が 情報の信頼性を低くする要因の一つに挙がって いた。インタビューや会話は,人の顔が見える のに,その人の知識や情報源に疑いが向けら れ,情報の信頼性が低くなっていた。これは, 毎日の関わり合いによる経験や,相手の性格が 情報の信頼性に影響を与えていると言えるので はないか。 ラジオの良さは,取材している,という部分 が挙げられ,信頼性が低いとする意見として は,映像がなく言葉だけなので分かりにくく誤 解が生じやすい,個人の意見が主張されてい る,などが挙げられている。言葉だけで情報を 伝達するため,言葉を分かりやすく,要点がま とめられている良さがある。 信頼性が高いと考えられるメディアは,情報 を発信する事に責任が伴っていることや,発信 された情報が比較できるものがある,情報源が 分かる,などの条件が考えられ,さらに,映像 があることや文字にされているメディアは,信 頼できるというイメージがある事がわかる。反 対に,信頼性が低いと考えられるメディアは, 情報の発信に責任がなく,情報源が分からな い,などの要因がある。 6.3 有用性に関する意見のまとめと考察 インターネットの有用性に関する意見は,情 報量が多い,素早く得たい情報を得られる,客 観的な意見を取り入れる事ができる,新しい事 を知れる,使いやすい,などの良い意見が挙が り,また,その反面で,嘘の情報が流れている, 間違えが多い,情報が多すぎるので信じてもよ い情報が分からなくなる,などの良くない点も 挙げられた。スマートフォンやパソコンもイン ターネット利用が目的となっているため,イン ターネットの有用性に関する意見と似ている。 また,スマートフォンは,常に持ち歩いている ため,他のメディアと比べて,情報を得る量が 多いという意見もあった。 テレビの有用性に関する意見は,速報が得ら れる,情報の幅が広い,主観的な意見と自分の 意見を比較できる,身近にある,映像がある, などが良さとして挙がった。また,短所として は,番組によって有用性は変わる,役に立たな い情報が多い,細かな情報は得られない,情報 が選べない,などが書かれている。 新聞の有用性に関する意見は,何回でも読み 返せる,取材がされている,起こった出来事を 知ることができる,などが良い点としてまとめ られる。しかし,ほしい情報が載っているとは 限らない,情報を探しにくい,などがよくない 点としてまとめられる。 書籍の有用性に関する意見は,情報の幅は狭 いが,詳しく書かれている,情報を読み返すこ とができる,よく調べられてから出版されてい るので,有用性が高い,などが良い点として挙 げられ,筆者によってとらえ方が異なる,時間 がかかる,調べにくい,などが短所として挙げ られる。 人による情報は,感情やその人の考えが含ま れている,間違っている可能性が高い,ラジオ は,パーソナリティの意見がほとんど,目で確 認する事ができない,などの良くない意見が多 く挙げられた。 有用性に関する意見を見て,情報を手軽に得 られることや,得られる情報量が多いことや, また,情報を何度も見返すことができること, などが,有用性があると評価される特徴として まとめられる。反対に,情報の幅が狭いことや, 情報発信者の感情や意見が含まれている情報, 時間や手間がかかる,など,有用性が低いと評 価される特徴としてまとめられる。 6.4 情報メディアの活用に関する意見のまと めと考察 使用頻度が高くなる情報メディアの特徴は, 身近であること,手間がかからない,安価であ ること,などの条件にまとめられた。反対に, 使用頻度が低くなる傾向としては,時間がかか る,ほしい情報が得られない可能性がある,手 間がかかる,などの条件が考えられた。 また,信頼性が高いと考えられるメディア は,情報を発信する事に責任が伴っていること や,発信された情報が比較できるものがある, 情報源が分かる,などの条件が考えられ,さら に,映像があることや文字にされているメディ アは,信頼できるというイメージがある事がわ かる。反対に,信頼性が低いと考えられるメデ

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ィアは,情報の発信に責任がなく,情報源が分 からない,などの要因がある。 有用性に関する意見を見て,情報を手軽に得 られることや,得られる情報量が多いことや, また,情報を何度も見返すことができること, などが,有用性があると評価される特徴として まとめられる。反対に,情報の幅が狭いことや, 情報発信者の感情や意見が含まれている情報, 時間や手間がかかる,など,有用性が低いと評 価される特徴としてまとめられた。 これらの特徴を各々で感じながら,完成した イメージマップを見て,調べ学習に適した情報 メディアの活用について考えた意見を集めた。 それらをまとめ,考察する。 生徒の意見として,使用頻度が少なくても, それらが無くなってしまうと不便とする意見が 多く挙がった。生徒のほとんどが,新聞や書籍 の使用頻度が少ないと考えている。これらのメ ディアは,信頼性や有用性が高く評価されてい る。反対に,インターネットやテレビは,使用 頻度は多いが,信頼性や有用性の評価が低い。 そのため,手軽で,手間をかけずにたくさんの 情報を得られるインターネットやテレビで情報 を集め,情報の信頼性が高い新聞や書籍のよう なメディアで,不安な情報の信頼性を高めると 考える意見も見られた。 また,一つのメディアだけでなく,複数のメ ディアを用いて,情報を比較するといった意見 も挙げられた。信頼性の高いメディアであって も,間違った情報や古くなった情報が含まれて いる事がある。特に,信頼性が高いと評価され ている新聞や書籍は,インターネットのように 情報を更新する事ができないため,載せられて いる情報は,日に日に古くなっていく。また, インターネットは,情報が消されない限り,残 るため,古い情報と新しい情報が混在してい る。そのため,信頼性が高いメディアだけに頼 るのではなく,複数のメディアから得られる情 報を比較し,情報を選択する判断が必要となる。 さらに,メディアごとの長所と短所を考え, 調べ学習の段階ごとに使い分ければよいという 意見もあった。まずは,手軽に多くの情報を得 られるメディアから情報を収集し,そこから調 べ学習で扱う要点を絞っていく。そのあとは, 情報の信頼性が高いもので正確で詳しい内容に する。そのためなら,ある程度の時間がかかっ てもよい。調べ学習の目的や進み具合によって は,多少の手間などの短所は,無視できると考 えられる。 情報メディアの活用についての意見の他に, どのメディアにも良い所と悪い所がある,普 段,情報の信頼性を低いとするメディアばかり 使っている,などメディアについての意見や生 活を振り返る意見も多く見られた。 完成したイメージマップから,情報メディア の活用や各メディアの特徴や生活についての振 り返りなど,多くのことを考える事ができた。 第7章 授業改善と提案 7.1 授業の改善点 【1】授業の流れの一定化 授業の流れは,指導者の話し方と授業の構成 が大きく影響している。ここでは,授業の構成 に目を向けた改善点を考える。授業の初めに, 伝言ゲームを行うことで,クラスの雰囲気は良 くなったのだが,本題に入り,授業が進むにつ れ,静かで,飽きのくる雰囲気に変化していっ た。この要因として,イメージマップ作成時の 同じ操作の繰り返しが考えられる。逐語記録と 指導案を見てもわかるように,項目を横軸,縦 軸に配置する流れや指示がほとんど同じであ る。基本的にどの部分も,指導者が説明し,前 で見本を見せ,実際に生徒に操作をさせ,意見 を聞く,という一定の流れが存在する。この変 化のない流れの繰り返しにより,飽きのくる授 業となった。 【2】イメージマップの活用が十分にできなか った 生徒一人一人のイメージマップが完成すると ころまでは,どの授業でも達成できた。しかし, 完成したイメージマップを活用し,討論を行う ことができなかった。イメージマップを見て, 自身の意見について熟考し,その後,生徒同士 の意見交換を通して,生徒自身がほかの人の意 見に触発され,もう一度,自分自身の情報メデ ィアの用い方について見つめなおすように進行 したかった。その要因として,時間がなかった ことと,設定にこだわりすぎたことが考えられ

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る。二次元イメージ展開法は,イメージマップ が完成するまでに,ある程度の時間がかかって しまう。また,授業では,自己紹介と緊張緩和 のために伝言ゲームを行ったため,さらに,時 間が限られたものとなってしまった。そして, 生徒一人一人のイメージマップの作成という授 業設定に拘ったため,ある程度の指導者からの 発問や誘導を要した。もし,授業目標が情報メ ディアの特徴理解に言及したものであれば,イ メージマップを通して,討論できたかもしれな い。しかし,授業をする以上,何か身に付く形 で授業をするという方針に決定したため,情報 メディアの特徴を理解し,活用できると改め た。そのため,授業では,情報メディアの特徴 について考えることと,その特徴を生かした活 用について考えることが求められた。そのた め,50分の時間内では,意見交換を十分に行 うまでの時間が設けられなかった。 【3】見本として扱ったイメージマップと発問 の仕方がよくなかった イメージマップが完成し,それを用いて,場 面や目的に応じて適したメディアを用いること の大切さに気付かせるために,いる・いらない 論争を行った。指導案や逐語記録に記載してあ るように,使用頻度の低い項目と信頼性(有用 性)の低い項目に目をつけ,「使っていないな ら情報がないことと同じ」,または,「情報の信 頼性が低いのであれば,情報がないことと同 じ」として発問した。この発問に対し,生徒は, どれも必要と答えたが,中には,いらないもの は,いらないといった生徒もいた。この要因と して,見本に用いたイメージマップが,単純な 右下がりのグラフであったからだと考えられ る。右下がりのグラフであれば,使用頻度が低 くても信頼性が高いという利点があり,信頼性 の低い項目には使用頻度が高いという利点があ る。しかし,右上がりのグラフの場合,最も左 の項目は,使用頻度も縦軸の評価も低くなり, 最も右の項目は,使用頻度も縦軸の評価も高く なる。このイメージマップに先ほどの発問をす ると,最も左の項目はいらなくなり,最も右に ある項目を活用すればいいと結論付けできてし まう。そのため,授業の目標とする,いらない メディアはなく,特徴を理解し,場面や目的に 応じた活用ができる,ということから外れてし まった。 7.2 授業提案 ① イメージマップの作成を班活動に イメージマップの作成を班活動として行うこ とで,話し合いながら操作を進めることができ る。そのため,絶えず,他人との考え方の違い やメディアの活用方法について意見し合える。 それらの意見について班で書き留めていけば, 多くの意見が出ると考えられる。その後,ほか の班との交流を通して,情報メディアの特徴を まとめ,情報メディアの活用方法に進んでも, 班活動での話し合いを通して,意見が出ている ため,違和感なく進行できると考えられる。ま た,初めに手順を説明するか,手順を説明した プリントを配布し,時間を決めて活動させれ ば,同じ流れが繰り返させる授業を回避できる。 ② 授業を2コマに 1コマでは,情報メディアの特徴理解し,そ の活用まで考える時間がない。さらに,生徒同 士の意見交換からお互いに影響を与え合うまで の話し合いもできない。そこで,授業を2コマ に分割し,1コマ目で,情報メディアの特徴を 理解し,2コマ目で,その理解を踏まえた活用 について考える。このとき,1コマ終了時にイ メージマップを回収し,プリントアウトなどし て元のイメージマップを保存しておく。そし て,2コマ目のときに意見交換により,考えが 変わり,項目を移動しても,元のイメージマッ プは保存してあるので,見比べることができ, その考えの変化についてもまとめることができ る。2コマに分けるメリットとして,情報メデ ィアの特徴理解と活用についての理解が深めら れることと,イメージマップの前後が見比べる ことができることにある。 参考文献 広辞苑(2008)第六版 た―ん,新村出編, 岩波書店,東京,pp.2766 坂村健ほか10名(2012),高等学校 社会と情 報,数研出版,東京,pp.92-93 本郷健・松原伸一(2012)社会と情報,開隆堂,

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東京. 松原伸一(2011)情報学教育の新しいステー ジ 情報とメディアの教育論,開隆堂出版, 東京. 水越敏行・村井純・生田孝至(2014),社会と 情報,日本文教出版,東京,pp.102. 守山正樹,松原伸一(1996)食のイメージ・ マッピングによる栄養教育場面での思考と 対話の支援,栄養学雑誌,Vol.54,No.1, pp.47-57 文部科学省(2011)高等学校学習指導要領解 説 情報編,開隆堂,東京. 総務省(2014)情報通信白書. http://www.soumu.go.jp/johotsusintoke i/whitepaper/ 総務省総合通信基盤局消費者行政課(2013) 青少年のインターネット・リテラシー指標 等,pp.4. h t t p : / / w w w . s o u m u . g o . j p / m a i n _ content/000247066.pdf 文部科学省(2009)中学校学習指導要領解説  技術・家庭編. http://www.mext.go.jp/component/a_ menu/education/micro_detail/__icsFiles/ afieldfile/2011/01/05/1234912_011_1.pdf 文部科学省(2014) 平成25年度 学校におけ る教育の情報化の実態等に関する調査結果 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/ zyouhou/1350411.htm

参照

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